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特許7479394量子コンピューティング・デバイス用のトランズモン・キュービット・フリップチップ構造体の製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】量子コンピューティング・デバイス用のトランズモン・キュービット・フリップチップ構造体の製造
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/01 20230101AFI20240426BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240426BHJP
   G06N 10/40 20220101ALI20240426BHJP
【FI】
H10N60/01 W
H01L21/92 603A
H01L21/60 311Q
G06N10/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021560919
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2020066437
(87)【国際公開番号】W WO2020254226
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】16/445,764
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンブラット、サミー
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/212041(WO,A1)
【文献】特表2020-511794(JP,A)
【文献】特開昭58-207686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0165244(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0165238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/01
H01L 21/60
G06N 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子コンピューティング・デバイスを製造する方法であって、前記方法が、
第1の基板と、パッドの第1のセットと、前記第1の基板上に配されたジョセフソン接合のセットとを有する第1のチップを形成すること、および
第2の基板と、前記第2の基板上に、パッドの前記第1のセットと向い合せに配されるパッドの第2のセットと、パッドの前記第2のセットのサブセット上に形成される第2の層とを有する第2のチップを形成すること
を含み、前記第2の層が、前記第1のチップと前記第2のチップとを接合するように構成され、パッドの前記第2のセットの前記サブセットがジョセフソン接合の前記セットのサブセットに対応し、ジョセフソン接合の前記セットの前記サブセットが、キュービットのセットの中のキュービット間の周波数衝突を回避するように選択され、キュービットの前記セットの中のキュービットが、ジョセフソン接合の前記サブセットの中のジョセフソン接合に由来する、
方法。
【請求項2】
ジョセフソン接合の前記セットにおいて使用不可能なジョセフソン接合を形成すること
をさらに含み、ジョセフソン接合の前記セットの中の第1のジョセフソン接合が、ジョセフソン接合の前記セットの前記サブセットから前記第1のジョセフソン接合が除外されたことに応答して、前記使用不可能なジョセフソン接合になるように変更される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パッドの前記第1のセットにおいて切り離されたパッドを形成すること
をさらに含み、パッドの前記第1のセットが、前記第1のジョセフソン接合に電気的に結合された第1のパッドを含み、前記第1のパッドが、前記第1のジョセフソン接合から電気的に切り離されて前記切り離されたパッドを形成し、前記切り離されたパッドが、前記第1のジョセフソン接合を使用不可能にする、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のジョセフソン接合がもはやジョセフソン接合として動作しないように、前記第1のジョセフソン接合の電気特性が変更される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ジョセフソン接合の前記セットの前記サブセットが、ジョセフソン接合の前記セットのそれぞれのジョセフソン接合に関連したパラメータの測定に基づいて選択される、請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
特定のキュービットに関連した共振周波数が、(i)前記特定のキュービットが使用するジョセフソン接合に関連する測定されたパラメータに基づいて計算された予測共振周波数と、(ii)前記特定のキュービットの実際の測定共振周波数との集合から選択された1つの要素である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記パラメータが、ジョセフソン接合の前記セットの中のジョセフソン接合に関連した抵抗を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記抵抗が、前記ジョセフソン接合の常伝導状態抵抗である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のチップ上に形成された突起物の第1のセットを形成すること、および
前記第2のチップの前記第2の層上に形成されたバンプのセットを形成すること
をさらに含み、バンプの前記セットが、室温範囲においてしきい延性よりも高い延性を有する材料で形成され、バンプの前記セットが、突起物の前記第1のセットに冷間圧接されるように構成されている、
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
突起物の前記第1のセットが、金および白金を含む集合から選択された少なくとも1つの要素を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
バンプの前記セットが、インジウム、スズ、鉛およびビスマスを含む集合から選択された少なくとも1つの要素を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記冷間圧接を使用して前記第2のチップに分離可能に取り付けられた前記第1のチップを含むフリップチップ・アセンブリを形成すること
をさらに含み、前記フリップチップ・アセンブリを前記冷間圧接のところで分解することにより、前記フリップチップ・アセンブリの内側のジョセフソン接合のパラメータが調整可能である、
請求項9ないし11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
コンピュータ実施方法である、請求項1ないし12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
リソグラフィ構成要素を備える超伝導体製造システムであって、量子コンピューティング・デバイスを製造するために少なくとも1つのダイ上で動作させたときに、請求項1ないし13のいずれかに記載の方法を実行するための超伝導体製造システム。
【請求項15】
量子プロセッサを製造する方法であって、前記方法が、
キュービットのセットを形成すること
を含み、キュービットの前記セットの中の少なくとも1つのキュービットが、一対のチップを含むフリップチップ構成内に形成され、前記一対のチップを形成することが、
第1の基板と、パッドの第1のセットと、前記第1の基板上に配されたジョセフソン接合のセットとを有する第1のチップを形成すること、および
第2の基板と、前記第2の基板上に、パッドの前記第1のセットと向い合せに配されるパッドの第2のセットと、パッドの前記第2のセットのサブセット上に形成される第2の層とを有する第2のチップを形成すること
を含み、前記第2の層が、前記第1のチップと前記第2のチップとを接合するように構成され、パッドの前記第2のセットの前記サブセットがジョセフソン接合の前記セットのサブセットに対応し、ジョセフソン接合の前記セットの前記サブセットが、キュービットの前記セットの中のキュービット間の周波数衝突を回避するように選択され、キュービットの前記セットの中のキュービットが、ジョセフソン接合の前記サブセットの中のジョセフソン接合に由来する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、超伝導体デバイス(superconductor device)、超伝導量子デバイスの製造方法および製造システムに関する。より詳細には、本発明は、量子コンピューティング・デバイス用のトランズモン・キュービット・フリップチップ構造体(transmon qubit flip-chip structure)を製造するためのデバイス、方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用されている箇所で明示的に区別されていない限り、本明細書では以降、語または句の中の接頭辞「Q」が、量子コンピューティングの文脈でその語または句に言及していることを示す。
【0003】
分子および素粒子(subatomic particle)は量子力学の法則に従う。量子力学は、物質界(physical world)がどのように機能しているのかを基本的なレベルで探究する物理学の一部門である。このレベルにおいて、粒子は奇妙な振舞いを示し、同時に2つ以上の状態をとり、非常に遠く離れた別の粒子と相互作用する。量子コンピューティングはこれらの量子現象を利用して情報を処理する。
【0004】
今日我々が使用しているコンピュータは、古典コンピュータ(本明細書では「従来型」コンピュータまたは従来型ノード(conventional node)ないし「CN」とも呼ぶ)として知られている。従来型コンピュータは、半導体材料および半導体技術を使用して製造された従来型プロセッサ、半導体メモリ、ならびに磁気または固体状態ストレージ・デバイスを、フォン・ノイマン型アーキテクチャとして知られているアーキテクチャで使用する。具体的には、従来型コンピュータのプロセッサは、2値プロセッサ、すなわち1および0で表された2値データに対して演算を実行するプロセッサである。
【0005】
量子プロセッサ(qプロセッサ)は、エンタングルド(entangled)キュービット・デバイス(本明細書では簡潔に「キュービット」(「qubit」、複数形は「qubits」)と呼ぶ)の変わった性質を使用して、計算タスクを実行する。量子力学が機能する特定の領域において、物質の粒子は、例えば「オン」状態、「オフ」状態、および「オン」と「オフ」の両方を同時にとる状態など、複数の状態で存在し得る。半導体プロセッサを使用する2値コンピューティングは、(2値コードの1および0と等価の)オンおよびオフ状態だけを使用することに限定されているが、量子プロセッサは、物質のこれらの量子状態を利用して、データ・コンピューティングで使用可能な信号を出力する。
【0006】
従来型コンピュータは、情報をビットとしてコード化する。それぞれのビットは1または0の値をとることができる。これらの1および0は、コンピュータ機能を究極的に駆動するオン/オフ・スイッチの働きをする。一方、量子コンピュータはキュービットに基づき、キュービットは、量子物理学の鍵となる2つの原理、すなわち重ね合わせ(superposition)およびエンタングルメント(entanglement)に従って動作する。重ね合わせは、それぞれのキュービットが1と0の両方を同時に表すことができることを意味する。エンタングルメントは、重ね合わせの状態にあるキュービットを古典的でない手法で互いに相関させることができること、すなわち、1つの状態(それが1なのかもしくは0なのかまたはその両方であるのかは問わない)が別の状態に依存し得ること、および2つのキュービットがエンタングルされているときの方が、それらの2つのキュービットが個別に処理されるときよりも、それらの2つのキュービットに関して確認することができる情報がより多く存在することを意味する。
【0007】
これらの2つの原理を使用して、キュービットは、従来型コンピュータを使用することによっては扱えない難しい問題を量子コンピュータが解くことを可能にする手法で量子コンピュータが機能することを可能にする、より洗練された情報処理機構として動作する。IBM(R)は、超伝導キュービットを使用して量子プロセッサを構築し、その動作可能性を示すことに成功した(IBMは、米国および他の国におけるインターナショナル・ビジネス・マシーンズ(International Business Machines)社の登録商標である)。
