(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】ピクセル化された光ビームを放射するための照明装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/14 20060101AFI20240426BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
B60Q1/14 H
B60Q1/04 E
(21)【出願番号】P 2022520629
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2020077436
(87)【国際公開番号】W WO2021064063
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-14
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】アリ、カンジ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンタン、プラット
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第03056071(FR,A1)
【文献】米国特許第09769898(US,B1)
【文献】特開2007-045407(JP,A)
【文献】特表2012-516458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/14
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源(31i,j)を含む少なくとも1つの照明モジュール(3)と、コントローラ(5)とを備えた自動車の照明装置(1)を制御する制御方法であって、前記各光源は光ピクセルを放射するように設計されており、前記コントローラ(5)
は、パラメータ
の値(αi,j)
に対応する電気信号を
各光源に印加することによって、所定の光強度で光ピクセルを放射するように前記各光源を選択的に制御することができる
ように構成され、前記パラメータの値(αi,j)とは、各光源に供給すべき電気信号に対応するものである、前記制御方法において、
(E1)
各光源(31i,j)において、当該光源によって放射される光強度とパラメータの値(αi,j)との関係を表す変換関数を一つの測定に基づいて予め定義するステップであって、前記一つの測定において、前記コントローラ(5)により1つの同じパラメータの値を有する1つの同じ電気信号を印加された前記光源(31i,j)の全てから放射される光ビームの光強度(Imax)が測定される、前記ステップと、
(E2、E3、E4)
複数の設定値(Ii,j)を受信するステップ
であって、前記設定値(Ii,j)の各々は、所望の光強度分布を有するピクセル化光ビーム(ピクセル化された光ビーム)(HD)を放射しようとしたときに、各光源(31i,j)に対応する領域(Ri,j)において実現されるべき光強度を示している、前記ステップと、
(E5)前記各設定値
(Ii,j)から、予め定義された前記変換関数を用いて前記パラメータの値(αi,j)を決定するステップと、
(E6)前記光源(31i,j)の各々を、当該光源に、前記パラメータの前記決定された値
(αi,j)に対応する前記電気信号を印加することにより制御して、前記ピクセル化光ビームを放射させるステップと、
を備えた制御方法。
【請求項2】
前記電気信号は、パルス幅変調された電気信号であり、前記パラメータは、この電気信号のデューティサイクル(αi,j)である、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記予め定義された変換関数は、測定された前記光強度(Imax)と前記パラメータの所定
の値(αi,j)との比に等しい係数を持つ線形関数である、請求項
1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記変換関数を予め定義するステップは、前記
変換関数を前記コントローラ(5)のメモリに格納することを含む、請求項1から
3のうちのいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項5】
所望のピクセル化光ビーム(HD)の放射のための複数の設定値(Ii,j)を受け取るステップは、
所望のピクセル化光ビームのデジタル画像(Im)を受け取るサブステップと、
前記デジタル画像を複数の領域(Ri,j)に分割するサブステップであって、前記各領域が前記照明モジュール(3)の前記光源(31i,j)の1つと関連付けられている、前記サブステップと、
前記照明モジュールの前記各光源に対する設定値(Ii,j)を、当該光源に関連付けられた前記領域から計算する、サブステップと、
を含む、請求項1から
4のうちのいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記パラメータの値(αi,j)を決定するステップは、予め定義された変換関数の逆関数を用いて、前記各設定値(Ii,j)から画像を演算することを含む、請求項1から
5のうちのいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
請求項1から
6のうちのいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項
