(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】皮膚細胞においてMIR-146Aを刺激するための局所組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20240426BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240426BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240426BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61K36/185 ZNA
A61P17/00
A61K8/9789
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2022172038
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2021103265の分割
【原出願日】2017-10-26
【審査請求日】2022-11-10
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルノデット,ナディーン
(72)【発明者】
【氏名】スタファ,クロジャン
(72)【発明者】
【氏名】ペレ,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ドン,ケリー
(72)【発明者】
【氏名】ゴヤーツ,アール
(72)【発明者】
【氏名】レイマン,ダウン
(72)【発明者】
【氏名】コラーロ,クリストル
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6274123(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0324656(US,A1)
【文献】特開2008-127281(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0027293(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0088302(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バオバブ抽出物を有効成分として含有する、皮膚細胞におけるMir-146a発現刺激剤。
【請求項2】
局所組成物中に組成物の総重量に対して約0.001%~10%の量で含まれる、請求項1に記載のMir-146a発現刺激剤。
【請求項3】
局所組成物中で(a)DNA修復酵素、(b)PER1遺伝子発現アクチベーター、(c)CLOCK遺伝子発現アクチベーター、(d)自食作用アクチベーター、(e)プロテアソームアクチベーター、(f)ラクトバチルス属由来の抽出物、(g)ビフィドバクテリウム属由来の抽出物及び(h)それらの混合物、からなる群から選択されるアジュバントと組み合わされる、請求項2に記載のMir-146a発現刺激剤。
【請求項4】
ビフィドバクテリウム属由来の抽出物が、ビフィドバクテリウム属由来の発酵物、濾液又は溶解物である、請求項3に記載のMir-146a発現刺激剤。
【請求項5】
ラクトバチルス属由来の抽出物が、溶解物、濾液又は発酵物である、請求項3に記載のMir-146a発現刺激剤。
【請求項6】
自食作用アクチベーターが、リソサムニウム属、メリロット属、シトラス属、カンジダ属、レンス属、ウルティカ属、カラムボラ属、モモルジカ属、ヤロウィア属、プルムバゴ属又はそれらの組合せ由来の抽出物からなる群から選択され、組成物の総重量に対して約0.00001%~20%の量で存在する、請求項3に記載のMir-146a発現刺激剤。
【請求項7】
自食作用アクチベーターが、カンジダ・サイトアナ由来の抽出物であり、組成物の総重量に対して約0.001%~1%の量で存在する、請求項6に記載のMir-146a発現刺激剤。
【請求項8】
プロテアソームアクチベーターが、アルギン、アルギネート、加水分解アルギン、糖蜜抽出物、ホウロクタケ属抽出物及びそれらの混合物からなる群から選択され、組成物の総重量に対して約0.0001%~35%の量で存在する、請求項3に記載のMir-146a発現刺激剤。
【請求項9】
PER1遺伝子発現アクチベーターが、トリペプチド-32、テトラペプチド-26及びそれらの混合物からなる群から選択され、組成物の総重量に対して約0.000001~5%の量で存在する、請求項3に記載のMir-146a発現刺激剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚細胞においてMicroRNA 146a(「Mir-146a」)発現を刺激するための局所組成物及び方法並びに改善のために皮膚を処置する局所組成物への製剤化のためにMir-146aを刺激する活性成分についてスクリーニングするための方法の分野にある。
【背景技術】
【0002】
マイクロRNA(MiRNA)は、細胞生物学のすべての側面に影響を及ぼす調節分子である。MiRNAは、転写後遺伝子調節に関与する約20~25ヌクレオチド(nt)の小さい非コーディング分子である。それらは、免疫応答を含む細胞生物学のすべての側面に影響を及ぼす調節分子である。Mir-146aは、特に、自然及び適応細胞性免疫の重要なレギュレーターであると示されている。癌、甲状腺機能障害及び造血障害などの種々の疾患病状においてMir-146aの異常が見られることが示されている。
【0003】
本発明者らは、Mir-146aレベルが年齢とともに低下すること及びMir-146aの減少が細胞性PER1遺伝子に対して直接的な影響を有することを示した。PER1とは、Periodホモログ遺伝子を指し、これは、概日活性にも影響を及ぼす。細胞性Mir-146a及びPER1レベルが減少すると、夜間の細胞同調が損なわれる。これは、次いで、夜間の休息の間に起こる修復活性を最小化する。本発明者らはまた、Mir-146a活性が、DNA修復を大幅に損ない、その結果、細胞性DNA損傷が増大することを示した。したがって、Mir-146aを活性化する成分は、PER1活性、DNA修復に対して正の影響を及ぼし、幹細胞の健康(幹細胞性とも呼ばれる)を促進する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、皮膚細胞においてMir-146a発現を刺激するための局所組成物及び方法並びに皮膚細胞においてMir-146a発現を刺激し、次いで、PER1遺伝子発現、DNA修復及び幹細胞性を促進する成分をスクリーニングするための方法を対象とする。
【0005】
本発明はまた、皮膚細胞においてMir-146a発現を刺激する少なくとも1種の成分を、アジュバントと組み合わせて含む局所組成物を対象とする。
【0006】
本発明はまた、アジュバント並びに効果(a)、(b)、(c)及び(d)を提供する1種以上の成分を含む組成物を局所適用することによって、皮膚細胞において、(a)Mir-146a発現及び(b)CLOCK又はPER1遺伝子発現及び/又は(c)細胞性DNA修復及び/又は(d)幹細胞性を刺激するための方法を対象とする。
【0007】
本発明はまた、アジュバント及び皮膚細胞においてMir-146a発現を刺激する少なくとも1種の成分を含む局所組成物を適用することによって、皮膚を処置して、より健康な皮膚を促進する皮膚の自然な時間的リズムを回復させるための方法も対象とする。改善は、(i)Mir-146a発現を刺激する、及び(ii)損傷を受けた細胞性DNAの修復を改善する、及び/又は(iii)CLOCK若しくはPER1遺伝子活性を刺激する、及び/又は(iv)幹細胞に固有の幹細胞マーカーの発現を維持することによって幹細胞性を促進する1種以上の成分を含む組成物を局所適用することによって、(a)保水、(b)皮膚発赤又は炎症の低減、(c)線及び皴の出現を最小にすること、(d)肌の色を整えること、(e)手、顔面及び頸部での不規則性及びしみの出現を最小にすること、(f)不均一な色素沈着の出現を改善すること、(g)日光、汚染、環境条件などに対する曝露によって損傷を受けた皮膚を修復すること、(h)皮膚弛緩を改善すること、又はそれらの組合せの群から選択される1つ以上の利益であり得る。
【0008】
本発明は、皮膚細胞においてMir-146a活性の発現を刺激する成分を含む局所組成物を製剤化するための方法であって、
