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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】回転電気機械用の電気巻線
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
H02K3/04 J
H02K3/04 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022520623
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2020077564
(87)【国際公開番号】W WO2021064122
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】1910985
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】マクシム、グロスポー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ファブロール
(72)【発明者】
【氏名】ウォイチェフ、マンドック
(72)【発明者】
【氏名】クレマン、ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、ド、クレール
(72)【発明者】
【氏名】ポール、アルミロリ
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン、ル、ガック
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-218688(JP,A)
【文献】国際公開第2010/001463(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械(10)の特にステータまたはロータにより形成されるアクティブ部品用の電気巻線であって、
前記アクティブ部品は、軸(X)を中心とした環状のヨーク(27)と、前記ヨークの側面から径方向に延びてスロット(22)を画定する複数のティース(28)と、を含む本体(21)を有し、
前記スロットは、前記本体の第1軸方向端面(29a)および第2軸方向端面(29b)に開口し、
前記電気巻線(24)は、各々がピン(30、31、32、33、34)のセットを含む複数の電気相を含む少なくとも1つの相システムを有し、
前記ピン(30、31、32、33、34)は、互いに電気的に接続されるとともに、各々が少なくとも1つの導電性セグメント(30A、30B、31A、31B、32A、32B、33A、34A)を含み、
前記導電性セグメントは、N個の層(Ci)を形成する同一のスロットに収容されるのに適し、
前記ピンのセットは、各々が相入力または相出力を形成する1つの第1給電ピン(33)および1つの第2給電ピン(34)を少なくとも含み、
各給電ピンは、関連する前記導電性セグメント(33A、34A)から前記スロットの外側に延びる給電端部(33G、34G)を有する、巻線において、
第1給電端部(33G)の少なくとも一部分が前記巻線の内周縁部に配置され、
前記第1給電端部は、外側層に配置された導電性セグメント(33A)を延長し、
第2給電端部(34G)の少なくとも一部分が、前記巻線の外周縁部に配置され、
前記第2給電端部は、内側層に配置された導電性セグメント(34A)を延長し、
前記内周縁部は、前記外周縁部よりも前記軸(X)に近く、
前記内側層および前記外側層は、縁部層を形成する、
ことを特徴とする電気巻線。
【請求項2】
前記第1給電ピンおよび前記第2給電ピンの前記導電性セグメント(33A、34A)は、同一スロット(22)の前記外側層(C1)および前記内側層(C4)にそれぞれ配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気巻線。
【請求項3】
前記第1端部(33G)と前記第2端部(34G)とは、周方向において互いから離間する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気巻線。
【請求項4】
前記第1給電端部(33G)および前記第2給電端部(34G)は、関連する前記導電性セグメント(33A、34A)に隣接するリンク部分(33G1、34G1)と、前記電気機械の電子アセンブリに接続されるのに適した接続部分(33G3、34G3)と、関連する前記リンク部分と前記接続部分との間に配置された交差部分(33G2、34G2)と、を各々有し、
同一給電端部の前記リンク部分および前記接続部分は、径方向において前記同一給電端部の前記交差部分を挟んで対向する側にあり、
前記第1給電端部および前記第2給電端部の前記交差部分(33G2、34G2)は、周方向において互いに対面して延びる、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電気巻線。
【請求項5】
前記ピン(30、31、32、33、34)は、前記ステータ本体(21)の前記軸方向端面(29a、29b)の両側にそれぞれ束部(25a、25b)を形成するのに適しており、
前記交差部分(33G2、34G2)は、前記束部から軸方向に距離を置いて配置される、
ことを特徴とする請求項4に記載の電気巻線。
【請求項6】
前記交差部分(33G2、34G2)は、前記巻線の前記外周縁部と前記内周縁部との間において、特に前記周縁部間の径方向中央部分において延びる、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電気巻線。
【請求項7】
前記巻線の前記周縁部のうちの一つに配置された第1セット(36)であって、異なる相の給電ピンから構成された第1セット(36)は、交差部分(33G2、34G2)を有する少なくとも1つの給電端部(33G、34G)と、交差部分(33G2、34G2)を有さない少なくとも1つの他の給電端部(33G、34G)と、を含み、
前記巻線の前記第1セット(36)とは異なる周縁部に配置された第2セット(37)であって、異なる相の給電ピンから構成された第2セット(37)は、交差部分(33G2、34G2)を有する少なくとも1つの給電端部(33G、34G)と、交差部分(33G2、34G2)を有さない少なくとも1つの他の給電端部(33G、34G)と、を含む、
ことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の電気巻線。
【請求項8】
少なくとも3つの第1端部(33G、34G)を含むセット(36、37)において、前記端部のうちの2つまたは1つのみが、交差部分(33G2、34G2)を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の電気巻線。
【請求項9】
セット(36、37)が交差部分(33G2、34G2)を有する2つの給電端部(33G、34G)を含む場合、交差部分を有さない前記給電端部は、周方向において、交差部分を有する前記給電端部間に配置され、
セット(36、37)が交差部分(33G2、34G2)を有する1つの給電端部(33G、34G)を含む場合、前記交差部分を有する前記給電端部は、周方向において、交差部分を有さない前記給電端部間に配置される、
ことを特徴とする請求項8に記載の電気巻線。
【請求項10】
