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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】家具駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/12 20060101AFI20240426BHJP
   E05D 3/06 20060101ALI20240426BHJP
   E05D 15/40 20060101ALI20240426BHJP
   E05F 1/14 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
E05F1/12
E05D3/06
E05D15/40
E05F1/14 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022567341
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 AT2021060135
(87)【国際公開番号】W WO2021222956
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】A50389/2020
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アーミン バルトライヒ
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0316394(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0316398(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017126367(DE,A1)
【文献】特表2018-508677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/12- 1/14
E05D 3/06
E05D 15/40-15/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)を、特に水平の軸を中心として前記家具キャビネット(2)に対して相対的に旋回可能な家具フラップ(3a)を動かすための家具駆動装置(4)であって、
-前記家具キャビネット(2)の家具板(6)表面にまたは家具板(6)内部に配置可能なケーシング(9)と、
-前記可動の家具部分(3)を動かすための作動アームアセンブリ(5)であって、前記作動アームアセンブリ(5)は、前記可動の家具部分(3)が取り付け可能な、前記ケーシング(9)に対して相対的に可動に支持されている少なくとも1つの作動アーム(5a)と、
を有し、
前記作動アームアセンブリ(5)は少なくとも、前記少なくとも1つの作動アーム(5a)が前記ケーシング(9)の内側に配置されている第1の相対位置と、前記少なくとも1つの作動アーム(5a)が前記ケーシング(9)の外側に配置されている第2の相対位置との間で可動であり、
前記少なくとも1つの作動アーム(5a)に取外し可能に結合可能ななくとも1つの操作装置(14)が設けられており、前記操作装置によって、前記作動アームアセンブリ(5)は、前記第1の相対位置から前記第2の相対位置へと移動可能であり、
前記少なくとも1つの操作装置(14)は少なくとも、前記少なくとも1つの作動アーム(5a)が前記ケーシング(9)の内側に配置されている前記第1の相対位置で、前記作動アーム(5a)に相対回動不能に結合されている、
ことを特徴とする、家具駆動装置(4)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの操作装置(14)は、工具(16)を、好ましくはドライバを受容するための少なくとも1つの凹部(15)を有しており、好ましくは、
-前記ケーシング(9)は前側の開口(17)を有しており、前記少なくとも1つの凹部(15)は、前記作動アームアセンブリ(5)の前記第1の相対位置で、前記前側の開口(17)によって形成される平面に対して傾斜して延在しており、かつ/または
-前記少なくとも1つの凹部(15)は、進入開口(19)と、前記進入開口から離隔された、前記工具(16)のためのストッパ(20)とを有しており、前記少なくとも1つの作動アーム(5a)は、少なくとも1つの枢着軸(25)を中心として回動可能に支持されており、前記ストッパ(20)は、前記進入開口(19)よりも、前記作動アームアセンブリ(5)の前記第1の相対位置で前記少なくとも1つの枢着軸(25)の近くに配置されており、かつ/または
-前記少なくとも1つの凹部(15)は、実質的に円筒状および/または円錐状に形成されており、かつ/または
-前記作動アームアセンブリ(5)は、前記可動の家具部分(3)に接続すべき少なくとも1つの作動アーム(5a)を有しており、前記少なくとも1つの凹部(15)に受容可能な工具(16)は、前記作動アーム(5a)の延長部に配置可能である、
請求項1記載の家具駆動装置。
【請求項3】
少なくとも1つの係止装置(21)が設けられていて、前記係止装置によって、前記少なくとも1つの操作装置(14)は、前記作動アームアセンブリ(5)の前記第1の相対位置において、前記ケーシング(9)に対して相対的に解除可能に係止可能であり、好ましくは、
-前記少なくとも1つの係止装置(21)は、少なくとも1つのばね舌片(22)、好ましくは互いに離隔された少なくとも2つのばね舌片(22)を有しており、かつ/または
-前記少なくとも1つの係止装置(21)は、少なくとも1つの凹部(29)と、前記少なくとも1つの凹部(29)内に配置可能な少なくとも1つの係止エレメント(23)とを有しており、前記少なくとも1つの係止エレメント(23)は、前記少なくとも1つの操作装置(14)に配置されていて、前記少なくとも1つの凹部(29)は、前記ケーシング(9)内にまたは前記ケーシング(9)表面に配置されている、またはその逆に配置されている、
