(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】インターネットを使用した炎上防止システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20240101AFI20240426BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
(21)【出願番号】P 2024004922
(22)【出願日】2024-01-16
(62)【分割の表示】P 2022181469の分割
【原出願日】2022-11-13
【審査請求日】2024-01-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】722011674
【氏名又は名称】倉内 馨子
(74)【代理人】
【識別番号】723005997
【氏名又は名称】倉内 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】倉内 哲雄
【審査官】平井 嗣人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0294753(US,A1)
【文献】特開2019-144722(JP,A)
【文献】特開2007-080170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部、操作部、記憶部及び通信部を備える情報処理装置と、記憶装置と、
制御部、操作部、表示部及び通信部を備える各ユーザが有する個々のユーザ端末と、これらを接続するインターネット回線とを備え、前記情報処理装置、前記記憶装置及び前記ユーザ端末により実行されるインターネット上のコミュニティー内の炎上防止システムであって、
前記コミュニティー内に1つの前記ユーザ端末を用いて投稿される投稿意
見が適切か不適切かを判定するための適切・不適切指摘機能を備え
、
前記情報処理装置は、前記1つのユーザ端末により投稿がなされた場合に、前記他のユーザ端末における前記投稿意見の表示画面に当該投稿意見が不適切であることを指摘するための不適切ボタンを表示する不適切ボタン表示手段と、
前記不適切ボタンが押下されたときに、不適切事項入力手段を前記他のユーザ端末に表示させる不適切事項入力画面表示手段と、
前記不適切事項入力手段により入力された不適切事項を表示する不適切事項表示手段と、
前記不適切事項表示手段により前記不適切事項が表示された際に、前記1つのユーザ端末及び前記不適切事項を入力したユーザ端末以外の端末に前記投稿意見が不適切であるか否かの審議中であることを示す審議中表示ボタンを表示する審議中表示手段と、
前記審議中表示ボタンが押下されたときに、前記投稿意見が適切か不適切かのいずれかに投票するための投票画面を表示する投票画面表示手段と、
前記投票が終了した際に前記投稿意見が適切か不適切かを判定する適切・不適切判定手段と、を有し、
前記投票画面内に表示される投票ボタンが押下されると、前記ユーザ端末は、前記情報処理装置にコメント及び投票結果を送信し、これらの情報が前記記憶装置に記憶され、
前記記憶装置内の有効投票数を1追加するとともにその投票数を前記情報処理装置に送信し、次回の投票者が前記投票ボタンを押下した際に表示される前記投票画面の投票率を上昇させた状態で表示し、
前記適切・不適切判定手段により前記投稿意見が不適切と判定された場合、前記情報処理装置は、全ての前記ユーザ端末において不適切と判定された投稿意見を非表示の状態とする一方、前記投稿意見が適切と判定された場合、その結果を前記ユーザ端末に表示させ、投稿意見の表示を維持するとともに、不適切指摘ボタンを審議済の表示に切り替えて表示させる
ことを特徴とする炎上防止システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記適切・不適切判定手段により前記投稿意見が不適切であると判定された場合に、前記投稿意見の表示を禁止する表示禁止手段を有することを特徴とする請求項
1に記載の炎上防止システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記投稿意見に不適切の指摘があったときに、前記不適切の指摘を承認するか否かを決定する承認手段を有し、
前記承認手段により前記不適切の指摘が承認された場合に、前記審議を開始することを特徴とする請求項
2に記載の炎上防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットを使用した炎上防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネット上には、SNS(Social Networking ServiseSocial Networking ServiceSocial Networking ServiceSocial Networking Service)やネット掲示板等において、種々の投稿がなされている。具体的には、複数のジャンルや話題ごとの掲示板が設けられ、掲示板ごとに複数のユーザによる意見のやり取りが行われている。このようにインターネットの普及により、個人発信が自由になり利便性も飛躍的に向上したが、反面炎上などのトラブルも相次いでいる。特に、炎上を苦に自死者を出す悲劇的な事件なども発生しており、関係各所の対応が急務となっている。本来、友好的で建設的な意見交換が理想のはずだが、掲示板内では、複数のユーザから多種多様な意見が出され、何らかの問題が提示されるものの、現状、有意義な意見のやり取りが行われることはほとんどない。このような有意義な意見のやり取りが行われない理由の1つとして、掲示板内で出されたユーザの投稿(意見)に不適切な発言や事実と異なる情報が含まれていることが挙げられる。このような投稿に対して、投稿者とは異なるユーザが訂正を求めたいと感じていても、指摘や注意を行うと争いが生じてしまう危険性が多分に存在する。また、訂正を求めたところで得られるメリットは存在しない。このような背景から不適切な書き込みを目にしても多くの場合、黙認されるのが一般的である。
