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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】脱炭素LNG生成の方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20240426BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20240426BHJP
   F02C 3/22 20060101ALI20240426BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20240426BHJP
   C01B 3/36 20060101ALI20240426BHJP
   C01B 3/12 20060101ALI20240426BHJP
   F25J 3/02 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
F25J1/00 B
F25J3/06
F02C3/22
F02C6/00 D
C01B3/36
C01B3/12
F25J3/02 101
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022016511
(22)【出願日】2022-02-04
(65)【公開番号】P2022120838
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】17/168,770
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】アンネマリー オット ウェイスト
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ディー.ベアード
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ロス グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ユージーン パラマラ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジュリアン ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】デジャン ベスコビク
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-504247(JP,A)
【文献】特開2004-051049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0017639(US,A1)
【文献】米国特許第06248794(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0020434(US,A1)
【文献】Michael Coulson et al.,CARBON CAPTURE OPTIONS FOR LNG LIQUEFACTION,16TH INTERNATIONAL CONFERENCE & EXHIBITION ON LNG,米国,2010年04月18日,p.1-17
【文献】Technical Methods to Potentially Reduce Greenhouse Gas (GHG) Emissions in LNG Production,IP.COM,米国,IP.COM INC.,2020年11月16日,p.1-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00-5/00
F02C 1/00-9/58
C01B 3/00-6/34
F23R 3/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
(a)少なくとも1つの圧縮機を含む天然ガス液化システム内で天然ガス供給流を少なくとも部分的に液化して、LNG流を形成することと、
(b)前記LNG流をフラッシュ蒸気流と、LNG生成物流とに分離することと、
(c)前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を水素生成システムに流すことと、
(d)前記水素生成システム内で前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を反応させて、水素含有流と、第1のCO2濃縮流と、を形成することと、
(e)前記水素含有流の少なくとも一部を使用して、動力生成システム内で動力を生成することと、
(f)工程(e)で生成された前記動力の少なくとも一部で、前記少なくとも1つの圧縮機に動力を提供することと、を含み、
(g)工程(a)を実行する前に、前記天然ガス供給流から第2のCO2濃縮流を分離することと、
(h)組み合わされたCO2流を形成するために、前記第1のCO2濃縮流と、前記第2のCO2濃縮流とを組み合わせることと、をさらに含む、方法。
【請求項2】
方法であって、
(a)少なくとも1つの圧縮機を含む天然ガス液化システム内で天然ガス供給流を少なくとも部分的に液化して、LNG流を形成することと、
(b)前記LNG流をフラッシュ蒸気流と、LNG生成物流とに分離することと、
(c)前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を水素生成システムに流すことと、
(d)前記水素生成システム内で前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を反応させて、水素含有流と、第1のCO2濃縮流と、を形成することと、
(e)前記水素含有流の少なくとも一部を使用して、動力生成システム内で動力を生成することと、
(f)工程(e)で生成された前記動力の少なくとも一部で、前記少なくとも1つの圧縮機に動力を提供することと、を含み、
工程(d)が、前記水素生成システム内で前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部と、酸素含有流とを反応させて、前記水素含有流と、前記第1のCO2濃縮流と、第1の蒸気流と、廃窒素流とを形成すること、をさらに含み、
(j)周囲空気流を、空気分離ユニットを通過させて、前記酸素含有流と、窒素濃縮流とを生成すること、をさらに含み、
工程(e)が、前記水素含有流と、前記窒素濃縮流の少なくとも一部とを使用して、動力生成システム内で動力を生成すること、をさらに含む、方法。
【請求項3】
方法であって、
(a)少なくとも1つの圧縮機を含む天然ガス液化システム内で天然ガス供給流を少なくとも部分的に液化して、LNG流を形成することと、
(b)前記LNG流をフラッシュ蒸気流と、LNG生成物流とに分離することと、