(a)成分を用いてin vitroで皮膚細胞を処理するステップと、
(b)皮膚細胞からRNAを抽出するステップと、
(c)RNAを逆転写して、cDNA鎖を形成するステップと、
(d)プライマー配列を用いてプローブし、Mir-146aと相補的であるcDNA鎖とアニーリングさせることによって、Mir-146aと相補的であるcDNA鎖を増幅し、定量化するステップと、
(e)未処理細胞と比較して、Mir-146aと相補的であるcDNAの増大を示す成分を選択するステップと
を含む、方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、バオバブ又はアフリカバオバブ(Adansonia digitata)抽出物を用いて処理された皮膚細胞におけるMir-146a発現の増大を図表で示す。
【
図2】
図2A、2B及び2Cは、チノリモ(Porphyridium cruentum)紅藻抽出物、Polyseaを用いて処理された場合の、62及び42歳のドナーから得た皮膚線維芽細胞におけるMir-146a発現の増大を示す。
【
図3】
図3A、3B及び3Cは、皮膚線維芽細胞がワサビノキ(Moringa oleifera)抽出物を用いて処理された場合に、Mir-146aの発現の増大が見られなかったことを示す。
【
図4】
図4A、4B及び4Cは、皮膚線維芽細胞がゴマ油を用いて処理された場合に、Mir-146a発現の増大が見られなかったことを示す。
【
図5】
図5は、Mir-146a発現が阻害されると、PER1発現が対応して低減することを示すことによって、Mir-146a活性化とPER1発現の間の関係を示す。
【
図6】
図6は、種々の年齢のドナー由来の皮膚線維芽細胞に対するMir-146a阻害及びPER1阻害の効果を示し、皮膚線維芽細胞の年齢が増大するにつれ、差が増大することを示す。
【
図7】
図7は、Mir-146a活性とPER1活性の間の直接相関を示す。特に、Mir-146aを刺激することは、PER1の活性化を引き起こし、逆もまた同様である。
【
図8】
図8は、Mir-146a活性化が、年齢とともに低下することを示す。
【
図9】
図9は、Mir-146aの刺激が、細胞におけるDNA修復を促進することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
局所組成物
I.Mir-146aアクチベーター
本発明の組成物は、皮膚細胞におけるMir-146a発現を刺激する少なくとも1種の成分を含む。Mir-146aアクチベーターは、約0.001~10%、好ましくは、約0.005~3%、より好ましくは、約0.01~2%の範囲の量で存在してもよく、すべてのパーセンテージは、総組成物の重量による。
【0011】
一実施形態では、成分は、その全文が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2003/0092168号に示される方法に従って、バオバブの水性抽出によって得られる植物抽出物である。このような方法は、9~13のpHで水性媒体中に植物材料を抽出すること、植物材料を分離し、混合物のpHを5~8に低減し、次いで、水性抽出物を回収すること、及び不溶性材料を除去することによって抽出物を精製することを含む。或いは、pH低下は、酵素処理の前で起こっても、後で起こってもよい。適したセルロース分解性材料として、セルラーゼ又はペクチナーゼが挙げられる。好ましい処理温度は、20~70℃の範囲であり得、1/2~2時間かかり得る。粗植物材料からの抽出物の分離は、遠心分離、フィルター又は篩を使用して行われ得る。最も好ましいものは、植物材料をまず、20~70℃の温度の9~13のpHを有する水溶液と1~2時間接触させる場合である。粗水性抽出物を遠心機又はフィルターを用いて植物材料から分離し、次いで、第1の抽出のために使用された同様の温度及び時間条件下で、5~8のpHでセルロース分解性酵素(好ましくは、ペクチナーゼ又はセルラーゼ)を用いて処理する。不溶性材料を再度分離除去して精製水性抽出物を得、これを凍結乾燥又は噴霧乾燥してもよい。この方法は、水性抽出物中の植物材料が、相当な量のRNA、実際、総抽出物の最大約25重量%又は約0.1~5重量%、好ましくは、約0.2~2重量%を含むことを確実にする。
【0012】
グリセリン及び水を有する混合物中のINCI名バオバブ抽出物を有する、1種の特に好ましいバオバブ抽出物は、商品名Mirage 146a(商標)の下でAshland Specialty Ingreientsによって販売されている。バオバブ抽出物は、アフリカバオバブの木から得られる。バオバブ組織は、各セット中に2つの代わりに4つ染色体を含有し、木自体は、広葉樹の木において通常見られる年輪を示さないので独特である。このバオバブは、小分子RNAを含有し、これは、バオバブの木の種子からの抽出によって得ることができる。
【0013】
Mir-146aを刺激するその他の成分の例として、ショウブ(Acorus calamus)抽出物及びチノリモ微細紅藻類(red microalgae)から得た藻類抽出物が挙げられる。このような藻類抽出物は、その全文が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,534,417号に示されるプロセスに従って製造される。
【0014】
選択された成分を、皮膚クリーム、ローション、血清、スプレー、ゲル、溶液又は懸濁液などの種々の局所製剤に製剤化できる。成分を、約0.01~10%、好ましくは、0.05~5%、より好ましくは、約0.1~3%の範囲の量で組成物中に組み込むことができ、すべてのパーセンテージは、本明細書において重量で記載される。
【0015】
最も好ましいものは、局所組成物が、油中水型又は水中油型いずれかのエマルジョンの形態である場合である。最も好ましいものは、それだけには限らないが、以下に示されるものをはじめとするその他のアジュバントを含む、約10~95%の水及び5~45%の油を含む水中油型エマルジョンである。
【0016】
用語「アジュバント」とは、その活性を損なわずにMir-146aアクチベーターが製剤化される組成物の有効性を増大する成分、具体的には、DNA修復酵素、PER1又はCLOCK遺伝子発現アクチベーター、自食作用アクチベーター、プロテアソームアクチベーター並びにビフィドバクテリウム属又はラクトバチルス属由来のプロバイオティック微生物が、を意味する。
【0017】
II.自食作用アクチベーター
自食作用アクチベーターは、適したアジュバントであり得る。組成物が、Mir-146a発現を刺激する成分に加えて、正常な細胞自食プロセスを活性化する少なくとも1種の成分を含むことが望ましい。自食作用アクチベーターは、約0.00001~20%、好ましくは、0.0001~5%、より好ましくは、約0.001~1%の範囲の量で存在する。一般に、細胞自食作用プロセスは、4つの一般的なステップを含む。ステップ1は、液胞形成の開始であり、ステップ2は、分解されるべき細胞質材料を捕捉する最初の液胞又はオートファゴソームの形成である。ステップ3は、オートファゴソームの分解性液胞への成熟である。ステップ4は、捕捉された材料の実際の分解である。
【0018】
自食作用活性化活性を有する成分は、種々の細胞代謝経路を刺激又は阻害するその能力によって同定できる。例えば、MAP-LC3、ATG5-12、タンパク質p53、AMPK又はDRAMの発現を刺激する成分が、適した自食作用アクチベーターである。mTORの発現を阻害する成分もまた、適した自食作用アクチベーターである。
【0019】
遺伝子MAP-LC3は、オートファゴソームの形成を開始するタンパク質である、微小管結合タンパク質1軽鎖3をコードする。ATG5-12はまた、オートファゴソームの形成を刺激する。ラパマイシンの哺乳動物標的としても知られるmTORはまた、ラパマイシン標的タンパク質又はFK506結合タンパク質12-ラパマイシン結合タンパク質1(FRAP1)としても知られる。FRAP1は、FRAP遺伝子によってコードされる。オートファゴソーム作製に関与するmTORの発現を阻害する任意の成分は、自食作用活性化特性を有する。ケラチノサイトにおいてタンパク質p53、AMPK及び/又はDRAM(損傷救済自食作用モジュレータータンパク質(damage remedy autophagy modulator protein))の発現を刺激する成分も、自食作用アクチベーターとして適している。タンパク質p53は、腫瘍抑制タンパク質としても知られ、p53遺伝子によってコードされる。AMPKは、AMP活性化タンパク質キナーゼを意味し、DRAMは、損傷関連自食作用モジュレーター(damage related autophagy modulator)を意味する。両方とも、ケラチノサイトにおいて自食作用活性化を刺激すると知られている。