特にステータまたはロータにより形成されるアクティブ部品を備える回転電気機械であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の電気巻線(24)を備える回転電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、回転電気機械のステータやロータ等のアクティブ部品用の電気巻線に関する。より詳細には、本発明は、導電性ピンを使用して作製される電気巻線に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、オルタネータ、スタータ-オルタネータ、さらには可逆機械や電気モータ等の回転電気機械の分野に特に有利に適用され得る。可逆機械とは、オルタネータとして機能するときには発電機として、かつ例えば自動車の燃焼機関を始動させるための電気モータとして、可逆的に動作可能な回転電気機械であることを想起されたい。
【0003】
回転電気機械は、軸を中心として回転可能なロータと、固定されたステータと、を含んでいる。ステータは、ステータの中心を通る軸を中心として回転するための部品を形成するヨークを有する本体を含んでいる。本体は、ヨークから径方向にステータの中心に向かって延びるとともに、周囲に電気巻線が配置されるスロットを画定するティースを含んでいる。巻線は、本体のスロットに部分的に収容された複数の導電性ピンであって、連続した電気経路を形成するように端部を介して対になって電気的に接続された導電性ピンから形成されている。例えば、各ピンは、互いに対して実質的に平行な2つの導電性セグメントであって、U字形状をなすようにエルボージョイントで接続された2つの導電性セグメントを含んでいる。導電性セグメントは、導電性セグメントがステータの回転軸に対して実質的に平行となるように、ステータの第1軸方向端面において2つの別個のスロットに挿入されている。同一のスロットが別個のピンに属する複数のセグメントを収容し得ることにより、異なる導電性セグメントの層が形成される。
【0004】
また、ステータの第2軸方向端面を超えて突出する導電性セグメントの自由端部は、次いで互いに接続されることで、電流が流れると本体のティースに沿って磁界を生成する電気経路を形成している。換言すれば、導電性ピンは、異なるセットを形成するように対になって接続されている。特に、各セットは、電力供給相に対応し得る。例えば、ステータは、巻線に三相電流が給電されるように、3つの別個のセットを含んでいる。
【0005】
このような巻線では、相を互いに接続して所望の巻線の結合を確保するために、各相の入力および出力を形成する給電ピン同士の間に、および、各相の前記入力および出力を電力モジュールに接続するために、給電ピンと対応する電力モジュールとの間に、一定数の接続が必要である。
【0006】
巻線の構造によっては、給電ピンを巻線の外側層におけるスロットに配置することができる。したがってこの場合、給電ピンは、他のピンにより径方向に囲まれない。結果として、単一の導電性セグメントのみを含む給電ピンは、スロット内にしっかりと保持されない。特に、それらの自由端部は、径方向に巻線の外側に向かって移動し得る。そして、ステータの内側層に配置されたピンについて、自由端部はロータ等の回転電気機械の他の要素と、または、ステータの外側層に位置するピンについて、自由端部はケーシングのフランジのうちの1つと接触し得るとともに、回転電気機械に損傷を与え得る。また、自由端部がステータ本体やヨークのティースを押圧することで、それらを被覆するエナメルを傷つけ、短絡を発生させることもある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の欠点を回避することである。したがって、この目的のために、本発明は、回転電気機械のアクティブ部品用の電気巻線であって、前記アクティブ部品は、特にステータまたはロータにより形成され、前記アクティブ部品は、軸を中心とした環状のヨークと、前記ヨークの側面から径方向に延びてスロットを規定する複数のティースと、を含む本体を有し、前記スロットは、前記本体の第1軸方向端面および第2軸方向端面に開口する、電気巻線に関する。前記電気巻線は、各々がピンのセットを含む複数の電気相を含む少なくとも1つの相システムを含み、前記ピンは、互いに電気的に接続されるとともに、その各々が少なくとも1つの導電性セグメントを含み、前記導電性セグメントは、N個の層を形成する同一のスロットに収容されるのに適する。前記ピンのセットは、各々が相入力または相出力を形成する第1給電ピンおよび第2給電ピンを少なくとも含む。本発明によれば、各給電ピンは、関連する前記導電性セグメントから前記スロットの外側に延びる給電端部を有する。さらに本発明によれば、第1給電端部の少なくとも一部が前記巻線の内周縁部に配置され、前記第1端部は外側層に配置された導電性セグメントを延長する。また、本発明によれば、第2給電端部の少なくとも一部が前記巻線の外周縁部に配置され、前記第2端部は内側層に配置された導電性セグメントを延長し、前記内周縁部は、前記外周縁部よりも前記軸に近く、前記内側層および前記外側層は、縁部層を形成する。
【0008】
換言すれば、第1給電端部および第2給電端部は、周方向において互いに対面配置された交差部分を各々有する。
【0009】
これにより、給電端部に径方向において力を作用させることができる。この目的は、前記給電端部を保持し得るとともに、前記端部が移動して回転電気機械のロータまたはケーシングのいずれかに接触することを防止し得ることである。関連する導電性セグメントが巻線の外側層に配置された給電端部の一部分を内周縁部において電子アセンブリに接続することにより、給電端部に径方向内向きの力が生じ、給電端部が束部を超えて径方向外方に突出することが防止されるため、給電端部が機械ケーシングに接触することが防止される。同様に、関連する導電性セグメントが巻線の内側層に配置された給電端部の一部分を外周縁部において電子アセンブリに接続することにより、給電端部に径方向外向きの力が生じ、給電端部が束部を超えて径方向内方に突出することが防止されるため、給電端部が機械ロータに接触することが防止される。このため、特に短絡の発生が防止されることにより、前記給電端部の損傷が回避され得るとともに、回転電気機械のより全体的な損傷が防止され得る。
【0010】
一実施形態によれば、第1給電ピンはスロットの外側層において延び、第2給電ピンはスロットの内側層において延び、前記内側層および前記外側層は縁部層を形成する。
【0011】
例えば、前記第1給電ピンおよび前記第2給電ピンの前記導電性セグメントは、同一スロットの前記外側層および前記内側層にそれぞれ配置される。
【0012】
同一スロットの2つの給電端部が交差部分を各々有するという事実により、前記端部を径方向において保持するというこの機能が果たされ得る。その一方、2つの接続部が互いに接近しすぎることを防止することで、電子アセンブリと給電ピンとの接続が単純化され得る。
【0013】
「縁部層」とは、巻線の内側径方向端部および外側径方向端部に位置する層、すなわち、中央でない層を意味するものとする。換言すれば、給電ピンは、巻線の内周縁部および外周縁部をそれぞれ形成する層に配置される。給電ピンを中央層ではなく縁部層に配置することにより、相内のコイル同士の接続を隣接する中央層間でなすことができるため、これらの接続が簡略化され得る。
【0014】
一実施形態によれば、各スロットは、異なるピンに属するN個のセグメントを含む。例えば、層は、ピンの単一のセグメントにより形成される。
【0015】
一実施形態によれば、前記第1端部と前記第2端部とは、周方向において互いから離間する。換言すれば、交差部分同士は互いから離間しているため、接触しない。これにより、給電端部間で発生し得る短絡を回避することができる。
【0016】
