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特許7479513チップモジュール及びエレクトロニクス装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】チップモジュール及びエレクトロニクス装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/40 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
H01L23/40 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022568717
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2021090007
(87)【国際公開番号】W WO2021227862
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】202010401964.2
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワン,フォン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,イオウフゥ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ヤレイ
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ヤンユン
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-077947(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0126889(US,A1)
【文献】特開2002-290073(JP,A)
【文献】特開2011-129739(JP,A)
【文献】特開2003-086765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0232944(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
H01L23/32-23/473
H01R33/00-33/975
H05K1/18
H05K7/12
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路ボードと、該回路ボードの表面上に配置されたスロットと、蓋なしパッケージ化チップと、放熱器と、基板固定アセンブリと、を有するチップモジュールであって、
前記蓋なしパッケージ化チップは、基板と、該基板の中央領域上でパッケージ化されたダイとを有し、前記蓋なしパッケージ化チップの接続部が、前記スロット内の弾性端子に接続され、前記放熱器は、前記回路ボードに面しない側の前記ダイの一方の面上にプレスフィットされ、前記基板固定アセンブリは、前記ダイを避けて、前記回路ボードに面しない側の前記基板の一方の面の外縁にプレスフィットされ、
前記蓋なしパッケージ化チップの前記基板の前記中央領域及びエッジ領域の両方で前記接続部が前記スロット内の前記弾性端子に確実に接続されるように、前記放熱器と前記ダイとの間の圧力F1、及び前記基板固定アセンブリと前記基板との間の圧力F2が、F1>F2を満たす、
チップモジュール。
【請求項2】
前記蓋なしパッケージ化チップは、前記基板上に配置された補強リブを有し、該補強リブと前記ダイとが前記基板の同じ側にあり、前記補強リブは前記ダイの周りに配置され、前記基板固定アセンブリは、前記基板に面しない側の前記補強リブの一方の面と接触している、請求項1に記載のチップモジュール。
【請求項3】
F1:F2が3:2以上である、請求項1又は2に記載のチップモジュール。
【請求項4】
前記基板固定アセンブリは上部カバーであり、該上部カバーは、前記ダイを避ける中空構造を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のチップモジュール。
【請求項5】
当該チップモジュールは更に、前記基板に面しない側の前記回路ボードの一方の面に配置された下部カバーを有し、仮締めアセンブリが、前記上部カバーと前記下部カバーとの間に接続され、且つ前記上部カバーと前記下部カバーとを互いに近付けるように構成される、請求項4に記載のチップモジュール。
【請求項6】
前記仮締めアセンブリは、仮締めねじと、該仮締めねじの外側にスリーブされたばねとを有する、請求項5に記載のチップモジュール。
【請求項7】
前記上部カバーは、前記下部カバーに、第1の締め付けねじを用いて接続され、該第1の締め付けねじの外側にばねがスリーブされ、該ばねは、前記上部カバーを前記基板の方に押すための圧力を提供するように構成される、請求項5に記載のチップモジュール。
【請求項8】
前記放熱器は、前記上部カバー及び/又は前記下部カバーに、第2の締め付けねじを用いて接続され、該第2の締め付けねじの外側にばねがスリーブされ、該ばねは、前記放熱器を前記ダイの方に押すための圧力を提供するように構成される、請求項5に記載のチップモジュール。
【請求項9】
前記下部カバーに複数のラッチが固定され、前記放熱器のエッジが突出エッジを持ち、前記ラッチが前記突出エッジとクランプされる、請求項5に記載のチップモジュール。
【請求項10】
前記下部カバーは予め曲げられた下部カバーであり、該予め曲げられた下部カバーが自然状態にあるとき、該予め曲げられた下部カバーのエッジは、前記回路ボードから遠ざかる方向に曲がっている、請求項5に記載のチップモジュール。
【請求項11】
前記下部カバーはI字形の下部カバーである、請求項5に記載のチップモジュール。
