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特許7479563車用ガラス曲げ成型装置及び車用ガラス曲げ成型方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】車用ガラス曲げ成型装置及び車用ガラス曲げ成型方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 23/035 20060101AFI20240426BHJP
   C03B 23/025 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
C03B23/035
C03B23/025
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2023501916
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2021092105
(87)【国際公開番号】W WO2022037129
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202011159604.2
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010853530.6
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516151818
【氏名又は名称】フーイャォ グラス インダストリー グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ズングァン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゾンファ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ダオディン
(72)【発明者】
【氏名】リン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,グァンジン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェンファン
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-527349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B23/02-23/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車用ガラス曲げ成型装置であって、
凹面底型と、少なくとも1つの給気ダクトと、複数の抽気ダクトと、を含み、前記凹面底型は、ベース及び頂板を含み、前記頂板は、前記ベースをカバーし、且つ前記ベースとともに囲んで収容空間を形成し、前記収容空間内には複数の第一仕切板が設置されており、複数の前記第一仕切板は前記収容空間を複数のサブ空間に分割し、前記ベースから離れている前記頂板の積載面は凹型表面であり、前記頂板には前記収容空間に連通される複数の貫通孔が離間して設けられており、各サブ空間は少なくとも1つの前記貫通孔に対応し、各給気ダクトは少なくとも1つの前記サブ空間に連通されて、少なくとも1つの前記サブ空間内に給気し、複数の前記抽気ダクトは残りの複数の前記サブ空間と一対一に連通されて、残りの複数の前記サブ空間に対して抽気する、
ことを特徴とする車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項2】
複数の前記サブ空間は、前記頂板の中央領域に対応する中心サブ空間と、前記中心サブ空間の周囲を囲む緩衝サブ空間と、前記緩衝サブ空間の周囲に分布され且つ一緒に前記緩衝サブ空間を囲む複数のエッジサブ空間と、を含み、前記給気ダクトは前記緩衝サブ空間又は前記中心サブ空間に連通され、前記抽気ダクトは他の前記サブ空間に連通される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項3】
複数の前記エッジサブ空間は、前記緩衝サブ空間の対向する両側に位置する下辺サブ空間及び上辺サブ空間と、前記緩衝サブ空間の対向する両側に位置する第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間と、を含み、前記下辺サブ空間は前記頂板の第一領域に対応し、前記上辺サブ空間は前記頂板の第二領域に対応し、前記第一領域の曲率半径は前記第二領域の曲率半径よりも大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項4】
前記ガラス曲げ成型装置は制御部材をさらに含み、前記制御部材によって前記抽気ダクト及び前記給気ダクトを調整することにより、各サブ空間内の真空作用又は給気作用を調整可能にする、
ことを特徴とする請求項1に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項5】
前記車用ガラス曲げ成型装置は、前記給気ダクトに設置された第一気体加熱システムをさらに含み、前記給気ダクトから前記ガラスに吹き付ける気体を加熱して、気体の温度を調整可能にする、
ことを特徴とする請求項1に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項6】
前記車用ガラス曲げ成型装置は、さらに環状頂型を含み、前記環状頂型は、前記頂板における前記ベースから離れている片側に設置され、前記環状頂型は、頂型板と、前記頂型板上に設置され且つ前記積載面側を向う側型板と、を含み、前記環状頂型と前記凹面底型とが対向移動して、前記側型板を前記ガラスの上表面に接触させると、前記頂型板、前記側型板及び前記ガラスの上表面が収容室を形成し、前記収容室には給気通路が設けられており、前記給気通路は、前記積載面に向かっており、且つ前記ガラスに対して給気するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項7】
前記収容室内に複数の第二仕切板が設置されており、複数の前記第二仕切板は前記収容室を複数のサブ収容室に分割し、複数の前記サブ収容室はそれぞれ中心サブ収容室及び複数のエッジサブ収容室であり、前記中心サブ収容室は、前記中心サブ空間及び前記緩衝サブ空間に対向して設置され、複数の前記エッジサブ収容室は、それぞれ前記第一側辺サブ空間、前記第二側辺サブ空間、前記下辺サブ空間、前記上辺サブ空間に一対一に対向して設置され、前記給気通路の数量は複数であり、且つ各サブ収容室内に皆少なくとも1つの前記給気通路が設けられている、
ことを特徴とする請求項6に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項8】
前記中心サブ収容室は、第一中心サブ収容室及び第二中心サブ収容室を含み、前記第一中心サブ収容室は前記中心サブ空間に対向して設置され、前記第二中心サブ収容室は前記緩衝サブ空間に対向して設置され、前記第一中心サブ収容室及び前記第二中心サブ収容室には、皆少なくとも1つの前記給気通路が設けられている、
ことを特徴とする請求項7に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項9】
前記給気通路の給気パワー、給気オープン時間及び給気時間長さはいずれも調整可能である、
ことを特徴とする請求項6に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項10】
前記車用ガラス曲げ成型装置は、第二ガス加熱システムをさらに備え、前記第二ガス加熱システムは前記給気通路に設置され、前記給気通路から前記ガラスに吹く気体を加熱して、気体の温度を調整可能にする、
ことを特徴とする請求項6に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項11】
前記車用ガラス曲げ成型装置は、さらに環状フレーム構造である予備成型フレームを含み、前記予備成型フレームは、前記凹面底型の外周をカバーするように設置され、且つ前記予備成型フレームの曲率半径は前記凹面底型の曲率半径よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項12】
前記ガラスは少なくとも1つであり、前記ガラスの数量が1つより多い場合、複数の前記ガラスは前記積載面上に積層される、
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の車用ガラス曲げ成型装置。
【請求項13】
車用ガラス曲げ成型方法であって、
車用ガラス曲げ成型装置を提供し、前記車用ガラス曲げ成型装置は、凹面底型と、複数の抽気ダクトと、少なくとも1つの給気ダクトと、を含み、前記凹面底型はベース及び頂板を含み、前記頂板は、前記ベースをカバーし、且つ前記ベースとともに囲んで収容空間を形成し、前記ベースから離れている前記頂板の積載面は凹型表面であり、前記積載面はガラスを積載するために用いられ、前記頂板には複数の貫通孔が離間して設けられており、前記収容空間内には複数の第一仕切板が設置されており、複数の前記第一仕切板は前記収容空間を複数のサブ空間に分割し、各サブ空間は少なくとも1つの前記貫通孔に連通され、各給気ダクトは少なくとも1つの前記サブ空間に連通され、残りの複数の前記サブ空間は複数の前記抽気ダクトと一対一に連通されるステップと、
成型温度に加熱されたガラスを前記積載面に置き、前記ガラスは重力作用によって変形するステップと、
複数の前記抽気ダクトを使用して複数の前記サブ空間に対して抽気し、前記給気ダクトを使用して少なくとも1つの前記サブ空間に対して給気して、前記ガラスを前記積載面に完全に貼り合わせるステップと、
を含む、
ことを特徴とする車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項14】
複数の前記サブ空間は、前記頂板の中央領域に対応する中心サブ空間と、前記中心サブ空間の周囲を囲む緩衝サブ空間と、前記緩衝サブ空間の周囲に分布され且つ一緒に前記緩衝サブ空間を囲む複数のエッジサブ空間と、を含み、前記給気ダクトは前記緩衝サブ空間又は前記中心サブ空間に連通され、複数の前記抽気ダクトはそれぞれ他の前記サブ空間に連通され、且つ複数の前記抽気ダクトの間の抽気方式は差異が存在する、
ことを特徴とする請求項13に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項15】
複数の前記エッジサブ空間は、前記緩衝サブ空間の対向する両側に位置する下辺サブ空間及び上辺サブ空間と、前記緩衝サブ空間の対向する両側に位置する第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間と、を含み、前記下辺サブ空間及び前記上辺サブ空間に連通された前記抽気ダクトの抽気方式は第一方式であり、前記第一側辺サブ空間及び前記第二側辺サブ空間に連通された前記抽気ダクトの抽気方式は第二方式であり、前記第一方式と前記第二方式は差異が存在する、