したがって、遺伝子に対して上記で言及された効果を有する任意の成分は、適した自食作用アクチベーターであり得る。自食作用プロセスの際、酸化タンパク質及び過酸化脂質などの細胞細片が分解される。このような細胞細片は、正常な代謝機能に影響を及ぼすことが多い。上記の細胞性、好ましくは、ケラチノサイト遺伝子及び/又はタンパク質を刺激又は阻害する能力によって有効性を決定するための成分のスクリーニングは、米国特許公開第2011/0243983号に示されるような方法又は当技術分野で公知のその他の方法に従って行ってもよい。
【0020】
例えば、自食作用アクチベーターであり得る成分を同定するための1つの一般的なプロセスは、ケラチノサイトなどの培養細胞において栄養ストレスを誘導することによる。例えば、細胞をまず、増殖因子を有する完全培養培地で約24時間培養する。次いで、培養培地を除去し、非栄養培養培地、例えば、増殖因子を含有しないもので置換する。細胞を栄養ストレスの状態で約30分~約25時間培養する。次いで、非栄養培養培地を除去し、完全培養培地で置換して、細胞性回復を促進する。その後、それらの細胞においてMAP-LC3、ATGS-12、リン酸化mTOR、リン酸化p53、DRAM又はリン酸化AMPKのうち1種以上の発現を測定することによって、細胞を自食作用活性について評価する。このような発現の測定は、免疫蛍光測定によって行うことができる。さらに、発現は、発現された遺伝子と関連するリン酸化タンパク質のウエスタンブロット解析によって確認できる。
【0021】
上記の遺伝子に対して刺激効果又は阻害効果のいずれかを発揮し、次いで、自食作用を刺激するとわかっている成分の例として、それだけには限らないが、リソサムニウム属(Lithothamnium)、メリロット属(Melilot)、シトラス属(Citrus)、カンジダ属(Candida)、レンス属(Lens)、ウルティカ属(Urtica)、カラムボラ属(Carambola)、モモルジカ属(Momordica)、ヤロウィア属(Yarrowia)、プルムバゴ属(Plumbago)などといった属に由来するものを含む酵母抽出物がある。さらなる具体的な例として、リソサムニウム・カルカレウム(Lithothamniumn calcareum)、メリロツス・オフィシナリス(Melilotus officinalis)、シトラス・リモヌム(Citrus limonum)、カンジダ・サイトアナ(Candida saitoana)、レンス・クリナリア(Lens culinaria)、ウルティカ・ジオイカ(Urtica dioica)、アベロア・カラムボラ(Averrhoa carambola)、モモルジカ・カランチア(Momordica charantia)(ツルレイシ)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、プルムバゴ・ゼイラニカ(Plumbago zeylanica)などが挙げられる。
【0022】
(3-(N-[ジメチルアミノ]プロピル-3-インドリル)-4-(3-インドリル)マレイミド3-[1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]1H-インドール-3-イル]-4-(1Hインドール-3-イル)1H-ピロール-2,5ジオンビスインドリルマレイミドIとも称されるGF 109203Xである、塩酸アミオダロン;N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン;ニクロサミド;ストレプトマイセス・ヒグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)由来のラパマイシン;(1-[6-[(3-アセチル-2,4,6-トリヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-5,7-ジヒドロキシ-2,2-ジメチル-2H-1-ベンゾピラン-8-イル]-3-フェニル-2-プロペン-1-オン、マロトキシン(Mallotoxin))とも称されるロットレリン(Rottlerin);5-ピリジン-4-イル-チアゾール-2-イル-m-トリル-アミンとしても知られるSTF-62247;タモキシフェン;42-[3-ヒドロキシ-2-メチルプロパノエート、CCI-779としても知られるテムシロリムス(Temsirolimus)、ラパマイシン;ATG1自食作用関連1ホモログ;ATG1、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼULK1、UNC-51様キナーゼ;又は((Z)-5-フルオロ-1-(3'-ジメチルアミノ)プロピル-3-[(5'-メトキシインドール-3-イリデン)メチル]-インドリン-2-オンとも称されるZ36;又は1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-5-フルオロ-1,3-ジヒドロ-3-[(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)メチレン]-2H-インドール-2-オン);3β,14-ジヒドロキシ-5β,20(22)-ブファジエノリド、5β,20(22)-ブファジエノリド-3β,14-ジオールとも称されるブファリンなどの成分もまた適している。このような成分は、Sigma- Aldrich Chemical Companyから購入してもよい。
【0023】
III.プロテアソームアクチベーター
組成物が、皮膚細胞においてプロテアソーム活性を刺激するアジュバントを含むことが望ましい。存在する場合、プロテアソームアクチベーターは、0.0001~35%、好ましくは、約0.0005~15%、より好ましくは、約0.001~5%の範囲であり得る。
【0024】
適したプロテアソームアクチベーターは、ケラチン表面の細胞においてプロテアソーム活性を刺激する任意の化合物、分子又は有効成分である。
【0025】
適したプロテアソームアクチベーターの例として、それだけには限らないが、アルギン、アルギネート、加水分解アルギン、糖蜜抽出物、カワラタケ(Trametes versicolor)由来の抽出物を含むホウロクタケ属(Trametes)抽出物、オレア・ヒドロキソール(olea hydroxol)が挙げられる。
【0026】
IV.CLOCK.PER1遺伝子アクチベーター
CLOCK又はPER1細胞性遺伝子アクチベーターもまた、適したアジュバントである。示唆される範囲は、約0.000001~約5%、好ましくは、約0.000005~3.5%、より好ましくは、約0.00001~2%である。適したCLOCK又はPER1アクチベーターは、植物抽出物、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸などの形態で存在し得る。
【0027】
A.ペプチドCLOCK又はPER1遺伝子アクチベーター
特に好ましいCLOCK及び/又はPER1遺伝子アクチベーターは、式(I):
R
1-(AA)
n-X
1-S-T-P-X
2-(AA)
p-R
2
[式中、(AA)
n-X
1-S-T-P-X
2-(AA)
Pは、(配列番号1)であり、
X
1は、トレオニン、セリン、又はアミノ酸なしを表し、
X
2は、イソロイシン、ロイシン、プロリン、バリン、アラニン、グリシン、又はアミノ酸なしを表し、
AAは、任意のアミノ酸又はその誘導体を表し、n及びpは、0から4の間の整数であり、
R
1は、遊離又はアセチル基、ベンゾイル基、トシル基若しくはベンジルオキシカルボニル基のいずれかから選択され得る保護基によって置換されたN末端アミノ酸の第一級アミン官能基を表し、
R
2は、C1~C20アルキル鎖又はNH2、C1~C4アルキル鎖を表すYを有するNHY若しくはNYYのいずれかから選択され得る保護基によって置換された、C末端アミノ酸のカルボキシル官能基のヒドロキシル基を表す]
で示されるペプチドを含み、
一般式(I)の配列は、約3~13のアミノ酸残基を含み、一般式(I)の前記配列は、アミノ酸X