【0008】
超伝導キュービットはジョセフソン接合を含む。ジョセフソン接合は、2つの薄膜超伝導金属層を非超伝導材料によって分離することによって形成された超伝導トンネル接合である。超伝導層の金属を、例えばその金属の温度を指定された極低温(cryogenic temperature)まで下げることによって超伝導にすると、電子対は、非超伝導層を通り抜けて一方の超伝導層からもう一方の超伝導層へ移動することができる。ジョセフソン接合を形成する他の方法も存在し、この説明は限定を意味しない。キュービット内では、分散性非線形インダクタとして機能するジョセフソン接合が、非線形マイクロ波発振器を形成している1つまたは複数の容量性デバイスと電気的に並列に結合されている。この発振器は、キュービット回路のインダクタンスおよび静電容量の値によって決定される共振/遷移周波数を有する。使用されている箇所で明示的に区別されていない限り、用語「キュービット」に関する言及は、ジョセフソン接合を使用した超伝導キュービット回路に対するものである。
【0009】
超伝導状態では、第1に、材料が、電流の通過に対する抵抗を示さない。抵抗がゼロまで低下すると、電流は、エネルギーの散逸なしで材料内を循環することができる。第2に、材料は、マイスナー効果(Meissner effect)を示す。すなわち、外部磁場は、それが十分に弱い場合、超伝導体に侵入せず、超伝導体の表面に留まる。材料が、これらのうちの一方または両方の特性をもはや示さないとき、その材料は、常伝導状態(normal state)にあると言われ、もはや超伝導性ではない。
【0010】
超伝導材料の臨界温度は、その材料が超伝導特性を示し始める温度である。超伝導材料は、電流の流れに対して非常に低い抵抗率またはゼロ抵抗率を示す。臨界磁場は、所与の温度について、その磁場の下で材料が超伝導性であり続ける最も高い磁場である。
【0011】
超伝導体は一般に、2つのタイプのうちの一方のタイプに分類される。第一種超伝導体(Type I superconductor)は、臨界磁場において単一の遷移を示す。第一種超伝導体は、臨界磁場に達したときに非超伝導状態から超伝導状態に遷移する。第二種超伝導体(Type II superconductor)は、2つの臨界磁場および2つの遷移を含む。下部臨界磁場(lower critical field)またはそれよりも弱い磁場で、第二種超伝導体は超伝導状態を示す。上部臨界磁場(upper critical field)よりも強い磁場で、第二種超伝導体は超伝導特性を示さない。上部臨界磁場と下部臨界磁場の間の磁場で、第二種超伝導体は混合状態(mixed state)を示す。混合状態において、第二種超伝導体は不完全なマイスナー効果、すなわち超伝導体材料内の特定の位置の量子化されたパケット内の外部磁場の侵入を示す。
【0012】
キュービットによって処理された情報は、マイクロ波周波数範囲のマイクロ波信号/光子の形態で運ばれまたは伝送される。このマイクロ波信号を捕捉、処理および解析して、その中にコード化された量子情報を復号する。読出し回路は、キュービットの量子状態を捕捉し、読み、測定するためにキュービットに結合された回路である。読出し回路の出力は、計算を実行するためにqプロセッサによって使用可能な情報である。
【0013】
超伝導キュービットは2つの量子状態、すなわち|0>および|1>を有する。これらの2つの状態は、原子の2つのエネルギー状態、例えば超伝導人工原子(superconducting artificial atom)(超伝導キュービット)の基底状態(|g>)および第1の励起状態(|e>)であることがある。他の例は、核スピンまたは電子スピンのスピンアップとスピンダウン、結晶欠陥の2つの位置、および、量子ドットの2つの状態を含む。この系は量子性を有するため、これらの2つの状態の任意の組合せが許容され、有効である。
【0014】
キュービットなどの超伝導デバイスは、超伝導材料および半導体材料を使用して、知られている半導体製造技術で製造される。超伝導デバイスは一般に、異なる材料の1つまたは複数の層を使用して、デバイス特性および機能を実装する。材料層は、超伝導性、伝導性、半伝導性、絶縁性、抵抗性、誘導性、容量性の層であることができ、または任意の数の他の特性を有することができる。材料の性質、材料の形状、サイズまたは配置、材料に隣接した他の材料、および他の多くの考慮事項が与えられた場合、異なる材料層は、異なる方法を使用して形成されなければならないことがある。
【0015】
半伝導デバイスおよび超伝導デバイスを設計するために使用されるソフトウェア・ツールは、非常に小さなスケールの電気的レイアウトおよびデバイス構成要素を生成もしくは操作し、または他のやり方で電気的レイアウトおよびデバイス構成要素とともに機能する。適当な基板に形成されているとき、このようなツールが操作することができる構成要素の一部は、その幅が数ナノメートルでしかないことがある。
【0016】
レイアウトは形状を含み、その形状および位置は、ツール内で、デバイスの目的に従って選択される。単にレイアウトとも呼ぶ設計レイアウトが、1つのデバイスまたは一群のデバイスに対して最終的に決定されると、その設計は、一組のマスクまたはレチクルに変換される。一組のマスクまたはレチクルは、1つまたは複数のマスクまたはレチクルである。構造体を含む顕微鏡的構成要素を形成するため、製造中に、半導体ウェーハは、マスクを通して光または放射で露光される。このプロセスはフォトリソグラフィとして知られている。マスクは、マスクの内容をウェーハ上に製造または印刷する目的に使用可能である。フォトリソグラフィ印刷プロセス中に、マスクを通して放射を、その放射のある所望の強度で集束させる。放射のこの強度は、その放射を使用して堆積させる材料と組み合わせて、一般に「ドーズ(dose)」と呼ばれる。放射の集束およびドージング(dosing)は、ウェーハ上で構造体の所望の形状および電気特性を達成するように制御される。
【0017】
半伝導デバイスまたは超伝導デバイスの製造プロセスは、ドージングだけでなく、さまざまな電気特性もしくは機械特性またはその両方を有する材料を堆積させもしくは除去する他の方法、またはそのような材料を堆積させ除去する他の方法も含む。例えば、伝導材料を、その材料のイオンのビームを使用して堆積させること、化学物質を使用して硬い絶縁体を溶解すること、またはメカニカル・プランニング(mechanical planning)を使用して硬い絶縁体を腐食することができる。製造プロセスの操作のこれらの例は限定を意図したものではない。この開示から、当業者は、例示的な実施形態に基づくデバイスを製造するのに使用可能な製造プロセスの他の多くの操作を思いつくことができ、それらの操作は、例示的な実施形態の範囲内で企図される。
【0018】
超伝導デバイスはしばしば平面デバイス、すなわち1つの平面上に超伝導構造体が製造されたデバイスである。非平面デバイスは、一部の構造体が所与の製造平面よりも上または下に形成された3次元(3D)デバイスである。
【0019】
いくつかのキュービットは、フリップチップ・ジオメトリ(flip-chip geometry)を使用して製造される。フリップチップ・ジオメトリでは、いくつかの個々のキュービットを有するキュービット・チップ(「Qチップ」とも呼ばれる)が、1つの基板上に製造され、別個の基板上に、1つまたは複数の接続を有するインタポーザ・チップ(interposer chip)が製造される。キュービット・チップもしくはインタポーザ・チップの第1の表面または両方のチップの第1の表面のチップ・パッド上にはんだバンプ(solder bump)を堆積させ、キュービット・チップまたはインタポーザ・チップをひっくり返して、そのチップの第1の面が下を向くようにする。キュービット・チップとインタポーザ・チップとを整列させ、次いで、はんだバンプのはんだが、キュービット・チップとインタポーザ・チップとの電気接続を完成させるように、それらのチップをバンプ接合する。
【0020】
本明細書に記載された例示的な実施形態によれば、フリップチップ・ジオメトリは、インタポーザ・チップを、キュービットの構成要素を含むが、完全なキュービットは含まない他のチップと組み合わせることができる。例えば、接合チップ(「Jチップ」とも呼ばれる)は、複数の個々のジョセフソン接合がその上に製造された、例示的な実施形態に基づくチップである。本明細書に記載された方式でインタポーザがJチップとフリップチップ構成で組み合わされたときには、この複数のジョセフソン接合のうちの1つを、キュービットの形成に使用することができる。例示的な実施形態によれば、別個の基板上に、1つまたは複数の接続を有するインタポーザ・チップが製造される。極低温動作条件または本明細書に記載された他の動作条件において所望の電気、熱、延性および展性特性を有する、はんだ付け材料などの適当な材料のバンプを、Jチップもしくはインタポーザ・チップの第1の表面または両方のチップの第1の表面のチップ・パッド上に堆積させる。一般に、はんだバンプへの言及は、これらの要件を満たす材料でできたバンプを含むと解釈すべきである。Jチップまたはインタポーザ・チップをひっくり返して、これらの2つのチップのうちのひっくり返された方のチップの第1の面が、ひっくり返されなかった方のチップの第1の面の方を向くようにする。Jチップとインタポーザ・チップとを整列させ、次いで、バンプの材料が、Jチップとインタポーザ・チップとの間の電気接続を完成させるように、それらのチップをバンプ接合する。
【0021】
読出し回路は一般に、共振器を使用した電磁共振(普通はマイクロ波または高周波共振)によってキュービットに結合される。読出し回路内の共振器は、誘導性要素および容量性要素を備える。一部のキュービットは固定周波数キュービット、すなわちその共振周波数を変更できないキュービットである。他のキュービットは、周波数調整が可能なキュービットである。qプロセッサは、固定周波数キュービット、周波数調整が可能なキュービットまたはその組合せを使用することができる。
【0022】
例示的な実施形態は、固定周波数キュービットが、周波数が固定されるように設計されているのは、ノイズに対するイミュニティ(immunity)を向上させるためであることを認識している。例示的な実施形態は、チップ上の結合された2つのキュービットの共振周波数が同じであるとき、もしくはしきい周波数帯内にあるとき、または、それらの高い方の遷移周波数が共振上にあるとき、もしくは共振に近いときには、混信、量子デコヒーレンス(quantum decoherence)、エネルギー減衰、混合状態の発生、意図しない情報伝達、量子状態漏れなどの負の効果を生じ得ることを認識している。例示的な実施形態はさらに、このようなキュービットがさらに、そのゲートが動作しているキュービットの共振周波数のスペクトルに関して厳しい要件を有する、交差共振ゲートなどのある種の量子ゲートの性能または有用性に負の影響を及ぼし得ることを認識している。例示的な実施形態はさらに、固定周波数キュービットに基づく量子プロセッサの1つの課題が、隣接するキュービット間の周波数密集(frequency crowding)または周波数衝突(frequency collision)であることを認識している。
【0023】
例示的な実施形態は、固定周波数キュービットに基づく量子プロセッサの別の課題が、マイクロ波信号がインタラクションをオンにするとき(オン・インタラクション強度)と、これらの信号が無効にされたとき(オフ・インタラクション強度)の結合されたキュービット間のインタラクションとの間の低いオン/オフ比であることを認識している。例示的な実施形態はさらに、固定周波数キュービットに基づく量子プロセッサの別の課題が、他のサイトで不必要なインタラクションを生み出すことなく関心のゲートを使用可能にすることであることを認識している。例示的な実施形態はさらに、製造の不完全性および固定周波数キュービットの現在使用可能な製造方法で使用されている材料の不完全性が、意図された共振周波数からの逸脱につながっていることを認識している。
【0024】
例示的な実施形態はさらに、いくつかのケースでは、キュービットの共振周波数を調節するためにキュービットのジョセフソン接合を調整することができることを認識している。しかしながら、フリップチップ・アセンブリが形成された後は、それによってジョセフソン接合のインピーダンスを変更または調整することができるレーザ・アニールなどの操作を実行するためにキュービット・チップないしJチップ上のジョセフソン接合に物理的にアクセスすることができなくなることを、例示的な実施形態は認識している。このような場合、フリップチップ・アセンブリは、望ましくないインピーダンスをジョセフソン接合が有するキュービット構成に固定される。したがって、例示的な実施形態は、インタポーザがJチップの上にひっくり返された後であっても、所望の共振周波数を有するキュービットを形成することができるフリップチップ構成が求められていることを認識している。
【0025】
