(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】摩耗部品の監視
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
E02F9/26 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023109033
(22)【出願日】2023-07-03
(62)【分割の表示】P 2022154721の分割
【原出願日】2014-11-25
【審査請求日】2023-08-02
(32)【優先日】2013-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518269669
【氏名又は名称】エスコ・グループ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ビューリー,エリック・エル
(72)【発明者】
【氏名】カウギル,ノア
(72)【発明者】
【氏名】ブロムバーグ,ジョゼフ・イー
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0227645(US,A1)
【文献】特開昭62-202131(JP,A)
【文献】米国特許第5592092(US,A)
【文献】特開平06-128985(JP,A)
【文献】特開2011-196070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木作業機材上で使用される摩耗組立体であって、前記摩耗組立体が、
前記土木作業機材に対して固定される基部であって、前記基部が支持機能を持たず、かつ可視である場合に電子センサによって検出可能な独自の特徴部分を有する、基部と、
前方端部および後方端部を有する摩耗部材であって、前記後方端部が前記基部を受けるための設置部分を有する、摩耗部材と、
前記基部に対して前記摩耗部材を着脱自在に固定するための固定機構と
を備え、
前記摩耗部材が前記基部上に設置されている場合には前記独自の特徴部分が隠され、前記摩耗部材が前記基部上に設置されていない場合には前記摩耗部材が存在しないことを指示するために前記独自の特徴部分が可視となる、
摩耗組立体。
【請求項2】
前記独自の特徴部分は、前記基部の上側外部表面の中に、切り入れられるか、鋳造されるか、または、鍛造されるパターン、溝および/または隆起部である、請求項1に記載の摩耗組立体。
【請求項3】
残った前記独自の特徴部分の数が前記電子センサによって検出可能である、請求項1に記載の摩耗組立体。
【請求項4】
監視システムであって、
可視である場合に、基部上の独自の特徴部分を検出する少なくとも1つの電子センサであって、前記独自の特徴部分が支持機能を持たない、少なくとも1つの電子センサと、
無線デバイスからセンサ情報を受信する遠隔デバイスであって、前記少なくとも1つの電子センサが前記無線デバイスと無線通信を行う、遠隔デバイスと、
少なくとも1つの前記センサ情報を使用して、前方端部および後方端部を有する摩耗部材が存在することを検出するプロセッサであって、前記後方端部が前記独自の特徴部分の検出に基づいて前記基部を受けるための設置部分を有する、プロセッサと、
を備える、
監視システム。
【請求項5】
前記独自の特徴部分は、前記基部の上側外部表面の中に、切り入れられるか、鋳造されるか、または、鍛造されるパターン、溝および/または隆起部である、請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
残った前記独自の特徴部分の数が前記電子センサによって検出可能である、請求項4に記載の監視システム。
【請求項7】
前記摩耗部材は、先端部、シュラウド、アダプタおよび/またはポイントの少なくとも1つである、請求項4に記載の監視システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電子センサは、バケットの内部または壁面に固定されている、請求項4に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、2013年11月25日に出願された、「Wear Part Monitoring」と題される米国仮特許出願第61/908458号の優先権を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、多様な種類の土木作業(earth working)機材上で使用される摩耗部品の状態、健全度(health)および性能を監視するためのシステムおよびツールに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]採鉱および建築では、摩耗部品(例えば、歯、シュラウドおよびリップ)は、通常、下にある機材を過度の摩耗から保護することを目的として、また一部の場合では、採掘用縁部(digging edge)より先に地面土を粉砕するなどの他の機能をさらに実行することを目的として、掘削機材の縁部に沿うように設けられる。例えば、ドラグラインマシン(dragline machine)、ケーブルショベル、フェースショベルおよび油圧掘削機などのための、バケットは、通常、バケットのリップに取り付けられる掘削歯およびシュラウドなどの複数の摩耗構成要素を装備する。歯は、通常、バケットのリップに対して固定されるアダプタと、地面土に最初に接触してバケットの採掘用縁部より先に地面土を粉砕するための、アダプタに取り付けられる摩耗部材とを有する。
【0004】
[0004]使用時、摩耗部品は通常は大きい荷重を受け、大きくすり減った状態となり、それにより、場合によっては、摩耗部品が掘削機械から外れて失われることがある。例えば、バケットが地面土に係合されるとき、ポイントとしても知られる摩耗部材がアダプタから失われる場合がある。掘削機械のオペレータは摩耗部品がいつ失われたのかを常に知ることは不可能である。失われた摩耗部品が下流(downstream)の掘削機材に損害を与える可能性があることはよく知られている。例えば、失われた摩耗部材は、コンベア、ふるい(screen)、ポンプおよび粉砕機の停止時間を拡大させるような損害を与える可能性がある。例えば、摩耗部品が粉砕機内に巻き込まれる場合、摩耗部品が外に押し出されて作業者を危険にさらす可能性があり、また、摩耗部品が詰まる可能性もあり、その場合はオペレータが摩耗部品を取り除く必要があり、これは場合によっては、困難で、時間のかかる、および/または、危険な、プロセスとなる可能性がある。また、摩耗部品を欠いた状態で掘削機材を動作させ続けると、生産量が低下する可能性があり、掘削機材上の他の構成要素が過度に摩耗する可能性もある。
【0005】
[0005]すり減った状態では、摩耗部品は最終的に摩耗することになる。摩耗部品が適切なタイミングで交換されない場合、過度に摩耗した摩耗部品が失われる可能性があり、生産量が低下する可能性があり、また、掘削機材の他の構成要素が不必要に摩耗する可能性がある。
【0006】
