(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】ノイズ低減スリーブ及び電子膨張弁
(51)【国際特許分類】
F16K 47/02 20060101AFI20240426BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20240426BHJP
F16K 31/68 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
F16K47/02 D
F16K31/04 Z
F16K31/68 S
(21)【出願番号】P 2022528032
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 CN2020115626
(87)【国際公開番号】W WO2021103752
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】201911185386.7
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】曾 慶軍
(72)【発明者】
【氏名】賀 宇辰
(72)【発明者】
【氏名】徐 冠軍
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-298343(JP,A)
【文献】特開2020-128782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 47/02
F16K 31/00-31/05,31/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子膨張弁に用いられるノイズ低減スリーブであって、
前記ノイズ低減スリーブは筒状構造であり、前記ノイズ低減スリーブは流量均等化チャンバ(10)を有し、前記ノイズ低減スリーブの側壁に複数の切欠き(20)が設けられており、各々の前記切欠き(20)はいずれも前記流量均等化チャンバ(10)と連通され、前記切欠き(20)は前記ノイズ低減スリーブの軸線方向に沿って延在し、前記切欠き(20)の一端は前記ノイズ低減スリーブの下端面まで延在
し、前記ノイズ低減スリーブの外壁及び/又は内壁には、冷却媒体の流れを乱すためのスポイラ構造(30)が設けられている、ノイズ低減スリーブ。
【請求項2】
前記スポイラ構造(30)は複数のスポイラ凸部(31)を含み、複数の前記スポイラ凸部(31)は前記ノイズ低減スリーブの外壁に設けられ、前記スポイラ凸部(31)は前記ノイズ低減スリーブの軸線方向に沿って延在し、複数の前記スポイラ凸部(31)は前記ノイズ低減スリーブの周方向に沿って間隔をおいて設けられている、請求項
1に記載のノイズ低減スリーブ。
【請求項3】
電子膨張弁に用いられるノイズ低減スリーブであって、
前記ノイズ低減スリーブは筒状構造であり、前記ノイズ低減スリーブは流量均等化チャンバ(10)を有し、前記ノイズ低減スリーブの側壁に複数の切欠き(20)が設けられており、各々の前記切欠き(20)はいずれも前記流量均等化チャンバ(10)と連通され、前記切欠き(20)は前記ノイズ低減スリーブの軸線方向に沿って延在し、前記切欠き(20)の一端は前記ノイズ低減スリーブの下端面まで延在し、
前記切欠き(20)は、互いに連通された第1のセグメント(21)及び第2のセグメント(22)を含み、前記第1のセグメント(21)は前記第2のセグメント(22)の上方に位置し、前記第1のセグメント(21)の内壁が曲面であり、前記第2のセグメント(22)の内壁が平面である
、ノイズ低減スリーブ。
【請求項4】
ハウジング(40)と、
前記ハウジング(40)内に設けられたナットアセンブリ(50)と、
対向して設けられた第1端及び第2端を有し、前記第1端が前記ナットアセンブリ(50)に接続された、請求項1から
3のいずれか一項に記載のノイズ低減スリーブであるノイズ低減スリーブ(60)と、を含む、電子膨張弁。
【請求項5】
前記ナットアセンブリ(50)はナット座(51)を含み、前記ナット座(51)と前記ノイズ低減スリーブ(60)との間に位置決め構造(70)が設けられており、前記位置決め構造(70)は前記ノイズ低減スリーブ(60)の切欠き(20)の向きを位置決めするために用いられる、請求項