1及びX
2の、その他の化学的に同等なアミノ酸での置換を含有してもよく、アミノ酸は、アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リシン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、バリン(V)である。より好ましくは、上記の式のペプチドは、以下のとおりである:
【0028】
S-T-P-NH2ペプチド、配列番号4又はそれらの混合物がより好ましい。INCI名トリペプチド-32を有する、商標Chronolux(登録商標)の下でAshlandによって製造されたペプチドが最も好ましい。
【0029】
別の好ましいCLOCK及び/又はPER1遺伝子アクチベーターは、INCI名テトラペプチド-26を有する商標Chronogen(登録商標)の下でAshlandによって製造されている。テトラペプチド-26のアミノ酸配列は、以下である。
【0030】
B.植物抽出物
CLOCK又はPER1遺伝子アクチベーターとして、チコリ酸(cichoric acid)又はその異性体若しくは誘導体も適している。チコリ酸は、合成であっても天然由来であってもよい。合成チコリ酸は、Sigma Aldrichを含むいくつかの商業的製造業者から購入することができる。チコリ酸はまた、ムラサキバレンギク属(Echinacea)、チコリウム属(Cichorium)、タラキサクム属(Taraxacum)、オシムム属(Ocimum)、メリッサ属(Melissa)などのチコリ酸を含むと知られている植物供給源から、又は藻類若しくは海草から抽出してもよい。より詳しくは、ムラサキバレンギク(Echinacea purpurea)、チコリー(Cichorium intybus)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)、バジリコ(Ocimum basilicum)、又はレモンバーム(Melissa officinalis)などの植物抽出物。本明細書において使用される場合、用語「チコリ酸」はまた、皮膚細胞においてPER1遺伝子発現を増大するように作動可能である、その任意の異性体も含む。
【0031】
具体例として、総抽出物組成物の約3重量%のチコリ酸を含むように抽出プロセス中に標準化されているムラサキバレンギクの抽出物である、ブランド名Symfinity(商標)1298の下でSymriseによって販売されているムラサキバレンギク由来の植物抽出物が挙げられる。異なる供給源由来のムラサキバレンギク属抽出物はチコリ酸含有量が異なるであろうし、そのため、PER1遺伝子発現の誘導での変動する結果を生じるであろう。ムラサキバレンギクの根のエタノール抽出物は、エキナセア・アングスティフォリア(Echineacea angustifolia)又はエキナセア・パリダ(Echinacea pallida)のエタノール抽出物よりも多くのチコリ酸を提供するであろう。いずれの抽出物中の活性成分の含有量も、抽出方法に応じて非常に異なる。例えば、多くの場合、抽出プロセスの間の酵素的褐変は、結果として得られる抽出物のフェノール酸含有量を減少させることが知られている。
【0032】
V.DNA修復酵素
本発明の方法において使用される組成物は、アジュバントとして1種以上のDNA修復酵素も含有し得る。示唆された範囲は、約0.00001~約5%、好ましくは、約0.00005~約3%、より好ましくは、約0.0001~約2%の1種以上のDNA修復酵素である。
【0033】
すべてその全体が参照により本明細書中に組み込まれる、米国特許第5,077,211号、同第5,190,762号、同第5,272,079号及び同第5,296,231号に開示されているようなDNA修復酵素は、本発明の組成物及び方法で用いるために適している。そのようなDNA修復酵素の一例は、商品名Roxisomes(登録商標)の下でAGI/Dermaticsから購入することができ、INCI名シロイヌナズナ(Arabidopsis Thaliana)抽出物を有する。これは、単独で、又はレシチン及び水との混合物として存在し得る。このDNA修復酵素は、8-オキソ-グアニン塩基損傷を修復するのに有効であることが知られている。
【0034】
使用してもよい別の種類のDNA修復酵素として、06-メチルグアニン塩基損傷を修復するのに有効であることが知られているものがある。これは、商品名Adasomes(登録商標)の下でAGI/Dermaticsから販売されており、INCI名ラクトバチルス発酵物を有し、それ自体で、又はレシチン及び水との混合物で、本発明の組成物に添加してもよい。
【0035】
使用してもよい別の種類のDNA修復酵素として、T-T二量体の修復において有効であることが知られているものがある。酵素は、生物学的材料又は植物性材料の混合物中に存在する。そのような成分の例は、商品名Ultrasomes(登録商標)又はPhotosomes(登録商標)の下でAGI/Dermaticsから販売されている。Ultrasomes(登録商標)は、ミクロコッカス溶解物(ミクロコッカスの様々な種の制御された溶解の最終生成物)、レシチン、及び水の混合物を含む。Photosomes(登録商標)は、プランクトン抽出物(以下の生物のうちの1種以上を含む海洋バイオマスの抽出物である:タラソプランクトン(thalassoplankton)、微小緑藻類(green micro-algae)、珪藻、藍藻類(greenish-blue)及び窒素固定海藻)、水、及びレシチンの混合物を含む。
【0036】
別の種類のDNA修復酵素は、ビフィダ属(Bifida)溶解物又はビフィダ属発酵物溶解物(後者は、ビフィド属細菌を培養し、不活性化し、続いて崩壊させた際の代謝生成物及び細胞質画分を含むビフィド属(Bifido)細菌由来の溶解物である)などの種々の不活性化型細菌溶解物の構成成分であり得る。この材料は、INCI名ビフィダ属発酵物溶解物を有する。
【0037】
その他の適したDNA修復酵素として、バクテリオファージT4のden V遺伝子により生成され得るエンドヌクレアーゼVが挙げられる。T4エンドヌクレアーゼ、O6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ、ウラシルDNAグリコシラーゼ及びヒポキサンチン-DNAグリコシラーゼなどのフォトリアーゼ、脱ピリミジン/脱プリンエンドヌクレアーゼ、DNAエキソヌクレアーゼ、損傷塩基グリコシラーゼ(例えば、3-メチルアデニン-DNAグリコシラーゼ)、単独又は複合体(例えば、大腸菌uvrA/uvrB/uvrCエンドヌクレアーゼ複合体)でのコレンドヌクレアーゼ(correndonuclease)、「APE」と称されることが多い多機能DNA修復酵素であるAPEXヌクレアーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、末端トランスフェラーゼ、トポイソメラーゼ、O6ベンジルグアニン、DNAグリコシラーゼも適している。
【0038】
その他の種類の適したDNA修復酵素は、促進される修復の種類によって分類することができ、BER(塩基除去修復)又はBER因子酵素、例えばウラシル-DNAグリコシラーゼ(UNG)、一本鎖選択的単一機能ウラシルDNAグリコシラーゼ(SMUG1)、3,N(4)-エテノシトシングリコシラーゼ(MBD4)、チミンDNA-グリコシラーゼ(TDG)、A/G-特異的アデニンDNAグリコシラーゼ(MUTYH)、8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ(OGG1)、エンドヌクレアーゼIII様(NTHL1)、3-メチルアデニンDNAグリコシダーゼ(MPG)、DNAグリコシラーゼ/APリアーゼ(NEIL1又は2)、APエンドヌクレアーゼ(APEX 1及び2)、DNAリガーゼ(LIG3)、リガーゼ補助因子(XRCC1)、DNA5'-キナーゼ/3'-ホスファターゼ(PNKP)、ADP-リボシルトランスフェラーゼ(PARP1又は2)などのを含む。
【0039】
別のカテゴリーのDNA修復酵素として、O6-MeGアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、1-meAジオキシゲナーゼ(ALKBH2又はALKBH3)などの損傷を直接的に逆転させると考えられているものが挙げられる。
【0040】
