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特許7479527メモリデバイスおよびそのプログラミング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】メモリデバイスおよびそのプログラミング方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/10 20060101AFI20240426BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20240426BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240426BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240426BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240426BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240426BHJP
   H10B 43/30 20230101ALI20240426BHJP
   H10B 43/40 20230101ALI20240426BHJP
【FI】
G11C16/10 140
G11C16/04 170
H01L29/78 371
H10B43/27
H10B43/30
H10B43/40
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023024244
(22)【出願日】2023-02-20
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】18/090,499
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599129074
【氏名又は名称】旺宏電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】李 亞叡
(72)【発明者】
【氏名】陳 冠復
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-536959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/08
G11C 16/04
G11C 11/56
G11C 16/10
H10B 43/27
H01L 21/336
H10B 43/40
H10B 43/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリデバイスのためのプログラミング方法であって、前記メモリデバイスは、順に配置された第1のダミーワード線セット、複数のワード線、および第2のダミーワード線セットを含むメモリ・セル・アレイを有し、前記プログラミング方法は、
前記複数のワード線を複数のワード線グループにグループ化することと、
記複数のワード線グループの各々にそれぞれ対応する複数のパスバイアスを有する少なくとも1つのパス・バイアス・セットを生成することと、
プログラミングのために前記複数のワード線のうちの一つを選択し、前記選択されたワード線が前記複数のワード線グループの特定のワード線グループに属することを決定することと、
プログラミングシーケンスに従って、前記第1のダミーワード線セットおよび前記第2のダミーワード線セットの一方の少なくとも1つのダミーワード線に、前記少なくとも1つのパス・バイアス・セットの前記複数のパスバイアス内の対応するパスバイアスを印加し、前記対応するパスバイアスは、特定のワード線グループに対応することと、
含み、
前記プログラミングシーケンスが前記第1のダミーワード線セット側から前記第2のダミーワード線セット側である場合、前記少なくとも1つのパス・バイアス・セットが、前記第2のダミーワード線セットの前記少なくとも1つのダミーワード線に印加され、 前記複数のワード線グループの前記特定のワード線グループが前記第2のダミーワード線セットに近いほど、前記複数のパスバイアス内の前記対応するパスバイアスは高くなる、プログラミング方法。
【請求項2】
固定されたパスバイアスが、前記第2のダミーワード線セットの前記少なくとも1つのダミーワード線以外のダミーワード線に印加される、請求項に記載のプログラミング方法。
【請求項3】
前記第2のダミーワード線セットの前記少なくとも1つのダミーワード線以外の別のダミーワード線には、別のパス・バイアス・セットが印加される、請求項に記載のメモリデバイスのプログラミング方法。
【請求項4】
前記複数のワード線グループの各々内のワード線の数が、等しいかまたは異なる、請求項1に記載のプログラミング方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパス・バイアス・セット内の前記複数のパスバイアスが、異なる値を有する、請求項1に記載のプログラミング方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのパス・バイアス・セット内の前記複数のパスバイアスのうちの2つの隣接するパスバイアスが等しい、請求項1に記載のプログラミング方法。
【請求項7】
前記メモリデバイスが、2次元または3次元のNANDフラッシュメモリである、請求項1に記載のプログラミング方法。
【請求項8】
前記メモリデバイスのメモリセルが、シングル-レベルセル、ダブル-レベルセル、トリプル-レベルセル、またはクァッド-レベルセルである、請求項1に記載のプログラミング方法。
【請求項9】
順に配置された第1のダミーワード線セット、複数のワード線、および第2のダミーワード線セットを含むメモリ・セル・アレイと、
前記メモリ・セル・アレイを制御するメモリ制御回路とを含み、
前記メモリ制御回路は、プログラミング動作をさらに実行し、前記プログラミング動作は、
前記複数のワード線を複数のワード線グループにグループ化することと、