(c)前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を水素生成システムに流すことと、
(d)前記水素生成システム内で前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を反応させて、水素含有流と、第1のCO2濃縮流と、を形成することと、
(e)前記水素含有流の少なくとも一部を使用して、動力生成システム内で動力を生成することと、
(f)工程(e)で生成された前記動力の少なくとも一部で、前記少なくとも1つの圧縮機に動力を提供することと、を含み、
工程(e)が、前記水素含有流と、少なくとも1つのメタン含有流とを使用して、動力生成システム内で動力を生成すること、をさらに含む、方法。
【請求項4】
方法であって、
(a)少なくとも1つの圧縮機を含む天然ガス液化システム内で天然ガス供給流を少なくとも部分的に液化して、LNG流を形成することと、
(b)前記LNG流をフラッシュ蒸気流と、LNG生成物流とに分離することと、
(c)前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を水素生成システムに流すことと、
(d)前記水素生成システム内で前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を反応させて、水素含有流と、第1のCO2濃縮流と、を形成することと、
(e)前記水素含有流の少なくとも一部を使用して、動力生成システム内で動力を生成することと、
(f)工程(e)で生成された前記動力の少なくとも一部で、前記少なくとも1つの圧縮機に動力を提供することと、を含み、
(m)前記天然ガス液化システムからの冷凍を使用して、前記水素生成システムを冷却すること、をさらに含む、方法。
【請求項5】
方法であって、
(a)少なくとも1つの圧縮機を含む天然ガス液化システム内で天然ガス供給流を少なくとも部分的に液化して、LNG流を形成することと、
(b)前記LNG流をフラッシュ蒸気流と、LNG生成物流とに分離することと、
(c)前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を水素生成システムに流すことと、
(d)前記水素生成システム内で前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を反応させて、水素含有流と、第1のCO2濃縮流と、を形成することと、
(e)前記水素含有流の少なくとも一部を使用して、動力生成システム内で動力を生成することと、
(f)工程(e)で生成された前記動力の少なくとも一部で、前記少なくとも1つの圧縮機に動力を提供することと、を含み、
(n)前記水素生成システムおよび前記動力生成システムのうちの少なくとも1つから生成された熱を使用して、乾燥機ユニットに熱負荷を提供することであって、前記乾燥機が、前記天然ガス液化システムのための天然ガス供給流から水分を分離するように適合されるまで提供すること、をさらに含む、方法。
【請求項6】
方法であって、
(a)少なくとも1つの圧縮機を含む天然ガス液化システム内で天然ガス供給流を少なくとも部分的に液化して、LNG流を形成することと、
(b)前記LNG流をフラッシュ蒸気流と、LNG生成物流とに分離することと、
(c)前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を水素生成システムに流すことと、
(d)前記水素生成システム内で前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を反応させて、水素含有流と、第1のCO2濃縮流と、を形成することと、
(e)前記水素含有流の少なくとも一部を使用して、動力生成システム内で動力を生成することと、
(f)工程(e)で生成された前記動力の少なくとも一部で、前記少なくとも1つの圧縮機に動力を提供することと、を含み、
(o)前記天然ガス供給流を第1の部分と、第2の部分とに分割することと、前記天然ガス供給流の前記第1の部分に対して工程(a)を実行することと、工程(d)を実行する前に、前記天然ガス供給流の前記第2の部分を前記フラッシュ蒸気流と組み合わせることと、をさらに含む、方法。
【請求項7】
前記フラッシュ蒸気流が、少なくとも50モル%のメタンである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記水素含有流が、少なくとも80モル%の水素である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
(i)前記天然ガス液化システムからの冷凍能力を使用して、前記第1のCO2濃縮流、前記第2のCO2濃縮流、および前記組み合わされたCO2濃縮流の群から選択される1つの少なくとも一部を液化すること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(d)が、前記水素生成システム内で前記フラッシュ蒸気流の少なくとも一部と、周囲空気流とを反応させて、前記水素含有流と、前記第1のCO2濃縮流とを形成すること、をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程(e)が、前記水素含有流と、前記水素生成システムまたは動力生成システムからの少なくとも1つの蒸気流とを使用して、動力生成システム内で動力を生成すること、をさらに含む、請求項1及び4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(e)が、少なくとも1つのガスタービンを駆動するための前記水素含有流と、少なくとも1つの蒸気タービンを駆動するための第1の蒸気流と、を使用して、動力生成システム内で動力を生成すること、をさらに含む、請求項1及び4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(e)で生成された前記動力が、電力を含み、工程(f)が、前記電力の少なくとも一部を、前記少なくとも1つの圧縮機に取り付けられた少なくとも1つのモータに提供すること、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程(e)で生成された前記動力が、電力を含み、工程(f)が、前記電力の少なくとも一部を前記水素生成システムおよび前記天然ガス液化システムに提供すること、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程(e)で生成された前記動力が、電力を含み、前記方法が、
(k)前記電力の少なくとも一部を、前記天然ガス液化システム、前記水素生成システム、および前記動力生成システムの外部にあるプロセスにエクスポートすること、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのメタン含有流が、天然ガス供給流および前記フラッシュ蒸気流の群から選択される少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項17】