【0003】
また、投稿されている他人の意見や主張には明確に間違いだと言い切れない賛否両論を呼ぶものも多数存在する。例えば、同じような意見でもあっても「許容の範囲内」であるとか「度を越えている」などの判断は、人の価値観に左右される。このため、個人差による人の価値観に基準を設けることは難しい。このような不適切な投稿に対して、是正を求める旨のコメントを投稿しても、本来求めていた是正が行われない場合が殆どであり、言い争いや炎上に発展する危険性が高い。
【0004】
このような不適切な投稿を是正するため、不適切な投稿に対して画面上に表示された「通報ボタン」を押下することで、SNSの運営者(運営企業)に対して投稿の削除を求めることが可能となるシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の不適切投稿の管理システムでは、利用者に関する禁止情報の統計を格納した禁止情報統計データベースを有し、動画配信サーバにおける不適切投稿に係る通報を管理する通報管理サーバを備える。通報管理サーバは、動画配信サーバから投稿ファイルが不適切投稿であると通報した通報者に係る調査要求を受信したとき、禁止情報統計データベースを用いて通報者の信頼度に係る調査を行い、この調査に基づいて通報の拒絶、許可または保留の通知を動画配信サーバへ送信する。
【0005】
一方、インターネット上において、複数のユーザからネットワークを通じて提供され、ウィキペデイア等の集合知データベースシステム内に登録されている項目に関する情報を処理する際、項目の編集の要否を正確に判定しユーザに通知するシステムが知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の集合知データベースシステムにおける項目情報処理装置では、集合知データベースシステム内の複数の項目について、各項目に関する情報の中から、文章中の用語とリンク先情報を項目の属性として抽出する。次に、抽出された各項目の属性を用いて、2つの項目同士の類似度を算出する。そして、算出した類似度に応じて2つの項目に関する情報の統合を促すように通知する。また、項目の分割については、1つの項目について、項目に関する情報である文章を段落毎に分割し、段落毎の類似度を、属性を用いて計算し、この類似度を用いて段落のクラスタ分析を行う。クラスタ数が1より大きい場合、項目のクラスタ単位の分割を促すように通知する。複数のユーザからネットワークを通じて提供され、集合知データベースシステム内に登録されている項目を処理する項目情報処理装置であって、
前記集合知データベースシステム内に登録されている複数の項目のそれぞれに関する情報は、項目それぞれの内容を複数の用語で説明した文章と、前記文章に付随して記されている、前記集合知データベースシステム内の内部リンク先情報および前記集合知データベースシステム外の外部リンク先情報の少なくともいずれか一方のリンク先情報と、を含み、
前記集合知データベースシステム内の選択された2つの項目について、該2つの項目に関する情報の中から、前記用語と前記リンク先情報とを、項目の属性として抽出する属性抽出部と、
前記属性抽出部にて抽出された前記属性を用いて、前記2つの項目同士の類似度を算出する属性演算部と、
前記類似度に基づいて前記2つの項目の統合の要否を判定する編集処理部と、
前記編集処理部の判定結果に応じて前記2つの項目の統合を促す内容を、ユーザまたはシステム管理者に通知する第1の通信部と、を有することを特徴とする項目情報処理装置。集合知データベースシステム内の複数の項目について、各項目に関する情報の中から、文章中の用語とリンク先情報を項目の属性として抽出する。抽出された各項目の属性を用いて、2つの項目同士の類似度を算出する。算出した類似度に応じて前記2つの項目に関する情報の統合を促すように通知する。項目の分割については、1つの項目について、項目に関する情報である文章を段落毎に分割し、段落毎の類似度を属性を用いて計算し、この類似度を用いて段落のクラスタ分析を行う。クラスタ数が1より大きい場合、項目のクラスタ単位の分割を促すように通知する。集合知データベースシステムにおける項目情報処理装置
【0006】
また、インターネット上の炎上防止に貢献可能なコメント投稿方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。このコメント投稿方法は、インターネットにアクセス可能な端末を利用し、ユーザのコメントを投稿する方法であって、端末ユーザによるコメント情報の作成後、コメント情報の仮投稿を受け付け、所定時間経過後にコメント情報の読み直しをユーザに促し、その後、ユーザが読み直した結果問題ないと判断した場合に、コメント情報が閲覧可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-178706号公報特開2013-178706
【文献】特開2011-8599号公報
