(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】傾斜シフト虹彩撮像
(51)【国際特許分類】
G06V 40/19 20220101AFI20240426BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240426BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G06V40/19
G06T7/00 510D
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2022199309
(22)【出願日】2022-12-14
(62)【分割の表示】P 2021071878の分割
【原出願日】2016-05-19
【審査請求日】2022-12-14
(32)【優先日】2015-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン ケーラー
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534655(JP,A)
【文献】特表2005-532831(JP,A)
【文献】特開2006-326326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00 - 7/90
G02B 27/02
G06V 40/18 - 40/19
G06V 10/00 - 20/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着可能システムであって、前記装着可能システムは、
ユーザによって装着されるように構成されている光学デバイスと、
前記光学デバイスに結合されている複数の撮像デバイスであって、前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、
レンズと、
イメージャ平面に対応するイメージャ本体と
を備えている、複数の撮像デバイスと
を備え、前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、前記ユーザの眼の虹彩の画像を捕捉するように構成され、前記虹彩は、虹彩平面に対応し、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズは、前記撮像デバイスの焦点面が前記虹彩平面に平行になるように、前記撮像デバイスの対応するイメージャ平面に対して傾斜させられ、
軸外の前記複数の撮像デバイスは、広角のレンズとして使用されるように構成され
、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズは、前記対応するイメージャ平面の中心軸から離れるようにシフトされている、装着可能システム。
【請求項2】
前記光学デバイスは、前記ユーザの頭に装着されるように構成されている、請求項1に記載の装着可能システム。
【請求項3】
前記光学デバイスは、一対の眼鏡またはゴーグルを備えている、請求項2に記載の装着可能システム。
【請求項4】
前記光学デバイスは、一対の眼鏡を備え、前記一対の眼鏡は、
上側周縁および下側周縁を有するフレームと、
ディスプレイと
を備えている、請求項3に記載の装着可能システム。
【請求項5】
装着可能システムであって、前記装着可能システムは、
ユーザによって装着されるように構成されている光学デバイスと、
前記光学デバイスに結合されている複数の撮像デバイスであって、前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、
レンズと、
イメージャ平面に対応するイメージャ本体と
を備えている、複数の撮像デバイスと
を備え、前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、前記ユーザの眼の虹彩の画像を捕捉するように構成され、前記虹彩は、虹彩平面に対応し、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズは、前記撮像デバイスの焦点面が前記虹彩平面に平行になるように、前記撮像デバイスの対応するイメージャ平面に対して傾斜させられ、
軸外の前記複数の撮像デバイスは、広角のレンズとして使用されるように構成され、
前記光学デバイスは、接眼鏡を備えている、
装着可能システム。
【請求項6】
前記接眼鏡は、単眼鏡および双眼鏡のうちの1つ以上を備えている、請求項5に記載の装着可能システム。
【請求項7】
前記接眼鏡は、望遠鏡、顕微鏡、または複合光学システム内に含まれる、請求項5に記載の装着可能システム。
【請求項8】
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、前記フレームの前記下側周縁に取り付けられている、請求項4に記載の装着可能システム。
【請求項9】
装着可能システムであって、前記装着可能システムは、
ユーザによって装着されるように構成されている光学デバイスと、
