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特許7479511遠心圧縮機、及びプロセスガスの均一な入口流を生み出すように遠心圧縮機を動作させる方法
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  • 特許-遠心圧縮機、及びプロセスガスの均一な入口流を生み出すように遠心圧縮機を動作させる方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】遠心圧縮機、及びプロセスガスの均一な入口流を生み出すように遠心圧縮機を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20240426BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
F04D29/44 P
F04D29/42 H
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022567444
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2021025164
(87)【国際公開番号】W WO2021223912
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】102020000010297
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケルシア、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】サッサネッリ、ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】コルボ、シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】グリマルディ、アンジェロ
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03472029(US,A)
【文献】特開平11-351198(JP,A)
【文献】米国特許第03421446(US,A)
【文献】米国特許第04255082(US,A)
【文献】国際公開第2016/121046(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/42、29/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心圧縮機(100)であって、
縮されるプロセスガスのための2つの圧縮機入口(120)を有するハウジング(110)と、
回転軸(R)を有するインペラ(130)であって、前記2つの圧縮機入口(120)からのプロセスガスの入口流を受容するように前記ハウジング(110)の内側に位置し、かつプロセスガスが前記インペラ(30)内を流れるにつれてガス圧力を上昇させるように配置された、インペラ(130)と、を備え
前記ハウジング(110)が、前記2つの圧縮機入口(120)からの前記プロセスガスの入口流を受容し、かつ前記プロセスガスの入口流を前記インペラ(130)に運ぶように配置されたプレナムチャンバ(115)を有し、
前記プレナムチャンバ(115)が、前記インペラ(130)の前記回転軸(R)に対応する軸を中心として円筒形又は円錐台形又は環状形状であり、
前記2つの圧縮機入口(120)が、前記プレナムチャンバ(115)の側面上に位置し、
前記ハウジング(110)から突出する2つのコレクタ(121)を更に備え、各コレクタ(121)が、吸引ダクトに流体結合されるように配置されたコレクタ入口(122)と、前記圧縮機入口(120)に流体結合されたコレクタ出口(123)と、を有し、かつ前記コレクタ入口(122)から前記コレクタ出口(123)へのプロセスガスの流れの不均一性を低減又は排除するように構成され、
各前記コレクタ(121)が、前記コレクタ入口(122)から前記コレクタ出口(123)に広がるダイバージェントダクトを画定し、前記コレクタ入口(122)断面と前記コレクタ出口(123)断面との間の面積比が、1.0より大きく1.3以下である、遠心圧縮機(100)。
【請求項2】
遠心圧縮機(100)であって、
圧縮されるプロセスガスのための2つの圧縮機入口(120)を有するハウジング(110)と、
回転軸(R)を有するインペラ(130)であって、前記2つの圧縮機入口(120)からのプロセスガスの入口流を受容するように前記ハウジング(110)の内側に位置し、かつプロセスガスが前記インペラ(30)内を流れるにつれてガス圧力を上昇させるように配置された、インペラ(130)と、を備え、