4に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記ナット座(51)の底部には、前記ナット座(51)と同軸に設けられた第1の取り付けタブ(511)が設けられており、前記ノイズ低減スリーブ(60)の第1端は前記第1の取り付けタブ(511)に嵌合され、前記第1の取り付けタブ(511)の外壁と前記ノイズ低減スリーブ(60)の内壁のうちの一方に位置決めタブ(71)が設けられ、前記第1の取り付けタブ(511)の外壁と前記ノイズ低減スリーブ(60)の内壁の他方に位置決め凹溝(72)が設けられ、前記位置決めタブ(71)と前記位置決め凹溝(72)とが互いに係合されて前記位置決め構造(70)が形成される、請求項
5に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記電子膨張弁は、前記ハウジング(40)内に前記ナットアセンブリ(50)と間隔をおいて設けられた弁座コア(80)を更に含み、前記弁座コア(80)の頂部に第2の取り付けタブ(81)が設けられ、前記第2の取り付けタブ(81)は前記弁座コア(80)と同軸に設けられ、前記ノイズ低減スリーブ(60)の第2端は前記第2の取り付けタブ(81)に嵌合されている、請求項
4に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記ハウジング(40)に媒体入口(41)が設けられ、前記媒体入口(41)に近接する前記ノイズ低減スリーブ(60)の切欠き(20)の中心線と前記媒体入口(41)の軸線との間の夾角が45°である、請求項
4に記載の電子膨張弁。
【請求項9】
ハウジング(40)と、
前記ハウジング(40)内に設けられたナットアセンブリ(50)と、
対向して設けられた第1端及び第2端を有し、前記第1端が前記ナットアセンブリ(50)に接続されたノイズ低減スリーブであって、
前記ノイズ低減スリーブは筒状構造であり、前記ノイズ低減スリーブは流量均等化チャンバ(10)を有し、前記ノイズ低減スリーブの側壁に複数の切欠き(20)が設けられており、各々の前記切欠き(20)はいずれも前記流量均等化チャンバ(10)と連通され、前記切欠き(20)は前記ノイズ低減スリーブの軸線方向に沿って延在し、前記切欠き(20)の一端は前記ノイズ低減スリーブの下端面まで延在するノイズ低減スリーブ(60)と、を含む、電子膨張弁。
【請求項10】
複数の前記切欠き(20)は、前記ノイズ低減スリーブの側壁の周方向に沿って間隔をおいて設けられている、請求項9に記載の電子膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年11月27日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が201911185386.7であり、発明の名称が「ノイズ低減スリーブ及び電子膨張弁」である特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本出願は電子膨張弁の技術分野に関し、具体的には、ノイズ低減スリーブ及び電子膨張弁に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、電子膨張弁は、ハウジング、スピンドルアセンブリ、インレットパイプ及びアウトレットパイプを含み、ハウジング内に弁口が設けられ、スピンドルアセンブリは弁口に対応して設けられ、インレットパイプ及びアウトレットパイプはいずれもハウジングに設けられている。具体的には、スピンドルアセンブリはハウジング内に移動可能に設けられ、スピンドルアセンブリは、ハウジング内の弁口の開閉を制御することによりインレットパイプとアウトレットパイプとの連通具合を制御する。
【0004】
関連技術において、冷却媒体がインレットパイプから電子膨張弁へ入り込むとき、冷却媒体が電子膨張弁内の部材に直接衝撃を与えて、大きなノイズが発生する。従って、関連技術には電子膨張弁のノイズが大きいという問題が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、関連技術における電子膨張弁のノイズが大きいという問題を解決するため、ノイズ低減スリーブ及び電子膨張弁を提供する。
【0006】
本出願の一側面によれば、電子膨張弁に用いられるノイズ低減スリーブであって、ノイズ低減スリーブは筒状構造であり、ノイズ低減スリーブは流量均等化チャンバを有し、ノイズ低減スリーブの側壁に複数の切欠きが設けられており、各々の切欠きはいずれも流量均等化チャンバと連通され、切欠きはノイズ低減スリーブの軸線方向に沿って延在し、切欠きの一端はノイズ低減スリーブの下端面まで延在する、ノイズ低減スリーブを提供する。
【0007】
更に、ノイズ低減スリーブの外壁及び/又は内壁には、冷却媒体の流れを乱すためのスポイラ構造が設けられている。
【0008】