ことを特徴とする請求項14に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項16】
複数の前記抽気ダクトを使用して複数の前記サブ空間に対して抽気し、前記給気ダクトを使用して少なくとも1つの前記サブ空間に対して給気して、前記ガラスを前記積載面に完全に貼り合わせることは、
各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することと、
前記給気ダクトの給気温度、給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項17】
各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
前記中心サブ空間又は前記緩衝サブ空間に連通された抽気ダクトが第一抽気パワーを採用するように調整し、前記下辺サブ空間及び前記上辺サブ空間に連通された抽気ダクトが第二抽気パワーを採用するように調整し、前記第一側辺サブ空間及び前記第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトが第三抽気パワーを採用するように調整することを含み、
前記第一抽気パワー、前記第二抽気パワー及び前記第三抽気パワーのパワーの大きさは順次低下する、
ことを特徴とする請求項16に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項18】
各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
前記中心サブ空間又は前記緩衝サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間を第一時間に調整し、前記下辺サブ空間及び前記上辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間を第二時間に調整し、前記第一側辺サブ空間及び前記第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間を第三時間に調整することを含み、
前記第一時間、前記第二時間及び前記第三時間の時間順序は順次に先送りする、
ことを特徴とする請求項16に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項19】
各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
前記中心サブ空間又は前記緩衝サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さを第一時間長さに調整し、前記下辺サブ空間及び前記上辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さを第二時間長さに調整し、前記第一側辺サブ空間及び前記第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さを第三時間長さに調整することを含み、
前記第一時間長さ、前記第二時間長さ及び前記第三時間長さの持続時間長さは順次に低下する、
ことを特徴とする請求項16に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項20】
各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
前記中心サブ空間又は前記緩衝サブ空間、前記下辺サブ空間及び前記上辺サブ空間、前記第一側辺サブ空間及び前記第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気パワーが順次に低下するように調整することと、
前記中心サブ空間又は前記緩衝サブ空間、前記下辺サブ空間及び前記上辺サブ空間、前記第一側辺サブ空間及び前記第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間が順次に先送りするように調整することと、
前記中心サブ空間又は前記緩衝サブ空間、前記下辺サブ空間及び前記上辺サブ空間、前記第一側辺サブ空間及び前記第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さが順次に低下するように調整することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項21】
各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
前記中心サブ空間又は前記緩衝サブ空間、前記下辺サブ空間、前記上辺サブ空間、前記第一側辺サブ空間及び前記第二側辺サブ空間のうちの少なくとも1つの前記サブ空間に対応するガラス表面が前記積載面に貼り合わされているか又は貼り合せに接近されている場合、対応するサブ空間に連通する前記抽気ダクトを閉じることを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項22】
前記給気ダクトの給気温度、給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することは、
前記中心サブ空間、前記下辺サブ空間、前記上辺サブ空間、前記緩衝サブ空間、前記第一側辺サブ空間及び前記第二側辺サブ空間のうちの少なくとも1つの前記サブ空間に対応するガラス表面が前記積載面に貼り合わされているか又は貼り合せに接近されている場合、前記給気ダクトは給気し始め、且つ前記給気ダクトの給気パワーは前記抽気ダクトの抽気パワー以下であり、及び/又は前記給気ダクトの給気時間長さは前記抽気ダクトの抽気時間長さ以下であり、及び/又は前記給気ダクトの給気温度はガラス温度以下である、ことを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項23】
前記車用ガラス曲げ成型装置はさらに環状頂型を含み、前記環状頂型は、前記頂板における前記ベースから離れている片側に設置され、前記環状頂型は、頂型板と、前記頂型板上に設置され且つ前記積載面側を向う側型板と、を含み、前記環状頂型と前記凹面底型とが対向移動して、前記側型板を前記ガラスの上表面に接触させると、前記頂型板、前記側型板及び前記ガラスの上表面が収容室を形成し、前記収容室には給気通路が設けられており、前記給気通路は、前記積載面に向かっており、且つ前記ガラスに対して給気するために用いられる、
ことを特徴とする請求項16に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【請求項24】
前記収容室内に複数の第二仕切板が設置されており、複数の前記第二仕切板は前記収容室を複数のサブ収容室に分割し、複数の前記サブ収容室は、それぞれ複数の前記サブ空間と一対一に対向して設置され、前記給気通路の数量は複数であり、且つ各サブ収容室内に1つの前記給気通路が設けられており、複数の前記給気通路の給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することにより、前記ガラスにおける複数の前記サブ収容室に対向する異なる部位が異なる程度の給気圧力を受けることにする、
ことを特徴とする請求項23に記載の車用ガラス曲げ成型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、中国特許庁に提出された2つの中国特許出願の優先権を主張し、1つは、出願日は2020年8月21日であり、出願番号はCN202010853530.6であり、発明の名称は「車用ガラス曲げ成型装置及び車用ガラス曲げ成型方法」であり、もう1つは、出願日は2020年10月26日であり、出願番号はCN202011159604.2であり、発明の名称は「車用ガラス曲げ成型装置及び車用ガラス曲げ成型方法」であり、且つ参照のためそれらの全文を本出願に組み込む。
【0002】
本発明は、ガラス加工技術分野に関し、具体的に、車用ガラス曲げ成型装置及び車用ガラス曲げ成型方法に関する。
【背景技術】
【0003】
社会の発展に伴い、人々の外出は自動車から離れなくなり、自動車の生産量は年々増加し、車用ガラスに対する需要量も年々増加し、どのようにガラスに対して曲げ加工を行ってガラスを適切な形状に成型するかは、ガラス加工工芸における重点と難点である。
【0004】
従来の車用ガラス曲げ成型装置を用いてガラスを加工する場合、ガラスの形状及び重力分布の影響を受けて、ガラスは「S」型又は「フライパン」型ガラス球面が発生し易く、従ってガラスの成型要求を満たさない。そのため、ガラスの各位置の形状変化を調整して、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすように、新型の車用ガラス曲げ成型装置が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本出願の目的は、車用ガラス曲げ成型装置及び車用ガラス曲げ成型方法を提供し、ガラスの曲げ成型工芸に用いられ、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすように、ガラスの各位置の形状変化を調整することができる。
【0006】
本出願の目的を実現するために、本出願は以下の技術方案を提供する:第一方面において、本出願は車用ガラス曲げ成型装置を提供し、凹面底型と、少なくとも1つの給気ダクトと、複数の抽気ダクトと、を含む。凹面底型は、ベース及び頂板を含む。頂板は、ベースをカバーし、且つベースとともに囲んで収容空間を形成する。収容空間内には複数の第一仕切板が設置されており、複数の第一仕切板は収容空間を複数のサブ空間に分割する。ベースから離れている頂板の積載面は凹型表面である。頂板には収容空間に連通される複数の貫通孔が離間して設けられており、各サブ空間は少なくとも1つの貫通孔に対応する。各給気ダクトは少なくとも1つのサブ空間に連通されて、少なくとも1つのサブ空間内に給気し、複数の抽気ダクトは残りの複数のサブ空間と一対一に連通されて、残りの複数のサブ空間に対して抽気する。
【0007】
本出願によって提供される車用ガラス曲げ成型装置は、収容空間を複数のサブ空間に分割し、且つ複数のサブ空間に対して抽気又は給気するように、複数のサブ空間と一対一に連通される給気ダクト、抽気ダクトを設置して、複数のサブ空間に対応するガラス表面が異なる程度の真空作用又は給気作用を受けることにして、ガラスの各位置の形状変化を調整し、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0008】