前記ハウジング(110)が、前記2つの圧縮機入口(120)からの前記プロセスガスの入口流を受容し、かつ前記プロセスガスの入口流を前記インペラ(130)に運ぶように配置されたプレナムチャンバ(115)を有し、
前記プレナムチャンバ(115)が、前記インペラ(130)の前記回転軸(R)に対応する軸を中心として円筒形又は円錐台形又は環状形状であり、
前記2つの圧縮機入口(120)が、前記プレナムチャンバ(115)の側面上に位置し、
前記ハウジング(110)から突出する2つのコレクタ(121)を更に備え、各コレクタ(121)が、吸引ダクトに流体結合されるように配置されたコレクタ入口(122)と、前記圧縮機入口(120)に流体結合されたコレクタ出口(123)と、を有し、かつ前記コレクタ入口(122)から前記コレクタ出口(123)へのプロセスガスの流れの不均一性を低減又は排除するように構成され、
前記2つのコレクタ(121)のそれぞれが、前記コレクタ出口(123)に隣接する端部分を備え、
前記2つのコレクタ(121)のうちの一方の前記端部分が、第1の直線に沿って長手方向に延在し、前記2つのコレクタ(121)のうちの他方の前記端部分が、第2の直線に沿って長手方向に延在し、
前記第1の直線と前記第2の直線とが、15°~30°の範囲内の角度(α)を形成する、遠心圧縮機(100)。
【請求項3】
前記コレクタ(121)が、前記コレクタ入口(122)から前記コレクタ出口(123)に広がるダイバージェントダクトを画定し、前記コレクタ入口(122)断面と前記コレクタ出口(123)断面との間の面積比が、1.0より大きく1.3以下である、請求項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項4】
前記ハウジング(110)が、圧縮されるプロセスガスのための少なくとも1つの追加の圧縮機入口を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項5】
前記2つの圧縮機入口(120)が、等しい断面を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項6】
記遠心圧縮機(100)が、前記インペラ(130)の前記回転軸(R)を含むメリジオナル面(M)を有し、
前記2つの圧縮機入口(120)が、前記メリジオナル面(M)に対して対称的に配置されている、請求項1から5のいずれか項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項7】
前記遠心圧縮機(100)が、前記プレナムチャンバ(115)内に配置され、かつ半径方向に延在する、1つ又は2つの隔壁(140)を備える、請求項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項8】
前記1つ又は2つの隔壁(140)が、前記プレナムチャンバ(115)の側面における第1の端(141)から前記プレナムチャンバ(115)の半径方向内側領域(118)における第2の端(142)まで半径方向に延在する、請求項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項9】
記1つ又は2つの隔壁(140)が、前記メリジオナル面(M)に配置されている、請求項7又は8に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項10】
前記2つの隔壁(140)は、第1の隔壁(140a)が、前記2つの圧縮機入口(120)に近く、かつ第2の隔壁(140b)が、前記2つの圧縮機入口(120)から遠いように、円周方向に反対の位置で前記プレナムチャンバ(115)内に位置する、請求項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項11】
前記プレナムチャンバ(115)が、半径方向外壁(116)と、前記半径方向外壁(116)に面する半径方向内壁(117)と、によって画定されており、
プレナム出口(118)が、前記半径方向外壁(116)及び前記2つの圧縮機入口(120)に面し、かつ前記半径方向内壁(117)に隣接している、請求項1から10のいずれか項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項12】
前記プレナムチャンバ(115)が、形状決めされた接続チャネル(125)を通して、前記プロセスガスの入口流を前記インペラ(130)に運ぶように配置されている、請求項1から11のいずれか項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項13】
