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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】引出しのための引出しガイド
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/45 20170101AFI20240426BHJP
【FI】
A47B88/45
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022523469
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 AT2020060364
(87)【国際公開番号】W WO2021077145
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】A50903/2019
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エマヌエル ネッツァー
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-526565(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0036345(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105433618(CN,A)
【文献】独国実用新案第202009016105(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出し(2)用の引出しガイド(20)であって、
-家具キャビネット(9)の側面に配置可能なキャビネット側レール(14)と、
-引出し(2)に取付け可能な、前記キャビネット側レール(14)に沿って開放方向(OR)および閉鎖方向(SR)で可動に支持された引出し側レール(13)であって、前記引出し(2)に面した上面(O)と、少なくとも1つのサイドウェブ(S)によって前記上面(O)から離隔されている下面(U)とを有している引出し側レール(13)と、
-同期装置(6)の同期ロッド(65)のための支持装置(17)であって、前記同期ロッド(65)のための取付け領域(B)を有している支持装置(17)と、
を有し、
前記取付け領域(B)は、前記引出し側レール(13)の前記下面(U)の下側に配置され、
前記取付け領域(B)は、水平方向で、前記引出し側レール(13)と前記キャビネット側レール(14)との間に位置している
ことを特徴とする、引出しガイド(20)。
【請求項2】
前記キャビネット側レール(14)が、前記キャビネット側レール(14)を前記家具キャビネット(9)の側壁に組付けるための垂直方向のサイドウェブ(V)を有し、前記取付け領域(B)が、前記垂直方向のサイドウェブ(V)と前記引出し側レール(13)との間に配置されている、請求項1記載の引出しガイド。
【請求項3】
前記取付け領域(B)は、前記同期ロッド(65)が前記支持装置(17)に接触する領域である、請求項1または2記載の引出しガイド。
【請求項4】
前記支持装置(17)は、前記キャビネット側レール(14)にまたは前記引出し側レール(13)に取り付けられた支持体(18)と、前記支持体(18)に可動に支持された、前記同期ロッド(65)のための収容部分(19)とを有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の引出しガイド。
【請求項5】
前記収容部分(19)は、前記支持体(18)に回転可能に支持されている、請求項4記載の引出しガイド。
【請求項6】
前記取付け領域(B)は、前記収容部分(19)における凹部として形成されている、請求項4または5記載の引出しガイド。
【請求項7】
家具キャビネット(9)の対向する側面に組付け可能な2つの、請求項1から6までのいずれか1項記載の引出しガイド(20)を有する装置。
【請求項8】
引出し側レール(13)の運動を、または駆動装置(1,1’)の運動を同期させるための、同期ロッド(65)を有した同期装置(6)が設けられている、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記同期ロッド(65)は2つの端部を有しており、前記端部を介して、支持装置(17)の取付け領域(B)内に支持されており、前記同期ロッド(65)は前記引出し側レール(13)の下側に延在している、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記同期ロッド(65)は、組み付けられた状態で水平に向けられていて、垂直方向で前記引出し側レール(13)の下側に延在している、請求項9記載の装置。