請求項1または2記載の家具駆動装置。
【請求項4】
前記ケーシング(9)は前側の開口(17)を有しており、前記少なくとも1つの操作装置(14)は、前記作動アームアセンブリ(5)の前記第1の相対位置で、前記ケーシング(9)の前記前側の開口(17)を通って突出している、請求項1から3までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの操作装置(14)を、または代替的に前記可動の家具部分(3)に結合可能な金具エレメントを、前記少なくとも1つの作動アーム(5a)に取外し可能に結合させることができる少なくとも1つのロック装置(24)が設けられており、好ましくは、前記少なくとも1つのロック装置(24)は、
-少なくとも1つのばね的なまたはばね負荷されるロックエレメント(26)と、前記ロックエレメント(26)を受容するための少なくとも1つの凹部(24b)とを有しており、前記ロックエレメント(26)は前記少なくとも1つの作動アーム(5a)に配置されていて、前記凹部(24b)は前記操作装置(14)にまたは前記金具エレメントに配置されており、またはその逆に配置されており、かつ/または
-少なくとも1つの保持ピン(28)と、前記保持ピン(28)を受容するための少なくとも1つの切欠き(24a)とを有しており、前記保持ピン(28)は前記少なくとも1つの作動アーム(5a)に配置されていて、前記切欠き(24a)は前記操作装置(14)にまたは前記金具エレメントに配置されており、またはその逆に配置されており、かつ/または
-少なくとも1つのばね的なまたはばね負荷されるロックエレメント(26)と、前記ロックエレメント(26)から離隔された少なくとも1つの保持ピン(28)とを有している、
請求項1から4までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項6】
前記家具駆動装置(4)は、解除可能なブロック装置(31)を有しており、前記家具駆動装置(4)の前記作動アームアセンブリ(5)は互いに相対的に旋回可能な少なくとも2つの作動アーム(5a,5b,5c)を有しており、前記作動アームアセンブリ(5)の旋回運動は、前記少なくとも1つのブロック装置(31)によって、前記第2の相対位置を起点として前記第1の相対位置の方向でブロック可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項7】
前記解除可能なブロック装置(31)は、可動に支持された、好ましくは旋回可能に支持された少なくとも2つのブロックエレメント(31a,31b)を有しており、前記ブロックエレメントは、ブロック位置と少なくとも1つの解放位置との間で互いに相対的に可動に支持されており、前記ブロックエレメント(31a,31b)の前記ブロック位置では、前記第1の相対位置と前記第2の相対位置との間の前記作動アームアセンブリ(5)の運動がブロック可能であって、前記ブロックエレメント(31a,31b)の前記解放位置では、前記第1の相対位置と前記第2の相対位置との間の前記作動アームアセンブリ(5)の運動が解放可能であって、好ましくは、前記ブロック装置(31)の前記少なくとも2つのブロックエレメント(31a,31b)は、前記ブロック位置では互いに当接しておりかつ/または前記解放位置では互いに離隔されている、請求項6記載の家具駆動装置。
【請求項8】
-前記ブロック装置(31)の前記少なくとも2つのブロックエレメント(31a,31b)のうちの少なくとも1つに、蓄力器(33)により予荷重が加えられており、好適には、前記ブロック装置(31)の前記少なくとも2つのブロックエレメント(31a,31b)のうちの両方に、蓄力器(33)により予荷重が加えられており、特に好適には、前記ブロック装置(31)の前記少なくとも2つのブロックエレメント(31a,31b)には、前記蓄力器(33)により異なる運動方向で予荷重が加えられており、かつ/または前記蓄力器(33)は、異なるばね力を有し、好ましくは少なくとも1つの蓄力器(33)が、好ましくは両方の蓄力器(33)が、トーションばねを有しており、かつ/または
-前記ブロック装置(31)の前記少なくとも2つのブロックエレメント(31a,31b)は、前記作動アームアセンブリ(5)の前記少なくとも2つの作動アーム(5a,5b,5c)のうちの1つの同じ作動アーム(5a)に配置されており、かつ/または
-前記ブロック装置(31)の前記少なくとも2つのブロックエレメント(31a,31b)のうちの1つは、支持輪郭(34)を有しており、前記支持輪郭において、作動アーム(5a,5b,5c)の支持エレメント(35)が支持可能であって、かつ/または
-前記ブロック装置(31)の前記少なくとも2つのブロックエレメント(31a,31b)のうちの1つは、前記少なくとも2つの作動アーム(5a,5b,5c)のうちの1つに支持されていて、ストッパ(36)を有しており、前記ストッパは、前記少なくとも2つの作動アーム(5a,5b,5c)のうちの別の作動アームの対応ストッパ(37)に前記ブロック位置で当接可能であって、かつ/または
-前記ブロック装置(31)の前記少なくとも2つのブロックエレメント(31a,31b)のうちの1つは、前記操作装置(14)の、または前記可動の家具部分(3)に結合可能な金具エレメントの組付けにより、前記ブロック位置から前記解放位置へと移動可能である、
請求項7記載の家具駆動装置。
【請求項9】
前記家具駆動装置(4)は、前記作動アームアセンブリ(5)に力を負荷するためのばね装置(10)を有しており、好ましくは、
-前記作動アームアセンブリ(5)は、前記ばね装置(10)によって、第1の旋回角度範囲内では、前記第1の相対位置の方向に負荷されていて、第2の旋回角度範囲内では前記第2の相対位置の方向に負荷されており、かつ/または