【請求項12】
前記上部カバーが弾性金属を有し、該弾性金属が前記基板上にプレスフィットされている、請求項4に記載のチップモジュール。
【請求項13】
前記上部カバーはブラケット及び押圧金属を有し、該押圧金属と該ブラケットとが、ばねセットを用いて接続され、該ばねセットは圧縮状態にあり、前記押圧金属を前記基板上にプレスフィットするための圧力を与えるように構成される、請求項4に記載のチップモジュール。
【請求項14】
前記放熱器に面する側の前記上部カバーの表面及び前記放熱器に面しない側の前記上部カバーの表面が各々、熱伝導層を有する、請求項4乃至13のいずれか一項に記載のチップモジュール。
【請求項15】
前記基板固定アセンブリは複数の弾性押圧ブロックを有し、該複数の弾性押圧ブロックは前記放熱器に取り付けられ、該複数の弾性押圧ブロックは前記基板の外縁側にプレスフィットされている、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のチップモジュール。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のチップモジュールを有するエレクトロニクス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
の出願は、エレクトロニクス技術の分野に関し、特に、チップモジュール及びエレクトロニクス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展及びパッケージ化チップ上のインタフェースの増加に伴い、消費電力及びチップサイズが大きくなり、放熱性能に対していっそう高い要求が課されている。蓋付きパッケージ化チップの蓋はチップの放熱を妨げるので、蓋付きパッケージ化チップの放熱効果は乏しい。従って、パッケージ化チップ構造はまた、蓋付きパッケージ化チップから蓋なしパッケージ化チップへと発展している。パッケージ化チップが使用されるとき、パッケージ化チップは、チップモジュールを形成するように回路ボードに接続される必要がある。従来技術では、パッケージ化チップと回路ボードとの間の接続を実装するためにはんだボールが使用されている。この接続モードでは、パッケージ化チップの様々な部分の材料が異なり、膨張係数が異なるため、はんだ付けの間に反りが発生しやすく、はんだボールクラッキングの潜在的リスクが存在する。従って、パッケージ化チップと回路ボードとの間の接続の信頼性が低い。そのため、スロットを用いることによってパッケージ化チップと回路ボードとの間の接続を実装することができる。スロット内に弾性端子が設けられ、パッケージ化チップがスロット内に押し込まれることで、パッケージ化チップの接続部がスロット内の弾性端子と確実に接触してパッケージ化チップを回路ボードに接続する。従来技術においては、蓋付きパッケージ化チップの蓋に放熱器がプレスフィットされ、そして、蓋を用いることにより、蓋付きパッケージ化チップを確実に回路ボードに接続することができる。蓋なしパッケージ化チップの場合には、蓋なしパッケージ化チップは蓋を持たず、また、回路ボードに面しない側の蓋なしパッケージ化チップの一方の面の表面平坦性が乏しいので、放熱器の圧力を均等に分布させることができない。一方では、放熱器が斜めになりやすくてダイ(die)を取り付けることができず、蓋なしパッケージ化チップの乏しい放熱効果をもたらす。他方では、放熱器が斜めになると、ダイが破砕されて蓋なしパッケージ化チップにダメージを生じさせることがある。
【発明の概要】
【0003】
この出願は、スロットを用いて蓋なしパッケージ化チップ回路ボードに確実に接続して、放熱器の放熱効果を向上させるための、チップモジュール及びエレクトロニクス装置を提供する。
【0004】
第1の態様によれば、この出願はチップモジュールを提供する。当該チップモジュールは、回路ボードと、該回路ボードの片側の表面上に配置されたスロットと、蓋なしパッケージ化チップと、放熱器と、基板固定アセンブリとを含む。蓋なしパッケージ化チップは、基板と、該基板上でパッケージ化されたダイとを含む。スロットは回路ボードに電気的に接続され、蓋なしパッケージ化チップは、ダイに面しない側の基板の一方の面上に接続部を持ち、該接続部がスロットに挿入されることで、該接続部がスロット内の弾性端子に接続される。蓋なしパッケージ化チップの中央部の上記接続部がスロット内の弾性端子に確実に接続されるように、放熱器が、回路ボードに面しない側のダイの一方の面上にプレスフィットされて、蓋なしパッケージ化チップの中央部をスロットの方に押す。蓋なしパッケージ化チップのエッジの上記接続部がスロット内の弾性端子に確実に接続されるように、基板固定アセンブリが、ダイを避けて、回路ボードに面しない側の基板の一方の面の外縁にプレスフィットされて、蓋なしパッケージ化チップのエッジをスロットの方に押す。このソリューションでは、ダイを有する蓋なしパッケージ化チップの中央領域が、放熱器を用いてスロットの方に押されるとともに、蓋なしパッケージ化チップの基板のエッジ領域が、基板固定アセンブリを用いてスロットの方に押されることで、蓋なしパッケージ化チップとスロットとの間の接続の信頼性が高い。当該チップモジュールは、スロットを用いて蓋なしパッケージ化チップと回路ボードとの間の接続を実装することができ、接続信頼性が高い。さらに、蓋なしパッケージ化チップの放熱効果が良好であり、当該チップモジュールは、良好な放熱効果及び良好な性能を持つ。
【0005】
蓋なしパッケージ化チップの強度を向上させるために、基板上に更に補強リブが配置され得る。補強リブとダイは基板の同じ側に配置され、補強リブはダイの周りに配置される。従って、基板の強度が高い。基板固定アセンブリは、基板に面しない側の補強リブの一方の面と接触することができる。このソリューションは、蓋なしパッケージ化チップの強度を高めることができる。