前記複数のワード線グループの各々にそれぞれ対応する複数のパスバイアスを有する、少なくとも1つのパス・バイアス・セットを生成することと、
プログラミングのために前記複数のワード線のうちの一つを選択し、前記選択されたワード線が前記複数のワード線グループの特定のワード線グループに属することを決定することと、
プログラミングシーケンスに従って、前記第1のダミーワード線セットおよび前記第2のダミーワード線セットの一方の少なくとも一つのダミーワード線に、前記少なくとも1つのパス・バイアス・セットの前記複数のパスバイアス内の対応するパスバイアスを印加し、前記対応するパスバイアスは、前記特定のワード線グループに対応することと、
含み、
前記プログラミングシーケンスが前記第1のダミーワード線セット側から前記第2のダミーワード線セット側である場合、前記少なくとも1つのパス・バイアス・セットが、前記第2のダミーワード線セットの前記少なくとも一つのダミーワード線に印加され、 前記複数のワード線グループの前記特定のワード線グループが前記第2のダミーワード線セットに近いほど、前記複数のパスバイアス内の前記対応するパスバイアスは高くなる、メモリデバイス。
【請求項10】
固定されたパスバイアスが、前記第2のダミーワード線セットの前記少なくとも一つのダミーワード線以外のダミーワード線に印加される、請求項に記載のメモリデバイス。
【請求項11】
前記第2のダミーワード線セットの前記少なくとも一つのダミーワード線以外の別のダミーワード線には、別のパス・バイアス・セットが印加される、請求項に記載のメモリデバイスのメモリデバイス。
【請求項12】
前記複数のワード線グループの各々内のワード線の数が、等しいかまたは異なる、請求項に記載のメモリデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのパス・バイアス・セット内の前記複数のパスバイアスが、異なる値を有する、請求項に記載のメモリデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのパス・バイアス・セット内の前記複数のパスバイアスのうちの2つの隣接するパスバイアスが等しい、請求項に記載のメモリデバイスのメモリデバイス。
【請求項15】
前記メモリデバイスが、2次元または3次元のNANDフラッシュメモリである、請求項に記載のメモリデバイス。
【請求項16】
前記メモリデバイスのメモリセルが、シングル-レベルセル、ダブル-レベルセル、トリプル-レベルセル、またはクァッド-レベルセルである、請求項に記載のメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリデバイスの動作方法に関し、より詳細には、メモリデバイスおよびそのプログラミング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレット、ラップトップ、スマートフォン、またはソリッド-ステートドライバなどのモバイル電子デバイスが、主データ記憶デバイスとしてNANDフラッシュメモリをますます採用し始めてきている。低コストで高密度なNANDフラッシュメモリの需要は、急速に高まっている。しかし、リソグラフィ技術の制限、セル間干渉、およびフローティングゲート内に蓄積される電子数の減少は、フローティングゲートNANDフラッシュメモリのさらなる小型化を妨げている。NANDフラッシュメモリの小型化問題を克服するために、様々なタイプの三次元(3D)積層電荷トラップNANDフラッシュメモリが、これらのメモリのスケーラビリティ、容易な製造、および結合フリー特性により、打開策として考慮されてきた。
【0003】
しかし、3Dメモリ構造の層数が48から96、128以上に増加するにつれて、メモリ・セル・アレイ内のワード線パターン効果は深刻になる傾向があり、最後のいくつかのワード線(底部側のワード線)をプログラミングする効果は、チャネルブーストを悪化させる。したがって、3Dメモリ構造が高く積み重なるにつれて、プログラミング障害が問題になってきている。
【0004】
図1は、プログラミング中の電圧印加の概略図である。メモリ・セル・アレイをプログラミングする際、選択されたワード線にはプログラミングバイアスVPが印加され、選択されていないワード線にはパスバイアスVPASSPが印加され、それにより、選択されていないワード線はイネーブルされない。また、メモリ・セル・アレイは、ダミーワード線をさらに含み、ダミーワード線にも、プログラミング中にパスバイアスVPASSPが印加される。既存の方法では、選択されたワード線がプログラミングされるとき、ダミーワード線に印加されるパスバイアスVPASSPは、固定される。
【0005】
図2(a)は、ダミーワード線の閾値電圧と各ワード線のプログラミング時間との間の関係を示すグラフであり、横軸はダミーワード線DWLB0の閾値電圧VTを表し、縦軸は各ワード線のプログラミング時間である。閾値電圧VTの値は、ワード線のそれぞれのプログラミングが行われる毎に記録される。しかし、図1から分かるように、3DNANDフラッシュメモリの上部ワード線WL95から底部ワード線WL0までプログラミングが実行される場合、ダミーワード線DWBL0の閾値電圧VTは、プログラミング回数の増加に伴って徐々に上昇する。
【0006】
図2(b)は、ダミーワード線の閾値電圧が高電圧に乱されていることを示す概略図である。図2(b)に示すように、横軸はワード線WL95から順にワード線WL0までのワード線の番号であり、縦軸はダミーワード線DWLB0の閾値電圧VTである。図2(b)から分かるように、ワード線WL95からワード線WL0が順にプログラミングされた後、ダミーワード線DWLB0の閾値電圧VTは、約0.5Vから乱され、約3Vに上昇する。
【0007】
ダミーワード線DWLB0の高い閾値電圧VTは、GIDL(ゲート誘起ドレインリーク)漏れを引き起こし、底部ワード線をプログラミングするときにチャネル電圧Vchが低減され、チャネル電圧ブースト不良をもたらす。パスバイアスVPASSPを低くすると、ダミーワード線DWLB0の閾値電圧が高電圧に乱されることを防止できるが、チャネル電圧のブーストが不十分であるという問題がある。その結果、底部ワード線をプログラミングすることで、プログラムの分布が悪くなる。