更に、スポイラ構造は複数のスポイラ凸部を含み、複数のスポイラ凸部はノイズ低減スリーブの外壁に設けられ、スポイラ凸部はノイズ低減スリーブの軸線方向に沿って延在し、複数のスポイラ凸部はノイズ低減スリーブの周方向に沿って間隔をおいて設けられている。
【0009】
更に、切欠きは、互いに連通された第1のセグメント及び第2のセグメントを含み、第1のセグメントは第2のセグメントの上方に位置し、第1のセグメントの内壁は曲面であり、第2のセグメントの内壁は平面である。
【0010】
更に、複数の切欠きは、ノイズ低減スリーブの側壁の周方向に沿って間隔をおいて設けられている。
【0011】
本出願の他の側面によれば、ハウジングと、ハウジング内に設けられたナットアセンブリと、対向して設けられた第1端及び第2端を有し、第1端がナットアセンブリに接続された、上述で提供されるノイズ低減スリーブとを、含む電子膨張弁を提供する。
【0012】
更に、ナットアセンブリはナット座を含み、ナット座とノイズ低減スリーブとの間に位置決め構造が設けられており、位置決め構造は、ノイズ低減スリーブの切欠きの向きを位置決めするために用いられる。
【0013】
更に、ナット座の底部には、ナット座と同軸に設けられた第1の取り付けタブが設けられており、ノイズ低減スリーブの第1端は第1の取り付けタブに嵌合され、第1の取り付けタブの外壁とノイズ低減スリーブの内壁のうちの一方に位置決めタブが設けられ、第1の取り付けタブの外壁とノイズ低減スリーブの内壁の他方に位置決め凹溝が設けられ、位置決めタブと位置決め凹溝とが互いに係合されて位置決め構造が形成される。
【0014】
更に、電子膨張弁は、ハウジング内にナットアセンブリと間隔をおいて設けられた弁座コアを更に含み、弁座コアの頂部に第2の取り付けタブが設けられ、第2の取り付けタブは弁座コアと同軸に設けられ、ノイズ低減スリーブの第2端は第2の取り付けタブに嵌合されている。
【0015】
更に、ハウジングに媒体入口が設けられ、媒体入口に近接するノイズ低減スリーブの切欠きの中心線と媒体入口の軸線との間の夾角が45°である。
【0016】
本出願の技術態様を適用すると、このノイズ低減スリーブは筒状構造であり、且つノイズ低減スリーブは流量均等化チャンバを有する。具体的には、ノイズ低減スリーブの側壁に複数の切欠きが設けられており、各々の切欠きはいずれも流量均等化チャンバと連通され、冷却媒体が電子膨張弁の入口から入り込むとき、切欠きの流量案内作用により流体の流動形態を変更することができ、且つ流量均等化チャンバを用いて冷却媒体に対して流量均等化を行うことで、冷却媒体が電子膨張弁内の部材に直接衝撃を与えるのを回避してノイズを低減することができる。また、切欠きはノイズ低減スリーブの軸線方向に沿って延在し、切欠きの一端はノイズ低減スリーブの下端面まで延在するため、ノイズ低減スリーブに対する加工が容易であり組み立てが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本願の一部を構成する明細書の図面は、本願の更なる理解のために用いられ、本願の模式的な実施例及びその説明は本願を説明するために用いられ、本願の不適切な制限を構成するものではない。
【0018】
【
図1】本出願の実施例により提供されるノイズ低減スリーブの構造模式図を示す。
【
図2】本出願の実施例により提供されるノイズ低減スリーブの他の構造模式図を示す。
【
図3】本出願の実施例により提供される電子膨張弁の構造模式図を示す。
【
図5】本出願の実施例により提供される電子膨張弁の他の構造模式図を示す。
【0019】
ここで、上述の図面には以下の符号が含まれる。
10 流量均等化チャンバ、
20 切欠き、21 第1のセグメント、22 第2のセグメント、
30 スポイラ構造、31 スポイラ凸部、
40 ハウジング、41 媒体入口、
50 ナットアセンブリ、51 ナット座、511 第1の取り付けタブ、
60 ノイズ低減スリーブ、
70 位置決め構造、71 位置決めタブ、72 位置決め凹溝、
80 弁座コア、81 第2の取り付けタブ、