1つの実施例において、複数のサブ空間は、頂板の中央領域に対応する中心サブ空間と、中心サブ空間の周囲を囲む緩衝サブ空間と、緩衝サブ空間の周囲に分布され且つ一緒に緩衝サブ空間を囲む複数のエッジサブ空間と、を含む。給気ダクトは緩衝サブ空間に連通されており、抽気ダクトは他のサブ空間に連通されている。車用ガラス曲げ成型装置内のサブ空間を中心サブ空間、緩衝サブ空間及び複数のエッジサブ空間に区分してガラスの異なる領域位置に対応し、抽気ダクトを用いて中心サブ空間及び複数のエッジサブ空間に対してそれぞれ抽気し、且つ給気ダクトを用いて緩衝サブ空間に対して給気して、各サブ空間内の真空作用又は給気作用を調整し、従って異なる領域位置のガラスが受ける真空作用力又は重力作用を変化させて、対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにガラスの形状を調整する。
【0009】
1つの実施例において、複数のサブ空間は、頂板の中央領域に対応する中心サブ空間と、中心サブ空間の周囲を囲む緩衝サブ空間と、緩衝サブ空間の周囲に分布され且つ一緒に緩衝サブ空間を囲む複数のエッジサブ空間と、を含む。給気ダクトは中心サブ空間に連通されており、抽気ダクトは他のサブ空間に連通されている。上述した構造によって、各サブ空間内の真空作用又は給気作用を調整することができ、従って異なる領域位置のガラスが受ける真空作用力又は重力作用を変化させて、対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにガラスの形状を調整する。給気作用は、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスがさらに落下する程度を阻止することができる。中心サブ空間に対応する位置のガラスの球面の落下は給気によって阻止されるので、他のサブ空間(緩衝サブ空間及び複数のエッジサブ空間を含む)に対応する位置のガラスの受力分布を変化させて、さらに低い真空作用力であっても、抽気ダクトの抽気による真空作用力によってガラスの形状が変化し易くなる。さらに低い真空作用力は、ガラスにおける他のサブ空間(緩衝サブ空間及び複数のエッジサブ空間を含む)に対応する位置と積載面との間に可能な過度の押出が発生することをさらに回避し、ガラスの成型型面の品質と光学品質を向上させることができる。
【0010】
1つの実施例において、複数のエッジサブ空間は、緩衝サブ空間の対向する両側に位置する下辺サブ空間及び上辺サブ空間と、緩衝サブ空間の対向する両側に位置する第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間と、を含む。下辺サブ空間は頂板の第一領域に対応し、上辺サブ空間は頂板の第二領域に対応し、第一領域の曲率半径は第二領域の曲率半径よりも大きい。複数のエッジサブ空間を下辺サブ空間、上辺サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に分割することにより、ガラスのエッジの異なる領域位置に対応する。下辺サブ空間、上辺サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に対してそれぞれ抽気することにより、ガラスのエッジの異なる領域位置が対応する真空作用力を受けることにして、ガラスのエッジ形状をより精確に調整する。
【0011】
1つの実施例において、ガラス曲げ成型装置は制御部材をさらに含み、制御部材によって抽気ダクト及び給気ダクトを調整することにより、各サブ空間内の真空作用又は給気作用を調整可能にする。制御部材の存在により、抽気ダクトの抽気性能及び給気ダクトの給気性能を効果的に制御することができ、各サブ空間内の真空作用又は給気体作用を精確に調整して、各サブ空間に対応する位置のガラスは対応する真空作用力を受けて形状変化が発生し、対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0012】
1つの実施形態において、車用ガラス曲げ成型装置は、給気ダクトに設置された第一気体加熱システムをさらに含み、給気ダクトからガラスに吹き付ける気体を加熱して、気体の温度を調整可能にする。第一気体加熱システムの設置によって、給気ダクトの供給気体温度を効果的に調整することができ、さらに給気ダクトに連通されたサブ空間内の供給気体温度を調整することができ、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの温度をより精確に制御することができ、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面がさらに落下する程度をより精確に制御及び阻止することができ、対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0013】
1つの実施形態において、車用ガラス曲げ成型装置は、さらに環状頂型を含む。環状頂型は、頂板におけるベースから離れている片側に設置される。環状頂型は、頂型板と、頂型板上に設置され且つ積載面側を向う側型板と、を含む。環状頂型と凹面底型とが対向移動して、側型板をガラスの上表面に接触させると、頂型板、側型板及びガラスの上表面が収容室を形成する。収容室には給気通路が設けられており、給気通路は積載面に向かっており、且つガラスに対して給気する。環状頂型上の給気通路を使用してガラスの上表面に対して給気処理することにより、ガラスの下表面が真空作用力を受けると同時に、その上表面が給気圧力を受けることにして、ガラスが速く曲げ成型する効果に達することができる。また、車用ガラス曲げ成形装置が凹面底型と環状頂型とを同時に含む場合、複数の積層設置されたガラスを同時に加工することができ、加工工芸効率をある程度向上させることができる。
【0014】
1つの実施例において、収容室内に複数の第二仕切板が設置されており、複数の第二仕切板は収容室を複数のサブ収容室に分割する。複数のサブ収容室は、それぞれ中心サブ収容室及び複数のエッジサブ収容室である。中心サブ収容室は、中心サブ空間及び緩衝サブ空間に対向して設置される。複数のエッジサブ収容室は、それぞれ第一側辺サブ空間、第二側辺サブ空間、下辺サブ空間、上辺サブ空間に一対一に対向して設置される。給気通路の数量は複数であり、且つ各サブ収容室内に皆少なくとも1つの給気通路が設けられている。複数のサブ収容室を中心サブ収容室と複数のエッジサブ収容室に分割して、ガラスの中心領域位置とエッジ領域位置に対応する。中心サブ収容室及び複数のエッジサブ収容室内に給気通路を設けて、対応する位置のガラスに対して給気することにより、ガラス表面に給気圧力を印加し、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにガラスの形状変化を調整する。また、複数のサブ収容室はそれぞれ複数のサブ空間に対向して設置されるので、ガラスの各領域位置が対応する真空作用力及び給気圧力を受けることができるようにして、ガラスの成型形状に対する二重調整に有利である。
【0015】
1つの実施例において、中心サブ収容室は、第一中心サブ収容室及び第二中心サブ収容室を含む。第一中心サブ収容室は中心サブ空間に対向して設置され、第二中心サブ収容室は緩衝サブ空間に対向して設置される。第一中心サブ収容室及び第二中心サブ収容室には、皆少なくとも1つの給気通路が設けられている。中心サブ収容室を第一中心サブ収容室及び第二中心サブ収容室に分割して、中心サブ空間及び緩衝サブ空間に対応し、ガラスの中心領域位置の形状をより精確に調整することができる。
【0016】
1つの実施例において、給気通路の給気パワー、給気オープン時間及び給気時間長さはいずれも調整可能である。各給気通路の給気パワー、給気オープン時間及び給気時間長さを調整することにより、各サブ収容室内の、給気通路を介して生じる給気圧力を効果的に調整して、各サブ収容室に対応する位置のガラスの形状を調整することができ、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0017】
1つの実施例において、車用ガラス曲げ成型装置は、第二ガス加熱システムをさらに備え、第二ガス加熱システムは給気通路に設置され、給気通路からガラスに吹く気体を加熱して、気体の温度を調整可能にする。第二ガス加熱システムの設置によって、給気通路の給気気体温度を効果的に制御することができ、従ってガラスの曲げ成型時の温度をより精確に制御することができ、又は給気処理、抽気処理過程の熱損失を補償することができる。同時に、さらにガラスの曲げ成型時の温度をより精確に制御することができ、ガラスの成形品質とアニール後の応力制御性をさらに高めることができる。
【0018】
1つの実施例において、車用ガラス曲げ成型装置は、さらに予備成型フレームを含む。予備成型フレームは、環状フレーム構造であり、凹面底型の外周をカバーするように設置され、且つ予備成型フレームの曲率半径は凹面底型の曲率半径よりも大きい。予備成型フレームはガラスの予備成型過程に用いられ、成型温度に加熱されたガラスを予備成型フレームの上に放置し、ガラスは重力の作用を受けて予備成型を実現し、更に予備成型フレームを凹面底型の外周に上から下へ被せて、ガラスを凹面底型の上に放置して二次成型を行う。
【0019】
ガラスは少なくとも1つであり、ガラスの数量が1つより多い場合、複数のガラスは積載面上に積層される。複数のガラスが凹面底型の積載面上に積層されている場合、車用ガラス曲げ成型装置を用いて複数のガラスを同時に加工して、加工工芸効率を向上させることができる。
【0020】
第二方面において、本出願はさらに車用ガラス曲げ成型方法を提供し、
車用ガラス曲げ成型装置を提供し、車用ガラス曲げ成型装置は、凹面底型と、複数の抽気ダクトと、少なくとも1つの給気ダクトと、を含み、凹面底型は、ベース及び頂板を含み、頂板は、ベースをカバーし、且つベースとともに囲んで収容空間を形成し、ベースから離れている頂板の積載面は不規則な凹型表面であり、積載面はガラスを積載するために用いられ、頂板には複数の貫通孔が離間して設けられており、収容空間内には複数の第一仕切板が設置されており、複数の第一仕切板は収容空間を複数のサブ空間に分割し、各サブ空間は少なくとも1つの貫通孔に連通され、各給気ダクトは少なくとも1つのサブ空間に連通され、残りの複数のサブ空間は複数の抽気ダクトと一対一に連通されるステップと、
成型温度に加熱されたガラスを積載面に置き、ガラスは重力作用によって変形するステップと、
複数の抽気ダクトを使用して複数のサブ空間に対して抽気し、給気ダクトを使用して少なくとも1つのサブ空間に対して給気して、ガラスを積載面に完全に貼り合わせるステップと、
を含む。
【0021】
本願によって提供される車用ガラス曲げ成型方法によってガラスを加工することにより、ガラスの各位置の形状変化を効果的に調整することができ、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0022】