一実施形態によれば、前記第1給電端部および前記第2給電端部は、関連する前記導電性セグメントに隣接するリンク部分と、前記電気機械の電子アセンブリに接続されるのに適した接続部分と、関連する前記リンク部分と前記接続部分との間に配置された交差部分と、を各々有し、同一給電端部の前記リンク部分および前記接続部分は、径方向において前記同一給電端部の前記交差部分を挟んで対向する側にあり、前記第1給電端部および前記第2給電端部の前記交差部分は、周方向において互いに対面して延びる。
【0017】
一実施形態によれば、前記ピンは、前記ステータ本体の前記軸方向端面の両側にそれぞれ束部を形成するのに適している。本実施形態において、前記交差部分は、前記束部から軸方向に距離を置いて配置される。これにより、給電端部のリンク部分に過大な屈曲角度での過大な力が及ぼされることが回避され得る。このような力は、特に導電体のエナメルを傷つけて短絡を生じさせ得る。また、これにより、リンク部分を束部から離間させることができるため、短絡の発生が回避され得る。しかしながら、この距離は、回転電気機械の設置面積を増加させないよう、大きすぎてはならない。
【0018】
一実施形態によれば、前記交差部分は、前記巻線の前記外周縁部と前記内周縁部との間において、特に前記周縁部間の径方向中央部分において延びる。これにより、給電端部に同一の力を加えることで巻線を作製する方法が、簡略化され得る。あるいは、交差部分は、巻線の内側縁部部分または外側縁部部分において延び得る。
【0019】
一実施形態によれば、前記巻線の前記周縁部のうちの一方に配置された第1セットであって、異なる相の給電ピンから構成された第1セットは、交差部分を有する少なくとも1つの給電端部と、交差部分を有さない少なくとも1つの他の給電端部と、を含む。本実施形態において、前記巻線の前記第1セットとは異なる周縁部に配置された第2セットであって、異なる相の給電ピンから構成された第2セットは、交差部分を有する少なくとも1つの給電端部と、交差部分を有さない少なくとも1つの他の給電端部と、を含む。
【0020】
したがって、セットの各々は、相入力を形成する少なくとも1つの給電端部と、相出力を形成する少なくとも1つの他の給電端部と、を含む。したがって、互いに接続される相入力と相出力は、デルタ構成を得るために、相互接続トラックを重ね合わせたり交差させたりする必要がないように配置される。これにより、相互コネクタの構造を簡略化するとともに、その設置面積を小さくすることができる。
【0021】
交差部分を有さない給電端部は、その関連する導電性セグメントが配置されたのと同一の周縁部において実質的に軸方向に延びる給電端部であるものとする。
【0022】
例えば、少なくとも3つの第1端部を含むセットにおいて、前記端部のうちの2つまたは1つのみが、交差部分を有する。
【0023】
あるいは、全ての給電端部が交差部分を有し得る。
【0024】
さらなる例として、交差部分を有する2つの給電端部をセットが含む場合、交差部分を有さない前記給電端部は、周方向において、交差部分を有する前記給電端部間に配置される。同様に、交差部分を有する1つの給電端部をセットが含む場合、前記交差部分を有する前記給電端部は、周方向において、交差部分を有さない前記給電端部間に配置される。
【0025】
交差部分を有する端部と交差部分を有さない端部とを交互に配置することにより、同一セット内で相入力と相出力とを交互に配置することが容易になる。これにより、入力を出力に接続する相互接続トラック同士の交差を回避することができる。その一方、電気的接続のために前記トラックのうちの1つが径方向に突出することを防止しつつ、端部のうちの1つが同一のステータ周上に位置することが回避される。
【0026】
一実施形態によれば、巻線は、少なくとも径方向において、交差部分を有さない2つの給電端部を保持するように配置された少なくとも1つの保持部材を含む。
【0027】
保持部材は、給電ピンの給電端部を保持することで、前記端部が移動して前記端部が移動して回転電気機械のステータ本体、ロータまたはケーシングのいずれかに接触することを防止し得る。
【0028】
保持部材は、給電端部同士を互いに接続可能とする、または給電端部を電子アセンブリに接続することを可能とする相互コネクタを形成し得る。保持部材は、導電性トラックを含み得る。例えば、導電性トラックは、少なくとも部分的に電気絶縁材料により覆われ得る。
【0029】
あるいは、保持部材は、電気絶縁材料のみから形成され得る。一実施形態によれば、給電ピン以外のピンは、2つの導電性セグメントから各々形成される。これら2つの導電性セグメントは、第1端部として理解される、本体の第1軸方向端面から延びる端部の一方において互いに接続されるとともに、第2端部として理解される、本体の第2軸方向端面から延びる他方の端部において異なるピンに接続される。給電ピンの第1端部は、前記第1軸方向端面から延びる。
【0030】
一実施形態によれば、第1給電ピンは、第2給電ピンとは異なる形状を有する。例えば、各給電ピンは、単一の導電性セグメントと2つの端部とを有する。さらなる例として、第1給電ピンの2つの端部は周方向において互いに反対側に延び、第2給電ピンの2つの端部は周方向において同一側に延びる。
【0031】
本実施形態によれば、巻線は、第1グループの導電性ピンと、第2グループの導電性ピンと、を含んでいる。第1グループの導電性ピンの導電性セグメントは、少なくとも1つの中間層により互いから隔てられた2つの別個の層に各々配置される。第2グループの導電性ピンの導電性セグメントは、少なくとも1つの中間層により互いから隔てられた2つの別個の層に各々配置される。第1グルーブのピンを含む層は、第2グループのピンを含む層とは別個である。接続ピンが、第1グループのピンを第2グループのピンに接続することを可能とする。
【0032】
一実施形態によれば、接続ピンの導電性セグメントは、2つの隣接する層に配置される。「隣接する層」とは、他の層により隔てられていない連続する層を意味するものとする。これにより、巻線を作製する方法において、ピンの挿入が簡略化され得るとともに、接続ピンの形状がシンプルにされ得る。
【0033】
一実施形態によれば、接続ピンの導電性セグメントが配置される隣接する層は、中央層である。「中央層」とは、2つの他の層により囲まれるため、スロットの縁部にない層を意味するものとする。
【0034】
一実施形態によれば、給電ピンの各導電性セグメントは、接続ピンの導電性セグメントを含むスロットのうちの1つに配置されるのに適している。一実施形態によれば、給電ピンは、巻線を電力モジュールおよび/または制御モジュールに接続することを可能とする。
【0035】
一実施形態によれば、各相は、複数の導電性ピンと、少なくとも1つの接続ピンと、複数の給電ピンと、を含む。給電ピンの個数は、接続ピンの2倍に等しい。
【0036】
一実施形態によれば、第1グループのピンである導電性ピンの導電性セグメントを含む層は、第2グループのピンである導電性ピンの導電性セグメントを含む層と交互に配置される。例えば、径方向内側層は、第1グループのピンである導電性ピンの導電性セグメントを含み、径方向外側層は、第2グループのピンである導電性ピンの導電性セグメントを含む。
【0037】
一実施形態によれば、第1グループのピンである導電性ピンは、第2グループのピンである導電性ピンと異なる形状をそれぞれ有する。
【0038】
一実施形態によれば、第1グループのピンである導電性ピンは、2つの導電性セグメントをそれぞれ延長する2つの自由端部であって、周方向において互いに接近するように湾曲する自由端部を、各々含む。
【0039】
一実施形態によれば、第2グループのピンである導電性ピンは、2つの導電性セグメントをそれぞれ延長する2つの自由端部であって、周方向において互いから分かれるように湾曲する自由端部を、各々含む。
【0040】