a 媒体入口に近接する切欠きの中心線と媒体入口の軸線との間の夾角。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願の実施例における図面を組み合わせて、本出願の実施例における技術態様を明確且つ完全に記述するが、説明される実施例は単に本出願の一部の実施例であり、全部の実施例でないことは明らかである。以下、少なくとも1つの例示的な実施例に対する説明は実質的に解釈的なものに過ぎず、本出願及びその適用又は使用を制限するものではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な努力を行わないことを前提に得られたすべての他の実施例はいずれも本出願の保護範囲に属する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、本出願の実施例は、電子膨張弁に用いられるノイズ低減スリーブを提供する。ここで、ノイズ低減スリーブは筒状構造であり、非金属材料が射出成形プロセスにより作製されることが好ましい。本実施例において、ノイズ低減スリーブは円筒状構造である。具体的には、ノイズ低減スリーブは、流量均等化チャンバ10を有し、流量均等化チャンバ10は冷却媒体に対して流量均等化を行うことができる。本実施例において、ノイズ低減スリーブの側壁に複数の切欠き20が設けられており、各々の切欠き20はいずれも流量均等化チャンバ10と連通され、冷却媒体は切欠き20により流量均等化チャンバ10内に入り込むことができ、流量均等化チャンバを用いて冷却媒体に対して流量均等化を行う。本実施例において、切欠き20はノイズ低減スリーブの軸線方向に沿って延在し、且つ切欠き20の一端はノイズ低減スリーブの下端面まで延在する。
【0022】
本実施例を適用して提供したノイズ低減スリーブは、ノイズ低減スリーブの側壁に複数の切欠き20を設けることで、各々の切欠き20をいずれも流量均等化チャンバ10と連通させ、冷却媒体が電子膨張弁の入口から入り込むとき、冷却媒体は切欠き20の流量案内作用により流体の流動形態を変更しながら、流量均等化チャンバ10内に入り込むことができ、流量均等化チャンバを用いて冷却媒体に対して流量均等化を行うことで、冷却媒体が電子膨張弁内の部材に直接衝撃を与えるのを回避してノイズを低減する作用を果たす。また、切欠き20は、ノイズ低減スリーブの軸線方向に沿って延在するように設けられ、且つ切欠き20の一端をノイズ低減スリーブの下端面まで延在させ、ノイズ低減スリーブに対する加工及び組み立てが容易である。
【0023】
図2に示すように、ノイズ低減スリーブの外壁にスポイラ構造30が設けられており、スポイラ構造30は、冷却媒体にスポイリングを行って、冷却媒体の流動状態を変更するために用いられ、これによりノイズ低減効果を更に向上させることができる。ここで、スポイラ構造30は、スポイラ凸部と、スポイラ凹溝と、他のスポイラ作用を有する構造と、を含む。他の実施例において、ノイズ低減スリーブの内壁にスポイラ構造30を設けるか、あるいはノイズ低減スリーブの内壁及び外壁に同時にスポイラ構造30を設けてもよい。
【0024】
本実施例において、スポイラ構造30は複数のスポイラ凸部31を含み、複数のスポイラ凸部31はノイズ低減スリーブの外壁に設けられ、スポイラ凸部31を用いて冷却媒体の流れを乱すことができ、ノイズ低減効果を更に向上させることができる。具体的には、スポイラ凸部31はノイズ低減スリーブの軸線方向に沿って延在し、複数のスポイラ凸部31はノイズ低減スリーブの周方向に沿って間隔をおいて設けられている。本実施例において、スポイラ凸部31の両端はそれぞれノイズ低減スリーブの上下端面まで延在する。具体的には、隣接する2つの切欠き20の間に1つのスポイラ凸部31が設けられ、各々の切欠き20の上方に1つのスポイラ凸部31が設けられ、隣接する2つの切欠き20の間に位置するスポイラ凸部31の両端はそれぞれノイズ低減スリーブの上下端面まで延在し、切欠き20の上方に位置するスポイラ凸部31の両端はそれぞれノイズ低減スリーブの上端面及び切欠き20の頂端まで延在する。
【0025】
ここで、切欠き20は、互いに連通された第1のセグメント21及び第2のセグメント22を含み、第1のセグメント21は第2のセグメント22の上方に位置する。具体的には、第1のセグメント21の内壁は曲面であり、第2のセグメント22の内壁は平面であり、これにより、冷却媒体が切欠き20から流量均等化チャンバ10に容易に入り込むことができ、ノイズ低減効果を更に向上させることができる。本実施例において、第1のセグメント21の内壁は半円形構造である。
【0026】
本実施例において、複数の切欠き20はノイズ低減スリーブの側壁の周方向に沿って間隔をおいて設けられ、少なくとも1つの切欠き20が電子膨張弁の媒体入口に対応して設けられている。本実施例において、ノイズ低減スリーブの側壁には4つの切欠き20が設けられている。他の実施例において、切欠き20の数は冷却媒体の流通具合に応じて設けることができる。例えば、ノイズ低減スリーブの側壁には3つの切欠き20が設けられるか、あるいは5つの切欠き20が設けられている。
【0027】
図3から