【請求項11】
引出し(2)のための少なくとも1つの駆動装置(1,1’)が設けられている、請求項8から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記駆動装置(1,1’)は、キャビネット側レール(14)の1つに組み付けられている、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの駆動装置(1,1’)は、前記垂直方向のサイドウェブ(V)と前記引出し側レール(13)との間に配置されている、請求項2を引用する請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記引出し(2)のための前記少なくとも1つの駆動装置(1,1’)は、前記引出し側レール(13)と前記キャビネット側レール(14)との間に配置されている、請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記駆動装置(1,1’)は、前記引出し(2)を押し出すためのエジェクション装置(4)として形成されており、前記エジェクション装置(4)は、閉鎖位置(SS)に位置している前記引出し(2)を押すことによりロック解除可能であり、前記引出し(2)はロック解除された前記エジェクション装置(4)によって前記閉鎖位置(SS)から開放方向(OR)で移動可能であり、開放位置(OS)へともたらすことができる、請求項11から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
エジェクション装置(4)として形成された前記少なくとも1つの駆動装置(1,1’)は、それぞれ1つのケーシング(3)、前記ケーシング(3)内に可動に支持されたエジェクションキャリッジ(41)、前記ケーシング(3)におよび前記エジェクションキャリッジ(41)に取り付けられたエジェクション蓄力器(42)、前記ケーシング(3)内に形成されたハートカム形状のガイド軌道(52)、前記ガイド軌道(52)の係止凹部内で係止可能なロックピン(51)、および前記エジェクションキャリッジ(41)に可動に支持されていて、前記ロックピン(51)を有している制御レバー(53)を有している、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記ケーシング(3)は、前記支持装置(17)の支持体(18)を形成している、請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記収容部分(19)に、連結エレメント(21)が取り付けられていて、または形成されていて、前記連結エレメントは、連結エレメント(22)に、運動伝達式に連結可能であって、前記連結エレメント(22)は、前記ケーシング(3)に運動可能に支持された同期キャリッジ(63)に取り付けられている、または形成されている、請求項4を引用する請求項16または17記載の装置。
【請求項19】
前記連結エレメント(21)は、歯車状である、請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記連結エレメント(22)は、ラック状である、請求項18または19記載の装置。
【請求項21】
前記同期キャリッジ(63)は、前記ケーシング(3)に、直線的に運動可能に支持されている、請求項18から20までのいずれか1項記載の装置。
【請求項22】
前記同期ロッド(65)は、開放方向(OR)および閉鎖方向(SR)に対して直交方向に向けられている、請求項8から21までのいずれか1項記載の装置。
【請求項23】
家具キャビネット(9)と、少なくとも1つの引出し(2)と、請求項7から22までのいずれか1項記載の装置とを備えた家具(8)。
【請求項24】
引出しガイド(20)の組付け状態で、取付け領域(B)は、水平方向で、引出し側レールの下面の下側に配置されている、請求項23記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出しのための引出しガイドであって、家具キャビネットの側面に配置可能なキャビネット側レール、引出しに取付け可能な、キャビネット側レールに沿って開放方向および閉鎖方向で可動に支持された引出し側レールであって、引出しに面した上面と、少なくとも1つのサイドウェブによって上面から離隔されている下面とを有している引出し側レール、および同期装置の同期ロッドのための支持装置であって、同期ロッドのための取付け領域を有している支持装置、を有している引出しガイドに関する。さらに、本発明は、2つのこのような引出しガイドを備えた装置、ならびに引出しと前記装置とを備えた家具に関する。