[0006]摩耗部材がいつ摩耗または損傷したかのタイミングおよび交換が必要なるタイミングを監視するのに、成功の程度の差こそあれ、複数のシステムが使用されてきた。例えば、Motion Metricsから販売されるTooth-Wear MonitoringシステムおよびMissing Tooth Detectionシステムは、掘削機材のショベルブーム上に設置される光学カメラを使用する。また、米国特許第8,411,930号が、損傷した摩耗部材または欠いている摩耗部材を検出するためのシステムおよび方法に関する。システムが、ショベルブーム上に好適には設置される耐震性ビ
デオカメラを有する。上記のシステムはショベルブームの上に位置することから、システムは採掘・投棄作業の一部のみで摩耗部材に対する明瞭な視界を有することになる。結果として、摩耗部材が失われたことまたは摩耗部材を交換することが必要であることをこのシステムが即座に検知しない可能性がある。また、摩耗部材が失われたことをシステムが不正確に検知する場合、摩耗部材が本当に失われていることを、および、物体がシステムによる視界を妨害することにより誤ったアラームを示しているのではないことを確認するためにはシステムは次の採掘・投棄サイクルまで待つ必要がある可能性がある。
【0007】
[0007]掘削機械上の基部に対して摩耗部材が固定されているかどうかを監視するのに、成功の程度の差こそあれ、複数の他のシステムが使用されてきた。例えば、摩耗部材の有無を検出するために、摩耗部材と基部との間に機械的システムが据え付けられたりしてきた。米国特許第6,870,485号では、システムが摩耗部品の間にばね式スイッチを含有する。摩耗部品が分離されるとき、電気スイッチが無線送信器を起動し、その無線送信器は摩耗部品が失われていることをオペレータに警告する。米国特許第5,743,031号では、システムが、歯に取り付けられるインジケータと、ノーズに対して固定されるアクチュエータとを備える。一実施例では、歯が抜け落ちているかまたは抜け落ちかけていることの視覚信号を提供することを目的として、アクチュエータが発煙筒を作動させる。これらのシステムは、摩耗部材が寿命の終わりに達したタイミングおよび摩耗部材を交換することが必要であるタイミングを決定することはせず、また、これらの機械的システムは、摩耗部材が摩耗して交換することが必要となったときに備え付ける場合にはコストがかかる可能性があり、そうすることが面倒である可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008]本発明は、土木作業機材のための摩耗部品を監視するためのシステムおよびツールに関する。この監視ツールは、採鉱環境および建築環境で掘削のために使用されるバケットと共に利用される摩耗部品の存在および健全度(すなわち、最新の摩耗プロファイル)を監視するのに特に良好に適する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]本発明の一態様では、土木作業機材上に摩耗部品が存在するかどうかを決定するのに、プログラマブル論理と併せて電子センサが使用される。摩耗部品が存在しない場合、プログラマブル論理がアラートを始動する。アラートが、摩耗部品が掘削機材から失われたタイミングをオペレータに通知する。これにより、欠いている摩耗部品が交換されるようにすることおよび欠いている摩耗部品が下流の掘削機材に損害を与えないようにすることのための必要な行動をオペレータがとることが可能となる。例としては、電子センサは、カメラ、レーザ距離計、超音波センサ、または、別の距離測定センサであってよい。好適な一構成では、カメラは、2Dカメラ、3Dカメラおよび赤外線カメラからなる群から選択される。
【0010】
[0010]本発明の別の態様では、土木作業機材上の摩耗部品がどの程度摩耗しているかを決定するのに、プログラマブル論理と併せて電子センサが使用される。摩耗部品が所定の量だけ摩耗している場合、プログラマブル論理がアラートを始動する。アラートが、摩耗した摩耗部品を交換すべきであることをオペレータに通知する。これにより、土木作業機材の他の構成要素が不必要に摩耗しないようにすることを目的として、摩耗した摩耗部品を交換するのに必要な行動をオペレータがとることが可能となる。例としては、電子センサは、カメラ、レーザ距離計、超音波センサ、または、他の距離測定センサであってよい。好適な一構成では、カメラは、2Dカメラ、3Dカメラおよび赤外線カメラからなる群から選択される。
【0011】
[0011]本発明の別の態様では、採掘作業中にバケットがどの程度まで多く積載しているかを決定するのに、プログラマブル論理と併せて電子センサが使用される。好適な一構成では、プログラマブル論理は、1回の採掘サイクルごとに最新の積載量(load)および過去の積載量をオペレータまたは無線デバイスに対して通信するようにプログラムされ得る。これにより、バケットを所望の容量まで最適に充填することを目的としてオペレータが採掘作業を調整することが可能となる。このシステムはスタンドアローンシステムであってよいか、あるいは、バケット上に備え付けられる摩耗部品の存在および/または健全度を監視するための監視システムなどの別のシステムと統合されてもよい。例としては、電子センサは、カメラ、レーザ距離計、超音波センサ、または、別の距離測定センサであってよい。好適な一構成では、カメラは、2Dカメラ、3Dカメラおよび赤外線カメラからなる群から選択される。
【0012】
[0012]本発明の別の態様では、バケットが充填されているパーセンテージを決定するのに、電子センサおよびプログラマブル論理が使用される。バケットの最新の充填量を測定してその最新の充填量をバケットの定格の容量と比較することにより、パーセンテージが決定され得る。電子センサは、例えば、カメラ、レーザ距離計、超音波センサ、または、別の距離測定センサであってよい。好適な一構成では、カメラは、2Dカメラ、3Dカメラおよび赤外線カメラからなる群から選択される。このシステムはスタンドアローンシステムであってよいか、あるいは、バケット充填量監視システム(bucket fill
monitoring system)などの別のシステムと統合されてもよい。
【0013】
[0013]本発明の別の態様では、採掘のサイクル時間を決定するのに電子センサが使用される。好適な一構成では、プログラマブル論理は、バケットの1回の採掘サイクルごとに最新のサイクル時間および過去のサイクル時間をオペレータまたは無線デバイスに対して通信するようにプログラムされ得る。これにより、最適な性能が得られるようにオペレータが採掘作業を調整することが可能となる。例としては、採掘サイクルが開始されていることを決定するのに、加速度計および/または傾斜計が使用され得る。このシステムはスタンドアローンシステムであってよいか、あるいは、バケット上に備え付けられる摩耗部品の存在および/または健全度を監視するための監視システムなどの別のシステムと統合されてもよい。
【0014】