【0008】
したがって、3DNANDフラッシュメモリのプログラミング方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
以上の説明に基づいて、本発明は、メモリデバイスおよびそのプログラミング方法を提供する。各ワード線をプログラミングするとき、各ワード線プログラミングのために固定されたパスバイアスを印加するのではなく、パスバイアス電圧は、ダミーワード線に動的に印加される。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、メモリデバイスのためのプログラミング方法が提供される。メモリデバイスは、順に配置された第1のダミーワード線セット、複数のワード線、および第2のダミーワード線セットを含むメモリ・セル・アレイを有する。プログラミング方法は、複数のワード線を複数のワード線グループにグループ化することと、複数のワード線グループの各々にそれぞれ対応する複数のパスバイアスを有する少なくとも1つのパス・バイアス・セット生成することと、プログラミングのために複数のワード線のうちの1つを選択し、当該選択されたワード線が複数のワード線グループの特定のワード線グループに属することを決定することと、プログラミングシーケンスに従って、第1のダミーワード線セットおよび第2のダミーワード線セットの一方の少なくとも1つのダミーワード線に、少なくとも1つのパス・バイアス・セットの複数のパスバイアス内の対応するパスバイアスを印加し、当該対応するパスバイアスは特定のワード線グループに対応することと、を含む。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、メモリデバイスが提供され、メモリデバイスは、順に配置された第1のダミーワード線セット、複数のワード線、および第2のダミーワード線セットを含むメモリ・セル・アレイと、メモリ・セル・アレイを制御するメモリ制御回路とを備える。メモリ制御回路は、プログラミング動作をさらに実行し、当該プログラミング動作は、複数のワード線を複数のワード線グループにグループ化することと、複数のワード線グループの各々にそれぞれ対応する複数のパスバイアスを有する少なくとも1つのパス・バイアス・セットを生成することと、プログラミングのために複数のワード線のうちの1つを選択し、当該選択されたワード線が複数のワード線グループの特定のワード線グループに属することを決定することと、プログラミングシーケンスに従って、第1のダミーワード線セットおよび第2のダミーワード線セットの一方の少なくとも1つのダミーワード線に、少なくとも1つのパス・バイアス・セットの複数のパスバイアス内の対応するパスバイアスを印加し、当該対応するパスバイアスは特定のワード線グループに対応することとを含む。
【0012】
本発明の実施形態によれば、プログラミング方法において、プログラミングシーケンスが第1のダミーワード線セット側から第2のダミーワード線セット側である場合、少なくとも1つのパス・バイアス・セットは、第2のダミーワード線セットの少なくとも1つのダミーワード線に印加される。
【0013】
本発明の実施形態によれば、プログラミング方法において、複数のワード線グループの特定のワード線グループが第2のダミーワード線セットに近いほど、複数のパスバイアス内の対応するパスバイアスは高くなる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、プログラミング方法において、固定されたパスバイアスが、第2のダミーワード線セットの少なくとも1つのダミーワード線以外のダミーワード線に印加される。
【0015】
本発明の実施形態によれば、プログラミング方法において、第2のダミーワード線セットの少なくとも1つのダミーワード線以外の別のダミーワード線には、別のパス・バイアス・セットが印加される。
【0016】
本発明の実施形態によれば、プログラミング方法において、複数のワード線グループ内の各々のワード線の数は、等しいかまたは異なる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、プログラミング方法において、少なくとも1つのパス・バイアス・セット内の複数のパスバイアスは、異なる値を有する。
【0018】
本発明の実施形態によれば、プログラミング方法において、少なくとも1つのパス・バイアス・セット内の複数のパスバイアスの2つの隣接するパスバイアスは等しい。
【0019】
本発明の実施形態によれば、プログラミング方法において、メモリデバイスは、2次元または3次元のNANDフラッシュメモリである。
【0020】
本発明の実施形態によれば、プログラミング方法において、メモリデバイスのメモリセルは、シングル-レベルセル、ダブル-レベルセル、トリプル-レベルセル、またはクァッド-レベルセルである。
【0021】
本発明の上記の実施形態によれば、ダミーワード線に印加されるパスバイアスは、異なるワード線がプログラミングされるときに動的に変更することができる。プログラミング対象のワード線のプログラミングがダミーワード線から遠ざかっていくとき、ダミーワード線にはより低いパスバイアスが印加されて、ダミーワード線の閾値電圧が高く乱されることを防止する。プログラミングされるワード線がダミーワード線により近い場合、ダミーワード線には、より高いパスバイアスが印加されて、GIDL漏れを防止し、チャネル電圧ブーストを高める。このようにして、本発明の実施形態のプログラミング方法によれば、プログラム障害を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】プログラミング中の電圧印加の概略図である。
【0023】
図2図2(a)はダミーワード線の閾値電圧とワード線の各々のプログラミング回数との間の関係を示すグラフである。
【0024】
図2(b)はダミーワード線の閾値電圧が高電圧に乱れていることを示す概略図である。
【0025】
図3】3次元メモリ構造を示す概略図である。
【0026】
図4】各ワード線の構造を示す概略図である。
