(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20240426BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240426BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20240426BHJP
F21Y 105/16 20160101ALN20240426BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240426BHJP
【FI】
F21S8/04 310
F21S2/00 110
F21S8/04 130
F21V3/02
F21Y105:16
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2023114342
(22)【出願日】2023-07-12
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591112027
【氏名又は名称】大光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】曽川 真一
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0328944(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21V 3/02
F21S 2/00
F21Y 115/10
F21Y 105/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光基板を有する光源ユニットが、正多角形状の照明カバーによって覆われる照明器具であって、
前記光源ユニットが、前記照明カバーの形状に対応する正多角形状に形成され、
前記光源ユニットの角部が、前記照明カバーの辺部に対応して配置され
、
前記光源ユニットは、前記発光基板にレンズ板が設けられた長尺な複数の光源ユニット構成部が、正多角形の辺部に沿って枠状に継ぎ合わされて形成されていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記照明カバーは正方形である請求項
1に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばLED基板上にレンズ板が取り付けられた光源ユニットを、照明カバーによって覆うように配置したLEDシーリングライト等の照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示す従来の照明器具は、天井に取り付けられるLEDシーリングライトである。このLEDシーリングライトは、天井に取り付けられる器具本体と、その器具本体に取り付けられ、かつLED基板を含む光源ユニットと、その光源ユニットを覆うようにして器具本体に取り付けられる照明カバーとを備えている。
【0003】
このようなLEDシーリングライトは、照明カバーが円形のものが主流であるが、長方形のものや、正方形のものも存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のシーリングライトのうち、照明カバーが正方形のシーリングライトにおいては、照明カバー全域を均等な明るさで照明できず、明るさにムラ(輝度ムラ)が生じてしまい、使用者にとって良好な明るさ感を得ることができないという課題があった。
【0006】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、正方形等の正多角形状の照明カバーのほぼ全体をムラのない明るさで照明できて、良好な明るさ感を得ることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0008】
[1]発光基板を有する光源ユニットが、正多角形状の照明カバーによって覆われる照明器具であって、
前記光源ユニットが、前記照明カバーの形状に対応する正多角形状に形成され、
前記光源ユニットの角部が、前記照明カバーの辺部に対応して配置されていることを特徴とする照明器具。
【0009】
[2]前記光源ユニットは、前記発光基板にレンズ板が設けられた長尺な複数の光源ユニット構成部が、正多角形の辺部に沿って枠状に継ぎ合わされて形成されている前項1に記載の照明器具。
【0010】
[3]前記照明カバーは正方形である前項1または2に記載の照明器具。
【発明の効果】
【0011】
発明[1]の照明器具によれば、正多角形の光源ユニットの角部を、正多角形の照明カバーの各辺部に対応して配置するものであるため、光源ユニットの角部が照明カバーの辺部に近接して配置されて、光源ユニットから照射される照明光が照明カバーの辺部で十分に反射し、その反射光によって照明カバーの辺部周辺が照明されるようになる。このため、照明カバーのほぼ全体を輝度ムラなく照明できて、使用者にとって良好な明るさ感を得ることができる。
【0012】
発明[2][3]の照明器具によれば、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1はこの発明の実施形態である照明器具としてのLEDシーリングライトを示す外観斜視図である。
【
図2】
図2は実施形態のシーリングライトを示す下面図である。
【
図3】