1つの実施例において、複数のサブ空間は、頂板の中央領域に対応する中心サブ空間と、中心サブ空間の周囲を囲む緩衝サブ空間と、緩衝サブ空間の周囲に分布され且つ一緒に緩衝サブ空間を囲む複数のエッジサブ空間と、を含む。給気ダクトは緩衝サブ空間に連通され、複数の抽気ダクトはそれぞれ中心サブ空間、緩衝サブ空間及び複数のエッジサブ空間に連通され、且つ複数の抽気ダクトの間の抽気方式は差異が存在する。
【0023】
1つの実施例において、複数のサブ空間は、頂板の中央領域に対応する中心サブ空間と、中心サブ空間の周囲を囲む緩衝サブ空間と、緩衝サブ空間の周囲に分布され且つ一緒に緩衝サブ空間を囲む複数のエッジサブ空間と、を含む。給気ダクトは中心サブ空間に連通され、複数の抽気ダクトはそれぞれ緩衝サブ空間と複数のエッジサブ空間に連通され、且つ複数の抽気ダクトの間の抽気方式は差異が存在する。
【0024】
1つの実施例において、複数のエッジサブ空間は、緩衝サブ空間の対向する両側に位置する下辺サブ空間及び上辺サブ空間と、緩衝サブ空間の対向する両側に位置する第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間と、を含む。下辺サブ空間及び上辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気方式は第一方式であり、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気方式は第二方式であり、第一方式と第二方式は差異が存在する。
【0025】
複数のサブ空間に対して異なる方式の抽気又は給気を行うことにより、異なるサブ空間に対応する位置のガラスが異なる真空作用力を受けることにして、従ってガラスの各領域位置の変形を調整し、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0026】
1つの実施例において、複数の抽気ダクトを使用して複数のサブ空間に対して抽気し、給気ダクトを使用して少なくとも1つのサブ空間に対して給気して、ガラスを積載面に完全に貼り合わせることは、
各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することと、
給気ダクトの給気温度、給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することと、
を含む。
【0027】
各抽気ダクトの抽気性能及び給気ダクトの給気性能を調整することにより、各サブ空間内の真空作用又は給気作用を精確に調整し、各サブ空間に対応する位置のガラスが対応する真空作用力を受けてその形状が変化し、対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0028】
1つの実施例において、各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間に連通された抽気ダクトが第一抽気パワーを採用するように調整し、下辺サブ空間及び上辺サブ空間に連通された抽気ダクトが第二抽気パワーを採用するように調整し、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトが第三抽気パワーを採用するように調整することを含み、第一抽気パワー、第二抽気パワー及び第三抽気パワーのパワーの大きさは順次低下する。各抽気ダクトの抽気パワーを調整することにより、各サブ空間に対応する位置のガラスが受ける真空作用力の大きさを調整し、従ってガラスの形状が変化し、対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0029】
1つの実施例において、各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間を第一時間に調整し、下辺サブ空間及び上辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間を第二時間に調整し、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間を第三時間に調整することを含み、第一時間、第二時間及び第三時間の時間順序は順次に先送りする。抽気ダクトの抽気オープン時間を調整することにより、各サブ空間に対応する位置のガラスが真空作用力を受ける時間前後を調整し、従ってガラスの形状が変化し、対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0030】
1つの実施例において、各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さを第一時間長さに調整し、下辺サブ空間及び上辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さを第二時間長さに調整し、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さを第三時間長さに調整することを含み、第一時間長さ、第二時間長さ及び第三時間長さの持続時間長さは順次に低下する。抽気ダクトの抽気時間長さを調整することにより、各サブ空間に対応する位置のガラスが真空作用力を受ける時間長さを調整し、従ってガラスの形状が変化し、対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0031】
1つの実施例において、各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間、下辺サブ空間及び上辺サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気パワーが順次に低下するように調整することと、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間、下辺サブ空間及び上辺サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間が順次に先送りするように調整することと、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間、下辺サブ空間及び上辺サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さが順次に低下するように調整することと、
を含む。
【0032】
抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを同時に調整して、従ってガラスの各領域位置の形状変化をより系統的に調整し、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0033】
1つの実施例において、各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間、下辺サブ空間、上辺サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間のうちの少なくとも1つのサブ空間に対応するガラス表面が積載面に貼り合わされているか又は貼り合せに接近されている場合、対応するサブ空間に連通する抽気ダクトを閉じることを含む。1つのサブ空間に対応するガラス表面が積載面に貼り合わされているか又は貼り合せに接近されている場合、対応するサブ空間に連通する抽気ダクトを閉じることができ、隣接するサブ空間内の抽気ダクトの抽気作用によって、ガラスの形状変化を間接的に調整することにより、継続的な抽気によるガラスと積載面との間の過剰な押出をを免れる。
【0034】
1つの実施例において、給気ダクトの給気温度、給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することは、
中心サブ空間、下辺サブ空間、上辺サブ空間、緩衝サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間のうちの少なくとも1つのサブ空間に対応するガラス表面が積載面に貼り合わされているか又は貼り合せに接近されている場合、給気ダクトは給気し始め、且つ給気ダクトの給気パワーは抽気ダクトの抽気パワー以下であり、及び/又は給気ダクトの給気時間長さは抽気ダクトの抽気時間長さ以下であることを含む。少なくとも1つのサブ空間に対応するガラス表面が積載面に貼り合わされているか又は貼り合せに接近されている場合、抽気ダクトの抽気作用によって、ガラス表面と積載面が押圧して光学的瑕疵が生じることを回避するために、給気ダクトによって給気することができ、従って真空作用を低下し、ガラスと積載面との間の過剰な押出をを免れる。また、給気作用は、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面がさらに落下する程度を阻止することができ、中心サブ空間に対応する位置のガラスの球面の落下は給気によって阻止されるので、他のサブ空間(緩衝サブ空間と複数のエッジサブ空間を含む)に対応する位置のガラスの受力分布を変化させて、さらに低い真空作用力であっても、抽気ダクトの抽気による真空作用力によってガラスの形状が変化し易くなる。さらに低い真空作用力は、ガラスにおける他のサブ空間(緩衝サブ空間と複数のエッジサブ空間を含む)に対応する位置と積載面との間に可能な過度の押出が発生することを回避し、ガラスの成型型面の品質と光学品質を向上させることができる。
【0035】
1つの実施例において、給気ダクトの給気温度、給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することは、以下の内容を含む。
給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面曲率が所望の曲率に近いか等しい場合、給気処理は、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面がさらに落下する程度を阻止することができる。一方、凹面底型の給気ダクトに連通された気体加熱システムの給気気体温度を調整することにより、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの表面温度を精確に制御することができる。気体加熱システムの給気気体温度がガラスの表面温度以下に設定されると、給気処理は給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの温度を低下させ、従って給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面がさらに落下する程度をさらに阻止する。これは、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面曲率が所望の曲率に近ければ近いほど、気体加熱システムの給気気体温度はガラスの表面温度よりさらに低い温度値に設定されることを意味し、従って給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの表面温度を低下させることができ、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面がさらに落下する程度をさらによく阻止する。