-前記ばね装置(10)は少なくとも1つのコイルばね、好ましくは少なくとも1つの圧縮ばねを有している、
請求項1から8までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項10】
家具(1)であって、家具キャビネット(2)と、前記家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)、特に水平方向の軸を中心として前記家具キャビネット(2)に対して相対的に旋回可能な家具フラップ(3a)とを有しており、前記家具(1)は、請求項1からまでのいずれか1項記載の少なくとも1つの家具駆動装置(4)を有しており、好ましくは、前記家具キャビネット(2)は、少なくとも1つの家具板(6)を有しており、前記家具駆動装置(4)のケーシング(9)は、前記家具キャビネット(2)の前記家具板(6)の内側に実質的に完全に収容されている、家具(1)。
【請求項11】
請求項1からまでのいずれか1項記載の少なくとも1つの家具駆動装置(4)に家具部分(3)を組み付けるための方法であって、前記方法は、
-前記少なくとも1つの家具駆動装置(4)のケーシング(9)を、家具キャビネット(2)の家具板(6)表面にまたは家具板(6)内部に配置するステップと、
-作動アームアセンブリ(5)を少なくとも1つの操作装置(14)によって、第1の相対位置から第2の相対位置へと移動させるステップと、
-前記少なくとも1つの操作装置(14)を、少なくとも1つの作動アーム(5a)から取り外すステップと、
-前記家具部分(3)を前記少なくとも1つの作動アーム(5a)に取り付けるステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分を、特に水平の軸を中心として家具キャビネットに対して相対的に旋回可能な家具フラップを動かすための家具駆動装置であって、
-家具キャビネットの家具板表面にまたは家具板内部に配置可能なケーシング、
-可動の家具部分を動かすための作動アームアセンブリであって、作動アームアセンブリは、可動の家具部分が取り付け可能な、ケーシングに対して相対的に可動に支持されている少なくとも1つの作動アームを有しており、作動アームアセンブリは少なくとも、少なくとも1つの作動アームがケーシングの内側に配置されている第1の相対位置と、少なくとも1つの作動アームがケーシングの外側に配置されている第2の相対位置との間で可動である作動アームアセンブリ、
を含んでいる家具駆動装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、家具キャビネットと、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分と、可動に支持された家具部分を動かすための記載する形式の家具駆動装置とを備えた家具に関する。
【0003】
さらに本発明は、記載する形式の少なくとも1つの家具駆動装置に家具部分を組み付けるための方法に関する。
【0004】
独国実用新案第202018102084号明細書には、ケーシングを備えた家具駆動装置が示されており、この家具駆動装置は、組付け状態で実質的に完全に、家具キャビネットの垂直に延在する家具板の内側に収容されている。このようにして、家具駆動装置を、コンパクトかつ視覚的に目立たないように、家具キャビネットの家具板内に組み込むことができる。出荷状態では、家具駆動装置の作動アームアセンブリは、完全に開放状態にあり、この場合、作動アームアセンブリのいくつかの作動アームは、ケーシングの前側の開口から突出している。このことは、家具駆動装置がそのコンパクトな構成形式にかかわらず、比較的大きな所要スペースを占めるという欠点を有しており、この場合、比較的大きなパッケージサイズが必要となり、前方に突出する作動アームが損傷されるおそれがあるというリスクも生じる。
【0005】
そこで本発明の課題は、上述した欠点を回避する冒頭で述べた形式の家具駆動装置を提供することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、特許請求項1の特徴により解決される。本発明のさらに有利な実施例は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明によればすなわち、少なくとも1つの作動アームに取外し可能に結合可能なまたは結合されている少なくとも1つの操作装置が設けられており、この操作装置によって、作動アームアセンブリは、第1の相対位置から第2の相対位置へと移動可能であることが想定されている。
【0008】
換言すると、少なくとも1つの作動アームに結合される、または取外し可能に結合可能な操作装置が、開放補助手段として設けられており、この操作装置によって少なくとも1つの作動アームは、-操作装置と結合された状態で-少なくとも1つの作動アームがケーシングの内側に配置されている閉鎖位置から、少なくとも1つの作動アームがケーシングの外側に位置している開放位置へと移動可能である。
【0009】
したがって、家具駆動装置の作動アームアセンブリ全体は、出荷状態で、作動アームアセンブリがケーシングの内側に位置するコンパクトな第1の相対位置に位置することができる。家具駆動装置がそのコンパクトな出荷状態で家具キャビネットに組み付けられた後は、使用者が、手動の力を(好ましくは、手動の引張り運動を)、作動アームに結合された操作装置に加えることにより、少なくとも1つの作動アームを、操作装置を用いてケーシングから取り出すことができる。
【0010】