前記コレクタ入口(122)と前記コレクタ出口(123)との間の距離が、前記コレクタ入口(122)の直径の1~3倍である、請求項1から12のいずれか1項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項14】
第1の直線及び前記第2の直線が、交点で交差し、前記第1の直線及び前記第2の直線の各々において、当該コレクタの前記端部分に位置する点から当該交点までの距離が当該コレクタの前記端部分に位置する点から前記プレナムチャンバ(115)の軸までの距離よりも大きい、請求項2又は3項に記載の遠心圧縮機(100)。
【請求項15】
圧縮機システムであって、
求項1から14のいずれか1項に記載の遠心圧縮機(100)を備える、圧縮機システム。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか1項に記載の遠心圧縮機(100)を動作させる方法であって、前記方法が、
A)プロセスガスの流れを生成する工程(210)と、
B)前記プロセスガスの流れを第1のプロセスガス流及び第2のプロセスガス流に分割する工程(220)と、
C)前記第1のプロセスガス流及び前記第2のプロセスガス流の流れ不均一性を低減又は除去するために、別個の、直線状の経路に沿って、前記第1のプロセスガス流及び前記第2のプロセスガス流を前進させる工程(230)と、
D)所望のプロセスガス流を生じさせるために、不均一性が低減又は除去された前記第1のプロセスガス流、及び不均一性が低減又は除去された前記第2のプロセスガス流を合流させる工程(260)と、
E)前記所望の吸引プロセスガス流を前記遠心圧縮機のインペラ(130)に供給する工程(270)と、を含む、方法。
【請求項17】
F)プレナムチャンバ(115)内に、不均一性が低減又は除去された前記第1のプロセスガス流、及び不均一性が低減又は除去された前記第2のプロセスガス流を入れる工程(240)と、
G)不均一性が低減又は除去された前記第1のプロセスガス流、及び不均一性が低減又は除去された前記第2のプロセスガス流を、前記プレナムチャンバ(115)の内側で分離された状態に保つ工程(250)と、の2つの工程を更に含み、
工程F(240)及び工程G(250)が、工程C(230)の後、かつ工程D(260)の前に実行され、
工程D(260)が、前記プレナムチャンバ(115)の外側で実行される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、遠心圧縮機、圧縮機システム、及び遠心圧縮機を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の遠心圧縮機は、単一の入口を有するケーシングと、ケーシングの内側かつ入口の下流のインペラと、を有する。入口は、その上流の入口に流体接続されている単一の吸引ダクトからインペラによって圧縮されるプロセスガスの入口流を受容する。
【0003】
既知の遠心圧縮機の設計は、プロセスガスの入口流が均一であるという仮定で行われる。入口流における過度の不均一性は、圧縮機のインペラの機能不良を引き起こし、その性能を損なうか、又は圧縮機へのサージ及び構造的損傷を潜在的に引き起こす可能性さえある。
【0004】
そのような問題を回避するために、圧縮機入口の直ぐ上流の吸引ダクトの一部分が少なくとも所定の長さで直線状であり、それにより、入口流の不均一性を低減又は排除することが、圧縮機製造業者によって推奨される。それゆえに、プラント、具体的には、1つ以上の圧縮機を含むそれらの配管を設計するときに、そのような規則に従うべきである。
【0005】
上述の長さは、圧縮機入口の断面積とともに増加し、その結果、圧縮機のサイズ及び圧縮機によって処理される流量に依存する。それゆえに、小さいコンプレッサに関しては、そのような適用規則に比較的容易に従うが、大きいコンプレッサに関しては、現在、長い吸引ダクトが必要となる。
【0006】
大きい圧縮機は、それらが高効率及び大容積流量を処理する能力を有するため、魅力的である。しかしながら、大きい圧縮機の場合、直線吸引ダクトは、プラント配管の設計に深刻な制約を課す数十メートル程度の長さに達し得る。そのような問題は、圧縮機、特に、モジュールのサイズが増加するにつれて、例えば、組み立てられた後に輸送されるように設計されたモジュールを含む、事前に組み立てられたプラントモジュールに関して、更に悪化する。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様によると、本明細書に開示される主題は、ハウジングと、ハウジングの内側に位置するインペラと、を含む、遠心圧縮機に関し、ハウジングが、圧縮機によって圧縮されるプロセスガスの入口流を受容するための2つ以上の入口を有する。入口の直ぐ上流の吸引ダクトは、流れ不均一性を低減又は除去するために使用される。それらの長さは、各入口の断面領域に基づいて選択され、全ての入口の総断面積に従わなくてもよい。それゆえに、吸引ダクトは、入口の数によって短くなり得る。