DNA/タンパク質架橋を修復するために作動可能な酵素のまた別のカテゴリーとして、Tyr-DNAホスホジエステラーゼ(TDP1)が挙げられる。
【0041】
MMR(ミスマッチ除去修復)DNA修復酵素、例えばMutSタンパク質ホモログ(MSH2)、ミスマッチ修復タンパク質(MSH3)、mutSホモログ4(MSH4)、MutSホモログ5(MSH5)、又はG/Tミスマッチ結合性タンパク質(MSH6)、DNAミスマッチ修復タンパク質(PMS1、PMS2、MLH1、MLH3)、減数分裂後隔離増大2様タンパク質(Postmeiotic segregation increased 2-like protein)(PMS2L3);又は減数分裂後隔離増大2様4偽遺伝子(postmeiotic segregation increased 2-like 4 pseudogene)(PMS2L4)などのもまた適している。
【0042】
ヌクレオチド除去修復(NER)酵素として知られているDNA修復酵素もまた適しており、色素性乾皮症C群相補性タンパク質(XPC)、RAD23(S.セレビシエ(cerevisiae))ホモログ(RAD23B)、カルトラクチン(caltractin)アイソフォーム(CETN2)、RFAタンパク質1、2、又は3(RPA1、2、又は3)、3'から5'へのDNAヘリカーゼ(ERCC3)、5'から3'へのDNAヘリカーゼ(ERCC2)、塩基性転写因子(GTF2H1、GTF2H2、GTF2H3、GTF2H4、GTF2H5)、CDK活性化キナーゼ(CDK7、CCNH)、サイクリンG1相互作用タンパク質(MNAT1)、DNA除去修復タンパク質ERCC-5l、除去修復相互相補1(excision repair cross-complementing 1)(ERCC1)、DNAリガーゼ1(LIG1)、ATP依存性ヘリカーゼ(ERCC6)などといったものが挙げられる。
【0043】
相同組み換えを促進するカテゴリーのDNA修復酵素もまた適したものであり得、それだけに限らないが、DNA修復タンパク質RAD51ホモログ(RAD51、RAD51L1、RAD51B等)、DNA修復タンパク質XRCC2、DNA修復タンパク質XRCC3、DNA修復タンパク質RAD52、ATPアーゼ(RAD50)、3'エキソヌクレアーゼ(MRE11A)などが挙げられる。
【0044】
DNAポリメラーゼであるDNA修復酵素もまた適しており、DNAポリメラーゼβサブユニット(POLB)、DNAポリメラーゼγ(POLG)、DNAポリメラーゼサブユニットδ(POLD1)、DNAポリメラーゼIIサブユニットA(POLE)、DNAポリメラーゼδ補助タンパク質(PCNA)、DNAポリメラーゼζ(POLZ)、MAD2ホモログ(REV7)、DNAポリメラーゼη(POLH)、DNAポリメラーゼκ(POLK)などが挙げられる。
【0045】
「編集及びプロセシングヌクレアーゼ」(editing and processing nuclease)と称されることが多い、種々の種類のDNA修復酵素として、3'-ヌクレアーゼ、3'-エキソヌクレアーゼ、5'-エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼなどが挙げられる。
【0046】
DNA修復酵素のその他の例として、ATP DNAヘリカーゼなどを含むDNAヘリカーゼが挙げられる。
【0047】
DNA修復酵素は、植物抽出物、細菌溶解物、生物学的材料などの構成成分として存在し得る。例えば、植物抽出物が、DNA修復酵素を含有し得る。
【0048】
VI.プロバイオティック微生物由来の抽出物
アジュバントとして、種々の種類のプロバイオティック微生物、例えば、ラクトバチルス属、ビフィド属細菌などに由来する抽出物もまた適している。1種の適した抽出物として、ラクトバチルス属由来のものがあり、ラクトバチルス属由来の微生物を発酵させることによって得られた発酵物又は発酵物溶解物の形態であり得る。ラクトバチルス属の例として、それだけには限らないが、プランタルム(plantarum)、カゼイ(casei)、クリスパツス(crispatus)などが挙げられる。発酵物は、溶解物、濾液又は両方の形態であり得る。溶解物の場合には、発酵生成物は溶解されている。濾液の場合には、発酵生成物は濾過されている。成分は、商品名AC Probiotic 1の下、Active Conceptsから、商品名Lactobacillus crispatus KLB46の下、Natural F&P Co. Ltdから、商品名K-LACの下、RNA Co.から購入してもよい。成分はまた、その他の成分又はプロバイオティック生物との混合物の形態で購入してもよい。発酵物は、約0.001~10%、好ましくは、約0.1~5%、より好ましくは、約0.1~3%の範囲の量で存在し得る。
【0049】
別のプロバイオティック微生物は、ビフィド属細菌由来である場合もあり、ビフィドバクテリウム属から得た発酵物又は発酵物溶解物の形態であり得る。例として、ビフィダ属発酵物抽出物、ビフィダ属発酵物溶解物又はビフィダ属発酵物濾液が挙げられる。ビフィダ属の発酵抽出物はまた、その他の成分又はプロバイオティック微生物との混合物の形態であり得る。ビフィドバクテリウム属発酵生成物は、約0.01~10%、好ましくは、約0.05~5%、より好ましくは、約0.1~2%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0050】
VII.その他の成分
A.保水剤
組成物は、1種以上の保湿剤を含有し得る。存在する場合、それらは、約0.01~75%、好ましくは約0.5~70%、より好ましくは約0.5~40%の範囲であり得る。適した保水剤の例として、グリコール、糖などが挙げられる。適したグリコールは、モノマー型又はポリマー型であり、PEG4-10(4~10個の繰り返しエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール)などのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、並びにプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール等などのC1~6アルキレングリコールが挙げられる。その一部は多価アルコールでもある適した糖もまた、適した保水剤である。このような糖の例として、グルコース、フルクトース、蜂蜜、水添蜂蜜、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロースなどが挙げられる。尿素もまた適している。好ましくは、本発明の組成物中で使用される保水剤は、C1~6、好ましくはC2~4アルキレングリコール、最も好ましくはブチレングリコールである。
【0051】
B.界面活性剤
特にエマルション形態である場合に、1種以上の界面活性剤を含むことが組成物にとって望ましい場合がある。しかし、組成物が溶液、懸濁液、又は無水である場合にも、そのような界面活性剤を使用してもよく、極性を有する成分、例えば顔料の分散を補助するであろう。このような界面活性剤は、シリコーン又は有機ベースであり得る。界面活性剤はまた、油中水型又は水中油型のいずれかの安定なエマルション形成も補助するであろう。存在する場合、界面活性剤は、総組成物の約0.001~30重量%、好ましくは約0.005~25重量%、より好ましくは約0.1~20重量%の範囲であり得る。
【0052】
1.有機非イオン性界面活性剤
組成物は、1種以上の非イオン性有機界面活性剤を含み得る。適した非イオン性界面活性剤として、アルコールと、通常はエチレンオキシド又はプロピレンオキシドであるアルキレンオキシドとの反応により形成される、アルコキシル化アルコール又はエーテルが挙げられる。適したアルコールとしては、一価、二価、又は多価短鎖(C1~6)アルコール、コレステロールの芳香族若しくは脂肪族飽和又は不飽和脂肪(C12~40)アルコールなどが挙げられる。
【0053】