操作装置は、家具駆動装置のケーシングが組付け状態で、家具キャビネットの家具板の内側に完全に収容されているならば特に有利である。すなわち操作装置が設けられていない場合、使用者は、少なくとも1つの作動アームを、例えばドライバを用いて、ケーシングから外に持ち上げようとしなければならなかった。この工程は、作動アームアセンブリに力を加えるためにばね装置が設けられている場合は特に、極めて危険であり得る。すなわちこの場合、作動アームは、ばね装置の力によって制御されずに開放位置の方向に飛び出すおそれがあり、この場合、人の負傷または物品の破損の高いリスクが生じている。さらに、ケーシングの外への作動アームの持ち上げは、作動アームアセンブリが、工具の不適切な位置決めにより損傷されるリスクを、特に引っ掻き傷がつけられるリスクを伴う。
【0011】
1つの実施例によれば、少なくとも1つの操作装置は、工具を、好ましくはドライバを受容するための少なくとも1つの凹部を有していることが想定されている。したがって、工具を、好ましくはドライバを、操作装置に設けられている凹部内に導入することができ、この場合、操作装置に結合された作動アームは、ドライバによって延長されたレバーアームによって制御されながら、ケーシング内側のその閉鎖位置から、ケーシング外側のその開放位置へと動かされることができる。このことは、家具駆動装置の作動アームアセンブリが、-既に説明したように-ばね装置によって力が加えられる場合に特に有利である。このようにして、工具によって反力を加えることにより、作動アームアセンブリの制御された開放運動が可能となる。
【0012】
1つの実施例によれば、
-作動アームアセンブリが、ばね装置によって、第1の旋回角度範囲内では、第1の相対位置の方向に負荷されていて、第2の旋回角度範囲内では第2の相対位置の方向に負荷されており、かつ/または
-ばね装置は少なくとも1つのコイルばね、好ましくは少なくとも1つの圧縮ばねを有している
ことが想定されていてよい。
【0013】
本発明による家具は、家具キャビネットと、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分、特に水平方向の軸を中心として家具キャビネットに対して相対的に旋回可能な家具フラップと、可動に支持された家具部分を動かすための上述した形式の家具駆動装置を有している。1つの実施例によれば、家具駆動装置のケーシングは、実質的に完全に、家具キャビネットの家具板の内側に収容されていることが想定されていてよい。
【0014】
上述した形式の少なくとも1つの家具駆動装置に家具部分を組み付けるための本発明による方法は、以下の方法ステップ、すなわち
-少なくとも1つの家具駆動装置のケーシングを、家具キャビネットの家具板表面にまたは家具板内部に配置するステップ、
-作動アームアセンブリを少なくとも1つの操作装置によって、第1の相対位置から第2の相対位置へと移動させるステップ、
-少なくとも1つの操作装置を、少なくとも1つの作動アームから取り外すステップ、および
-家具部分を少なくとも1つの作動アームに取り付けるステップ
を特徴としている。
【0015】
本発明のその他の詳細および利点は、以下の図面の説明につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a】可動の家具部分を有した家具を示す斜視図である。
図1b】可動の家具部分を有した家具を示す分解図である。
図2a】操作装置によって行われる、家具駆動装置の作動アームアセンブリの開放運動の時間的順序を示す図である。
図2b】操作装置によって行われる、家具駆動装置の作動アームアセンブリの開放運動の時間的順序を示す図である。
図2c】操作装置によって行われる、家具駆動装置の作動アームアセンブリの開放運動の時間的順序を示す図である。
図2d】操作装置によって行われる、家具駆動装置の作動アームアセンブリの開放運動の時間的順序を示す図である。
図3a】操作装置を1つの視点から示す図である。
図3b】操作装置を別の視点から示す図である。
図3c】操作装置をさらに別の視点から示す図である。
図3d】操作装置をさらに別の視点から示す図である。
図4a】作動アームに結合された操作装置を示す側面図である。
図4b】作動アームに結合された操作装置を示す断面図である。
図5a】家具駆動装置を示す斜視図である。
図5b図5aの拡大詳細図である。
図6a】作動アームに結合された操作装置を示す側面図および断面図である。
図6b】作動アームに結合された操作装置を示す側面図および断面図である。
図7a】1つの相対位置における作動アームアセンブリを示す図である。
図7b図7aの拡大詳細図である。
図7c】異なる相対位置における作動アームアセンブリを示す図である。
図7d図7cの拡大詳細図である。
【0017】
図1aは、家具1の斜視図を示していて、この家具は、家具キャビネット2と、家具キャビネット2に対して相対的に可動に支持された家具部分3と、可動の家具部分3を動かすための少なくとも1つの家具駆動装置4とを有している。家具1は、側壁の形態の家具板6と、上面7と、下面8とを有している。可動の家具部分3は、例えば、水平方向の軸を中心として家具キャビネット2に対して相対的に旋回可能な家具フラップ3aとして形成されていてよい。
【0018】
図示した実施例では、家具駆動装置4のケーシング9は、少なくとも部分的に、好ましくは実質的に完全に、家具板6として形成された側壁内に組み込まれており、可動の家具部分3は、家具キャビネット2を隠す閉鎖位置と、家具キャビネット2に対して相対的に持ち上げられた開放位置との間で可動に支持されている。
【0019】
勿論、家具駆動装置4を、水平に延在する家具板、すなわち、例えば上面7内に、下面8内に、および/または上面7と下面8との間に配置された棚板13(図2a~図2d)内に、組み込むこともできる。このような場合、可動の家具部分3は、組付け位置で垂直に延在する軸を中心として、家具キャビネット2に対して相対的に旋回可能に支持されている。
【0020】
家具駆動装置4は、可動の家具部分3を動かすための作動アームアセンブリ5と、作動アームアセンブリ5に力を負荷するための少なくとも1つのばね装置10(図1b)とを有している。
【0021】