したがって、当技術分野では、上述の課題に対処することが求められている。
【発明の概要】
【0026】
第1の態様から見ると、本発明は、量子コンピューティング・デバイスを製造する方法を提供し、この方法は、第1の基板と、パッドの第1のセットと、第1の基板上に配されたジョセフソン接合のセットとを有する第1のチップを形成すること、および第2の基板と、第2の基板上に、パッドの第1のセットと向い合せに配されるパッドの第2のセットと、パッドの第2のセットのサブセット上に形成される第2の層とを有する第2のチップを形成することを含み、第2の層は、第1のチップと第2のチップとを接合するように構成され、パッドの第2のセットのこのサブセットはジョセフソン接合のセットのサブセットに対応し、ジョセフソン接合のセットのこのサブセットは、キュービットのセットの中のキュービット間の周波数衝突を回避するように選択され、キュービットのセットの中のキュービットは、ジョセフソン接合のこのサブセットの中のジョセフソン接合に由来する。
【0027】
さらなる態様から見ると、本発明は、リソグラフィ構成要素を備える超伝導体製造システムを提供し、この超伝導体製造システムは、量子コンピューティング・デバイスを製造するために少なくとも1つのダイ上で動作させたときに、動作を実行するための超伝導体製造システムであり、この動作は、第1の基板と、パッドの第1のセットと、第1の基板上に配されたジョセフソン接合のセットとを有する第1のチップを形成すること、および第2の基板と、第2の基板上に、パッドの第1のセットと向い合せに配されるパッドの第2のセットと、パッドの第2のセットのサブセット上に形成される第2の層とを有する第2のチップを形成することを含み、第2の層は、第1のチップと第2のチップとを接合するように構成され、パッドの第2のセットのこのサブセットはジョセフソン接合のセットのサブセットに対応し、ジョセフソン接合のセットのこのサブセットは、キュービットのセットの中のキュービット間の周波数衝突を回避するように選択され、キュービットのセットの中のキュービットは、ジョセフソン接合のこのサブセットの中のジョセフソン接合に由来する。
【0028】
さらなる態様から見ると、本発明は、リソグラフィ構成要素を備える超伝導体製造システムを提供し、この超伝導体製造システムは、量子コンピューティング・デバイスを製造するために少なくとも1つのダイ上で動作させたときに、本発明の動作を実行するための超伝導体製造システムである。
【0029】
さらなる態様から見ると、本発明は、量子プロセッサを製造するコンピュータ実施方法(computer-implemented method)を提供し、この方法は、キュービットのセットを形成することを含み、このキュービットのセットの中の少なくとも1つのキュービットは、一対のチップを含むフリップチップ構成内に形成され、この一対のチップを形成することは、第1の基板と、パッドの第1のセットと、第1の基板上に配されたジョセフソン接合のセットとを有する第1のチップを形成すること、および第2の基板と、第2の基板上に、パッドの第1のセットと向い合せに配されるパッドの第2のセットと、パッドの第2のセットのサブセット上に形成される第2の層とを有する第2のチップを形成することを含み、第2の層は、第1のチップと第2のチップとを接合するように構成され、パッドの第2のセットのこのサブセットはジョセフソン接合のセットのサブセットに対応し、ジョセフソン接合のセットのこのサブセットは、キュービットのセットの中のキュービット間の周波数衝突を回避するように選択され、キュービットのセットの中のキュービットは、ジョセフソン接合のこのサブセットの中のジョセフソン接合に由来する。
【0030】
例示的な実施形態は、量子コンピューティング・デバイスを製造するための方法およびシステムを提供する。この実施形態は、第1の基板と、パッドの第1のセットと、第1の基板上に配されたジョセフソン接合のセットとを有する第1のチップを形成する。この実施形態はさらに、第2の基板と、第2の基板上に、パッドの第1のセットと向い合せに配されるパッドの第2のセットと、パッドの第2のセットのサブセット上に形成される第2の層とを有する第2のチップを形成する。第2の層は、第1のチップと第2のチップとを接合するように構成され、パッドの第2のセットのこのサブセットはジョセフソン接合のセットのサブセットに対応し、ジョセフソン接合のセットのこのサブセットは、キュービットのセットの中のキュービット間の周波数衝突を回避するように選択され、キュービットのセットの中のキュービットは、ジョセフソン接合のこのサブセットの中のジョセフソン接合に由来する。このように、この実施形態は、Jチップ上のいくつかのジョセフソン接合が、製造時に特性が変動した状態で製作され、望ましい周波数衝突回避特性を有するキュービットを形成するために、一部のジョセフソン接合だけが選択された、フリップチップ構成の量子コンピューティング・デバイスを提供する。
【0031】
別の実施形態はさらに、ジョセフソン接合のセットの中の使用不可能なジョセフソン接合を形成し、ジョセフソン接合のセットの中の第1のジョセフソン接合は、ジョセフソン接合のセットのサブセットから第1のジョセフソン接合が除外されたことに応答して、使用不可能なジョセフソン接合になるように変更される。このように、この実施形態は、Jチップ上の他のジョセフソン接合が、量子コンピューティング・デバイス内での使用に関して使用不可能にされた、フリップチップ構成の量子コンピューティング・デバイスを提供する。
【0032】
別の実施形態はさらに、パッドの第1のセットの中の切り離されたパッド(disconnected pad)を形成し、パッドの第1のセットは、第1のジョセフソン接合に電気的に結合された第1のパッドを含み、第1のパッドは、第1のジョセフソン接合から電気的に切り離されて切り離されたパッドを形成し、この切り離されたパッドは、第1のジョセフソン接合を使用不可能にする。このように、この実施形態は、Jチップ上のジョセフソン接合を、量子コンピューティング・デバイス内での使用に関して使用不可能にする、ハードウェア変更を提供する。
【0033】
別の実施形態では、第1のジョセフソン接合がもはやジョセフソン接合として動作しないように、第1のジョセフソン接合の電気特性が変更される。このように、この実施形態は、Jチップ上のジョセフソン接合を、量子コンピューティング・デバイス内での使用に関して使用不可能にする、別のハードウェア変更を提供する。
【0034】
別の実施形態では、ジョセフソン接合のセットのサブセットが、ジョセフソン接合のセットのそれぞれのジョセフソン接合に関連したパラメータの測定に基づいて選択される。このように、この実施形態は、それに基づいて量子コンピューティング・デバイス内で使用する接合を選択することができる、Jチップ上のジョセフソン接合の特性を提供する。
【0035】
別の実施形態では、特定のキュービットに関連した共振周波数が、(i)測定されたパラメータ(以後、測定パラメータ)に基づいて計算された予測された共振周波数(以後、予測共振周波数)と、(ii)特定のキュービットの実際の測定された共振周波数(以後、測定共振周波数)との集合から選択された1つの要素である。このように、この実施形態は、それに基づいて量子コンピューティング・デバイス内で使用する接合を選択することができる、Jチップ上のジョセフソン接合を使用して形成されたキュービットの予測された特性(以後、予測特性)を提供する。
【0036】
別の実施形態では、このパラメータが、ジョセフソン接合のセットの中のジョセフソン接合に関連した抵抗を含む。このように、この実施形態は、それに基づいて量子コンピューティング・デバイス内で使用する接合を選択することができる、Jチップ上のジョセフソン接合の特定の特性を提供する。
【0037】
別の実施形態では、この抵抗が、ジョセフソン接合の常伝導状態抵抗である。このように、この実施形態は、それに基づいて量子コンピューティング・デバイス内で使用する接合を選択することができる、Jチップ上のジョセフソン接合の特定の特性を提供する。
【0038】
別の実施形態はさらに、第1のチップ上に形成された突起物(protrusion)の第1のセットを形成する。この実施形態は、第2のチップの第1の層上に形成されたバンプのセットをさらに含み、このバンプのセットは、室温範囲においてしきい延性よりも高い延性を有する材料で形成され、このバンプのセットは、突起物の第1のセットに冷間圧接されるように構成されている。このように、この実施形態は、2つのチップをフリップチップ構成に分離可能に構成するための装置(apparatus)を提供する。
【0039】
別の実施形態では、突起物の第1のセットが、金および白金を含む集合から選択された少なくとも1つの要素を含む。このように、この実施形態は、2つのチップをフリップチップ構成に分離可能に構成するための装置用の材料を提供する。
【0040】
別の実施形態では、バンプのセットが、インジウム、スズ、鉛およびビスマスを含む集合から選択された少なくとも1つの要素を含む。このように、この実施形態は、2つのチップをフリップチップ構成に接合によって構成するための装置を提供する。
【0041】
別の実施形態はさらに、冷間圧接を使用して第2のチップに分離可能に取り付けられた第1のチップを含むフリップチップ・アセンブリを形成し、フリップチップ・アセンブリを冷間圧接のところで分解することにより、フリップチップ・アセンブリの内側のジョセフソン接合のパラメータが調整可能である。このように、この実施形態は、フリップチップ構成の2つのチップの分離可能構成、またはジョセフソン接合の特性を調節することを提供する。
【0042】
一実施形態は、量子コンピューティング・デバイスを製造するための製造システムを含む。
【0043】
次に、以下の図に示されている好ましい実施形態を単なる例として参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】例示的な実施形態を実施することができるデータ処理システムのネットワークのブロック図である。
図2】量子プロセッサ内で使用するキュービットを示す図である。
図3】例示的な一実施形態を使用して解決することができる課題を示す、フリップチップ量子コンピューティング・デバイスの例示的な断面図である。
図4】例示的な一実施形態による、例示的なJチップ構成のブロック図である。
図5】例示的な一実施形態による、フリップチップ・デバイスの製造において到達した例示的な構成のブロック図である。
図6】例示的な一実施形態による、フリップチップ・デバイスの製造において到達した例示的な構成のブロック図である。
図7】例示的な一実施形態による、測定接合抵抗に基づいてキュービットの予測周波数を計算するための例示的なグラフである。
図8】例示的な一実施形態による、フリップチップ・デバイスの製造において到達した例示的な構成のブロック図である。
図9】例示的な一実施形態による、フリップチップ・デバイスの製造において到達した例示的な構成のブロック図である。
図10】例示的な一実施形態による、フリップチップ・デバイスの製造において到達した例示的なフリップチップ構成のブロック図である。
図11】例示的な一実施形態による、例示的なJチップ構成の概略上面図である。
図12】例示的な一実施形態による、例示的な代替構成のブロック図である。
図13】例示的な一実施形態による、例示的なJチップ・アセンブリのブロック図である。
図14】例示的な一実施形態による、例示的なJチップ構成のブロック図である。
図15】例示的な一実施形態による、例示的な分離可能構成のブロック図である。
図16】例示的な一実施形態による、例示的な分離可能伝導性結合構成のブロック図である。
図17】例示的な一実施形態による、分離可能伝導性結合の別の例示的な構成のブロック図である。
図18】例示的な一実施形態による、フリップチップ量子コンピューティング・デバイスを製造するための例示的なプロセスの流れ図である。
図19】例示的な一実施形態による、フリップチップ量子コンピューティング・デバイスを製造するための例示的なプロセスの流れ図である。
図20】例示的な一実施形態による、フリップチップ量子コンピューティング・デバイスを製造するための例示的なプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明を説明するために使用される例示的な実施形態は一般に、フリップチップ量子コンピューティング・デバイス内で使用可能なトランズモン・キュービット・フリップチップ構造体を製造するための製造方法を提供することによって、上述の課題または必要性および他の関連する課題または必要性に対処し、それらの課題または必要性を解決する。例示的な実施形態はさらに、フリップチップ量子コンピューティング・デバイス用のトランズモン・キュービット・フリップチップ構造体を製造するためのシステムを提供する。
【0046】
図、具体的には図1を参照すると、これらの図は、例示的な実施形態を実施することができるデータ処理環境の例示的な図である。図1は単なる例であり、これらの図が、異なる実施形態を実施することができる環境に関する限定を主張または暗示することは意図されていない。特定の実施態様は、以下の説明に基づいて図示の環境に多くの変更を加えることができる。