本発明は、また、特にステータまたはロータから形成される、回転電気機械のアクティブ部品であって、上述の電気巻線を含むアクティブ部品に関する。
【0041】
さらに、本発明は、特にステータまたはロータから形成されるアクティブ部品を含む回転電気機械であって、上述の電気巻線を含む回転電気機械に関する。回転電気機械は、有利には、オルタネータ、スタータ-オルタネータ、可逆機械、または電気モータを形成し得る。
【0042】
本発明は、本発明の非限定的な実施形態についての以下の詳細な説明を読み、、添付図面を参照することで、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、回転電気機械の一例の部分断面図を概略的に示す。
図2図2は、図1のステータの斜視図を概略的に示す。
図3図3は、図2のステータの一部の径方向平面に沿った断面図を概略的に示す。
図4図4は、図2のステータの第1グループのピンである導電性ピンの斜視図を概略的に示す。
図5図5は、図2のステータの第2グループのピンである導電性ピンの斜視図を概略的に示す。
図6図6は、図2のステータの接続ピンの斜視図を概略的に示す。
図7図7は、図2のステータの第1給電ピンの斜視図を概略的に示す。
図8図8は、図2のステータの第2給電ピンの斜視図を概略的に示す。
図9図9は、図2のステータの巻線の電気回路図を部分的に示す。
図10図10は、本発明の一例によるステータの部分斜視図を概略的に示す。
図11図11は、図10の例による相互接続トラックを含む巻線の一部の軸方向上面図を概略的に示す。
図12図12は、保持部材の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
全ての図において、同一または類似の要素には同じ参照番号が付されている。種々の図は、必ずしも同じ縮尺ではないことにも留意されたい。
【0045】
図1は、特に自動車用のコンパクトな多相回転電気機械10の一例を示す。この機械10は、オルタネータモードにおいて機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するとともに、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換するようにモータモードで動作し得る。この回転電気機械10は、例えば、オルタネータ、スタータ-オルタネータ、可逆機械、または電気モータである。
【0046】
本例において、機械10は、ケーシング11を含んでいる。このケーシング11の内部において、機械は、シャフト13と、シャフト13にしっかりと締結されてこれと一体的に回転するロータ12と、ロータ12を取り囲むステータ15と、をさらに含んでいる。ロータ12は、軸Xを中心として回転する。以下の説明では、軸方向は、シャフト13の中心を通る軸Xに対応し、径配向は、軸Xに集中する面、特に軸Xに対して垂直な面に対応する。径方向に関して、「内側」とは、軸に面して配向された要素、または第2要素に比べて軸により近い要素に対応し、「外側」とは、軸からの隔たりを指す。
【0047】
本例において、ケーシング11は、互いに組み付けられた前方フランジ16および後方フランジ17を含んでいる。これらのフランジ16、17は中空であり、中央にベアリングを各々支持している。ベアリングは、シャフト13の回転を可能とするように、それぞれのボールベアリング18、19に結合されている。また、ケーシング11は、回転電気機械10を車両に装着可能とする固定手段14を含んでいる。
【0048】
プーリやスプロケット等の駆動部品20が、シャフト13の前端部に取り付けられ得る。この部品により、回転運動がシャフトに伝達され得る、またはシャフトがその回転運動を伝達し得る。以下の説明では、前・前方/後・後方という用語は、この部品に準拠する。したがって、前面とは、この部品に面して配向された面であり、後面とは、前記部品の反対方向に配向された面である。
【0049】
前方フランジ16および後方フランジ17は、この場合、水やオイル等の冷却剤を通流させるためのチャンバを形成するように配置されている。あるいは、フランジは、ロータまたはシャフトに堅固に接続されてこれと一体的に回転する少なくとも1つのファンの回転により生成される冷却気流が通過するための開口部を含み得る。
【0050】
本例において、ロータ12は、磁極を形成する永久磁石を収容するシートのパックから形成されている。あるいは、ロータは、2つの磁極ホイールと1つのロータコイルとを含むクローロータであり得る。
【0051】
本実施形態において、ステータ15は、スロット22が設けられたシートのパックにより形成された本体21を含んでいる。これらのスロット22には、電気巻線24の設置のためにスロット絶縁体23が設けられている。巻線は、本体21のスロットを通過して、ステータの本体の両側に、前方束部25aおよび後方束部25bを形成している。さらに、巻線24は、単数または複数の相により形成されている。相は、少なくとも1つの導電体を含むとともに、電子アセンブリ26に電気的に接続されている。
【0052】
ここではケーシング11に装着されている電子アセンブリ26は、巻線24の少なくとも1つの相を制御可能とする少なくとも1つの電力モジュールを含んでいる。電力モジュールは、生成された交流電圧を直流電圧に、かつ直流電圧を交流電圧に変換するための電圧整流器ブリッジを形成している。あるいは、電子アセンブリは、機械から離間して配置され得る。
【0053】
図2および図3は、ステータ15をより詳細に示す。ステータ21の本体は、軸Xを中心とした環状形状を有するヨーク27と、ヨークから、ここでは特にヨーク27の内壁を形成する側面からステータの中心に向かう方向に径方向に延びる複数のティース28と、によって形成されている。ティース28は、環状本体の周縁部に、角度方向に均等に分散して配置されている。ティースの間に断続的に空間が設けられていることにより、ステータの環状本体の周縁部に亘って延びる一連のスロット22が規定されている。各スロットは、2つの連続するティースによって境界が定められている。本例によれば、ティースは、ステータ本体の円周に沿って分散配置された48個のスロットを規定し、これらのスロットは、電気巻線24用の支持体を形成するように設けられている。変形例として、異なる個数のスロット、例えば96個、84個、72個、60個のスロットが使用され得る。この個数は、機械の用途、ステータの直径、およびロータの極数に依存することを理解されたい。
【0054】
軸方向において、すなわち軸Xに平行な方向において、スロット22は、ステータ本体21の第1軸方向端面29aおよび第2軸方向端面29bに開口している。換言すれば、スロットは、本体を軸方向に貫通して、ステータの2つの対向する軸方向端面に開口している。「軸方向端面」という用語の意味するものは、ステータの回転軸Xに対して垂直な、あるいは実質的に垂直な面である。
【0055】
巻線24は、互いに電気的に接続されて巻線の相を形成する電気経路を形成する複数のピンにより形成されている。本例において、各相は、複数の導電性ピン30、31と、1つの接続ピン32と、2つの給電ピン33、34と、を含んでいる。図4および図5を参照して後述するように、各導電性ピン30、31は、2つの導電性セグメント30A、30B、31A、31Bにより形成されている。これらの導電性セグメント30A、30B、31A、31Bは、スロット22内で軸方向に延びるとともに、この目的のために互いに実質的に平行である。前記導電性セグメントは、電気的連続性を形成すべく同様に導電性を有するエルボージョイント30C、31Cによって互いに接続されている。図6を参照して以下で詳述するように、接続ピン32は、2つの導電性セグメント32A、32Bにより形成されている。これらの導電性セグメント32A、32Bは、スロット22内で軸方向に延びるとともに、この目的のために互いに実質的に平行である。前記導電性セグメントは、電気的連続性を形成すべく同様に導電性を有するエルボージョイント32Cによって互いに接続されている。同一のピン30、31、32の導電性セグメント30A、30B、31A、31B、32A、32Bは、互いに別個の2つのスロットに配置されている。