[0014]本発明の別の態様によると、バケットの採掘用縁部に強い衝撃(つまり、通常の採掘作業での衝撃を超える衝撃)が生じたことを決定するのに電子センサが使用される。好適な一構成では、プログラマブル論理が強い衝撃の事象の時間を記録することができる。プログラマブル論理は、強い衝撃の事象をオペレータまたは無線デバイスに対して通信するようにプログラムされ得る。例としては、強い衝撃の事象が起こったタイミングを決定するのに加速度計が使用される。このシステムはスタンドアローンシステムであってよいが、バケット上に備え付けられる摩耗部品の存在および/または健全度を監視するための監視システムなどの別のシステムと統合されてもよい。これにより、摩耗部品の最新の状況(例えば、摩耗部材が存在しているという状態や、摩耗部材が失われているという状態や、摩耗部材が摩耗しているという状態など)に対して何が起こった可能性があるのかをオペレータまたは保守点検作業員がより良好に決定することが可能となる。
【0015】
[0015]本発明の別の態様では、掘削されることになる土に係合されてその土を移動させる摩耗部品上にツールが備え付けられる。好適な一構成では、ツールは掘削に使用されるバケット上に備え付けられ、その結果、監視システムが採掘・投棄作業の間じゅうバケットの採掘用縁部に対する明瞭な照準線を有するようになる。ツールはバケットの内部表面に対して固定され得るか、または、ツールはバケットの外部表面に対して固定され得る。例としては、監視システムはバケットのシェルに統合され得るか、二重壁のシェルを有するバケットの2つの内部プレートの間に統合され得るか、あるいは、バケットのブリッジ
または頂部上に備え付けられ得る。
【0016】
[0016]本発明の別の態様によると、有無の検出を補助するための特徴部分が摩耗部品に対して組み込まれる。好適な一構成では、この特徴部分はアダプタに対して組み込まれ、その結果、監視システムがこの特徴部分を検出することができる場合には、監視システムが、摩耗部材が失われていることのアラートを送信するようにプログラムされる。別の好適な構成では、この特徴部分は摩耗部材に対して組み込まれ、その結果、監視システムがこの特徴部分を検出することができる場合には、監視システムが、掘削機材から摩耗部材が失われていることを指示するようにプログラムされる。
【0017】
[0017]本発明の別の態様では、掘削機材上の摩耗部品の摩耗の程度を決定するのを補助するための特徴部分が摩耗部品に対して組み込まれる。好適な一構成では、摩耗部品が、予測される摩耗プロファイルの長さ方向に沿う複数の特徴部分を含有し、その結果、摩耗部品が摩耗するときに、監視システムが摩耗部品上に残った特徴部分の数を検出することができる。
【0018】
[0018]本発明の別の態様によると、掘削機材上の摩耗部品が保守点検を必要とする場合、監視システムが、機材のオペレータ、データベースおよび遠隔デバイスに対してアラートを提供する。好適な一構成では、監視システムが無線で通信する。
【0019】
[0019]本発明の別の態様では、監視システムが、摩耗部品の状態、健全度および性能を表示または指示するためのデバイスを装備する。好適な一構成では、監視システムがモニタを装備する。別の好適な構成では、監視システムが、監視されている掘削機材の一部であるディスプレイシステムに、または、監視システムから離れた場所にあるディスプレイに、統合される。
【0020】
[0020]本発明の別の態様では、監視システムが、摩耗部品の状態、健全度および性能の履歴を保存する。
[0021]本発明の別の態様では、監視システムが、監視されることになる摩耗部品に照明を当てるための光を利用し、その結果、電子センサが、摩耗部品の状態、健全度および性能に関して正確な読み取りを行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】[0022]従来技術の採鉱掘削機(mining excavator)を示す側面図である。
【
図2】[0023]従来技術の掘削機のホーバケットを示す斜視図である。
【
図3】[0024]従来技術の掘削機のホーバケットのリップを示す斜視図である。
【
図4】[0025]従来技術の歯組立体を示す斜視図である。
【
図5】[0026]
図4に示される歯組立体を示す分解斜視図である。
【
図6】[0027]ポイントおよびアダプタのみを有する従来技術の歯組立体を示す部分的分解斜視図である。
【
図7A】[0028]本発明による、摩耗部品の状態および健全度を監視するための全体のプロセスステップを示す概略図である。
【
図7B】本発明による、摩耗部品の状態および健全度を監視するための全体のプロセスステップを示す概略図である。
【
図8】[0029]本発明の監視システムを示す断面図である。
【
図9】[0030]本発明による、バケットのブリッジ上に備え付けられる監視システムを備えるバケットを示す斜視図である。
【
図10】[0031]本発明による、バケットのシェルと統合される監視システムを備える油圧フェースショベルのバケット(hydraulic face shovel bucket)の上側部分を示す斜視図である。バケットのリップ、底部壁、側壁および他の細部は図を簡略化するために排除される。
【
図11】[0032]本発明による監視システムのためのエンクロージャを示す斜視図である。
【
図12】[0033]本発明による、透明の壁を綺麗な状態に維持するためのノズルおよび/またはワイピングツールを示す斜視図である。
【
図13】[0034]本発明による、透明の材料を綺麗な状態に維持するためのデバイスを示す前方斜視図である。
【
図14】[0035]本発明による、摩耗部材の予測される摩耗プロファイルの長さ方向に沿う独自の特徴部分および/またはパターンを備える摩耗部材を示す斜視図である。
【
図15】[0036]
図14に示される摩耗部材を示す、線15-15に沿う部分側面図である。
【
図16】[0037]本発明による、摩耗部材が存在しない場合にのみ独自の特徴部分および/またはパターンが見られ得るようにするような形で、基部の頂部表面内に独自の特徴部分および/またはパターンを備える基部を示す斜視図である。
【
図17】[0038]本発明による、監視システムと共に使用されるためのヒューマンマシンインターフェース(HMI:Human Machine Interface)を示す正面図である。
【
図18】[0039]本発明による、監視システムと共に使用されるためのモバイルHMIを示す正面図である。
【
図19】[0040]本発明による、バケットの充填量を決定するための電子センサを示す側面図である。
【
図20】[0041]本発明による、トラックボディの充填量を決定するための電子センサを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0042]本発明は、掘削機材および地面土運搬(ground conveying)機材を例えば含めた、多様な種類の土木作業機材上で使用される摩耗部品の状態、健全度および性能を監視するためのシステムに関する。掘削機材は、採鉱、建築および他の作業で使用される多様な掘削機械のいずれかを意味する一般用語であることを意図され、これには、例えば、ブルドーザ、積み込み機、ドラグラインマシン、ケーブルショベル、フェースショベル、および、油圧掘削機が含まれる。掘削機材はまた、バケット、ブレードまたはカッターヘッドなどの、これらの機械の地面土係合構成要素も意味する。地面土運搬機材は、土の材料を運搬するのに使用される多様な機材を意味するやはり一般用語であることを意図され、これには、例えば、シュート、および、採鉱トラックの荷台またはボディが含まれる。本発明は、例えば、掘削バケット、ブレード、リップ、歯およびシュラウドの形態の、掘削機材上で使用される摩耗部品の状態、健全度および性能を監視するのに適する。加えて、本発明の特定の態様は、例えば、ランナーおよびトラックの荷台またはボディの形態の摩耗面の状態および健全度を監視するのにも適する。考察の都合上、採鉱掘削機上のポイントを監視する監視システムに関連させて摩耗部品監視プロセスを考察するが、この監視プロセスは多くの種類の土木作業機材と共に使用される他の摩耗部品と共にも使用され得る。