【0047】
図1は、例示的な実施形態を実施することができるデータ処理システムのネットワークのブロック図を示している。データ処理環境100は、例示的な実施形態を実施することができる、コンピュータのネットワークである。データ処理環境100はネットワーク102を含む。ネットワーク102は、データ処理環境100内で一緒に接続されたさまざまなデバイスおよびコンピュータ間の通信リンクを提供するために使用される媒体である。ネットワーク102は、有線通信リンク、無線通信リンクまたは光ファイバ・ケーブルなどの接続を含むことができる。
【0048】
クライアントまたはサーバは、ネットワーク102に接続されたある種のデータ処理システムの役割の単なる例であり、クライアントまたはサーバが、これらのデータ処理システムの他の構成または役割を排除することは意図されていない。ネットワーク102には、ストレージ・ユニット108とともにサーバ104およびサーバ106が結合している。データ処理環境100内のいずれのコンピュータ上でもソフトウェア・アプリケーションを実行することができる。ネットワーク102にはさらにクライアント110、112および114が結合されている。サーバ104もしくは106またはクライアント110、112もしくは114などのデータ処理システムは、データを含むことができ、その上で実行するソフトウェア・アプリケーションまたはソフトウェア・ツールを有することができる。
【0049】
デバイス132は、モバイル・コンピューティング・デバイスの例である。例えば、デバイス132は、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、固定もしくは携帯可能形式のクライアント110、ウェアラブル・コンピューティング・デバイス、または他の適当なデバイスの形態をとることができる。図1の別のデータ処理システム内で実行されると記載されたソフトウェア・アプリケーションはいずれも、デバイス132内で同様に実行されるように構成することができる。図1の別のデータ処理システム内に記憶されたまたは図1の別のデータ処理システム内で生成されたデータまたは情報はいずれも、デバイス132内に同様に記憶されるように、またはデバイス132内で同様に生成されるように構成することができる。
【0050】
アプリケーション105は、本明細書に記載された実施形態を実施する。製造システム107は、量子コンピューティング・デバイス内で使用されるジョセフソン接合、キュービットおよび他の超伝導構造体などの量子デバイスを製造するための適当なシステムのソフトウェア構成要素である。一般に、量子コンピューティングで使用するためのデバイスを含む超伝導デバイスを製造するための製造システム、およびそれらの製造システムの対応するソフトウェア構成要素は知られている。例示的な実施形態で企図される新規のフリップチップ量子デバイスを本明細書に記載された方式で組み立てることを実行させるため、アプリケーション105は、そのような知られている製造システムに、製造アプリケーション107を介して命令を提供する。
【0051】
図2を参照すると、この図は、量子プロセッサ内で使用するキュービットを示している。キュービット200は、キャパシタ構造体202およびジョセフソン接合204を含む。ジョセフソン接合204は、2つの薄膜超伝導金属層を非超伝導材料によって分離することによって形成される。超伝導層の金属を、例えばその金属の温度を指定された極低温まで下げることによって超伝導にすると、電子対は、非超伝導層を通り抜けて一方の超伝導層からもう一方の超伝導層へ移動することができる。超伝導キュービット200内では、小さなインダクタンスを有するジョセフソン接合204が、キャパシタ構造体202と電気的に並列に結合されて、非線形共振器を形成している。
【0052】
図3を参照すると、この図は、例示的な一実施形態を使用して解決することができる課題を示す、フリップチップ量子コンピューティング・デバイスの例示的な断面図を示している。フリップチップ量子コンピューティング・デバイス300は、基板303を有するJチップ302を含む。基板303は、ジョセフソン接合をその上に形成することができる適当な材料であるように選択されており、結局、その材料は、ジョセフソン接合を使用してキュービットを形成するのに適している。基板303は、基板303の第1の表面に形成されたジョセフソン接合304を含む。この実施形態では、ジョセフソン接合304が関連インピーダンスを有し、この関連インピーダンスは、ジョセフソン接合304が本明細書に記載されているように使用される可能性があるキュービットのキュービット共振周波数を設定する際に寄与する。
【0053】
基板303は、極低温範囲で動作したときに少なくとも100の残留抵抗比(Residual Resistance Ratio)(RRR)、および4ケルビンにおいて1W/(cm・K)よりも大きな熱伝導率を示す材料を含む。RRRは、室温における材料の抵抗率と0Kにおける材料の抵抗率の比である。実際には0Kには到達し得ないため、4Kにおける近似値が使用される。例えば、基板303は、77Kから0.01Kの温度範囲で動作するために、サファイヤ、シリコン、石英、ヒ化ガリウム、溶融シリカ、非晶質シリコンまたはダイヤモンドを使用して形成されたものとすることができる。基板材料のこれらの例は限定を意図したものではない。この開示から、当業者は、基板303を形成するのに適した他の多くの材料を思いつくことができ、それらの材料は、例示的な実施形態の範囲内で企図される。
【0054】
フリップチップ量子コンピューティング・デバイス300はさらに、インタポーザ基板307を含むインタポーザ・チップ306を含む。インタポーザ基板307は、少なくとも100のRRRおよび4ケルビンにおいて1W/(cm・K)よりも大きな熱伝導率を示す材料を含む。例えば、インタポーザ基板307は、77Kから0.01Kの温度範囲で動作するために、サファイヤ、シリコン、石英、ヒ化ガリウム、溶融シリカ、非晶質シリコンまたはダイヤモンドを使用して形成されたものとすることができる。基板材料のこれらの例は限定を意図したものではない。この開示から、当業者は、基板307を形成するのに適した他の多くの材料を思いつくことができ、それらの材料は、例示的な実施形態の範囲内で企図される。特定の実施形態では、基板303とインタポーザ基板307のうちの1つまたは複数の基板が、シリコンまたは別の適当な基板材料で形成されている。
【0055】
インタポーザ・チップ306は、インタポーザ基板307の第1の表面に形成された従来の接地平面(ground plane)308を含む。特定の実施形態では、接地平面308が、超伝導材料、複数の超伝導材料、金属材料またはこれらの組合せで形成されている。
【0056】
Jチップ302は、基板303の第1の表面に形成された第1のランディング・パッド(landing pad)312Aおよび第2のランディング・パッド312Bを含む。第1のランディング・パッド312Aおよび第2のランディング・パッド312Bは、Jチップ302上の接地平面(図示せず)の部分である。特定の実施形態では、ランディング・パッド312A~Bが、超伝導材料、複数の超伝導材料、金属材料またはこれらの組合せで形成されている。
【0057】
インタポーザ・チップ306の接地平面308は、第1のバンプ・ボンド(bumpbond)310Aおよび第2のバンプ・ボンド310BによってJチップ302に接合されている。いくつかの実施形態では、単一のバンプ・ボンドまたは3つ以上のバンプ・ボンドを使用して、インタポーザ306の接地平面308をJチップ302に接合することもできる。そのような実施形態では、所望の数の接地平面接合を可能にするため、適当な数のランディング・パッドを有するようにJチップ302を形成することができる。
【0058】
接合は、インタポーザ・チップ306とJチップ302との間に、第1のバンプ・ボンド310Aおよび第1のランディング・パッド312Aならびに第2のバンプ・ボンド310Bおよび第2のランディング・パッド312Bを介した電気接続を形成する。一実施形態では、77Kから0.01Kの温度範囲で動作するために、接地平面308、第1のランディング・パッド312Aおよび第2のランディング・パッド312Bが、アルミニウム、ニオブ、チタン、窒化チタン、パラジウム、金、銀、銅および白金のうちの少なくとも1つを使用して形成される。一実施形態では、77Kから0.01Kの温度範囲で動作するために、バンプ・ボンド310A、310Bが、インジウム、スズ、およびビスマスの合金を使用して形成される。接地平面、バンプ・ボンド材料およびランディング・パッド材料のこれらの例は限定を意図したものではない。この開示から、当業者は、第1の層を形成するのに適した他の多くの材料を思いつくことができ、それらの材料は、例示的な実施形態の範囲内で企図される。
【0059】
キュービット共振周波数は、製造中のジョセフソン接合インダクタンスの変動のために、制御することが難しい。シャドウ蒸着(shadow evaporation)によって作られたジョセフソン接合、例えばドーラン・ブリッジ法(Dolan bridge technique)によって作られたジョセフソン接合は、元来、そのジョセフソン接合のジョセフソン・インダクタンスの変動を示す。全く同じように設計および製造/処理された単一の接合トランズモン・キュービットに関して、それぞれのキュービットは元来、異なる(例えば100MHz~200MHzの変動を有する)共振周波数を有することがある。交差共振エンタングリング・ゲート(cross-resonance entangling gate)を使用する固定周波数キュービットについては、このような条件が、ジョセフソン接合304を使用するキュービットとJチップ302上の別のジョセフソン接合を使用する結合された第2のキュービットとの間の周波数衝突などの周波数衝突につながることがある。
【0060】
例示的な実施形態は、固定周波数超伝導キュービットについては周波数衝突を防ぐことが困難な課題であること、およびチップ製造後に従来の方法を使用してキュービット周波数を変化させることまたは変更することは難しいことを認識している。キュービットの周波数は、ジョセフソン・インダクタンスとジョセフソン接合を横切る全静電容量との積の平方根に反比例する。したがって、周波数衝突に対処する手法は、接合インダクタンスまたは接合を横切る(例えば接合と並列の)全静電容量を変更することによって、単一接合トランズモン・キュービット周波数を変化させることを含む。
【0061】
共振周波数を調節するために接合インダクタンスを調節するいくつかの手法が提案されているが、それらはそれぞれ限界および欠点を有する。例えば、インダクタンスを変化させることを精密に実行することは困難である。あるいは、静電容量を変化させることによって周波数調節を実行すること、例えば、平面キャパシタのギャップの中の基板(例えばシリコン(Si)基板)をエッチングして実効誘電率を変化させることにより静電容量を変化させることによって周波数調節を実行することもできる。しかしながら、そのようなエッチングは、かなり多くの製造プロセスにジョセフソン接合をさらす。加えて、エッチングおよび関連処理は追加の損失機構を導入し得る。さらに、エッチングおよび関連処理は通常、静電容量を低減させ、キュービット周波数を増大させる目的に使用することができるだけであり、静電容量を増大させ、それに対応してキュービット周波数を低下させる目的には使用できない。
【0062】
一実施形態は、Jチップおよびインタポーザ・チップを含むフリップチップ・ジオメトリを提供する。このフリップチップ・ジオメトリは、量子プロセッサ内にキュービットを形成する目的に使用可能である。Jチップは、基板上に画定された複数のジョセフソン接合を含む。
【0063】
一実施形態は、フリップチップ・ジオメトリの量子コンピューティング・デバイスの新規の設計および製造方法を提供する。この実施形態では、設計/製造システムが、ジョセフソン接合を製造する知られているプロセスを使用して、複数のジョセフソン接合を有するJチップを設計および製造する。その設計/製造システムはさらに、インタポーザ・チップを設計および製造する。
【0064】
製造されたそれぞれのジョセフソン接合は常伝導状態抵抗を有し、常伝導状態抵抗は、例えば、超伝導遷移温度よりも高い温度でジョセフソン接合抵抗を電気的に探測することによって測定することができる、特定のジョセフソン接合を使用するキュービットの共振周波数は、その特定のジョセフソン接合の測定されたジョセフソン接合抵抗(以後、測定ジョセフソン接合抵抗)に基づいて予測することができる。特定の実施形態は、ジョセフソン接合抵抗を周波数に関係づける当てはめられた曲線(fitted curve)(以後、当てはめ曲線)を使用して、このようなキュービットの予測周波数を計算する。さまざまな実施形態が、ジョセフソン接合の抵抗の測定を記述しているが、他の実施形態では、そのジョセフソン接合を使用するキュービットの共振周波数を予測するために、そのジョセフソン接合のインピーダンスまたはインダクタンスの測定が使用されることがある。