【0008】
第2の態様によると、本明細書に開示される主題は、プロセスガスの入口流を受容するための2つ以上の入口を有する少なくとも1つの遠心圧縮機を含む圧縮機システムに関する。入口の直ぐ上流の吸引ダクトが、好ましくは、直線であるが、短くてもよく、システム配管は、より少ない制約を受けるため、容易に作製される。
【0009】
第3の態様によると、本明細書に開示の主題は、遠心圧縮機を動作させる方法に関する。圧縮されるプロセスガスの流れが生成され、次いで、それが第1のプロセスガス流及び第2のプロセスガス流に分割され、プロセスガス流の各々が、流れ不均一性を低減又は除去するために、好ましくは、直線状の経路に沿って前進され、次いで、2つのプロセスガス流が、圧縮機のインペラに供給される前に適切に合流される。好ましくは、合流は、インペラによって受容されるガス流が最適化されるように実施される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の開示の実施形態とそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考えながら以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より容易に得られるであろう。
図1】本明細書に開示される主題による、遠心圧縮機の実施形態の単純化された横概略図を示す。
図2図1の圧縮機の単純化されたメリジオナル断面部分図を示す。
図3図1の圧縮機のより詳細な横断面図を示す。
図4図1の圧縮機のより詳細なメリジオナル断面部分図を示す。
図5】本明細書に開示される主題による方法の実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される遠心圧縮機は、ハウジングと、ハウジングの内側に位置するインペラと、を含む。ハウジングは、圧縮機によって圧縮されるプロセスガスの流れを受容するための2つ以上の入口を有する。吸引ダクトは、入口に供給されるガス流の流れ不均一性を低減又は除去するために、圧縮機の入口の上流に結合され、吸引ダクトは、直線(典型的には、同一の)パイプの形態をとり得る。このようにして、圧縮によって圧縮され得るプロセスガスの量は、全てのこれらのパイプの総断面積に依存する。しかしながら、これらのパイプの各々の長さは、単一のパイプの断面積に依存し、それらの全ての総断面積に依存しない。それゆえに、それらは、短くてもよく、全体としてかさばらない可能性がある。
【0012】
次に、本開示の実施形態を詳述し、その例が図面に例示される。例は、本開示の限定ではなく、その説明として提供される。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。
【0013】
図1図4は、例えば、ガスパイプライン又はガス処理プラントに沿って配置される、遠心圧縮機100の実施形態を示す。
【0014】
遠心圧縮機100は、プロセスガス流を圧縮するように配置されている。本明細書に開示される特徴は、例えば、約200,000m/時間~約600,000m/時間のガス流量を有するより大きい遠心圧縮機内で具現化されるときに、特に有利である。
【0015】
遠心圧縮機100は、ハウジング110を有する。ハウジング110は、プレナムチャンバ115を画定し、例えば、図1及び図2に明確に示されるように、入口プロセスガスをプレナムチャンバ115内に運ぶように構成された2つの入口120を有する。代替的な実施形態によると、入口の数は、より多くてもよく、例えば、3つ又は4つであってもよく、すなわち、上述された2つの入口に追加的に少なくとも1つの入口であってもよいが、2つの入口のみを有することは、良好な結果を提供し、良好な妥協点になる。大きい遠心圧縮機では、これらの2つの入口の各々は、約0.75m~約3.3mの断面積を有し得、好ましくは、各入口の断面積は、300000m/時間の圧縮機に関して1.7m未満であり、500000m/時間の圧縮機に関して2.8m未満である。
【0016】
図の実施形態によると、プレナムチャンバ115は、実質的に円筒形の形状を有する。プレナムチャンバ115は、圧縮機のシャフト160の一部分を収容し得、プレナムチャンバ115はまた、ガイド部材150を収容し得る。プレナムチャンバ115は、外壁116と、外壁116に面する内壁117とによって半径方向に画定される。図の特定の実施形態によると、内壁117は、ガイド部材150の外面の一部分に対応し、それゆえに、シャフト160及びガイド部材150が考慮される場合、プレナムチャンバ115の前部分(図2の左側)は、実質的に環状の形状であり、プレナムチャンバ115の後部分(図2の右側)もまた、実質的に環状の形状である。好ましくは、プレナムチャンバ115は、円形対称軸を有する。
