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特許7479520サンプル材料の電気的性能の測定方法、装置、設備及び媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】サンプル材料の電気的性能の測定方法、装置、設備及び媒体
(51)【国際特許分類】
   G01Q 60/46 20100101AFI20240426BHJP
   G01Q 10/04 20100101ALI20240426BHJP
   G01R 29/24 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G01Q60/46
G01Q10/04
G01R29/24 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022575465
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2021133106
(87)【国際公開番号】W WO2022183787
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】202110232018.4
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516044129
【氏名又は名称】北京納米能源与系統研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】王中林
(72)【発明者】
【氏名】林世権
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-032006(JP,A)
【文献】特開2010-038566(JP,A)
【文献】特開2006-258536(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107015030(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0307809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01Q 10/00 - 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電セラミックに交番電圧を印加することで、前記圧電セラミックに固定されたプローブをサンプル材料表面で振動させることと、
前記プローブと前記サンプル材料との目標接触電位差を測定し、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定することと、
前記目標接触電位差と予め確定されている前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定し、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定することと、を含むことを特徴とするサンプル材料の電気的性能の測定方法。
【請求項2】
前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定することは、
周波数が前記プローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を測定することと、
前記目標誘導交流電流の振幅を目標振幅とすることと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のサンプル材料の電気的性能の測定方法。
【請求項3】
前記目標接触電位差と予め確定されている前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定することは、
前記目標接触電位差と予め確定されている前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記プローブの仕事関数値と前記目標接触電位差との差分を確定し、前記差分を前記サンプル材料表面の目標仕事関数値として確定することを含むことを特徴とする請求項1に記載のサンプル材料の電気的性能の測定方法。
【請求項4】
前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定することは、
予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数
と前記目標振幅Achrage/ωと前記目標接触電位差VCPDとに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度σを確定することを含み、
ただし、hは予め確定されたサンプル材料の表面形態及びプローブとサンプル材料の予設高さであり、ωは確定された前記プローブの共振周波数であり、Aは確定された前記プローブの振幅であり、dは確定された誘電体厚みであり、εは確定された真空誘電率であり、εは確定された比誘電率であり、Sはプローブ針先の等価面積である、
ことを特徴とする請求項1に記載のサンプル材料の電気的性能の測定方法。
【請求項5】
圧電セラミックに交番電圧を印加することで、前記圧電セラミックに固定されたプローブをサンプル材料表面で振動させるための制御モジュールと、
前記プローブと前記サンプル材料との目標接触電位差を測定し、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定するための測定モジュールと、
前記目標接触電位差と予め確定されている前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定し、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定するための確定モジュールと、を備えることを特徴とするサンプル材料の電気的性能の測定装置。
【請求項6】
前記測定モジュールは具体的に、周波数が前記プローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を測定し、前記目標誘導交流電流の振幅を目標振幅とすることを特徴とする請求項5に記載のサンプル材料の電気的性能の測定装置。
