(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】電圧調整装置、チップ、電源及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
H02M3/155 K
(21)【出願番号】P 2022569590
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(86)【国際出願番号】 CN2021091044
(87)【国際公開番号】W WO2021238571
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】202010477007.8
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522445114
【氏名又は名称】チップワン テクノロジー(ベイジン)カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】チン ニン
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106787626(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110518799(CN,A)
【文献】特開平10-323028(JP,A)
【文献】特開平01-110057(JP,A)
【文献】特開2014-207741(JP,A)
【文献】特開平11-168874(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0262107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を受けるための電圧入力モジュールと、
前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記入力電圧及び前記入力電圧と直前のタイミングの入力電圧との変化量に基づいて調整電流を決定するための電流決定モジュールと、
前記電流決定モジュールに電気的に接続され、前記調整電流に基づいて制御信号を出力するための制御モジュールと、
前記電圧入力モジュール、前記電流決定モジュール及び前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号及び前記入力電圧に基づいて目標電圧を出力するための電圧出力モジュールと、を含
み、
前記調整電流は、第2の調整電流を含み、前記電流決定モジュールは、前記第2の調整電流を決定するための第2の決定手段を含み、前記第2の決定手段は、電流検出サブ手段と、乗算サブ手段と、電流決定サブ手段とを含み、
前記電流検出サブ手段は、前記電圧出力モジュールに電気的に接続され、負荷電流を検出し、前記負荷電流に基づいて検出電圧を得るために用いられ、
前記乗算サブ手段は、前記電流検出サブ手段及び前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記入力電圧と前記検出電圧を乗算して中間電圧を得るために用いられ、
前記電流決定サブ手段は、前記乗算サブ手段に電気的に接続され、前記中間電圧に基づいて前記第2の調整電流を決定するために用いられることを特徴とする電圧調整装置。
【請求項2】
前記調整電流は、第1の調整電流を含み、前記電流決定モジュールは、前記第1の調整電流を決定するための第1の決定手段を含み、
前記第1の決定手段は、第1のオペアンプと、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、第5のトランジスタと、第1の抵抗とを含み、
前記第1のオペアンプのプラス入力端は、前記入力電圧を受けるために用いられ、前記第1のオペアンプのマイナス入力端は、前記第1のトランジスタのソース及び前記第1の抵抗の第1端に電気的に接続され、前記第1のオペアンプの出力端は、前記第1のトランジスタのゲートに電気的に接続され、前記第1の抵抗の第2端は、接地され、
前記第1のトランジスタのドレインは、前記第2のトランジスタのドレイン、前記第2のトランジスタのゲート及び前記第3のトランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及び前記第3のトランジスタのソースは、電源電圧を受けるために用いられ、
前記第3のトランジスタのドレインは、前記第4のトランジスタのドレイン、前記第4のトランジスタのゲート及び前記第5のトランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース及び前記第5のトランジスタのソースは、接地され、
前記第5のトランジスタのドレインは、前記第1の調整電流を出力するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の電圧調整装置。
【請求項3】
前記電流検出サブ手段は、第6のトランジスタと、第7のトランジスタと、第2のオペアンプと、第2の抵抗と、第1のコンデンサとを含み、
前記第6のトランジスタのゲートは、前記制御信号を受けるために用いられ、前記第6のトランジスタのドレインは、前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記第6のトランジスタのソースは、前記第2のオペアンプのプラス入力端及び前記第7のトランジスタのドレインに電気的に接続され、
前記第2のオペアンプのマイナス入力端は、前記電圧出力モジュールに電気的に接続され、前記第2のオペアンプの出力端は、前記第7のトランジスタのゲートに電気的に接続され、前記第7のトランジスタのソースは、前記第2の抵抗の第1端及び前記第1のコンデンサの第1端に電気的に接続され、
前記第2の抵抗の第2端及び前記第1のコンデンサの第2端は、接地され、
前記第2の抵抗の第1端は、前記検出電圧を出力するために用いられることを特徴とする請求項
1又は2に記載の電圧調整装置。
【請求項4】