【0056】
各エルボージョイント30C、31C、32Cは、頂点30E、31E、32Eを形成するように合流する2つの傾斜部分30D、31D、32Dを有し得る。エルボージョイント30C、31C、32Cは、ここでは、一体構造を有し、特に関連する導電性セグメントと一体的に形成されている。したがって、各ピン30、31、32は、1つのU字形状ピースで形成されている。あるいは、エルボージョイントは、例えば溶接により互いに接続された2つの部分から形成され得る。エルボージョイントの各部分は、関連する導電性セグメントと一体的に形成される。したがって、各ピン30、31、32は、各々がI字形状である2つのサブピンにより形成される。
【0057】
図7および図8を参照して以下で詳述するように、給電ピン33、34は、スロット22内で軸方向に延びる導電性セグメント33A、34Aにより各々形成されている。
【0058】
図3に示すように、同一スロットに配置された種々の導電性セグメントは、N個の層Ciの積層体を形成するように重ね合わされている。これらのN個の層がスロットの各々に存在することにより、実質的に同軸である環状円がステータの周縁部に形成されることを理解されたい。例えば、これらの層は、個数が4つであり、スロット22内での積層順に従ってC1~C4とナンバリングされている。第1層C1は外側層に対応し、第2層C2は第1層C1に直接隣接する外側中央層に対応し、第3層C3は第2層C2に直接隣接する内側中央層に対応し、第4層は内側層に対応している。層C1および層C4は縁部層を形成し、層C2および層C3は中央層を形成している。したがって、ヨーク27に最も近い導電性セグメントが第1層C1を占める。したがって、スロット開口部に最も近い、すなわち軸Xに最も近い導電性セグメントが第4層C4を占める。当然ながら、本発明は、この単一の実施形態に限定されず、より多くの個数の導電性セグメント、例えば6個、8個、または10個の導電体が積層され得る。例えば、単一の導電性セグメントによって層が形成される。したがって、各スロット22は、径方向に互いに一列に整列配置されたN個の導電性セグメントであって、各々が1つの層Ciを形成する導電性セグメントを含む。図示例において、導電性セグメントは、スロット内でのそれらの積層を容易とするように、実質的に矩形の断面を各々有している。
【0059】
図4図5図6および図7は、電気巻線24を形成するピンの種々の形状を示す。以下の説明は、電気巻線の1つの相についてなされるが、当業者には全ての相が同様に形成されることが理解されるであろう。第1または第2グループのピンを形成する導電性ピン30、31は、エルボージョイント30C、31Cに軸方向に対向する導電性セグメントの自由端部30F、31Fにおいて異なっている。
【0060】
図4は、第1グループのピンである導電性ピン30を示す。第1グループのピン30は、全て同じ形状を有している。この導電性ピン30は、互いに接近するように湾曲した導電性セグメントの2つの自由端部30Fを特徴とする。より具体的には、導電性セグメントの自由端部30Fは、径方向に互いに重なるように屈曲している。同一のピン30の導電性セグメントの2つの自由端部30Fの間の間隔は、スロットに収容されたこれら2つの導電性セグメント30A、30Bの直線部分の間の間隔よりも小さい。
【0061】
図5は、第2グループのピンである導電性ピン31を示す。第2グループのピン31は、全て同じ形状を有している。この導電性ピン31は、互いから分かれるように湾曲した導電性セグメントの2つの自由端部31Fを特徴とする。同一のピン31の導電性セグメントの2つの自由端部31Fの間の間隔は、スロットに収容されたこれら2つの導電性セグメント31A、31Bの直線部分の間の間隔よりも大きい。より具体的には、同一のピンの導電性セグメント31A、31Bは、スロットEおよびスロットE+Pにそれぞれ挿入されるようにステップPだけ間隔を空けており、これらの導電性セグメントの自由端部31Fは、ステップ2Pだけ間隔を空けている。
【0062】
図6は、接続ピン32を示す。接続ピン32は、導電性セグメント32A、32Bの間隔と同一の間隔を維持するように湾曲した導電性セグメントの2つの自由端部32Fを特に特徴とする。同一のピン32の導電性セグメントの2つの自由端部32Fの間の間隔は、スロットに収容されたこれら2つの導電性セグメント32A、32Bの直線部分の間の間隔と同様である。より具体的には、同一のピンの導電性セグメント32A、32Bは、スロットEおよびスロットE+Pにそれぞれ挿入されるようにステップPだけ間隔を空けており、これらの導電性セグメントの自由端部32Fは、同一ステップPだけ間隔を空けている。
【0063】
図7は、第1給電ピン33を示す。給電ピン33は、単一の導電性セグメント33Aと、給電端部として理解される第1端部33Gと、自由端部として理解される第2端部33Fと、を含んでいる。自由端部33Fは、他のピンの自由端部30F、31F、32Fと同じステータの側に配置され、給電端部33Gは、軸方向において反対側に、すなわちエルボージョイント30C、31C、32Cの側に配置される。端部33F、33Gは、周方向の反対側に屈曲している。すなわち、前記端部は、軸方向に重ね合わされていない。
【0064】
図8は、第2給電ピン34を示す。第2給電ピン34は、単一の導電性セグメント34Aと、給電端部として理解される第1端部33Gと、自由端部として理解される第2端部33Fと、を含んでいる。自由端部34Fは、他のピンの自由端部30F、31F、32Fと同じステータの側に配置され、給電端部34Gは、軸方向において反対側に、すなわちエルボージョイント30C、31C、32Cの側に配置される。端部34F、34Gは、周方向の同じ側に屈曲している。すなわち、前記端部は、軸方向に重ね合わされている。
【0065】
給電端部33G、34Gの具体的な配置について、図10を参照して以下に詳述する。
【0066】
特に図2および図9に示すように、各ピン30、31、32、33、34は、以下の態様で配置されている。その導電性セグメントがステップPだけ離間した2つの別個のスロットEおよびスロットE+P内で延び、各エルボージョイントは第1軸方向端面29aに配置されつつ、自由端部は第2軸方向端面29bに配置されて、あるピンから他のピンへと巻線における電気的連続性を生じさせるように相互接続されている。図9を特に参照して後述するように、第1層C1に配置された導電性セグメントの自由端部と第2層C2に配置された導電性セグメントの自由端部とが相互接続され、第3層C3に配置された導電性セグメントの自由端部と第4層C4に配置された導電性セグメントの自由端部とが相互接続される。これらの接続は、例えば溶接によってなされる。したがって、同一のピンの導電性セグメント30A、30B、31A、31B、32A、32B、33A、34Aは、エルボージョイント30C、31C、32Cによってそれらの端部のうちの一方で互いに接続されるとともに、それらの自由端部30F、31F、32F、33F、34Fにおいて他のピンに各々接続される。
【0067】
第1グループの導電性ピン30は、外側グループとして理解されるグループを形成する。このグループは、ピン30を含み、その導電性セグメント30A、30Bは、スロットに収容されて外側の第1層C1および内側中央の第3層C3を形成する。第2グループの導電性ピン31は、内側グループとして理解されるグループを形成する。このグループは、ピン31を含み、その導電性セグメント31A、31Bは、スロットに収容されて内側の第4層C4および外側中央の第2層C2を形成する。
