(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】引出し側壁に載着可能な装飾板を保持するための保持装置
(51)【国際特許分類】
A47B 88/925 20170101AFI20240426BHJP
A47B 88/00 20170101ALI20240426BHJP
【FI】
A47B88/925
A47B88/00
(21)【出願番号】P 2023500280
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 AT2021060217
(87)【国際公開番号】W WO2022006604
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-01-05
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ライトナー
(72)【発明者】
【氏名】マークス リーツラー
(72)【発明者】
【氏名】マークス カンプル
(72)【発明者】
【氏名】マルセル マードレーナー
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-542028(JP,A)
【文献】特開昭62-290411(JP,A)
【文献】特開2019-088556(JP,A)
【文献】国際公開第2018/140992(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/925
A47B 88/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出し側壁(2a,2b)に載着可能な装飾板(6)
を保持するための保持装置(7a,7b)であって、
- 前記保持装置(7a,7b)を前板(3)または引出し背壁(4)に固定するための固定装置(8a,8b)と、
- 互いに離間させられた少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)であって、相互間に前記装飾板(6)を部分的に収容することができる保持脚部(12a,12b)と
を備え、
- 前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)は、緊締装置(15)の一部であり、前記緊締装置(15)によって、前記装飾板(6)の長手方向(L)に対して横方向で、前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)の間に収容された前記装飾板(6)に緊締力を加えることができる、
保持装置(7a,7b)において、
前記緊締装置(15)は、前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)の間で前記装飾板(6)に加えることができる前記緊締力を調整することができる少なくとも1つの調整装置(16)を備え
、
前記少なくとも1つの調整装置(16)は、前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)に結合されたかまたは結合可能な少なくとも1つの緊締ねじ(16a)を備える
ことを特徴とする、保持装置(7a,7b)。
【請求項2】
前記装飾板(6)は、ガラスプレートであることを特徴とする、請求項1記載の保持装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)のうちの少なくとも1つの保持脚部
は、前記装飾板(6)に緊締するように当て付けるための緊締面(17)を有
する、
ことを特徴とする、請求項1
または2記載の保持装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)のうちの2つの保持脚部(12a,12b)は、前記装飾板(6)に緊締するように当て付けるための緊締面(17)を有することを特徴とする、請求項3記載の保持装置。
【請求項5】
前記緊締面(17)は、
- 少なくとも1つの弾性的な補償要素(13)を有し、かつ/または
- 実質的に平らに、つまり、前記装飾板(6)内に格納可能な突出部なしに形成されている
ことを特徴とする、請求項3または4記載の保持装置。
【請求項6】
前記緊締面(17)は、2つの弾性的な補償要素(13)を有することを特徴とする、請求項4または5記載の保持装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)は、少なくとも1つの横方向脚部(12c)を介して互いに結合されているかまたは互いに結合可能であることを特徴とする、請求項
1から6までのいずれか1項記載の保持装置。
【請求項8】
前記保持装置(7a,7b)は、少なくとも1つの基体(11)を備え、前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)はそれぞれ、前記保持脚部(12a,12b)を前記基体(11)に結合することができる第1の端部と、前記装飾板(6)に当付け可能である第2の端部とを備え
ることを特徴とする、請求項1から
7までのいずれか1項記載の保持装置。
【請求項9】