前記電圧出力モジュールは、第8のトランジスタと、第9のトランジスタと、第10のトランジスタと、第11のトランジスタと、第3のオペアンプと、第3の抵抗と、第4の抵抗と、第2のコンデンサとを含み、
前記第8のトランジスタのゲートは、前記第6のトランジスタのゲート、前記第10のトランジスタのゲート及び前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号を受けるために用いられ、
前記第8のトランジスタのドレインは、前記第9のトランジスタのドレイン、前記第6のトランジスタのドレイン、前記第10のトランジスタのドレイン及び前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、
前記第8のトランジスタのソースは、前記第3のオペアンプのマイナス入力端、前記第2のオペアンプのマイナス入力端、前記第3の抵抗の第1端及び前記第2のコンデンサの第1端に電気的に接続され、前記第3の抵抗の第2端は、前記制御モジュール及び前記第4の抵抗の第1端に電気的に接続され、前記第4の抵抗の第2端は、接地され、前記第2のコンデンサの第2端は、接地され、
前記第9のトランジスタのゲートは、前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号を受けるために用いられ、前記第9のトランジスタのソースは、接地され、
前記第3のオペアンプのプラス入力端は、前記第10のトランジスタのソース及び前記第11のトランジスタのドレインに電気的に接続され、前記第3のオペアンプの出力端は、前記第11のトランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第11のトランジスタのソースは、前記電流決定モジュール及び前記制御モジュールに電気的に接続され、
前記第3の抵抗の第1端は、前記目標電圧を出力するために用いられることを特徴とする請求項
3に記載の電圧調整装置。
【請求項5】
前記電圧入力モジュールは、入力コンデンサと、入力インダクタとを含み、
前記入力コンデンサの第1端は、前記入力インダクタの第1端に電気的に接続され、前記入力電圧を受けるために用いられ、前記入力コンデンサの第2端は、接地され、
前記入力インダクタの第2端は、前記第9のトランジスタのドレイン、前記第8のトランジスタのドレイン、前記第6のトランジスタのドレイン及び前記第10のトランジスタのドレインに電気的に接続されることを特徴とする請求項
4に記載の電圧調整装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の電圧調整装置を含むことを特徴とするチップ。
【請求項7】
請求項
6に記載のチップを含むことを特徴とする電源。
【請求項8】
請求項
7に記載の電源を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
前記電子機器は、ディスプレイ、スマートフォン又は携帯機器を含むことを特徴とする請求項
8に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集積回路の分野に関し、特に電圧調整装置、チップ、電源及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
AMOLED(Active-matrix organic light-emitting diode、アクティブマトリクス有機発光ダイオード)の電源駆動管理チップでは、以下のようなTDMA(Time division multiple access、時分割多重アクセス)テスト要求がある。すなわち、入力電源は、一定の時間ごとに干渉を受け、上又は下へ10μS以内で500mVジャンプし、且つ500mVのジャンプは少なくとも500μSの間継続する。このような干渉が発生すると、DC-DCのBoostアーキテクチャに対する出力には必ずovershoot(オーバーシュート)やundershoot(アンダーシュート)が生じ、このような外乱は、200mA以内の負荷の場合には20mV未満であり、1A以内の負荷の場合には60mV未満であることが求められる。
【0003】
しかしながら、関連技術では、入力電源に外乱が発生した場合に、その変化に迅速に追従できず、しばしば出力電圧にオーバーシュートやアンダーシュートなどの外乱が生じてしまい、出力電圧が不安定になる。
【発明の概要】
【0004】
これに鑑みて、本開示は、
入力電圧を受けるための電圧入力モジュールと、
前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記入力電圧及び前記入力電圧と直前のタイミングの入力電圧との変化量に基づいて調整電流を決定するための電流決定モジュールと、
前記電流決定モジュールに電気的に接続され、前記調整電流に基づいて制御信号を出力するための制御モジュールと、
前記電圧入力モジュール、前記電流決定モジュール及び前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号及び前記入力電圧に基づいて目標電圧を出力するための電圧出力モジュールと、を含む電圧調整装置を提供する。
【0005】
可能な一実施形態では、前記調整電流は、第1の調整電流を含み、前記電流決定モジュールは、前記第1の調整電流を決定するための第1の決定手段を含み、
前記第1の決定手段は、第1のオペアンプと、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、第5のトランジスタと、第1の抵抗とを含み、
前記第1のオペアンプのプラス入力端は、前記入力電圧を受けるために用いられ、前記第1のオペアンプのマイナス入力端は、前記第1のトランジスタのソース及び前記第1の抵抗の第1端に電気的に接続され、前記第1のオペアンプの出力端は、前記第1のトランジスタのゲートに電気的に接続され、前記第1の抵抗の第2端は、接地され、