【0036】
1つの実施例において、車用ガラス曲げ成型装置は、さらに環状頂型を含む。環状頂型は、頂板におけるベースから離れている片側に設置される。環状頂型は、頂型板と、頂型板上に設置され且つ積載面側を向う側型板と、を含む。環状頂型と凹面底型とが対向移動して、側型板をガラスの上表面に接触させると、頂型板、側型板及びガラスの上表面が収容室を形成する。収容室には給気通路が設けられており、給気通路は、積載面に向かっており、且つガラスに対して給気するために用いられる。環状頂型上の給気通路を使用してガラスの上表面に対して給気処理することにより、ガラスの下表面が真空作用力を受けるとともに、その上表面が給気圧力を受けることにして、ガラスが速く曲げ成型する効果に達することができる。また、凹面底型と環状頂型とを同時に使用する場合、複数の積層設置されたガラスを同時に加工することができ、加工工芸効率をある程度向上させることができる。
【0037】
1つの実施例において、収容室内に複数の第二仕切板が設置されており、複数の第二仕切板は収容室を複数のサブ収容室に分割する。複数のサブ収容室は、それぞれ複数のサブ空間と一対一に対向して設置される。給気通路の数量は複数であり、且つ各サブ収容室内に1つの給気通路が設けられている。複数の給気通路の給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することにより、ガラスにおける複数のサブ収容室に対向する異なる部位が異なる程度の給気圧力を受けることにする。複数のサブ収容室はそれぞれ複数のサブ空間に対向して設置されるので、ガラスの各領域位置が対応する真空作用力及び給気圧力を受けることができるようにして、ガラスの成型形状に対する二重調整に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本出願の実施形態又は従来の技術の技術的方案を明確に説明するために、以下、実施形態又は従来の技術を説明するために必要とする図面を簡単に説明するが、明らかに、説明される図面は本発明の一部の実施形態だけのものであり、当業者であれば、創造的な努力なしにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1図1は、予備成型後のガラスの構造を示す概略図である。
図2図2は、対応する曲げ成型要求を満たすガラスの構造を示す概略図である。
図3図3は、1つの実施例に係わる車用ガラス曲げ成型装置の構造を示す概略図である。
図4図4は、別の実施例に係わる車用ガラス曲げ成型装置の構造を示す概略図である。
図5図5は、1つの実施例に係わる凹面下型のパーティションの概略図である。
図6図6は、1つの実施例に係わる凹面下型の平面図である。
図7図7は、1つの実施例に係わる凹面下型と予備成型フレームの接続構造の概略図である。
図8図8は、別の実施例に係わる車用ガラス曲げ成型装置の構造を示す概略図である。
図9図9は、1つの実施例に係わる環状頂型の構造を示す概略図である。
図10図10は、1つの実施例に係わる環状頂型の平面図である。
図11図11は、別の実施例に係わる車用ガラス曲げ成型装置の構造を示す概略図である。
図12図12は、別つの実施例に係わる環状頂型の構造を示す概略図である。
図13図13は、別つの実施例に係わる環状頂型の各サブ収容室の分布概略図である。
図14図14は、別つの実施例に係わる環状頂型の各サブ収容室の分布概略図である。
図15図15は、従来の車用ガラス重力曲げ成型装置の構造を示す概略図である。
図16図16は、1つの実施例に係わる車用ガラス曲げ成型方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態の図面を参照して、本発明の実施形態の技術方案を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本発明の一部の実施形態だけのものであり、全ての実施形態ではない。本発明に記載された実施形態に基づいて、当業者が創造的な努力なしに得ることができるすべての別の実施形態は、皆本出願の保護範囲に属する。
【0040】
先ず、図1及び図2を一緒に参照してください。図1は、予備成型後のガラス900の構造を示す概略図である。図2は、対応する曲げ成型要求を満たすガラス900の構造を示す概略図である。
【0041】
図1に示されたように、成型温度に加熱されたガラス900は、重力の影響を受けて予備成型過程を行うが、ガラス900の異なる位置の異なる形状及び重力分布によって、予備成型後のガラス900は、「S」型又は「フライパン」型ガラス900球面が発生し易く、ガラス900の成型要求を満たさない。
【0042】
従って、本願の実施形態は、ガラス900に対して二次曲げ成型加工するために用いられる車用ガラス曲げ成型装置を提供する。図2に示されたように、ガラス900の異なる位置の形状がすべて所望の形状と一致するようにして、即ち、ガラス900表面の落下深さは所望の曲率差と同じであり、対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0043】
図3及び図4を一緒に参照してください。図3は、1つの実施例に係わる車用ガラス曲げ成型装置1000の構造を示す概略図である。図4は、別の実施例に係わる車用ガラス曲げ成型装置の構造を示す概略図である。
【0044】
本出願の実施例は、車用ガラス曲げ成型装置1000を提供し、凹面底型100と、少なくとも1つの給気ダクト220と、複数の抽気ダクト210と、を含む。凹面底型100は、ベース10及び頂板20を含む。頂板20は、ベース10をカバーし、且つベース10とともに囲んで収容空間30を形成する。収容空間30内には複数の第一仕切板40が設置されており、複数の第一仕切板40は収容空間30を複数のサブ空間31に分割するために用いられる。ベース10から離れている頂板20の積載面21は凹型表面である。頂板20には収容空間30に連通される複数の貫通孔22が離間して設けられており、各サブ空間31は少なくとも1つの貫通孔22に対応する。各給気ダクト220は少なくとも1つのサブ空間31に連通されて、少なくとも1つのサブ空間31内に給気し、複数の抽気ダクト210は残りの複数のサブ空間31と一対一に連通されて、残りの複数のサブ空間31に対して抽気する。積載面21はガラス900を積載するために用いられ、積載面21の形状は所望の形状と同じであり、即ち、ガラス900の表面が積載面21に完全に密着している場合、ガラス900の形状は所望の形状と一致し、従ってガラス900は対応する曲げ成型の要求を満たすことができる。
【0045】
頂板20には、収容空間30に連通される複数の貫通孔22が離間して設けられており、各サブ空間31は少なくとも1つの貫通孔22に対応する。従って、各サブ空間31に対して給気又は抽気を行う時、各サブ空間31内で発生する真空作用はガラス900表面に直接に作用して、ガラス900が真空作用力の影響を受けてその形態が変化することにする。分布位置が異なる各サブ空間31はガラス900の異なる位置に対応して、ガラス900の各位置の形状変化を調整することができ、ガラス900の各位置の形状を所望の形状に一致させて、対応する曲げ成型の構造要求を満たすことができる、ことを理解されるべきである。
【0046】
ガラス900は少なくとも1つであり、ガラス900の数量が1つより多い場合、複数のガラス900は積載面21上に積層される。複数のガラス900が凹面底型100の積載面21上に積層されている場合、車用ガラス曲げ成型装置1000を用いて複数のガラス900を同時に加工して、加工工芸効率を向上させることができる。
【0047】
本出願の実施形態によって提供される車用ガラス曲げ成型装置1000は、収容空間30を複数のサブ空間31に分割し、且つその中の少なくとも1つのサブ空間31を給気ダクト220に連通させて、少なくとも1つのサブ空間31に対して給気を行い、残りの複数のサブ空間31を複数の抽気ダクト210に一対一に連通させて、残りの複数のサブ空間31対して抽気を行い、複数のサブ空間31に対応するガラス900表面が異なる程度の真空作用又は給気作用を受けることにして、ガラス900の各位置の形状変化を調整して、ガラス900が対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0048】
1つの実施形態において、車用ガラス曲げ成型装置1000は、給気ダクト220に設置された第一気体加熱システム(図示せず)をさらに含み、給気ダクト220からガラス900に吹き付ける気体を加熱して、気体の温度を調整可能にする。第一気体加熱システムの設置によって、給気ダクト220の供給気体温度を効果的に調整することができ、さらに給気ダクト220に連通されたサブ空間31内の供給気体温度を調整することができ、給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900の温度をより精確に制御することができ、給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900の球面がさらに落下する程度をより精確に制御及び阻止することができ、対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0049】
理解できることは、給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900の球面曲率が所望の曲率に近いか等しい場合、給気処理は、給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900の球面がさらに落下する程度を阻止することができる。一方、凹面底型100の給気ダクト220に連通された第一気体加熱システムの給気気体温度を調整することにより、給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900の表面温度を精確に制御することができる。第一気体加熱システムの給気気体温度がガラス900の表面温度以下に設定されると、給気処理は給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900の温度を低下させ、従って給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900の球面がさらに落下する程度をさらに阻止する。これは、給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900の球面曲率が所望の曲率に近ければ近いほど、第一気体加熱システムの給気気体温度はガラス900の表面温度よりさらに低い温度値に設定されることを意味し、従って給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900の表面温度を低下させることができ、給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900の球面がさらに落下する程度をさらによく阻止する。