前記光学デバイスに結合されている複数の撮像デバイスであって、前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、
レンズと、
イメージャ平面に対応するイメージャ本体と
を備えている、複数の撮像デバイスと
を備え、前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、前記ユーザの眼の虹彩の画像を捕捉するように構成され、前記虹彩は、虹彩平面に対応し、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズは、前記撮像デバイスの焦点面が前記虹彩平面に平行になるように、前記撮像デバイスの対応するイメージャ平面に対して傾斜させられ、
軸外の前記複数の撮像デバイスは、広角のレンズとして使用されるように構成され、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズは、前記イメージャ平面に対して約2.0~約8.5度の範囲内の傾斜角度で構成されている、
装着可能システム。
【請求項10】
装着可能システムであって、前記装着可能システムは、
ユーザによって装着されるように構成されている光学デバイスと、
前記光学デバイスに結合されている複数の撮像デバイスであって、前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、
レンズと、
イメージャ平面に対応するイメージャ本体と
を備えている、複数の撮像デバイスと
を備え、前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、前記ユーザの眼の虹彩の画像を捕捉するように構成され、前記虹彩は、虹彩平面に対応し、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズは、前記撮像デバイスの焦点面が前記虹彩平面に平行になるように、前記撮像デバイスの対応するイメージャ平面に対して傾斜させられ、
軸外の前記複数の撮像デバイスは、広角のレンズとして使用されるように構成され、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズは、約1.0~約2.5mmの範囲内のシフトオフセットを有する、
装着可能システム。
【請求項11】
光学デバイスと複数の撮像デバイスとを備える装着可能システムのための方法であって、前記方法は、
前記複数の撮像デバイスが、ユーザの眼の虹彩の1つ以上の画像を捕捉することであって、前記虹彩は、虹彩平面に対応し
、前記複数の撮像デバイスの各々は、
レンズと、
イメージャ平面に対応するイメージャ本体と
を備え
る、ことと、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスが、各撮像デバイスのそれぞれのレンズを対応するイメージャ平面の中心軸から離れるようにシフトすることと
を含み、前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、前記ユーザによって装着される前記光学デバイスに結合され、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズは、前記撮像デバイスの焦点面が前記虹彩平面に平行になるように、前記撮像デバイスの対応するイメージャ平面に対して傾斜させられ、
軸外の前記複数の撮像デバイスは、広角のレンズとして使用されるように構成されている、方法。
【請求項12】
前記虹彩の前記1つ以上の捕捉された画像からバイオメトリック情報を取得することと、前記バイオメトリック情報に基づいて、前記ユーザの識別を検証することとをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バイオメトリック情報を虹彩コードに変換することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズを傾斜させることにより、対応するイメージャ本体の焦点面を調節することをさらに含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
光学デバイスと複数の撮像デバイスとを備える装着可能システムのための方法であって、前記方法は、
前記複数の撮像デバイスが、ユーザの眼の虹彩の1つ以上の画像を捕捉することであって、前記虹彩は、虹彩平面に対応し、前記複数の撮像デバイスの各々は、
レンズと、
イメージャ平面に対応するイメージャ本体と
を備える、ことと、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズを傾斜させることにより、対応するイメージャ本体の焦点面を調節することと
を含み、前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスは、前記ユーザによって装着される前記光学デバイスに結合され、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズは、前記撮像デバイスの焦点面が前記虹彩平面に平行になるように、前記撮像デバイスの対応するイメージャ平面に対して傾斜させられ、