【請求項7】
前記確定モジュールは具体的に、前記目標接触電位差と予め確定されている前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記プローブの仕事関数値と前記目標接触電位差との差分を確定し、前記差分を前記サンプル材料表面の目標仕事関数値として確定することを特徴とする請求項5に記載のサンプル材料の電気的性能の測定装置。
【請求項8】
前記確定モジュールは具体的に、予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数
と前記目標振幅Achrage/ωと前記目標接触電位差VCPDとに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度σを確定し、
ただし、hは予め確定されたサンプル材料の表面形態及びプローブとサンプル材料の予設高さであり、ωは確定された前記プローブの共振周波数であり、Aは確定された前記プローブの振幅であり、dは確定された誘電体厚みであり、εは確定された真空誘電率であり、εは確定された比誘電率であり、Sはプローブ針先の等価面積である、
ことを特徴とする請求項5に記載のサンプル材料の電気的性能の測定装置。
【請求項9】
プログラム指令を記憶するメモリと、
メモリに記憶されているコンピュータプログラムを実行する際に請求項1~4のいずれか一項に記載のサンプル材料の電気的性能の測定方法のステップを実現するプロセッサと、を備えることを特徴とする電子設備。
【請求項10】
コンピュータプログラムが記憶されており、
前記コンピュータプログラムがプロセッサに実行される際に請求項1~4のいずれか一項に記載のサンプル材料の電気的性能の測定方法のステップを実現することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は顕微鏡測定分野に関し、特にサンプル材料の電気的性能の測定方法、装置、設備及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
材料表面のミクロ電気的性能を測定するために、従来技術では原子間力顕微鏡(atomic force microscopy,AFM)が存在する。当該原子間力顕微鏡は、一般的なミクロ表現設備であり、最初は主にサンプル材料表面のミクロ形態を測定するためのものである。原子間力顕微鏡に加えて、さらにサンプル材料表面のミクロ電気的性能を測定する機能が追加される。電気的性能は材料表面の電荷密度、材料表面の仕事関数等を含む。
【0003】
従来技術では、材料表面の電気的性能を測定し得るケルビンプローブ力顕微鏡(Kelvin probe force microscopy,KPFM)、静電力顕微鏡(electrostatic force microscopy,EFM)及び導電性原子間力顕微鏡(conductive force microscopy,CAFM)がさらに存在する。
【0004】
ただし、KPFMは、まず交流バイアスに誘導された交番静電力を印加することによりプローブを振動させるように駆動し、その後、プローブとサンプル材料との間に直流電圧を印加する。直流電圧によりプローブ振動の一次振動周波数の振幅が0である場合、当該直流電圧の大きさはサンプル材料とプローブとの接触電位差の大きさに等しい。そして、当該接触電位差、及び接触電位差と電荷密度との関数関係に基づいてサンプル材料の表面電荷密度を確定し、かつプローブの仕事関数と当該接触電位差との差分に基づいてサンプル材料の表面仕事関数を確定する。しかし、プローブとサンプル材料との間に印加された交流バイアス及び直流電圧がサンプル材料の電気的性能に影響を与えるため、測定結果は不正確になる。
【0005】
従来技術では、EFMは、まず圧電セラミックに交番電圧を印加することで当該圧電セラミックを振動させ、圧電セラミックに固定されるプローブを振動させる。プローブはサンプル材料の静電力を受けた後、振動振幅及び位相が変化する。プローブがサンプル材料表面の異なる位置にある時の当該振動振幅及び位相の変化に基づいて、材料表面の電荷密度の変化を定性的に判断し得る。しかし、当該振動振幅及び位相の変化と該静電力の値とは正確な対応関係がないため、当該EFMは、当該静電力の大きさ及びサンプル材料表面の電荷密度を正確に確定できず、かつサンプル材料表面の仕事関数を確定できない。
【0006】
また、従来技術におけるCAFMは主に材料のマイクロ領域の導電性を測定するためのものであり、サンプル材料の表面電荷、仕事関数等の表面ミクロ電気的性能を取得することができない。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、従来技術におけるサンプル材料の電気的性能を正確に確定できないという課題を解決するために、サンプル材料の電気的性能の測定方法、装置、設備及び媒体を提供している。
【0008】
本開示は、
圧電セラミックに交番電圧を印加することで、前記圧電セラミックに固定されたプローブをサンプル材料表面で振動させることと、
前記プローブと前記サンプル材料との目標接触電位差を測定し、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定することと、
前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定し、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定することと、を含むサンプル材料の電気的性能の測定方法を提供している。
【0009】
さらに、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定することは、
周波数が前記プローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を測定することと、
前記目標誘導交流電流の振幅を目標振幅とすることと、を含む。
【0010】
さらに、前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定することは、