前記装飾板(6)の長手方向(L)に対して横方向における前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)の間の間隔が、前記第1の端部を起点として前記第2の端部の方向で減少しており、前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)の前記第2の端部は、前記装飾板(6)の収容によって互いに相対的に拡開可能であることを特徴とする、請求項8記載の保持装置。
【請求項10】
少なくとも前記保持装置(7a,7b)の前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)をカバーすることができる少なくとも1つのカバー装置(14)が設けられており、前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)は、前記少なくとも1つのカバー装置(14)を前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)に被さるように配置することによって前記装飾板(6)に緊締可能であることを特徴とする、請求項1から
9までのいずれか1項記載の保持装置。
【請求項11】
前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)の間に、前記装飾板(6)に加えることができる緊締力を制限することができる少なくとも1つの制限要素(23)が配置されていることを特徴とする、請求項1から
10までのいずれか1項記載の保持装置。
【請求項12】
前記保持装置(7a,7b)は、少なくとも1つの基体(11)を備え
る、
ことを特徴とする、請求項1から
11までのいずれか1項記載の保持装置。
【請求項13】
前記基体(11)は、
- 前記装飾板(6)の長手方向(L)に発生する遊びを少なくとも部分的に補償することができる少なくとも1つのばね要素を有し、かつ/または
- 前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)用の支持装置(18)を有し、かつ/または
- 前記装飾板(6)の端区分用の収容室(20)を有する
ことを特徴とする、請求項12記載の保持装置。
【請求項14】
前記保持装置(7a,7b)を前板(3)または引出し背壁(4)に固定するための前記固定装置(8a,8b)は、前記前板(3)または前記引出し背壁(4)に固定すべき金具要素(9)を導入するための孔(21)
を有し、かつ/または少なくとも1つの係止突出部(19)を有することを特徴とする、請求項1から
13までのいずれか1項記載の保持装置。
【請求項15】
前記孔(21)は鍵孔である、ことを特徴とする、請求項14記載の保持装置。
【請求項16】
引出し側壁(2a,2b)用の載着装置(22)であって、前記載着装置(22)によって、前記引出し側壁(2a,2b)の面積が、前記引出し側壁(2a,2b)の長手方向(L)に対して横方向で増大可能であり、前記載着装置(22)は、請求項1から
15までのいずれか1項記載の少なくとも1つの
保持装置(7a,7b)を有する、載着装置(22)。
【請求項17】
前記載着装置(22)は、2つの前記保持装置(7a,7b)を有する、請求項16記載の載着装置(22)。
【請求項18】
前記載着装置(22)は、前記引出し側壁(2a,2b)に載着可能な装飾板(6)
を備え
る、請求項
16または17記載の載着装置(22)。
【請求項19】
前記装飾板(6)は、ガラスプレートである、請求項18記載の載着装置(22)。
【請求項20】
前記装飾板(6)は、一貫して開口または凹設部なしに形成されている、請求項18または19記載の載着装置(22)。
【請求項21】
請求項1から
15までのいずれか1項記載の少なくとも1つの保持装置(7a,7b)または請求項
16から20までのいずれか1項記載の少なくとも1つの載着装置(22)を備えた引出し(1)。
【請求項22】
請求項1から
15までのいずれか1項記載の少なくとも1つの保持装置(7a,7b)に装飾板(6)を組み付けるための方法であって、
- 前記少なくとも1つの保持装置(7a,7b)を準備する方法ステップと、
- 前記装飾板(6)を準備する方法ステップと、
- 前記装飾板(6)を部分的に前記保持装置(7a,7b)の前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)の間に配置する方法ステップと、
- 前記装飾板(6)の長手方向(L)に対して横方向で、前記少なくとも2つの保持脚部(12a,12b)の間に収容された前記装飾板(6)に緊締力を加える方法ステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出し側壁に載着可能な装飾板、特にガラスプレートを保持するための保持装置であって、
- 保持装置を前板または引出し背壁に固定するための固定装置と、
- 互いに離間させられた少なくとも2つの保持脚部であって、相互間に装飾板を部分的に収容することができる保持脚部と
を備え、
- 少なくとも2つの保持脚部は、緊締装置の一部であり、緊締装置によって、装飾板の長手方向に対して横方向で、少なくとも2つの保持脚部の間に収容された装飾板に緊締力を加えることができる、