一実施形態では、アルコールはコレステロールであるか、或いは6~40個、好ましくは約10~30個、より好ましくは約12~22個の炭素原子を有し得る芳香族若しくは脂肪族飽和又は不飽和脂肪アルコールである。例として、オレイルアルコール、セテアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。このような成分の例としては、オレス(Oleth)2-100、ステアレス(Steareth)2-100、ベヘネス(Beheneth)5-30、セテアレス(Ceteareth)2-100、セテス(Ceteth)2-100、コレス(Choleth)2-100が挙げられ、ここでは、数値範囲は繰り返しエチレンオキシド単位の数を意味し、例えば、セテス2-100とは、繰り返しエチレンオキシド単位の数が2~100の範囲であるセテスを意味する。アルコキシル化アルコールの誘導体、例えばそのリン酸エステルなどもまた適している。
【0054】
いくつかの好ましい有機非イオン性界面活性剤として、オレス-3、オレス-5、オレス-3ホスフェート、コレス-24、セテス-24などが挙げられる。
【0055】
一価、二価、又は多価短鎖アルコール、例えば、約1~6個の炭素原子を有するものを用いて形成されたアルコキシル化アルコールもまた適している。例として、グルコース、グリセリン、又はそれらのアルキル化誘導体が挙げられる。例としては、グリセレス(glycereth)2-100、グルセス(gluceth)2-100、メチルグルセス(methyl gluceth)2-100などが挙げられる。メチルグルセス-20、グリセレス-26などがより好ましい。
【0056】
一般的にPEG12~200と称される様々な数の繰り返しEO基を有するエチレンオキシドポリマーを含むその他の種プのアルコキシル化アルコールは、適した界面活性剤である。PEG-75がより好ましく、これは商品名Carbowax PEG-3350の下でDow Chemicalから購入することができる。
【0057】
その他の適した非イオン性界面活性剤として、アルコキシル化ソルビタン及びアルコキシル化ソルビタン誘導体が挙げられる。例えば、ソルビタンのアルコキシル化、特にエトキシル化は、ポリアルコキシル化ソルビタン誘導体をもたらす。ポリアルコキシル化ソルビタンのエステル化は、ポリソルベートなどのソルビタンエステルをもたらす。例えば、ポリアルコキシル化ソルビタンは、C6~30、好ましくはC12~22脂肪酸を用いてエステル化することができる。このような成分の例として、ポリソルベート20-85、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0058】
少なくとも1種のMir-146aアクチベーター、及びプロテアソームアクチベーター、DNA修復酵素、CLOCK又はPER1遺伝子アクチベーター、自食作用アクチベーターのうち1種以上又はそれらの組合せを含む局所組成物が好ましい。
【0059】
局所組成物を、1日に1回以上皮膚に適用してもよい。組成物が、夜、就寝前に皮膚に適用される場合が好ましい。
【0060】
局所組成物を製剤化するための方法
I.成分
Mir-146a遺伝子発現を刺激する成分は、本明細書において示される方法に従ってスクリーニングすることによって同定できる。
【0061】
II.成分を用いたin vitroでの皮膚細胞の処置
皮膚細胞は、ケラチノサイト、線維芽細胞又は脂肪細胞であり得る。in vitro試験のために皮膚細胞をまず採取する。細胞を適当な培養培地中で増殖させ、細胞の一部を、試験するのに適当である種々の濃度の成分に対して曝露する。
【0062】
III.皮膚細胞からのRNAの抽出
次いで、処理及び未処理細胞を、細胞からRNAを単離するために最適化された溶媒に対して曝露することによって溶解し、ホモジナイズする。フェノール及びグアニジウム化合物を含む溶媒溶液が好ましい。グアニジウム化合物は、酸又はその塩であってよく、チオシアン酸グアニジウム又は塩酸グアニジウムを、分解からRNA成分を保護するのに十分な量で含み得る。溶媒が、約0.5~2モル濃度のチオシアン酸グアニジウムを含む場合が好ましい。組成物はまた、約4~6の範囲の溶液のpHを維持するのに十分な量の、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム又はそれらの混合物などの1種以上の緩衝成分に加えて、さらなるチオシアン酸化合物、例えば、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩も含有し得る。水相からタンパク質を抽出し、RNAを分解する混入酵素の作用を阻害するフェノールに加えて、フェノール可溶化剤を含むことが望ましいことであり得る。適したフェノール安定化剤として、グリセロールのような多価アルコールが挙げられる。0.5~2モル濃度のチオシアン酸グアニジウム、0.1~0.6モルのチオシアン酸アンモニウム、組成物のpHを4~6の範囲にする量のバッファー(例えば、酢酸ナトリウム)及び3~10%の範囲の量のグリセロール及び30~50%の範囲のフェノールを含む溶媒が好ましく、すべてのパーセンテージは、総組成物の容量による。溶媒及びプロセスは、その全文が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,346,994号に開示されている。
【0063】
次いで、細胞を沈降させ、イソプロパノールを用いる処理によって水相中に存在するRNAを沈殿させ、遠心分離して沈降物を得、次いで、これをエタノールを用いて洗浄し、再度遠心分離して、精製総細胞性RNAを得る。サンプル中の総RNAの量は、260nm波長での分光光度計によって測定できる。
【0064】
IV.cDNA鎖を形成するための、抽出されたRNAの逆転写
次いで、RNAサンプルを逆転写酵素に対して曝露することによってRNA鎖を逆転写する。
【0065】
V.Mir-146aに特異的なプライマー配列を用いたMir-146aと相補的であるcDNA鎖の増幅及び定量化
次いで、Mir-146aに特異的なタグ付きプライマー核酸配列に対して曝露することによって、cDNA鎖を増幅し、定量化する。これは、総RNAのMir-146a成分に対してアニーリングするステムループプライマーによって達成される。
【0066】
プライマー配列又はプローブが、18~22ヌクレオチドを有し、5'末端でフルオロフォアを用いて、及び3'末端でクエンチャーフルオロフォアを用いて標識される場合が好ましい。プライマーは、Mir-146aヌクレオチドと相補的であり、全Mir-146aヌクレオチド配列に対して全体的に、又は部分的に相同相補性であり得る。プライマー配列又はプローブは、Mir-146aヌクレオチド配列に対して完全に又は部分的に相同であり得る。
【0067】
次いで、プローブに対してアニーリングされたMir-146aを、PCR混合物中で、Mir-146a鎖と相補的であるcDNAに増幅し、タグ付きフルオロフォアを測定することによって容易に定量化できる。次いで、得られたデータを、未処理細胞及び対照に関する測定値と比較する。
【0068】
VI.未処理細胞と比較した場合に、cDNAの増大を示す成分の選択
局所製剤に製剤化するために、未処理又は陰性対照細胞と比較して、Mir-146aプローブに対してアニーリングされたcDNAの増大を示す成分を選択する。
【0069】
Bienesら、Methods、第50巻(2010年)244~249頁に示された方法は、皮膚細胞から得た抽出物Mir-146aにおいて、皮膚細胞においてMir-146a活性を刺激する成分を同定するために使用するのに適している。
【0070】
皮膚を処置するための方法
本発明はまた、皮膚細胞において、(a)Mir-146a発現、(b)CLOCK又はPER1遺伝子発現、(c)細胞性DNA修復及び(d)幹細胞性を刺激するための方法であって、アジュバントと組み合わせて1種以上の成分が効果(a)、(b)、(c)及び(d)を提供する組成物を局所適用することによる方法を対象とする。
【0071】
本発明はまた、皮膚を処置して、(a)保水、(b)皮膚発赤又は炎症の低減、(c)線及び皴の出現を最小にすること、(d)肌の色を整えること、(e)手、顔面及び頸部での不規則性及びしみの出現を最小にすること、(f)不均一な色素沈着の出現を改善すること、(g)又はそれらの組合せの群から選択される1つ以上の利益を提供するための方法であって、(i)Mir-146a発現を刺激する、及び(ii)損傷を受けた細胞性DNAの修復を改善する、及び/又は(iii)CLOCK若しくはPER1遺伝子活性を刺激する、及び/又は(iv)幹細胞性又は幹細胞に固有の幹細胞マーカーの発現を維持する1種以上の成分を、アジュバントと組み合わせて含有する組成物を局所適用することによる方法を対象とする。
【0072】