前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記プローブの仕事関数値と前記目標接触電位差との差分を確定し、前記差分を前記サンプル材料表面の目標仕事関数値として確定することを含む。
【0011】
さらに、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記目標誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定することは、
予め格納された前記目標誘導交流電流の目標振幅確定関数
と前記目標振幅Achrage/ωと前記目標接触電位差VCPDとに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度σを確定すことを含み、
ただし、hは予め確定されたサンプル材料の表面形態及びプローブとサンプル材料の予設高さであり、ωは確定された前記プローブの共振周波数であり、Aは確定された前記プローブの振幅であり、dは確定された誘電体厚みであり、εは確定された真空誘電率であり、εは確定された比誘電率であり、Sはプローブ針先の等価面積である。
【0012】
相応的に、本開示は、
圧電セラミックに交番電圧を印加することで、前記圧電セラミックに固定されたプローブをサンプル材料表面で振動させるための制御モジュールと、
前記プローブと前記サンプル材料との目標接触電位差を測定し、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定するための測定モジュールと、
前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定し、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定するための確定モジュールと、を備えるサンプル材料の電気的性能の測定装置を提供している。
【0013】
さらに、前記測定モジュールは具体的に、周波数が前記プローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を測定し、前記目標誘導交流電流の振幅を目標振幅とする。
【0014】
さらに、前記確定モジュールは具体的に、前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記プローブの仕事関数値と前記目標接触電位差との差分を確定し、前記差分を前記サンプル材料表面の目標仕事関数値として確定する。
【0015】
さらに、前記確定モジュールは具体的に、予め格納された前記目標誘導交流電流の目標振幅確定関数
と前記目標振幅Achrage/ωと前記目標接触電位差VCPDとに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度σを確定し、
ただし、hは予め確定されたサンプル材料の表面形態及びプローブとサンプル材料の予設高さであり、ωは確定された前記プローブの共振周波数であり、Aは確定された前記プローブの振幅であり、dは確定された誘電体厚みであり、εは確定された真空誘電率であり、εは確定された比誘電率であり、Sはプローブ針先の等価面積である。
【0016】
相応的に、本開示は、プログラム指令を記憶するメモリと、メモリに記憶されているコンピュータプログラムを実行する際に上記サンプル材料の電気的性能の測定方法のステップを実現するプロセッサと、を備える電子設備を提供している。
【0017】
相応的に、本開示は、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサに実行される際に上記サンプル材料の電気的性能の測定方法のステップを実現するコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供している。
【0018】
本開示はサンプル材料の電気的性能の測定方法、装置、設備及び媒体を提供している。当該方法において、圧電セラミックに交番電圧を印加することで、圧電セラミックに固定されたプローブをサンプル材料表面で振動させ、プローブがサンプル材料表面で振動する時、プローブとサンプル材料との間の電気zが変化する。サンプル材料表面の電荷はプローブとサンプル材料との間に誘導交流電流を生じさせるように誘導する。誘導交流電流の目標振幅と、測定して得られたプローブとサンプル材料との目標接触電位差と、予め格納された誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいてサンプル材料表面の目標電荷密度を確定し、目標接触電位差と確定されたプローブの仕事関数値とに基づいてサンプル材料表面の目標仕事関数値を確定する。プローブとサンプル材料との間に交流バイアス及び直流電圧を印加する必要がなく、確定された誘導交流電流の目標振幅確定関数に基づいて目標電荷密度を確定するため、確定されたサンプル材料表面の目標仕事関数値と目標電荷密度の正確性を向上させた。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明において使用される図面を簡単に説明する。明らかに、下記の図面が本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩性に値する労働を払わずにこれらの図面から他の図面を取得することができる。
図1】本開示実施例によるサンプル材料の電気的性能の測定方法のプロセスの模式図である。
図2】本開示実施例による顕微鏡の模式図である。
図3】本開示実施例によるプローブとサンプル材料のコンデンサモデルである。
図4】本開示実施例による別のプローブとサンプル材料のコンデンサモデルである。
図5】本開示実施例による顕微鏡で測定して得られた材料表面の電荷密度の模式図である。
図6】本開示実施例による顕微鏡で測定して得られた材料表面の電荷密度の模式図である。
図7】本開示実施例による顕微鏡で測定して得られた材料表面の電荷密度の模式図である。
図8】本開示実施例による顕微鏡で測定して得られた材料表面の電荷密度の模式図である。