軸外の前記複数の撮像デバイスは、広角のレンズとして使用されるように構成され、
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスのそれぞれのレンズは、前記イメージャ平面に対して約2.0~約8.5度の角度で傾斜させられる、
方法。
【請求項16】
前記複数の撮像デバイスの各撮像デバイスが、前記各撮像デバイスのそれぞれのレンズを約1.0~約2.5mmの間でシフトさせることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記虹彩の前記1つ以上の捕捉された画像は、前記ユーザの前記虹彩を部分的に、または完全に撮像する、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ユーザの一方または両方の虹彩が、前記複数の撮像デバイスによって、部分的に、または完全に撮像される、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第62/164,257号(2015年5月20日出願)に対する優先権を主張し、上記出願は、その全体が参照により本明細書において引用される。
【0002】
(分野)
本願は、バイオメトリック認識および識別のための撮像システムならびに方法に関する。撮像システムおよび方法は、概して、識別の1対1検証における虹彩認識ならびに識別に適用可能であるが、1対多識別状況においても使用されることができる。具体的には、虹彩の軸外撮像が、これらのシステムおよび方法を使用して遂行され得る。
【背景技術】
【0003】
バイオメトリクスは、それによって個人の固有の身体的特質または特性が、識別を決定もしくは確認する手段として検出および記録されるプロセスである。指紋、音声パターン、顔面パターン、および網膜血管パターンが、現在使用されている身体的特質を区別するいくつかの例である。人間の虹彩の走査も、周知のバイオメトリック方法である。
【0004】
虹彩検証は、それによってある個人から算出された「テンプレート」と呼ばれるバイオメトリックコードが、その人物がそうであると主張する人物であるかどうかを決定するために、以前に記憶されたバイオメトリックコードと比較される1対1プロセスである。一方、虹彩識別は、ある個人から算出されたバイオメトリックテンプレートが、既知の集団からその個人の識別を決定することを目的として、多くの異なるバイオメトリックテンプレートのデータベースと比較される1対多プロセスである。眼の虹彩は、遺伝的に同じ個人(すなわち、同じ双子)を含む各人物に固有である可視パターンを有する。それは、個人間の判別のために使用されるために十分な情報量を伴うデータ豊富な身体的構造も有する。固有の識別子として虹彩パターンを使用する1つの利点は、それらがわずかしか加齢による影響を受けず、したがって、個人の生涯にわたって使用され得ることである。
【0005】
いくつかの技法が、バイオメトリック情報の収集のために虹彩を正確に撮像するために開発されている。これらの技法の多くは、個人による協力および/または虹彩の画像が眼の前に(「軸上に」もしくは虹彩と「一直線に」)位置するカメラから取得されることを要求する。例えば、調節可能スイベル上にカメラおよびモニタを含む、IriScan 2100(IriScan(Marlton,N.J.))虹彩走査装置を使用するとき、対象は、カメラの約1フィート前に立ち、自身の眼のクリアな画像がモニタスクリーン上に見られ得るまでスイベルを調節しなければならない。人物は、次いで、カメラに向かってゆっくりと移動し、カメラが画像を捕捉するまで眼をモニタのウィンドウの中心に保たなければならない。虹彩画像から導出される標準バイオメトリックテンプレートである虹彩コードが、次いで、典型的には、特定の個人に関連付けられる他のデータとともにデータベース内に記憶され、それによって、登録プロセスを完了する。その後、その同一人物が検証される必要があるとき、眼の新しい画像が、登録に関して採用される同一の様式で取得され、虹彩コードを算出するために使用され、それは、次いで、ファイル上の虹彩コードと比較される。手順は、いくつかの用途に対して満足のゆくものであるが、撮像のために虹彩に適正に焦点を合わせるためのその自己整列の必要性は、それがある他のアクセス制御アクティビティのために十分に迅速であることを妨げる。さらに、眼鏡またはゴーグル等のヘッドマウントシステムにおいて実装される場合、このタイプのイメージャは、現実世界のユーザの視界を遮断するであろう。
【0006】