【0006】
具体的に放熱器及び基板固定アセンブリが取り付けられるとき、放熱器とダイとの間の圧力F1、及び基板固定アセンブリと基板との間の圧力F2が、F>F2を満たし得る。通常、蓋なしパッケージ化チップは泣き(crying)反りを持ち、すなわち、蓋なしパッケージ化チップのダイ領域が回路ボードから遠ざかる方向に曲がっている。この出願の技術的ソリューションでは、ダイ領域に印加される圧力F1が、エッジ領域に印加される圧力F2よりも大きく設定される。従って、F1の力の一部を使って、蓋なしパッケージ化チップの泣き反りを補正することができ、これは、蓋なしパッケージ化チップを、更に確実にスロットに接続されたものとする。
【0007】
基板固定アセンブリの具体的な構造は限定されるものではない。特定の一実装において、基板固定アセンブリは上部カバーとすることができ、該上部カバーは、ダイが放熱器と接触するように中空構造を持つ。このソリューションにおいて、上部カバーは、カバーとして用いられてもよいし、基板固定アセンブリとして基板にプレスフィットされてもよい。
【0008】
具体的に上部カバーが配置されるとき、上部カバーは一体構造であってもよいし、複数のサブカバー部分を繋ぎ合わせて形成されてもよい。
【0009】
チップモジュールを取り付けるために、更に下部カバーが含められる。下部カバーは、基板に面しない側の回路ボードの一方の面上に配置される。取り付けを容易にするため、上部カバーと下部カバーとの間に仮締めアセンブリが配置され、仮締めアセンブリが上部カバーと下部カバーとを近づけて、具体的に下部カバーを取り付けられるときに、斜めになることが起こりにくいように、下部カバーの基板への圧力を調整する。特に、大きいサイズのチップモジュールでアンチチルト効果が良好となる。
【0010】
仮締めアッセンブリは、複数のオプション構造を有する。一技術的ソリューションにおいて、仮締めアセンブリは、仮締めねじと、仮締めねじの外側にスリーブされたばねとを含む。従って、ばねがエネルギー貯蔵状態にあるとき、下部カバーと上部カバーが互いに近くなることができる。
【0011】
上部カバーが基板上にプレスフィットされるとき、第1の締め付けねじを用いて上部カバーと下部カバーとが接続され得る。上部カバーによって基板に印加される圧力F2を、要求を満たすように制御するために、第1の締め付けねじの外側にばねがスリーブされる。該ばねはエネルギー貯蔵状態にあり、上部カバーが指定圧力で基板の方に押されるように、及び基板の接続部がスロット内の弾性端子に確実に接続されるように、上部カバーを基板の方に押す圧力を提供するために使用される。
【0012】
あるいは、他の一技術的ソリューションにおいて、上部カバーは弾性金属を有することができ、該弾性金属が基板上にプレスフィットされる。このソリューションでは、第1の締め付けねじの外側にばねをスリーブする必要はなく、また、弾性金属の機械的特性はばねの機械的特性よりも良好である。弾性金属が圧縮されるときには過圧が生じにくく、信頼性が高い。
【0013】
あるいは、他の一技術的ソリューションにおいて、上部カバーはブラケットと押圧金属とを含むことができ、該押圧金属が、回路ボードに面しない側の基板の一方の面上にプレスフィットされる。押圧金属とブラケットは、ばねセットを用いて接続される。ばねセットは圧縮状態にあり、押圧金属を基板上にプレスフィットするための圧力を提供するように構成される。このソリューションでも、第1の締め付けねじの外側にばねをスリーブする必要がない。押圧金属とブラケットとの間のばねセットは、押圧金属が指定圧力を基板に印加することを可能にすることができる
【0014】
放熱器の取り付け時に、放熱器は、第2の締め付けねじを用いて上部カバー及び/又は下部カバーに取り付けられ得る。放熱器によってダイに印加される圧力F1を、要求を満たすように制御するために、第2の締め付けねじの外側にもばねがスリーブされる。該ばねは、エネルギー貯蔵状態にあり、放熱器をダイの方に押す圧力を提供するために使用され、放熱器が指定圧力でダイの方に押され、蓋なしパッケージ化チップがスロットに確実に接続される。
【0015】
具体的には、各ばねを仮締めばねとしてもよく、すなわち、仮締めばねのトルクを予め設定することができ、直接的な取り付けを通じて指定の圧力が形成され得る。あるいは、ばねは圧縮ばねであってもよく、ねじを取り付けるときにトルクスクリュードライバのトルクを調整することによって必要な圧力を得ることもできる。
【0016】
放熱器の取り付け時に、代わりにラッチを仮実装構造として用いてもよい。具体的には、下部カバーに複数のラッチを固定することができ、放熱器のエッジが突出を有し、放熱器から下部カバーの方向にラッチが放熱器の突出エッジとクランプされることで、放熱器を仮実装することができる。その後の放熱器の取り付け時に放熱器が斜めになることが防止され、さらに、放熱器でダイのエッジ又は尖ったコーナーを押すことによってダイに生じるダメージを抑制することができる。
【0017】
下部カバーは、予め曲げられた下部カバーであってもよい。予め曲げられた下部カバーは自然状態にあり、すなわち、予め曲げられた下部カバーが取り付けられていないとき、予め曲げられた下部カバーのエッジは回路ボードから遠ざかる方向に曲がっている。このソリューションにおいて、予め曲げられた下部カバーの曲げ方向は、蓋なしパッケージ化チップの反り方向と逆であり、蓋なしパッケージ化チップの反りを打ち消し、チップモジュールが反るのを防止する。
【0018】
あるいは、下部カバーはI字形の下部カバーであってもよい。チップモジュールが取り付けられた後、ねじがI字形下部カバーの外縁側が閉じ、下部カバーの中央部が隆起する。これは、蓋なしパッケージ化チップの反りを打ち消し、チップモジュールが反るのを防止する。
【0019】