図9】本開示実施例による顕微鏡で測定して得られた材料表面の電荷密度の模式図である。
図10】本開示実施例によるサンプル材料の電気的性能の測定装置の構造模式図である。
図11】本開示実施例による電子設備の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の目的、技術案及び利点をより明白にするために、以下、図面を参照して本開示をより詳しく説明する。明らかに、説明される実施例は本開示実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本開示実施例に基づき、当業者が進歩性に値する労働を払わずに取得したすべての他の実施例は何れも本開示の保護範囲に入る。
【0021】
確定されたサンプル材料の電気的性能の正確性を向上させるために、本開示実施例はサンプル材料の電気的性能の測定方法、装置、設備及び媒体を提供している。
【実施例1】
【0022】
図1は本開示実施例によるサンプル材料の電気的性能の測定方法のプロセスの模式図である。当該プロセスは以下のステップを含む。
【0023】
S101:圧電セラミックに交番電圧を印加することで、前記圧電セラミックに固定されたプローブをサンプル材料表面で振動させる。
【0024】
本開示実施例によるサンプル材料の電気的性能の測定方法を電子設備に適用してもよい。当該電子設備は顕微鏡自身であってもよく、顕微鏡の制御設備であってもよい。
【0025】
サンプル材料表面の電気的性能を測定するために、本開示実施例において、当該電子設備は圧電セラミックに交番電圧を印加する。圧電セラミックは自身の逆圧電効果により、交番電圧を受けた後に変形する。プローブが圧電セラミックに固定されるため、圧電セラミック自身の変形により当該プローブはサンプル材料表面で振動するようになる。
【0026】
ここで、顕微鏡における圧電セラミックは通常、長さが1~8mmであり、幅が1~4mmであり、厚さが1~3mmであり、プローブが商用導電性プローブであり、プローブの針先半径が数十nm~数μmであり、プローブが金属薄膜めっきプローブであってもよく、導電性ダイヤモンドめっきプローブであってもよく、全金属プローブであってもよい。本開示実施例はこれを限定しない。
【0027】
具体的には、当該電子設備は、確定されたサンプル材料の表面形態に基づいて、プローブがサンプル材料の表面形態の設定高さhで振動するように制御する。ここで、当該設定高さhは通常、0~1μmである。プローブがサンプル材料の表面形態の設定高さhで振動するように制御する方法は従来技術に属し、本開示実施例はこれについて省略する。
【0028】
ここで、サンプル材料の表面形態を確定する方法は従来のコンタクトモード(contact mode)確定方法であってもよく、従来のピークフォースタッピングモード(peakforce tapping mode)確定方法であってもよい。本開示実施例はこれについて省略する。
【0029】
S102:前記プローブと前記サンプル材料との目標接触電位差を測定し、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定する。
【0030】
プローブがサンプル材料表面で振動する時、プローブとサンプル材料との間の電気容量が変化する。サンプル材料表面の電荷はプローブとサンプル材料との間に誘導交流電流を生じさせるように誘導する。当該電子装置はプローブとサンプル材料との間の誘導交流電流による目標接触電位差を測定し、当該誘導交流電流の目標振幅を確定する。
【0031】
具体的には、当該電子設備が顕微鏡である場合、当該顕微鏡の内部は電流測定モジュール及び位相ロック増幅器を備える。当該顕微鏡の電流測定モジュールは誘導交流電流を測定して取得する。当該顕微鏡の位相ロック増幅器は入力された誘導交流電流に基づいて目標接触電位差及び誘導交流電流の目標振幅を確定する。
【0032】
当該電子装置が顕微鏡の制御装置である場合、当該電子装置は、誘導交流電流を測定して取得するように顕微鏡の電流測定モジュールを制御し、入力された誘導交流電流に基づいて目標接触電位差及び誘導交流電流の目標振幅を確定するように顕微鏡の位相ロック増幅器を制御する。
【0033】
S103:前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定し、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定する。
【0034】
当該プローブとサンプル材料との目標接触電位差を確定した後、当該目標接触電位差と確定されたプローブの仕事関数値とに基づいてサンプル材料表面の目標仕事関数値を確定することができる。ただし、仕事関数値とは、1つの電子を固体内部からちょうど当該固体表面に移動させるために必要な最小のエネルギー値である。ここで、当該プローブとサンプル材料との目標接触電位差及び当該プローブの仕事関数値に基づいて当該サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定する方法は従来技術に属する。本開示実施例はこれについて省略する。
【0035】
当該プローブとサンプル材料との間の誘導電流の目標振幅及び目標接触電位差を確定した後、当該サンプル材料表面の目標電荷密度を確定するために、当該プローブとサンプル材料表面の目標振幅確定関数がさらに予め格納されている。確定された当該目標振幅及び目標接触電位差を当該目標振幅確定関数関係に代入し、当該サンプル材料表面の目標電荷密度を確定することができる。
【0036】
本開示実施例において、圧電セラミックに交番電圧を印加することで、圧電セラミックに固定されたプローブをサンプル材料表面で振動させ、プローブがサンプル材料表面で振動する時、プローブとサンプル材料との間の電気容量が変化する。サンプル表面の電荷はプローブとサンプル材料との間に誘導交流電流を生じさせるように誘導する。誘導交流電流の目標振幅と、測定して得られたプローブとサンプル材料との目標接触電位差と、予め格納された誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいてサンプル材料表面の目標電荷密度を確定し、目標接触電位差と確定されたプローブの仕事関数値とに基づいてサンプル材料表面の目標仕事関数値を確定する。プローブとサンプル材料との間に交流バイアス及び直流電圧を印加する必要がなく、確定された誘導交流電流の目標振幅確定関数に基づいて目標電荷密度を確定するため、確定されたサンプル材料表面の目標仕事関数値と目標電荷密度の正確性を向上させた。