前記第1のトランジスタのドレインは、前記第2のトランジスタのドレイン、前記第2のトランジスタのゲート及び前記第3のトランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及び前記第3のトランジスタのソースは、電源電圧を受けるために用いられ、
前記第3のトランジスタのドレインは、前記第4のトランジスタのドレイン、前記第4のトランジスタのゲート及び前記第5のトランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース及び前記第5のトランジスタのソースは、接地され、
前記第5のトランジスタのドレインは、前記第1の調整電流を出力するために用いられる。
【0006】
可能な一実施形態では、前記調整電流は、第2の調整電流を含み、前記電流決定モジュールは、前記第2の調整電流を決定するための第2の決定手段を含み、前記第2の決定手段は、電流検出サブ手段と、乗算サブ手段と、電流決定サブ手段とを含み、
前記電流検出サブ手段は、前記電圧出力モジュールに電気的に接続され、負荷電流を検出し、前記負荷電流に基づいて検出電圧を得るために用いられ、
前記乗算サブ手段は、前記電流検出サブ手段及び前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記入力電圧と前記検出電圧を乗算して中間電圧を得るために用いられ、
前記電流決定サブ手段は、前記乗算サブ手段に電気的に接続され、前記中間電圧に基づいて前記第2の調整電流を決定するために用いられる。
【0007】
可能な一実施形態では、前記電流検出サブ手段は、第6のトランジスタと、第7のトランジスタと、第2のオペアンプと、第2の抵抗と、第1のコンデンサとを含み、
前記第6のトランジスタのゲートは、前記制御信号を受けるために用いられ、前記第6のトランジスタのドレインは、前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記第6のトランジスタのソースは、前記第2のオペアンプのプラス入力端及び前記第7のトランジスタのドレインに電気的に接続され、
前記第2のオペアンプのマイナス入力端は、前記電圧出力モジュールに電気的に接続され、前記第2のオペアンプの出力端は、前記第7のトランジスタのゲートに電気的に接続され、前記第7のトランジスタのソースは、前記第2の抵抗の第1端及び前記第1のコンデンサの第1端に電気的に接続され、
前記第2の抵抗の第2端及び前記第1のコンデンサの第2端は、接地され、
前記第2の抵抗の第1端は、前記検出電圧を出力するために用いられる。
【0008】
可能な一実施形態では、前記電圧出力モジュールは、第8のトランジスタと、第9のトランジスタと、第10のトランジスタと、第11のトランジスタと、第3のオペアンプと、第3の抵抗と、第4の抵抗と、第2のコンデンサとを含み、
前記第8のトランジスタのゲートは、前記第6のトランジスタのゲート、前記第10のトランジスタのゲート及び前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号を受けるために用いられ、
前記第8のトランジスタのドレインは、前記第9のトランジスタのドレイン、前記第6のトランジスタのドレイン、前記第10のトランジスタのドレイン及び前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、
前記第8のトランジスタのソースは、前記第3のオペアンプのマイナス入力端、前記第2のオペアンプのマイナス入力端、前記第3の抵抗の第1端及び前記第2のコンデンサの第1端に電気的に接続され、前記第3の抵抗の第2端は、前記制御モジュール及び前記第4の抵抗の第1端に電気的に接続され、前記第4の抵抗の第2端は、接地され、前記第2のコンデンサの第2端は、接地され、
前記第9のトランジスタのゲートは、前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号を受けるために用いられ、前記第9のトランジスタのソースは、接地され、
前記第3のオペアンプのプラス入力端は、前記第10のトランジスタのソース及び前記第11のトランジスタのドレインに電気的に接続され、前記第3のオペアンプの出力端は、前記第11のトランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第11のトランジスタのソースは、前記電流決定モジュール及び前記制御モジュールに電気的に接続され、
前記第3の抵抗の第1端は、前記目標電圧を出力するために用いられる。
【0009】
可能な一実施形態では、前記電圧入力モジュールは、入力コンデンサと、入力インダクタとを含み、
前記入力コンデンサの第1端は、前記入力インダクタの第1端に電気的に接続され、前記入力電圧を受けるために用いられ、前記入力コンデンサの第2端は、接地され、
前記入力インダクタの第2端は、前記第9のトランジスタのドレイン、前記第8のトランジスタのドレイン、前記第6のトランジスタのドレイン及び前記第10のトランジスタのドレインに電気的に接続される。
【0010】
本開示の一態様によれば、前記電圧調整装置を含むチップを提供する。
【0011】
本開示の一態様によれば、前記チップを含む電源を提供する。
【0012】
本開示の一態様によれば、前記電源を含む前記電子機器を提供する。
【0013】
可能な一実施形態では、前記電子機器は、ディスプレイ、スマートフォンまたは携帯機器を含む。
【0014】
以上の装置により、本開示の実施例では、電流決定モジュールにより前記入力電圧及び前記入力電圧と直前のタイミングの入力電圧との変化量に基づいて調整電流を決定し、入力電圧が変化すれば、電流決定モジュールは、迅速に応答して調整電流を制御モジュールに出力して、制御信号を発生させることができ、電圧出力モジュールは、制御信号に基づいて安定した目標電圧を出力することができ、過剰なオーバーシュートやアンダーシュート現象が発生することはない。本開示による電圧調整装置によれば、安定した目標電圧を出力することができ、入力電圧の変化に迅速に応答することができ、信頼的で安定的である特徴がある。
【0015】