【0017】
入口120は、好ましくは、プレナムチャンバ115の外壁116上に位置し、これは、好ましくは、円筒形又は円錐台形状である。プレナムチャンバは、2つの等しい又は同様の半分である、入口が位置する近位半分と、入口が位置しない遠位半分とで作製されると考えられ得る。
【0018】
プレナムチャンバ115は、出口を有し、図2を考慮すると、出口118は、内壁117に隣接し、外壁116及び入口120に面し、具体的には、それは、環状出口であり、プレナムチャンバ115の前部分を半径方向に画定することに寄与する。入口プロセスガスは、プレナムチャンバ115の内側を入口120から出口118まで流れ、プレナムチャンバ115の円形対称軸に向けられた、速度の半径方向成分を有する。
【0019】
ハウジング110は、プレナムチャンバ115と流体接続している、プレナムチャンバ115の下流に配置されたインペラ130を収容する。インペラ130は、遠心圧縮機100の長手方向に沿って延在し、かつ、好ましくは、プレナムチャンバ115の円形対称軸と一致する、回転軸「R」の周囲で回転可能である。ハウジング110は、添付図に例示されていないインペラ130の下流に位置する出口を更に有する。
【0020】
チャネル125は、プレナムチャンバ115からインペラ130にプロセスガスを運ぶために、出口118とインペラ130との間に配置される。具体的には、ガイド部材150は、プレナムチャンバ115からチャネル125を部分的に画定し、チャネル125をプレナムチャンバ115の後部分から分離する。出口118は、プロセスガスの流路に沿った狭窄部又はボトルネックにおいて、プレナムチャンバ115とチャネル125との間に位置する。
【0021】
上記に説明されたものとは異なり、プレナムチャンバは、円筒形の環状出口の代わりに平坦な環状出口を有してもよく(図2の参照118に関連付けられた破線を参照)、チャネルは、最初に実質的に半径方向及び最終的に実質的に軸方向に展開する代わりに実質的に軸方向のみに展開してもよいことに留意されたい。
【0022】
インペラ130は、その回転を通じて、プレナムチャンバ115内のガスの吸引を及ぼし、かつ圧縮機入口と圧縮機出口との間のその圧力を遠心に上昇させながら、入口120からプレナムチャンバ115を通って圧縮機出口に向かうガス流を決定するように構成されている。
【0023】
遠心圧縮機100の作用構成によると、プレナムチャンバ115は、入口120の下流かつインペラ130の上流に位置し、インペラ130に向かう入口プロセスガス流の圧力及び速度を均一に分布させるように構成されている。
【0024】
図の実施形態によると、入口120は、等しい断面(又は実質的に等しい断面)を有し、更に、入口120は、圧縮機のメリジオナル面「M」、すなわち、回転軸「R」を含む平面に対して対称的に配置される。そのような対称性は、インペラ130に向かう入口プロセスガス流の圧力及び速度を均一に分布させることに寄与する。
【0025】
好ましくは、遠心圧縮機100は、入口120を通じてプレナムチャンバ115と流体連通しているハウジング110に接続された2つのコレクタ121を含む。具体的には、各コレクタ121は、ハウジング110から直線方向に突出し、上流吸引ガスダクトに接続可能なコレクタ入口122と、入口120に接続されたコレクタ出口123と、を有する。コレクタ121は、それぞれのプロセスガス流を2つの上流吸引ダクトからプレナムチャンバ115まで運ぶように配置され、コレクタ入口122からコレクタ出口123へのプロセスガスの流れの不均一性を低減又は排除するように構成されている。このようにして、システム配管は、入口プロセスガス流が所望の様式でガイドされ得るため、より低い制約を受ける。
【0026】
有利には、コレクタ121は、遠心圧縮機100のメリジオナル面「M」に対して対称的に配置される。メリジオナル面は、回転軸「R」を含む平面である。具体的には、メリジオナル面「M」は、遠心圧縮機100の作用構成に対して垂直に配置される。そのような対称性は、インペラ130に向かう入口プロセスガス流の圧力及び速度を均一に分布させることに寄与する。
【0027】
更に、各コレクタ121は、好ましくは、コレクタ入口122の直径の約1~約3倍、より好ましくは、1.3~2.5倍の、コレクタ入口122とコレクタ出口123との間の距離を有する。このようにして、システム配管は、入口プロセスガス流が外部システム配管とは独立してプレナムチャンバ115に向かって十分に良好にガイドされるため、より少ない制約を受ける。
【0028】