保持装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、引出し側壁用の載着装置であって、載着装置によって、引出し側壁の面積が、引出し側壁の長手方向に対して横方向で増大可能であり、載着装置は、以下に記載するように構成された少なくとも1つの、好ましくは2つの保持装置を有する、載着装置に関する。
【0003】
また、本発明は、以下に記載するように構成された少なくとも1つの保持装置に装飾板を組み付けるための方法に関する。
【0004】
冒頭に述べた形態の、引出し用の装飾板を保持するための保持装置は、例えば国際公開第2015/192154号に開示されている。装飾板は、引出しの収容容積を増大させるために働き、装飾的なインサートとしてガラス、木、石、プラスチックまたはセラミックスから形成されていてよい。装飾板の前端領域および後端領域には、孔が配置されており、装飾板の第1の側でメタルラミネートのピンが、かつ装飾板の、反対側に位置している第2の側で付加ホルダのスリーブが、装飾板の孔内に係合している。この公知の保持装置には、装飾板における孔の形成に著しく多くの手間がかかるという欠点がある。さらに、装飾板における孔の形成には、装飾板が穿孔工程時に裂けて、もはや引き続きの使用が不可能になるというおそれもある。
【0005】
板状の壁要素を固定するための保持装置を備えた引出しは、欧州特許出願公開第2637524号明細書、国際公開第2016/131579号、欧州特許出願公開第2398350号明細書および欧州特許出願公開第3009040号明細書に開示されている。これらの保持装置はそれぞれ、2つの側方脚部を備えた実質的にU字形の部材を含んでおり、両方の側方脚部の間に板状の壁要素が配置可能である。これらの公知の構成には、板状の壁要素を遊びなしに固定するためのU字形の部材を、壁要素の寸法に正確に合わせなくてはならないという欠点がある。さもないと、壁要素が組み付けられた状態でぐらつき、引出しの運動時に(特に両方の終端位置への到達時に)耳障りな騒音が気になるというおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、冒頭に述べた形態の保持装置を改良して、上述した欠点を回避することができる保持装置を提供することである。
【0007】
この課題は、本発明によれば、請求項1記載の特徴によって解決される。本発明の別の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明によれば、緊締装置は、少なくとも2つの保持脚部の間で装飾板に加えることができる緊締力を調整することができる少なくとも1つの調整装置を備えることが特定されている。
【0009】
言い換えると、装飾板は、保持装置に組み付けられた状態で少なくとも2つの保持脚部によって緊締されて位置保持される。このことには、装飾板が、保持装置における固定のために面倒な後加工を必要としない、つまり、ゆえに、装飾板の穿孔を回避することができるという特別な利点がある。したがって、装飾板を一貫して開口または凹設部なしに形成することができる。
【0010】
このような調整装置の提供には、保持脚部の、装飾板に加えられる緊締力を、使用者によって可変に調整することができ、装飾板のそれぞれの寸法に最適に(つまり、遊びなしに)合わせることができるという利点がある。調整装置は、例えば保持脚部の緊締力を、装飾板が緩くなった場合に相応に高めるという可能性をも提供し、これによって、装飾板を再び緊締固定することができる。
【0011】
調整装置は、例えば少なくとも2つの保持脚部に結合されたかまたは結合可能な少なくとも1つの緊締ねじを備えていてよい。もちろん、調整装置は、装飾板を力接続的に固定するための、回転可能に支持された調整ホイールまたは可動に支持された緊締要素を有していてもよい。
【0012】
保持装置の少なくとも2つの保持脚部は、例えば金属材料から製造されていてよい。保持脚部の、装飾板との接触のために設けられた面は、静止摩擦を高めかつ装飾板への保持脚部のソフトな当付けを可能にする表面コーティングを備えていてよい。
【0013】
本発明の更なる詳細および利点は、以下の図面の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1b】引出しを組み立てられた状態で示す図である。
【
図2a】2つの保持装置を有する装飾板を備えた載着装置を示す分解図である。
【
図2b】2つの保持装置を有する装飾板を備えた載着装置を組み立てられた状態で示す図である。
【
図3a】装飾板に接触している調整可能な保持脚部を備えた装飾板を示す斜視図である。
【
図3b】装飾板に接触している調整可能な保持脚部を備えた装飾板の一部を拡大して示す詳細図である。
【
図3c】緊締力の調整機能を有しない、本発明に係るものではない保持脚部の構成を示す図である。
【
図5a】装飾板における保持装置の組付けを示す図である。
【
図5b】装飾板における保持装置の組付けを示す図である。
【
図5c】装飾板における保持装置の組付けを示す図である。
【
図6a】引出しにおける載着装置の組付けを示す図である。