以下、例示的な実施例について図面を参照しつつ詳細に説明することによって、本開示の他の特徴及び態様は、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
明細書に含まれ、明細書の一部となる図面は、明細書と共に、本出願の例示的な実施例、特徴及び態様を示すものであって、本開示の原理を説明するものである。
【
図1】本開示の一実施形態による電圧調整装置の模式図を示す。
【
図2】本開示の一実施形態による電圧調整装置の模式図を示す。
【
図3】本開示の一実施形態による第1の決定手段の模式図を示す。
【
図4】関連技術によるDC-DCアーキテクチャにおける電圧変化の模式図を示す。
【
図5】本開示の一実施形態による電圧調整装置における電圧変化の模式図を示す。
【
図6】第2の決定手段を採用していない場合の電圧調整装置における電圧変化の模式図を示す。
【
図7】第2の決定手段を採用する場合の電圧調整装置における電圧変化の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本開示による様々な例示的な実施例、特徴及び態様について図面を参照しつつ詳細に説明する。図面において、同じ符号は、機能が同じまたは類似する要素を示す。図面には実施例の様々な態様が示されているが、特に明記されていない限り、図面は、必ずしも原寸に比例しているとは限らない。
【0018】
ここでの用語「例示的」とは、「例、実施例として用いられることまたは説明的なもの」を意味する。ここで「例示的」に説明されるいかなる実施例は、必ずしも他の実施例より好ましいまたは優れたものであると解釈されるとは限らない。
【0019】
また、本開示をより良く説明するために、以下の具体的な実施形態において、多くの具体的な細部が示されている。当業者であれば、何らかの具体的な細部がなくても、本開示は同様に実施できることを理解すべきである。いくつかの実例において、本開示の主旨を強調するために、当業者によく知られている方法、手段、要素、および回路については、詳細に説明されていない。
【0020】
図1を参照すると、
図1には本開示の一実施形態による電圧調整装置の模式図が示されている。
【0021】
図1に示すように、前記電圧調整装置は、
入力電圧を受けるための電圧入力モジュール10と、
前記電圧入力モジュール10に電気的に接続され、前記入力電圧及び前記入力電圧と直前のタイミングの入力電圧との変化量に基づいて調整電流を決定するための電流決定モジュール20と、
前記電流決定モジュール20に電気的に接続され、前記調整電流に基づいて制御信号を出力するための制御モジュール30と、
前記電圧入力モジュール10、前記電流決定モジュール20及び前記制御モジュール30に電気的に接続され、前記制御信号及び前記入力電圧に基づいて目標電圧を出力するための電圧出力モジュール40と、を含む。
【0022】
以上の装置により、本開示の実施例では、電流決定モジュールにより前記入力電圧及び前記入力電圧と直前のタイミングの入力電圧との変化量に基づいて調整電流を決定し、入力電圧が変化すれば、電流決定モジュールは、迅速に応答して調整電流を制御モジュールに出力して、制御信号を発生させることができ、電圧出力モジュールは、制御信号に基づいて安定した目標電圧を出力することができ、過剰なオーバーシュートやアンダーシュート現象が発生することはない。本開示による電圧調整装置によれば、安定した目標電圧を出力することができ、入力電圧の変化に迅速に応答することができ、信頼的で安定的である特徴がある。
【0023】
本開示による電圧調整装置は、DC-DC変換回路(直流-直流変換回路)を含んでもよく、入力された直流電圧に基づいて、安定的で確実な目標電圧を出力することができる。
【0024】
図2を参照すると、
図2には本開示の一実施形態による電圧調整装置の模式図が示されている。
【0025】
可能な一実施形態では、
図2に示すように、前記調整電流は、第1の調整電流Isink1を含んでもよく、前記電流決定モジュール20は、前記第1の調整電流を決定するための第1の決定手段210を含んでもよい。
【0026】
図3を併せて参照すると、
図3には本開示による一実施形態の第1の決定手段の模式図が示されている。
【0027】
可能な一実施形態では、
図3に示すように、前記第1の決定手段は、第1のオペアンプOP1と、第1のトランジスタQ1と、第2のトランジスタQ2と、第3のトランジスタQ3と、第4のトランジスタQ4と、第5のトランジスタQ5と、第1の抵抗R1とを含み、
前記第1のオペアンプOP1のプラス入力端は、前記入力電圧Vinを受けるために用いられ、前記第1のオペアンプOP1のマイナス入力端は、前記第1のトランジスタQ1のソース及び前記第1の抵抗の第1端に電気的に接続され、前記第1のオペアンプOP1の出力端は、前記第1のトランジスタQ1のゲートに電気的に接続され、前記第1の抵抗R1の第2端は、接地され、
前記第1のトランジスタQ1のドレインは、前記第2のトランジスタQ2の
ドレイン、前記第2のトランジスタQ2のゲート及び前記第3のトランジスタQ3のゲートに電気的に接続され、
前記第2のトランジスタQ2の
ソース及び前記第3のトランジスタQ3の
ソースは、電源電圧Vddを受けるために用いられ、
前記第3のトランジスタQ3の
ドレインは、前記第4のトランジスタQ4の
ドレイン、前記第4のトランジスタQ4のゲート及び前記第5のトランジスタQ5のゲートに電気的に接続され、
前記第4のトランジスタQ4のソース及び前記第5のトランジスタQ5のソースは、接地され、
前記第5のトランジスタQ5のドレインは、前記第1の調整電流Isink1を出力するために用いられる。
【0028】
以上の装置により、本開示の実施例では、第1の決定手段により入力電圧の変化に応答して第1の調整電流Isink1を決定して、入力電圧の変化を補償し、制御信号を発生させることによって、出力電圧を安定化することができ、入力電圧の変化時に、出力電圧の変動性を低減することができる。
【0029】