7に記載のコンピュータプログラムが記録されたデータ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用照明の分野に関する。本発明は、より具体的には、高度にピクセル化された光ビームを放射するように照明装置を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車照明の分野では、ピクセル化(画素化)された照明機能を実現するのに十分な選択的に制御可能な光源を含む照明モジュールが知られており、例えば、少なくとも500ピクセルを含み、各ピクセルは光源の1つが発する要素光ビームによって形成されている。このタイプのモジュールにより、ホスト車両は、例えば防眩ハイビーム機能を実装することができ、ハイビームの一部のピクセルが消灯または減衰されて、尾行されるか若しくは通過するターゲット車両のような対象物のレベルに暗い領域を形成し、対象物を眩まされないようにすることができる。
【0003】
ピクセル化された照明機能(ピクセル化照明機能)の発光を制御するために、コントローラを使用することが知られており、このコントローラは、各光源源を選択的に制御し、かつ、照射すべきピクセル化された光ビーム(ピクセル化光ビーム)のデジタル画像の供給を受け、ピクセル化照明機能を実現する。デジタル画像は、照明モジュールの各光源について、当該光源が放射しなければならない光ピクセルの光強度に対応する設定値を定義する。コントローラはその後、各設定値から設定可能な電気信号を生成し、それをこの光源に印加して、設定値に対応する光強度で光ピクセルを放射させ、放射されたピクセルの集合がピクセル化光ビームを形成する。
【0004】
ピクセル化照明放射機能のための既知の照明モジュールは、発光ダイオードのマトリクスやモノリシックピクセル化光源など、複数のタイプの技術で構成することができる。しかしながら、これらのタイプの技術は、光源間が非常に近接しており、隣接する光源によって放射される要素ビームに干渉(クロストークとも呼ばれる)を生じさせる。このため、光源の1つから放射されたはずのピクセルの光強度が、この光源に関連付けられた設定値に対応しないことが確認されている。具体的には、この光源が発する要素ビームの一部のみがピクセルの生成に用いられ、さらに隣接する光源が発する要素ビームの一部が加算されているのである。その結果、光強度が期待される設定値と異なるようになり、このため、コントローラに提供されるデジタル画像に適合したピクセルの光ビームを放射するように照明モジュールを制御することが、複雑かつ信頼性に欠けるようになってしまう。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、このような背景の下なされたものであり、発光ピクセルの光強度が照明装置に与えられた設定値の値に適合するピクセル化ビームが照射されるように照明装置を制御する方法を提案することにより、上記で特定された問題に対処することを目的とするものである。
【0006】
このため、本発明の1つの主題は、複数の光源を含む少なくとも1つの照明モジュールと、コントローラとを備えた自動車の照明装置を制御する方法であって、前記各光源は光ピクセルを放射するように設計されており、前記コントローラは、決定された値のパラメータを有する電気信号を印加することによって、所定の光強度で光ピクセルを放射するように前記各光源を選択的に制御することができる、制御方法である。本発明によれば、この方法は、
前記パラメータの値を前記光源によって放射される光強度に変換するための照明モジュールの変換関数を、前記コントローラが前記光源に前記パラメータの所定の値を有する電気信号を印加したときに前記光源によって放射される光強度の少なくとも一つの測定によって、予め定義するステップと、
所望のピクセル化光ビーム(ピクセル化された光ビーム)の放射についての複数の設定値を受信するステップであって、前記各設定値は、前記照明モジュールの光源の1つによって放射されるべき所望のピクセル化光ビームの光強度の値である、前記ステップと、
前記各設定値から、予め定義された前記変換関数を用いて前記パラメータの値を決定するステップと、
前記光源の各々を、当該光源に、前記パラメータの前記決定された値を有する前記電気信号を印加することにより制御して、前記ピクセル化光ビームを放射させるステップと、
を備えている。
【0007】
光源が近隣に影響を与える程度を正確に判断することはできないが、結果として生じるすべての干渉の強度は測定可能である。本発明により、各光源に及ぼされる近隣の光源の影響の事前の実験的な(実験に基づいた)決定は、これらの光源が所定の方法で制御されたときにこれらの光源によって放射される光強度を測定することによって実施される。これは、これらの影響を補償することを可能にする変換関数を導出するために用いられ、光源の各々について、当該光源によって実際に放射されるピクセルの光強度がその設定値に対して実質的に一致するように、パラメータの値がこの変換関数によって決定される。
【0008】
光源の制御とは、対応する光ピクセルを消灯させるためにその光強度をゼロに制御すること、対応するピクセルを減衰させるためにその光強度を低減すること、対応するピクセルを再びONにするために所定の最大値に制御すること、あるいは対応するピクセルを増強するためにその光強度を増大させることを意味すると理解される。
【0009】
有利には、前記電気信号は、パルス幅変調された電気信号であり、前記パラメータは、この電気信号のデューティサイクルである。
【0010】
本発明の一実施形態において、変換関数を予め定義するステップは、コントローラが、前記パラメータの1つの同じ所定値を有する1つの同じ電気信号を全ての光源に印加したときに、照明モジュールによって放射される光ビームの光強度を測定する単一のサブステップを含んでいる。このように、コントローラの演算処理を簡略化するために、隣接する光源間の干渉現象が均質とすることが考えられる。例えば、測定サブステップは、放射された光ビームの最大強度を測定することからなるとしてもよい。適切な場合、上記の測定サブステップは、100%未満、例えば20%又は30%に等しいデューティサイクルを有するパルス幅変調電気信号を全ての光源に印加することによって実行してもよい。これにより、変換関数を定義するステップにおいて、光源が高い熱応力に晒されることを回避することができる。好ましくは、予め定義された変換関数は、その係数が、測定された光強度と前記パラメータの所定値との間の比率に等しい線形関数である。