【
図6b】引出しにおける載着装置の組付けを示す図である。
【
図6c】引出しにおける載着装置の組付けを示す図である。
【
図6d】引出しにおける載着装置の組付けを示す図である。
【
図6e】引出しにおける載着装置の組付けを示す図である。
【0015】
図1aには、引出し1が分解図で示してある。引出し1は、2つの引出し側壁2a,2bと1つの前板3と1つの引出し背壁4と1つの引出し底5とを有している。引出し1の収容容積を増大させるために、装飾板6が設けられており、この装飾板6は、側壁2a,2bに載着可能であり、例えばガラス、石、木、セラミックス、樹脂、プラスチックから、または複合材料(特に複合ガラス)から製造されていてよい。
【0016】
直方体状の装飾板6は、保持装置7a,7bを介して一方で前板3に、他方で引出し背壁4に解離可能に結合可能である。保持装置7a,7bは、それぞれ1つの固定装置8a,8bを有しており、前側の固定装置8aは、前板3への固定のために形成されており、後ろ側の固定装置8bは、引出し背壁4への固定のために形成されている。
【0017】
例えば、前側の固定装置8aは、前板3に固定すべき、好ましくはピン状の金具要素9に解離可能に結合可能、好ましくはロック可能であることが特定されていてよい。これに対して、後ろ側の固定装置8bは、引出し背壁4に配置された開口10に解離可能に結合可能、好ましくはロック可能であってよい。
図1bには、
図1aに示した引出し1が、組み立てられた状態で示してある。
【0018】
図2aには、引出し側壁2a,2bのための載着装置22が分解図で示してあり、載着装置22によって、引出し側壁2a,2bの面積が、引出し側壁2a,2bの長手方向(L)に対して横方向で増大可能である。
【0019】
保持装置7a,7bは、それぞれ1つの基体11を有しており、この基体11は、装飾板6の端区分を収容するための収容室20を有している。
【0020】
基体11には、さらに、2つの保持脚部12a,12bを支持するための支持装置18が配置されている。
【0021】
両方の保持脚部12a,12bの間に、装飾板6は部分的に収容可能であり、少なくとも2つの保持脚部12a,12bは、緊締装置15の一部であり、この緊締装置15によって、装飾板6の長手方向(L)に対して横方向で、少なくとも2つの保持脚部12a,12bの間に収容された装飾板6に緊締力を加えることができる。このようにして、装飾板6はその組み付けられた状態で両方の保持脚部12a,12bによって緊締されて保持される。図示の実施例では、少なくとも2つの保持脚部12a,12bは、少なくとも1つの横方向脚部12cによって互いに結合されているかまたは互いに結合可能である。
【0022】
1つの実施例によれば、少なくとも2つの保持脚部12a,12bのうちの少なくとも1つの保持脚部、好ましくは両方の保持脚部12a,12bが、装飾板6に緊締するように当て付けるための緊締面17を有しており、好ましくは、緊締面17は、
- 少なくとも1つの、好ましくは2つの弾性的な補償要素13を有しており、かつ/または
- 実質的に平らに、つまり、装飾板6内に格納可能な突出部なしに形成されている
ことが特定されていてよい。
【0023】
本発明によれば、緊締装置15は、少なくとも2つの保持脚部12a,12bの間で装飾板6に加えることができる緊締力を調整することができる少なくとも1つの調整装置16を備えていることが特定されている。例えば調整装置16は、少なくとも2つの保持脚部12a,12bに結合されたかまたは結合可能な少なくとも1つの緊締ねじ16aを含んでいてよい。
【0024】
さらに、保持装置7a,7bの少なくとも2つの保持脚部12a,12bをカバーすることができる少なくとも1つのカバー装置14が設けられていてよい。1つの実施例によれば、少なくとも2つの保持脚部12a,12bは、少なくとも1つのカバー装置14を少なくとも2つの保持脚部12a,12bに被さるように配置することによって装飾板6に緊締可能であることが特定されていてよい。
【0025】
保持装置7a,7bを前板3または引出し背壁4に固定するための固定装置8a,8bは、例えば、前板3に固定すべき金具要素9を導入するための孔21、好ましくは鍵孔を有していて、かつ/または引出し背壁4を固定するための少なくとも1つの係止突出部19を有している。少なくとも1つの係止突出部19は、この係止突出部19が引出し背壁4の対応する開口10(
図1a)内に係止可能であるように形成されている。
【0026】
基体11は、装飾板6の長手方向Lに発生する遊びを少なくとも部分的に補償することができる少なくとも1つのばね要素(ここには図示せず)を有していてよい。ばね要素は、例えば弾性的に可撓性の材料部材によって、または成形ばねによって形成されていてよい。
【0027】
図3aに示した装飾板6では、保持装置7a,7bの両方の保持脚部12a,12bは、装飾板6を取り囲んで緊締している。調整装置16によって、保持脚部12a,12bの間で装飾板6に加えることができる緊締力は調整可能である。工具を用いた両方の緊締ねじ16aの回転によって、緊締力は可変に調整可能である。
図3bには、
図3aにおいて丸で囲んだ領域が拡大して示してある。
【0028】