図1bは、家具1を分解状態で示しており、可動の家具部分3を動かすための、好ましくは同一に形成された2つの家具駆動装置4が設けられている。家具駆動装置4は、家具キャビネット2に取り付けるべきそれぞれ1つのケーシング9を有している。1つの実施例によれば、家具駆動装置4のケーシング9は、組付け状態で、少なくとも所定の領域で、好ましくは実質的に完全に、家具板6として形成された側壁の凹部11の内側に収容されていることが想定されていてよい。組付け状態で、ケーシング9は、家具板6の端面6aと実質的に同一平面をなしていてよい。
【0022】
凹部11は、例えば、袋孔として形成されており、組付けの際に、ケーシング9を前方から(すなわち、家具板6の細い端面6aを起点として)、家具板6のポケット状の凹部11内に挿入することができる。家具駆動装置4は、組付け状態で、家具板6所定の壁厚の内側に収容されている。
【0023】
ケーシング9内にはまたはケーシング9表面には、作動アームアセンブリ5に力を負荷するための少なくとも1つのばね装置10が配置されている。ケーシング9の前方の端部領域にはカバー12が設けられており、作動アームアセンブリ5の、可動に支持された少なくとも1つの作動アーム5a,5b,5c,5d(図2d)は、1つの相対位置で、カバー12を通してガイド可能である。
【0024】
図2a~図2dは、家具キャビネット2を含む家具1を示しており、家具駆動装置4のケーシング9は、家具板6の内側に実質的に完全に収容されている。家具1は、上面7および下面8の他に、さらに1つの付加的な棚板13を有していてよい。可動の家具部分3を動かすための作動アームアセンブリ5は、この場合完全に、家具駆動装置4のケーシング9の内側に収容されており、これにより家具駆動装置4は、出荷状態では、極めてコンパクトな構成形式となっている。このようにして、家具駆動装置4のためのパッケージサイズを減じることができ、作動アームアセンブリ5を損傷から保護することができる。
【0025】
作動アームアセンブリ5を家具駆動装置4のケーシング9から外へ動かすことができるように、操作装置14が設けられている。操作装置14は、作動アームアセンブリ5とは別個の構成部分として形成されていてよく、作動アームアセンブリ5の少なくとも1つの作動アーム5a(図2c、図2d)に取外し可能に接続可能である。
【0026】
家具駆動装置4のケーシング9は、前側の開口17を有していて、この開口を通して少なくとも1つの作動アーム5aはガイド可能である。1つの実施例によれば、ケーシング9の前側の開口17は、操作装置14によって実質的に完全にカバー可能であることが想定されていてよい。このようにして、ケーシング9の内部への汚れおよび埃の侵入を減じることができる。
【0027】
操作装置14は、工具16を、好ましくはドライバ16aを受容するための凹部15を有している。凹部15内へのドライバ16aの取り付けにより、そして続くドライバ16aの持ち上げにより、操作装置14を、(少なくとも1つの作動アーム5aと共に)家具駆動装置4のケーシング9から外へと動かすことができる(図2b、図2c)。
【0028】
作動アームアセンブリ5は少なくとも、少なくとも1つの作動アーム5aがケーシング9の内側に配置されている第1の相対位置と、少なくとも1つの作動アーム5aがケーシング9の外側に配置されている第2の相対位置との間で可動に支持されている。
【0029】
通常、作動アームアセンブリ5は、ばね装置10によって、第1の旋回角度範囲内では、第1の相対位置の方向に負荷されていて、第2の旋回角度範囲内では第2の相対位置の方向に負荷されている。これは、ばね装置10が、完全な閉鎖位置の直前に位置する、作動アーム5aの閉鎖領域で、少なくとも1つの作動アーム5aに閉鎖力を加えることを意味している。したがって、まずは、作動アームアセンブリ5を第1の相対位置(閉鎖位置)から第2の相対位置(開放位置)の方向で動かすために、図2aを起点として、ばね装置10の力に抗して手動の力が加えられなければならない。
【0030】
図2cは、家具1を、作動アームアセンブリ5のさらなる開放位置で示している。この相対位置以降、ばね装置10によって開放力が作動アームアセンブリ5に加えられる。したがって使用者は、凹部15内に差し込まれたドライバ16aによって、手動の力をばね装置10の力に抗して加えることにより、少なくとも1つの作動アーム5aの制御されない飛び出しを阻止することができる。
【0031】
好適な実施例によれば、少なくとも1つの操作装置14は、少なくとも1つの作動アーム5aがケーシング9の内側に配置されている少なくとも第1の相対位置で、作動アーム5aに相対回動不能に結合されていることが想定されていてよい。これにより、操作装置14と作動アーム5aとの間で相対運動は行われず、これにより作動アームアセンブリ5の制御された開放運動が可能となる。
【0032】
図2dでは、家具駆動装置4の作動アームアセンブリ5は、完全な開放状態にある。操作装置14は、作動アーム5aから分離することができ、例えば再利用することができる。
【0033】
図3a~図3dは、操作装置14を様々な視点で示している。図3aは、操作装置14の斜視図を示している。図3bは、操作装置14を前方から見た図で示している。図3cは、図3bに示された平面A-Aに沿った操作装置14の断面図を示していて、図3dは、凹部15内に導入されたドライバ16aの斜視図を示している。
【0034】
好適な実施形態:
-操作装置14は、操作装置14の組付け状態で少なくとも1つの作動アーム5aとは反対側の平坦に形成された可視面17を有しており、かつ/または
-少なくとも1つの凹部15は、作動アームアセンブリ5の第1の相対位置で、ケーシング9の前側の開口17(図2a~図2d)によって形成される平面に対して傾斜して(図3c参照)延在しており、かつ/または