蓋なしパッケージ化チップの放熱効果を向上させるために、蓋なしパッケージ化チップの熱が放熱器に伝達されるように、放熱器に面する側の上部カバーの表面が熱伝導層を備えるとともに、放熱器に面しない側の上部カバーの表面が熱伝導層を備える。
【0020】
他の一技術的ソリューションにおいて、基板固定アセンブリは複数の弾性押圧ブロックを含むことができ、放熱器は、弾性押圧ブロックを取り付けるための収容溝を持つことができ、弾性押圧ブロックが収容溝に配置される。弾性押圧ブロックは、蓋なしパッケージ化チップのエッジをスロットの方に押すように基板の外縁側にプレスフィットされ、それにより、蓋なしパッケージ化チップと回路ボードとの間の接続の信頼性を向上させる。弾性押圧ブロックは、ばね及び押圧ブロックを含み得る。該ばねが押圧ブロックと収容溝の底壁との間に配置されて圧縮状態にあることで、押圧ブロックが基板の方に押される。
【0021】
第2の態様によれば、この出願は更にエレクトロニクス装置を提供する。当該エレクトロニクス装置は、上述の技術的ソリューションのうちのいずれかのソリューションでのチップモジュールを含む。当該エレクトロニクス装置のチップモジュールは良好な放熱効果を持ち、蓋なしパッケージ化チップと回路ボードとの間の接続が信頼できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1従来技術におけるチップモジュールの構造の概略図である。
図2】この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの構造の概略分解図である。
図3】この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの構造の概略断面図である。
図4】この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。
図5】この出願の一実施形態に従った蓋なしパッケージ化チップの補強リブのレイアウトの概略図である。
図6】この出願の一実施形態に従った蓋なしパッケージ化チップの補強リブの別のレイアウトの概略図である。
図7】この出願の一実施形態に従った蓋なしパッケージ化チップの補強リブの別のレイアウトの概略図である。
図8】この出願の一実施形態に従った、放熱器が取り外された後のチップモジュールの構造の概略上面図である。
図9】この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの構造の概略図である。
図10】この出願の一実施形態に従ったスロット構造の部分概略図である。
図11】この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの部分断面図である。
図12】この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。
図13】この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。
図14】この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。
図15】この出願の一実施形態に従った上部カバーの構造の概略図である。
図16】弾性金属とばねの機械的特性のカーブの図である。
図17】この出願の一実施形態に従った上部カバーの別の構造の概略図である。
図18】この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。
図19】この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 下部カバー 11 上部プレート
12 下部プレート 13 挟み込みブロック
2 回路ボード 21 スロット
211 弾性端子 212 制限ブロック
3 蓋付きパッケージ化チップ 31 蓋
4 ヒートラジエータ 41 収容溝
5 蓋なしパッケージ化チップ 51 基板
511 補強リブ 52 ダイ
6 基板固定アセンブリ 61 上部カバー
611 中空構造 612 弾性金属
613 ブラケット 614 押圧金属
615 ばねセット 62 弾性押圧ブロック
621 弾性片 622 押圧ブロック
7 仮締めアセンブリ 71 仮締めねじ
72 ばね 73 第1の締め付けねじ
74 第2の締め付けねじ 75 ラッチ
8 熱伝導層
【発明を実施するための形態】
【0024】
この出願の目的、技術的ソリューション、及び利点をいっそう明瞭にするため、以下にて更に、添付の図面を参照してこの出願を詳細に説明する。
【0025】
以下の実施形態で用いられる用語は、単に特定の実施形態を記述することを意図したものであり、この出願を限定することを意図したものではない。この明細書及びこの出願の添付の請求項で用いられる単数形の“一”、“ある”、及び“この”なる用語は、文脈において別段の規定がない限り、例えば“1つ以上の”などの表現も含むことを意図している。
【0026】
この明細書に記載される“一実施形態”、“一部の実施形態”、又はこれらに類するものへの言及は、実施形態を参照して記載される特定の機構、構造、又は特性を、この出願の1つ以上の実施形態が含むことを意味する。従って、この明細書中の様々な箇所に現れる例えば“一実施形態において”、“一部の実施形態において”、“他の一部の実施形態において”、及び“他の実施形態において”などの記述は、必ずしも同じ実施形態に言及することを意味するわけではない。その代わりに、それらの記述は、別段の断りが具体的に強調されない限り、“実施形態のうち全てではないが1つ以上”を意味する。用語“含む”、“有する”、及びこれらの変形は全て、別段の断りが具体的に強調されない限り、“含むが、それに限定されない”を意味する。
【0027】