図3cに示した、本発明に係るものではない構成では、両方の保持脚部12a,12bは装飾板6を取り囲んで緊締している。
図3aおよび
図3bに示した実施例とは異なり、
図3cの構成では調整装置16は省かれている。つまり、両方の保持脚部12a,12bは、予荷重によって装飾板6に接触している。これは、例えば2つの保持脚部12a,12bが装飾板6の収容によって互いに相対的に拡開可能であることによって緩んでしまう場合がある。
【0029】
1つの実施例によれば、保持装置7a,7bは、少なくとも1つの基体11を備えていて、少なくとも2つの保持脚部12a,12bはそれぞれ、保持脚部12a,12bを基体11に結合することができる第1の端部と、装飾板6に当付け可能である第2の端部とを備えていることが特定されていてよい。好ましくは、装飾板6の長手方向(L)に対して横方向における少なくとも2つの保持脚部12a,12bの間の間隔は、第1の端部を起点として第2の端部の方向で減少しており、少なくとも2つの保持脚部12a,12bの第2の端部は、装飾板6の収容によって互いに相対的に拡開可能であることが特定されていてよい。
【0030】
図4a~
図4cには、載着装置22が3つの異なる横断面図で示してあり、載着装置22によって引出し側壁2a,2bの高さひいては引出し1の収容容積が増大可能である。
【0031】
図4aに示した載着装置22の斜視図では、装飾板6の両方の端領域はそれぞれ、2つの保持脚部12a,12bによって取り囲まれて緊締される。両方の保持脚部12a,12bは、少なくとも1つの横方向脚部12cによって互いに結合されているので、保持脚部12a,12bは、少なくとも1つの横方向脚部12cと一緒にU字形に形成されたクランプを形成している。例えば少なくとも1つの緊締ねじ16aを有する調整装置16によって、装飾板6の両方の外面に作用する保持脚部12a,12bの緊締力を調整することができる。
【0032】
図4bには、
図4aにおいて丸で囲んだ領域が拡大して示してある。補償要素13によって装飾板6はその組み付けられた状態で、両方の保持脚部12a,12b内に、装飾板6の長手方向(L)に対して横方向で遊びなしに固定されている。
【0033】
1つの実施例によれば、少なくとも2つの保持脚部12a,12bの間に、装飾板6に加えることができる緊締力を制限することができる少なくとも1つの制限要素23が配置されていることが特定されていてよい。言い換えると、制限要素23は両方の保持脚部12a,12bのためのストッパを形成しており、これによって、調整装置16の過度の操作が阻止されている。このようにして、装飾板6もまた損傷に対して保護することができる。
図4cには、
図4bに示した載着装置22の一部が水平断面図で示してある。
【0034】
図5a~
図5cには、装飾板6における保持装置7a,7bの組付けが示してある。まず、保持装置7a,7bが、装飾板6の両方の端区分に被せ嵌められる。このために、保持装置7a,7bの基体11はそれぞれ、横断面が実質的に方形に形成されていてよい収容室20を有している。
【0035】
図5bには、装飾板6の端区分に被せ嵌められた保持装置7a,7bが示してある。装飾板6に作用する緊締力を調整するための調整装置16は、まだ操作されていない。
【0036】
図5cに示した、保持装置7a,7bを備えた装飾板6は、調整装置16、好ましくは緊締ねじ16aの操作によって、力接続的に収容室20内で固定されている。
図5cに示した構造は、引出し側壁2a,2bの面積を引出し側壁2a,2bの長手方向(L)に対して横方向で増大させることができる載着装置22に相当しており、載着装置22は、少なくとも1つの、好ましくは2つの保持装置7a,7bを有している。
【0037】
少なくとも1つの保持装置7a,7bに装飾板6を組み付けるための方法は、
- 少なくとも1つの保持装置7a,7bを準備する方法ステップと、
- 装飾板6を準備する方法ステップと、
- 装飾板6を部分的に保持装置7a,7bの少なくとも2つの保持脚部12a,12bの間に配置する方法ステップと、
装飾板6の長手方向Lに対して横方向で、少なくとも2つの保持脚部12a,12bの間に収容された装飾板6に緊締力を加える方法ステップと
を特徴とする。
【0038】
図6a~
図6eには、引出し1における載着装置22の組付けが示してある。第1ステップで、前側の保持装置7aが、前板3の背側に予め組み付けられた金具要素9に被せ嵌められる(
図6b)。次のステップで、装飾板6の後ろ側の端区分が、後ろ側の保持装置7bが引出し背壁4にロック可能になるまで、引出し側壁2bの方向に旋回させられる(
図6c)。次のステップで、両カバー装置14が準備される(
図6d)。更なるステップで、両カバー装置14は、上から保持装置7a,7bに被せ嵌められる(
図6e)。
【0039】
本発明の1つの可能な実施例では、少なくとも2つの保持脚部12a,12bが、少なくとも1つのカバー装置14を少なくとも2つの保持脚部12a,12bに被さるように配置することによって装飾板6に緊締可能であることが特定されていてよい。このことは、装飾板6が、まず、力なしに両方の保持脚部12a,12b内に予め位置決め可能であり、カバー装置14の組付けによって初めて力接続的に固定可能であるという利点を有している。