用語「幹細胞性」とは、それらをその他の種類の細胞と区別する、幹細胞の本質的な特徴を指す。このような特徴は、自己再生及び分化した後代の生成を含む。個々の皮膚中に固有に存在する上皮幹細胞の正常な健康及び満足(well-being)を促進する任意の成分は、幹細胞性を促進すると考えられる。幹細胞性は、幹細胞上に存在する特異的マーカーを測定することによって確認又は定量化できる。
【0073】
本発明を、単に例示目的で示される以下の実施例と関連してさらに記載する。
【実施例】
【0074】
[実施例1]
150以下のヌクレオチドを有する小分子RNAが濃縮されたアフリカバオバブ(Adansonia digitata)(バオバブ)の抽出物を、1キログラムの蒸留水中に50グラムのバオバブ種子ケーキを組み合わせ、3.8グラムのEDTA四ナトリウムを添加することによって調製した。pHを10.5から11の間であるように調整した。混合物を58℃で2時間撹拌し、pHを7~8の間に調整した。次いで、植物材料に2重量%のパパインを添加することによって、タンパク質分解酵素を用いる加水分解を実施した。混合物を58℃で2時間撹拌した。抽出物を4000gで10分間遠心分離して固体を除去した。次いで、20から50及び7~20ミクロンの間の多孔性サイズが減少するフィルターを使用して逐次濾過を実施して、植物抽出物を清澄化した。次いで、抽出物を80℃に一晩(少なくとも12時間)加温して、酵素を不活性化した。0.3~0.4ミリミクロンの多孔性が達成されるまで、次第により小さいフィルターを用いて、さらなる濾過を実施した。次いで、pHを6~6.5に再調整した。次いで、抽出物を、水及び30%グリセロールの混合物に希釈した。得られた抽出物は、バオバブの赤琥珀色の水性抽出物及び57mg/kgの、150未満のヌクレオチド長の小分子RNAであった。
【0075】
[実施例2]
62歳のドナーから得た正常ヒト皮膚線維芽細胞を、60mmペトリディッシュあたり500,000個細胞の密度で、10%血清及び1%抗生物質を補給したダルベッコの改変イーグル培地(「DMEM」)(Life Technology)中に播種した。
【0076】
翌日、3つの独立した生物学的複製物を用いて、以下の成分を用いて細胞を48時間処理した:
(a)0%(未処理又は対照)、1%、2%及び3%の濃度のバオバブ抽出物、3つの複製物のサンプル。
(b)0%(未処理又は対照)、0.2%、0.5%及び1%のPS活性の濃度の藻類抽出物(Polysea、PS)、3つの独立した生物学的複製物。
(c)0%(未処理又は対照)、0.0000625%、0.000125%及び0.00025%のNG活性の濃度のワサビノキ抽出物(Nutringa(登録商標))、3つの独立した生物学的複製物。
(d)0%(未処理又は対照)、0.01%、0.05%及び0.1%の濃度のゴマ油(S.O)。
【0077】
RNA抽出:
総RNA(マイクロRNAを含む)を、miRNeasy Microキット(50)、カタログ番号217084、QIAGENを用いて抽出した。反応のチューブあたり合計10ナノグラム(ng)の溶出されたRNAを利用して、Mir 146a(標的microRNA)及び内部小分子核RNA(snoRNA)及び対照RNU44に対する特異的RTプローブを用いる逆転写(「RT」)を実施した。RTステップは、TaqMan microRNA逆転写キット、カタログ番号4366596を利用して製造業者の使用説明書のとおりにTaqMan microRNAアッセイ(Applied Biosystems)を用いて実施した。
【0078】
定量的リアルタイムPCR(「qRT-PCR」)増幅ステップを、Applied BiosystemsによるQuantStudio 7 Flex Machineを利用して、Mir-146a及びRNU44に対する特異的蛍光標識プローブを用いて実施した。処理細胞のリアルタイム遺伝子発現レベルを、未処理及び対照に対して測定した。遺伝子標的の定量化は、サイクル閾値(Ct)の値、すなわち、蛍光シグナルが閾値を通過する、又はバックグラウンドレベルを超えるのに必要なサイクル数を解析することによって達成した。試験抽出物を用いて処理したサンプルの得られたCt閾値サイクル値を、Ct未処理対照に対して正規化した。x軸にプロットされた成分の濃度に対する、y軸にプロットされた遺伝子発現変化値をGraph Prism 5ソフトウェア、カリフォルニア州、サンディエゴにおいてグラフ化した。その他の試験サンプルについて同一手順を使用した。
【0079】
溶出されたRNAの残りを、cDNA High Capacity逆転写キットカタログ番号43668814を使用してランダムプライマーを用いて増幅し、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)増幅ステップを、Applied Biosystems製のQuantStudio 7 Flex Machineを使用し、GAPDH(内部対照)、標的メッセンジャーRNA(mRNA)として(PER1及びLin28Aに対する特異的蛍光標識プローブを用いて実施した。遺伝子標的の定量化は、Ct値を解析することによって達成された。活性物質の濃度(例えば、1%、2%及び3%)(x軸にプロットされた)に対する、PCRサイクル発現変化値(y軸にプロットされた)が、Graph Prism 5ソフトウェア、カリフォルニア州、サンディエゴにおいてグラフ化された解析されたデータ。
【0080】
【0081】
藻類抽出物(Polysea)の結果が、
図2に示されている。
【0082】
【0083】
【0084】
結果は、試験細胞において、バオバブ抽出物及び藻類抽出物が、Mir-146a遺伝子発現を刺激したが、ワサビノキ及びゴマ油は有効ではなかったことを実証する。
【0085】
[実施例3]
Mir-146a及びPER1活性化間の関係を調べるためにMir-146aについて、種々の成分を試験した。
【0086】
未処理細胞において年齢とともにPER1発現の年齢依存的増大があった。miR-146aの阻害は、すべての年齢の細胞においてPER1発現を低下させたが、62歳の細胞で最大の影響を有しており、19歳のドナーから得た細胞では最小の効果しかなかった。
【0087】
この実施形態では、3つの異なる年齢のドナーから得た線維芽細胞においてmiR-146aを阻害して、PER1発現にどのように影響を及ぼすかを調べた。
19、40及び62歳ドナーp6、p6及びp9から得た正常ヒト皮膚線維芽細胞
DMEM(Life Technologies、カタログ番号11965-092)
仔ウシ血清(Thermo、カタログ番号SH30072.03)
ペニシリンストレプトマイシン(Cellgro、カタログ番号30-001-CI)
DPBS(Corning、カタログ番号21-031-CV)
hsa-miR-146 mirVana阻害剤(Ambion、カタログ番号4464084)
Dharmafect 3トランスフェクション試薬(GE Life Sciences、カタログ番号T-2003-01)
Quant-iT(商標)RiboGreen(登録商標)RNAアッセイキット(Life Technologies、カタログ番号R11490)
High Capacity cDNAアーカイブキット(Life Technologies、カタログ番号7322171)
TaqMan Fast Universal PCRマスターミックス(Life Technologies、カタログ番号4352042)
RNアーゼ阻害剤(Life Technologies、カタログ番号N808-0119)
GAPDHプライマー対(Life Technologies、カタログ番号Hsl0192604_ml)
Per1プライマー対(Life Technologies、カタログ番号Hs00797944_sl)
Micro Amp Fast Optical 96ウェル反応プレート(Life Technologies、カタログ番号4346906)
Micro Amp Optical接着フィルム(Life Technologies、カタログ番号4311971)
【0088】
方法:
細胞を6cmプレートに、プレートあたり400,000個細胞でプレーティングし、24時間インキュベートした。
阻害剤を100μlのH2Oに再懸濁して、50mM溶液を作製した。
100μΜ阻害剤(総容量18.2mL)を調製した。
2つのチューブを調製し、室温で5分間インキュベートした。
【0089】
【0090】