有利には、各コレクタ121は、コレクタ入口122からコレクタ出口123に広がるダイバージェントダクトを画定し、それにより、それを通って流れるガスの減速を引き起こす。好ましくは、コレクタ出口123の断面積とコレクタ入口122の断面積との間の面積比は、ガスの所望の減速を達成し、したがって、乱流を低減し、かつインペラ130に向かって流れるガスの均一性を改善するために、約1.0~約1.3である。しかしながら、コレクタ出口123の断面積とコレクタ入口122の断面積との間の面積比が、約0.75~約1.0である、コレクタ入口122からコレクタ出口123に収束するダクトを使用することが除外されるべきではない。
【0029】
好ましくは、各コレクタ121は、それぞれの直線「s」に沿って長手方向に延在するその出口123に隣接する端部分を有し、この部分の長さは、例えば、少なくとも400mmの長さであり得、他の場所では、コレクタ121は、より多いか、又はより少ない曲線に沿って延在し得る。あるいは、コレクタ121は、プレナムチャンバ115に向かうガス流における乱流の発生を低減又は回避するために、例えば、図1及び図2に示されるように、完全に直線であってもよい。
【0030】
好ましい実施形態によると、コレクタ121の上述の直線「s」は、図1に示されるように、インペラ130の回転軸「R」を遮らない。具体的には、各直線「s」は、0mm超かつ約1000mm未満、好ましくは、外壁116の直径の約0.3倍未満の、回転軸「R」からの最小距離「d」を有し、これは、コレクタ121からのガス流が、好ましくは、プレナムチャンバ115の中央ゾーンではなく、以下で説明されるように、有利には、隔壁が存在する、周辺ゾーン「Z」(すなわち、図1の下側ゾーン)に向けられることを意味する。しかしながら、直線「s」が回転軸「R」を遮ることが除外されるべきではない。
【0031】
好ましくは、コレクタ121の直線「s」は互いに交差し、約15°~約30°の範囲内の角度αを形成する(図1を参照)。言い換えると、コレクタ121は、好ましくは、ゾーン「Z」の内側で図1に示されるように、直線「s」の交点が回転軸「R」に対してコレクタ121の反対側のプレナムチャンバ115(及び入口120)内に位置付けられるように配置される。
【0032】
コレクタ121の直線「s」は、ゾーンの点で交差するが、コレクタからのガス流は、そのゾーンで必ずしも合流(及び混合)されないことに留意されたい。以下から明らかであるように、好ましくは、そのゾーンでは実質的に合流(及び混合)しないが、その後に合流する。それゆえに、上述の方向及び角度は、入口及びコレクタからのガス流の合流(及び混合)を遅延させることを目的としている。
【0033】
好ましくは、コレクタ入口122は、等しい断面及び断面積を有する。具体的には、断面積は、所望の流量に応じて、約0.75m~約2.5mであってもよい。更に、好ましくは、コレクタ出口123は、好ましくは、説明された入口120の断面と一致する、等しい断面を有する。
【0034】
有利には、直線「s」は、遠心圧縮機100の回転軸「R」に対して横方向の平面「T」を有する角度βを形成し(図2を参照)、角度βは、好ましくは、約10°~約20°の範囲内にある。このようにして、インペラ130に向かう入口120を通じてプレナムチャンバ115に入るガスの軸方向流が促進され、プレナムチャンバ115の内側の乱流の発生が低減されるが、一方で、圧縮機入口は、実質的に半径方向、及び任意のコレクタの配向である。
【0035】
好ましくは、遠心圧縮機100は、プレナムチャンバ115の内側及びインペラ130に向かって流れるガス内の乱流の発生を引き起こし得る、プレナムチャンバ115の内側のガス流の「衝突」及びそれらの同時逆回転に起因する入口120からのガス流の間の流れの干渉を回避するために、プレナムチャンバ115内に配置された1つ以上の隔壁を備え、言い換えると、入口からのガス流の間の段階的な合流(及び混合)が望ましく、1つ以上の隔壁によって達成される。具体的には、遠心圧縮機100は、2つの隔壁140a及び140b(例えば、図3を参照)を含み、これらは、集合的に140と称され得、プレナムチャンバ115内で、回転軸「R」に対応する(又は実質的に対応する)その円形対称軸に対して2つの反対側に位置する。具体的には、2つの隔壁140a及び140bは、プレナムチャンバ115を2つの対称的かつ実質的に分離された容積に分割するように配置されている。
【0036】
図の実施形態によると、近位隔壁140a及び遠位隔壁140bが存在する。近位隔壁140aは、プレナムチャンバ115の近位半分(図3のプレナムチャンバ115の上半分)、入口120の間、好ましくは、正確に中央に位置する。遠位隔壁140bは、プレナムチャンバ115の遠位半分(図3のプレナムチャンバ115の下半分)、好ましくは、回転軸「R」に対応する(又は実質的に対応する)プレナムチャンバ115の円形対称軸に対して近位隔壁140aと反対の位置に位置する。