【0027】
図5図5(a)は本発明の一実施形態のプログラミング方法による、ダミーワード線にパスバイアス電圧を印加する方法を示す図である。図5(b)は本発明の一実施形態のプログラミング方法による、ダミーワード線にパスバイアス電圧を印加する方法を示す別の図である。図5(c)は本発明の一実施形態のプログラミング方法による、ダミーワード線にパスバイアス電圧を印加する方法を示す別の図である。
【0028】
図6】本発明の別の実施形態による適用例の図である。
【0029】
図7】本発明の実施形態によるフラッシュメモリの制御回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態は、メモリデバイスのプログラミング方法である。3DNANDフラッシュメモリを例に挙げると、3DNANDフラッシュメモリは、順に配置されたダミーワード線の第1のセット、複数のワード線、およびダミーワード線の第2のセットを含むメモリ・セル・アレイを有する。プログラミング方法では、複数のワード線は、複数のワード線グループにグループ化される。複数のワード線グループの各々にそれぞれ対応する複数のパスバイアスを有する少なくとも1つのパス・バイアス・セットが、生成される。次いで、複数のワード線のうちの1つが、プログラミング用に選択される。選択されたワード線が複数のワード線グループの特定のワード線グループに属することを決定する。プログラミングシーケンスに従い、少なくとも1つのパス・バイアス・セットの複数のパスバイアス内の対応するパスバイアスが、第1のダミーワード線セットおよび第2のダミーワード線セットの一方のダミーワード線のうちの少なくとも1つに印加される。対応するパスバイアスは、特定のワード線グループに対応する。次に、本発明の実施形態のプログラミング方法について詳細に説明する。
【0031】
以下、3DNANDフラッシュメモリを例示として使用するが、本発明はこれに限定されず、任意の3Dメモリ構造に適用することができる。また、本発明は、2Dメモリにも適用可能である。
【0032】
図3は、本発明の実施形態の適用例としてのメモリ構造を示しており、3DNANDフラッシュメモリの部分構造を示している。図3に示す3DNANDフラッシュメモリの概略構造は、垂直方向zに形成された複数のワード線WL0~WL95(一例として96本のワード線を用いる)を有し、さらに垂直チャネルVCが、3次元垂直方向zに沿って形成されている。各ワード線は、xy平面内を延びる。加えて、ワード線WL0の下方には、底部ダミーワード線DWLB1およびDWLB0がさらに配置され、ワード線WL95の上方には、上部ダミーワード線DWLT1およびDWLT0も配置される。ここでは、2本の底部ダミーワード線および2本の上部ダミーワード線を示しているが、その本数は特に限定されず、要求に応じて適宜調整することができる。
【0033】
加えて、3DNANDフラッシュメモリは、ソース線を互いに接続する共通ソース線(CSL)をさらに備えることができる。3DNANDフラッシュメモリはまた、上部ダミーワード線DWLT1の上方に配置され得る選択線SSL0、SSL1、SSL2などを備えることもできる。3DNANDフラッシュメモリはまた、底部ダミーワード線の下側にあるグローバルソース線(GSL)と、ビットラインを接続するために上部ダミーワード線の上方に形成され得るグローバルビット線(GBL)とを備えることもできる。図3に示す3DNANDフラッシュメモリの構造は、ワード線(データワード線)WL0~WL95とダミーワード線との関係を理解するための便宜上のものにすぎず、本発明の実施態様を限定することを意図していない。
【0034】
図4は、各ワード線の構造を示す概略図であり、図3に示すワード線の拡大図である。図4に示すように、3DNANDフラッシュメモリは、垂直チャネルVCによって貫通される複数のワード線WL0~WL95を備える。垂直チャネルVCは、誘電体層コア10と、誘電体層コア10を取り囲むチャネル層20と、ワード線WL0~WL95の各々とチャネル層20との間の電荷トラップ層30とを有する。チャネル層20は、例えば、ポリシリコンで形成され、電荷トラップ層は、例えば、酸化物-窒化物-酸化物(ONO)層で形成される。なお、ここで示した構成は、本発明のプログラミング方法を適用することができる3DNANDメモリの一例にすぎず、本発明の方法は何らメモリ構成に限定されるものではない。
【0035】
本発明の実施形態のプログラミング方法は、複数のワード線を複数のワード線グループWLGi(i=1~n本、n本のグループ)にグループ化することである。さらに、ダミーワード線(例えば、前述のダミーワード線DWLB0)に印加されるパスバイアスは、プログラミング中に選択されるワード線がどのワード線グループに属するかに応じて動的に変更される。基本的には、選択されたワード線が属するワード線グループがダミーワード線に近いほど、ダミーワード線に印加されるパスバイアスは高くなる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、ダミーワード線に印加されるパスバイアスは、パス・バイアス・セットから選択されてもよく、パス・バイアス・セットは、複数のパスバイアスVPASSPi(i=1~n個、n個のパスバイアス)を含む。すなわち、パス・バイアス・セットのパスバイアスVPASSPiの数は、ワード線グループWLGiの数と同じであってもよい。選択されたワード線がどのワード線グループWLGiに属するかが決定されると、決定されたワード線グループに対応するパスバイアス電圧VPASSPiが、ダミーワード線に印加される。このように、プログラミング中、選択されたワード線が属するワード線グループWLGiに応じて、パスバイアスVPASSPiをダミーワード線に動的に印加することができる。
【0037】
さらに、底部ダミーワード線とするダミーワード線を例に挙げると、ワード線グループWLGiは、上部ワード線から底部ワード線に向かって順に配置される。プログラム動作中、ワード線グループ(例えば、WLG(n-1)、WLGnなど)が底部ダミーワード線から離れるほど、対応するパスバイアスVPASSP(n-1)およびVPASSPnは小さくなる。ワード線グループ(例えばワード線グループWLG1、WLG2など)が底部ダミーワード線に近いほど、対応するパスバイアスVPASSP1およびVPASSP2は高くなる。したがって、パス・バイアス・セットの複数のパスバイアスVPASSPiは、以下の関係を満たす。