一例では、Vinが△Vin分変化した時、Vinが第1の決定手段に入力されると、第1の決定手段により第1の調整電流Isink1の変化を△Isink1=gm1*△Vinと決定するようにしてもよい。ただし、gm1は予め設定された調整パラメータを示し、Vinは入力電圧を示し、「*」は乗算処理を示す。
【0030】
このように、第1の調整電流が制御モジュールに入力されると、制御モジュールは、第1の調整電流を用いて入力電圧の変化を補償し、制御信号を発生することによって、出力電圧の大きさを適応的に調整することができるので、出力電圧の変動は小さくなる。
【0031】
なお、本開示の実施例では、gm1の具体的な大きさについて限定せず、当業者は、必要に応じてシミュレーションによって決めることができる。
【0032】
引き続き
図2を参照すると、可能な一実施形態では、
図2に示すように、前記調整電流は、第2の調整電流Isink2を含んでもよく、前記電流決定モジュール
20は、前記第2の調整電流を決定するための第2の決定手段を含んでもよく、前記第2の決定手段は、電流検出サブ手段220と、乗算サブ手段230と、電流決定サブ手段240とを含んでもよい。
【0033】
ここで、前記電流検出サブ手段220は、前記電圧出力モジュールに電気的に接続され、負荷電流を検出し、前記負荷電流に基づいて検出電圧Vctrlを得るために用いられ、
前記乗算サブ手段230は、前記電流検出サブ手段及び前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記入力電圧Vinと前記検出電圧Vctrlを乗算して中間電圧を得るために用いられ、
前記電流決定サブ手段240は、前記乗算サブ手段230に電気的に接続され、前記中間電圧に基づいて前記第2の調整電流Isink2を決定するために用いられる。
【0034】
以上の装置により、本開示の実施例では、入力電圧の変化に応答して制御信号を制御することによって、出力電圧を安定化することができるとともに、電流検出サブ手段により負荷電流を検出して得られる検出電圧及び入力電圧に合わせて制御信号を制御することによって、様々な負荷の下で、電圧の安定した出力を実現することができる。
【0035】
可能な一実施形態では、
図2に示すように、前記電流検出サブ手段220は、第6のトランジスタQ6と、第7のトランジスタQ7と、第2のオペアンプOP2と、第2の抵抗R2と、第1のコンデンサC1とを含んでもよい。
【0036】
ここで、前記第6のトランジスタQ6のゲートは、前記制御信号を受けるために用いられ、前記第6のトランジスタQ6のドレインは、前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記第6のトランジスタQ6のソースは、前記第2のオペアンプOP2のプラス入力端及び前記第7のトランジスタQ7のドレインに電気的に接続され、
前記第2のオペアンプOP2のマイナス入力端は、前記電圧出力モジュールに電気的に接続され、前記第2のオペアンプOP2の出力端は、前記第7のトランジスタQ7のゲートに電気的に接続され、前記第7のトランジスタQ7のソースは、前記第2の抵抗R2の第1端及び前記第1のコンデンサC1の第1端に電気的に接続され、
前記第2の抵抗R2の第2端及び前記第1のコンデンサC1の第2端は、接地され、
前記第2の抵抗R2の第1端は、前記検出電圧Vctrlを出力するために用いられる。
【0037】
以上の装置により、本開示の実施例では、電流検出サブ手段により負荷電流の検出を実現することができ、検出された負荷電流に基づいて検出電圧を決定し、検出電圧に基づいて第2の調整電流を決定することによって、負荷端の変化を補償し、様々な負荷の状況に基づく制御信号の制御を実現することができる。
【0038】
一例において、検出において、電流検出サブ手段は、第8のトランジスタの電流を(1-D)T*ILにて平均化することによって、検出電圧Vtrcl=(1-D)T*IL*Rを得るようにしてもよい。ただし、Dはデューティ比を示し、Tはクロックサイクルを示し、ILは入力インダクタLのインダクタンスを示し、Rは第2の抵抗R2の抵抗値を示す。
【0039】
電流検出サブ手段は、負荷電流の数値を検出電圧Vctrl=α*Idに変換するようにしてもよい。ただし、αは予め設定されたパラメータを示し、Idは負荷電流を示す。
【0040】
一例では、乗算サブ手段は、アナログ乗算器(Analog Multiplier)を含んでもよい。本開示の実施例では、乗算器の実現形態について限定せず、当業者は、必要に応じて専用のハードウェア回路により実現してもよく、従来のアナログ乗算器により実現してもよい。
【0041】
乗算サブ手段が出力する中間電圧は、Vmul=β*Vctrl*Vin=α*β*Id*Vinである。ただし、βは、予め設定された乗算パラメータを示す。
【0042】
一例では、電流決定サブ手段240は、第2の調整電流Isink2=gm2*Vmul=gm2*α*β*Id*Vinを出力する。ただし、gm2は、電流決定サブ手段の予め設定されたパラメータである。
【0043】
一例では、電流決定モジュール20が出力する調整電流の変化は、△Isink=△Isink1+△Isink2=gm1*△Vin+gm2*α*β*Id*△Vin=(gm1+gm2*α*β*Id)*△Vinとして表すようにしてもよい。
【0044】
ここで、電流決定サブ手段240の実現形態については、第1の決定手段210の実現形態を参照すればよく、ここではこれ以上説明しない。
【0045】
以上の装置により、本開示の実施例では、入力電圧に対する迅速な応答を実現することができ、且つ様々な負荷に対して補償を行うことができるので、この装置は様々な負荷に適応することができ、環境適合性を向上させた。
【0046】
可能な一実施形態では、
図2に示すように、前記電圧出力モジュール40は、第8のトランジスタQ8と、第9のトランジスタQ9と、第10のトランジスタQ10と、第11のトランジスタQ11と、第3のオペアンプOP3と、第3の抵抗R3と、第4の抵抗R4と、第2のコンデンサC2とを含んでもよい。
【0047】