図3は実施形態のシーリングライトにおける器具本体に光源ユニットを取り付けた状態で示す斜視図である。
【
図4】
図4は実施形態のシーリングライトにおける光源ユニットを示す下面図である。
【
図5】
図5は実施形態の光源ユニットにおける発光基板としてのLED基板を示す下面図である。
【
図6】
図6は実施形態の光源ユニットを構成する光源ユニット構成部を分解して示す斜視図である。
【
図7】
図7は実施形態の光源ユニットを示す断面図である。
【
図9】
図9は実施例のシーリングライトにおける輝度ムラを説明するための模式図である。
【
図10】
図10は参考例のシーリングライトにおける輝度ムラを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1はこの発明の実施形態である照明器具としてのLEDシーリングライトを示す斜視図、
図2は実施形態のシーリングライトを示す下面図、
図3は実施形態のシーリングライトにおける器具本体1に光源ユニット2を取り付けた状態で示す斜視図である。
【0015】
これらの図に示すように、本実施形態のLEDシーリングライトは、天井面にアダプタ(図示省略)を介して取り付けられる器具本体(ベース)1と、器具本体1の下面側に取り付けられる光源ユニット2と、器具本体1の下面側に取り付けられ、かつ光源ユニット2を下面側から覆うように配置される照明カバー5とを基本的な構成要素として備えている。
【0016】
照明カバー5は、下面視において正方形状に形成されるとともに、上面側に開口を有する中空形状であり、その中空部内に光源ユニット2が収容された状態で、開口縁部が器具本体1に着脱自在に取り付けられている。
【0017】
図4は実施形態のシーリングライトの光源ユニット2を示す下面図、
図5は実施形態の光源ユニット2のLED基板31を示す下面図、
図6は実施形態の光源ユニット2を構成する光源ユニット構成部20を分解して示す斜視図、
図7は光源ユニット2の断面図、
図8は
図7の要部を拡大して示す断面図である。
【0018】
図1~
図8に示すように光源ユニット2は、略長方形状を有する長尺な4枚の光源ユニット構成部20によって形成されている。各光源ユニット構成部20は、長方形の発光基板としてのLED基板3と、LED基板3に対応する長方形のレンズ板4とを備えている。
【0019】
LED基板3には、発光素子としての多数のLED(発光ダイオード)31が取り付けられている。LED基板3における両端部内側の2つの角部が斜め45°に切り欠かれて、接合用切欠部32がそれぞれ形成されている。さらに各LED基板3には、接合用切欠部32に対応してコネクタ33が設けられている。
【0020】
そして
図5に示すように4枚のLED基板3が、正方形の辺部に沿って枠状(環状)に配置されるようにして器具本体1上にねじ留め等によって固定されている。この場合、隣合うLED基板3の対応し合う接合用切欠部32同士が接合されることによって、隣合うLED基板3が直角に配置されるようになっている。
【0021】
また隣合うLED基板3の対応し合うコネクタ33同士は、コネクタ接続ケーブル35によって接続されて、隣合うLED基板3が電気的に接続されている。なお対応し合うコネクタ33のうち、一組のコネクタ(
図5の上側に配置されるコネクタ)33は、アダプタ(図示省略)にコネクタ接続ケーブル35によって接続されている。こうしてアダプタと各LED基板3とが電気的に接続されている。
【0022】
図3~
図8に示すようにレンズ板4は、長方形のLED基板3に対応して長方形に形成されており、LED基板3の各LED31に対応してレンズ(レンズ部)41がそれぞれ設けられている。さらにレンズ板4における両端部内側の2つの角部には、換言するとLED基板3の接続用切欠部32に対応する部分には、LED基板3のコネクタ33を下方側から覆うコネクタカバー43が一体に形成されている。コネクタカバー43には、対応するコネクタ33の両側面を覆う両側壁44が設けられており、コネクタカバー43の開口縁部42によって囲まれる開口面が、LED基板3の接合用切欠部32に対応して、レンズ板4の長さ方向に対し斜め45°に配置されている。
【0023】
図6等に示すようにレンズ板4が各LED基板3を下面側から覆うようにそれぞれ配置されて器具本体1にねじ留め等によって固定されている。この場合
図7および
図8に示すように、各レンズ板4のコネクタカバー43内に、LED基板3の対応するコネクタ33が収容される。さらに隣合うレンズ板4の対応し合うコネクタカバー43の開口縁部42同士が突き合わされた状態に配置されて、対応し合うコネクタカバー43同士が密に接合される。こうして4枚のレンズ板4が、隣合うレンズ板4が直角に配置されるように枠状(環状)配置される。換言するとLED基板3と、レンズ板4とによって構成される4枚の光源ユニット構成部20が、正方形の辺部に沿って枠状(環状)に継ぎ合わされるように配置されて、光源ユニット2が形成されている。
【0024】
ここで
図2および
図9に示すように本実施形態において、正方形枠状の光源ユニット2が、正方形の照明カバー5に対し、上下方向の軸心回りに45°するように配置されて、正方形状の光源ユニット2の各角部、つまり隣合う光源ユニット構成部20の各対向端部は、正方形の照明カバー5における各辺部の中間部に対応して配置されている。換言すると、正方形状の光源ユニット2の各辺部が、正方形の照明カバー5における各角部に対応して配置されている。これにより本実施形態のシーリングライトにおいては、正方形の照明カバー5のほぼ全体を輝度ムラなく、ほぼ均等な明るさで照明することができる。