【実施例2】
【0037】
プローブがサンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定するために、上記実施例に基づき、本開示実施例において、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定することは、
周波数が前記プローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を測定することと、
前記目標誘導交流電流の振幅を目標振幅とすることと、を含む。
【0038】
プローブがサンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定するために、本開示実施例において、当該電子装置は、当該プローブとサンプル材料表面との間に生じた各種の周波数の誘導交流電流を測定して取得し、誘導交流電流の各種の周波数に基づいて周波数がプローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を確定し、当該目標誘導交流電流の振幅を目標振幅とする。
【0039】
図2は本開示実施例による顕微鏡の模式図である。図2に示すように、当該顕微鏡は高周波信号発生器と、電流測定モジュールと、位相ロック増幅器2とを備える。当該高周波信号発生器は周波数がωの交番電圧を出力して圧電セラミックに印加する。ここで、交番電圧の周波数ωはプローブの共振周波数と同じであり、圧電セラミックに固定されるプローブをサンプル材料表面で振動させることで、プローブとサンプル材料表面との間に誘導交流電流を生じさせる。
【0040】
ここで、プローブがサンプル材料表面で振動する時、振動によりプローブのサンプル材料での走査位置、すなわちプローブの針先がサンプル材料と垂直になる位置が変化する。位置変化の大きさは通常、200μm以内である。
【0041】
信号発生器が発生可能な交番電圧の周波数範囲は数kHz~数MHzである。当該プローブの共振周波数は通常、数万Hz~数十万Hzである。当該電流測定モジュールの電流測定分解能はfAオーダである。
【0042】
当該電子設備が当該顕微鏡であると、当該顕微鏡の電流測定モジュールは周波数がプローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を測定して取得し、目標誘導交流電流を位相ロック増幅器2に入力し、目標誘導交流電流の振幅を確定する。
【0043】
当該電子装置が当該顕微鏡の制御装置であると、当該制御装置は、周波数がプローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を測定して得られるように当該顕微鏡の電流測定モジュールを制御し、目標誘導交流電流を位相ロック増幅器2に入力して目標誘導交流電流の振幅を確定する。
【0044】
図2における顕微鏡は位相ロック増幅器1及びフィードバック制御器をさらに含む。当該位相ロック増幅器1及びフィードバック制御器はサンプル材料の表面形態を確定するためのものである。本開示実施例において、サンプル材料の表面形態を確定する方法は従来のタッピングモード(tapping mode)確定方法である。
【0045】
具体的には、顕微鏡の高周波信号発生器は周波数がωの交番電圧を出力して圧電セラミックに印加し、圧電セラミックに固定されるプローブをサンプル材料表面で振動させ、振動による振動信号及び交番電圧の周波数ωを位相ロック増幅器1に入力する。位相ロック増幅器1はプローブの振幅を確定してフィードバック制御器に送信する。フィードバック制御器は振幅に基づいてサンプル材料が配置されるテーブルの高さを調整し、プローブとサンプル材料との距離を予め設定された固定値にする。テーブルのZ軸の変化に基づき、サンプル材料の表面形態を確定することができる。
【実施例3】
【0046】
サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定するために、上記各実施例に基づき、本開示実施例において、前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定することは、
前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記プローブの仕事関数値と前記目標接触電位差との差分を確定し、前記差分を前記サンプル材料表面の目標仕事関数値として確定することを含む。
【0047】
サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定するために、本開示実施例において、電子設備にはプローブの仕事関数値が予め格納される。ここで、プローブの仕事関数値は確定されたものである。プローブが純金材質であると、純金プローブの仕事関数値5.1である。プローブが純白金材質であると、純白金プローブの仕事関数値が5.65である。
【0048】
当該目標接触電位差及び確定されたプローブの仕事関数値に基づき、プローブとサンプル材料表面との間の誘導交流電流の目標接触電位差がプローブの仕事関数値とサンプル材料の目標仕事関数値との差分に等しいため、目標接触電位差と確定されたプローブの仕事関数値とに基づいてプローブの仕事関数値と目標接触電位差との差分を確定し、プローブの仕事関数値と目標接触電位差との差分をサンプル材料表面の目標仕事関数値として確定する。
【実施例4】
【0049】
サンプル材料表面の目標電荷密度を確定するために、上記各実施例に基づき、本開示実施例において、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記目標誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定することは、
予め格納された前記目標誘導交流電流の目標振幅確定関数