【0023】
[0043]考察の都合上、前部、後部、頂部および底部などの相対的用語が使用される。前部または前方という用語は、使用(例えば、採掘)時の摩耗部品を基準とした土の材料の通常の移動方向を示すのに概して使用され、上側または頂部という用語は、例えばバケット内に集められるときの材料が通過するところの表面を基準として概して使用される。しかし、種々の土木作業機械が動作するときの使用時に摩耗組立体が様々な方向に方向付けら得、あらゆる方向に移動することができることを認識されたい。
【0024】
[0044]採鉱掘削機1が、採掘時に土の材料を集めるためのバケット3を装備する(
図1)。バケット3が、採掘作業時に材料を集めるためのキャビティ16を画定するフレームまたはシェル4を有する(
図2)。シェル4が、地ならし機材1にバケット3を取り付けるためのアタッチメント支持体8を有する頂部壁6と、頂部壁6の反対側にある底部壁10と、後部壁12を備える後方端部と、一対の反対側にある側壁14とを有することができ、側壁14は各々が、頂部壁6と、底部壁10と、後部壁12との間に位置する。シェル4は単一プレートを有する壁で構成されてよいか、または、よく知られているような二重プレートを有するバケットの部分で構成されてもよい。複数の構成のバケットが知られており、バケットの幾何形状は様々なものが存在しており、例えば、バケットがドラグラインバケットで見られるような頂部壁を有さなくてよいか、後方壁がディッパバケットで見られるようにヒンジ取付されてよいか、あるいは、側壁の一部分が油圧フェースショベルのバケットで見られるようにヒンジ取付されてもよい。本発明は、多様な種類のバケットと共に、および、土木作業機材上で使用される多様な種類の摩耗部品と共に、使用され得ることから、バケットの特定の幾何形状は限定的であることを意図されない。バケット3が底部壁10の前方に延在するリップ5を有し、これはバケット3の採掘用縁部である(
図2および3)。採掘用縁部は地面土に最初に接触する機材の部分である。縁部を保護することおよびリップ5より先に地面土を粉砕することを目的として、しばしば、歯組立体およびシュラウドが採掘用縁部に対して固定される。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開US-2013/0174453に開示されるような複数の歯組立体7およびシュラウド9がバケット3のリップ5に取り付けられ得る(
図2~5)。示される歯7が、リップ5に対して溶接されるアダプタ11と、アダプタ11上に設置される中間アダプタ13と、基部13上に設置されるポイント(先端部とも称される)15とを有する。ポイント15が、基部13のノーズ17を受けるための後方が開いているキャビティと、地面土に侵入するための前方端部19とを有する(
図5)。基部13に対して摩耗部材15を固定するのに、および、ノーズ23に対して基部13を固定するのに、固定機構またはロック21が使用される(
図5)。他の歯構成も可能であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,882,649号に開示されるように、歯組立体7aが、リップに対して固定されるアダプタ11a、および、ポイント15aのみによって画定されてもよい(
図6)。本発明の一態様は、基部上の摩耗部材の存在および/または健全度を監視することに関する。考察を簡単にするために、本出願は、掘削バケットに対して固定された基部上の摩耗部材の存在および/または健全度を監視することを概して考察する。しかし、本発明は、多様な種類の土木作業機材の上の基部上の摩耗部材の存在および/または健全度を監視するのにも使用され得、また、アダプタ上のポイント、中間アダプタ上のポイント、アダプタ上の中間アダプタ、アダプタ、キャストリップ(cast lip)のノーズ、シュラウド、リップ、ブレード、摩耗ランナー(wear runner)、トラックライナー、または、他の種類の土木作業機材の他の摩耗部材も監視することができる。バケットまたは他の機材の寿命中、摩耗部材はすり減って何度も交換することが必要となる。
【0025】
[0045]摩耗部材が推奨される最小の摩耗プロファイルに達すると(つまり、摩耗部材が完全に摩耗したと考えられる)、摩耗部材が交換され、その結果、生産量が低下することはなく、摩耗部材を載置しているところの基部が不必要に摩耗することがなくなる。
図7Aおよび7Bが、掘削バケット上の摩耗部材の状態および健全度を監視する監視システムのステップを示す。このプロセスは、並行して実施される3つの異なる摩耗部材検査を示しており、これらの3つの検査の結果によりプロセスの結果(例えば、継続して動作するのに摩耗部材が大丈夫であること、摩耗部材が摩耗していること、および、摩耗部材が欠いていること、など)が得られる。プロセスには様々なものが存在し、例えば、摩耗部材が存在しているかどうかのみまたは摩耗部材が交換すべき程度にまでどのタイミングで摩耗したかのみを監視することが所望される場合がある。別の実施例では、4つ以上の異なる摩耗部材検査を実施することまたは3つより少ない摩耗部材検査を実施すること、ある
いは、プロセスの一部のみを利用することが所望される場合がある。別の実施例では、プロセスは連続して実施されてよい(つまり、第1の摩耗部材検査を実施して、必要である場合に次の摩耗部材検査に進む)。また、摩耗部品をいつ交換すべきかを決定することにおいてオペレータを助けることを目的として、残りの摩耗部品の量および摩耗速度に基づいて摩耗部品の残りの有効寿命をシステムが推定することも可能である。
【0026】
[0046]各々の種類の摩耗部材が推奨される最小の摩耗プロファイルまたは設定される最小の摩耗プロファイルを有することから、摩耗部材検査のうちの1つが、バケット上の各摩耗部材の最新の長さを決定することである場合がある。監視システム25が、バケット上の各摩耗部材の最新の長さを決定するために電子センサ27を使用することができる(
図8)。摩耗部材の長さは、例えば、カメラ、超音波センサ、レーザ干渉計、または、別の距離測定センサによって決定され得る。いくつかの実施形態では、カメラは光学カメラであってよいかまたはカメラは熱探知カメラであってもよい。いくつかの実施形態では、監視システムが、監視される摩耗部品に照明を当てるための光を装備することができ、その結果、電子センサが正確な読み取りを行うことができるようになる。摩耗部品を照らす光は別法として土木作業機材の一部であってもよく、あるいは、摩耗部品に照明を当てることが必要ない場合もある。監視システムがバケット上の摩耗部材の長さを決定するのにカメラを使用する場合、カメラは、最初に、リップ5および取り付けられた歯組立体7(