【0065】
一実施形態では、設計/製造システムが、Jチップ302上に製造された2つ以上のジョセフソン接合からなるジョセフソン接合のセットに由来する予測共振周波数に基づいて可能な周波数衝突を判定する。詳細には、この実施形態は、このジョセフソン接合のセットの中のジョセフソン接合を使用する可能性がある可能なキュービットの予測共振周波数を決定する。可能なキュービットのセットから、この実施形態は、周波数衝突分離しきい値を満たす、(このジョセフソン接合のセットのジョセフソン接合の対応する第1のサブセットを使用する)可能なキュービットの第1のサブセットを決定する。これに対応して、任意選択で、可能なキュービットのセットから、この実施形態は、周波数衝突分離しきい値を満たさない、(このジョセフソン接合のセットのジョセフソン接合の対応する第2のサブセットを使用する)可能なキュービットの第2のサブセットを決定する。
【0066】
キュービット共振周波数が、インタポーザ・チップとJチップとの間の分離ギャップ距離(separation gap distance)の関数である一実施形態では、設計/製造システムがさらに、所望の周波数調節、周波数調整範囲(frequency tuning range)および感度に基づいて、インタポーザ・チップとJチップとの間の適当な分離ギャップ距離を決定し、これは、第1のサブセットの中の許容されるキュービット数を与えるであろう。この実施形態では、設計/製造システムが、そのフリップチップ配置の所望のキュービット周波数およびキュービット数を達成するように、この分離ギャップ距離を置いてインタポーザ・チップとJチップとを接合する。
【0067】
特定の実施形態では、設計/製造システムがインタポーザ・チップとJチップとを接合する。一実施形態では、この接合が、バンプ・ボンド・プロセスを使用して実行される。他の特定の実施形態では、インタポーザ・チップとJチップとを接合する他の適当な方法を使用することができる。
【0068】
別の実施形態は、フリップチップ量子コンピューティング・デバイスの製造方法を、この方法をソフトウェア・アプリケーションとして実施することができるような態様で提供する。製造方法実施形態を実施するこのアプリケーションを、リソグラフィ・システムなどの既存の超伝導製造システムと連携して機能するように構成することができる。
【0069】
説明を明瞭にするために、また、説明の限定を暗示することなしに、例示的な実施形態は、ジョセフソン接合のセットの中の例示的な数のジョセフソン接合を使用して、または、基板上に配置された、ジョセフソン接合のセットのサブセットを使用するいくつかのキュービットを使用して説明される。一実施形態は、例示的な実施形態の範囲に含まれる、ジョセフソン接合のセットの中の異なる数のジョセフソン接合、キュービットを形成するサブセットの中の異なる数のジョセフソン接合、異なる配置、サブセットの中のジョセフソン接合を使用して形成されたキュービット以外の超伝導デバイス、極低温超伝導体に基づかないタイプの量子コンピューティング・デバイス、またはこれらのある組合せによって実施することができる。
【0070】
さらに、図および例示的な実施形態では、例示的なフリップチップ・ジオメトリの単純化された図が使用されている。フリップチップの実際の製造では、例示的な実施形態の範囲を逸脱しない範囲で、本明細書に示されていないもしくは本明細書で説明されていない追加の構造体、または本明細書に示された構造体および本明細書で説明された構造体とは異なる構造体が存在してもよい。同様に、本明細書に記載された同様の動作または結果を得るために、例示的な実施形態の範囲内で、例示的なフリップチップ内の示された構造体または記載された構造体を異なる態様で製造することができる。
【0071】
例示的な構造体、層および形成物の2次元図中の異なる陰影が付けられた部分は、本明細書に記載された例示的な製造における異なる構造体、層、材料および形成物を表していることが意図されている。これらの異なる構造体、層、材料および形成物は、当業者に知られている適当な材料を使用して製造することができる。
【0072】
本明細書に示された特定の形状、場所、位置または形状の寸法が、一実施形態の特徴であると明示的に記述されていない場合、そのような特性が、例示的な実施形態を限定することは意図されていない。こうした形状、場所、位置、寸法、数またはそれらのある組合せは、図面および説明を明瞭にするためだけに選択されたものであり、それらは、例示的な実施形態に基づく目的を達成するために、実際のリソグラフィで使用される可能性がある実際の形状、場所、位置または寸法から誇張され、最小にされ、または他の形で変更されていることがある。
【0073】
さらに、実際のまたは仮定に基づく特定の超伝導デバイス、例えば現在実行可能なキュービットに関して、例示的な実施形態は単なる例として記載されている。例示的なさまざまな実施形態によって説明されたステップを、さまざまな量子コンピューティング・デバイスを同様の方式で製造する目的に適合させることができ、そのような適合は、例示的な実施形態の範囲に含まれることが企図される。
【0074】
アプリケーション中に実装されているとき、一実施形態は、製造プロセスに、本明細書に記載されたある種のステップを実行させる。製造プロセスのそれらのステップはいくつかの図に示されている。特定の1つの製造プロセスにおいて全てのステップが必要であるというわけではない。いくつかの製造プロセスは、例示的な実施形態の範囲を逸脱することなく、これらのステップを異なる順序で実施すること、ある種のステップを組み合わせること、ある種のステップを除きもしくは取り換えること、またはステップのこれらの操作およびその他の操作のある組合せを実行することができる。
【0075】
例示的な実施形態は、単なる例として、あるタイプの材料、電気特性、熱特性、構造体、形成物、形状、層、向き、方向、ステップ、動作、平面、寸法、数、データ処理システム、環境、構成要素および用途に関して説明される。これらのアーチファクトおよび他の同様のアーチファクトの特定の顕現物(manifestation)が、本発明を限定することは意図されていない。例示的な実施形態の範囲内で、これらのアーチファクトおよび他の同様のアーチファクトの適当な顕現物を選択することができる。
【0076】
例示的な実施形態は、特定の設計、アーキテクチャ、レイアウト、概略図およびツールを単なる例として使用して説明され、本発明を限定するものではない。例示的な実施形態は、匹敵する他の設計、アーキテクチャ、レイアウト、概略図およびツール、または同様の目的の他の設計、アーキテクチャ、レイアウト、概略図およびツールとともに使用することができる。
【0077】
実施形態によって提供されることがある1つの利点は、製造後にJチップ上での追加のプロセスが必要なく、これによって接合の損傷または故障の危険がないことである。
【0078】
本開示中の例は、説明を明瞭にするためだけに使用され、例示的な実施形態を限定しない。本明細書に挙げられた利点は単なる例であり、それらの利点が例示的な実施形態を限定することは意図されていない。特定の例示的な実施形態によって、追加の利点または異なる利点が実現される可能性がある。さらに、特定の例示的な実施形態は、上に挙げられた利点の一部もしく全部を有することがあり、またはそれらの利点を全く持たないこともある。
【0079】
図4を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、例示的なJチップ構成のブロック図を示している。図1のアプリケーション105が、製造システム107と対話して、本明細書に記載されたとおりに構成400を製作または操作する。基板402は、図3の基板303の例である。
【0080】
一実施形態によれば、製造システムが、材料404を堆積させ、それによってパッド408のセットを形成する。例えば、1つまたは複数のパッド408のレイアウトを含むようにマスクを設計することができる。一実施形態に関連して動作する製造システムは、そのマスクを使用して、上で説明したフォトリソグラフィ・プロセスによって、材料404を、基板402上の(または基板402内の)パッド408の形状にパターニングする。ハード・マスク層にエッチングされたパッド408に対応するパターンも、フォトリソグラフィ・プロセスが、材料404をパッド408の形状に堆積させることを可能にすることができる。リソグラフィ・プロセスによってパッド408を形成するこれらの方式およびその他の可能な方式は、例示的な実施形態の範囲内で企図される。
【0081】
パッド408のセットは、極低温範囲において(しきいRRRおよびしきい熱伝導率よりも高い)高い電気伝導率および熱伝導率を有する材料404を含む。一実施形態では、77Kから0.01Kの温度範囲で動作するために、パッド408のセットが、アルミニウム、ニオブ、チタン、窒化チタン、パラジウム、金、銀、銅および白金のうちの少なくとも1つを使用して形成される。層材料のこれらの例は限定を意図したものではない。この開示から、当業者は、パッドのセットを形成するのに適した他の多くの材料を思いつくことができ、それらの材料は、例示的な実施形態の範囲内で企図される。
【0082】
一実施形態では、パッド408のセットを、例えば基板402の一方の面、すなわちフリップチップ構成においてインタポーザに面する方の面に堆積させる。例えば、パッド408のセットを、基板402上の粒子406の薄膜堆積物とすることができる。粒子406は、薄膜堆積技術を使用してリソグラフィで堆積させることができる。堆積方法のこの例は限定を意図したものではない。この開示から、当業者は、パッドのセットを形成するのに適した他の多くの方法およびプロセスを思いつくことができ、それらの方法およびプロセスは、例示的な実施形態の範囲内で企図される。一実施形態では、粒子406が、(少なくとも図5に記載されている)アンダー・バンプ・メタル(Under Bump Metal)(UBM)層を基板402から電気的に分離する目的に使用可能な材料の粒子である。一実施形態では、パッド408が任意であり、例えば、基板または基礎をなす構造体、例えば他のある方式で形成された接地平面が、そのような構造体の上にUBM層を製造するのに必要な電気特性を有するときには、基板または基礎をなす構造体上に直接に、UBM層を所望の高さに形成することができる。
【0083】
図5を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、フリップチップ・デバイスの製造において到達した例示的な構成のブロック図を示している。図1のアプリケーション105が、製造システム107と対話して、本明細書に記載されたとおりに構成500を製作または操作する。基板502は、図4の基板402または図3の基板303の例である。パッド504は、図4のパッド408の例であり、上で説明した理由により任意とすることができる。
【0084】
UBMは、Jチップ上のジョセフソン接合に電気的に結合された伝導性構造体である。UBMの材料は、適当な伝導材料のバンプ、例えば極低温超伝導はんだバンプの信頼性の高い形成および接着を可能にする。したがって、機能上、UBMは、極低温動作条件において、バンプからジョセフソン接合への超伝導経路の部分として機能する。
【0085】
構成500は、図4の構成400から、適当に構成されたマスクを使用してリソグラフィ・プロセスで到達可能な任意選択の構成である。あるいは、図4のパッド408が利用されないとき、構成500は、図3の構成300から到達可能であり、この図に記載されたUBM構造体は、適当に構成されたマスクを使用してリソグラフィ・プロセスで、本明細書において上で説明した方式で、基板または別の構造体上に直接に所望の高さに形成することができる。
【0086】
このマスクの描写およびリソグラフィ技術の説明が、本明細書に記載された構造体を形成する方式を限定すると解釈すべきではない。図示のマスク、および材料を堆積させる図示の方式は、単純化され一般化された単なる例に過ぎない。図示の構造体のリソグラフィは多くの手法で可能である。例えば、記載された構造体のリソグラフィは現在、フォトリソグラフィ(光)または電子ビーム・リソグラフィ(電子ビーム)でレジストをパターニングし、レジストを現像し、次いで、堆積させた材料をレジストの開口から減じ、またはレジストの開口に材料を堆積させることによって実施されている。レジストは最後に除去される。パッド、共振器および接地平面は普通、減法によって作られ、接合およびUBMは普通、現在使用可能な製造設備を使用した加法(およびその後のリフトオフ・プロセス)によって作られる。製造プロセスおよび技術は絶えず変化しており、記載された構造体を形成する他の方法も、結果として形成される構造体が、本明細書に記載された電気、機械、熱および動作特性を有する限り、例示的な実施形態の企図の範囲に含まれる。