(l)工程(d)で生成された前記水素含有流の少なくとも一部を、前記天然ガス液化システム、前記水素生成システム、および前記動力生成システムの外部である用途にエクスポートすること、をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
工程(f)が、前記動力生成システムの少なくとも1つのガスタービンを前記天然ガス液化システムの前記少なくとも1つの圧縮機に機械的に結合することによって、前記少なくとも1つの圧縮機を駆動すること、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
工程(a)が、前記天然ガス液化システム内で前記天然ガス供給流を少なくとも部分的に液化して、前記LNG流を形成することを含み、前記天然ガス液化システムが、少なくとも1つの圧縮機を有する閉ループ冷凍システムを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
二酸化炭素(「CO2」)排出量の削減は、炭化水素処理および発電の分野を含む産業プロセスにとって、ますます望ましい改善となりつつある。
【0002】
天然ガスの液化は、主に、液化プロセスをサポートするために必要な圧縮機を駆動するために、重要な動力要件を有するプロセスである。液化プロセスの効率を向上することによりCO2排出量を削減することによって、天然ガス液化のカーボン「フットプリント」を削減する努力がなされてきた。冷媒圧縮機を駆動するためにガスタービンを使用する天然ガス液化プラント(本明細書では「LNGプラント」とも呼ばれる)では、高温の煙道ガスから熱を回収し、その熱を有益に使用することによって、効率向上によるCO2排出量のさらなる削減が、達成され得る。この熱は、蒸気を生成することと、複合サイクルを使用することと、によって回収されて、さらなる動力を生成し得る。LNGプラントによっては、送電網からの電気を介して、冷凍圧縮動力を得るものもある。電気を供給する発電所は、さらなる動力および効率のために、熱回収蒸気発生システムを有するガスタービンを使用し得る。
【0003】
発電所によっては、燃料ガスまたは燃料ガス用添加剤として水素を使用することによって、CO2排出量を削減してきたところもある。ソーラーパワーなどのグリーンエネルギーを使用して、または天然ガス供給およびCO2回収を伴うプロセスを使用して、この水素が作成される場合、全体的なCO2排出量が、削減される。天然ガスを水素に変換するためのそのようなプロセスとしては、合成ガスおよび/または煙道ガスからCO2が除去される水蒸気メタン改質プロセスが、挙げられる。任意選択で、この低炭素強度の水素は、CO2が流出合成ガスから除去される自己熱改質プロセスまたは部分酸化プロセスもしくはガス化プロセスを介して、作成され得る。
【0004】
そのような改善は、多くの場合、実質的により高いエネルギーコストをもたらし、天然ガス液化プロセスの外部にあるエネルギー源を必要とする。したがって、天然ガス液化プロセスおよびプロセスを駆動するために必要な動力に起因するCO2排出量を削減するためのより効率的で自己完結的な手段が、求められている。
【発明の概要】
【0005】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念の、簡略化された形態の抜粋を紹介するために提供される。本概要は、特許請求された主題の主要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図しておらず、特許請求された主題の範囲を限定することも意図していない。
【0006】
システムおよび方法のいくつかの態様が、以下に概説される。
【0007】
態様1-方法であって、
(a)天然ガス液化システム内で天然ガス供給流を少なくとも部分的に液化して、LNG流を形成することであって、該天然ガス液化システムが、少なくとも1つの圧縮機を含む、形成することと、
(b)LNG流をフラッシュ蒸気流と、LNG生成物流とに分離することと、
(c)該フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を水素生成システムに流すことと、
(d)該水素生成システム内で該フラッシュ蒸気流の少なくとも一部を反応させて、水素含有流と、第1のCO2濃縮流と、を形成することと、
(e)該水素含有流の少なくとも一部を使用して、動力生成システム内で動力を生成することと、
(f)工程(e)で生成された動力の少なくとも一部で、該少なくとも1つの圧縮機に動力を提供することと、を含む、方法。
【0008】
態様2-フラッシュ蒸気流が、少なくとも50モル%のメタンである、態様1に記載の方法。
【0009】
態様3-水素含有流が、少なくとも80モル%の水素である、態様1または2のいずれかに記載の方法。
【0010】
態様4-
(g)工程(a)を実行する前に、天然ガス供給流から第2のCO2濃縮流を分離することと、
(h)組み合わされたCO2流を形成するために、第1のCO2濃縮流と、第2のCO2濃縮流とを組み合わせることと、をさらに含む、態様1~3のいずれかに記載の方法。
【0011】
態様5-
(i)天然ガス液化システムからの冷凍能力を使用して、第1のCO2濃縮流、第2のCO2濃縮流、および組み合わされたCO2濃縮流の群から選択される1つの少なくとも一部を液化すること、をさらに含む、態様4に記載の方法。
【0012】
態様6-工程(d)が、水素生成システム内で、フラッシュ蒸気流の少なくとも一部と、周囲空気流とを反応させて、水素含有流と、第1のCO2濃縮流とを形成すること、をさらに含む、態様1~5のいずれかに記載の方法。
【0013】
態様7-工程(d)が、水素生成システム内でフラッシュ蒸気流の少なくとも一部と、酸素含有流とを反応させて、水素含有流と、第1のCO2濃縮流と、第1の蒸気流と、廃窒素流とを形成すること、をさらに含む、態様1~6のいずれかに記載の方法。
【0014】
態様8-酸素含有流が、周囲空気である、態様7に記載の方法。
【0015】
態様9-
(j)周囲空気流を、空気分離ユニットを通過させて、酸素含有流と、窒素濃縮流とを生成すること、をさらに含む、態様7に記載の方法。
【0016】
態様10-工程(e)が、水素含有流と、窒素濃縮流の少なくとも一部とを使用して、動力生成システム内で動力を生成すること、をさらに含む、態様9に記載の方法。
【0017】
態様11-工程(e)が、水素含有流と、水素生成システムまたは動力生成システムからの少なくとも1つの蒸気流とを使用して、動力生成システム内で動力を生成すること、をさらに含む、態様1~10のいずれかに記載の方法。
【0018】
態様12-工程(e)が、少なくとも1つのガスタービンを駆動するための水素含有流と、少なくとも1つの蒸気タービンを駆動するための第1の蒸気流とを使用して、動力生成システム内で動力を生成すること、をさらに含む、態様1~11のいずれかに記載の方法。