【0037】
好ましくは、隔壁140は、実質的に平面状の幾何学的形状を有し、遠心圧縮機100のメリジオナル面上でプレナムチャンバ115内に配置される。具体的には、遠心圧縮機100の作用構成による垂直メリジオナル面「M」上。
【0038】
図の実施形態によると、各隔壁140は、外壁116に位置する第1の端141から、少なくとも部分的に内壁117に位置する第2の端142まで延在し、図3に示されるように、プレナムチャンバ115のメリジオナル断面(具体的には、プレナムチャンバ115の後部分のメリジオナル断面)を完全に占める。具体的には、第2の端142は、内壁117に接続された(プレナムチャンバ115の後部分で)接続部分143と、出口118に位置する(プレナムチャンバ115の前部分で)自由部分144と、を有し、その結果、プレナムチャンバ115内のプロセスガスは、まず、遠位隔壁140bの反対側を流れ、次いで、好ましくは、近位隔壁140aの反対側で、プレナムチャンバ115の下流、特に、接続チャネル125内で合流(及び混合)する。
【0039】
別の態様によると、本明細書に開示される主題は、添付図に例示されていない圧縮機システムに関する。
【0040】
圧縮機システムは、例えば、上記に説明された圧縮機100と同様又は同一の遠心圧縮機と、少なくとも2つの吸引ダクトと、を含み、少なくとも2つの吸引ダクトの各々が、遠心圧縮機のそれぞれの入口と流体結合され、入口及びプレナムチャンバを通じて、圧縮機のインペラにプロセスガス流を運ぶように配置されている。
【0041】
コレクタは、圧縮機に統合され得る。吸引ダクトは、圧縮機に統合され得るか、又はより一般的には、圧縮機の外部にあり得、例えば、遠心圧縮機を支持するスキッドの一部であり得、これらの吸引ダクトは、コレクタのフランジに接続されている。スキッドは、他の配管及び/又は他の機械を含み得ることに留意されたい。
【0042】
吸引ダクトの各々は、好ましくは、コレクタの直ぐ上流に直線部分を有し、各直線部分は、例えば、コレクタ入口直径の約2.5~約6倍以上の長さにわたって長手方向に延在する。有利な用途によると、吸引ダクトは、圧縮機システムの作用構成に対して実質的に垂直に配置され、圧縮機の回転軸に対して実質的に垂直である。具体的に、吸引ダクトによって占有される空間の量を低減するために、各直線部分は、上述の範囲に限定され得、好ましくは、吸引ダクトの各々は、完全に直線であり、直線部分の長さに対応する長さを有する。加えて、吸引ダクトの直線部分は、互いに平行である。
【0043】
別の態様によると、本明細書に開示される主題は、例えば、上記に説明された圧縮機100と同様又は同一の遠心圧縮機を動作させる方法に関し、そのような方法は、ガス処理プラントに実装され得る。
【0044】
方法の実施形態は、210~270で番号付けされた一連の連続工程を含む図7のフローチャート200に対応する。
【0045】
方法は、プロセスガスの流れ、例えば、圧縮機100のインペラ130と同様又は同一の遠心圧縮機のインペラによって圧縮されることを必要とするプロセスガスの流れを生成する初期工程210を含む。
【0046】
ステップ210の後、プロセスガスの流れを、例えば、第1及び第2のプロセスガス流に分割する工程220が存在する。
【0047】
ステップ220の後、第1及び第2のプロセスガス流の流れ不均一性を低減又は除去するために、第1及び第2のプロセスガス流を、別個の、好ましくは、実質的に直線状の経路(好ましくは、互いに平行)に沿って前進させる工程230が存在する。好ましくは、各直線状の経路は、例えば、コレクタ入口直径の約2.5~約6.0倍の長さを有する。好ましくは、これらの直線状の経路は、空間の量を低減するために、所望の長さよりも更に延在しない。
【0048】
ステップ230の後、プレナムチャンバ115などのプレナムチャンバ内に第1及び第2のプロセスガス流を入れる工程240が存在する。
【0049】
ステップ240の後、2つの流れのプロセスガス流を、プレナム115の内側で分離された状態に、具体的には、隔壁140a及び140bなどの隔壁によって、保つ工程250が存在する。
【0050】
ステップ250の後、第1及び第2のプロセスガス流を合流させて、例えば、吸引プロセスガス流を圧縮するインペラの観点で「最適化される」、所望の吸引プロセスガス流を生じさせる工程260が存在する。圧縮機100では、これは、プレナムチャンバの出口、具体的には、例えば、チャネル125などの接続チャネル内で、出口の幾分前に、かつ出口の幾分後に生じる。
【0051】
工程260の後、「最適化された」プロセスガス流を、130などの、遠心圧縮機のインペラに供給する最終工程270が存在する。
図1
図2
図3
図4
図5