VPASSPi<VPASSPj、1≦i、j≦nおよびi<jである。
【0038】
上記で説明したプログラミング方法により、ダミーワード線に印加されるパスバイアスVPASSPiを、異なるワード線がプログラミングされるのにときに動的に変更することができる。ダミーワード線からより遠いワード線(すなわち、より先にプログラミングされたワード線)がプログラミングのために選択される場合、ダミーワード線には、より小さいパスバイアスVPASSPが印加される。これにより、ダミーワード線の閾値電圧VTが高く乱されることを防止することができる。ダミーワード線により近いワード線(すなわち、プログラミングされる最後のいくつかのワード線)がプログラミングのために選択される場合、ダミーワード線には、より大きなパスバイアスVPASSPが印加される。これにより、GIDL漏れを防止することができ、チャネル電圧ブーストを高めることができる。したがって、実施形態のプログラミング方法を使用することにより、プログラム障害を大幅に改善することができる。
【0039】
さらに、ワード線のグループ化は、製造プロセス条件に適合するように任意の方法で行うことができる。上記のプログラミング方法は、すべてのダミーワード線に適用することができる。以下、本発明の実施形態によるプログラミング方法を図を参照してさらに説明する。プログラミング中、パスバイアスをダミーワード線に動的に印加することができる。
【0040】
図5(a)~(c)は、本発明の実施形態によるプログラミング方法の概念による概略図を示す。上述したように、本発明のプログラミング方法では、固定されたパスバイアスVPASSPを印加するのではなく、ダミーワード線に印加されるパスバイアスは、動的に印加される。
【0041】
ここでも、図3に示す3DNANDフラッシュメモリが一例として使用され、3DNANDフラッシュメモリの底部およびワード線WL0の下方に、96本のワード線WL0~WL95および3本のダミーワード線DWLB2、DWLB1、DWLB0が順に存在する。ダミーワード線DWLB0の下方には、ゲート選択線GSLがある。ここで、ワード線およびダミーワード線の本数は、説明の便宜上のものにすぎず、本発明において特に限定されるものではない。
【0042】
さらに、説明例として、ワード線は3つのグループに分けられ、第1のグループは、ワード線WL94、WL95などの上部付近のワード線を含む。第2のグループは、ワード線WL50の上下のワード線など、中央位置に近いワード線を含む。第3のグループは、ワード線WL1、WL0などの底部付近のワード線を含む。ここで、上記のグループ化は、ダミーワード線DWLB0~DWLB2に対するパスバイアスVPASSPiの動的な印加の概念を説明するために用いられているにすぎず、各ワード線グループの境界(すなわち、グループ化)は、特に限定されない。さらに、この実施形態では、上部ワード線WL95から底部ワード線WL0への順次のプログラミング動作を例として説明するが、プログラミングシーケンスは、底部ワード線WL0から上部ワード線WL95であってもよい。その他、連続的なプログラミング動作に加えて、本発明のプログラミング方法は、ワード線を任意に選択するプログラミング動作に適用することもできる。
【0043】
図5(a)に示すように、ワード線WL94がメモリセルをプログラミングするために選択された場合、ワード線WL94は、上部付近の第1のワード線グループに属する。このとき、選択されたワード線WL94にはプログラミングバイアスVPが印加され、選択されていないワード線WL0~WL93およびWL95にはパスバイアスVPASSPが印加される。加えて、パスバイアスVPASSP1_DWLB0が、ダミーワード線DWLB0に印加される。ここで、ワード線WL94はダミーワード線DWLB0から遠く離れており、パスバイアス電圧VPASSP1_DWLB0は、より低い値を有する。
【0044】
図5(b)に示すように、ワード線WL50がメモリセルのプログラミングのために選択された場合、ワード線WL50は、中央付近の第2のワード線グループに属する。このとき、選択されたワード線WL50にはプログラミングバイアスVPが印加され、選択されていないワード線WL0~WL49およびWL51~WL95にはパスバイアスVPASSPが印加される。また、パスバイアス電圧VPASSP2_DWLB0が、ダミーワード線DWLB0に印加される。パスバイアスVPASSP2_DWLB0は、パスバイアスVPASSP1_DWLB0よりも高い。ここで、ワード線WL50はワード線WL95よりもダミーワード線DWLB0の近くにあり、パスバイアスVPASSP2_DWLB0は中間値を有する。
【0045】
図5(c)に示すように、ワード線WL1がメモリセルのプログラミングのために選択された場合、ワード線WL1は、底部付近の第3のワード線グループに属する。このとき、選択されたワード線WL1にはプログラミングバイアスVPが印加され、選択されていないワード線WL0、WL2~WL95にはパスバイアス電圧VPASSPが印加される。さらに、パスバイアスVPASSP3_DWLB0が、ダミーワード線DWLB0に印加される。パスバイアスVPASSP3_DWLB0は、パスバイアスVPASSP2_DWLB0よりも大きい。ここで、ワード線WL1はワード線WL50よりもダミーワード線DWLB0の近くにあり、パスバイアスVPASSP3_DWLB0は、より高い値を有する。
【0046】
上記の説明から、ダミーワード線DWLB0に適用されるパスバイアスVPASSPi_DWLB0(i=1~3)は、異なるワード線、すなわち、VPASSP1_DWLB0(上部(第1の)ワード線グループに対応する)<VPASSP2_DWLB0(中央(第2)のワード線グループに対応する)<VPASSP3_DWLB0(底部(第3の)ワード線グループに対応する)で動的に変更される。
【0047】