【0019】
態様13-工程(e)で生成された動力が、電力を含み、工程(f)が、該電力の少なくとも一部を、少なくとも1つの圧縮機に取り付けられた少なくとも1つのモータに提供すること、を含む、態様1~12のいずれかに記載の方法。
【0020】
態様14-工程(e)で生成された動力が、電力を含み、工程(f)が、該電力の少なくとも一部を水素生成システムおよび天然ガス液化システムのうちの少なくとも1つに提供すること、を含む、態様1~13のいずれかに記載の方法。
【0021】
態様15-工程(e)で生成された動力が、電力を含み、該方法が
(k)該電力の少なくとも一部を、天然ガス液化システム、水素生成システム、および動力生成システムの外部にあるプロセスにエクスポートすること、を含む、態様1~14のいずれかに記載の方法。
【0022】
態様16-工程(e)が、水素含有流と、少なくとも1つのメタン含有流とを使用して、動力生成システム内で動力を生成すること、をさらに含む、態様1~15のいずれかに記載の方法。
【0023】
態様17-少なくとも1つのメタン含有流が、天然ガス供給流およびフラッシュ蒸気流の群から選択される少なくとも1つを含む、態様16に記載の方法。
【0024】
態様18-
(l)工程(d)で生成された水素含有流の少なくとも一部を、天然ガス液化システム、水素生成システム、および動力生成システムの外部である用途にエクスポートすること、をさらに含む、態様1~17のいずれかに記載の方法。
【0025】
態様19-工程(f)が、動力生成システムの少なくとも1つのガスタービンを天然ガス液化システムの少なくとも1つの圧縮機に機械的に結合することによって、該少なくとも1つの圧縮機を駆動すること、を含む、態様1~18のいずれかに記載の方法。
【0026】
態様20-
(m)天然ガス生成システムからの冷凍を使用して、水素生成システムを冷却すること、をさらに含む、態様1~19のいずれかに記載の方法。
【0027】
態様21-
(n)水素生成システムおよび動力生成システムのうちの少なくとも1つから生成された熱を使用して、乾燥機ユニットに熱負荷を提供すること、をさらに含む、態様1~20のいずれかに記載の方法、該乾燥機、天然ガス液化システムのための天然ガス供給流から水分を分離するように適合されるまで。
【0028】
態様22-
(o)天然ガス供給流を第1の部分と、第2の部分とに分割することと、該天然ガス供給流の該第1の部分に対して工程(a)を実行することと、工程(d)を実行する前に、該天然ガス供給流の該第2の部分をフラッシュ蒸気流と組み合わせることと、をさらに含む、態様1~21のいずれかに記載の方法。
【0029】
態様23-工程(a)が、天然ガス液化システム内で天然ガス供給流を少なくとも部分的に液化して、LNG流を形成することを含み、該天然ガス液化システムが、少なくとも1つの圧縮機を有する閉ループ冷凍システムを含む、態様1~22のいずれかに記載の方法。
【0030】
態様24-供給温度で天然ガス供給流を少なくとも部分的に液化して、生成物温度でLNG生成物を形成する既存の天然ガス液化システムを改造する方法であって、該天然ガス液化システムが、少なくとも1つの圧縮機を備え、該方法が、
(a)該天然ガス液化システムによって生成されたエンドフラッシュの少なくとも一部を反応させて、水素含有流を形成する水素生成システムを追加することと、
(b)該水素含有流を使用して、動力生成システム内で動力を生成することと、
(c)工程(b)で生成された動力の少なくとも一部で、該少なくとも1つの圧縮機に動力を提供することと、を含む、方法。
【0031】
態様25-
(d)供給温度と、生成物温度との間の差異を減少させ、それにより、改造前に生成されたよりも、処理された天然ガスの立方フィート当たりのエンドフラッシュを多く生成すること、をさらに含む、態様24に記載の方法。
【0032】
態様26-
(e)動力生成システムを追加すること、をさらに含む、態様24または25のいずれかに記載の方法
【0033】
態様27-動力生成システムが、改造前に、天然ガス液化システムに動力を提供するように適合されており、該方法が、
(f)該動力生成システム内の少なくとも1つの既存のガスタービンを、水素含有流によって燃料を供給されるように修正すること、をさらに含む、態様24~26のいずれかに記載の方法。
【0034】
態様28-
(g)改造後の少なくとも1つの既存のガスタービンで、改造前よりも多くの動力を生成すること、をさらに含む、態様27に記載の方法。
【0035】
態様29-
(h)改造前に生成されたLNG貯蔵タンクへのLNG生成物の第1の質量流量以上である、改造後の、該LNG貯蔵タンクへのLNG生成物の第2の質量流量を生成すること、をさらに含む、態様24~28のいずれかに記載の方法。
【0036】
態様30-
(i)水素生成システムを使用して、エンドフラッシュに含まれる二酸化炭素の少なくとも80%を分離すること、をさらに含む、態様24~29のいずれかに記載の方法。
【0037】
本発明が以下に、類似の番号が類似の要素を示す添付図面と関連して、説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】相互接続された天然ガス液化システム、水素生成システム、および動力生成システムの第1の例示的な実施形態を示すブロック図である。
【0039】
図2図1の天然ガス液化システムをより詳細に示すブロック図である。
【0040】
図3図1の水素生成システムをより詳細に示すブロック図である。
【0041】
図4図1の動力生成システムをより詳細に示すブロック図である。
【0042】
図5図1の天然ガス液化システムの第1の代替実施形態を示すブロック図である。
【0043】
図6図1の動力生成システムの第1の代替実施形態を示すブロック図である。
【0044】
図7図1~4に示される例示的な実施形態の複数の流れ位置における流体組成物および物理パラメータを示す表である。
【0045】
図8図7に示される表の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次の詳細な説明は、単に好ましい例示的な実施形態を提供するもので、本発明の範囲、適用可能性、または構成を限定することを意図しない。むしろ、次の、好ましい例示的な実施形態の詳細な説明は、本発明の好ましい例示的な実施形態を実施するための実施可能な程度の説明を当業者に提供する。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更がなされ得ることを理解されたい。
【0047】
本発明を説明するのを助けるために、本発明の部分を説明するための方向を示す用語(例えば、上部、下部、左、右など)が、明細書および特許請求の範囲で使用される場合がある。これらの方向を示す用語は、単に本発明を説明および主張することを補助することを意図しており、本発明をいかなる方法でも限定することを意図していない。加えて、図面と関連して本明細書に導入される参照番号は、他の特徴のための文脈を提供するために、本明細書に追加の説明なしに1つ以上の後続の図面で繰り返され得る。