エレクトロニクス技術の発展に伴い、エレクトロニクス装置の中核コンポーネントとして用いられるダイ(die)の性能が当業者の注目を集めている。従来技術において、例えば携帯電話、コンピュータ、スマートウェアラブル装置、又はスマート家電などのエレクトロニクス装置内のチップは、内部にダイを有している。ダイの保護を改善するため、及びダイの通信を実装するために、通常、ダイを蓋付きパッケージ化チップ内に置き、そして、該パッケージ化チップを回路ボード上に取り付けてチップモジュールを形成する必要がある。図1は、従来技術におけるチップモジュールの構造の概略図である。このチップモジュールは、下部カバー1、回路ボード2、蓋付きパッケージ化チップ3、及び放熱器4を含んでいる。蓋付きパッケージ化チップ3が、下部カバー1に面しない側の回路ボード2の一方の面上に取り付けられ、回路ボード2に面しない側の蓋付きパッケージ化チップ3の一方の面上に放熱器4がプレスフィットされる。回路ボード2の一方の面の表面にスロット21が配置され、スロット21が蓋付きパッケージ化チップ3に接続される。スロット21内に弾性端子211が設けられる。回路ボード2上に配置されたスロット21内の弾性端子211に蓋付きパッケージ化チップ3の接続部(図には示していない)が接続されるように、放熱器4が蓋付きパッケージ化チップ3に圧力を印加する。このソリューションでは、回路ボード2のスロット21内の弾性端子211に蓋付きパッケージ化チップ3の接続部が確実に接続されるように、放熱器4が蓋付きパッケージ化チップ3の蓋31に圧力を印加し、該圧力が、蓋31の作用の下で、蓋付きパッケージ化チップ3の頂面全体にいっそう均等に印加され得る。蓋なしパッケージ化チップ5の登場に伴い、蓋なしパッケージ化チップ5は蓋31を持たず、且つ回路ボード2に面しない側の蓋なしパッケージ化チップ5の一方の面(又は頂面として参照する)の表面の平坦さが乏しいため、放熱器4の圧力を均等に分布させることができない。従って、放熱効果が乏しい又はダイ52がダメージを受けるという問題が生じる。故に、この出願は、蓋なしパッケージ化チップ5が回路ボード2のスロット21に確実に接続され、それにより、蓋なしパッケージ化チップ5の耐用年数を改善するような、チップモジュール及びエレクトロニクス装置を提供する。以下、この出願の技術的ソリューションを、添付の図面及び実施形態を参照して詳細に説明する。
【0028】
図2は、この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの構造の概略分解図である。図3は、この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの構造の概略断面図である。図2及び図3に示すように、当該チップモジュールは、回路ボード2、蓋なしパッケージ化チップ5、放熱器4、及び基板固定アセンブリ6を含んでいる。蓋なしパッケージ化チップ5は基板51及びダイ52を含む。ダイ52は基板51上でパッケージ化されている。蓋なしパッケージ化チップ5は回路ボード2に電気的に接続される。具体的には、回路ボード2上にスロット21が配置され、スロット21内に弾性端子211が設けられ、ダイ52に面しない側の基板51の一方の面が、ダイ52に電気的に接続された接続部を有し、そして、該接続部がスロット21内の弾性端子211に接続される。接続部はピンであってもよいし、パッドであってもよい。これは、この出願において特に限定されることではない。蓋なしパッケージ化チップ5と回路ボード2のスロット21との間の信頼性ある接続を実装するために、回路ボード2に向かう圧力がダイ52に印加されるように、回路ボード2に面しない側のダイ52の一方の面上に放熱器4がプレスフィットされる。回路ボード2に向かう圧力が基板51の外縁に印加されるように、ダイ52を避けて、回路ボード2に面しない側の基板51の一方の面の外縁に基板固定アセンブリ6がプレスフィットされる。換言すれば、基板固定アセンブリ6は、蓋なしパッケージ化チップ5のエッジに圧力を印加することで、蓋なしパッケージ化チップ5と回路ボード2のスロット21との間に均等な圧力が存在するようにし、蓋なしパッケージ化チップ5のエッジと回路ボード2のスロット21との間の接続が信頼性あるものとなる。このソリューションにおいて、チップモジュールは、良好な放熱効果を持つ蓋なしパッケージ化チップ5を有し、蓋なしパッケージ化チップ5を回路ボード2に確実に接続することができる。
【0029】
図4は、この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。図4を参照するに、蓋なしパッケージ化チップ5の構造的強度を向上させ、反りの程度を低減させるために、基板51上に更に補強リブ511(ring)が配置されている。補強リブ511は、ダイ52に面する側の基板51の一方の面上に位置し、すなわち、補強リブ51とダイ52とが基板51の同じ側に位置し、補強リブ511はダイ52の周りに配置される。基板固定アセンブリ6は、回路ボード2に面しない側の補強リブ511の一方の面上にプレスフィットされ得る。このソリューションは、基板51の強度を向上させることができるだけでなく、基板固定アセンブリ6が基板51に直接固定されることを防ぎ、それにより基板51へのダメージを抑制することもできる。
【0030】
特定の一技術的ソリューションにおいて、ダイ52と放熱器4との間の熱伝導性を改善し、蓋なしパッケージ化チップ5の放熱効果を改善するために、放熱器4とダイ52との間に熱伝導層が配置され得る。具体的に、熱伝導層は、相変化材料層、炭素繊維層、グラファイト層、又はこれらに類するものとし得る。これは、この出願において特に限定されることではない。
【0031】