上記の例示的な例では、ダミーワード線DWLB0にパスバイアスを動的に印加することができるが、ダミーワード線DWLB1に動的印加方法をさらに適用してもよく、またはすべてのダミーワード線DWLB0~DWLB2が動的印加方法を使用してもよい。
【0048】
以下、本実施形態によるプログラミング方法の特定の例を説明するために、さらに例を挙げる。この実施形態では、図3に示す3DNANDフラッシュメモリが依然として例として挙げられており、3DNANDフラッシュメモリの底部およびワード線WL0の下方に位置する96本のワード線WL0~WL95および3本のダミーワード線DWLB2、DWLB1、DWLB0が順に存在する。ダミーワード線DWLB0の下方には、ゲート選択線GSLがある。ここで、ワード線およびダミーワード線の本数は、説明の便宜上のものにすぎず、本発明において特に限定されるものではない。
【0049】
また、この例では、プログラミングシーケンスは上部から底部へ、すなわちワード線WL95からワード線WL0である。当然ながら、プログラミングシーケンスは、底部から上部までであってもよく、本発明はプログラミングシーケンスを特に限定しない。
【0050】
この例では、96本のワード線WL0~WL95は、以下の6つのグループに分けられる。
ワード線グループWLG1:ワード線WL48~95
ワード線グループWLG2:ワード線WL24~47
ワード線グループWLG3:ワード線WL12~23
ワード線グループWLG4:ワード線WL6~11
ワード線グループWLG5:ワード線WL3~5
ワード線グループWLG6:ワード線WL0~2
【0051】
この例では、各グループ内のワード線の数が異なる。上部に近いワード線グループ1内のワード線の数は多く、例えば48本である。底部に最も近いワード線グループWLG6内のワード線の数は少なく、例えば3本である。当然ながら、本発明の例は、ワード線グループの数を特に限定せず、プログラム障害に対処するための実際の要求に応じて、6つ未満または6つを超えるグループに分割することができる。
【0052】
加えて、この実施形態では、6つのワード線グループの各々内のワード線の数は同じではないが、本発明は、このグループ化方式に限定されず、各ワード線グループ内のワード線の数は同じであってもよい。
【0053】
表1は、本発明の実施形態のプログラミング方法に従って底部ダミーワード線DWLB0~DWLB2の各々に適用され得るパスバイアスの例示的な例を列挙している。
【0054】
【表1】
【0055】
表1は、プログラミング中に底部ダミーワード線DWLB0~DWLB2にそれぞれ印加される3つのパス・バイアス・セットを提供する。本発明の実施形態によれば、動的パスバイアス印加が適用される対象は、複数の底部ダミーワード線DWLB0~DWLB2のうちの少なくとも1つであってもよい。この例では、例示のために、パスバイアスVPASSP1_DWLB0~VPASSP6_DWLB0を含む第1のパス・バイアス・セットが、底部ダミーワード線DWLB0に印加される。
【0056】
この例では、上部ワード線WL95から底部ワード線WL0まで順にプログラミング方法が実行される。選択されたワード線が底部ダミーワード線DWLB0に近いほど、高いパスバイアスが印加される。第1のパス・バイアス・セット内のパスバイアスは増大され、ダミーワード線DWLB0に印加され、6つのパスバイアスVPASSP1_DWLB0~VPASSP6_DWLB0を含むことができ、これらの6つのパスバイアスは、以下の関係を満たす:
VPASSP1_DWLB0(WLG1に対応する)<VPASSP2_DWLB0(WLG2に対応する)<VPASSP3_DWLB0(WLG3に対応する)<VPASSP4_DWLB0(WLG4に対応する)<VPASSP5_DWLB0(WLG5に対応する)<VPASSP6_DWLB0(WLG6に対応する)。
【0057】
ここで、6つのパスバイアスは、上記6つのワード線グループWLG1~WLG6にそれぞれ対応する。例えば、ワード線WL95がプログラミングのために選択される場合、ワード線WL95は、ワード線グループWLG1に属する。選択されたワード線WL95は、底部ダミーワード線DWLB0から最も遠い。ワード線グループWLG1に対応する底部ダミーワード線DWLB0のパスバイアスは、パスバイアスVPASSP1_DWLB0である。したがって、ワード線WL95がプログラミングのために選択される場合、パスバイアスVPASSP1_DWLB0が、底部ダミーワード線DWLB0に印加される。さらに、ワード線WL23がプログラミングのために選択される場合、ワード線WL23は、ワード線グループWLG3に属する。選択されたワード線WL23は、底部ダミーワード線DWLB0により近い。ワード線グループWLG3に対応する底部ダミーワード線DWLB0のパスバイアスは、パスバイアスVPASSP3_DWLB0である。したがって、ワード線WL23がプログラミングのために選択される場合、パスバイアスVPASSP3_DWLB0が、底部ダミーワード線DWLB0に印加される。さらに、ワード線WL2がプログラミングのために選択される場合、ワード線WL2はワード線グループWLG6に属する。底部ダミーワード線DWLB0と選択されたワード線WL2との間の距離は非常に短い。ワード線グループWLG6に対応する底部ダミーワード線DWLB0のパスバイアスは、パスバイアスVPASSP6_DWLB0である。したがって、ワード線WL2がプログラミングのために選択される場合、パスバイアスVPASSP6_DWLB0が、底部ダミーワード線DWLB0に印加される。上記で説明したように、本発明の実施形態によれば、選択ワード線が属するワード線グループが底部ダミーワード線DWLB0に近いほど、底部ダミーワード線DWLB0に印加されるパスバイアスVPASSPi_DWLB0は、動的に大きくなる。
【0058】