【0050】
図5及び図6を一緒に参照してください。図5は、1つの実施例に係わる凹面下型100のパーティションの概略図である。図6は、1つの実施例に係わる凹面下型の平面図である。
【0051】
1つの実施例において、複数のサブ空間31は、頂板20の中央領域に対応する中心サブ空間311と、中心サブ空間311の周囲を囲む緩衝サブ空間312と、緩衝サブ空間312の周囲に分布され且つ一緒に緩衝サブ空間312を囲む複数のエッジサブ空間31と、を含む。1つの実施例において、給気ダクト220は緩衝サブ空間312に連通されており、抽気ダクト210は他のサブ空間31に連通されている(図3を参照)。車用ガラス曲げ成型装置1000内のサブ空間31を中心サブ空間311、緩衝サブ空間312及び複数のエッジサブ空間31に区分してガラス900の異なる領域位置に対応し、抽気ダクト210を用いて中心サブ空間311及び複数のエッジサブ空間31に対してそれぞれ抽気し、且つ給気ダクト220を用いて緩衝サブ空間312に対して給気して、各サブ空間31内の真空作用又は給気作用を調整し、従って異なる領域位置のガラス900が受ける真空作用力を変化させて、対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにガラス900の形状を調整する。
【0052】
他の実施例において、給気ダクト220は中心サブ空間311に連通されており、抽気ダクト210は他のサブ空間31に連通されている(図4を参照)。給気ダクト220の接続方式は上記の2つを含むがこれらに限定されず、異なる作業要件を満たすように、給気ダクト220はさらに他の任意のサブ空間31に連通されてもよく、ここでは詳細には説明しないことを理解されるべきである。
【0053】
給気作用は、給気ダクト220に連通されたサブ空間31に対応する位置のガラス900がさらに落下する程度を阻止することができ、中心サブ空間311又は緩衝サブ空間312に対応する位置のガラス900の落下は給気によって阻止されるので、他のサブ空間31に対応する位置のガラス900の受力分布を変化させて、さらに低い真空作用力であっても、抽気ダクト210の抽気による真空作用力によってガラス900の形状が変化し易くなる。さらに低い真空作用力は、ガラス900における他のサブ空間31に対応する位置と積載面21との間に可能な過度の押出が発生することをさらに回避し、ガラス900の成型型面の品質と光学品質を向上させることができる。
【0054】
1つの実施例において、複数のエッジサブ空間31は、緩衝サブ空間312の対向する両側に位置する下辺サブ空間313及び上辺サブ空間314と、緩衝サブ空間312の対向する両側に位置する第一側辺サブ空間315及び第二側辺サブ空間316と、を含む。下辺サブ空間313は頂板20の第一領域に対応し、上辺サブ空間314は頂板20の第二領域に対応し、第一領域の曲率半径は第二領域の曲率半径よりも大きい。複数のエッジサブ空間31を下辺サブ空間313、上辺サブ空間314、第一側辺サブ空間315及び第二側辺サブ空間316に分割することにより、ガラス900のエッジの異なる領域位置に対応する。下辺サブ空間313、上辺サブ空間314、第一側辺サブ空間315及び第二側辺サブ空間316に対してそれぞれ抽気することにより、ガラス900のエッジの異なる領域位置が対応する真空作用力を受けることにして、ガラス900のエッジ形状をより精確に調整する。
【0055】
中心サブ空間311、緩衝サブ空間312、下辺サブ空間313、上辺サブ空間314、第一側辺サブ空間315及び第二側辺サブ空間316は、それぞれガラス900の異なる位置に対応する。上記の複数のサブ空間31内の抽気ダクト210による抽気による真空作用力はガラス900に作用して、ガラス900の異なる位置の形状を調整する。複数のサブ空間31の位置分割は、ガラス900が予備成型された後、ガラス900における異なる形状変化を有する領域位置に基づいて決定される。1つの具体的な実施例において、ガラス900における、最も成型し難く且つ予備成型後の球面と所望の曲率差が最も大きい領域位置は、中心サブ空間311と対向して設置される。ガラス900における、二番目に成型し難く且つ予備成型後の球面と所望の曲率差が二番目に大きい領域位置は、下辺サブ空間313及び上辺サブ空間314と対向して設置される。ガラス900における、三番目に成型し難く且つ予備成型後の球面と所望の曲率差が三番目に大きい領域位置は、緩衝サブ空間312と対向して設置される。ガラス900における、最も成型し易く且つ予備成型後の球面と所望の曲率差が最も小さい領域位置は、第一側辺サブ空間315及び第二側辺サブ空間316と対向して設置される。別の具体的な実施例において、ガラス900における、最も成型し難く且つ予備成型後の球面と所望の曲率差が最も大きい領域位置は、緩衝サブ空間312と対向して設置される。ガラス900における、二番目に成型し難く且つ予備成型後の球面と所望の曲率差が二番目に大きい領域位置は、下辺サブ空間313及び上辺サブ空間314と対向して設置される。ガラス900における、三番目に成型し難く且つ予備成型後の球面と所望の曲率差が三番目に大きい領域位置は、中心サブ空間311と対向して設置される。ガラス900における、最も成型し易く且つ予備成型後の球面と所望の曲率差が最も小さい領域位置は、第一側辺サブ空間315及び第二側辺サブ空間316と対向して設置される。
【0056】
異なるサブ空間31に対応するガラス900が予備成型された後、その形状と所望の形状との差が異なるので、各サブ空間31に連通された複数の抽気ダクト210の抽気性能を調整して、各サブ空間31内の真空作用を調整することを必要として、従って異なる対応する位置のガラス900が異なる真空作用力を受けることにして、ガラス900の各位置の形状を所望の形状と同じになるように調整させ、即ちガラス900は対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0057】
1つの実施例において、ガラス曲げ成型装置1000は制御部材(図示せず)をさらに含み、制御部材によって各抽気ダクト210及び給気ダクト220を調整することにより、各サブ空間31内の真空作用又は給気作用を調整可能にする。制御部材の存在により、抽気ダクト210の抽気性能及び給気ダクト220の給気性能を効果的に制御することができ、各サブ空間31内の真空作用又は給気作用を精確に調整して、各サブ空間31に対応する位置のガラス900は対応する真空作用力を受けて形状変化が発生し、対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0058】
図7を参照すると、図7は、1つの実施例に係わる凹面下型100と予備成型フレームの接続構造の概略図である。
【0059】
1つの実施例において、車用ガラス曲げ成型装置1000は、さらに予備成型フレーム300を含む。予備成型フレーム300は、環状フレーム構造であり、凹面底型100の外周をカバーするように設置され、且つ予備成型フレーム300の曲率半径は凹面底型100の曲率半径よりも大きい。予備成型フレーム300はガラス900の予備成型過程に用いられ、成型温度に加熱されたガラス900を予備成型フレーム300の上に放置し、ガラス900は重力の作用を受けて予備成型を実現し、更に予備成型フレーム300を凹面底型100の外周に上から下へ被せて、ガラス900を凹面底型100の上に放置して二次成型を行う。予備成型フレーム300の存在により、予備成型過程と二次成型過程が一貫して行われ、ガラス900の成型温度が保証されるとともに、加工工芸の効率を高めることを理解できる。
【0060】
図8図9及び図10を一緒に参照してください。図8は、別の実施例に係わる車用ガラス曲げ成型装置1000の構造を示す概略図である。図9は、1つの実施例に係わる環状頂型400の構造を示す概略図である。図10は、1つの実施例に係わる環状頂型400の平面図である。
【0061】
車用ガラス曲げ成型装置1000は、さらに環状頂型400を含む。環状頂型400は、頂板20におけるベース10から離れている片側に設置される。環状頂型400は、頂型板50と、頂型板50上に設置され且つ積載面21側を向う側型板60と、を含む。環状頂型400と凹面底型100とが対向移動して、側型板60をガラス900の上表面に接触させると、頂型板50、側型板60及びガラス900の上表面が収容室70を形成する。収容室70には給気通路500が設けられており、給気通路500は、積載面21に向かっており、且つガラス900に対して給気するために用いられる。環状頂型400上の給気通路500を使用してガラス900の上表面に対して給気処理することにより、ガラス900の下表面が真空作用力を受けるとともに、ガラス900の上表面が給気圧力を受けることにして、ガラス900が速く曲げ成型する効果に達することができる。また、車用ガラス曲げ成形装置1000が凹面底型100と環状頂型400とを同時に含む場合、複数の積層設置されたガラス900を同時に加工することができ、加工工芸効率をある程度向上させることができる。
【0062】
環状頂型400と凹面底型100との間には隙間が設けられており、加工対象であるガラス900は隙間内に配置されており、環状頂型400の下表面はガラス900の周辺上表面の対応する領域の所望の曲率と同じ曲率を有する。上記構成に基づいて、環状頂型400とガラス900は密着して、環状頂型400は、ガラス900に対して二次成型加工する過程で空気漏れが発生する問題を回避することができる。1つの具体的な実施例において、環状頂型400とガラス900の周辺の接触面の幅の範囲は0.5~25cmであり、環状頂型400の材料は金属であることができ、セラミック材料であってもよく、又は対応する要求を満たすその他の任意の材料であってもよく、ここでは具体的に限定しない。
【0063】
1つの実施例において、車用ガラス曲げ成型装置1000は、第二ガス加熱システム(図示せず)をさらに備え、第二ガス加熱システムは給気通路500に設置され、給気通路500からガラス900に吹く気体を加熱して、気体の温度を調整可能にする。第二ガス加熱システムの設置によって、給気通路500の給気気体温度を効果的に制御することができ、従ってガラス900の曲げ成型時の温度をより精確に制御することができ、又は給気処理、抽気処理過程の熱損失を補償することができる。同時に、さらにガラス900の曲げ成型時の温度をより精確に制御することができ、ガラス900の成形品質とアニール後の応力制御性をさらに高めることができる。