ここで、前記第8のトランジスタQ8のゲートは、前記第6のトランジスタQ6のゲート、前記第10のトランジスタQ10のゲート及び前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号を受けるために用いられ、
前記第8のトランジスタQ8のドレインは、前記第9のトランジスタQ9のドレイン、前記第6のトランジスタQ6のドレイン、前記第10のトランジスタQ10のドレイン及び前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、
前記第8のトランジスタQ8のソースは、前記第3のオペアンプOP3のマイナス入力端、前記第2のオペアンプOP2のマイナス入力端、前記第3の抵抗R3の第1端及び前記第2のコンデンサC2の第1端に電気的に接続され、前記第3の抵抗R3の第2端は、前記制御モジュール及び前記第4の抵抗R4の第1端に電気的に接続され、前記第4の抵抗R4の第2端は、接地され、前記第2のコンデンサC2の第2端は、接地され、
前記第9のトランジスタQ9のゲートは、前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号を受けるために用いられ、前記第9のトランジスタQ9のソースは、接地され、
前記第3のオペアンプOP3のプラス入力端は、前記第10のトランジスタQ10のソース及び前記第11のトランジスタQ11のドレインに電気的に接続され、前記第3のオペアンプOP3の出力端は、前記第11のトランジスタQ11のゲートに電気的に接続され、
前記第11のトランジスタQ11のソースは、前記電流決定モジュール及び前記制御モジュールに電気的に接続され、
前記第3の抵抗R3の第1端は、前記目標電圧を出力するために用いられる。
【0048】
以上の装置により、本開示の実施例の電圧出力モジュールは、安定した目標電圧を出力するように、制御信号及び電圧入力モジュールからの入力電圧に基づいて電圧出力を実現することができる。
【0049】
可能な一実施形態では、以下の式によって目標電圧を得るようにしてもよい。
【数1】
ただし、Dは、制御信号のデューティ比を示してもよい。
【0050】
このため、本開示は、制御信号のデューティ比を調整することによって、入力電圧の変化に迅速に応答し、必要な目標出力電圧を出力することができる。
【0051】
以下、電圧入力モジュール10の可能な実施形態について説明する。以下の説明は、例示的なものであり、本開示を制限するものではないことは理解すべきである。
【0052】
可能な一実施形態では、
図2に示すように、前記電圧入力モジュール10は、入力コンデンサCinと、入力インダクタLとを含んでもよい。
【0053】
ここで、前記入力コンデンサCinの第1端は、前記入力インダクタLの第1端に電気的に接続され、前記入力電圧を受けるために用いられ、前記入力コンデンサCinの第2端は、接地され、
前記入力インダクタLの第2端は、前記第9のトランジスタQ9のドレイン、前記第8のトランジスタQ8のドレイン、前記第6のトランジスタQ6のドレイン、前記第10のトランジスタQ10のドレインに電気的に接続される。
【0054】
なお、本開示は、入力コンデンサを例として説明したが、本開示は、これに限らないことは理解すべきである。他の実施形態では、入力コンデンサは、複数のコンデンサからなる入力コンデンサネットワークに置き換えられてもよく、入力コンデンサネットワークは、複数のコンデンサを含んでもよく、本開示では、その接続関係及び数について限定しない。
【0055】
可能な一実施形態では、入力インダクタLは、複数のインダクタンスとして設けられるか、または複数のインダクタンに置き換えられてもよい。複数のインダクタンスの接続方式は、直列接続、並列接続またはそれらの組み合わせであってもよい。本開示では、入力インダクタLに含まれるインダクタンスの数や接続関係について限定しない。
【0056】
以下、制御モジュール30の可能な実現形態について説明する。以下の説明は、例示的なものであり、本開示を制限するものではないことは理解すべきである。
【0057】
可能な一実施形態では、
図2に示すように、前記制御モジュール30は、エラーアンプgmと、基準抵抗Reaと、基準コンデンサCeaと、コンパレータCMPと、発振器(Oscillator)と、フリップフロップと、パルス幅変調PWMコントローラ(PWM Control Driver、PWMコントローラ)と、電流源Irampと、リセットスイッチVresetと、コンデンサCrampと、サンプリング抵抗Rrampとを含んでもよい。
【0058】
ここで、前記エラーアンプgmのプラス端は、前記第3の抵抗と第4の抵抗との間に電気的に接続され、前記電圧出力モジュール40の帰還電圧信号Vfbを入力するために用いられ、前記エラーアンプgmのマイナス端は、基準電圧Vrefを入力するために用いられ、前記エラーアンプgmの出力端は、前記基準抵抗Reaの第1端及び前記コンパレータCMPのマイナス端に電気的に接続され、
前記基準抵抗Reaの第2端は、前記基準コンデンサCeaの第1端に電気的に接続され、前記基準コンデンサCeaの第2端は、接地され、
前記コンパレータCMPのプラス端は、電流源Iramp、コンデンサCrampの第1端及びリセットスイッチの第1端に電気的に接続され、比較電圧Vrampを入力するために用いられ、前記コンパレータCMPの出力端は、前記フリップフロップの第1端Rに電気的に接続され、
電流決定モジュールの出力端は、リセットスイッチの第2端、コンデンサCrampの第2端及びサンプリング抵抗Rrampの第1端に電気的に接続され、第1の調整電流Isink1及び/又は第2の調整電流Isink2を出力し、サンプリング抵抗Rrampの第2端は、接地され、
前記フリップフロップの第2端Sは、前記発振器の出力端に電気的に接続され、前記発振器の出力したクロック信号CLKを受けるために用いられ、前記フリップフロップの出力端Qは、前記PWMコントローラの入力端に電気的に接続され、
前記PWMコントローラの第1の出力端は、第9のトランジスタのゲートに電気的に接続され、前記PWMコントローラの第2の出力端は、前記第8のトランジスタのゲート、第10のトランジスタのゲート及び第6のトランジスタのゲートに電気的に接続される。