と前記目標振幅Achrage/ωと前記目標接触電位差とVCPDに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度σを確定することを含み、
ただし、hは予め確定されたサンプル材料の表面形態及びプローブとサンプル材料の予設高さであり、ωは確定された前記プローブの共振周波数であり、Aは確定された前記プローブの振幅であり、dは確定された誘電体厚みであり、εは確定された真空誘電率であり、εは確定された比誘電率であり、Sはプローブ針先の等価面積である。
【0050】
サンプル材料表面の目標電荷密度を確定するために、本開示実施例において、電子設備にはプローブとサンプル材料表面との間に生じる目標誘導交流電流の目標振幅確定関数が予め格納される。当該目標振幅確定関数は
である。ただし、当該Achrage/ωは目標誘導交流電流の目標振幅であり、VCPDは目標誘導交流電流の目標接触電位差であり、σはサンプル材料表面の目標電荷密度であり、hは予め確定されたサンプル材料の表面形態及びプローブとサンプル材料の予設高さであり、ωは確定された前記プローブの共振周波数であり、Aは確定された前記プローブの振幅であり、dは確定された誘電体厚みであり、εは確定された真空誘電率であり、εは確定された比誘電率であり、Sはプローブ針先の等価面積である。
【0051】
電子設備はプローブとサンプル材料表面との目標誘導交流電流の目標振幅及び目標接触電位差を確定した後、当該目標振幅及び目標接触電位差を上記目標振幅確定関数に代入し、当該サンプル材料表面の目標電荷密度を確定する。
【0052】
図3は本開示実施例によるプローブとサンプル材料のコンデンサモデルである。図3に示すように、プローブは持ち上げ高さをhとし、振動周波数をωとし、振動振幅をAとしてサンプル表面で単振動を行う。プローブとサンプルを1つのコンデンサと見なし、プローブの持ち上げ高さ、振動周波数及びプローブ振幅に基づき、プローブのサンプル材料表面での振動が単振動であるため、プローブ表面からサンプル誘電体表面までの距離はx(t)であることが分かった。ここで、x(t)=h+Asin(ωt)
【0053】
図4は本開示実施例による別のプローブとサンプル材料のコンデンサモデルである。図4に示すように、サンプル材料表面の誘電体厚みはdであり、プローブの表面積はSである。サンプル材料表面の電荷密度が-σであり、プローブ表面の電荷密度がSσ-Qであると仮定し、ガウスの定理に基づき、サンプル材料のベース電極の表面電荷密度がQであることを取得し得る。
【0054】
図4のコンデンサモデルにより、ガウスの定理を参照し、プローブとサンプル材料表面との間の目標誘導交流電流の目標接触電位差
であることを取得し得る。ただし、εは確定された真空誘電率であり、εは確定された比誘電率である。
【0055】
上記目標接触電位差の関数関係に基づき、式1:
を取得し得る。式1の導関数を求めて、下記の式2を取得し得る。
【0056】
ただし、j(t)はプローブとサンプル材料のベース電極との間に生じる誘導交流電流の電流密度である。式2にフーリエ変換を行い、プローブとサンプル材料との間の周波数がプローブの共振周波数ωである目標誘導交流電流の電流密度j(t)/ωを確定することができる。
【0057】
したがって、プローブとサンプル材料との間に生じる目標誘導交流電流の目標振幅Achrage/ωを確定することができる。
【0058】
図5は本開示実施例による顕微鏡で測定して得られた材料表面の電荷密度の模式図である。プローブとサンプル材料との間に-10Vバイアスを予め印加することによってサンプル材料表面に電荷を注入し、その後、本開示実施例の方法を採用してサンプル材料の表面の電荷密度を測定する。図5における色の深さは電荷密度の大きさを表し、色が深いほど電荷密度が大きい。
【0059】
図6は本開示実施例による顕微鏡で測定して得られた材料表面の電荷密度の模式図である。プローブとサンプル材料との間に-8Vバイアスを予め印加することによってサンプル材料表面に電荷を注入し、その後、本開示実施例の方法を採用してサンプル材料表面の電荷密度を測定する。図6における色の深さは電荷密度の大きさを表し、色が深いほど電荷密度が大きい。
【0060】
図7は本開示実施例による顕微鏡で測定して得られた材料表面の電荷密度の模式図である。プローブとサンプル材料との間に-6Vバイアスを予め印加することによってサンプル材料表面に電荷を注入し、その後、本開示実施例の方法を採用してサンプル材料表面の電荷密度を測定する。図7における色の深さは電荷密度の大きさを表し、色が深いほど電荷密度が大きい。
【0061】
図8は本開示実施例による顕微鏡で測定して得られた材料表面の電荷密度の模式図である。プローブとサンプル材料との間に-4Vバイアスを予め印加することによってサンプル材料表面に電荷を注入し、その後、本開示実施例の方法を採用してサンプル材料表面の電荷密度を測定する。図8における色の深さは電荷密度の大きさを表し、色が深いほど電荷密度が大きい。
【0062】
図9は本開示実施例による顕微鏡で測定して得られた材料表面の電荷密度の模式図である。プローブとサンプル材料との間に-2Vバイアスを予め印加することによってサンプル材料表面に電荷を注入し、その後、本開示実施例の方法を採用してサンプル材料表面の電荷密度を測定する。図9における色の深さは電荷密度の大きさを表し、色が深いほど電荷密度が大きい。
【0063】
上記図5図6図7図8及び図9によれば、プローブとサンプル材料との間に印加されたバイアスが大きいほど、図中の色の深さが深く、サンプル材料表面の電荷が多いことを確定し得る。
【実施例5】
【0064】
上記各実施例に基づき、図10は本開示実施例によるサンプル材料の電気的性能の測定装置の構造模式図である。前記装置は、
圧電セラミックに交番電圧を印加することで、前記圧電セラミックに固定されたプローブをサンプル材料表面で振動させるための制御モジュール1001と、
前記プローブと前記サンプル材料との目標接触電位差を測定し、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定するための測定モジュール1002と、