【0068】
図2および図9に示すように、2つのピンのグループは、交互配置(interleaved)されている、すなわち、外側グループのピン30の導電性セグメントのうちの1つが、内側グループのピン31の導電性セグメントのうちの1つよりもさらに内側のスロットに位置するように配置されている。より具体的には、第1グループに属する導電性ピン30は、スロットEにおいて第1層C1を占める1つの導電性セグメント30Aと、スロットE+Pにおいて第3層C3を占める1つの導電性セグメント30Bとを有するように、ステータに配置される。同様に、第2グループに属する導電性ピン31は、スロットEにおいて第2層C2を占める1つの導電性セグメント31Aと、スロットE+Pにおいて第4層C4を占める1つの導電性セグメント31Bとを有するように、ステータに配置される。換言すれば、導電性ピン30、31は、同一の導電性ピンの導電性セグメントが、あるスロットから他のスロットへの2つの層が径方向にオフセットした状態で別個のスロットを占めるように、すなわち換言すれば、この同一のピンの導電性セグメントが占める2つの層の間に中間層が介在した状態で別個のスロットを占めるように配置される。この径方向オフセットは、他のグループの導電性ピンに属する導電性セグメントの介在に相当する。この特定の配置の結果、ステータ本体21の第1軸方向端面29aのエルボージョイントが整列するため、隣接するエルボージョイントは互いに対して実質的に平行になる。これにより、束部のコンパクト性が向上し得る。
【0069】
これら2つのグループの導電性ピン30、31は、互いに独立した連続する電気経路をそれぞれ形成する。相内の電気的連続性を確保するため、第1グループの導電性ピン30を第2グループの導電性ピン31に電気的に接続するように、接続ピン32が配置される。これにより、単一の電気経路が形成されると共に、電気巻線24の相が形成される。したがって、この接続ピン32は、電気回路を連続させて、巻線を通過する電流の適切な流れを可能とする。特に、これにより、電流が同一のスロットに収容された導電性セグメントの各々において同一方向に流れ、かつ、電流があるスロットにおいて全体として一方向に流れるが、ステップPおよびステップ-Pだけ間隔を空けたスロットにおいては反対方向に流れる。
【0070】
図9に示す例において、接続ピン32の第1導電性セグメント32Aは、第1グループの導電性ピン30に関連付けられた層のうちの1つに配置され、前記ピンの第2導電性セグメント32Bは、第2グループの導電性ピン31に関連付けられた層のうちの1つに配置される。この配置により、巻線の電気的接続が有利となる。これにより、2つの導電性セグメントがエルボージョイントによって互いに接続された状態で、全ての導電性ピン30、31がU字形状の接続ピン32、すなわち、導電性ピンの形状に類似した形状を有するピンを介して接続され得る。したがってこの配置では、電気巻線24は、スロットにおける電流の流れ方向に従うために電流の方向を反転させ得る特別なピンを含まない。これにより、電気巻線およびその組立方法が簡略化され得る。
【0071】
特に本例において、接続ピン32の第1導電性セグメント32Aは第3層C3に配置され、前記ピンの第2導電性セグメント32Bは第2層C2に配置される。したがって、接続ピンの導電性セグメント32A、32Bは、2つの異なるスロットの径方向に隣接した2つの層に配置される。すなわち、この同一のピン32の導電性セグメントが占める2つの層の間には中間層が挿入されない。これにより、接続ピンのエルボージョイント32Cは、束部に組み込まれ得るとともに、束部の高さは、他のピン部分の上方を通過することによって増加することがない。
【0072】
図2図3および図9に示すように、給電ピン33、34は、それらのそれぞれの導電性セグメント33A、34Aが接続ピン32の導電性セグメント32A、32Bを含む同一のスロットの層に隣接する層に配置されるように、スロットに配置される。換言すれば、スロットEにおいて第2層C2を占める接続ピン32の各導電性セグメントについて、給電ピン33の導電性セグメント33Aが、前記スロットEにおいて第1層C1を占めるように設けられる。同様に、スロットE+Pにおいて第3層C3を占める接続ピン32の各導電性セグメントについて、給電ピン34の導電性セグメント34Aが、前記スロットEに対してステップPだけ距離を空けた前記スロットE+Pにおいて第4層C4を占めるように設けられる。したがって、給電ピン33、34は、同一相の接続ピン32であって、その導電性セグメント32A、32Bが中央層に配置された接続ピン32を囲むように、縁部層に配置される。
【0073】
各接続ピン32は、特に図2に示すように、一対の給電ピン33、34に関連付けられることを理解されたい。したがって、6個の相を含む電気巻線24は、6個の第1給電ピン33と6個の第2給電ピン34とを含む6対の給電ピン33と、6個の接続ピン32とを含む。第1グループの導電性ピン30と第2グループの導電性ピン31とは同数で存在することを前提として、導電性ピン30、31の個数は、ステータのスロットの個数、ひいては回転電気機械の所望の用途、特に所望の性能および利用可能なスペースに依存することを理解されたい。
【0074】
給電端部33G、34Gは、対応する相の電流入力および/または電流出力を形成する。より正確には、1つの相について、給電ピンの一方の1つの端部33G、34Gが、巻線の他の相の給電ピンの1つの端部33G、34Gに、および/または、特に電子アセンブリ26の電力モジュールおよび/または制御モジュールに含まれる電流源に、直接的または相互接続装置を介して接続される。
【0075】
給電ピン33、34は、外側の第1層C1および内側の第4層C4において、電気巻線24に沿って配置される。特に、第1給電ピン33およびそれらの給電端部33Gは外側層C1に配置され、第2給電ピン34およびそれらの給電端部34Gは内側層C4に配置される。当然ながら、本発明の範囲を逸脱せずに、給電ピンの配置を逆にすることもできる。
【0076】
図10は、本発明の一実施形態であって、ステータの巻線の一部、特に給電端部33G、34Gが延び出る束部を示す。特に、本例において、6個の給電端部33G、34Gのうちの4つが各々交差部分33G2、34G2を有しており、残り2つの給電端部33G、34Gは交差部分を有さずに、関連する導電性セグメント33A、34Aから実質的に軸方向に延びている。本例において、交差部分を有さない給電端部が、周方向において、交差部分を有する給電端部の間に配置されている。
【0077】
図示しない代替例において、6個の給電端部33G,34Gのうちの2つのみが交差部分33G2、34G2を各々有し得るとともに、残り4つの給電端部33G、34Gは交差部分を有さない。この場合、交差部分を有する給電端部が、周方向において、交差部分を有さない給電端部の間に配置され得る。
【0078】
前記4つの給電端部の各々は、関連する導電性セグメント33A、34Aに隣接するリンク部分33G1、34G1と、電子アセンブリ26に電気的に接続された接続部分33G3、34G3と、前記関連するリンク部分と接続部分との間に配置された交差部分33G2、34G2と、を有している。前記部分は、同一の給電ピンの導電性セグメントから互いに連続して延び、軸方向に対して傾斜して延びる実質的にまっすぐなラインを形成している。この傾斜したまっすぐなラインは、巻線の周縁部の一方から、径方向において反対側の周縁部に延びている。したがって、同一の給電端部の前記リンク部分と前記接続部分とは、巻線の内周縁部と外周縁部との間に実質的に径方向中央部分を形成する前記同一の給電端部の交差部分に対して、径方向において互いに対向している。