【0059】
可能な一実施形態では、前記フリップフロップは、
第1端Rの入力がハイレベル(1)になると、出力端Qの出力が1になり、
第2端Sの入力がハイレベルになると、出力端Qの出力が0になるように構成される。
【0060】
可能な一実施形態では、前記PWMコントローラは、
入力端の入力が1になると、出力が1になり、
入力端の入力が0になると、出力が0になるように構成される。
【0061】
本開示の実施例では、電流決定モジュールは、第1の決定手段及び/又は第2の決定手段を含んでもよい。
【0062】
電流決定モジュールが第1の決定手段を含む形態において、可能な一実施形態では、入力電圧が大きくなった場合、例えばVinが△Vin分変化した時、Vinが第1の決定手段に入力されると、第1の決定手段により第1の調整電流Isink1の変化を△Isink1=gm1*△Vinと決定するようにしてもよい。このように、Vrampの初期レベルは、gm1*△Vin*Rramp分変化し、この変化によって、Veaの出力ができるだけ変化しないように確保する。Vrefが不変である場合、Vfbの変化量が小さい、即ち△Voutの変化が小さいことを意味し、これにより、出力電圧の変動を低減する。このようにして、電圧出力モジュール40は、安定した目標電圧を出力することができる。
【0063】
図4を参照すると、
図4には関連技術によるDC-DCアーキテクチャにおける電圧変化の模式図が示されている。
【0064】
図5を参照すると、
図5には本開示の一実施形態による電圧調整装置における電圧変化の模式図が示されている。
【0065】
図4に示すように、関連技術では、入力電圧Vinが変化すると、出力電圧Voutの変化がエラーアンプgmに作用してVeaに影響を与える。Veaの変化が大きいほど、ループによる新しいデューティ比Dの調整が遅くなるため、入力電圧の上又は下へのジャンプに伴い出力電圧が非常に大きくなり、この場合、出力電圧Voutのピークピーク値は130mVに達しうる。
【0066】
図5に示すように、本開示の実施例における第1の決定手段によって第1の調整電流を決定して、制御モジュールを制御することによって、出力電圧の変動を大幅に低減することができ、出力電圧のピークピーク値は僅か30mVになる。
【0067】
この案によれば、入力電圧の変化に良く応答することができ、出力電圧の変化のピークピーク値Vppは130mVから30mVに下がることが分かる。
【0068】
負荷の変化に適応するために、本開示の実施例の電流決定モジュールは、第2の決定手段をさらに含んでもよい。第1の決定手段が決定した第1の調整電流と第2の決定手段が決定した第2の調整電流は、共に制御モジュールに作用することができる。これにより、制御モジュールは、入力電圧の変化に迅速に応答することができるとともに、様々な負荷の状況に適応することができる。
【0069】
図6を参照すると、
図6には第2の決定手段を採用していない場合の電圧調整装置における電圧変化の模式図が示されている。
【0070】
図7を参照すると、
図7には第2の決定手段を採用する場合の電圧調整装置における電圧変化の模式図が示されている。
【0071】
図6に示すように、第1の決定手段においてgm1を決定する時に、予め負荷の大きさを設定する必要があるため、バランスポイントは重負荷と軽負荷との間で選択されるが、負荷が軽すぎたり重すぎたりすると、補償が不十分またはオーバーフローすることが多い。このため、
図6において第2の決定手段による負荷電流の検出を採用しない場合、電圧調整装置は、負荷の変化に適応することができず、負荷(
図6における負荷電流Id)が変化した場合に、出力電圧の変化△Voutのピークピーク値は大きく変動する。
【0072】
図7に示すように、入力電圧の変化に迅速に応答して第1の調整電流を決定するように第1の決定手段を設けるとともに、負荷電流を検出して補償を行うように第2の決定手段を設けることによって、電圧調整装置は、入力電圧の変化に迅速に応答することができるだけでなく、様々な負荷に対して補償を行うことができ、様々な負荷の下で、出力電圧Voutの変動区間のピークピーク値Vppは20mV以下になる。これにより、装置の環境適合性を向上させ、TDMAテストにおける電源のfastline励起に対する挙動がSPECのニーズを満たし、様々な応用環境でのAMOLEDのTDMAのテスト要件を満たすようになる。
【0073】
本開示では、制御モジュール30の各デバイスの選択や基準電圧の選択について限定せず、当業者は、必要に応じて決めることができることは理解すべきである。
【0074】
以上、本開示の各実施例を記述したが、上記説明は例示的なものに過ぎず、網羅的なものではなく、かつ披露された各実施例に限定されるものでもない。当業者にとって、説明された各実施例の範囲および精神から逸脱することなく、様々な修正および変更が自明である。本明細書に選ばれた用語は、各実施例の原理、実際の応用または既存技術に対する改善を好適に解釈するか、または他の当業者に本明細書に披露された各実施例を理解させるためのものである。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
入力電圧を受けるための電圧入力モジュールと、
前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記入力電圧及び前記入力電圧と直前のタイミングの入力電圧との変化量に基づいて調整電流を決定するための電流決定モジュールと、
前記電流決定モジュールに電気的に接続され、前記調整電流に基づいて制御信号を出力するための制御モジュールと、
前記電圧入力モジュール、前記電流決定モジュール及び前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号及び前記入力電圧に基づいて目標電圧を出力するための電圧出力モジュールと、を含むことを特徴とする電圧調整装置。
[態様2]
前記調整電流は、第1の調整電流を含み、前記電流決定モジュールは、前記第1の調整電流を決定するための第1の決定手段を含み、