【0002】
可動の家具部分、特に引出しを、家具キャビネットに対して相対的に動かすために、可動の家具部分、特に引出しの多くは、キャビネット側レールと引出し側レールとを有する引出しガイドを介して、開放方向および閉鎖方向で可動に支持されている。このような家具用金具では、両側で均等な開閉を可能にし、引出しの傾斜、ひいては引っかかりを阻止することを補助する同期装置が使用されることが多い。
【0003】
このような家具用金具の例は、欧州特許第3282895号明細書に記載されている。このような家具用金具の欠点は、両側に配置される、エジェクション装置の形態の駆動装置が、比較的幅が広く、多くのスペースを占めることにある。
【0004】
したがって本発明の課題は、従来技術のものに対して代替的なもしくは改善された装置を提供することにある。特に所要スペースは、できるだけ小さいことが望ましい。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を備えた引出しガイドによって解決される。したがって、本発明によれば、取付け領域が、(好ましくは、組付け状態で、水平方向で)引出し側レールの下面の下側に配置されている。これにより、同期ロッドは引出し側レールを橋絡することができる。これによりさらに、場合によっては存在する駆動装置を、引出し側レールと家具キャビネットとの間に配置することができるようになる。
【0006】
「水平方向」、「垂直」、「上面」、および「下面」という表現は、常に、家具キャビネットにおける、引出しガイドもしくは家具用金具の組付け状態に関する。
【0007】
好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
好ましい実施例によれば、取付け領域は、引出し側レールとキャビネット側レールとの間に配置されていることが想定されている。これにより、場合によっては存在する駆動装置も、これら両レールの間に配置することができ、これによりユニット全体を極めて細く形成することができる。すなわち、キャビネット側レール、引出し側レール、支持装置、および場合によっては存在する駆動装置から成る引出しガイドの、水平方向で、開放方向に対して直交方向で測定される最大幅は、100mm未満であり、好ましくは75mm未満である。特に好ましくは、この幅は、40mm~70mmの範囲にある。
【0009】
同期ロッドから別の構成要素に運動を伝達することができるように、好ましくは、取付け領域は、同期ロッドが支持装置に接触する領域であることが想定されている。
【0010】
支持装置は、同期ロッドがこの支持装置に支持可能であって、取付け領域で取付け可能であるように形成されていなければならない。好ましくは、支持装置は、キャビネット側レールにまたは引出し側レールに取り付けられた支持体と、支持体に沿って可動に、好ましくは回転可能に支持された、同期ロッドのための収容部分とを有していることが想定されている。
【0011】
収容部分が回転可能に支持されているならば、好ましくは、回転軸線が水平方向で、引出しの開放方向に対して直交方向に延在していることが想定されている。
【0012】
同期ロッドは、例えばスナップ接続を介して支持装置に接続可能であることを想定することができる。別の取外し可能な接続態様も可能である。取付け領域が突起の形態で形成されていて、この突起に同期ロッドが取付け可能であることも可能ではある。しかしながら、好ましくは、取付け領域は、収容部分に凹部として形成されていることが想定されている。
【0013】
家具キャビネットの対向する側面に組付け可能な2つの本発明による引出しガイドから成る装置についても特許権保護が求められる。
【0014】
特に好ましくは、この装置は、両引出しガイドの他に、引出し側レールの運動を、または場合によっては存在する駆動装置の運動を同期させるための、同期ロッドを有した同期装置も有している。
【0015】
さらに同期ロッドは2つの端部を有しており、その端部を介して、支持装置の取付け領域内に支持されており、同期ロッドは引出し側レールの下側に延在していると好適である。すなわち、同期ロッドは、引出し側レールの間または引出し側レールの上側に延在しているのではなく、全体的に引出し側レールの下側に延在している。このために、特に好適には、同期ロッドは、組み付けられた状態で水平に向けられていて、組付け状態で全体的に、垂直方向で引出し側レールの下側に延在していることが想定されている。
【0016】
特に好ましくは、この装置は、引出しのための、好ましくは、キャビネット側レールの1つに組付けられた少なくとも1つの駆動装置も有している。好ましくは、この装置は、引出しのための、(それぞれキャビネット側レールの1つに組付けられた)2つの駆動装置を有している。