【0079】
同一のスロット22において延びる導電性セグメントを有する2つの給電ピン33、34は、同一タイプの給電端部、すなわち、交差部分を含むタイプ、または交差部分を含まないタイプの給電端部を有している。したがって、同一のスロットに配置されたピンの給電端部の交差部分33G2、34G2は、周方向において対面しつつ互いから距離を置いて延びている。このため、交差部分同士は接触しない。特に、この間隔は、およそ数ミリメートルである。
【0080】
交差部分33G2、34G2は、給電端部が延び出る束部25aの軸方向端部から距離を置いて配置されている。したがって、前記交差部分は、束部の軸方向端部から軸方向に離間している。この軸方向間隔は、例えば5mm~35mmである。
【0081】
図示例において、給電端部33Gは、巻線の外周縁部から延びるリンク部分33G1と、前記巻線の内周縁部に向かって延びる接続部分33G3と、を有している。同様に、給電端部34Gは、巻線の内周縁部から延びるリンク部分34G1と、前記巻線の外周縁部に向かって延びる接続部分34G3と、を有している。したがって、単一のスロットの給電端部は、逆になっている。
【0082】
この例示的な実施形態において、デルタ構成を得るように、1つの相の出力は、同一の相システムの他の相の入力に接続される。相入力と相出力との間のこれらの接続部の各々は、特に電子アセンブリ26の電力モジュールおよび/または制御モジュールに含まれる電流源にも接続される。
【0083】
給電端部33G、34Gは、それらの接続部分33G3、34G3が、各相システムについて第1セット36と第2セット37とにグループ分けされるように、電気巻線24に沿って配置される。本例において、同一のセットの接続部分は、スロットの同一の層Ciと軸方向に整列する。例えば、図10に示すように、第1セット36は外側層C1の上方に配置された接続部分を含み、第2セットは内側層C4の上方に配置された接続部分を含んでいる。1つの代替実施形態において、第1セットの接続部分が内側層C4に配置され得るとともに、第2セットの接続部分が外側層C1に配置され得る。接続部分を中央層C2、C3に配置することも可能である。
【0084】
ここで記載される例において、電気巻線24は、各々が3個の相を含む2つのシステムを含んでいる。したがって、ここでの巻線は、2つの第1セット36および2つの第2セット37を含み、各々のセットが3個の接続部分33G3、34G3を含んでいる。セットの構造は、相システム間で同一であっても異なっていてもよい。セット36、37の各々は、相入力を形成する1つの接続部分と、相出力を形成する1つの接続部分と、を少なくとも含んでいる。特に、本例において、各セット36、37は、相入力を形成する2つの接続部分および相出力を形成する1つの接続部分か、相出力を形成する2つの接続部分および相入力を形成する1つの接続部分か、のいずれかを含んでいる。同一の相システムのセットは、互いに相補的な構成を有している。例えば、第1セットが2つの相入力および1つの相出力を含んでいる場合、第2セットは2つの相出力および1つの相入力を含む。また、各セットは、前記相システムの相毎に1つの接続部分を含む。したがって、同一のセットについて、各接続部分は異なる相に属する。
【0085】
図11は、第1セット36が、相出力を形成する2つの接続部分と相入力を形成する1つの接続部分とを含み、第2セット37が、相入力を形成する2つの接続部分と相出力を形成する1つの接続部分とを含む例を示す。接続部分は、スロットの同一層に配置されているため、巻線の周方向の一部に亘って延びている。
【0086】
この例示的な実施形態において、任意のセット内で、相出力/相入力を形成する端部が周方向に交互に配置されている。換言すれば、2つの相出力および1つの相入力を含むセットについて、前記相入力は、周方向において相出力の間に配置されている。同様に、2つの相入力および1つの相出力を含むセットについて、前記相出力は、周方向において相入力の間に配置されている。
【0087】
好適には、給電端部間の周方向における距離は、同一セット36、37において同一である。
【0088】
例えば、同一のセット36、37は、2つの異なる給電ピン33、34に属する少なくとも1つの接続部分33G3および少なくとも1つの接続部分34G3を含んでいる。ここで、同一のセット内での相入力/相出力のこの交互配置は、相システムの給電端部の一部のみにつき、すなわち交差部分を有する給電端部につき、接続部分33G3、34G3を反転させることにより生じる。したがって、ある相について、第1セットが相出力を形成する接続部分を含んでいる場合、第2セットは相入力を形成する接続部分を含むことになる。
【0089】
図11は、第1セット36が、第3相の出力O/Z+2を形成する接続部分と、第1相の入力I/Zを形成する接続部分と、第2相の出力O/Z+1を形成する接続部分と、をこの順序で含む例を示す。前記第1セット36に対して相補的な第2セット37は、第3相の入力I/Z+2を形成する接続部分と、第1相の出力O/Zを形成する接続部分と、第2相の入力I/Z+1を形成する接続部分と、をこの順序で含んでいる。
【0090】
デルタ構成を得るために、給電端部33G、34Gは、ここでは例えば相互接続トラック38によって相互接続されている。各相互接続トラックは、例えば、関連する接続部分に溶接されるとともに、電子アセンブリ26のモジュールと接続するための部品を含み得る。トラック38は、例えば、電気絶縁材料でオーバーモールドされている。これにより、これらの接続部を構成することが容易となるとともに、これら同士の良好な電気的絶縁、および前記トラックと巻線の他のピンの頂点30E、31E、32Eとの良好な電気的絶縁を保証することが容易となる。
【0091】
より具体的には、第3相の相入力I/Z+2を形成する接続部分は第2相の相出力O/Z+1を形成する接続部分に接続され、第1相の相出力O/Zを形成する接続部分は第2相の相入力I/Z+1を形成する接続部分に接続され、第3相の相出力O/Z+3を形成する接続部分は第1相の相入力I/Zを形成する接続部分に接続される。図11から明瞭に示すように、これらの接続をトラック38同士を重ねずになすことができる。
【0092】
他のタイプの接続が、特に相の順序を入れ替えることにより、本発明の要旨を逸脱せずになされ得る。
【0093】
交差部分を有さない給電端部33G、34Gを径方向に保持するために、保持部材39が前記端部同士の間に配置され得る。これにより、前記端部が、特に軸Xに対して径方向外側または内側に移動することが防止される。
【0094】
図12に示す例において、保持部材39は、同一スロットにおいて異なる縁部層に配置された2つの給電端部を保持している。層の各々は、巻線の径方向端部を形成している。
【0095】
例えば、保持部材39は、電子アセンブリ26に向かって軸方向に延びる後方束部25aの軸方向端部に接触して装着されている。したがって、支持表面として機能する保持部材39の径方向平面は、ピン30、31、32のうちの1つの少なくとも1つの頂点30E、31E、32Eに接触している。変形例として、保持部材は、束部から距離を置いて装着されるため、束部に接触しない。
【0096】
図示例において、電気巻線24は交差部分を有さない給電端部を2つのみ含み、巻線は単一の保持部材39を含んでいる。電気巻線24が交差部分を有さない4つの給電端部を含む上述の図示しない代替例において、巻線は、各端部対につき1つずつとなる2つの保持部材39を含み得る。
【0097】