図3)の画像を取得することができる。中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)、制御装置、PC、または、プログラマブル論理制御装置(PLC:Programmable Logic Controller)の上の(これらはすべて概して制御装置と称される)、次のプログラマブル論理は、バケットリップの画像に対して基準線を適用することができる(図示せず)。基準線は、例えば、各々の摩耗部材で許容される摩耗限界を画定することができるかまたはバケットのリップを示すことができ、あるいは、基準線はプログラマブル論理のための「後方縁部」または端点を確立するための任意の線であってもよい。基準線は、リップおよび/または摩耗部材の種類に応じて直線であっても非直線であってもよい。基準線(図示せず)は、好適には、リップ5(
図5)の前縁部の後方に位置する。プログラマブル論理が、バケットのリップ上の各摩耗部材の前縁部を決定するための統合される視覚認識ソフトウェアを有することができる。視覚認識ソフトウェアは、例えば、Cognexから販売されるIn-Sightであってよい。プログラマブル論理は、基準線と各摩耗部材の前縁部との間のピクセルの数を数えるようにプログラムされる。ピクセル数に基づき、プログラマブル論理が各摩耗部材の最新の長さを決定するようにプログラムされる。各摩耗部材の最新の長さが決定されると、プログラマブル論理が、最新の長さと、バケット上に備え付けられる摩耗部材の種類に応じて設定される最小の摩耗プロファイルとを比較する。プログラマブル論理は、バケット上の備え付けられる最新の摩耗部材の種類をデータベースで参照することができるか、または、視覚認識ソフトウェアを使用して、バケット上に備え付けられる摩耗部材の種類を決定することができる。プログラマブル論理はまた、バケット上に備え付けられる摩耗部材の種類および数を決定することにおいて視覚認識ソフトウェアを助けることを目的として、バケットおよび摩耗部材の幾何形状のデータベースを参照することができる。バケット上の各摩耗部材の長さが設定される最小の摩耗プロファイルより大きく(つまり、設定される範囲内にある)、並行の他の摩耗部材検査の結果が許容される(例えば、摩耗部材が基部上にあり、基部から延在する縁部の数が、基部から延在する縁部の予測される数に一致する)場合、プログラマブル論理が、プロセスの開始へとループバックして各摩耗部材の長さを再び決定するように、プログラムされ得る(
図7Aおよび7B)。プログラマブル論理はこのプロセスを絶えずループしてよいか、または、設定される時間制限内でプロセスが1回行われるようにするためにプロセスに遅延が組み込まれてもよい。少なくとも1つの摩耗部材の最新の長さが最小の摩耗プロファイルに接近しており(つまり、設定される範囲内にある)、並行の他の摩耗部材検査の結果が許容される(例えば、摩耗部材が基部上にあり、基部から延在する縁部の数が、基部から延在する縁部の予
測される数に一致する)場合、プログラマブル論理は、特定の摩耗部材が交換を必要とする状態に近づいていることの予防的アラートを発するようにプログラムされ得る。アラートは、例えば、視覚アラート、触覚フィードバック、および/または、音声アラートであってよい。監視システムは、機材のオペレータに対して、および/あるいは、オペレータ、または、保守点検作業員もしくは採鉱地の責任者などの他の人がアクセスするための無線デバイスに対して無線でアラートを提供することができる。しかし、各摩耗部材の長さが最小の摩耗プロファイルより大きくなく(つまり、設定される範囲未満である)、並行の他の摩耗部材検査の結果が許容される(例えば、摩耗部材が基部上にあり、基部から延在する縁部の数が、基部から延在する縁部の予測される数に一致する)場合、プログラマブル論理は、摩耗部材が摩耗していることのアラートを発するようにプログラムされ得る。プログラマブル論理は即座にアラートを発するようにプログラムされてもまたは誤ったアラームを低減するようにプログラムされてもよく;プラグラマブル論理は、例えば、プロセスの結果を実証することを目的として、予め設定された回数だけプロセスを繰り返すようにまたは予め設定された時間枠内でプロセスを繰り返すようにプログラムされ得る。これにより、プログラマブル論理が摩耗部材または電子センサを妨害している物体を、摩耗した摩耗部材または欠いている摩耗部材として検知しなくなることの可能性が低減される。
【0027】
[0047]各摩耗部材および各基部は特定の幾何形状を有することから、基部に対して依然として摩耗部材が取り付けられているかどうかを知るのを助けることを目的として、別の摩耗部材検査が、各摩耗部材の特徴部分およびバケット上の基部の特徴部分を決定することであってよい。後で詳細に開示するように、基部に対して依然として摩耗部材が取り付けられているかどうかを知るのを助けることを目的として、独自の特徴部分および/またはパターンが摩耗部材上または基部上にさらに含まれてよい。例えば、手がかりのための特徴部分、独自の特徴部分および/またはパターンが摩耗部材に対して組み込まれ、監視システムが特徴部分を検出することができ、また、並行の他の摩耗部材検査の結果が許容される(例えば、摩耗プロファイルが許容され、基部から延在する縁部の数が、基部から延在する縁部の予測される数に一致する)場合、監視システムが、掘削機材から摩耗部材が失われていないことを指示するようにプログラムされる。代替的実施形態では、独自の特徴部分および/またはパターンが基部に対して組み込まれ、この場合、摩耗部材を欠いている場合では独自の特徴部分および/またはパターンのみが見られ得るようになる。監視システムが特徴部分および/またはパターンを検知し、並行の他の摩耗部材検査の結果が許容されない(例えば、摩耗プロファイルが許容されず、基部から延在する縁部の数が、基部から延在する縁部の予測される数に一致しない)場合、監視システムは、摩耗部材が失われていることのアラートを発するようにプログラムされる。
【0028】
[0048]各基部は基部から延在する特定の数の縁部を有することから(つまり、各基部において、基部から1つの摩耗部品が延在する)、基部に対して依然として摩耗部材が取り付けられているかどうかを知るのを助けることを目的として、別の摩耗部材検査が、バケットのリップに取り付けられている基部から延在する縁部の数を決定することであってよい。これは、基部またはリップから延在する縁部の数(つまり、通常の採掘作業時にバケットの動きに平行な方向において基部またはリップから前方に延在する縁部の数)を数えて、それを、基部またはリップから延在する縁部の予測される数と比較することにより、行われ得る。例えば、基部またはリップから延在する縁部の数が、基部またはリップから延在する縁部の予測される数に一致せず、並行の他の摩耗部材検査の結果が許容される(例えば、摩耗プロファイルが許容され、摩耗部品が基部上にある)場合、プログラマブル論理は、予防的アラートを与えるようにプログラムされ(図示せず)、および/または、監視プロセスを開始から繰り返すようにプログラムされ得る。プロセスにエラーがある可能性がある場合(例えば、岩または他のアイテムが摩耗部材として誤って解釈される場合)、監視プロセスは繰り返され得る。同様の形で、摩耗部材が基部上にあるが、基部から