-少なくとも1つの凹部15は、進入開口19(図3c)と、この進入開口から離隔された、工具16のためのストッパ20とを有しており、少なくとも1つの作動アーム5aは、少なくとも1つの枢着軸25(図4a)を中心として回動可能に支持されており、ストッパ20は、進入開口19よりも、作動アームアセンブリ5の第1の相対位置で少なくとも1つの枢着軸25の近くに配置されており、かつ/または
-少なくとも1つの凹部15は、実質的に円筒状および/または円錐状に形成されており、かつ/または
-作動アームアセンブリ5は、可動の家具部分3に接続すべき少なくとも1つの作動アーム5aを有しており、少なくとも1つの凹部15に受容可能な工具16は、作動アーム5aの延長部に配置可能である。
【0035】
係止装置21によって、操作装置14は、作動アームアセンブリ5の第1の相対位置において、家具駆動装置4のケーシング9に対して相対的に解離可能に係止可能であり、好ましくはこの場合、
-少なくとも1つの係止装置21は、少なくとも1つのばね舌片22、好ましくは互いに離隔された少なくとも2つのばね舌片22を有しており、かつ/または
-少なくとも1つの係止装置21は、少なくとも1つの凹部29(図5a、図5b)と、この少なくとも1つの凹部29内に配置可能な少なくとも1つの係止エレメント23とを有しており、少なくとも1つの係止エレメント23は、少なくとも1つの操作装置14に配置されていて、少なくとも1つの凹部29は、家具駆動装置4のケーシング9内にまたはケーシング9表面に配置されている、またはその逆に配置されている。
【0036】
さらに、少なくとも1つの操作装置14を、または代替的に可動の家具部分3に結合可能な金具エレメントを、少なくとも1つの作動アーム5aに取外し可能に結合させることができるロック装置24が設けられており、好ましくはこの場合、少なくとも1つのロック装置24は、
-少なくとも1つのばね的なまたはばね負荷されるロックエレメント26(図4b)と、ロックエレメント26を収容するための少なくとも1つの凹部24bとを有しており、この場合、ロックエレメント26は少なくとも1つの作動アーム5aに配置されていて、凹部24bは操作装置14にまたは金具エレメントに配置されており、またはその逆に配置されており、かつ/または
-少なくとも1つの保持ピン28(図4b)と、この保持ピン28を収容するための少なくとも1つの切欠き24aとを有しており、保持ピン28は少なくとも1つの作動アーム5aに配置されていて、切欠き24aは操作装置14にまたは金具エレメントに配置されており、またはその逆に配置されており、かつ/または
-少なくとも1つのばね的なまたはばね負荷されるロックエレメント26(図4b)と、このロックエレメント26から離隔された少なくとも1つの保持ピン28(図4b)とを有している。
【0037】
金具エレメントは、詳しくは図示されていない。しかしながらこの金具エレメントは、自体公知のように、可動の家具部分3への取付けのために、かつ作動アームアセンブリ5の少なくとも1つの作動アーム5aとの通常は解除可能な結合のために、特に工具なしで行われるロックのために形成されている。
【0038】
図4aには、作動アーム装置5の、枢着軸25を中心にして旋回可能に支持された作動アーム5aが、操作装置14に結合された状態で示されている。操作装置14は、ロック装置24を介して作動アーム5aに、解除可能にロック可能である。
【0039】
図4bは、図4aによるアセンブリの断面図を示しており、この場合、ロック装置24が詳細に示されている。操作装置14の組付けのために、まずは作動アーム5aの保持ピン28が、操作装置14の切欠き24a内に導入される。懸吊状態で、操作装置14が旋回させられ、次いで、可動に支持された係止エレメント26により解除可能にロックされる。作動アーム5aに配置された係止エレメント26は、蓄力器27、例えば板ばねによって、ロック位置の方向で予荷重がかけられている。ロック状態で、作動アーム5aの係止エレメント26は、操作装置14の凹部24b内に係合している。
【0040】
少なくとも1つの作動アーム5aは、可動の家具部分3が取り付け可能である少なくとも1つの組付け部分39と、少なくとも1つの調節装置38a,38b,38cとを有していて、この調節装置によって、少なくとも1つの作動アーム5aに対して相対的に、少なくとも1つの組付け部分39の位置が調節可能である。図示した実施例では、少なくとも1つの作動アーム5aは、回動可能に支持された3つの操作エレメントを備えた3つの調節装置38a,38b,38cを有している。調節装置38a,38b,38cによって、家具部分3の組付け状態で作動アーム5aに対して相対的に、家具部分3の位置が、作動アーム5aに関して3次元的な方向で調節可能となる。
【0041】
第1の調節装置38aにより、操作装置14の位置(または代替的には可動の家具部分3に取り付けるべき金具エレメントの位置)が、作動アーム5aに対して横方向で調節可能である。第2の調節装置38bによって、組付け部分39の傾斜が作動アーム5aに対して相対的に調節可能である。第3の調節装置38cによって、組付け部分39の高さが作動アーム5aに対して相対的に調節可能である。
【0042】
図5aは、家具駆動装置4を斜視図で示している。家具駆動装置4のケーシング9は、実質的に平坦に形成され、互いに平行に離隔されて配置された2つのケーシング壁9a,9bを有している。両ケーシング壁9a,9bの間には、作動アームアセンブリ5が、その第1の相対位置において完全にケーシング9の内側で収容されている。作動アームアセンブリ5に力を負荷するためのばね装置10も示されている。ばね装置10は、例えば複数の並列に接続されたコイルばね、好ましくは圧縮ばねを備えたばねセットを有していてよい。
【0043】
ケーシング9には、操作装置14の係止エレメント23(図3a)を受容するために形成されている少なくとも1つの凹部29が設けられている。このようにして、作動アームアセンブリ5の所望されない開放運動が阻止される。このことは、ばね装置が、少なくとも1つの作動アーム5aの閉鎖領域において、少なくとも1つの作動アーム5aに閉鎖力を加えず、閉鎖領域において、開放方向に作用するトルクを少なくとも1つの作動アーム5aに加える場合に特に有利である。