【0025】
すなわち正方形の照明カバー5を有するLEDシーリングライトにおいて、光源ユニット2が本実施形態のように正方形枠状に形成されている場合、
図10に示すように光源ユニット2を照明カバー5に対応させて配置するように、光源ユニット2の各辺部(各光源ユニット構成部20)を、照明カバー5の各辺部に平行に配置するのが通例である。しかしながら、光源ユニット2を照明カバー5に対しこのように配置すると後に詳述するように、照明カバー2の辺部に沿った領域における輝度が低くなり、照明カバー全体として、輝度ムラが発生して良好な明るさ感を得ることができなかった。
【0026】
これに対し
図2および
図9に示す本実施形態のように、光源ユニット2の各角部を、照明カバー5の各辺部の中間部に対応して配置した場合には、光源ユニット2の角部、つまり隣合う2枚の光源ユニット構成部20の対向端部が、照明カバー5の辺部に近接して配置されるため、隣合う2枚の光源ユニット光源板20から照射される照明光が照明カバー5の辺部で十分に反射し、その反射光によって照明カバー5の辺部周辺が均等に照明される。これにより、照明カバー5のほぼ全体を輝度ムラなく照明できて、使用者にとって良好な明るさ感を得ることができる。
【0027】
また本実施形態のシーリングライトにおいては、隣合うレンズ板4の対向端部に設けられたコネクタカバー43同士を密に突き合わせた状態に配置しているため、隣合うLED基板3の対向端部に設けられたコネクタ33が、コネクタカバー43によって確実に被覆される。このためコネクタ33側に、小さい虫や微細や塵埃等の異物が侵入するのを防止でき、異物侵入によるコネクタ33、ひいてはLED基板3への悪影響を回避することができる。
【0028】
なお、上記実施形態においては、本発明を光源ユニット2および照明カバー5が下面視において正方形のシーリングライト(照明器具)に適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、光源ユニットおよび照明カバーが下面視において四角形の倍数、例えば八角形等の正多角形の照明器具にも適用することができる。要は、光源ユニットが、下面視において正多角形状の照明カバーに対応する(相似する)正多角形状に形成されていれば良い。
【0029】
さらに上記実施形態においては、本発明を光源ユニットが枠状の照明器具に適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、光源ユニットが、正多角形の辺部(枠部)だけでなく、正多角形の辺部内の一部または全面に、光源ユニット構成部(LED等の発光素子)が設けられた照明器具にも適用することができる。
【0030】
また上記実施形態においては、本発明をLEDシーリングライトに適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、シーリングライト以外の照明器具にも適用することができる。
【0031】
<実施例>
実施例として、
図9に示す実施例のシーリングライトと、
図10に示す参考例のシーリングライトとにおいて所要位置での輝度を測定した。具体的には、照明カバー5の中心位置Eと、辺部の中間位置Bと、角部の位置Aと、角部の位置Aおよび中心位置E間のほぼ中間位置Cと、角部の位置Aおよび中間位置C間のほぼ中間位置Dとの輝度を測定した。この測定に際しては、輝度計としてコニカミノルタ製のLS-150を用い、輝度計はシーリングライト(照明カバー5)から正面の位置で距離を1mとした。
【0032】
その結果、
図9の実施例では、A点が1585cd/m
2、B点が6220cd/m
2、C点が6000cd/m
2、D点が5000cd/m
2、E点が6180cd/m
2であった。従ってE点とC点がほぼ同じ輝度であり、E点とB点がほぼ同じ輝度であり、D点がC点に対し約20%暗くなっており、A点がD点に対し70%暗くなっていた。このようにA点を除いてほぼ全域でほぼ同じ輝度になっており、良好な明るさ感を得ることができた。
【0033】
これに対し、
図10の参考例では、A点が1565cd/m
2、B点が4600cd/m
2、C点が5400cd/m
2、D点が4400cd/m
2、E点が6000cd/m
2であった。従ってC点がE点に対し約10%暗くなっており、B点がE点に対し約65%暗くなっており、D点がC点に対し約20%暗くなっており、A点がD点に対し65%暗くなっていた。このように多くの領域で輝度ムラが認められ、良好な明るさ感を得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明の照明器具は、例えば天井に取り付けられるLEDシーリングライト等に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1:器具本体
2:光源ユニット
20:光源ユニット構成部
3:LED基板(発光基板)
4:レンズ板
5:照明カバー
【要約】
【課題】輝度ムラがなく、良好な明るさ感を得ることができる照明器具を提供する。
【解決手段】本発明は、発光基板3を有する光源ユニット2が、正方形状の照明カバー5によって覆われる照明器具を対象とする。光源ユニット2が、照明カバー5の形状に対応する正方形状に形成され、光源ユニット2の角部が、照明カバー5の辺部に対応して配置されている。
【選択図】
図2