延在する縁部の数が、基部から延在する縁部の予測される数に一致せず、摩耗部品の摩耗プロファイルが許容されない場合、プログラマブル論理は、監視プロセスを開始から繰り返すようにプログラムされる(
図7Aまたは7Bには図示されない)。代替的実施形態では、プログラマブル論理は予防的アラートを送信するようにプログラムされ得る(例えば、摩耗部材が摩耗している可能性があるが摩耗部材の間に何かが入っている可能性もある場合、または、摩耗部材が失われている可能性があり、ある物体が摩耗部材として誤って解釈されている場合)。摩耗プロファイルが許容され、基部から延在する縁部の数が、基部から延在する予測される縁部の数に一致するが、摩耗部材が基部の上にない(例えば、摩耗部材がその時点が可視である場合に基部上の独自の特徴部分が通常通りに可視ではない)場合、プログラマブル論理は、何かがプロセスにエラーを発生させている可能性があることを理由として、監視プロセスを開始から繰り返すようにプログラムされ得る(
図7Aまたは7Bには図示されない)。摩耗プロファイルが許容されず、摩耗部材が基部上にないが、基部から延在する縁部の数が、基部から延在する予測される縁部の数に一致する場合、プログラマブル論理は、何かがプロセスにエラーを発生させている可能性があることを理由として、監視プロセスを開始から繰り返すようにプログラムされ得る(
図7Aまたは7Bには図示されない)。摩耗プロファイルが許容されるが、基部から延在する縁部の数が、基部から延在する予測される縁部の数に一致せず、摩耗部材が基部上にない場合、プログラマブル論理は、何かがプロセスにエラーを発生させている可能性があることを理由として、監視プロセスを開始から繰り返すようにプログラムされ得る(
図7Aまたは7Bには図示されない)。
【0029】
[0049]プロセスからの結果およびアラートはヒューマンマシンインターフェース(HMI)に送信され得る。HMIの細部は後でより詳細に考察する。バケット健全度監視システム(bucket health monitoring system)はまた、摩耗部材が失われていることまたは摩耗部材が摩耗して最小の摩耗プロファイル過ぎたことのいずれかを理由として特定の摩耗部材が保守点検を必要としていることを、無線でまたはケーブルを介して、他のコンピュータシステムに通信することができる。加えて、監視システムはプロセスからの結果のすべてを保存することができる。
【0030】
[0050]バケット上の摩耗部材の状態および健全度を監視することに加えて、監視システムは、バケットまたは他の摩耗部材の性能を監視することができる。例えば、監視システムは、採掘サイクル中にバケットがどの程度まで多く積載しているかを決定することができる。バケットが積載しているとき、掘削される材料は決まったプロファイルでバケットを充填する傾向を有する。バケット3aがオペレータによって充填されると、電子センサ27がバケット3a内の積載物91までの距離D1を測定し(
図19)、プログラマブル論理が、バケット内の積載物の量を決定するために、この距離と、確立された充填量プロファイルのデータベースとを使用する。また、電子センサ27およびプログラマブル論理は、バケットが充填されているパーセンテージを決定することができる。このパーセンテージは、バケットの最新の充填量をバケットの定格の容量と比較することによって決定され得る。代替的実施形態では、電子センサ27がトラックボディ3b内の積載物91までの距離D1を測定することができ(
図20)、プログラマブル論理が、トラックボディ内の積載物の量を決定するために、この距離と、確立された充填量プロファイルのデータベースを使用する。バケットの場合と同様に、電子センサが、トラックボディが充填されているパーセンテージを決定するのに使用され得る。電子センサは、カメラ、レーザ距離計、超音波センサ、または、別の距離測定センサであってよい。プログラマブル論理は、バケット内の積載物までの距離に基づいてバケットが充填されているパーセンテージを決定することができる。最新の採掘サイクルおよび過去の採掘サイクルからの結果が、機材のオペレータに対して、または、他のデータベースまたはコンピュータシステムに対して、通信され得る。これにより、バケットおよびトラックボディを最適に充填するために、機材のオペレータが採掘の手法を変えることが可能となる。監視システムは、例えば、摩耗
部品の状態および健全度を監視するのに使用されるのと同じ電子センサを使用することができるか、または、バケットの充填量を監視するための別個の電子センサを使用することができる。電子センサは、例えば、カメラ、レーザ距離計、または、超音波センサであってよい。カメラは、例えば、深さを決定することができる3Dカメラであってよいか、または、上で概説したような視覚認識ソフトウェアに連結されるカメラであってもよい。また、バケットの充填量を決定するための電子センサを、監視システムには組み込まれない監視システムとは別個の構成要素とすることも可能である。バケットの充填を監視するために監視システムを使用することはスタンドアローンシステムとして利用されてよく、つまり、摩耗部品の存在および/または健全度を監視するためのシステムを有さなくてよい。この種類の監視システムは、オペレータの効率または最適化を監視するためにバケットではない用途(例えば、トラックトレーなど)でも使用され得る。
【0031】
[0051]監視システムは、採掘サイクルのサイクル時間を決定することができる電子センサを装備することができる。例えば、監視システムは、加速度計および傾斜計(図示せず)を装備することができる。傾斜計はバケットの向きを提供し、加速度計は、バケットが適切な採掘方向にあるときの力の急上昇を検知し、それにより、採掘サイクルが開始されたことを指示する。プログラマブル論理は、1つの採掘サイクルの開始から第2の採掘サイクルの開始までの時間(つまり、バケットが適切な採掘方向にあることを傾斜計が指示するタイミングでのピーク間の時間)を決定することができる。最新のサイクル時間および過去のサイクル時間からの結果が、機材のオペレータまたは無線デバイスに対して通信され得る。これにより、最適な性能が得られるようにオペレータが採掘作業を調整することが可能となる。また、サイクル時間を決定するための電子センサを監視システムに組み込まないことも可能である。バケットまたはトラックトレーの充填量および/またはサイクル時間を監視することは、その動作をより良好に最適化することにおいて採鉱作業員(mine operator)(など)の補助となり得る。代替的実施形態では、採掘サイクルが開始されたタイミングを決定するのに、加速度計の代わりに圧力センサが使用されてもよい。圧力センサは、土木作業機材のブームに統合される油圧圧力センサであってよい。別の好適な実施形態では、採掘サイクルが開始されたタイミングを決定するのに、ひずみゲージまたはロードセルが使用される。ひずみゲージまたはロードセルはバケット内またはバケット上の摩耗部材内に位置してよい。代替的実施形態では、GPSがバケットの向きを決定するのに使用され得る。