図5図7は、この出願の一実施形態に従った蓋なしパッケージ化チップ5の補強リブ511のレイアウトの概略図である。図5図7を参照されたい。補強リブ511の具体的な構造は限定されるものではない。補強リブ511はリングである。図5に示すように、補強リブ511は円形リング補強リブであり、該円形リング補強リブがダイ52の外縁側に配置される。図6に示すように、補強リブ511は方形リング補強リブであり、該方形リング補強リブがダイ52の外縁側に配置される。図7に示すように、補強リブ511は、ダイ52の外縁側で分散された複数の補強リブ部分パーツを更に含んでもよい。
【0032】
なおも図3を参照するに、放熱器4とダイ52との間の圧力はF1であり、基板固定アセンブリ6と基板51との間の圧力はF2であり、F1及びF2は、F1>F2を満たす。通常、蓋なしパッケージ化チップ5の製造時に、ダイ52を基板51上でパッケージ化する必要があるため、パッケージ化の後の蓋なしパッケージ化チップ5には泣き反りを持ち、すなわち、蓋なしパッケージ化チップ5は、基板51からダイ52への向きに突出する反りを持つ。放熱器4とダイ52との間の圧力F1において、力の一部が反りを補正するのに用いられ、別の一部が、ダイ52に対向する蓋なしパッケージ化チップ5の領域を回路ボード2の方に押し、その結果、F1がF2より大きくなる。この場合、蓋なしパッケージ化チップ5と回路ボード2のスロット21との間に均等な圧力が存在し得る。従って、蓋なしパッケージ化チップ5と回路ボード2との間の接続の信頼性が向上する。
【0033】
チップモジュールの特定の一設計において、放熱器4とダイ52との間の圧力がF1であり、且つ基板固定アセンブリ6と基板51との間の圧力がF2であるとき、F1:F2を3:2以上にすることが可能である。本発明者らが多数の実験及びシミュレーションを行って確認したことには、F1とF2が上述の比を満たすとき、実装効果が良好となることができ、蓋なしパッケージ化チップ5と回路ボード2との間の圧力が均等となる。
【0034】
図4及び図8を参照するに、図8は、放熱器4が取り外された後のチップモジュールの構造の概略上面図である。具体的に基板固定アセンブリ6が配置されるとき、基板固定アセンブリ6を上部カバー61としてもよい。上部カバー61は中空構造611を持ち、それにより、蓋なしパッケージ化チップ5のダイ52を避ける。また、上部カバー61は基板51接触して基板51に圧力を印加する。放熱器4がダイ52に圧力を印加することができるように、中空構造611を用いて放熱器4がダイ52と接触する。具体的に放熱器4が製造されるとき、放熱器4は、回路ボード2に向かう方向に突起を持つことができ、該突起が中空構造611を通り抜けてダイ52と接触し得る。蓋なしパッケージ化チップ5のダイ52と基板51とに別々に圧力が印加され、ダイ52と基板51との間の公差を吸収することができる。従って、蓋なしパッケージ化チップ5と回路ボード2との間の電気接続の信頼性が向上する。確かなことには、特定の一技術的ソリューションにおいて、放熱器4が中空構造611を通ってダイ52と接触し得る。あるいは、ダイ52が中空構造611を通って放熱器4と接触してもよい。あるいは、放熱器4とダイ52との間の接触領域が中空構造611内に位置する。
【0035】
具体的に上部カバー61が配置されるとき、上部カバー61の具体的な構造は限定されるものではない。例えば、上部カバー61は、一体構造を持つ一体に形成された上部カバー61とし得る。あるいは、上部カバー61は複数のサブカバー部分を含んでいてもよく、上部カバー61は、該複数のサブカバー部分を繋ぎ合わせることによって形成され得る。
【0036】
図9は、この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの構造の概略図である。チップモジュールを実装するために、チップモジュールの上部カバー61と下部カバー1との間に仮締めアセンブリ7を配置することができ、仮締めアセンブリ7は、上部カバー61に、下部カバー1に近づいていく傾向を持たせて、その後の実装操作を容易にすることができる。具体的には、基板51側への上部カバー61の圧力の値を容易に調節することができる。
【0037】
具体的に仮締めアセンブリ7が配置されるとき、仮締めアセンブリ7は、仮締めネジ71と、仮締めネジ71の外側にスリーブされたばね72とを含むことができ、仮締めねじ71は、上部カバー61と下部カバー1とを仮接続するのみである。具体的には、蓋なしパッケージ化チップ5の基板51の接続部が、スロット21内の弾性端子211と接触できなかったり、スロット21内の弾性端子211と非接触であったりしてもよい。要するに、接続部はスロット21内の弾性端子211に完全には固定されていない。仮締めねじ71の外側にばね72がスリーブされているので、仮締めねじ71のトルクを制御することによって、上部カバー61と下部カバー1との間の接続する力F3が制御される。接続する力F3、放熱器4とダイ52との間の圧力F1、及び基板固定アセンブリ6と基板51との間の圧力F2は、次の関係:F3<F2<F1を満たす。このソリューションは、大きいサイズのチップモジュールの実装に有利である。
【0038】
具体的にばねが配置されるとき、ばねは仮締めばね(ねじりばね)とすることができ、すなわち、トルクが予め設定された後に、仮締めばね付きの仮締めねじが、上部カバー及び下部カバーに取り付けられ接続される。この場合、必要な接続する力F3が上部カバーと下部カバーとの間に存在することができる。このソリューションの実装プロセスは単純である。あるいは、ばねは一般的な圧縮ばねであってもよく、仮締めねじは、仮締めねじの取り付け時にトルクスクリュードライバを用いて取り付けられる。トルクスクリュードライバのトルクが要件を満たすとき、上部カバーと下部カバーとの間に必要な接続する力F3が存在する。このソリューションでは、ばねのコストが低い。あるいは、ばねが一般的な圧縮ばねである場合、ばねの圧縮ストロークを制御することによって接続する力F3を制御し得るが、このソリューションの精度は低い。