前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定し、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定するための確定モジュール1003と、を備える。
【0065】
さらに、前記測定モジュールは具体的に、周波数が前記プローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を測定し、前記目標誘導交流電流の振幅を目標振幅とする。
【0066】
さらに、前記確定モジュールは具体的に、前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記プローブの仕事関数値と前記目標接触電位差との差分を確定し、前記差分を前記サンプル材料表面の目標仕事関数値として確定する。
【0067】
さらに、前記確定モジュールは具体的に、予め格納された前記目標誘導交流電流の目標振幅確定関数
と前記目標振幅Achrage/ωと前記目標接触電位差VCPDとに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度σを確定し、
ただし、hは予め確定されたサンプル材料の表面形態及びプローブとサンプル材料の予設高さであり、ωは確定された前記プローブの共振周波数であり、Aは確定された前記プローブの振幅であり、dは確定された誘電体厚みであり、εは確定された真空誘電率であり、εは確定された比誘電率であり、Sはプローブ針先の等価面積である。
【実施例6】
【0068】
図11は本開示実施例による電子設備の構造模式図である。上記各実施例に基づき、本開示実施例は、プロセッサ1101と、通信インタフェース1102と、メモリ1103と、通信バス1104とを備える電子設備をさらに提供している。プロセッサ1101、通信インタフェース1102、メモリ1103は通信バス1104を介して相互間の通信を完成する。
【0069】
前記メモリ1103にはコンピュータプログラムが記憶されている。前記プログラムが前記プロセッサ1101により実行される時、前記プロセッサ1101は以下のステップを実行する。
【0070】
圧電セラミックに交番電圧を印加することで、前記圧電セラミックに固定されたプローブをサンプル材料表面で振動させる。
【0071】
前記プローブと前記サンプル材料との目標接触電位差を測定し、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定する。
【0072】
前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定し、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定する。
【0073】
さらに、前記プロセッサ1101による前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定することは具体的に、
周波数が前記プローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を測定することと、
前記目標誘導交流電流の振幅を目標振幅とすることと、を含む。
【0074】
さらに、前記プロセッサ1101による前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定することは具体的に、
前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記プローブの仕事関数値と前記目標接触電位差との差分を確定し、前記差分を前記サンプル材料表面の目標仕事関数値として確定することを含む。
【0075】
さらに、前記プロセッサ1101による前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記目標誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定することは具体的に、
予め格納された前記目標誘導交流電流の目標振幅確定関数
と前記目標振幅Achrage/ωと前記目標接触電位差VCPDとに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度σを確定することを含み、
ただし、hは予め確定されたサンプル材料の表面形態及びプローブとサンプル材料の予設高さであり、ωは確定された前記プローブの共振周波数であり、Aは確定された前記プローブの振幅であり、dは確定された誘電体厚みであり、εは確定された真空誘電率であり、εは確定された比誘電率であり、Sはプローブ針先の等価面積である。
【0076】
上記電子設備の通信バスはPCI(Peripheral Component Interconnect)バス又はEISA(Extended Industry Standard Architecture)バスなどであってもよい。当該通信バスは、アドレスバス、データバス、コントロールバスなどに分けられる。表示を容易にするために、図中に一本の太線のみで表すが、一本のバス又は一種類のバスのみを有することを示すのではない。
【0077】
通信インタフェース1102は上記電子設備と他の設備との間の通信に用いられる。
【0078】
メモリはランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)を含んでもよく、不揮発性メモリ(Non-Volatile Memory,NVM)を含んでもよく、例えば少なくとも一つのマグネチックディスクメモリを含む。または、メモリはさらに前記プロセッサから離れた位置にある少なくとも一つの記憶装置であってもよい。
【0079】
上記プロセッサは、CPU、ネットワークプロセッサ(Network Processor、NP)等を含む汎用プロセッサであってもよく、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processing、DSP)、専用集積回路、フィールドプログラマブルアレイ又はその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理デバイス、ディスクリートハードウェア部品等であってもよい。
【実施例7】