虹彩を撮像するための別のシステムが、Raguin、他による米国第8,317,325号(特許文献1)に提供されている。公知の虹彩認識システムで典型的であるように、単眼からの情報を使用する代わりに、Raguin、他のシステムは、ある人物の左右両方の虹彩からの情報を使用し、その人物を登録、識別、または検証する。加えて、システムは、2つの眼の画像を使用し、2つの眼の間に延びる仮想線間の頭部傾斜角度を決定し、存在する場合、頭部傾斜を実質的に除去するために角度に従って左右の虹彩画像を回転させるプロセッサを含む。しかしながら、IriScan 2100のように、ユーザ(または撮像デバイス)は、虹彩の焦点を調節するために、撮像デバイスの軸に沿って平行移動しなければならない。
【0007】
Bazakos、他による米国第8,064,647号(特許文献2)に説明され、虹彩の自己整列を要求しない、また別の虹彩検出システムでは、虹彩の複数の領域が、撮像され、虹彩の輪郭を描くことが可能であるセグメント化アルゴリズムを受ける。初期領域画像が適切に向けられていない、または十分に焦点を合わせられていない場合、追加の画像が、取得され、それらの画像は、数値コードを取得するために処理される。Bazakos、他によって開示される撮像技法は、虹彩がカメラから遠隔にあるときに有用であり得るが、ユーザ識別を要求するある用途のために十分に迅速でないこともある。
【0008】
別の事例では、Van Sant、他による米国第6,320,610号(特許文献3)に開示されるように、ミラーが、現金自動支払機(ATM)システムの傾斜フレーム上に提供され、それは、虹彩から反射される光を受け取り、次いで、反射された光を虹彩画像を生成するためのカメラに向かわせるように調節されることができる。Van Sant、他のシステムは、ユーザによる協力またはカメラと一直線の虹彩の配置を要求しないが、それは、ATM等のより大型の電気機械的デバイスにおいてのみ有用であり得る。
【0009】
したがって、現在の虹彩認識システムは、それらがユーザによる実際の協力を要求するか、および/またはユーザが自身の眼もしくは複数の眼を数秒にわたって撮像デバイスと一直線に配置することを要求するかのいずれかであるので、概して、その用途において限定される。先に記載されるように、これは、いくつかのアクセス制御用途に対して十分であり得るが、その他に対して十分に高速ではない。加えて、虹彩が撮像デバイスと一直線(軸上)である要件は、いくつかの識別システム、例えば、ヘッドマウント技術との使用のための識別システムに適していない場合がある。
【0010】
故に、虹彩を迅速かつ正確に撮像することが可能な撮像システムを有することが、有用であろう。虹彩の軸外撮像を提供するシステムも、有益であろう。アクセス制御のために虹彩撮像システムを使用する方法も、有用であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第8,317,325号明細書
【文献】米国特許第8,064,647号明細書
【文献】米国特許第6,320,610号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
虹彩を撮像するためのシステムが、本明細書において説明される。システムは、概して、光学デバイスに取り付けられる軸外(すなわち、眼または虹彩の中心外)イメージャを含む。軸外イメージャは、典型的には、レンズと、イメージャ/カメラ本体とを備えている。例示的光学デバイスは、限定ではないが、眼鏡およびゴーグル等のヘッドマウントデバイス、ならびに単眼鏡、双眼鏡、望遠鏡、顕微鏡、他のタイプの視認スコープ、または視認するために使用される任意の他の複合光学システム(例えば、デジタルSLRカメラ)等の1つ以上の接眼鏡を備えているデバイスを含む。いくつかの事例では、軸外イメージャは、光学デバイスに取り付けられることなく画像を取得することが可能である。例えば、軸外イメージャは、デジタルカメラであり得る。ここでは、デジタルカメラによって撮影される写真は、写真を撮影する人物の識別に関連する情報を含むように構成され得る。
【0013】
軸外イメージャは、一対の眼鏡の下側周縁に搭載され得る。クリアかつ/または正確な画像を取得するために、軸外撮像デバイスのレンズは、撮像される物体の平面、例えば、虹彩の平面と平行であるように焦点面の角度を調節する傾斜度ならびにシフトオフセットを提供され得る。
【0014】
研究は、軸外虹彩認識について、多くの場合、「非協力虹彩認識」の表題の下で行われている。しかしながら、この場合、既存の研究機関は、虹彩画像が瞬時にしか取得されないときの認識の問題に焦点を当てている。この状況は、本明細書に説明されるシステムおよび方法の文脈とは実質的に異なり、本明細書に説明されるシステムおよび方法において、イメージャと虹彩との間の相対的幾何学形状は、前もってかなりの程度把握されている。
【0015】
虹彩を撮像する方法も、本明細書に説明される。方法は、概して、それに取り付けられている軸外イメージャを有する光学デバイスを提供することと、軸外イメージャを使用して個人の虹彩を撮像することとを含む。虹彩画像は、個人からバイオメトリック情報を取得するために使用され得る。システムに含まれるプロセッサは、虹彩アルゴリズムを使用してバイオメトリック情報を処理し、それを虹彩コードに変換するために使用され得、虹彩コードは、次いで、個人の識別を検証するために使用され得る。本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