【0011】
有利には、変換関数は、照明モジュールの全体について定義され、言い換えれば、変換関数は、照明モジュールのすべての光源について同じである。本発明の一変形例によれば、変換関数は、サブ関数に分解されてもよく、それぞれが光源グループ、又は単一の光源に割り当てられ、光源又はそれが割り当てられた光源グループの地理的位置に応じて定義される。
【0012】
本発明の別の実施形態において、変換関数を予め定義するステップは、コントローラが、光源の全てに前記パラメータの複数の所定値を有する1つの同じ電気信号を印加したときに照明モジュールによって放射される光ビームの光強度を測定する複数のサブステップを含んでいてもよい。適切な場合、予め定義された変換関数は、測定された光強度値から外挿された非線形関数、例えば、対数関数または多項式関数であってもよい。
【0013】
有利には、変換関数を予め定義するステップは、当該関数をコントローラのメモリに格納することを含む。
【0014】
有利には、所望のピクセル化光ビームの放射のための複数の設定値を受け取るステップは、 所望のピクセル化光ビームのデジタル画像を受け取るサブステップと、デジタル画像を複数の領域に分割するサブステップであって、前記各領域が前記照明モジュールの前記光源の1つと関連付けられている、前記サブステップと、照明モジュールの各光源に対する設定値を、当該光源に関連付けられた領域から計算する、サブステップと、を含んでいてもよい。言い換えれば、デジタル画像は、照明モジュールの光源の数と同じ数の領域に分割され、各領域は、これらの光源の1つによって放射され得るピクセルに対応する。例えば、光源の各々に割り当てられた設定値は、当該光源に関連付けられた領域における平均光強度に対応していてもよい。
【0015】
有利には、前記パラメータの値を決定するステップは、予め定義された変換関数の逆関数を用いて、各設定値から画像を計算することを含む。
【0016】
本発明の1つの例示的な実施形態によれば、ピクセル化光ビームは複数のピクセル、例えば500のピクセルからなる光ビームであり、ピクセルの寸法は0.05°から0.30°の間、例えば0.28°であり、複数のピクセルは、複数の行および複数の列、例えば20行および25列にわたって分布する。
【0017】
光源とは、電気光学素子と任意採択的に関連付けられた任意の光源であって、選択的に活性化(電力供給)され、かつ、光強度が制御可能な要素光ビームを放射するように制御できる光源を意味すると理解される。特に、発光半導体チップ、モノリシックなピクセル化された発光ダイオードの発光素子、光源によって励起可能な光変換素子の一部、あるいは液晶やマイクロミラーに関連付けられた光源さえもがこれに該当する。
【0018】
本発明の別の主題は、本発明による方法を実施するためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラムである。
【0019】
本発明の他の主題は、本発明によるコンピュータプログラムが記録されたデータ媒体である。
【0020】
次に、本発明を、例示に過ぎず決して本発明の範囲を限定することのない実施例の助けを借りて、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、自動車の照明装置を概略的かつ部分的に示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る
図1の照明装置の制御方法を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2の方法の一つのステップにおいて、
図1の照明装置によって放射されるピクセル化された光ビームの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図2の方法の一つのステップにおいて、
図1の照明装置によって受信されるデジタル画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図2の方法の一つのステップにおいて、
図4のデジタル画像を分割する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明において、構造上または機能上同一であり、様々な図に現れる要素には、特に断りのない限り、同一の参照符号を付している。
【0023】
図1は、自動車の右側照明装置1を示しており、2つの照明モジュール2、3を備えている。照明モジュール2は、ロービーム光ビームを放射するためのレンズ22と関連付けられた光源21を備えている。照明モジュール3は、高解像度ピクセル化光ビームHDを放射するためのレンズ32に関連付けられたピクセル化光源31を備えている。ここで記述される例では、ピクセル化光源31は、モノリシックなピクセル化された発光ダイオードであり、その(複数の)発光素子の各々は光源31i,jを形成し、光源31i,jは、統合コントローラによって選択的に活性化(電力供給)されるとともに制御されて光強度が制御可能な要素光ビームを放射し、要素光ビームの光強度は制御可能であり、ピクセル化光ビームのピクセルのうちの1つを形成する。ここで記述される例では、ピクセル化光ビームHDは、135列と37行にわたって分布する、0.2°の寸法を有する約5000個のピクセルを備えている。
【0024】