【0087】
一実施形態では、パッド504上のマスクを使用して、リソグラフィ・プロセスによって、例えば堆積方法を使用して第1の層510をパターニングして、UBMを形成する。別の実施形態では、構成550に示されているように、リソグラフィ・プロセスによって、第1の層552を、基板502上の所望の高さまでパターニングして、UBMを、本明細書に記載された方式で形成する。非限定的な例として、粒子508を堆積させる薄膜堆積技術を使用してリソグラフィで、第1の層510をパターニングすることができる。別の例として、リソグラフィにおいて知られているスパッタリング技術を使用して第1の層510をパターニングすることもできる。UBMを形成する方法のこれらの例は限定を意図したものではない。この開示から、当業者は、UBMを形成するのに適した他の多くの方法およびプロセスを思いつくことができ、それらの方法およびプロセスは、例示的な実施形態の範囲内で企図される。構成500のUBM510を使用したさらなる説明は、説明を明瞭にするためだけのものであり、いずれかの実施形態におけるなんらかの限定を意味するものではない。UBM510またはその等価物を使用して示された構成は、例示的な実施形態の範囲を逸脱することなくUBM552またはその等価物を使用して実施することもできる。
【0088】
図6を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、フリップチップ・デバイスの製造において到達した例示的な構成のブロック図を示している。図1のアプリケーション105が、製造システム107と対話して、本明細書に記載されたとおりに構成600を製作または操作する。基板602は、図5の構成500または550の基板502の例である。パッド604は、構造体504と第1の層510とを組み合わせる方式、または図5の層552の方式で構成されたUBMである。一実施形態によれば、量子コンピューティング・デバイスまたはその構成要素を製造するように構成された、図1に関して説明した製造システムが、材料606をパターニングして、Jチップ基板602上のジョセフソン接合610にする。非限定的な一例として、適当に設計されたマスクを使用してフォトリソグラフィでジョセフソン接合610をパターニングすることができる。
【0089】
図7を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、測定接合抵抗に基づいてキュービットの予測周波数を計算するための例示的なグラフを示している。図7は、ジョセフソン接合抵抗Rに対する予測キュービット周波数f01のグラフを示している。グラフ700は曲線702および曲線704を含む。一実施形態によれば、ジョセフソン接合の抵抗を(例えば電気探測によって)測定して抵抗Rを得る。この測定抵抗Rに基づいて、そのジョセフソン接合を使用するキュービットの予測共振周波数を、グラフ700の曲線702および704のY軸の対応する値を読むことにより決定することができる。
【0090】
図8を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、フリップチップ・デバイスの製造において到達した例示的な構成のブロック図を示している。図1のアプリケーション105が、製造システム107と対話して、本明細書に記載されたとおりに構成800を製作または操作する。構成800は、インタポーザ基板802、インタポーザ基板802の前面に形成されたパッド804のセット、および共振器信号線806のセットを含む。一実施形態では、パッド804および共振器信号線806が、図3の接地平面308の材料と同様の電気-熱特性を示す材料で形成される。別の実施形態では、パッド804および共振器信号線806が、図3の接地平面308と同じ材料で形成される。一実施形態では、パッド804および共振器信号線806が、図3で接地平面308をパターニングしたのと同じリソグラフィ・ステップでパターニングされる。別の実施形態では、パッド804および共振器信号線806が、図3で接地平面308をパターニングしたリソグラフィ・ステップの後に別個にパターニングされる。
【0091】
一実施形態によれば、製造システムが、例えば堆積プロセス808を用いてフォトリソグラフィでパターニングされた材料810を堆積させ、それによってパッド804のセット上に第1の層812を形成する。一実施形態では、第1の層812が、図5のパッド504上に第1の層510をパターニングするために使用された材料およびフォトリソグラフィ・プロセスと機能的に同様の材料およびフォトリソグラフィ・プロセスを使用してパターニングされる。第1の層812は、対応するパッド804の上にUBM層を形成する。
【0092】
図9を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、フリップチップ・デバイスの製造において到達した例示的な構成のブロック図を示している。図1のアプリケーション105が、製造システム107と対話して、本明細書に記載されたとおりに構成900を製作または操作する。構成900は、図8の構成800のさらなる進展であり、参照符号802、804、806および812は、図8に関して示し説明した構造体と同じ構造体または同様の構造体を示している。
【0093】
一実施形態によれば、製造システムが、適当なリソグラフィ操作910を実行して材料912を堆積させ、それによって第1の層812上に第2の層914を形成する。一実施形態では、第1の層812上のパッド-UBM構造体804-812のセットのサブセットの上にだけ、第2の層914を堆積させる。一実施形態では、パッド-UBM構造体804-812のセットのこのサブセットが、ジョセフソン接合のセットの選択されたサブセットに対応する。本明細書に記載されているとおり、ジョセフソン接合のセットの中の全てのジョセフソン接合が、キュービットを形成するための要件を満たしているわけではなく、ジョセフソン接合のサブセットだけが選択されることがある。ジョセフソン接合の選択されたサブセットに対応するパッド-UBM構造体804-812のセットのサブセットは、第2の層914を受け取ったパッド-UBM構造体804-812のセットのサブセットである。実際には、一実施形態によれば、パッド-UBM構造体804-812の選択されたサブセットだけが材料912の堆積物を受け取って第2の層914を形成するように、リソグラフィ・マスクが製作される。同様の目的に対して、リソグラフィ・マスクの代わりに、限定はされないがハード・マスクの形成など他の方法も可能であり、それらの方法は、例示的な実施形態の範囲内で企図される。
【0094】
一実施形態では、第2の層914がはんだバンプのセットである。一実施形態では、第2の層914の例が、77Kから0.01Kの温度範囲で動作するために、インジウム、スズおよびビスマスまたはこれらのある組合せを使用して形成されたバンプである。第2の層の材料のこれらの例は限定を意図したものではない。この開示から、当業者は、第2の層を形成するのに適した他の多くの材料を思いつくことができ、それらの材料は、例示的な実施形態の範囲内で企図される。
【0095】
一実施形態では、第1の層812上に第2の層914を堆積させる。例えば、第2の層914は、第1の層812上への粒子912の射出成形はんだ付け(injection molded soldering)(IMS)堆積物である。いくつかの実施態様では、層812がなくてもよく、パッド804上に粒子912を堆積させて、バンプ914を形成してもよい。他のいくつかの実施態様では、層804がなくてもよく、UBM層812上にバンプ914を形成してもよい。他のいくつかの実施態様では、インタポーザ・チップ内の点からジョセフソン接合への電気接続性を可能にするという同様の目的の代替材料を使用した代替方式で、パッド-UBM層の組合せ804-812を形成してもよい。そのような場合には、例示的な実施形態の範囲を逸脱することなく、代替構造体のところに、または代替構造体の上に、バンプ914を形成することができる。
【0096】
図10を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、フリップチップ・デバイスの製造において到達した例示的なフリップチップ構成のブロック図を示している。図1のアプリケーション105が、製造システム107と対話して、本明細書に記載されたとおりに構成1000を製作または操作する。
【0097】
一実施形態によれば、インタポーザ・チップ802およびJチップ602の対応するそれぞれの構造体が互いに向かい合ってフリップチップ構成を形成するように、製造システムが、インタポーザ・チップ802およびその対応する構造体を、Jチップ602およびその対応する構造体に対して配置し、互いの方を向くように配置する。例えば、インタポーザ・チップは、図9に記載されたバンプ914が、図6のJチップ602上の構造体604と物理的および電気的に接触するように、Jチップの上にひっくり返されて示されている。
【0098】
図11を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、例示的なJチップ構成の概略上面図を示している。図1のアプリケーション105が、製造システム107と対話して、本明細書に記載されたとおりに構成1100を製作または操作し、構成1101を形成する。構成1100では、図6のJチップ基板602が、非限定的で例示的な3つのジョセフソン接合610を有するように構成されていると仮定する。それぞれのジョセフソン接合610は、対応する一対のパッド504に電気的に結合されており、それらのパッド504の対は、図5に記載された方式で製造されたUBM層510を有する。
【0099】
3つのジョセフソン接合およびそれらのジョセフソン接合の対応する接続構造体の対だけが示されているのは、明瞭にするためであり、このことは、例示的な実施形態が、企図されたJチップ上の3つだけまたはそれよりも少ないジョセフソン接合の構成に限定されることを意味しない。例示的な実施形態によって限定されず、常に本技術分野の現状技術だけによって限定される任意の数のジョセフソン接合およびそれらのジョセフソン接合の対応する接続構造体をJチップが含む実施形態を実装および実施することができる。
【0100】
一実施形態では、アプリケーション105が、周波数衝突を回避するために、ジョセフソン接合610のセットのサブセットを除去することを決定する。一実施形態によれば、製造システムが、ジョセフソン接合610のセットのサブセットを無効にし、それによって構成1101を形成する。構成1101では、無効にされたジョセフソン接合がジョセフソン接合1112として示されている。ジョセフソン接合はさまざまな手法で無効にすることができ、それらの手法は、限定はされないが、ジョセフソン接合を物理的に破壊もしくは変更する手法、ジョセフソン接合の電気特性を電気的に破壊もしくは変更する手法、ジョセフソン接合の対応する一方もしくは両方のパッドからジョセフソン接合を切り離す手法、ジョセフソン接合の一方または両方のパッドを物理的に破壊もしくは変更する手法、ジョセフソン接合の一方もしくは両方のパッドの電気特性を電気的に破壊もしくは変更する手法、ジョセフソン接合の一方もしくは両方のパッド上のUBM層を物理的に破壊もしくは変更する手法、ジョセフソン接合の一方もしくは両方のパッド上のUBM層の電気特性を電気的に破壊もしくは変更する手法、絶縁層を製造することによって、ジョセフソン接合の一方もしくは両方のパッドまたは一方もしくは両方のUBMを覆う手法、またはジョセフソン接合を使用不可能にするこれらの可能な手法および他の多くの可能な手法のある組合せを含む。
【0101】
例えば、一実施形態では、製造システムが、Jチップ基板602の表面から、ジョセフソン接合1112のセットのサブセットをアブレーションによって除去する。例えば、製造システムは、レーザ・アブレーションを使用して、ジョセフソン接合1112のセットのサブセットを除去することができる。別の例として、製造システムは、集束イオン・ビーム(FIB)を使用して、ジョセフソン接合1112のセットのサブセットを除去することができる。別の実施形態では、ジョセフソン接合1112とその対応するパッド504の対とを結合している電気コネクタ1108および1110を切り離すことによって、製造システムが、ジョセフソン接合1112のセットのサブセットを破壊する。コネクタ1108および1110の切り離しは、アブレーション、FIBまたは別の適当な方法によって実行することもできる。
【0102】
図12を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、例示的な代替構成のブロック図を示している。図1のアプリケーション105が、製造システム107と対話して、本明細書に記載されたとおりに構成1200を製作または操作する。構成1200は、図8の構成800の例である。構成1200は、インタポーザ基板802、パッド804のセット、共振器806のセット、およびパッド804のセット上に形成された第1の層812から出発する。