【0064】
薄いガラスの曲げ成型過程において、薄いガラスは熱損失によって温度低下、粘度上昇、表面硬化し易く、従って同じ給気処理条件下で所望の球面を形成しにくく、その結果、ガラスの最終的な曲げ曲率と所望の曲率との間に大きなずれが発生する、ことを理解できる。この場合、環状頂型400上の給気通路500に連通された第二気体加熱システムの温度をガラス900の成型温度に近いように制御するか、ガラス900の成型温度よりさらに高いように制御することにより、給気処理、抽気処理過程におけるガラス900の熱損失を低減し、さらにはガラス900を加熱する効果を発揮し、ガラス900を所望の球面曲率に形成し易い。
【0065】
図11図12及び図13を一緒に参照してださい。図11は、別の実施例に係わる車用ガラス曲げ成型装置1000の構造を示す概略図である。図12は、別つの実施例に係わる環状頂型400の構造を示す概略図である。図13は、別つの実施例に係わる環状頂型400の各サブ収容室71の分布概略図である。
【0066】
1つの実施例において、収容室70内に複数の第二仕切板80が設置されており、複数の第二仕切板80は収容室70を複数のサブ収容室71に分割する。複数のサブ収容室17は、それぞれ中心サブ収容室711及び複数のエッジサブ収容室712である。中心サブ収容室711は、中心サブ空間311及び緩衝サブ空間312に対向して設置される。複数のエッジサブ収容室712は、それぞれ第一側辺サブ空間315、第二側辺サブ空間316、下辺サブ空間313、上辺サブ空間314に対向して設置される。給気通路500の数量は複数であり、且つ各サブ収容室71内に皆少なくとも1つの給気通路500が設けられている。複数のサブ収容室71を中心サブ収容室711と複数のエッジサブ収容室712に分割して、ガラス900の中心領域位置とエッジ領域位置に対応する。中心サブ収容室711及び複数のエッジサブ収容室712内に給気通路500を設けて、対応する位置のガラス900に対して給気することにより、ガラス900表面に給気圧力を印加し、ガラス900が対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにガラス900の形状変化を調整する。また、複数のサブ収容室71はそれぞれ複数のサブ空間31に対向して設置されるので、ガラス900の各領域位置が対応する真空作用力及び給気圧力を受けることができるようにして、ガラス900の成型形状に対する二重調整に有利である。
【0067】
具体的な実施例において、第二気体加熱システムは複数であり、複数の第二気体加熱システムはそれぞれ複数の給気通路500に設置され、複数の第二気体加熱システムの給気気体温度を調節することにより、ガラス900における複数のサブ収容室に対応する位置が異なる程度の加熱又は冷却を受けるようにして、ガラスにおける複数のサブ収容室17に対応する位置の温度がより精確に制御され、ガラス900の成形、アニール後の応力制御性をさらに高め、ガラス900の成形後の品質を高め、対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0068】
1つの実施例において、給気通路500の給気パワー、給気オープン時間及び給気時間長さはいずれも調整可能である。各給気通路500の給気パワー、給気オープン時間及び給気時間長さを調整することにより、各サブ収容室71内の、給気通路500を介して生じる給気圧力を効果的に調整して、各サブ収容室71に対応する位置のガラス900の形状を調整することができ、ガラス900が対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0069】
図14を一緒に参照してください。図14は、別つの実施例に係わる環状頂型400の各サブ収容室71の分布概略図である。
【0070】
1つの実施例において、中心サブ収容室711は、第一中心サブ収容室7111及び第二中心サブ収容室7112を含む。第一中心サブ収容室7111は中心サブ空間311に対向して設置され、第二中心サブ収容室7112は緩衝サブ空間312に対向して設置される。第一中心サブ収容室7111及び第二中心サブ収容室7112には、皆少なくとも1つの給気通路500が設けられている。中心サブ収容室711を第一中心サブ収容室7111及び第二中心サブ収容室7112に分割して、中心サブ空間311及び緩衝サブ空間312に対応し、ガラス900の中心領域位置の形状をより精確に調整することができる。
【0071】
図15及び図16を一緒に参照してください。図15は、従来の車用ガラス重力曲げ成型装置の構造を示す概略図である。典型的な重力成型装置は、加熱予備成型領域S1、加熱成型領域S2、アニール領域S3、冷却領域S4、積卸領域S5を含み、ヒータは加熱予備成型領域S1及び加熱成型領域S2の上部及び/又は底部に位置し、ガラスは積卸領域S5で金型上に放置され、それから金型及びその上のガラスは、加熱予備成型領域S1、加熱成型領域S2、アニール領域S3、冷却領域S4、積卸領域S5で間欠的に伝送され、ガラスの加熱及び重力予備曲げ、加熱及び重力曲げ、アニール、冷却を実現し、最後にガラスは積卸領域で金型から取り外され、それから金型にガラスを放置して次の自重成形を開始する。図16は、1つの実施例に係わる車用ガラス曲げ成型方法のフローチャートである。
【0072】
従来の車用ガラス重力曲げ成型装置とは異なり、本願の実施例によって提供される車用ガラス曲げ成型装置1000は、加熱成形領域S2の後に設置され、即ち、金型に設置されたガラスは加熱予備成型領域S1、加熱成型領域S2を経て加熱及び重力予備曲げ、加熱及び重力曲げを実現し、それから重力曲げ後のガラスは本願の実施例によって提供される車用ガラス曲げ成型装置1000の凹面底型100に移されて、図16のフローによって続いて曲げ成型され、曲げ成型が終了すると、ガラスは再び重力成型金型に移されてアニール、冷却、卸しされる。もちろん、本願の実施例によって提供される車用ガラス曲げ成型装置1000は、図15のような2層の車用ガラス重力曲げ成型装置に設置されるものに限らず、単層の車用ガラス重力曲げ成型装置に設置してもよい(単層とは、加熱予備成型領域S1、加熱成型領域S2、アニール領域S3、冷却領域S4、積卸領域S5が同一平面上にあることを意味する)。
【0073】
本願の実施例によって提供される車用ガラス曲げ成型方法は、以下のステップを含む。
【0074】
A1、車用ガラス曲げ成型装置を提供し、車用ガラス曲げ成型装置は、凹面底型と、複数の抽気ダクトと、少なくとも1つの給気ダクトと、を含み、凹面底型は、ベース及び頂板を含み、頂板は、ベースをカバーし、且つベースとともに囲んで収容空間を形成し、ベースから離れている頂板の積載面は不規則な凹型表面であり、積載面はガラスを積載するために用いられ、頂板には複数の貫通孔が離間して設けられており、収容空間内には複数の第一仕切板が設置されており、複数の第一仕切板は収容空間を複数のサブ空間に分割し、各サブ空間は少なくとも1つの貫通孔に連通され、各給気ダクトは少なくとも1つのサブ空間に連通されて、残りの複数のサブ空間は複数の抽気ダクトと一対一に連通される。
【0075】
A2、成型温度に加熱されたガラスを積載面に置き、ガラスは重力作用によって変形する。
【0076】
A3、複数の抽気ダクトを使用して複数のサブ空間に対して抽気し、給気ダクトを使用して少なくとも1つのサブ空間に対して給気して、ガラスを積載面に完全に貼り合わせる。
【0077】
本願によって提供される車用ガラス曲げ成型方法によってガラスを加工することにより、ガラスの各位置の形状変化を効果的に調整することができ、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0078】
1つの具体的な実施例において、ガラスの各位置が積載面に同時又はほぼ同時に成型貼り合せるように、ガラスの各位置の形状変化を調整し、即ち、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。この場合、高精度の大球面、複雑なガラス製品を得るだけでなく、可視の光学的瑕疵が発生することも回避できる。
【0079】
1つの実施例において、複数のサブ空間は、頂板の中央領域に対応する中心サブ空間と、中心サブ空間の周囲を囲む緩衝サブ空間と、緩衝サブ空間の周囲に分布され且つ一緒に緩衝サブ空間を囲む複数のエッジサブ空間と、を含む。中心サブ空間、緩衝サブ空間及び複数のエッジサブ空間に連通された抽気ダクトの間の抽気方式は差異が存在する。
【0080】
1つの実施例において、複数のサブ空間は、頂板の中央領域に対応する中心サブ空間と、中心サブ空間の周囲を囲む緩衝サブ空間と、緩衝サブ空間の周囲に分布され且つ一緒に緩衝サブ空間を囲む複数のエッジサブ空間と、を含む。給気ダクトは中心サブ空間に連通され、複数の抽気ダクトはそれぞれ緩衝サブ空間と複数のエッジサブ空間に連通され、且つ複数の抽気ダクトの間の抽気方式は差異が存在する。
【0081】
1つの実施例において、複数のサブ空間は、頂板の中央領域に対応する中心サブ空間と、中心サブ空間の周囲を囲む緩衝サブ空間と、緩衝サブ空間の周囲に分布され且つ一緒に緩衝サブ空間を囲む複数のエッジサブ空間と、を含む。給気ダクトは緩衝サブ空間に連通され、複数の抽気ダクトはそれぞれ中心サブ空間、緩衝サブ空間及び複数のエッジサブ空間に連通され、且つ複数の抽気ダクトの間の抽気方式は差異が存在する。
【0082】
複数のサブ空間に対して異なる方式の抽気又は給気を行うことにより、異なるサブ空間に対応する位置のガラスが異なる真空作用力を受けることにして、従ってガラスの各領域位置の変形を調整し、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0083】
1つの実施例において、複数の抽気ダクトを使用して複数のサブ空間に対して抽気し、給気ダクトを使用して少なくとも1つのサブ空間に対して給気して、ガラスを積載面に完全に貼り合わせることは、
各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することと、
給気ダクトの給気温度、給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することと、
を含む。
【0084】
各抽気ダクトの抽気性能及び給気ダクトの給気性能を調整することにより、各サブ空間内の真空作用又は給気作用を精確に調整し、各サブ空間に対応する位置のガラスが対応する真空作用力を受けてその形状が変化し、対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0085】