虹彩を撮像するためのシステムであって、前記システムは、
光学デバイスと、
前記光学デバイスに取り付けられている軸外イメージャと
を備え、
前記軸外イメージャは、レンズと、カメラ本体とを備えている、システム。
(項目2)
前記光学デバイスは、ヘッドマウントデバイスを備えている、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記ヘッドマウントデバイスは、一対の眼鏡またはゴーグルを備えている、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記ヘッドマウントデバイスは、一対の眼鏡を備え、前記一対の眼鏡は、上側周縁および下側周縁を有するフレームと、透明ディスプレイとを備えている、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記光学デバイスは、接眼鏡を備えている、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記接眼鏡は、単眼鏡または双眼鏡である、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記接眼鏡は、望遠鏡、顕微鏡、または視認するために使用される複合光学システム内に含まれる、項目5に記載のシステム。
(項目8)
前記軸外イメージャは、前記フレームの下側周縁に取り付けられている、項目4に記載のシステム。
(項目9)
前記軸外イメージャのレンズは、約2.0~約8.5度に及ぶ傾斜を有する、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記軸外イメージャのレンズは、約1.0~約2.5mmに及ぶシフトオフセットを有する、項目1に記載のシステム。
(項目11)
虹彩を撮像する方法であって、前記方法は、
光学デバイスを提供することであって、前記光学デバイスは、それに取り付けられている軸外イメージャを有する、ことと、
前記軸外イメージャを使用して個人の虹彩を撮像することと
を含み、
前記軸外イメージャは、レンズと、カメラ本体とを備えている、方法。
(項目12)
前記撮像された虹彩からバイオメトリック情報を取得し、前記バイオメトリック情報を処理し、前記個人の識別を検証することをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記バイオメトリック情報は、虹彩コードに変換される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記軸外イメージャのレンズを傾斜させることにより、前記個人の虹彩の平面と平行になるように前記カメラ本体の焦点面を調節することをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記レンズは、約2.0~約8.5度傾斜させられる、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記軸外イメージャの前記レンズを約1.0~約2.5mmシフトさせることをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記虹彩を撮像することは、前記個人の虹彩を部分的に、または完全に撮像することを含む、項目11に記載の方法。
(項目18)
前記個人の一方または両方の虹彩が、部分的に、または完全に撮像される、項目11に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、軸上カメラを用いた虹彩の撮像を例証する。
【0017】
【
図2】
図2は、軸外カメラを使用した虹彩撮像の例証である。
【0018】
【
図3】
図3は、傾斜がレンズに適用されている軸外カメラを使用した虹彩撮像の例証である。
【0019】
【
図4】
図4は、シフトオフセットがレンズに適用されている軸外カメラを使用した虹彩撮像の例証である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に説明されるものは、虹彩を撮像するためのシステムおよび方法である。システムおよび方法は、虹彩を撮像し、続けて、高い正確度でユーザの識別を検証する手段としてバイオメトリック情報を抽出するために、軸外イメージャを採用し得る。いくつかの変形例では、虹彩撮像のためにカメラレンズを適切に位置付けるために、軸外イメージャのレンズは、傾斜および/またはシフトされる。
【0021】
先に記載されるように、虹彩撮像は、バイオメトリック識別の強力な手段として使用されることができる。眼の虹彩内の筋繊維のパターンは、各人物のための安定した固有のパターンを形成する。バイオメトリック正確度は、概して、虹彩画像がどの程度良好に分解され、焦点を合わせられ、セグメント化され、および抽出されるかに依拠する。虹彩画像を取得するとき、「虹彩上」ピクセルの数、虹彩露出、ダイナミックレンジ、および焦点は全て、虹彩組織構造の複雑さを捕捉する高品質画像を生産するために十分に精密でなくてはならない。