【0039】
他の特定の一実施形態において、仮締めアセンブリ7は更に、例えば弾性金属又は弾性フックなどの構造を含み得る。詳細をこの出願で説明することはしない。
【0040】
図10は、この出願の一実施形態に従ったスロット21の構造の部分概略図である。スロット21は弾性端子211及び制限ブロック212を含んでいる。図4を参照するに、制限ブロック212は、蓋なしパッケージ化チップ5に向かう向きに蓋なしパッケージ化チップ5を制限する。制限ブロック212と弾性端子211との間の大きさ関係を適切に設定することにより、蓋なしパッケージ化チップ5の基板51が制限ブロック212と接触するときに、基板51の接続部が弾性端子211に確実に接続され、弾性端子211の弾性が損なわれることがない。従って、電気接続の信頼性及びチップモジュールの耐用年数が向上する。
【0041】
なおも図9を参照するに、上部カバー61が基板51に指定圧力F2を印加するように、第1の締め付けねじ73を用いて上部カバー61と下部カバー1とが接続され得る。第1の締め付けねじ73の外側にばね72がスリーブされており、ばね72は圧縮状態にある。該ばねは、基板51を回路ボード2の方に押すことができるように、上部カバー61を基板51の方に押すための圧力を提供し得る。具体的には、第1の締め付けねじ73の取り付け時に、第1の締め付けねじ73のトルクに基づいて、上部カバー61によって基板51に印加される圧力F2の値が決まり得る。換言すれば、第1の締め付けねじ73に印加する必要があるトルクは、製品要求を満たすために上部カバー61が基板51に印加する必要がある圧力F2に基づいて決定され得る。第1の締め付けねじ73の取り付け後、蓋なしパッケージ化チップ5は回路ボード2の制限ブロック212と接触しており、接続部が弾性端子211に確実に接続されている。
【0042】
放熱器4が取り付けられるとき、放熱器4は上部カバー61に接続されることができ、あるいは、放熱器4は下部カバー1に接続されることができる。これは、この出願において限定されることではない。ただし、具体的に放熱器4が取り付けられるとき、放熱器4は、第2の締め付けねじ74を用いて上部カバー61又は下部カバー1に接続され得る。第2の締め付けねじ74の外側にもばね72がスリーブされており、該ばねは圧縮状態にある。該ばねは、ダイ52が回路ボードの方に押されるように、放熱器4をダイ52の方に押すための圧力を提供し得る。具体的には、第2の締め付けねじの取り付け時に、第2の締め付けねじ74のトルクを調節することにより、放熱器4によってダイ52に印加される圧力F1の値が決定され得る。換言すれば、第2の締め付けねじ74に印加する必要があるトルクは、放熱器4がダイ52に印加する必要がある圧力F1に基づいて決定され得る。
【0043】
具体的に第1の締め付けねじの外側のばね及び第2の締め付けねじの外側のばねが配置されるとき、これらのばねは仮締めばね(ねじりばね)とすることができ、すなわち、トルクが予め設定された後に、仮締めばね付きの仮締めねじが取り付けられ、指定の圧力が形成され得る。このソリューションの実装プロセスは単純である。あるいは、ばねは一般的な圧縮ばねであってもよく、ねじは、ねじの取り付け時にトルクスクリュードライバを用いて取り付けられる。トルクスクリュードライバのトルクが要件を満たすと取り付けが完了する。このソリューションでは、ばねのコストが低い。あるいは、ばねが一般的な圧縮ばねである場合、ばねの圧縮ストロークを制御することによって圧力を制御し得るが、このソリューションの精度は低い。
【0044】
図11は、この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの部分断面図である。下部カバー1に更に複数のラッチ75が固定されており、ラッチ75が放熱器4のエッジの突起とクランプされることで、放熱器4を仮実装することができる。具体的には、放熱器4と下部カバー1が安定を保って傾きにくくなるように、下部カバー1の外縁側に均等に複数のラッチ75が配置され得る。斯くして、放熱器4の応力集中の影響によってダイ52がダメージを受けることが防止され、チップモジュールの耐用年数が向上する。特に、放熱器4は、上部カバー61と下部カバー1が仮実装された後に取り付けられ得る。この場合、ラッチ75を用いて放熱器4が下部カバー1に仮固定されるので、ある方向に第2の締め付けねじ74を取り付けるときに、その後に放熱器4が取り付けられるときの方向とは逆方向に、放熱器4が固定構造の欠如のために傾くことが起こりにくい。このソリューションは、大きいサイズのチップモジュールの実装に有利である。
【0045】
図12は、この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。図4を参照して、図12を参照するに、下部カバー1は、予め曲げられた下部カバー1である。予め曲げられた下部カバーが自然状態にあるとき、予め曲げられた下部カバー1のエッジは回路ボード2から遠ざかる方向に曲がる。換言すれば、実装されていないとき、下部カバー1は図12に示すように曲がった形状にある。このソリューションでは、蓋なしパッケージ化チップ5が回路ボード2に取り付けられた後に、ダイ52が位置する領域が回路ボード2に向かって変形する傾向がある。実装が完了した後、予め曲げられた下部カバー1は、蓋なしパッケージ化チップ5の上述の変形傾向を打ち消すことができ、その結果、図4に示したようにチップモジュールは平坦な状態のままとなる。これは、蓋なしパッケージ化チップ5と回路ボード2のスロット21との間の接続の信頼性を改善する助けとなる。
【0046】