【0048】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「導管」という用語は、中を通って流体が、システムの2つ以上の構成要素の間で輸送され得る1つ以上の構造を指す。例えば、導管は、液体、蒸気、および/または気体を輸送するパイプ、ダクト、通路、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0049】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「流体連通」という用語は、2つ以上の要素が、バルブ、ゲート、ティー、または流体流を選択的に制限、合流、または分離し得る他のデバイスを含んでもよい接続を含む、要素間を流体が流れることを可能にする様式で(直接的または間接的のいずれかで)接続されることを意味することが意図される。
【0050】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「天然ガス」という用語は、主にメタンからなる炭化水素ガス混合物を意味する。
【0051】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「炭化水素」、「炭化水素ガス」、または「炭化水素流体」という用語は、少なくとも1つの炭化水素を含むガス/流体であって、炭化水素が、該ガス/流体の全体的な組成の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%を構成する、ガス/流体、を意味する。
【0052】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「高高」、「高」、「中」、「低」、および「低低」という用語は、これらの用語が使用される要素の物性に関する相対値を表現することが意図される。例えば、高高圧流は、本出願で説明または特許請求される、対応する高圧流または中圧流もしくは低圧流よりも高い圧力を有する流れを示すことが意図される。同様に、高圧流は、明細書または特許請求の範囲に記載されている、対応する中圧力流または低圧流よりも高い圧力を有するが、本出願に記載または特許請求されている、対応する高高圧流よりも低い流れを示すことが意図される。同様に、中圧流は、明細書または特許請求の範囲に記載されている、対応する低圧流よりも高い圧力を有するが、本出願に記載または特許請求されている、対応する高圧流よりも低い流れを示すことが意図される。
【0053】
本明細書に別段の記載がない限り、本明細書、図面、および特許請求の範囲において特定される任意のおよびすべてのパーセンテージは、質量パーセンテージベースであると理解されるべきである。本明細書に別段の記載がない限り、本明細書、図面、および特許請求の範囲で特定される任意のおよびすべての圧力は、ゲージ圧力を意味すると理解されるべきである。
【0054】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「圧縮システム」という用語は、1つ以上の圧縮ステージとして定義される。例えば、圧縮システムは、単一の圧縮機内に複数の圧縮ステージを含み得る。代替の実施例では、圧縮システムは、複数の圧縮機を備え得る。
【0055】
本明細書に別段の記載がない限り、ある位置での流れの導入は、その位置での該流れの実質的にすべての導入を意味することが意図される。本明細書で説明され、図面に示されるすべての流れ(典型的には、通常の動作中の流体流の全体的な方向を示す矢印を伴うラインによって表される)は、対応する導管内に含まれることを理解されたい。各導管は、少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口とを有すると理解されるべきである。さらに、機器の各々は、少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口とを有すると理解されるべきである。
【0056】
特許請求の範囲において、文字は、特許請求された工程を識別するために使用される(例えば、(a)、(b)、および(c))。これらの文字は、方法工程を参照することを補助するために使用され、特許請求の範囲内でそのような順序が具体的に列挙されていない限り、特許請求された工程が実行される順序を示すことを意図していない。
【0057】
本明細書に記載されるすべての例示的な実施形態の主要な特徴は、天然ガス供給源からLNGと、エンドフラッシュガスとを生成する1つ以上の冷凍圧縮機を有するLNG液化装置を含み、このエンドフラッシュガス(主にメタン)は、水素と、二酸化炭素とを生成する水素生成システムに送られる。CO2は、回収されるか、または有益に使用され得る。例えば、CO2は、圧縮されるか、液化されるか、別のプロセスで利用されるか、LNGプラントの予備冷却部分で液化されるか、または他の手段を介して処理され得る。これらの工程の後、CO2は、原油増進回収のために使用されるか、貯蔵されるか、隔離されるか、販売されるか、別のプロセスで利用されるか、または別の目的のために使用され得る。任意選択で、CO2は、酸性ガス除去ユニットを介して天然ガス供給から抽出され、水素生成からのCO2流出流と組み合わされ得る。次いで、生成された水素の少なくとも一部が、ガスタービン(複数可)の圧縮機への機械的結合によって直接的に、または圧縮機に結合された電気モータによって消費される、ガスタービン(複数可)に結合された発電機からの電気の生成によって間接的に、のいずれかで冷凍圧縮機(複数可)のための動力を提供する、動力生成システム内のガスタービンに送られる。
【0058】
本明細書に開示される例示的な天然ガス液化システムの実施形態はすべて閉ループ冷凍を有するが、本明細書に開示される本発明の概念は、開ループ圧縮または閉ループ圧縮のいずれかを使用する天然ガス液化システムに等しく適用可能であることに留意されたい。
【0059】
天然ガス液化システムからの主にメタンであるエンドフラッシュを水素生成システムに供給することは、いくつかの利点を有する。冷媒がLNGを低温に冷却する必要がないため、天然ガス液化システムの効率が、向上する。例えば、同じガスタービン冷凍圧縮機ドライバを仮定すると、エンドフラッシュ燃料需要が、10~20%増加し、主極低温熱交換器からの出口温度が、2~4°F増加する。これにより、冷凍圧縮機の動力需要が、1~2%減少する。さらに、同じサイズの冷凍システムからより多くのLNGが生成されるか、または代替的に、冷凍システム内の圧縮機、熱交換器、およびパイプを含む機器のサイズが、同じ生産能力に対して、より小さい。最後に、システムは、供給窒素がエンドフラッシュガス中に濃縮され、したがって、LNGの窒素含有量を減少させるため、より高い窒素供給ガスから許容可能な窒素含有量のLNGを生成し得る。さらに、メタンエンドフラッシュは、不純物を比較的含まないため、水素生成システムで使用されるメタン供給ガスの精製工程の必要性が低減する。