保持部材は、第1給電ピン33の給電端部33Gを保持可能とする第1部分40と、第2給電ピン34の給電端部34Gを保持可能とする第2部分41と、前記部分40、41間に配置されたリンク部分42と、を含み得る。リンク部分は、前記2つ部分間において径方向に配置される。
【0098】
図12は、各々が給電端部33G、34Gのうちの一方の挿入を可能とする2つの軸方向貫通孔43を含んだバー形状にある保持部材39の例を示す。あるいは、保持部材39は、各々が給電端部33G、34Gの挿入を特にスナップ留めにより可能とする2つのスロットを含んだバー形状にあってもよい。
【0099】
保持部材39は、プラスチック等の電気絶縁材料から構成される。保持部材は、単一部品として形成され得る。すなわち、一部品を作製するように、第1部分40、第2部分41、およびリンク部分42は一体的に形成される。
【0100】
図9は、上述した巻線部の一部の概略図を示す。説明を解釈しやすくするため、スロットの個数は限定されているが、当業者には、以下の内容を困難なく拡大して、ステータの他のスロットも導電性セグメントの積層体を含みつつ完全な巻線を作製できることを理解されたい。また、説明を解釈しやすくするため、同一の相のピンを濃い線で示し、他の相のピンは薄い線で示している。
【0101】
より具体的には、図9に示す電気回路では、電流が、第1配向方向において、相の電流の入力を形成する第1給電ピン34の給電端部34Gであって、図示のように、第1軸方向端面29aの側に配置された給電端部34Gを介して巻線24に導入される。電流の流路をナンバリングされた矢印Fiを介してより詳細に説明する。この目的は、電流が積層された導電性セグメントを通過して任意のスロットについて同一方向に流れ、ステップPまたは-Pだけ間隔を空けたスロットについて反対方向に流れるという事実を示すことである。スロットE+Pは、第1配向方向においてスロットEから所定ステップPだけ離間していることに留意されたい。極毎および相毎に1つのスロットを有するデュアル三相電気巻線の本例において、ステップPは、スロットEとスロットE+Pとの間に5つのスロットを介在させることに相当する。
【0102】
電流は、第1軸方向端面29aから第2軸方向端面29bに、スロットEに収容された導電性セグメント34Aを通過して流れる(矢印F1)。このスロットEにおいて第4層C4の一部を形成するように設けられたこの導電性セグメント34Aは、第2軸方向端面29b側のその自由端部34Fに、それ自体で折り返された形状であって、この層において代わる第1グループのピンである導電性ピン30の導電性セグメント30Fと同様の形状を有している。
【0103】
給電ピンの自由端部34Fは、ステータの第2軸方向端面29bにおいて、第2グループのピンである導電性ピン31の自由端部31Fに接続されており、その導電性セグメントのうちの1つが、スロットE-Pにおいて第3層C3を占めている。2つの自由端部34F、31Fは、特に径方向において互いに隣り合って配置されているとともに、接点35において電気的に接続されることで、電流が各スロットにおいて同一方向に導電性セグメントを通過して流れ得るようになっている。この接点は、溶接により作製され得る。電流の流れ方向は、導電性ピンに重ねた矢印で示されている。この結果、電流は、矢印F2で示すように、第2軸方向端面29bから第1軸方向端面29aに、スロットE-Pの第3層C3における導電性セグメント31Bを介して流れるようにされる。
【0104】
スロットE-Pにおいて第3層C3を占める導電性セグメント31Bは、第2グループのピンに属する導電性ピン31の一部を形成している。これにより、この導電性セグメントは、第1軸方向端面29aにおいて、エルボージョイント31Cにより、導電性セグメント31A内に延びている。導電性セグメント31Aは、第1配向方向と反対の方向において、スロットE-PからスペースPだけ離間したスロットE-2Pにおいて第1層C1を占めている。したがって、電流は、矢印F4で示すように、第1軸方向端面29aから第2軸方向端面29bに、スロットE-2Pの第1層C1における導電性セグメント31Aを介して流れるようにされる。
【0105】
任意の相について、ピンは、ステータの外周全体の周囲に連続的に交互配置(interleaved)されており、図9の説明を解釈しやすくするため、電流が実質的にステータを一周した後、図9におけるスロットE+PとスロットE+2Pとの間に配置された実線において、上述の説明が再び開始されることを理解されたい。
【0106】
この段階において、巻線の連続性は、スロットE+2Pにおいて第1層C1を占める導電性セグメント31Aの自由端部31Fを、スロットE+Pにおいて第2層C2を占める導電性セグメント30Aの自由端部30Fに接続することにより達成されている。前記端部31E、30Fは、径方向において並んで配置されるとともに、第2軸方向端面29bにおいて接点35により電気的に接続されている。
【0107】
こうして、電流は、第1配向方向においてループをなすようにされるとともに、矢印F3で示すように、第2軸方向端面29bから第1軸方向端面29aに向かって、スロットE+Pの第2層C2において、第1グループのピンである導電性ピン30の導電性セグメント30Aを介して流れ、次いで、前記導電性ピン30のエルボージョイント30Cを通過して流れ、そして、第1軸方向端面29aから第2軸方向端面29bに向かって、スロットE+2Pの第4層C4において、前記導電性ピン30の導電性セグメント30Bを介して流れるようにされる。上記から、スロットE+2Pにおいて、第1層C1および第4層C4を流れる電流は、両者とも同一方向において流れることが分かる。
【0108】
次いで、電流は、第1配向方向と反対の方向において、接点35を介してスロットE+Pの第3層C3に収容された導電性セグメント31Bに、次いでエルボージョイント30Cを介してスロットEの第1層C1における同一の導電性ピン31の導電性セグメント31Aに、連続的に流れる。
【0109】
この段階において、電流は、接点35に続いて、第2軸方向端面29bから第1軸方向端面29aに向かって、第1配向方向に、スロットEの第2層C2内を接続ピン32の導電性セグメント32Aを介して流れ、次いで、エルボージョイント32Cに続いて、第1軸方向端面29aから第2軸方向端面29bに向かって、スロットE+Pの第3層C3内を前記接続ピン32の導電性セグメント32Bを介して流れるようにされる。
【0110】
巻線の連続性は、上述の内容にしたがって、導電性ピンの一部を形成するエルボージョイントの側において第1層C1の導電性セグメントから第3層C3へ、および第4層C4から第2層C2へ通過することにより、かつ、第2軸方向端面29bにおいて、接点35、特に溶接部を介して第2層C2から第1層C1へ、および第3層C3から第4層C4へ通過することにより達成される。これにより、電流が各スロットにおいて同一方向に流れる、ということが達成される。
【0111】
次いで、電流は、上述の内容にしたがって、第1層C1においてスロットE-Pに流れ込むまで、1つの導電性ピンから他の導電性ピンへと流れるようにされる。スロットE-P内には、給電ピン33の導電性セグメント33Aが配置され、その給電端部33Gを介して図示の相の電流出力が形成されている。
【0112】
本発明は、特にオルタネータ、スタータ-オルタネータ、電気モータ、または可逆機械の分野に適用され得るが、あらゆるタイプの回転機械にも適用され得る。
【0113】
当然ながら、上述の説明は、例示のみを目的としてなされたものであり、本発明の分野を限定しない。種々の要素を他の同等品に代えても、前記分野からの逸脱にはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12