【0022】
多くの既存のシステムでは、
図1に示されるように、標的の眼に近接するカメラ(イメージャ)が、虹彩の画像を作製するために使用され、そして、それから識別特徴が抽出され得る。ここでは、カメラは、近接し、虹彩平面および焦点面は、互いに平行であるが、必要な開口が有効被写界深度を非常に小さくするので、非常に短い焦点距離(f)の必要性は、撮像を非常に困難にする。さらに、カメラは、眼の真正面に位置し、それは、ゴーグルまたは一対の眼鏡等のヘッドマウントシステムにおいて実装される場合、ユーザの視野を遮断するであろう。
【0023】
カメラまたはイメージャが軸外(すなわち、眼もしくは虹彩の中心外)に位置する場合、ヘッドマウントシステムの場合であろうように、かつ
図2に示されるように、(平坦である)虹彩の平面および焦点面が平行ではない問題が、もたらされ得る。小被写界深度のイメージャを前提とすると、結果として、虹彩の大部分および潜在的に許容不可能な部分の不明瞭化ならびに歪みがもたらされるであろう。
【0024】
上で言及される問題の1つの解決策は、
図3に図示されるように、虹彩の平面と平行であるように焦点面の角度を調節するであろう傾斜-シフトレンズをカメラに提供することである。
図3を参照すると、軸外カメラまたはイメージャ(302)のレンズ(300)は、傾斜(回転)され、虹彩の平面と平行であるようにイメージャの焦点面を変化させる。概して、傾斜は、焦点面の向きを制御するために使用されることができる。
【0025】
さらに説明すると、カメラレンズは、単一の平面にのみぴったり合った焦点を提供することができる。したがって、
図2のシナリオにおいて傾斜を伴わないと、虹彩画像は、レンズ/イメージャに平行である(かつレンズ軸に垂直である)焦点面上で取得され、ぴったり合った焦点における物体は全て、レンズおよびイメージャの両方に垂直な軸に平行に測定された場合にカメラから同一の距離にある一方、カメラから異なる距離にあるその他は、不明瞭である。
図3に図示されるように、レンズ(300)と、イメージャ/カメラ本体(302)とを備えている軸外イメージャを用いて撮像されるべき眼(303)が、示される。イメージャ本体(302)は、ディスプレイ(304)の下側縁に、またはそれの近くに取り付けられる。ディスプレイは、一対の眼鏡のレンズ等の透明ディスプレイであり得る。レンズ(300)は、(例えば、傾斜角度(ψ)(305)だけ)傾斜させられ、したがって、焦点面は、虹彩の平面(301)に平行であるように復元される。この平面内に位置する物体は全て、カメラから異なる距離にあるが、イメージャ本体(302)上にぴったりと焦点を合わせられることができる。したがって、ヘッドマウントデバイスから虹彩の正確な画像を取得することを試行するとき、傾斜することが可能な、または傾斜位置において搭載されることが可能なカメラレンズを有することが、有益であり得る。
【0026】
本明細書に説明される軸外イメージャは、約2.0~約8.5度(イメージャ平面に対するレンズ角度)に及ぶ傾斜(傾斜角度)で構成されるレンズを含み得る。例えば、典型的な眼鏡に見出される種類のフレームでは、レンズの傾斜量(イメージャ平面に対するレンズ角度)は、約2.0度、約2.5度、約3.0度、約3.5度、約4.0度、約4.5度、約5.0度、約5.5度、約6.0度、約6.5度、約7.0度、約8.0度、または約8.5度であり得る。傾斜度は、レンズ平面が画像平面に平行ではないときの光学システムの焦点面の向きを説明する公知の幾何学的法則であるシャインプルーフの法則を適用するときに使用される他の値に応じて、より小さく、またはより大きくあり得ることを理解されたい。概して、軸外イメージャは、固定された傾斜度を伴うレンズを含むが、しかしながら、いくつかの事例では、軸外イメージャは、調節可能な傾斜で構成されるレンズを有し得る。
【0027】
傾斜に加えて、軸外イメージャは、シフトオフセットを提供するように構成されるレンズを含み得る。
図4を参照すると、レンズシフトは、変位がレンズ(400)の平面(401)に限られ、かつレンズの平面がイメージャ本体(403)の平面(404)に平行に保たれるようなレンズ(400)の変位(406、405と402との間の測定値)を指す。そのような変位は、レンズ(400)の焦点面(408)をも、レンズおよびイメージャ平面(それぞれ、401ならびに404)に平行にしておく。実際には、シフトオフセットは、イメージャ(カメラ)角度を変化させることなく画像エリアにおける虹彩の位置の調節を可能にし、すなわち、実際には、イメージャは、眼(407)に向けられ、次いで、シフトオフセット(406)または移動が、イメージャ本体(403)を向け直すことの代替として適用されることができる。レンズをシフトさせることはまた、画像のエッジに沿ってエリアをクロッピングすることと同様に、虹彩画像の異なる部分が画像平面上に投じられることを可能にし得る。シフト機能をレンズに追加することは、概して、