【0017】
少なくとも1つの駆動装置が、引出しを開放位置から閉鎖位置へと引き込むための引込み装置として形成されていてもよい。しかしながら好ましい実施例によれば、少なくとも1つの駆動装置は、引出しを押し出すためのエジェクション装置として形成されており、エジェクション装置は、閉鎖位置に位置している引出しを押すことによりロック解除可能であり、引出しはロック解除されたエジェクション装置によって閉鎖位置から開放方向で移動可能であり、開放位置へともたらすことができることが想定されている。
【0018】
具体的な実施例によれば、好ましくは、エジェクション装置として形成された少なくとも1つの駆動装置は、ケーシング、ケーシング内に可動に支持されたエジェクションキャリッジ、ケーシングにおよびエジェクションキャリッジに取り付けられたエジェクション蓄力器、ケーシング内に形成されたハートカム形状のガイド軌道、ガイド軌道の係止凹部内で係止可能なロックピン、およびエジェクションキャリッジに可動に支持されていて、ロックピンを有している制御レバーを有していることが想定されている。
【0019】
簡単かつ省スペースの構造のためには好適には、ケーシングが、支持装置の支持体を形成していることが想定されている。これにより、支持装置の収容部分はケーシング内に直接可動に支持されている。
【0020】
同期ロッドと駆動装置との間の簡単な運動伝達のためには、好ましくは、収容部分に、好ましくは歯車状の連結エレメントが取り付けられていて、または形成されていて、この連結エレメントは、好ましくはラック状の連結エレメントに、運動伝達式に連結可能であることが想定されている。特に好ましくは、連結エレメントは、ケーシングに、好ましくは直線的に運動可能に支持された同期キャリッジに取り付けられている、または形成されている。
【0021】
引出しガイドの両側の間で同期化された運動伝達が可能であるならば、同期ロッドの正確な方向および位置自体は任意である。好適には、同期ロッドは、(組み付けられた状態で水平にかつ)開放方向および閉鎖方向に対して直交方向に向けられている。
【0022】
最後に、家具キャビネット、少なくとも1つの(開放方向で可動の)引出し、および上記装置を有する家具についても特許権保護が求められる。
【0023】
本発明のさらなる詳細および利点を、図面の説明につき、図面に示した実施例に関して以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】引出しの形態の複数の可動の家具部分を備えた家具を示す概略図である。
図2】引出し用引出しガイドと、可動の家具部分のための駆動装置とを備えた引出しを示す斜視図である。
図3】同期ロッドを介して同期させられる2つの駆動装置から成る装置を示す図である。
図4】キャビネット側レールを示す斜視図である。
図5】支持装置と、まだ取り付けられていない同期ロッドと共に引出しガイドを示す斜視図である。
図6図5の細部を示す図である。
図7】取り付けられた同期ロッドを含む支持装置と共に引出しガイドを示す図である。
図8図7の細部を示す図である。
図9】引出しガイドを示す別の斜視図である。
図10】引出しガイドを示す側面図である。
図11図10の細部を示す図である。
図12】支持装置を含む駆動装置を示す平面図である。
【0025】
図1には、家具キャビネット9と、引出し2の形態の全部で4つの可動な家具部分とを備えた家具8が極めて一般的に示されている。各引出し2は、少なくとも引出し容器10と前板11とから成っている。引出し2は、引出し側レール13とキャビネット側レール14と(場合によっては図示されていない中間レールと)から成る(引出し用)引出しガイド20を介して、家具キャビネット9に取り付けられている。
【0026】
最上部の引出しには、概略的に駆動装置1が示されている。駆動装置1はケーシング3を有している。この場合、このケーシング3は、引出し側レール13に取り付けられている(図1の概略図では、ケーシング3は引出し側レール13に相当する)。駆動装置1は、エジェクション装置4を有しており、このエジェクション装置4のエジェクションキャリッジ41とエジェクション蓄力器42とが概略的に示されている。ロック装置5は、ケーシング3に形成されたガイド軌道52と、(この場合ハートカム形状の)このガイド軌道52にガイドされるロックピン51とを有している。キャビネット側レール14(または家具キャビネット9自体)には、連行体15が配置されていて、この連行体には、エジェクション装置4が、少なくとも所定の区分で係合している。しかしながらこの配置は逆であってもよい。すなわち、駆動装置1がキャビネット側レール14に配属されていて、連行体15が可動な家具部分に配属されている。最上部の引出し2は、開放位置OSに位置している。
【0027】