【0060】
3つのシステム間の他のさらなる統合オプションは、天然ガス液化システムからの冷凍を使用して、水素生成システムに関連付けられた空気分離ユニットの動力要件またはコストを低減することと、天然ガス液化システム内のプロセス加熱のために動力生成システムからの蒸気を使用することと、を含んで記載される。
【0061】
図1は、天然ガス液化システム103、水素生成システム118、および動力生成システム124の3つのシステムの相互接続を示す。天然ガス供給流100は、水素生成システムに送られる任意選択の流れ101と、天然ガス液化システム103に送られる流れ102とに分割され得る。天然ガス液化システム103は、CO2含有流106と、高圧LNG流104と、を生成する。次いで、高圧LNG流104が、バルブまたは仕事を生成するタービンであり得る減圧装置108内でより低い圧力にフラッシュされる。得られた2相流110が、相分離器142内で分離されて、蒸気流111と、LNG流112とを形成する。この実施形態では、相分離器142は、ドラムである。代替的に、特に窒素分離が所望される場合、多段階蒸留塔が、使用され得る。熱流125によって表される蒸気の形態の熱も、好ましくは、動力生成システム124によって、天然ガス液化システム103に提供される。任意選択で、天然ガス液化システム103からの冷凍が、熱流117によって表されるように、水素生成システム118に冷却を提供するために使用され得る。
【0062】
主にメタンのフラッシュ蒸気流114は、図2の説明でより完全に説明される、圧縮および熱交換工程(113とラベル付けされている)の後に、水素生成システム118に送られる。
【0063】
水素生成システム118は、周囲空気流116と、フラッシュ蒸気流114とを使用して、両方とも動力生成システム124に送られる水素流122と、中間圧力蒸気流138とを、廃窒素流144、任意選択の水素生成物流134(パイプラインに送られ得る)およびCO2流120と共に生成し、CO2流120は、天然ガス液化システム103からのCO2含有流106と組み合わされ、次いで、(圧縮機130を介して)圧縮され、パイプラインに送られるか、または圧縮されたCO2流132を介して地下貯蔵庫に隔離される。他の実施形態では、水素生成システム118は、水素流122のみを生成し、蒸気流は全く生成しないように構成され得る。プロセスは、直火式加熱器からの排気、蒸気ベント、および廃水蒸気を含み得るベント蒸気(図示せず)を含み得る。
【0064】
動力生成システム124は、水素流122と、水素システム118からの中間圧力蒸気流138とを使用して、設備全体および天然ガス液化システム103で使用するための電力128を生成する(ライン126によって表される)。任意選択で、電力は、ライン136を介して送電網にエクスポートされ得る。ライン126を介して天然ガス液化システム103から送られる動力は、圧縮機に取り付けられたモータに送られる電気の形態か、または動力生成システム124内のガスタービンを天然ガス液化システム103の冷凍圧縮機に機械的に結合することによる形態をとり得る。
【0065】
図2は、図2で203とラベル付けされている、図1の天然ガス液化システム103のより詳細な描写である。この例示的な実施形態では、天然ガス液化システム203は、2つの同一のトレーンを含み、その結果、各トレーン内の材料流量およびエネルギー流量は、システム全体の合計の半分である。この例示的な実施形態では、酸性ガス除去ユニット246は、予備冷却システム250の上流に提供されている。酸性ガス除去ユニット246は、アミン系吸収システムなどの当該技術分野で既知の任意の酸性ガス除去システムであり得る。天然ガス供給流202は、酸性ガス除去ユニット246に入り、酸性ガス除去ユニット246は、動力生成システムから提供される蒸気の形態の熱(ライン225によって表される)を使用して、アミン系除去ユニットのリボイラーを動作させて、天然ガスからCO2含有流206を分離する。酸性ガス除去ユニット246を出る流れ247は、水除去のために乾燥器ユニット248に送られ、前処理済みガス流252を形成する。
【0066】
天然ガス液化システム203は、天然ガス液化のための任意の既知のプロセスを使用し得る。この実施形態では、プロパン予備冷却混合冷媒プロセスが使用される。このプロセスは、当技術分野において周知であるため、詳細には説明されない。前処理された供給ガス流252が、予備冷却システム250によって約-30℃まで冷却され、続いて主熱交換器251内で-140~-150℃までさらに冷却され、流れ204として出て行く。次いで、高圧LNG流204が、バルブまたは仕事を生成するタービンであり得る減圧装置208内で、1~3barAのより低い圧力までフラッシュされる。次いで、予備冷却システム250を出る天然ガス流253の典型的には20%未満である流れ256が、フラッシュガス流211を温めながら、フラッシュ交換器258内でさらに冷却される。得られた2相流210が、242内で分離されて、蒸気流211と、LNG流212とを形成する。蒸気流211が、フラッシュ交換器内で約-40~-30℃まで温められた後、圧縮機260内で好ましくは約40~60barA(より好ましくは、約40~50barA)まで圧縮されて、流れ214を形成する。蒸気流214は、任意選択で、LNG貯蔵タンク(図示せず)からの追加のメタン含有ガスを含み得る。液化プロセスのためのエネルギーは、主に3つの冷凍圧縮機262、264、および266によって提供される。圧縮機262および264は、予備冷却システム250内で予備冷却する前に、気化した低圧混合冷媒を圧縮する。圧縮機266が、気化したプロパンを圧縮した後に、気化したプロパンが、周囲冷却器268内で凝縮されて、プロパンシステムに戻される。この実施形態では、圧縮機262、264、266のための動力は、圧縮機262、264、266を、図4の動力生成システム内に位置する2つの同一のガスタービンドライバに機械的に結合することによって、提供され、この機械仕事入力は、仕事流226aおよび226bによって表される。MR圧縮の第1のステージ262は、総冷凍動力要件の50%を表し、MR圧縮の第2のステージ264は、総量の20%を表し、プロパン圧縮機は、総量の約30%を消費する。
【0067】
示される配置では、圧縮機264および266は、機械仕事流226aによって動力を供給される同じシャフトに接続される一方、圧縮機262は、機械仕事流226bによって動力を供給され、図4の動力生成システム内に位置する2つの同等のガスタービンドライバによって提供される機械的動力を完全に利用することを可能にする。2つの同等のガスタービンドライバ(図示せず)からの動力を利用するための別の選択肢は、プロパン流および混合冷媒流を半分に分割し、並列圧縮機で冷媒を圧縮することであろう。この構成では、仕事流226aおよび226bは、各々が、2つの圧縮機シャフト上に機械的に結合された3つの圧縮機を有する同一の圧縮ストリングに動力を供給するであろう。