図4に図示されるように、イメージャの焦点面が虹彩の平面に平行なままである一方、依然として虹彩の全高を取り込むことを可能にするであろう。これは、虹彩における垂直線が、結果として生じる撮影画像において完全に垂直になり、より一般的には、結果として生じる画像から1つの重要な形態の歪みを排除することを可能にするであろう。
【0028】
本明細書に説明される軸外イメージャは、約1.0~約2.5mmに及ぶ(レンズ)シフトを有するように構成され得る。例えば、典型的な眼鏡に見出される種類のフレームでは、シフト量は、約1.0mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2.0mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、または約2.5mmであり得る。傾斜と同様に、シフト量は、シャインプルーフの法則を適用するときに使用される他の値に応じて、より小さい、またはより大きくあり得ることを理解されたい。軸外イメージャはまた、概して、シフトオフセットが固定されるレンズを含むが、しかしながら、いくつかの事例では、軸外イメージャは、調節可能なシフト量を有するように構成されるレンズを有し得る。
【0029】
一変形例では、ヘッドマウントシステムは、透明ディスプレイ(眼鏡のレンズまたは複数のレンズ)と、上側周縁(上側フレーム)と、下側周縁(下側フレーム)と、(静止位置における眼の)光軸の約20mm下方で下側周縁に取り付けられる、または搭載されるイメージャとを備えている一対の眼鏡である。虹彩までの深度(透明ディスプレイに対して垂直に測定される)は、15~30mmに及び得る。ここでは、虹彩の平面と平行であるように軸外イメージャの焦点面を復元するために(かつイメージャが1.62mmの焦点距離レンズおよび1.7mmのレンズからカメラ本体までの距離を有する場合)、レンズ傾斜量が、(シャインプルーフ方程式を使用して計算されるように)2.1~8.2度(イメージャ平面に対するレンズ角度)であるか、またはシフトオフセットが、1.1~2.3mmであり得る。故に、一対の眼鏡が固定された幾何学形状、すなわち、固定されたレンズの傾斜角度および固定されたカメラのシフトオフセットを有するイメージャを含む場合、傾斜角度は、約2.1~約8.2度に固定され得る、またはシフトオフセットは、約1.1~約2.3mmに固定され得る。傾斜およびシフトの両方が利用される組み合わせられた実装も、可能である。
【0030】
ユーザの視野外への配置に加えて、虹彩撮像システムは、概して、現実世界のユーザの視野に殆どもしくは全く干渉しないようにサイズを決定されるか、または別様に構成される。撮像システムは、各辺上でわずか数ミリメートル、例えば、各辺上で約5.0~8.0mmであり、深さ数ミリメートルであり得る。いくつかの変形例では、虹彩を撮像するためのカメラ本体は、可撓性基板、例えば、可撓性プリント回路ボード基板上に搭載されるか、またはそれによって支持される複数のチップレベルカメラを含む。可撓性基板は、本質的に広角のレンズを安価に形成するために、アンビルの上に置かれるか、またはポッティング化合物を用いてポッティングされ得る。例えば、微小カメラが、ウェーハレベル技術を使用して、層アプローチを用いて構築され得る。
【0031】
虹彩の画像が取得されると、種々の虹彩パターンに関連するデータが、抽出され、数値虹彩コードに変えられることができる。カメラが虹彩を下方および/または側方から視認するであろうと仮定すると、ヘッドマウントデバイスのために生成されるコードは、回転不変である必要はないであろう。
【0032】
焦点を合わせられ、中心に置かれた画像が、虹彩撮像システムによって取得されると、デジタル化された画像は、例えば、Daugmanによる米国特許第5,291,560号によって定義されるような任意の好適な様式で、または、例えば、Bazakos、他による米国第8,064,647号によって定義されるような種々のセグメント化方法によって、虹彩コードを算出するためにプロセッサに伝達され得る。算出された虹彩コードは、次いで、ユーザに対応する虹彩コードと比較される。コードが合致する場合、ユーザの識別は、検証される。検証または識別処理は、遠隔場所において実施され得、これらの事例では、虹彩コードは、ヘッドマウントデバイスに、および/またはそれからセキュアに伝送され得ることを理解されたい。
【0033】
ユーザの虹彩画像を分析するとき、セグメント化アプローチは、エッジ検出および円フィッティングの有用かつ比較的に容易なプロセスであり得る。いくつかの変形例では、虹彩バイオメトリックアプローチは、POSETMすなわち、Honeywell International Inc.の極セグメント化)技法を使用し、分析を事実上直ちに極領域に移動させ、虹彩境界の1Dセグメント化を実行し、1つ以上の対称性質を使用し、虹彩の1つ以上の非閉塞エリアを検出することを含み得る。この方法を使用して、非対称領域は、睫毛、眼瞼等によって部分的に被覆されるエリアに対応することができる。