【0103】
単純にジョセフソン接合に接続しないことによって、そのジョセフソン接合を、量子コンピューティング装置内での使用に関して無効にし、または使用不可能にすることができる。例えば、単純に、ジョセフソン接合のUBM層に対応するインタポーザ・チップ上の位置にバンプを形成しないことによって、望ましくないジョセフソン接合を、そのジョセフソン接合の接続されたパッドおよびUBM層とともに、接続されていない状態のままにしておくことができる。バンプがない場合、その位置のインタポーザ上のパッドはジョセフソン接合のUBM層と電気的に接触せず、それによってそのジョセフソン接合は使用不可能になる。
【0104】
一実施形態によれば、製造システム内でプロセス1210を使用して堆積させる材料1212をある種のインタポーザ・パッドが受け取ることを妨げるマスクが構築される。このようにすると、このような選択的堆積の例示的な結果から分かるように、一部のパッド-UBMの組合せ804-812上にだけ第2の層914が形成され、他の部分には形成されない。例えば、1202と記されたエリアの単一のパッド-UBMの組合せ804-812は第2の層、すなわちバンプを欠いている。別の例として、1204と記されたエリアの一対のパッド-UBMの組合せ804-812はバンプを欠いている。
【0105】
図13を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、例示的なJチップ・アセンブリのブロック図を示している。アセンブリ1300は、非限定的な例として、Jチップの上にひっくり返されたインタポーザ・チップを示しており、Jチップの一部のジョセフソン接合は、インタポーザ・チップ上の回路および構成要素に接続されており、他のジョセフソン接合は、少なくとも切り離されたままにされており、好ましくは使用不可能にされている。
【0106】
図14を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、例示的な分離可能Jチップ構成のブロック図を示している。図1のアプリケーション105が、製造システム107と対話して、本明細書に記載されたとおりに構成1400を製作または操作する。構成1400は、図5の構成500の例である。
【0107】
構成1400は、図5の基板502と同様のJチップ基板1402を含む。パッド1404は、図5のパッド504と同様のパッドである。第1の層1406は、図5の第1の層510と同様の第1の層である。
【0108】
一実施形態によれば、図1の製造システム107などの製造システムが、基板1402のパッド1404のセットの第1の層1406上に突起物1412のセットを形成する。例えば、一実施形態によれば、製造システム内で、マスク1408が、材料1410を堆積させ、それによって突起物1412のセットを形成することができる。一実施形態では、材料1410を堆積させ、突起物1412を形成するために、製造システム107がワイヤ・ボンダを備える。例えば、ワイヤ・ボンダは、最初にボール・ボンドの半分を形成し、その後に上方へ引っ張って、突起物の残りの部分を堆積させることができる。一実施形態では、突起物1412が柱体である。例えば、突起物1412は、円錐、三角形、円柱または矩形の断面を有することができる。
【0109】
一実施形態では、突起物1412が、室温範囲において(しきい値よりも大きい)所定の延性を有する材料1410を含む。一実施形態では、突起物1412が、室温範囲において少なくとも20パーセントの破断伸び(elongation at break)を示す材料を使用して形成される。例えば、突起物1412は、金、白金、または金がコーティングされた超伝導材料を使用して形成することができる。突起物材料、キュービット基板材料、突起物形状および堆積方法のこれらの例は限定を意図したものではない。この開示から、当業者は、基板、Jチップおよび突起物を形成するのに適した他の多くの材料および方法を思いつくことができ、それらの材料および方法は、例示的な実施形態の範囲内で企図される。
【0110】
図15を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、例示的な分離可能構成のブロック図を示している。図1のアプリケーション105が、製造システム107と対話して、本明細書に記載されたとおりに構成1500を製作または操作する。
【0111】
構成1500は、図9の方式で基板802上に構築されたインタポーザ・チップ構成を含む。構成1500はさらに、図6の方式で基板602上に構築され、図14の方式でさらに変形されたJチップ構成を含む。
【0112】
一実施形態によれば、Jチップ上の突起物1412がインタポーザ・チップ上の対応するバンプ914に分離可能に、しかし伝導的に結合するように、製造システムが、Jチップ構成をインタポーザ・チップ構成に結合する。対応するジョセフソン接合が本明細書に記載された方式で無効にされたときでも、突起物1412が形成され、インタポーザ上のバンプと界面を形成してもよいことに留意されたい。
【0113】
一実施形態では、突起物1412とバンプ914との間のこの分離可能な伝導性結合が、突起物1412とはんだバンプ914とを冷間圧接することを製造システム107に実行させることによって達成される。例えば、突起物1412が、対応するはんだバンプ914を刺し貫く。冷間圧接は、室温範囲にある圧接する2つの部品の界面で結合が起こる圧接プロセスである。冷間圧接では界面が固体の状態にある。このようにすると、突起物のセットがバンプの対応するセットに、分離可能に、しかし電気伝導的に結合する。
【0114】
図16を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、例示的な分離可能伝導性結合構成のブロック図を示している。構成1600は、図15の突起物のセットとはんだバンプのセットとの間の冷間圧接された接続の例である。構成1600は、図8と同様のインタポーザ・チップ上のパッド804およびUBM層812、図9と同様のバンプ914、図5と同様のJチップ上のパッド504およびUBM層510、ならびに図14と同様の突起物1412を含む。
【0115】
一実施形態では、バンプ914が、室温範囲において(しきい値よりも大きい)所定の延性を有する材料を含む。一実施形態では、バンプ914が、室温範囲において少なくとも20パーセントの破断伸びを示す材料を使用して形成される。例えば、バンプ914は、インジウム、スズ、鉛、ビスマスおよびこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを使用して形成される。一実施形態では、バンプ914が、極低温範囲において超伝導性を示す材料を含む。一実施形態では、バンプ914が、インタポーザ・チップ上およびJチップ上のUBM層と接触する。言い換えると、バンプ914は、UBM層812とUBM層510との間に完全に延び、示されているように、それらの層の間に完全な電気伝導性経路を提供する。
【0116】
図17を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、分離可能伝導性結合の別の例示的な構成のブロック図を示している。構成1700は、図15の突起物のセットとはんだバンプのセットとの間の冷間圧接された接続の例である。構成1700は、図8と同様のインタポーザ・チップ上のパッド804およびUBM層812、図9と同様のバンプ914、図5と同様のJチップ上のパッド504およびUBM層510、ならびに図14と同様の突起物1412を含む。
【0117】
一実施形態では、バンプ914が、室温範囲において(しきい値よりも大きい)所定の延性を有する材料を含む。一実施形態では、バンプ914が、図16に関して説明した材料を使用して形成される。一実施形態では、バンプ914が、一方のチップ上のUBM層とだけ接触し、もう一方のチップ上のUBM層とは接触しない。例えば、示されているように、バンプ914は、インタポーザ・チップ上のUBM層812と接触するが、Jチップ上のUBM層510とは接触しない。言い換えると、バンプ914は、UBM層812とUBM層510との間に部分的に延び、示されているように、突起物1412によって刺し貫かれているときにだけそれらの層の間に完全な電気伝導性経路を提供する。一実施形態では、この電気接続の静電容量が、第1のパッド804と第2のパッド504との間の距離によって決定される。例えば、この静電容量は、第1のパッド804と第2のパッド504の間の距離ないしギャップ高さに反比例する。一実施形態では、突起物1412が、この電気接続の所望の静電容量に対応する高さを有する。一実施形態では、このギャップ高さが、突起物1412の高さおよび冷間圧接中の圧縮力の関数である。例えば、ギャップ高さは、冷間圧接中の圧縮力の量と反比例の関係にあることがあり得る。別の例として、ギャップ高さは、突起物1412の高さと正比例の関係にあることがあり得る。
【0118】
基板材料、バンプ材料、堆積方法およびパッド材料のこれらの例は限定を意図したものではない。この開示から、当業者は、デバイスの構成要素を形成するのに適した他の多くの材料および堆積方法を思いつくことができ、それらの材料および方法は、例示的な実施形態の範囲内で企図される。一実施形態では、対応する突起物の高さが、表面に形成された突起物のセット間で異なる。例えば、基板の反りを収容するために突起物の高さは異なり得る。
【0119】
図18を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、フリップチップ量子コンピューティング・デバイスを製造するための例示的なプロセスの流れ図を示している。1つまたは複数の実施形態では、プロセス1800が、図1の製造システム107などの製造システムに本明細書に記載された動作を実行させるアプリケーション105において実施される。
【0120】
ブロック1802で、このアプリケーションは、製造システムに、Jチップ上にパッドの第1のセットを形成させる。ブロック1804で、このアプリケーションは、製造システムに、パッドの第1のセット上に第1の層を堆積させることを実行させる。ブロック1806で、このアプリケーションは、製造システムに、Jチップ上にジョセフソン接合のセットを形成することを実行させる。ジョセフソン接合のセットの中のそれぞれのジョセフソン接合は、接合抵抗(わずかに誘導性のインピーダンス)を有する。
【0121】
ブロック1808で、このアプリケーションは、製造システムに、ブロック1806で形成されたジョセフソン接合のセットの中のそれぞれのジョセフソン接合のジョセフソン接合抵抗を、例えばそれぞれのジョセフソン接合のジョセフソン接合抵抗を電気的に探測することによって測定することを実行させる。このアプリケーションは、製造システムに、測定ジョセフソン接合抵抗を有する特定のジョセフソン接合に基づくものであり得るそれぞれのキュービットの予測周波数を計算することを実行させる。特定の実施形態では、設計/製造システムが、図7のグラフ700などの、ジョセフソン接合抵抗を周波数に関係づける当てはめ曲線を使用して、それぞれのキュービットの予測周波数を計算する。
【0122】
ブロック1810で、このアプリケーションは、製造システムに、この計算に応答して、第1のサブセットの中のジョセフソン接合に由来するものであり得るキュービット間の起こり得る周波数衝突を回避または軽減するように、ジョセフソン接合のセットの第1のサブセットを選択することを実行させる。一実施形態では、ブロック1812で、製造システムが、この選択に応答して、インタポーザ・チップ上のパッドの第2のセットの第2のサブセット上に第2の層を堆積させる。一実施形態では、パッドの第2のセットの第2のサブセットが、ジョセフソン接合のセットの選択された第1のサブセットに対応する。実際には、このアプリケーションが、第2のサブセットの中のパッドだけが第2の層の堆積材料を受け取ることを可能にするマスクを構築させる。次いで、このアプリケーションは、製造システムのリソグラフィ構成要素に、パッドの第2のサブセット上に第2の層の材料を堆積させる際にこのマスクを使用することを実行させる。
【0123】
一実施形態では、このアプリケーションが、製造システムに、インタポーザ・チップとJチップとの間の分離ギャップ距離を、ジョセフソン接合のセットの選択されたサブセット、周波数調整範囲および感度に基づいて決定することを実行させる。ブロック1814で、このアプリケーションは、製造システムに、そのフリップチップ配置の所望のキュービット周波数を達成するように、決定された分離ギャップ距離を置いてインタポーザ・チップとJチップとを接合することを実行させる。特定の実施形態では、製造システムが、バンプ・ボンド・プロセスを使用してインタポーザ・チップとJチップとを接合する。他の特定の実施形態では、インタポーザ・チップとJチップとを永続的にまたは一時的に(分離可能に)接合する他の適当な方法を使用することができる。次いでプロセス1800は終了となる。