【0044】
1つの実施例によれば、操作装置14は、互いに別個の少なくとも2つの係止エレメント23を有している。操作装置14の第1の係止エレメント23は、第1のケーシング壁9aの第1の凹部29内で受容可能である。操作装置14の第2の係止エレメント23は、第2のケーシング壁9bの第2の凹部29内で受容可能である。これにより、操作装置14は、ケーシング9に関して傾倒しないようにロックされ得る。
【0045】
図5bは、図5aにおいて円で取り囲んだ領域を拡大図で示している。係止エレメント23は、少なくとも部分的に円筒状に形成することができ、ケーシング9の円形の凹部29内で受容することができる。係止エレメント23と凹部29との間のロックは、操作エレメント14に対する手動の引張り運動により解除可能であり、これにより、係止エレメント23は、そのばね作用に抗して凹部29から外へと運動可能である。少なくとも1つの係止エレメント23は、ケーシング壁9a,9bによって形成された平面に対して実質的に垂直に延びる方向で可動に支持されている。
【0046】
図5bにはさらに、家具駆動装置4のケーシング9にカバー12が設けられていて、このカバーは、側方で突出する、実質的にリング状に形成された少なくとも1つのフランジ12aを有していることが示されている。このフランジ12aは、家具板6の端面6a(図1b)に当接可能な、家具駆動装置4のケーシング9のための奥行きストッパを形成しており、これによりケーシング9は、組付け状態で、家具板6に関して規定の奥行き位置をとる。さらに、フランジ12aは、家具駆動装置4の組付け状態で、ケーシング9と、凹部11(図1b)の内壁との間に位置する隙間をカバーすることができる。
【0047】
図6aは、作動アームアセンブリ5の一部を示しており、この場合、少なくとも1つの作動アーム5aは、枢着軸30を介して作動アーム5bに接続されていて、別の枢着軸25を介して作動アーム5cに接続されている。
【0048】
家具駆動装置4は、解除可能なブロック装置31を有しており、作動アームアセンブリ5の旋回運動は、少なくとも1つのブロック装置31によって、第2の相対位置を起点として第1の相対位置の方向でブロック可能である。
【0049】
解除可能なブロック装置31は、少なくとも2つの可動に支持された、好ましくは回転軸32a,32bを中心として旋回可能に支持されたブロックエレメント31a,31bを有しており、これらのブロックエレメントは、ブロック位置と少なくとも1つの解放位置との間で互いに相対的に可動に支持されている。ブロックエレメント31a,31bのブロック位置では、第1の相対位置と第2の相対位置との間の作動アームアセンブリ5の運動がブロック可能である。ブロックエレメント31a,31bの解放位置では、第1の相対位置と第2の相対位置との間の作動アームアセンブリ5の運動が解放可能である。ブロック装置31の少なくとも2つのブロックエレメント31a,31bは、ブロック位置で互いに当接しており、かつ/または解放位置で互いに離隔されている。少なくとも1つのブロックエレメント31a,31b、好ましくは両ブロックエレメント31a,31bは、2つのレバー端部を備えた2腕式レバーとして形成されていてよい。
【0050】
少なくとも1つの作動アーム5aは、可動の家具部分3が取り付け可能である少なくとも1つの組付け部分39と、少なくとも1つの調節装置38a,38b,38cとを有していて、この調節装置によって、少なくとも1つの作動アーム5aに対して相対的に、少なくとも1つの組付け部分39の位置が調節可能であって、この場合、ブロック装置31の少なくとも1つのブロックエレメント31aは少なくとも1つの組付け部分39に可動に、好ましくは旋回可能に支持されている。
【0051】
図示した図6a、図6bでは、ブロックエレメント31a,31bが解放位置に位置していて、したがって第1の相対位置と第2の相対位置との間の作動アームアセンブリ5の運動が可能である。操作装置14が少なくとも1つの作動アーム5aに適正に結合されているので、解放位置が生じている。このことは、作動アーム5aの保持ピン28が操作装置14の切欠き24a内に係合していることから認識できる。
【0052】
第1のブロックエレメント31aは、第1の回転軸32aを中心として旋回可能に支持されており、この場合、第1のブロックエレメント31aには、(ここでは見えていない)蓄力器33により第1の回転軸32aを中心として反時計回り方向に予荷重が加えられており、したがって第1のブロックエレメントは、蓄力器33の力により操作装置14に当接させられている。
【0053】
第2のブロックエレメント31bは、第2の回転軸32bを中心として旋回可能に支持されており、この場合、第2のブロックエレメント31bには、図示された蓄力器33により第2の回転軸32bを中心として時計回り方向に予荷重が加えられており、したがって第2のブロックエレメントは、蓄力器33の力により作動アーム5aの支持エレメント35に当接させられている。
【0054】
操作装置14が少なくとも1つの作動アーム5aに適正に結合された状態では、両ブロックエレメント31a,31bは、互いに離隔されているので、第1の相対位置と第2の相対位置との間の作動アームアセンブリ5の運動は解放されている。解放位置において、ブロックエレメント31a,31bは、作動アームアセンブリ5のすべての相対位置において、互いに離隔されており、このことは、図6a、図6bから分かる。
【0055】
これに対して図7aは、操作装置14と少なくとも1つの作動アーム5aとの間が分離されている状態を示しており、これにより解除可能なブロック装置31はブロック位置に位置している。ブロック位置では、第1の相対位置と第2の相対位置との間の作動アームアセンブリ5の運動はブロック可能である、または少なくとも制限可能である。操作装置14と作動アーム5aとの間が分離されている状態は、作動アーム5aの保持ピン28がもはや操作装置14の切欠き24a内に係合していないことによって認識することができる。