【0068】
図3は、図1の水素生成システム118の実施例のより詳細な描写である。この図では、すべての要素は、3XXでフォーマットされている。図1に示される品目番号と同じ下2桁のXXを有する、図3においてある参照番号を有する要素は、図1と同じ要素を指すことが意図される。
【0069】
周囲空気流316が、圧縮機346内で圧縮され、次いで、周囲冷却器374内で冷却される。任意選択で、圧縮空気流は、天然ガス液化システム203からの冷凍を使用してさらに冷却されて(図2のエネルギー流217に対応する流れ317によって表される)、冷却された乾燥した圧縮空気流376を形成し得る。そのような冷却は、水素生成システム318の効率を向上させ得る一方で、別個のチラーを追加することなく、吸着ベースの乾燥機システム375のサイズを低減する。この冷却の形態は、LNG冷媒(流れ317によって表される)との間接的な熱交換を介するか、またはグリコールなどの仲介流体を介するかのいずれかであり得る。
【0070】
冷却された乾燥した圧縮空気流376は、極低温空気分離ユニット(ASU)348に供給される。ASU348の代わりに、吸着または膜などの他のタイプの空気分離技術が、使用されてもよい。ASU348は、好ましくは約モル95%のO2を有する酸素濃縮流350と、窒素流344とを生成する。ASU348からの追加の任意選択の生成物蒸気は、気体アルゴンと、液体アルゴンと、液体酸素と、液体窒素と、を含む。ASUと、LNGプラントとの間のさらなる統合は、液化されるために、圧縮空気の一部を主熱交換器251に送ることを含み得る。この統合により、ASU膨張機が省かれ、したがって、CAPEXが低減され得る。
【0071】
酸素流350が、主にメタンの流れ314および蒸気流354と混合され、次いで、自己熱型改質器(ATR)352に送られる。ほとんどの用途では、蒸気流354は、予熱された後に、ATR352に導入されるであろう。ATR352における反応としては、メタンおよび水が一酸化炭素と、水素とを形成する改質反応(1)、一酸化炭素が水と反応して水素を形成するシフト反応(2)、およびメタン、一酸化炭素、および水素を関与させる部分酸化反応(3~5)が挙げられる。
CH4+H2O→CO+3H2 (1)
CO+H2O→CO2+H2 (2)
2CH4+O2→2CO+4H2 (3)
CO+1/2O2→CO2 (4)
2+1/2O2→H2O (5)
さらに、これらの反応の様々な組み合わせが、可能である。
【0072】
次いで、ATR352からの高温流出物が、蒸気発生器356内で冷却され、蒸気発生器356は、動力生成システム124からの回収水流340(図4では440とラベル付けされている)と、水供給流319(同様に図1では流れ119ともラベル付けされている)を気化させる。水は、処理および予熱された後に、ボイラー(図示せず)に入る。次いで、追加の蒸気が加えられた後に、供給流358が、シフト反応器360に送られる得、シフト反応器360で、一酸化炭素と水とが反応して、二酸化炭素と、水素とを形成する。
CO+H2O→CO2+H2 (6)
さらに、これらの反応の様々な組み合わせが、可能である。例えば、シフト反応器は、ステージ間の冷却を伴う2ステージのシフトで構成され得る。
【0073】
次いで、水素含有流362が冷却されて(364)、二酸化炭素除去ユニット366に送られ、二酸化炭素除去ユニット366が、水素生成物から二酸化炭素流320を除去する。ユニット366は、吸着システム、例えば、アミン系二酸化炭素除去ユニット、または吸着システム、膜システム、もしくは部分凝縮システムなどの二酸化炭素を除去する代替手段であってもよい。追加の任意選択の処理を行って、一酸化炭素などの不純物を除去することができる。
【0074】
任意選択で、水素生成物流334が、除去され、次いで、例えば、圧力スイング吸着システムを使用して、さらに精製され、パイプラインを介して送られ、液化されるか、または外部ユーザーへの輸送のためにアンモニアに変換され得る。
【0075】
(圧縮機368を介して)圧縮後、ASU348からの窒素の一部318が、任意選択で、水素流370に添加されてもよい。水素が、流れ322(図1では122、図4では422とラベル付けされている)として動力生成システムに送られる前に、圧縮機372を使用して水素を圧縮してもよい。
【0076】
水素生成のためのATRシステムの追加の特徴としては、予備改質器、酸素を含む供給物を予熱するための手段、供給物の予熱および蒸気の過熱のための直火式加熱器、高温シフト、中温シフト、低温シフト、等温シフトおよび/またはそれらの組み合わせを含む、シフト反応器の様々な構成、硫黄などの微量不純物を除去するための供給物の精製、復熱式改質反応器、および/または一酸化炭素をメタンに変換するためのメタン化器が、挙げられ得る。
【0077】
図3は、自己熱型改質器の文脈で説明されたが、他の水素生成方法も、使用され得る。これらの方法としては、天然ガスの部分酸化(POX)、蒸気メタン改質器(SMR)、熱分解反応器、様々な固体および液体燃料のガス化、および水の電気分解が、挙げられる。
【0078】
図4は、図1の動力生成システム124の実施例のより詳細な描写である。この図では、すべての要素は、4XXでフォーマットされている。図4に示される品目番号と同じ下2桁のXXを有する、図1においてある参照番号を有する要素は、図1と同じ要素を指すことが意図される。
【0079】
水素供給ガス流422は、蒸気流438の一部とブレンドされた後に、5つの並列ガスタービン446a~eの燃焼器460a~eに送られ得る。タービンのうちの4つ446a~dは、天然ガス液化システムの2つの並列トレーン(仕事流226a、226bによって表される)内の4つの圧縮ストリングに機械的に結合されている。426a~dの組み合わされた仕事流は、図1において、ライン126によって表されている。図2に示される2つの並列LNG生成トレーンのうちの第1のものについて、機械仕事流426a、426cは、図1の仕事流226aと同じ仕事流を示す一方、仕事流426b、426dは、図1の仕事流226bと同じ仕事流を示す。第5のガスタービン446eは、電力458を生成する発電機456に機械的に結合されている。各タービンからの高温排気流は、高圧蒸気466を生成する水464を気化させる熱回収蒸気発生器462a~eに送られる。
【0080】