引出し2をこの開放位置OSから閉鎖方向SRで動かすと、ロックピン51は、ガイド軌道52の閉鎖区分を移動する。この場合、エジェクション蓄力器42は、エジェクションキャリッジ41とケーシング3との間の相対運動により緊張させられる。
【0028】
閉鎖位置SS(上から3番目の引出し)では、エジェクション蓄力器42が完全に緊縮している。この閉鎖位置SSには、純粋に手動の閉鎖運動により達することができる。代替的に、引出し2を、設けられているならば、引出しガイド20に組み込まれている、概略的にのみ示された引込み装置16によって、閉鎖位置SSへと動かすことが、もしくは引き込むことができる。
【0029】
この閉鎖位置SSを起点として、引出し2は、引出し2を押し込むことにより、過剰押込み位置US(図1の最下方の引出し)に到る。これにより、ロック装置5のロック解除が行われる。閉鎖方向SRで過剰押込みが行われたあと、使用者がそれ以上引出し2を押さなくなるとすぐに、引出し2は、駆動装置1によって開放方向ORで押し出される。これにより、引出し2は、上から2番目の引出し2のような開放位置OSへと到る。この位置では、引出し2を例えば前板11を介して把持することができ、手動でさらに、1番上の引出し2のような位置へと移動させることができる。
【0030】
図2には、引出し容器10と前板11とを備えた引出し2の斜視図が示されている。さらに、それぞれ2つの引出し側レール13と2つのキャビネット側レール14とを備えた2つの引出しガイド20から成る装置が示されており、この場合、引出しガイド20のそれぞれ1つの引出し側レール13とキャビネット側レール14とが引出し2の両側に設けられている。さらに、図2には駆動装置1が示されている。駆動装置1はキャビネット側レール14に取り付けられている。この駆動装置1(もしくはそのケーシング3)は、引出し2の閉鎖方向SRで延在している。とりわけより小さいまたはより薄い引出し2の場合は、引出し2に駆動装置1が1つだけ配属されていれば十分である。1つだけの駆動装置は、(図示したように)右側の引出しガイド20に(しかしながら、左側の引出しガイド20にも)配属することができる。
【0031】
より幅の広いもしくはより大きな引出し2の場合は、とりわけ家具キャビネット9内での引出し2の傾斜または引っかかりを回避するために、引出し2の両側に互いに同期する駆動装置1および1’が設けられていると好適である。これに合わせて、図3には、(第1の)駆動装置1と第2の駆動装置1’とから成る装置7が示されている。これらの両駆動装置1および1’は、同期ロッド65を介して互いに接続されている。(この装置7は、2つの引出しガイド20とこの装置7とから成る上位の装置の部分である)具体的には、駆動装置1および1’の開放運動および閉鎖運動の区分が互いに同期されている。第1の駆動装置1は、第2の駆動装置1’に対して鏡像対称的に形成されている。または、駆動装置1および1’は同一に形成されている。
【0032】
図4は、成形材状のキャビネット側レール14を斜視図で示している。垂直方向のサイドウェブVを介して、このキャビネット側レール14は家具キャビネット9の側壁に組付け可能である。キャビネット側レール14は、ガイド領域Fを有していて、このガイド領域に沿って引出し側レール13が(例えば相応のローラを介して)可動に支持されてガイドされている。端部領域で、キャビネット側レール14は切欠Aを有している。この切欠Aの領域で、支持装置17がキャビネット側レール14に接続可能である。組付け状態で、この切欠Aは、キャビネット側レール14の、前板11とは反対側に位置している。
【0033】
図5は、キャビネット側レール14を、このレールに沿って可動に支持された引出し側レール13と共に斜視図で示している。引出し側レール13は、端部領域で、引出し2をこの引出し側レール13に取外し可能に接続するための接続装置23を有している。他方の端部領域では、支持装置17がキャビネット側レール14に取り付けられていることが示されている。同期ロッド65も示されているが、この同期ロッドは、支持装置17にまだ接続されておらず、接触していない。
【0034】
図6には、図5の細部が示されている。例えば、引出し側レール13の(水平方向に向けられた)上面Oならびに(垂直方向に向けられた)サイドウェブSが示されている。さらに、支持体18と収容部分19とが示されていて、これらは共に支持装置17を形成している。引出し側レール13、キャビネット側レール14、および支持装置17は、一緒に引出しガイド20を形成している。収容部分19には、凹部が形成されている。この凹部の上面は、取付け領域Bを形成していて、この取付け領域は、同期ロッド65が取り付けられた状態で、この同期ロッド65に接触する。取付け領域Bは、引出し側レール13とキャビネット側レール14との間に位置している。