【0080】
上記各実施例に基づき、本開示実施例は、コンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体をさらに提供している。前記コンピュータプログラムはプロセッサにより以下のステップを実行する。
【0081】
圧電セラミックに交番電圧を印加することで、前記圧電セラミックに固定されたプローブをサンプル材料表面で振動させ、
前記プローブと前記サンプル材料との目標接触電位差を測定し、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定し、
前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定し、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定する。
【0082】
さらに、前記プローブが前記サンプル材料表面で振動して生じる誘導交流電流の目標振幅を確定することは、
周波数が前記プローブの共振周波数と同じである目標誘導交流電流を測定することと、
前記目標誘導交流電流の振幅を目標振幅とすることと、を含む。
【0083】
さらに、前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記サンプル材料表面の目標仕事関数値を確定することは、
前記目標接触電位差と確定された前記プローブの仕事関数値とに基づいて前記プローブの仕事関数値と前記目標接触電位差との差分を確定し、前記差分を前記サンプル材料表面の目標仕事関数値として確定することを含む。
【0084】
さらに、前記目標振幅と前記目標接触電位差と予め格納された前記目標誘導交流電流の目標振幅確定関数とに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度を確定することは、
予め格納された前記目標誘導交流電流の目標振幅確定関数
と前記目標振幅Achrage/ωと前記目標接触電位差VCPDとに基づいて前記サンプル材料表面の目標電荷密度σを確定することを含み、
ただし、hは予め確定されたサンプル材料の表面形態及びプローブとサンプル材料の予設高さであり、ωは確定された前記プローブの共振周波数であり、Aは確定された前記プローブの振幅であり、dは確定された誘電体厚みであり、εは確定された真空誘電率であり、εは確定された比誘電率であり、Sはプローブ針先の等価面積である。
【0085】
当業者であれば理解できるように、本開示実施例は方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供され得る。したがって、本開示は全てハードウェアよりなる実施例、全てソフトウェアよりなる実施例、又はソフトウェアとハードウェアを組み合わせてなる実施例の形式を採用することができる。また、本開示は、コンピュータ使用可能なプログラムコードを含む一つ又は複数のコンピュータ使用可能な記憶媒体(マグネチックディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリ等を含むが、これらに限定されない)に実施されるコンピュータプログラム製品の形式を採用することができる。
【0086】
本開示は、本開示に係る方法、設備(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明されるものである。コンピュータプログラム指令により、フローチャート及び/又はブロック図におけるそれぞれのフロー及び/又はブロック、並びに、フローチャート及び/又はブロック図におけるフロー及び/又はブロックの組み合わせを実現できると理解されるべきである。これらのコンピュータプログラム指令を汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ又はその他のプログラマブルデータ処理設備のプロセッサに提供して一つのマシンを形成することで、コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理設備のプロセッサに実行される指令により、フローチャートの一つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の一つ又は複数のブロックにおける指定機能を実現するための装置を形成することができる。
【0087】
これらのコンピュータプログラム指令は、コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理設備を特定の方式で作動させるようにガイドできるコンピュータ読み取り可能なメモリに記憶されてもよい。当該コンピュータ読み取り可能なメモリに記憶される指令により、指令装置を備える製造品を形成する。当該指令装置はフローチャートの一つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の一つ又は複数のブロックにおける指定機能を実現させる。
【0088】
これらのコンピュータプログラム指令はコンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理設備にアップロードされてもよい。コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理設備で一連の操作ステップを実行し、コンピュータにより実現された処理を生成させる。コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理設備で実行される指令により、フローチャートの一つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の一つ又は複数のブロックにおける指定機能を実現するためのステップを提供する。
【0089】
本開示の精神と範囲を逸脱することなく様々な修正や変更を加えることができることは当業者にとって明らかである。このように、本開示のこれらの修正及び変更が本開示の請求の範囲及びその同等技術の範囲内に属すれば、これらの修正及び変更も本開示に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11