【0032】
[0052]監視システムが、バケットの採掘用縁部に強い衝撃(つまり、採掘作業での衝撃を超える衝撃)が生じたことを決定することができる電子センサを装備することができる。例えば、監視システムは、ピークの衝撃を決定するために、加速度計、ひずみゲージ、ロードセル、または、圧力センサを利用することができる(図示せず)。プログラマブル論理が、強い衝撃の事象が起こったタイミングを記録することができる。強い衝撃の事象の結果は機材のオペレータまたは無線デバイスに対して通信され得る。また、強い衝撃の事象を決定するための電子センサを、採掘のサイクル時間を決定するための電子センサとは別個の構成要素とするかまたは監視システムに組み込まれないようにすることも可能である。
【0033】
[0053]本発明の一実施形態によると、少なくとも1つの電子センサを有する監視システム25がバケット3に組み込まれ、その結果、採掘・投棄作業中にオペレータがバケット3をどのように方向付けているかに関係なく、センサが、バケット3の採掘用縁部またはリップ5に対する明瞭な照準線を有するようになる(
図9および10)。電子センサは、例えば、バケットのシェル4に統合され得るか(
図10)、二重壁のシェルを有するバケットの2つの内部プレートの間に統合され得るか(図示せず)、あるいは、バケットのブリッジ29または頂部上に備え付けられ得る(
図9)。電子センサは、例えば、カメラ、超音波センサ、または、レーザ干渉計であってよい。カメラは、例えば、Cognex7
100カメラであってよい。しかし、監視システムは、例えば、掘削機材のブームまたは他の支持体に、あるいは、掘削機材のボディに、設置または統合されてもよい。バケットではない用途では、監視システムは、好適には、摩耗部品を支持する基部部材に設置または統合され得る。基部部材は、例えば、トラックトレーまたはブレードであってよい。監視システムがトラックトレーに対して据え付けられる場合、監視システムが、トラックトレー上のランナーの存在および/または健全度を監視することができる。同様に、監視システムがブルドーザまたは地ならし機のブレードに対して据え付けられる場合、監視システムがブレード上のエンドビットまたはブレードの前縁部の存在および/または健全度を監視することができる。監視システムをバケット上の設置する場合と同様に、トラックトレーまたはブレード上に設置する場合でも、監視されている部品に対する明瞭な照準線を提供することができる。
【0034】
[0054]電子センサ27が、掘削されることになる地面土に係合されてその地面土を移動させる摩耗部品上の1つまたは複数のロケーションのところで1つまたは複数のエンクロージャ31内に収容され得、それにより、電子センサ27が過酷な採鉱環境から保護されるようになり、また、電子センサ27のハウジングのアパーチャ33が、電子センサ27に悪影響を与える可能性がある粉状の物質、泥、または、他の物質を有さない状態で維持されるようになる(
図8および11)。エンクロージャ31は、エンクロージャ31を第1の摩耗部品上に設置するための1つまたは複数の設置用ブラケット35を有することができる。エンクロージャ31は、電子センサ27からのデータを制御および処理するための追加の電子機材(図示せず)を収容することもできる。代替的実施形態では、追加の電子機材のうちの一部またはすべてが掘削機材上に収容され得るかまたは離れたロケーション(図示せず)にあってよい。例えば、1つまたは複数の電子センサ27がバケット内/バケット上の1つまたは複数のロケーションのところに位置してよく、電子センサ27は、ワイヤを介してまたは無線で、他の電子センサと、および/または、掘削機材の運転室内の追加の電子機材と、通信することができる。代替的実施形態では、1つまたは複数の電子センサ27(
図9では細線で示される)が、掘削されることになる地面土に係合されてその地面土を移動させる第1の摩耗部品に取り付けられる第2の摩耗部品の上またはその中に位置してよい。第1の摩耗部品は、例えば、バケット、ブレードまたはトラックボディなどであってよく、第2の摩耗部品は、例えば、ポイント、中間アダプタ、アダプタ、シュラウド、ノーズ、リップ、摩耗ランナーまたはトラックライナーなどであってよい。第2の摩耗部品内の電子センサは、第1の摩耗部品、第2の摩耗部品の上の電子センサと、および/あるいは、第1の摩耗部品上に位置してよいかまたは第1の摩耗部品から離れたところに位置してよい追加の電子機材と、通信することができる。第1の摩耗部品内の電子センサと同様に、第2の摩耗部品内の電子センサはワイヤを介してまたは無線で通信することができる。追加の電子機材は、例えば、制御装置、電源装置、カメラ、および/または、無線デバイスであってよい。制御装置は、例えば、Siemensから販売されるS7-1200PLCであってよい。電源装置は電子センサのみに動力供給することができるか、または、追加の電子機材にも動力供給することができる。代替的実施形態では、2つの電源装置が設けられる。第1の電源装置が電子機材に動力供給するためのものであり、第2の電源装置が追加の電子機材に動力供給するためのものである。電源装置は、例えば、TDK-Lambdaによって販売される電源装置、および/または、SDC-5Power Supplyであってよい。カメラは、例えば、クローズド・サーキット・テレビジョン(CCTV:Closed-Circuit Television)カメラであってよい。CCTVカメラは、HMIにバケットのリップのライブ映像を提供することができる。HMIの細部は後でさらに詳細に考察する。無線デバイスは、例えば、B&B Electronics(以前のQuatech)によって販売される無線シリアルデバイスサーバであってよい。
【0035】
[0055]エンクロージャは一方側に少なくとも1つの切欠部37を有することができ、そ
の結果、少なくとも1つの電子センサ27のアパーチャ33がバケット3のリップ5に対する明瞭な照準線を有するようになる。(
図8、9および11)。代替的実施形態では、バケットが切欠部39を有することができ、その結果、電子センサのアパーチャがバケット(
図10)のリップ(図示せず)に対する明瞭な照準線を有するようになる。切欠部37または39は、透明の壁41、半透明の壁、または、透き通った壁によって覆われてよく、その結果、電子センサがエンクロージャ内で完全に密閉されるようになる(
図8、10および11)。加えて、ノズル43が、空気、水または別の種類の洗浄剤を透明の壁41上に噴射するように方向を定められ得、その結果、泥および粉状の物質が蓄積する場合に、空気、水または洗浄剤が透明の壁41を洗浄して透明の壁41を透けた状態で維持する(
図12)。代替的実施形態では、電子センサが電子センサのアパーチャを保護するための作り付けの透明のカバーを有することができ、ノズルが、電子ンセンサの透明のカバー上に直接に空気、水または洗浄剤を噴射するように方向を定められ得る(図示せず)。代替的実施形態では、ワイピングツール45が、アパーチャの透明のカバーまたは透明の壁41(