図13は、この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。具体的には、図13は、下部カバーを実装されていない状態での構造的状態を示している。下部カバー1はI字形の下部カバーとし得る。具体的には、I字形下部カバーは、上部プレート11、下部プレート12、及び挟み込みブロック13を含む。挟み込みブロック13は、上部プレート11と下部プレート12との間に位置し、具体的には上部プレート11と下部プレート12との間の中央領域に位置し得る。このソリューションでは、蓋なしパッケージ化チップ5が回路ボード2に取り付けられた後に、ダイ52が位置する領域が回路ボード2に向かって変形する傾向がある。図14は、この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。具体的には、図14は、下部カバーが実装されている状態での構造的状態を示している。下部カバー1が実装された後、上部プレート11のエッジ領域と下部プレート12のエッジ領域が互いに近づくように、ねじを用いてI字形下部カバーの外縁側が締め付けられる。この場合、挟み込みブロック13の領域が隆起し、これは、蓋なしパッケージ化チップ5の上述の変形傾向を打ち消すことができ、その結果、図14に示すようにチップモジュールは平坦な状態のままとなる。これは、蓋なしパッケージ化チップ5と回路ボード2のスロット21との間の接続の信頼性を改善する助けとなる。
【0047】
図15は、この出願の一実施形態に従った上部カバーの構造の概略図である。図4を参照するに、上部カバー61に更に複数の弾性金属612を配置してもよく、上部カバー61の弾性金属612が基板51上にプレスフィットされる。弾性金属612は、基板51を回路ボード2の方に押す圧力を提供し得る。このソリューションでは、弾性金属612の弾性力を用いて、上部カバー61と基板51との間の圧力F2を調節することができる。このソリューションでは、弾性金属612の具体的な位置及び弾性性能を調節することによって、蓋なしパッケージ化チップ5に対する上部カバー61の圧力が正確に制御され得る。図16は、弾性金属とばねの機械的特性のカーブの図である。ばねの弾性力とばねの変形量との間には線形の成長関係がある。ばねの変形量が大きいほど、ばねの弾性力が強くなる。弾性金属の弾性力と弾性金属の変形量との間の関係は、最初はおおよそ線形の成長関係である。弾性金属の変形量がある値に達すると、弾性金属の弾性力は不変になる傾向があり、大きくは増加しない。この出願の技術的ソリューションにおいて、第1の締め付けねじ73の外側にスリーブされたばねと比較して、弾性金属612は信頼性ある構造及びいっそう高い適応性を持ち、基板51に対する上部カバー61の過圧が発生しにくい。
【0048】
図17は、この出願の一実施形態に従った上部カバー61の別の構造の概略図である。他の一技術的ソリューションにおいて、上部カバー61は更にブラケット613及び押圧金属614を含んでいてもよく、ブラケット613が下部カバー1に固定的に接続される。押圧金属614とブラケット613との間にばねセット615が接続され、ばねセット615の圧力の下で押圧金属614が基板51上にプレスフィットされる。ばねセット615の弾性力を調節することによって、上部カバー61と基板51との間の圧力F2が調節される。
【0049】
図18は、この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。チップモジュールの放熱能力を向上させるために、放熱器4に面する上部カバー61の表面及び放熱器4に面しない側の上部カバー61の表面の両方に熱伝導層8が設けられる。従って、蓋なしパッケージ化チップ5の基板51の熱を、熱伝導層8及び上部カバー61を通じて放熱器に伝達することができ、その結果、蓋なしパッケージ化チップ5の放熱効果が向上する。
【0050】
さらに、チップモジュールが下部カバー1の方向にも放熱を行うことができるように、回路ボード2と下部カバー1との間にも熱伝導層8を配置してもよい。この場合、チップモジュールの全体的な放熱能力が高く、これはチップモジュールの動作効率を向上させる助けとなる。
【0051】
熱伝導層8は具体的に金属層又はグラファイト層とし得る。これは、この出願において限定されることではない。熱伝導層8は、一体構造であってもよいし、全体として熱伝導層8を形成する複数のサブパーツを含んでいてもよい。
【0052】
図19は、この出願の一実施形態に従ったチップモジュールの別の構造の概略断面図である。この出願の他の一実施形態において、基板固定アセンブリ6は複数の弾性押圧ブロック62であってもよく、弾性押圧ブロック62は放熱器4に取り付けられる。放熱器4は収容溝41を含み、収容溝41の中に弾性押圧ブロック62が配置される。具体的には、弾性押圧ブロック62は弾性片621及び押圧ブロック622を含み、押圧ブロック622が弾性片621と基板51との間に配置される。具体的には、弾性片621はばねとすることができ、複数の弾性押圧ブロック62が、蓋なしパッケージ化チップ5のダイ52を避けて基板51の外縁側にプレスフィットされて、基板51に圧力F2を印加することで、蓋なしパッケージ化チップ5が回路ボード2のスロット21に確実に接続される。このソリューションでは、チップモジュールの構造が単純である。放熱器4が取り付けられるとき、先ず、放熱器4が下部カバー1に固定され、次いで、弾性押圧ブロック62の弾性力が調節される。
【0053】
以上の説明は、単にこの出願の特定の実装に過ぎず、この出願の保護範囲を限定することは意図していない。この出願に開示された技術範囲内で当業者が容易に考え付く如何なる変形又は置き換えも、この出願の保護範囲に入るものである。従って、この出願の保護範囲は請求項の保護範囲に従うものである。
図1
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