前記第1の決定手段は、第1のオペアンプと、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、第5のトランジスタと、第1の抵抗とを含み、
前記第1のオペアンプのプラス入力端は、前記入力電圧を受けるために用いられ、前記第1のオペアンプのマイナス入力端は、前記第1のトランジスタのソース及び前記第1の抵抗の第1端に電気的に接続され、前記第1のオペアンプの出力端は、前記第1のトランジスタのゲートに電気的に接続され、前記第1の抵抗の第2端は、接地され、
前記第1のトランジスタのドレインは、前記第2のトランジスタのドレイン、前記第2のトランジスタのゲート及び前記第3のトランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及び前記第3のトランジスタのソースは、電源電圧を受けるために用いられ、
前記第3のトランジスタのドレインは、前記第4のトランジスタのドレイン、前記第4のトランジスタのゲート及び前記第5のトランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース及び前記第5のトランジスタのソースは、接地され、
前記第5のトランジスタのドレインは、前記第1の調整電流を出力するために用いられることを特徴とする態様1に記載の電圧調整装置。
[態様3]
前記調整電流は、第2の調整電流を含み、前記電流決定モジュールは、前記第2の調整電流を決定するための第2の決定手段を含み、前記第2の決定手段は、電流検出サブ手段と、乗算サブ手段と、電流決定サブ手段とを含み、
前記電流検出サブ手段は、前記電圧出力モジュールに電気的に接続され、負荷電流を検出し、前記負荷電流に基づいて検出電圧を得るために用いられ、
前記乗算サブ手段は、前記電流検出サブ手段及び前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記入力電圧と前記検出電圧を乗算して中間電圧を得るために用いられ、
前記電流決定サブ手段は、前記乗算サブ手段に電気的に接続され、前記中間電圧に基づいて前記第2の調整電流を決定するために用いられることを特徴とする態様1又は2に記載の電圧調整装置。
[態様4]
前記電流検出サブ手段は、第6のトランジスタと、第7のトランジスタと、第2のオペアンプと、第2の抵抗と、第1のコンデンサとを含み、
前記第6のトランジスタのゲートは、前記制御信号を受けるために用いられ、前記第6のトランジスタのドレインは、前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、前記第6のトランジスタのソースは、前記第2のオペアンプのプラス入力端及び前記第7のトランジスタのドレインに電気的に接続され、
前記第2のオペアンプのマイナス入力端は、前記電圧出力モジュールに電気的に接続され、前記第2のオペアンプの出力端は、前記第7のトランジスタのゲートに電気的に接続され、前記第7のトランジスタのソースは、前記第2の抵抗の第1端及び前記第1のコンデンサの第1端に電気的に接続され、
前記第2の抵抗の第2端及び前記第1のコンデンサの第2端は、接地され、
前記第2の抵抗の第1端は、前記検出電圧を出力するために用いられることを特徴とする態様3に記載の電圧調整装置。
[態様5]
前記電圧出力モジュールは、第8のトランジスタと、第9のトランジスタと、第10のトランジスタと、第11のトランジスタと、第3のオペアンプと、第3の抵抗と、第4の抵抗と、第2のコンデンサとを含み、
前記第8のトランジスタのゲートは、前記第6のトランジスタのゲート、前記第10のトランジスタのゲート及び前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号を受けるために用いられ、
前記第8のトランジスタのドレインは、前記第9のトランジスタのドレイン、前記第6のトランジスタのドレイン、前記第10のトランジスタのドレイン及び前記電圧入力モジュールに電気的に接続され、
前記第8のトランジスタのソースは、前記第3のオペアンプのマイナス入力端、前記第2のオペアンプのマイナス入力端、前記第3の抵抗の第1端及び前記第2のコンデンサの第1端に電気的に接続され、前記第3の抵抗の第2端は、前記制御モジュール及び前記第4の抵抗の第1端に電気的に接続され、前記第4の抵抗の第2端は、接地され、前記第2のコンデンサの第2端は、接地され、
前記第9のトランジスタのゲートは、前記制御モジュールに電気的に接続され、前記制御信号を受けるために用いられ、前記第9のトランジスタのソースは、接地され、
前記第3のオペアンプのプラス入力端は、前記第10のトランジスタのソース及び前記第11のトランジスタのドレインに電気的に接続され、前記第3のオペアンプの出力端は、前記第11のトランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第11のトランジスタのソースは、前記電流決定モジュール及び前記制御モジュールに電気的に接続され、
前記第3の抵抗の第1端は、前記目標電圧を出力するために用いられることを特徴とする態様4に記載の電圧調整装置。
[態様6]
前記電圧入力モジュールは、入力コンデンサと、入力インダクタとを含み、
前記入力コンデンサの第1端は、前記入力インダクタの第1端に電気的に接続され、前記入力電圧を受けるために用いられ、前記入力コンデンサの第2端は、接地され、
前記入力インダクタの第2端は、前記第9のトランジスタのドレイン、前記第8のトランジスタのドレイン、前記第6のトランジスタのドレイン及び前記第10のトランジスタのドレインに電気的に接続されることを特徴とする態様5に記載の電圧調整装置。
[態様7]
態様1~6のいずれか一項に記載の電圧調整装置を含むことを特徴とするチップ。
[態様8]
態様7に記載のチップを含むことを特徴とする電源。
[態様9]
態様8に記載の電源を含むことを特徴とする電子機器。
[態様10]
前記電子機器は、ディスプレイ、スマートフォン又は携帯機器を含むことを特徴とする態様9に記載の電子機器。