照明装置1は、光源21およびピクセル化光源31の統合コントローラを制御するように設計されたコントローラ5を備え、このコントローラ5は、ホスト車両のコンピュータ6から受信した情報に基づいて、ビームのONあるいはOFFに従い、ピクセル化光ビームの各ピクセルのON(点灯)、OFF(消灯)および光量の変更を選択的に制御する。
【0025】
より具体的には、コントローラ5は、コンピュータ6から、このビームの光強度をグレースケールで定義する、放射されるべきピクセル化された光ビームのデジタル画像を受信する。後述するように、コントローラ5は、このデジタル画像に基づいて、光源31i,jの各々に対してデューティサイクル値を定義し、これらの値をピクセル化光源31の統合コントローラに送信する。ピクセル化光源31は、光源31i,jの各々に、これと関連付けられたデューティサイクル値に従ってパルス幅変調された電気信号を生成して印加し、これにより光ピクセルが放射され、ピクセルのセットが放射されるべきピクセル化光ビームを形成する。
【0026】
図2は、特にコントローラ5とピクセル化光源31の統合コントローラによって実施される、照明装置1を制御するための方法を示す。
【0027】
第1のステップE1(これは例えば照明装置1の製造終了時または照明装置1を搭載した自動車の最初の駆動前に行われる)では、照明モジュール3の変換関数が定義される。この変換関数は、コントローラ5によって定義された(複数の)デューティサイクル値と、ピクセル化光源31の(複数の)光源31i,jによって放射される(複数の)要素光ビームの光量との間での変換を行うためのものである。
【0028】
このため、コントローラ5は、ピクセル化光源31が様々な強度を有する複数の全部のピクセル化光ビームを放射するように、複数の所定のデューティサイクル値をピクセル化光源31の統合コントローラに順次送信する。(複数の)所定の値は、0から100%まで、一定間隔で増加する(複数の)デューティサイクル値である。光源31i,jは全て同じように制御され、全てのピクセルが各デューティサイクルの発生によりONになり、各光ビームは強度が増加してゆく「ブランクページ(空白のページ)」を形成する。
図3は、照明モジュール3によってデューティサイクル20%で放射されるピクセル化光ビームHDによって形成される「ブランクページ」の一例を示している。
【0029】
各デューティサイクルの発生に対して、照明モジュール3によって放射されるピクセル化光ビームの最大強度Imaxが測定される。最後に、デューティサイクルと実際に放射される光強度との間で変換するための変換関数を定義するために、測定された様々な光強度の値が外挿される。説明した例では、外挿された変換関数は、以下の式で定義される2次多項式関数である。
【数1】
ここで、Imは実際に放射された光量、αはピクセル化光源31に印加される電気信号のデューティサイクルである。
【0030】
ステップE1が終了すると、変換関数がコントローラ5のメモリに格納される。
【0031】
ステップE2において、コントローラ5は、コンピュータ6から、照明モジュール3によって放射されるべきピクセル化された光ビームのデジタル画像Imを受信する。デジタル画像Imの一例は、
図4に示されている。デジタル画像Imの各点は、空間内の点における所望のピクセル化された光ビームの光強度を表している。
【0032】
ステップE3において、コントローラ5は、デジタル画像Imを、ピクセル化光源31の光源31i,jの数と同じ数の領域Ri,jに分割する。従って、各領域Ri,jは、これらの光源31i,jの1つと関連付けられ、サイズおよび形状の観点から、この光源31i,jによって放射され得るピクセルと対応する。分割画像Imの一例が
図5に示されている。
【0033】
ステップE4において、コントローラ5は、光源31i,jのそれぞれについて、この光源31i,jに関連する領域Ri,jの平均光強度に対応する設定値Ii,jを計算する。したがって、この設定値は、この光源31i,jによって放射されるべきピクセルの光強度に対応し、これにより(複数の)ピクセルのセットが所望のピクセル化光ビームを形成するようになる。
【0034】
ステップE5において、コントローラ5は、各設定値Ii,jと、予め定義された変換関数とから、デューティサイクル値αi,jを決定する。例えば、次式で定義される変換関数の逆関数によって、デューティサイクル値を決定してもよい。
【数2】
【0035】
最後に、ステップE6において、コントローラ5によって、すべてのデューティサイクル値αi,jが、ピクセル化光源31の統合コントローラに送信される。この統合コントローラ31i,jは、関連するデューティサイクル値αi,jに従ってパルス幅変調された電気信号を生成して、光源31i,jの各々に印加し、これにより各光源31i,jが、光強度が設定値Ii,jに実質的に対応する光ピクセルを放射するようになる。
【0036】
以上の記述により、本発明が、特に照明装置の制御方法を提案することにより、自ら設定した目的を達成することを可能にすることが明確に説明された。当該制御方法は、デューティサイクルと実際に放射される光量とを変換する変換関数を先行して実験的に定義することにより、照明モジュールにより実際に放射されるピクセル化光ビームが、照明モジュールに与えられた光量命令と一致するように、照明モジュールの(複数の)光源の相互干渉を考慮し補償することを可能とするのである。
【0037】
いずれにせよ、本発明は、本書に具体的に記載された実施形態に限定されるものではなく、特に、均等な手段およびこれらの手段の技術的に作用可能な任意の組み合わせまで拡張されるものと考える。特に、記載された一つの変換関数以外の変換関数、特に光強度の単一の測定値から決定される線形変換関数、あるいは各光源または光源群について定義される複合変換関数を想定することが可能である。