1つの実施例において、各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間に連通された抽気ダクトが第一抽気パワーを採用するように調整し、下辺サブ空間及び上辺サブ空間に連通された抽気ダクトが第二抽気パワーを採用するように調整し、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトが第三抽気パワーを採用するように調整することを含み、第一抽気パワー、第二抽気パワー及び第三抽気パワーのパワーの大きさは順次低下する。各抽気ダクトの抽気パワーを調整することにより、各サブ空間に対応する位置のガラスが受ける真空作用力の大きさを調整し、従ってガラスの形状が変化し、対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0086】
1つの実施例において、各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間を第一時間に調整し、下辺サブ空間及び上辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間を第二時間に調整し、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間を第三時間に調整することを含み、第一時間、第二時間及び第三時間の時間順序は順次に先送りする。抽気ダクトの抽気オープン時間を調整することにより、各サブ空間に対応する位置のガラスが真空作用力を受ける時間前後を調整し、従ってガラスの形状が変化し、対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0087】
1つの実施例において、各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さを第一時間長さに調整し、下辺サブ空間及び上辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さを第二時間長さに調整し、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さを第三時間長さに調整することを含み、第一時間長さ、第二時間長さ及び第三時間長さの持続時間長さは順次に低下する。抽気ダクトの抽気時間長さを調整することにより、各サブ空間に対応する位置のガラスが真空作用力を受ける時間長さを調整し、従ってガラスの形状が変化し、対応する曲げ成型の構造要求を満たす。
【0088】
1つの実施例において、各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間、下辺サブ空間及び上辺サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気パワーが順次に低下するように調整することと、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間、下辺サブ空間及び上辺サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気オープン時間が順次に先送りするように調整することと、
中心サブ空間又は緩衝サブ空間、下辺サブ空間及び上辺サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間に連通された抽気ダクトの抽気時間長さが順次に低下するように調整することと、
を含む。
【0089】
抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを同時に調整して、従ってガラスの各領域位置の形状変化をより系統的に調整し、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすようにする。
【0090】
1つの実施例において、各サブ空間内の真空作用を別々に調整するように、各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、
中心サブ空間、下辺サブ空間、上辺サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間のうちの少なくとも1つのサブ空間に対応するガラス表面が積載面に貼り合わされているか又は貼り合せに接近されている場合、対応するサブ空間に連通する抽気ダクトを閉じることを含む。1つのサブ空間に対応するガラス表面が積載面に貼り合わされているか又は貼り合せに接近されている場合、対応するサブ空間に連通する抽気ダクトを閉じることができ、隣接するサブ空間内の抽気ダクトの抽気作用によって、ガラスの形状変化を間接的に調整することにより、継続的な抽気によるガラスと積載面との間の過剰な押出をを免れる。
【0091】
各抽気ダクトの抽気パワー、抽気オープン時間及び抽気時間長さを調整することは、上述した幾つかの方式を含むが、これらに限定されていなく、ガラスが対応する曲げ成型の構造要求を満たすことができれば、実際の状況に応じて異なる調整方式を採用することもでき、ここでは具体的に限定しない。
【0092】
1つの実施例において、給気ダクトの給気温度、給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することは、
中心サブ空間、下辺サブ空間、上辺サブ空間、緩衝サブ空間、第一側辺サブ空間及び第二側辺サブ空間のうちの少なくとも1つのサブ空間に対応するガラス表面が積載面に貼り合わされているか又は貼り合せに接近されている場合、給気ダクトは給気し始め、且つ給気ダクトの給気パワーは抽気ダクトの抽気パワー以下であり、及び/又は給気ダクトの給気時間長さは抽気ダクトの抽気時間長さ以下であることを含む。少なくとも1つのサブ空間に対応するガラス表面が積載面に貼り合わされているか又は貼り合せに接近されている場合、抽気ダクトの抽気作用によって、ガラス表面と積載面が押圧して光学的瑕疵が生じることを回避するために、給気ダクトによって給気することができ、従って真空作用を低下し、ガラス表面と積載面との間の過剰な押出をを免れる。
【0093】
給気作用は、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面がさらに落下する程度を阻止することができ、中心サブ空間に対応する位置のガラスの球面の落下は給気によって阻止されるので、他のサブ空間(緩衝サブ空間と複数のエッジサブ空間を含む)に対応する位置のガラスの受力分布を変化させて、さらに低い真空作用力であっても、抽気ダクトの抽気による真空作用力によってガラスの形状が変化し易くなる。さらに低い真空作用力は、ガラスにおける他のサブ空間(緩衝サブ空間と複数のエッジサブ空間を含む)に対応する位置と積載面との間に可能な過度の押出が発生することを回避し、ガラスの成型型面の品質と光学品質を向上させることができる。
【0094】
1つの実施例において、給気ダクトの給気温度、給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することは、以下の内容を含む。
給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面曲率が所望の曲率に近いか等しい場合、給気処理は、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面がさらに落下する程度を阻止することができる。一方、凹面底型の給気ダクトに連通された気体加熱システムの給気気体温度を調整することにより、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの表面温度を精確に制御することができる。気体加熱システムの給気気体温度がガラスの表面温度以下に設定されると、給気処理は給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの温度を低下させ、従って給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面がさらに落下する程度をさらに阻止する。これは、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面曲率が所望の曲率に近ければ近いほど、気体加熱システムの給気気体温度はガラスの表面温度よりさらに低い温度値に設定されることを意味し、従って給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの表面温度を低下させることができ、給気ダクトに連通されたサブ空間に対応する位置のガラスの球面がさらに落下する程度をさらによく阻止する。
【0095】
1つの実施例において、車用ガラス曲げ成型装置は、さらに環状頂型を含む。環状頂型は、頂板におけるベースから離れている片側に設置される。環状頂型は、頂型板と、頂型板上に設置され且つ積載面側を向う側型板と、を含む。環状頂型と凹面底型とが対向移動して、側型板をガラスの上表面に接触させると、頂型板、側型板及びガラスの上表面が収容室を形成する。収容室には給気通路が設けられており、給気通路は、積載面に向かっており、且つガラスに対して給気するために用いられる。環状頂型上の給気通路を使用してガラスの上表面に対して給気処理することにより、ガラスの下表面が真空作用力を受けるとともに、その上表面が給気圧力を受けることにして、ガラスが速く曲げ成型する効果に達することができる。また、凹面底型と環状頂型とを同時に使用する場合、複数の積層設置されたガラスを同時に加工することができ、加工工芸効率をある程度向上させることができる。
【0096】
1つの実施例において、収容室内に複数の第二仕切板が設置されており、複数の第二仕切板は収容室を複数のサブ収容室に分割する。複数のサブ収容室は、それぞれ複数のサブ空間と一対一に対向して設置される。給気通路の数量は複数であり、且つ各サブ収容室内に1つの給気通路が設けられている。複数の給気通路の給気パワー、給気オープン時間、給気時間長さを調整することにより、ガラスにおける複数のサブ収容室に対向する異なる部位が異なる程度の給気圧力を受けることにする。複数のサブ収容室はそれぞれ複数のサブ空間に対向して設置されるので、ガラスの各領域位置が対応する真空作用力及び給気圧力を受けることができるようにして、ガラスの成型形状に対する二重調整に有利である。
【0097】
以上、ただ本願の好ましい実施例を開示し、もちろんこれによって本願の請求の範囲を限定できない。当業者は、上記の実施例の全て又は一部のプロセスを実現し、本願の特許請求に基づいて行う同等の変化は、依然として本願の範囲に属する、ことを理解できる。
【0098】
以上、ただ本発明の好ましい実施例を開示し、もちろんこれによって本発明の請求の範囲を限定できない。当業者は、上記の実施例の全て又は一部のプロセスを実現し、本発明の特許請求に基づいて行う同等の変化は、依然として本発明の範囲に属する、ことを理解できる。
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