【0124】
図19を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、フリップチップ量子コンピューティング・デバイスを製造するための例示的なプロセスの流れ図を示している。1つまたは複数の実施形態では、プロセス1900が、図1の製造システム107などの製造システムに本明細書に記載された動作を実行させるアプリケーション105において実施される。
【0125】
ブロック1902で、このアプリケーションは、製造システムに、Jチップ上にパッドの第1のセットを形成することを実行させる。ブロック1904で、このアプリケーションは、製造システムに、パッドの第1のセット上に第1の層を堆積させることを実行させる。ブロック1906で、このアプリケーションは、製造システムに、Jチップ上にジョセフソン接合のセットを形成することを実行させる。ジョセフソン接合のセットの中のそれぞれのジョセフソン接合は接合抵抗を有する。
【0126】
ブロック1908で、このアプリケーションは、製造システムに、それぞれのジョセフソン接合のジョセフソン接合抵抗を、例えばジョセフソン接合のジョセフソン接合抵抗を電気的に探測することによって測定することを実行させる。このアプリケーションは、製造システムに、この測定ジョセフソン接合抵抗に基づいて、それぞれのキュービットの予測周波数を計算することを実行させる。特定の実施形態では、設計/製造システムが、図7のグラフ700などの、特定のジョセフソン接合のジョセフソン接合抵抗を周波数に関係づける当てはめ曲線を使用して、そのジョセフソン接合を使用して形成されるであろうキュービットの予測周波数を計算する。
【0127】
ブロック1910で、このアプリケーションは、製造システムに、この計算に応答して、結果として形成されるキュービットにおける起こり得る周波数衝突を回避するように、ジョセフソン接合のセットの第1のサブセットを選択することを実行させる。ブロック1912で、この選択に応答して、このアプリケーションは、製造システムに、ジョセフソン接合のセットの第2のサブセットを除去し、無効にし、または他の方法で到達不可能もしくは使用不可能にすることを実行させる。一実施形態では、第1のサブセットと第2のサブセットの交わりが空集合である。ブロック1914で、このアプリケーションは、製造システムに、インタポーザ・チップ上のパッドの第2のセット上に第2の層を堆積させることを実行させる。実際には、このアプリケーションが、第2のセットの中のパッドが第2の層の堆積材料を受け取ることを可能にするマスクを構築させる。次いで、このアプリケーションは、製造システムのリソグラフィ構成要素に、パッドの第2のセット上に第2の層の材料を堆積させる際にこのマスクを使用することを実行させる。
【0128】
一実施形態では、このアプリケーションが、製造システムに、インタポーザ・チップとJチップとの間の分離ギャップ距離を、ジョセフソン接合のセットの選択されたサブセット、周波数調整範囲および感度に基づいて決定することを実行させる。ブロック1916で、製造システムは、そのフリップチップ配置の所望のキュービット周波数を達成するように、決定された分離ギャップ距離を置いてインタポーザ・チップとJチップとを接合する。特定の実施形態では、このアプリケーションが、製造システムに、バンプ・ボンド・プロセスを使用してインタポーザ・チップとJチップとを接合することを実行させる。他の特定の実施形態では、インタポーザ・チップとJチップとを接合する他の適当な方法を使用することができる。次いでプロセス1900は終了となる。
【0129】
図20を参照すると、この図は、例示的な一実施形態による、フリップチップ量子コンピューティング・デバイスを製造するための例示的なプロセスの流れ図を示している。1つまたは複数の実施形態では、プロセス2000が、図1の製造システム107などの製造システムに本明細書に記載された動作を実行させるアプリケーション105において実施される。
【0130】
ブロック2002で、このアプリケーションは、製造システムに、Jチップ上にパッドの第1のセットを形成することを実行させる。ブロック2004で、このアプリケーションは、製造システムに、パッドの第1のセット上に第1の層を堆積させることを実行させる。ブロック2006で、このアプリケーションは、製造システムに、Jチップの第1の層上にスタッド・バンプ(stud bump)(突起物)の第1のセットを堆積させることを実行させる。ブロック2008で、このアプリケーションは、製造システムに、Jチップ上にジョセフソン接合のセットを形成することを実行させる。ジョセフソン接合のセットの中のそれぞれのジョセフソン接合は接合抵抗を有する。
【0131】
ブロック2010で、このアプリケーションは、製造システムに、それぞれのジョセフソン接合のジョセフソン接合抵抗を、例えばジョセフソン接合抵抗を電気的に探測することによって測定することを実行させる。このアプリケーションは、製造システムに、この測定ジョセフソン接合抵抗に基づいて、セットの中のジョセフソン接合に由来するであろうそれぞれのキュービットの予測周波数を計算することを実行させる。特定の実施形態では、設計/製造システムが、図7のグラフ700などの、ジョセフソン接合抵抗を周波数に関係づける当てはめ曲線を使用して、それぞれのキュービットの予測周波数を計算する。
【0132】
ブロック2012で、このアプリケーションは、製造システムに、この計算に応答して、第1のサブセットの中のジョセフソン接合に由来するキュービットの起こり得る周波数衝突を回避または軽減するように、ジョセフソン接合のセットの第1のサブセットを選択することを実行させる。ブロック2014で、この選択に応答して、このアプリケーションは、製造システムに、ジョセフソン接合のセットの第2のサブセットを除去し、無効にし、または他の方法で到達不可能もしくは使用不可能にすることを実行させる。一実施形態では、第1のサブセットと第2のサブセットの交わりが空集合である。ブロック2016で、このアプリケーションは、製造システムに、この選択に応答して、インタポーザ・チップ上のパッドの第2のセット上に第2の層を堆積させることを実行させる。一実施形態では、パッドの第2のセットの第2のサブセットが、キュービットのセットの選択された第1のサブセットに対応する。一実施形態では、製造システムが、インタポーザ・チップ上のパッドの第2のセット上に第2の層を堆積させる。
【0133】
ブロック2018で、このアプリケーションは、製造システムに、インタポーザ・チップとJチップとの間に一時的な接合を形成することを実行させる。ブロック2020で、このアプリケーションは、極低温動作中に、ジョセフソン接合の第1のサブセットに由来するキュービットのセットの実際の周波数を測定する。ブロック2022で、このアプリケーションは、この実際の測定周波数が、周波数衝突を回避するためのしきい値を満たしているかどうかを判定する。
【0134】
ブロック2026(ブロック2022の「いいえ」の経路)で、製造システムは、キュービットのセットの中の1つまたは複数のキュービットの周波数を変更する。一実施形態では、製造システムが、フリップチップ・アセンブリを温め、Jチップからインタポーザ・チップを分離し、レーザ・アニール・プロセスを実行して、ジョセフソン接合の第1のサブセットの中の1つまたは複数のジョセフソン接合の抵抗を変更する。次いで、このプロセスは、ブロック2018の方式でインタポーザ・チップを一時的にJチップに接合し、ブロック2020に戻る。
【0135】
ブロック2024(ブロック2022の「はい」の経路)で、このアプリケーションは、製造システムに、そのフリップチップ配置の所望のキュービット周波数を達成するように、決定された分離ギャップ距離を置いてインタポーザ・チップとJチップとを耐久的に接合することを実行させる。特定の実施形態では、このアプリケーションが、製造システムに、バンプ・ボンド・プロセスを使用してインタポーザ・チップとJチップとを耐久的にまたは永続的に接合することを実行させる。他の特定の実施形態では、インタポーザ・チップとJチップとを接合する他の適当な方法を使用することができる。一実施形態では、このアプリケーションが、製造システムに、インタポーザ・チップとJチップとの間の分離ギャップ距離を、ジョセフソン接合のセットの選択されたサブセット、周波数調整範囲および感度に基づいて決定することを実行させる。次いでプロセス2000は終了となる。
【0136】
本明細書では、本発明のさまざまな実施形態が関連図を参照して説明される。本発明の範囲を逸脱することなく代替実施形態を考案することができる。以下の説明および図面には、要素間のさまざまな接続および位置関係(例えば頂部、底部、上、下、隣接など)が示されているが、向きが変更されても記載された機能が維持されるとき、本明細書に記載された位置関係の多くは向きとは無関係であることを当業者は理解するであろう。これらの接続もしくは位置関係またはその両方は、特に指定されていない限り、直接的なものであることまたは間接的なものであることができ、本発明は、この点に関して限定を意図したものではない。したがって、実体(entity)の結合は、直接結合または間接結合であることができ、実体間の位置関係は、直接的位置関係または間接的位置関係であることができる。間接的位置関係の一例として、本明細書の説明の中での層「B」の上に層「A」を形成することに関する言及は、層「A」および層「B」の関連する特性および機能が中間層によって実質的に変更されない限りにおいて、層「A」と層「B」の間に1つまたは複数の中間層(例えば層「C」)がある状況を含む。
【0137】
特許請求の範囲および本明細書の解釈のために、以下の定義および略語が使用される。本明細書で使用されるとき、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contains)」もしくは「含有している(containing)」、またはこれらの用語の他の変異語は、非排他的包含(non-exclusive inclusion)をカバーすることが意図されている。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されるわけではなく、明示的にはリストに入れられていない他の要素、あるいはこのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素を含み得る。
【0138】
さらに、本明細書では、用語「例示的な」が、「例、事例または実例として役立つ」ことを意味するものとして使用されている。本明細書に「例示的」として記載された実施形態または設計は必ずしも、他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であるとは解釈されない。用語「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」は、1以上の任意の整数、すなわち1、2、3、4などを含むと理解される。用語「複数の」は、2以上の任意の整数、すなわち2、3、4、5などを含むと理解される。用語「接続」は、間接「接続」および直接「接続」を含み得る。
【0139】
本明細書において「1つの実施形態」、「一実施形態」、「例示的な実施形態」などに言及されているとき、それは、記載されたその実施形態は特定の特徴、構造もしくは特性を含み得るが、全ての実施形態がその特定の特徴、構造もしくは特性を含むことがあり、またはそうではないこともあることを示す。さらに、このような句が、同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、一実施形態に関して特定の特徴、構造または特性が記載されているとき、明示的に記載されているか否かを問わず、他の実施形態に関してそのような特徴、構造または特性に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内にあると考えられる。
【0140】
用語「約」、「実質的に」、「およそ」およびこれらの用語の変異語は、特定の数量の測定に関連した、本出願の提出時に利用可能な機器に基づく誤差の程度を含むことが意図されている。例えば、「約」は、所与の値の±8%、5%または2%の範囲を含み得る。
【0141】
本発明のさまざまな実施形態の以上の説明は例示のために示したものであり、以上の説明が網羅的であること、または、以上の説明が、開示された実施形態だけに限定されることは意図されていない。当業者には、記載された実施形態の範囲を逸脱しない多くの変更および変形が明らかとなろう。本明細書で使用されている用語は、実施形態の原理、実用的用途、もしくは市販されている技術にはない技術的改善点を最もよく説明するように、または本明細書に記載された実施形態を当業者が理解できるように選択した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図19
図20