図12)を拭くために設けられ得る。ワイピングツールは、空気、水または洗浄剤を噴射するためのノズルに統合されてよい。代替的実施形態では、ワイピングツールはノズルとは別個のツールであってもよい。ワイピングツールは、例えば、コーム、ブラシ、または、スキージであってよい。代替的実施形態では、エンクロージャ内の切欠部37またはバケット内の切欠部が、切欠部を横断して第2のスプール51まで延びる透明材料49の第1のスプール47を装備することができる(
図13)。透明材料49が不透明になる場合、モータ(図示せず)が第2のスプール51を回転させることができ、その結果、透明材料49が第1のスプール47から第2のスプール51まで移動し、透明材料49の新しい区間が切欠部を覆うようになる。代替的実施形態では、切欠部は透明材料の複数の層を装備することができ、その結果、上部層を交換する必要がある場合に、古い上部層を引き剥がして透明材料の新しい層を露出させることできるようになる(図示せず)。別の代替的実施形態では、電子センサのアパーチャが移動可能なカバーを有することができる。移動可能なカバーは非使用時に電子センサを覆うことができ、また、取り外すこともでき、その場合、電子センサが測定を行うことができる(図示せず)。
【0036】
[0056]電子センサ27および追加の電子機材(図示せず)は振動減衰デバイス53上に設置され得、その結果、採掘・投棄作業の振動が電子センサ27および追加の電子機材(
図8)に悪影響を与えることがなくなる。発生する振動を減衰するのに、当業界で既知の種々の振動減衰デバイス53が使用されてよい。振動減衰デバイス53は、例えば、電子センサ27を保持する設置用ユニット55の頂部および底部に設置されてよい。振動減衰デバイス53は、例えば、エラストマ、または、ばねであってよい。
【0037】
[0057]監視システムが摩耗部材15の最新の摩耗プロファイルを決定するのを補助するために、摩耗部材15の予測される摩耗プロファイルの長さ方向に沿って独自の特徴部分および/またはパターン57が追加されてよい(
図14および15)。独自の特徴部分および/またはパターン57は、製造時または製造後に、摩耗部材15に追加されてよい。独自の特徴部分および/またはパターン57は、例えば、摩耗部材15の上側外部表面61の中に、切り入れられるか、鋳造されるか、または、鍛造される溝59および/または隆起部であってよい。代替的実施形態では、独自の特徴部分および/またはパターンは、摩耗部材の上側外部表面に付着される硬化肉盛り材料であってよい(図示せず)。摩耗部材15が地面土に侵入して摩耗するとき、独自の特徴部分および/またはパターン57もすり減る。電子センサが、独自の特徴部分および/またはパターン57がどの程度残っているか(例えば、いくつの溝59および/または隆起部が残っているか)を検出することができる。最新の摩耗プロファイルおよび設定された最小の摩耗プロファイルに基づいて、健全度監視ユニットが、摩耗部材15が最小の摩耗プロファイルにまで摩耗しかけている場合にアラート(視覚警告、音声警告、および/または、触覚警告であってよい)を送信することができる。摩耗部材15が摩耗して最小の摩耗プロファイルを過ぎた場合、別
のアラートが送信されてもよい。
【0038】
[0058]有無の検出を補助するための独自の特徴部分および/またはパターンが摩耗部材または基部に対して組み込まれてよい。独自の特徴部分および/またはパターンは、製造時または製造後に、摩耗部材または基部に追加され得る。独自の特徴部分および/またはパターン57は、例えば、摩耗部材の上側外部表面61の中に、切り入れられるか、鋳造されるか、または、鍛造される溝59および/または隆起部であってよい(
図14および15)。代替的実施形態では、独自の特徴部分および/またはパターンは、摩耗部材の上側外部表面に付着される硬化肉盛り材料であってよい(図示せず)。代替的実施形態では、独自の特徴部分および/またはパターン63は、例えば、基部13の頂部表面65の中に、切り入れられるか、鋳造されるか、または、鍛造される形状であってよく、この場合、摩耗部材が基部13に取り付けられていない場合にのみ独自の特徴部分および/またはパターン63が可視となる(
図9および16)。代替的実施形態では、基部の頂部表面に形状をつけるのに硬化肉盛りが利用され得る(図示せず)。代替的実施形態では、形状67は基部13の頂部表面65に切り入れられてよく、メダル69が切込み部内に圧入されるか、接着されるか、または、別の形で固定されてもよい(
図16)。
【0039】
[0059]バケット上の摩耗部材の最新の状態および健全度を表示するために、少なくとも1つのHMI71が設けられてよい(
図17および18)。HMI71は監視システムに配線接続されてよいか、または、無線デバイス81(
図18)であってもよい。HMI71は掘削機材1の運転室2(
図1)内に位置してよいかまたは離れたロケーションに位置してもよい。また、HMIは、現在でも掘削機材内にあるようなディスプレイシステム(例えば、OEMのディスプレイを備える)に統合されてもよく、掘削機材内の新しいディスプレイシステムに統合されてもよく、または、離れた場所にあるディスプレイシステムに統合されてもよい。HMI71はバケットのリップ上の摩耗部材の最新の状態のグラフィック表示73を提供するように構成され得る(
図17および18)。HMI71は、例えば、各摩耗部材の状態に関する、視覚アラート(例えば、文字75および/または図的イメージ)、触覚フィードバック(例えば、振動)、および、音声アラートを提供することができる(
図17)。視覚アラートは、例えば、各摩耗部材と、各摩耗部材の状態(つまり、有無、許容される摩耗、保守点検の必要性)とを表示するグラフィック
図77であってよい。HMI71はバケットのリップのライブイメージ79を表示するように設計され得、その結果、オペレータがアラートが正当であるかを視覚的に検査することができるようになる。HMIは履歴チャート(図示せず)を表示するように設計され得、その結果、オペレータがアラートが発生したタイミングを決定することができるようになり、それにより、摩耗部材が失われている場合にオペレータが必要な行動をとることができるようになる。
【0040】
[0060]これらの種々の監視システムおよび特徴はまとめて使用されても、または、他の能力を有さない単一のスタンドアローンシステムとして使用されてもよい。上記の考察ではバケット上の歯に関連させて本発明を考察してきたが、このシステムは、シュラウド、ウイングおよび/またはランナーなどの、バケット上の他の摩耗部品の存在および/または健全度を感知するのにも使用され得る。また、本発明のシステムは、シュートまたはトラックトレー上のランナー、あるいは、ブレード上のエンドビットなどの、他の種類の土木作業機材上の摩耗部品の存在および/または健全度を監視するのにも使用され得る。
【0041】
[0061]上記の開示はバケットの摩耗監視システムのための具体的な実施例を説明するものである。このシステムは本発明の様々な態様および特徴を含む。一実施形態の特徴は別の実施形態の特徴と共に使用され得る。与えられる実施例、および、開示される特徴の組み合わせは、それらをまとめて使用しなければならないという意味に制限されることを意図されない。