【0035】
図7には、同期ロッド65が、支持装置17に取り付けられた位置で示されている。具体的には、同期ロッド65と収容部分19との間に、形状接続的な保持が形成されている。
【0036】
図8には、図7の細部が示されている。上面OおよびサイドウェブSの他に、引出し側レール13の(水平方向に向けられた)下面Uも示されている。サイドウェブSは、上面Oと下面Uとを接続している。同期ロッド65は、支持装置17の収容部分19の取付け領域Bに接触している。取付け領域Bは、(組付け状態で、水平方向で)引出し側レール13の下面Uの下側に配置されている。これにより、同期ロッド65も(完全に)引出し側レール13の下側に延在している。支持装置17の支持体18は、駆動装置1,1’のケーシング3の部分である。
【0037】
図9は、引出しガイド20を別の視点からの斜視図で示している。両レール13および14および同期ロッド65に加えて付加的に、駆動装置1,1’も部分的に示されている。この駆動装置1,1’は、引出し側レール13とキャビネット側レール14との間に配置されている。
【0038】
図10には、図9の引出しガイドが側面図で示されている。
【0039】
図11は、支持装置17の領域を示す、図10の細部を示している。横断面図で示された同期ロッド65は、支持装置17の収容部分19の取付け領域Bに保持されている。同期ロッド65の外面は、取付け領域Bに接触している。支持体18はケーシング3の部分である。図11にはさらに、キャビネット側レール14と引出し側レール13とが示されている。取付け領域Bが(同期ロッド65も同様に)、引出し側レール13の下面Uの下側に配置されていることが重要である。これにより、同期ロッド65は、引出し側レール13の下側に延在していて、引出し側レールを「橋絡」している。したがって、駆動装置1,1’を、キャビネット側レール14と引出し側レール13との間に配置することができ、これにより所要スペースが減じられる。すなわち、駆動装置1,1’を、引出し側レール13の、キャビネット側レール14とは反対の側に配置する必要がない。このような配置によって全体としてより幅の広い構造となる。
【0040】
図12は、支持装置17を含む駆動装置1,1’の一部を平面図で示している。具体的には、ケーシング3内に形成されたハートカム形状のガイド軌道52が示されている。ロックピン51は、過剰押込み後の、かつロック解除後の位置に位置しており、この位置では、エジェクト運動が行われる。ロックピン51は、同期キャリッジ63の連行エレメント64に接触する。これにより、ラック状の連結エレメント22が配置されている、同期キャリッジ63の領域も移動する。図12では、このラック状の連結エレメント22の個々の歯列は、図平面よりも下方に向かって突出しているので、見えていない。これに対して、歯車状の連結エレメント21の少なくとも1つの歯が見えている。連結エレメント22の直線運動により、歯列は互いに噛み合い、これにより歯車状の連結エレメント21が回転させられる。歯車状の連結エレメント21は収容部分19に接続されているので、収容部分19は相応に、支持装置17の支持体18に対して相対的に回転する。支持体18は、図示した実施例では、駆動装置1,1’のケーシング3と一体に形成されている。同期キャリッジ63(および連行エレメント64)は、両連結エレメント21および22と、図示されていない同期ロッド65と共に、同期装置6を形成している。この場合、同期装置6は、引出し2の両側に配置された2つの駆動装置1,1’を同期させるために機能する。
【0041】
しかしながら、同期装置6は、両引出し側レール13の動きのみを同期させるために機能することも同様に可能である。これはいわゆる、側方安定化に相当する。
【符号の説明】
【0042】
1 駆動装置
2 引出し
3 ケーシング
4 エジェクション装置
41 エジェクションキャリッジ
42 エジェクション蓄力器
5 ロック装置
51 ロックピン
52 ガイド軌道
53 制御レバー
6 同期装置
63 同期キャリッジ
64 連行エレメント
65 同期ロッド
7 装置
8 家具
9 家具キャビネット
10 引出し容器
11 前板
13 引出し側レール
14 キャビネット側レール
15 連行体
16 引込み装置
17 支持装置
18 支持体
19 収容部分
20 引出しガイド
21 連結エレメント
22 連結エレメント
23 接続装置
OS 開放位置
SS 閉鎖位置
US 過剰押込み位置
SR 閉鎖方向
OR 開放方向
O 上面
S サイドウェブ
U 下面
B 取付け領域
V 垂直方向のサイドウェブ
A 切欠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12