さらに、上記の例では、パスバイアスは、プログラミング対象のワード線に応じて、動的に変更され、底部ダミーワード線DWLB0の1つだけに印加されている。このとき、他の底部ダミーワード線DWLB1、DWLB2には、固定されたパスバイアスVPASSP、すなわち選択されていないワード線に印加されるパスバイアスVPASSPと同じパスバイアスVPASSPが印加され得る。本発明の実施形態によれば、底部ダミーワード線の1つにパスバイアスが動的印加方法で印加される限り、ダミーワード線の閾値電圧VTが高電圧に乱される問題を抑制することができ、GIDLリークを防止することができ、チャネル電圧のブーストを高めることができる。
【0059】
さらに、本発明の別の実施形態によれば、他の底部ダミーワード線DWLB1およびDWLB2にも、底部ダミーワード線DWLB0と同様にパスバイアスを動的に印加することができる。このとき、例えば、パスバイアスVPASSP1_DWLB1からVPASSP6_DWLB1を含む第2のパス・バイアス・セットを底部ダミーワード線DWLB1に印加することができる。加えて、例えば、パスバイアスVPASSP1_DWLB2からPASSP6_DWLB2を含む第3のパス・バイアス・セットを底部ダミーワード線DWLB2に印加することもできる。加えて、第2のパス・バイアス・セットおよび第3のパス・バイアス・セットは、第1のパス・バイアス・セットと同じ動的方法で印加される。
【0060】
ここで、第1~第3のパス・バイアス・セットは、以下の関係を有する。各パス・バイアス・セットにおいて、パスバイアスが同一のワード線グループに対応する場合、パスバイアスは、対象のダミーワード線がワード線側に近いほど大きい。表1に示すように、底部ダミーワード線DWLB2は、底部ダミーワード線DWLB1、DWLB0よりもワード線側に近い。パスバイアスVPASSPi_DWLB2は、パスバイアスVPASSPi_DWLB1よりも大きく、パスバイアスVPASSPi_DWLB1は、パスバイアスVPASSPi_DWLB0よりも大きい。
【0061】
さらに、各パス・バイアス・セット内のパスバイアスは、異なり、増加している。本発明の別の実施形態によれば、各パス・バイアス・セット内のパスバイアスは、漸進的に増加することができるが、2つの隣接するパスバイアスは、同じであってもよい。例えば、第1のパス・バイアス・セットを挙げると、パスバイアスは、2V、2.5V、3V、3V、4.6V、および5.5Vのように徐々に増加することができる。
【0062】
図6は、本発明の別の実施形態による適用例の図である。図6に示す3Dメモリにおいて、ワード線のスタックは、複数のデッキ構造(デッキ)を含むことができ、デッキ構造の各々は、図3に示すような構造であってもよい。各デッキ構造は、上下の側にダミーワード線セットを有する。図6の例では、ワード線スタックは、順に積層された3つのデッキ構造Deck1、Deck2、およびDeck3を含む。さらに、ワード線スタックは、上部から底部へ順にダミーワード線セットDWLV3、DWLV2、DWLV1、DWLV0を含むことができる。
【0063】
次に、上部から底部へのプログラミングシーケンスを挙げる。図6に示すグループAの例では、プログラミングのために選択されたワード線がデッキ構造Deck3内にある場合、上述した動的パスバイアス印加をダミーワード線セットDWLV2内の少なくとも1つのダミーワード線に適用することができる。この例では、ダミーワード線セットDWLV2内の少なくとも1つのダミーワード線における動的パスバイアスの電圧範囲は、例えば、2V~5Vである。さらにグループAでは、プログラミングのために選択されたワード線がデッキ構造Deck3を通過するとき、ダミーワード線セットDWLV2内の少なくとも1つのダミーワード線のパスバイアスは、5Vのままである。さらに、図6に示すグループBの例のように、選択されたワード線がデッキ構造Deck3またはDeck2内にある場合、上述した動的パスバイアス印加をダミーワード線セットDWLV1内の少なくとも1つのダミーワード線に適用することができる。この例では、ダミーワード線セットDWLV1内の少なくとも1つのダミーワード線における動的パスバイアスの電圧範囲は、例えば、2V~6Vである。さらにグループBでは、プログラミングのために選択されたワード線がデッキ構造Deck2を通過するとき、ダミーワード線セットDWLV1内の少なくとも1つのダミーワード線のパスバイアスは、6Vのままである。さらに、図6のグループCの例に示すように、選択されたワード線がデッキ構造Deck3、Deck2、またはDeck1内にある場合、上述した動的パスバイアス印加をこれらのうちの少なくとも1つ内のダミーワード線セットDWLV0に適用することができる。この例では、ダミーワード線セットDWLV0内の少なくとも1つのダミーワード線における動的パスバイアスの電圧範囲は、例えば、2V~7Vである。さらにグループCでは、プログラミングのために選択されたワード線がデッキ構造Deck1の底部に近いとき、ダミーワード線セットDWLV0内の少なくとも1つのダミーワード線のパスバイアスは、7Vに近づく。ダミーワード線セットDWLV0~DWLV2については、ダミーワード線セットDWLV0が、最も底部にある。ダミーワード線セットDWLV0に対する最大パスバイアスは、ダミーワード線セットDWLV1に対する最大パスバイアスよりも大きい。ダミーワード線セットDWLV1に対する最大パスバイアスは、ダミーワード線セットDWLV2に対する最大パスバイアスよりも大きい。同様に、本実施形態では、ダミーワード線に印加されるパスバイアスも、選択されたワード線によって動的に変更することができる。
【0064】
加えて、上記の例は、ワード線が上部から底部への順序でプログラミングのために選択されることを示しているが、上述したように、ワード線は、底部から上部への順序でプログラミングのために選択することもできる。動的パスバイアスの印加対象は、ダミーワード線セットDWLV3、DWLV2、およびDWLV1ある。
【0065】
図7は、本発明の実施形態によるフラッシュメモリの制御回路を示すブロック図である。図7は、実際の回路アーキテクチャおよび行デコーダ、列デコーダ、電圧生成回路、様々なバッファ、制御論理、I/O回路などの機能ブロックに関する簡易化された概略図を示し、当業者は、これらを本発明の概念に基づいて必要に応じて適切に設計することができる。
【0066】