【0056】
図示された図7aでは、作動アームアセンブリ5は、家具駆動装置4のケーシング9に対して相対的に完全な開放状態にある。従来技術によって公知の調節装置によって、作動アームアセンブリ5の最大の開放状態の位置をケーシング9に対して相対的に調節することができる。このようにすると、作動アームアセンブリ5は、最大の開放位置の可変の調節によって、使用者にとって快適な位置に移動させることができるので、少なくとも1つの作動アーム5aへの可動の家具部分3の組付けの際のフレキシビリティを高めることができる。
【0057】
解除可能なブロック装置31は、可動の家具部分3が作動アーム5aに結合されていない場合に、第2の相対位置(開放位置)から第1の相対位置(閉鎖位置)への作動アームアセンブリ5の運動によりばね装置10が緊張させられることを阻止するために設けられている。可動の家具部分3が作動アーム5aに結合されていない限り、ばね装置10に対する反力も作用しない。したがって、家具部分3が結合されていない作動アーム5aが、制御されずに開放位置の方向に飛び出すおそれがある。すなわち、解除可能なブロック装置31によって、開放位置から閉鎖位置の方向への作動アームアセンブリ5の運動をブロックすることができ、したがってばね装置10が緊張させられることを阻止することができる。
【0058】
図7aから判るように、操作装置14が存在していないことにより、第1のブロックエレメント31aは、(図示されていない)蓄力器33の力により、第1の回転軸32aを中心として時計回りに旋回させられる。この場合、第1のブロックエレメント31aの長い方のレバーアームが第2のブロックエレメント31bに当接し、これにより第2のブロックエレメント31bは、第2の回転軸32bを中心として反時計回りに旋回させられる。
【0059】
第1のブロックエレメント31aに力を加えるための蓄力器33は、第2のブロックエレメント31bに力を加えるための蓄力器33よりも強力に形成されているので、第1のブロックエレメント31aは、第2のブロックエレメント31bを、第2の回転軸32bを中心として確実に動かすことができる。
【0060】
図7bは、図7aにおいて円で取り囲んだ領域を拡大図で示している。第2のブロックエレメント31bがストッパ36を有していることが認められ、このストッパは、作動アーム5cの対応ストッパ37に当接することができる。
【0061】
図7cは、作動アームアセンブリ5の引き続き行われる旋回運動を示しており、この場合、いまや第2のブロックエレメント31bのストッパ36は、作動アーム5cの対応ストッパ37に当接し、これにより第1の相対位置(閉鎖位置)の方向での作動アームアセンブリ5のさらなる旋回運動を阻止している。つまりブロック装置31のブロック位置では、作動アームアセンブリ5は、図7aに示された位置から、図7cに示された位置までしか移動することができないので、安全上の理由から、ばね装置10がそれ以上は緊張させられることはあり得ない。
【0062】
操作装置14または可動の家具部分3が作動アーム5aに組み付けられる場合には、解除可能なブロック装置31は、自動的に再び解放状態に切り換えられる。作動アーム5aに操作装置14または可動の家具部分3を組み付けることにより、第1のブロックエレメント31aは、図7aを起点として、再び第1の回転軸32aを中心として時計回りに運動させられる。これにより、第1のブロックエレメント31aの長い方のレバーアームは再び第2のブロックエレメント31bから離隔させられ、これにより第2のブロックエレメント31bは、蓄力器の力によって反時計回りに傾動させられ、ストッパ36は対応ストッパ37から離隔させられる。このようにして、ブロック状態を再び解除することができる。
【0063】
図7dは、図7cにおいて円で取り囲んだ領域を拡大図で示している。
【0064】
好適な実施形態:
-ブロック装置31の少なくとも2つのブロックエレメント31a,31bのうちの少なくとも1つに、蓄力器33により予荷重が加えられており、好適には、ブロック装置31の少なくとも2つのブロックエレメント31a,31bのうちの両方に、蓄力器33により予荷重が加えられており、特に好適には、ブロック装置31の少なくとも2つのブロックエレメント31a,31bには、蓄力器33により異なる運動方向で予荷重が加えられており、かつ/または蓄力器33は、異なるばね力を有し、好ましくは少なくとも1つの蓄力器33が、好ましくは両方の蓄力器33が、トーションばねを有しており、かつ/または
-ブロック装置31の少なくとも2つのブロックエレメント31a,31bは、作動アームアセンブリ5の少なくとも2つの作動アーム5a,5b,5cのうちの1つの同じ作動アーム5aに配置されており、かつ/または
-ブロック装置31の少なくとも2つのブロックエレメント31a,31bのうちの1つは、支持輪郭34を有しており、この支持輪郭において、作動アーム5aの支持エレメント35が支持可能であって、かつ/または
-ブロック装置31の少なくとも2つのブロックエレメント31a,31bのうちの1つは、少なくとも2つの作動アーム5a,5b,5cのうちの1つに支持されていて、ストッパ36を有しており、このストッパは、ブロック位置で少なくとも2つの作動アーム5a,5b,5cのうちの別の作動アームの対応ストッパ37に当接可能であって、かつ/または
-ブロック装置31の少なくとも2つのブロックエレメント31a,31bのうちの1つは、操作装置14の、または可動の家具部分3に結合可能な金具エレメントの組付けにより、ブロック位置から解放位置へと移動可能である。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d