両チューブの内容物を、50mLのコニカルチューブ中で組み合わせ、室温(25℃)で20分間インキュベートした。14.56mLのペニシリン/ストレプトマイシン不含培地(ペニシリン/ストレプトマイシンを含まない、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)+10%仔ウシ血清)を添加した。
細胞をPBSを用いて1回洗浄し、続いて、2mLの処理成分を用い24時間洗浄した。
実施例1に示されるように、RNAを抽出し、定量化した。
【0091】
結果は、
図4に示されており、細胞においてMir-146a活性が阻害された場合に、PER1発現も阻害されたことを示し、したがって、Mir-146a活性とPER1発現の間の正の相関を示す。
【0092】
miR-146aの阻害は、すべての年齢のドナーから得た細胞においてPER1発現を減少させ、62歳のドナーから得た細胞に対して最大の効果を有していた。19歳のドナーから得た細胞でのPer1発現に対する阻害の効果は、最小であった。
【0093】
[実施例4]
細胞をおよそ11,000個細胞/ディッシュの濃度で35mmガラス底細胞培養ディッシュにプレーティングすることによって、PolyseaをMir-146a活性化についてスクリーニングした。細胞を200μlの培地(ダルベッコの改変イーグル培地(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号11965-092)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Corning、カタログ番号30-001-CI)+10%仔ウシ血清(HyClone、カタログ番号SH30072.03))に懸濁し、ディッシュの中心のくぼみに均一に塗布した。1時間後、ディッシュに3mlの培地を添加した。細胞を37℃、5% CO2及び95%湿度で、37℃で24時間インキュベートした。Mir-146aに対するSmartFlare(登録商標)プローブ(EMD Millipore、カタログ番号SF-500)を、50μlの滅菌H2Oを用いて、バイアルに直接再構成した。バイアルを保存した。次いで、10μlの再構成されたプローブ及び10mlの培地を組み合わせ、混合するためにバイアルを反転させることによって、SmartFlare(登録商標)溶液を調製した。各ディッシュにSmartFlare(登録商標)溶液2mlを入れ、ディッシュを16時間インキュベートした。細胞をダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Corning、カタログ番号21-031-CV)を用いて洗浄し、続いて、16時間インキュベートした。10μlの溶液を、10mlの培地と組み合わせることによってHoechst 33342核染色(Enzo、カタログ番号ENZ-51031-HOE33342)の1:1000溶液を調製した。1:1000 Hoechst溶液の培地2mlを各ディッシュに入れ、ディッシュを室温で5分間インキュベートした。細胞をDPBSを用いて洗浄した。各ディッシュに、1mlの培地を入れた。Nikon Elementsを備えたNikon A1共焦点顕微鏡を使用して画像を獲得した。20×のための設定は以下のとおりとした:
制御方法:フレーム/秒 1/4
サイズ1024
ノーマル
Chシリーズ
ピンホール1.2AU
チャンネル設定:DAPI/HV100/オフセット0/レーザー5
FITC:なし
TRITC:HV145/オフセット0/レーザー8
Cy5.5:HV120/オフセット0/レーザー5
【0094】
Nikon Elementsソフトウェア中のボリューム測定ツールを使用して、画像中の蛍光によってMir-146aの量を測定した。
本発明は、以下を提供する。
1. アジュバント及び皮膚細胞においてMir-146a発現を刺激する少なくとも1種の成分を含む局所組成物。
2. アジュバントが、(a)DNA修復酵素、(b)PER1遺伝子発現アクチベーター、(c)CLOCK遺伝子発現アクチベーター、(d)自食作用アクチベーター、(e)プロテアソームアクチベーター、(f)ラクトバチルス属由来の抽出物、(g)ビフィドバクテリウム属由来の抽出物及び(h)それらの混合物からなる群から選択される、上記1に記載の組成物。
3. ビフィドバクテリウム属由来の抽出物が、ビフィドバクテリウム属由来の発酵物、濾液又は溶解物である、上記2に記載の組成物。
4. ラクトバチルス属由来の抽出物が、溶解物、濾液又は発酵物である、上記2に記載の組成物。
5. 自食作用アクチベーターが、リソサムニウム属、メリロット属、シトラス属、カンジダ属、レンス属、ウルティカ属、カラムボラ属、モモルジカ属、ヤロウィア属、プルムバゴ属又はそれらの組合せ由来の抽出物からなる群から選択される、上記2に記載の組成物。
6. 自食作用アクチベーターが、カンジダ・サイトアナであるカンジダ属由来の抽出物である、上記5に記載の組成物。
7. プロテアソームアクチベーターが、アルギン、アルギネート、加水分解アルギン、糖蜜抽出物、ホウロクタケ属抽出物及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記2に記載の組成物。
8. PER1遺伝子発現アクチベーターが、トリペプチド-32、テトラペプチド-26及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記2に記載の組成物。
9. アジュバント及び皮膚細胞においてMir-146a活性の発現を刺激する少なくとも1種の成分を含む局所組成物を製剤化するための方法であって、
(a)成分を用いてin vitroで皮膚細胞を処理するステップと、
(b)皮膚細胞からRNAを抽出するステップと、
(c)RNAを逆転写して、cDNA鎖を形成するステップと、
(d)プライマー配列を用いてプローブし、Mir-146aと相補的であるcDNA鎖とアニーリングさせることによって、Mir-146aと相補的であるcDNA鎖を増幅し、定量化するステップと、
(e)未処理細胞と比較して、Mir-146aと相補的であるcDNAの増大を示す成分を選択するステップと
を含む、方法。
10. 皮膚細胞が、ケラチノサイト又は線維芽細胞である、上記9に記載の方法。
11. 少なくとも1種のアジュバント並びに(a)、(b)、(c)及び(d)を活性化する成分を含有する局所組成物を局所適用することによって、皮膚細胞において、(a)Mir-146a発現、(b)CLOCK又はPER1遺伝子発現、(c)細胞性DNA修復及び(d)幹細胞性を刺激するための方法。
12. アジュバントが、ビフィドバクテリウム属の発酵物、濾液又は溶解物であり、(a)が、アフリカバオバブ抽出物であり、(b)が、トリペプチド-32であり、(c)が、DNA修復酵素である、上記11に記載の方法。
13. アジュバントが、ラクトバチルス属の発酵物、濾液又は溶解物であり、(a)が、アフリカバオバブ抽出物であり、(b)が、トリペプチド-32であり、(c)が、DNA修復酵素である、上記11に記載の方法。
14. 皮膚を処置して、(a)保水、(b)皮膚発赤又は炎症の低減、(c)線及び皴の出現を最小にすること、(d)肌の色を整えること、(e)手、顔面及び頸部での不規則性及びしみの出現を最小にすること、(f)不均一な色素沈着の出現を改善すること、(g)日光、汚染、環境条件などに対する曝露によって損傷を受けた皮膚を修復すること、(h)皮膚弛緩を改善すること、又はそれらの組合せの群から選択される1以上の利益を提供するための方法であって、アジュバント並びに(i)Mir-146a発現を刺激する、及び(ii)損傷を受けた細胞性DNAの修復を改善する、及び/又は(iii)CLOCK若しくはPER1遺伝子活性を刺激する、及び/又は(iv)幹細胞に固有の幹細胞マーカーの発現を維持することによって幹細胞性を促進する1種以上の成分並びにアジュバントを含有する組成物を局所適用することによる、方法。
15. 利益が幹細胞性を促進することである、上記14に記載の方法。
【0095】
本発明を好ましい実施形態に関連して記載しているが、本発明の範囲を示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、反対に、このような代替法、改変及び等価物を、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内に含まれ得ると対象とするように意図される。
【配列表】