図7に示すように、フラッシュメモリは、メモリ制御回路100と、メモリ・セル・アレイ110とを少なくとも含むが、これらに限定されない。メモリ・セル・アレイ110は、アレイ状に配置された複数のメモリセルを備える。メモリ・セル・アレイ110は、順に配置された第1のダミーワード線セット、複数のワード線、および第2のダミーワード線セットをさらに備える。メモリ・セル・アレイ110は、共通ソース線およびビット線などをさらに備えることができ、複数のワード線、共通ソース線およびビット線にバイアス電圧を印加することによって、読み出し、プログラミングまたは消去などの動作がフラッシュメモリ内のメモリセル上で実行される。ここで、メモリ・セル・アレイ110は、特に限定されない。上述したように、メモリ・セル・アレイ110は、3Dまたは2DのNANDフラッシュメモリ・セル・アレイとすることができる。
【0067】
メモリ制御回路100は、基本的に、読み出し、プログラミング、および消去などを含むメモリ・セル・アレイ110のすべての動作を制御するために使用される。ここでは、プログラミング方法について説明し、読み出しおよび消去動作は、省略された任意の既存の動作方法とすることができる。
【0068】
メモリ制御回路100は、選択ワード線に対するプログラミングバイアスVPと、選択されないワード線に対する固定されたパスバイアスVPASSPと、ダミーワード線に印加される複数のパスバイアスVPASSPi(ダミーワード線の少なくとも一本に提供される)とを生成する。メモリ制御回路100は、複数のワード線をワード線グループに分割することができる。グループ化は、製造後に工場内でメモリ制御回路100に書き込むことができ、または工場から出荷された後にプログラミング方式によってグループ化することができる。ここで、ワード線のグループ化方法については、上記の詳細な説明を参照されたい。
【0069】
この例では、上部から底部へのプログラミングシーケンスが依然として例示のために使用され、メモリ・セル・アレイ110は、底部ダミーワード線DWLB0~DWLB2を含む。上述したように、メモリコントローラ100によって生成されたプログラミングバイアスVPは、選択されたワード線に印加され、他の選択されないワード線には、固定されたパスバイアスVPASSPが印加される。加えて、特定のワード線が選択された後、メモリコントローラ100は、特定のワード線がどのワード線グループに属するかを決定することができる。次に、底部ダミーワード線DWLB0~DWLB2のうちの1つを、動的パスバイアスVPASSPiが適用されるターゲットとして選択することができる。メモリコントローラ100は、底部ダミーワード線DWLB0~DWLB2の各々について、対応するパスバイアスVPASSPi_DWLB0、VPASSPi_DWLB1、およびVPASSPi_DWLB2を生成することができる。
【0070】
底部ダミーワード線DWLB0~DWLB2(例えば、DWLB0)のうちの少なくとも1つが動的パスバイアスを適用するように選択される場合、各ワード線をプログラミングするとき、パスバイアスVPASSPi_DWLB0が、底部ダミーワード線DWLB0に提供される。加えて、その他の底部ダミーワード線DWLB1~DWLB2には、固定されたパスバイアスVPASSPが印加されてもよく、または動的パスバイアスVPASSPi_DWLB1およびVPASSPi_DWLB2が印加されてもよい。詳細なプログラミング方法は、上記の説明を参照することができ、ここでは省略する。
【0071】
上記の実施形態は、3DNANDフラッシュメモリを挙げるが、本発明は、NAND型フラッシュメモリに限定されない。他のタイプのメモリも適用することできる。さらに、3DNANDフラッシュメモリに加えて、2Dフラッシュメモリにも本発明のプログラミング方法を適用することができる。加えて、グループ化の方法は、上記実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0072】
加えて、本発明のプログラミング方法は、2Dまたは3Dメモリに適用可能であるだけでなく、1ビットのシングル-レベルセル(SLC)、2ビットのダブル-レイヤセル、3ビットのトリプル-レベルセル(トリプル-レベルセル、TLC)、または4ビット以上を記憶するクァッド-レベルセル(QLC、またはマルチレベルセル(MLC))を記憶するメモリセルにも適用可能である。
【0073】
要約すると、本発明によれば、上述のプログラミング方法を使用することにより、ダミーワード線に印加されるパスバイアスを、異なるワード線がプログラミングされるときに動的に変更することができる。ダミーワード線からより離れたワード線をプログラミングする際には、ダミーワード線にはより低いパスバイアスが印加され、それによってダミーワード線の閾値電圧が高く乱されることを防止する。ダミーワード線により近いワード線をプログラミングする際には、ダミーワード線には、より高いパスバイアスが印加され、それによって、GIDL漏れを防止し、チャネル電圧ブーストを高める。したがって、本発明の実施形態のプログラミング方法によって、プログラム障害を大幅に改善することができる。
【要約】      (修正有)
【課題】メモリデバイス及びそのプログラミング方法を提供する。
【解決手段】メモリ・セル・アレイは、順に配置された第1のダミーワード線セットDWWLT1、0、複数のワード線WL95~WL0及び第2のダミーワード線セットDWLB1、0を含む。プログラミング方法は、ワード線をワード線グループにグループ化することと、各ワード線グループに夫々対応する複数のパスバイアスを有する少なくとも1つのパス・バイアス・セットを生成することと、プログラミングのために一つのワード線を選択し、選択したワード線を特定のワード線グループに属させることと、プログラミングシーケンスに従って、第1、第2のダミーワード線セットの一方の少なくとも1つのダミーワード線に、少なくとも1つのパス・バイアス・セットの複数のパスバイアス内の対応するパスバイアスを印加し、対応するパスバイアスを特定のワード線グループに対応させることと、を含む。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7