図6に示すように、本出願の実施例は、ハウジング40、ナットアセンブリ50及びノイズ低減スリーブ60を含む電子膨張弁を提供する。ここで、ナットアセンブリ50及びノイズ低減スリーブ60はいずれもハウジング40内に設けられている。ここで、ノイズ低減スリーブ60は対向して設けられた第1端及び第2端を有し、ノイズ低減スリーブ60の第1端はナットアセンブリ50に接続され、ノイズ低減スリーブ60は上述で提供されるノイズ低減スリーブであり、これにより、ノイズ低減スリーブ60を用いて電子膨張弁のノイズを低減することができる。
【0028】
本実施例において、ナットアセンブリ50はナット座51を含み、ナット座51とノイズ低減スリーブ60との間に位置決め構造70が設けられており、切欠き20の向きがプリセット方向に向き且つノイズ低減が確保されるように、位置決め構造70はノイズ低減スリーブ60の切欠き20の向きを位置決めするために用いられる。ここで、位置決め構造70は、位置決めタブと位置決め凹溝とが互いに係合された構造、及びピンと位置決め孔とが互いに係合された構造を含み、切欠き20の向きに対して位置決めする作用を果たすことができればよい。
【0029】
図5及び
図6に示すように、ナット座51の底部に第1の取り付けタブ511が設けられており、第1の取り付けタブ511はナット座51と同軸に設けられ、ノイズ低減スリーブ60の第1端は第1の取り付けタブ511に嵌合され、これにより、ノイズ低減スリーブ60をハウジング40内に固定することができる。具体的には、第1の取り付けタブ511の外壁とノイズ低減スリーブ60の内壁のうちの一方に位置決めタブ71が設けられ、第1の取り付けタブ511の外壁とノイズ低減スリーブ60の内壁の他方に位置決め凹溝72が設けられ、位置決めタブ71と位置決め凹溝72とが互いに係合されて位置決め構造70が形成される。本実施例において、ノイズ低減スリーブ60の内壁に位置決めタブ71が設けられ、第1の取り付けタブ511の外壁に位置決め凹溝72が設けられ、且つ位置決めタブ71及び位置決め凹溝72はいずれもノイズ低減スリーブ60の軸方向に沿って延在する。具体的には、位置決めタブ71及び位置決め凹溝72の横断面形状がいずれも半円形であり、これにより、位置決めタブ71を位置決め凹溝72内に容易に挿入し、位置決め及び回転止めの作用を果たす。他の実施例において、第1の取り付けタブ511の外壁に位置決めタブ71を設け、ノイズ低減スリーブ60の内壁に位置決め凹溝72を設けることができる。
【0030】
本実施例において、電子膨張弁は、ハウジング40内にナットアセンブリ50と間隔をおいて設けられた弁座コア80を更に含み、弁座コア80に弁口が設けられている。ここで、弁座コア80の頂部に第2の取り付けタブ81が設けられており、第2の取り付けタブ81は弁座コア80と同軸に設けられ、ノイズ低減スリーブ60の第2端を第2の取り付けタブ81に嵌合しており、ナット座51と弁座コア80とが同軸度を確保するように、ノイズ低減スリーブ60を用いてナット座51及び弁座コア80を案内し、装置の精度を向上することができる。具体的には、ノイズ低減スリーブ60と弁座コア80はインターフェアランスフィットされ、ノイズ低減スリーブ60とナット座51はトランジションフィットあるいはインターフェアランスフィットされる。
【0031】
図4に示すように、ハウジング40に媒体入口41が設けられ、媒体入口41に近接するノイズ低減スリーブ60の切欠き20の中心線と媒体入口41の軸線との間の夾角aは45°であり、流量均等化効果がより良好であり、これによりノイズ低減効果を確保することができる。他の実施例において、媒体入口41に近接するノイズ低減スリーブ60の切欠き20の中心線と媒体入口41の軸線との間の夾角aを36°又は60°とすることができ、切欠き20が3つである場合aは60°であり、切欠き20が5つである場合aは36°である。
【0032】
本実施例において、ノイズ低減スリーブ60は、樹脂を射出成型加工して形成されており、加工が容易であり、コストが低いという長所を有する。
【0033】
本実施例により提供される装置は、複数のアーチ型切欠き20による流れの案内作用により流体の流動形態を変更することができ、ノイズを低減する効果を得ることができる。また、切欠き20の一端はノイズ低減スリーブの下端面まで延在して、加工が容易であり、組み立てが容易であり、コストが低いという長所を有する。
【0034】
上述は本出願の好適な実施例に過ぎず、本出願を制限するためのものではなく、当業者にとって本出願は様々な修正及び変更が可能である。本出願の趣旨及び原則内での如何なる修正、同等の置き換え、改良等は、いずれも本出願の保護範囲内に含まれる。