次いで、高圧蒸気流466および中間圧力蒸気482が、仕事を生成する蒸気タービン468内で膨張され、この仕事を生成する蒸気タービン468は、発電機470に機械的に結合されており、それによって電力472を生成する。低圧蒸気467は、水素生成システム118および/または天然ガス液化システム103に熱負荷を提供するために有利に使用され得る。蒸気タービン468および結合された発電機470は、図4では単一のユニットとして示されているが、各々が、複数のユニットを並列に含むことができる。発電機470、456によって生成された電力の一部は、外部の電力ユーザー(ライン436によって表される)に送られてもよい。ライン428によって表される電気エネルギーは、圧縮機、ポンプ、ファン駆動クーラーなどの施設内の他の電力ニーズに向かられる。さらに、ガスタービン446a~e内での水素の燃焼によって形成された水は、回収されて、水素生成システムでリサイクルされ得る(例えば、流れ319と組み合わせる)。
【0081】
動力生成システム424によって生成された蒸気を使用して、電気モータ駆動ではなく、施設内の大型圧縮機用の追加の蒸気タービンの機械式ドライブ(図示せず)を駆動することも可能である。蒸気タービンは、この目的のために、圧縮機130、圧縮機260、および/または圧縮機346に機械的に結合され得る。
【0082】
いくつかの用途では、水素およびメタンまたは天然ガスの混合物を使用して、ガスタービン466a~eに燃料を供給することが望ましい場合がある。そのような用途では、天然ガスが、天然ガス供給流100(図1でライン182によって表される)から水素供給ガス流422に添加され得、および/またはエンドフラッシュが、フラッシュ蒸気流114(図1でライン181によって表される)から水素供給ガス流422に添加され得る。さらに、水素供給ガス流422内にいくらかの未反応のメタンを残す様式で、水素生成システム118を動作させることによって、動力生成システム124への混合メタン/水素燃料流を作成することが可能であろう。
【0083】
図5および6は、図1の天然ガス液化システム103および動力生成システム124の代替実施形態を示す。図5では、図2と比較して、参照番号が、300の係数だけ増加している。例えば、図2の天然ガス供給流202は、図5の天然ガス供給流502に対応する。図5と同一である図2に現れる要素は、図5で番号付けされてもよいが、本明細書では別々に議論されない。同様に、図6では、参照番号は、図4と比較して、200の係数だけ増加する。例えば、図4の水素ガス供給流422は、図6の水素ガス供給流622に対応する。図6で同一である、図4に現れる要素は、図6で番号付けされてもよいが、本明細書では別々に議論されない。
【0084】
図5を参照すると、この例示的な実施形態では、天然ガス液化システム103内の冷凍圧縮機のための動力は、動力生成システム124からの電気エネルギー526の形態で提供される。プロパン圧縮機566は、電気モータ570に機械的に結合されている一方、低圧および高圧混合冷媒圧縮機562、564は、それぞれ電気モータ574、572に機械的に結合されている。図5に示される天然ガス液化システムのすべての他の態様は、図2に関して前述したのと同じである。
【0085】
図6を参照すると、図4および6に示される動力生成システム424、624の間の主要な違いは、図6の動力生成システム624は、動力を電気エネルギーおよび蒸気の形態のみで天然ガス液化システムにエクスポートし、(図4の動力生成システム424によって行われるように)動力を機械的エネルギーの形態で天然ガス液化システムにエクスポートしないことである。図6では、2つのガスタービン646a、646bが、それぞれ、発電機674a、674bに機械的に結合されている。熱回収蒸気発生器662a、662bは、ガスタービン排気から熱を回収することによって、高圧蒸気666を生成する。高圧蒸気666は、発電機670に結合された蒸気タービン668内で膨張する。3つの発電機674a、674b、および670からの電力の一部は、他の用途(ライン636によって表される)のために、施設から送電網にエクスポートされ得る。エネルギー流626は、天然ガス液化システム203内に示される2つの圧縮トレーンによって消費される電力を表す一方、ライン628によって表される電気エネルギーは、圧縮機、ポンプ、ファン駆動クーラーなどの図1の施設内の他の消費者に提供される。
【0086】
代替的に、本明細書で論じられる発明概念は、LNG生成能力を減少させることなく、カーボンフットプリントを減少させるために、既存の天然ガス液化プラントの後付け修正に適用され得る。実際、本明細書に開示される発明概念は、LNG生成能力を増加させながら、炭素排出量(主にCO2)の大幅な削減を可能にすると考えられる。既存のガスタービン446a~d(図4参照)は、水素または水素濃縮燃料を使用して動作するように修正され得る。これにより、冷凍圧縮機への機械的動力出力226aおよび226b(図2参照)が増加し、それによって生産量が増加する。これにより、LNG流204の温度が増加し、それによって、LNG生成における冷凍に必要な動力が低減することが可能になるため、燃料需要が増加するので、生産量が、さらに増加され得る。この利点を十分に利用するために、フラッシュ圧縮機260は、増加した流量に対応するために、修正または交換される必要があり得る。この改造の実施形態では、フラッシュ流214は、例えば、図3に記載されるように、新たな水素生成システムに送られる。この例示的な改造の実施形態はまた、例えば、図5および6に記載されるように、任意の構成のガスタービン駆動LNGプラントに、または専用発電を有する電気モータ駆動LNGプラントに、適用され得る。
【0087】
実施例1
【0088】
以下のモデル化された実施例は、図1~4によって表されるプロセス図に基づいており、図7ならびに8に示される材料流、および以下の表1に示される動力流または熱流は、図1に示される流れの番号に対応する。流れ138および140の質量流量およびモル流量の値は、互いに等しいが、水素生成システムの設計の詳細に依存する。
【表1】
【0089】
表2は、動力生成および冷媒圧縮のために5つのBaker Huges/GEガスタービンを使用するこの実施例の主要なパラメータを示す。このプロセスは、年間1300万トンのLNGを生成する一方、隔離のためにCO2の97%を回収し、供給天然ガスの92.6%をLNGに変換する。
【表2】
【0090】
実施例2
【0091】
表3は、2つのGEフレーム7Fガスタービンが、複合サイクル発電のために使用される代替実施形態の一実施例の主要なモデル化されたパラメータを示す。この実施例では、天然ガス液化システムは、年間1150万トンのLNGを生成する一方、隔離のためにCO2の97%を回収し、供給天然ガスの94.3%をLNG生成物に変換する。
【表3】
【0092】
このように、発明が、その好ましい実施形態および代替実施形態に関して、開示された。もちろん、本発明の教示から様々な変更、修正、および改変が、本発明の意図される趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって企図され得る。本発明は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8