【文献】特開2021-43808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、通報者の通報を許可した場合に、運営者側が投稿を削除できるだけであり、その投稿についての是非を通報者及び投稿者以外の第三者に問うことはできない。また、特許文献2の技術を用いても、項目の編集の要否を判定してユーザにその通知を行うだけであり、この技術においてもその投稿(項目の編集の要否)についての是非を第三者に問うことはできない。さらに特許文献1の技術と同様に、特許文献3の技術を用いても、コメント投稿前に投稿者自らに投稿内容を再度確認させるだけであり、その投稿についての是非を投稿者以外の第三者に問うことはできない。つまり、特許文献1~3のいずれの技術を用いてもインターネット上の炎上を防止することはできない。
【0009】
本発明の炎上防止システムは、制御部、操作部、記憶部及び通信部を備える情報処理装置と、記憶装置と、制御部、操作部、表示部及び通信部を備える各ユーザが有する個々のユーザ端末と、これらを接続するインターネット回線とを備え、前記情報処理装置、前記記憶装置及び前記ユーザ端末により実行されるインターネット上のコミュニティー内の炎上防止システムであって、前記コミュニティー内に1つの前記ユーザ端末を用いて投稿される投稿意見が適切か不適切かを判定するための適切・不適切指摘機能を備え、前記情報処理装置は、前記1つのユーザ端末により投稿がなされた場合に、前記他のユーザ端末における前記投稿意見の表示画面に当該投稿意見が不適切であることを指摘するための不適切ボタンを表示する不適切ボタン表示手段と、前記不適切ボタンが押下されたときに、不適切事項入力手段を前記他のユーザ端末に表示させる不適切事項入力画面表示手段と、前記不適切事項入力出願により入力された不適切事項を表示する不適切事項表示手段と、前記不適切事項表示手段により前記不適切事項が表示された際に、前記1つのユーザ端末及び前記不適切事項を入力したユーザ端末以外の端末に前記投稿意見が不適切であるか否かの審議中であることを示す審議中表示ボタンを表示する審議中表示手段と、前記審議中表示ボタンが押下されたときに、前記投稿意見が適切か不適切かのいずれかに投票するための投票画面を表示する投票画面表示手段と、前記投票が終了した際に前記投稿意見が適切か不適切かを判定する適切・不適切判定手段と、を有し、前記投票画面内に表示される投票ボタンが押下されると、前記ユーザ端末は、前記情報処理装置にコメント及び投票結果を送信し、これらの情報が前記記憶装置に記憶され、前記記憶装置内の有効投票数を1追加するとともにその投票数を前記情報処理装置に送信し、次回の投票者が前記投票ボタンを押下した際に表示される前記投票画面の投票率を上昇させた状態で表示し、前記適切・不適切判定手段により前記投稿意見が不適切と判定された場合、前記情報処理装置は、全ての前記ユーザ端末において不適切と判定された投稿意見を非表示の状態とする一方、前記投稿意見が適切と判定された場合、その結果を前記ユーザ端末に表示させ、投稿意見の表示を維持するとともに、不適切指摘ボタンを審議済の表示に切り替えて表示させる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、適切・不適切指摘機能を備えているので、インターネット上の炎上を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コメントフィルタリング機能及び適切・不適切指摘機能の少なくとも一方を備えているので、インターネット上の炎上を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の各実施形態の炎上防止システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態の新規投稿画面の一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態のコメント投稿画面の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態のコメント入力画面の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態のシステム構成を示すブロック図である。
【
図6】第1実施形態のフローチャート(その1)である。
【
図7】第1実施形態のフローチャート(その2)である。
【
図8】第2実施形態の適切・不適切指摘機能のうち厳正審査機能を示す概念図である。
【
図9】厳正審査機能における炎上防止システムのブロック図である。
【
図10】第2実施形態の適切・不適切指摘機能のうち簡易審査機能を示す概念図である。
【
図11】厳正審査機能の不適切指摘ボタンの一例を示す図である。
【
図12】厳正審査機能の不適切指摘事項入力画面の一例を示す図である。
【
図13】厳正審査機能の承認申請の認可・不認可の選択画面の一例を示す図である。
【
図14】厳正審査機能の審議中画面の一例を示す図である。
【
図15】厳正審査機能の投票画面の一例を示す図である。
【
図16】厳正審査機能の投票フローチャートを示す図である。
【
図17】簡易審査機能における炎上防止システムのブロック図である。
【
図18】簡易審査機能の不適切指摘事項入力画面の一例を示す図である。
【
図19】簡易審査機能の不適切ボタンの表示例を示す図である。
【
図20】簡易審査機能の適切・不適切判断投票入力画面の一例を示す図である。
【
図21】簡易審査機能の不適切ボタンの表示例を示す図である。
【
図22】簡易審査機能の審議中画面の一例を示す図である。
【
図23】簡易審査機能の投票者決定画面の一例を示す図である。
【
図24】簡易審査機能の投票画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
ここで、インターネット上のコミュニティーでは、複数のユーザ間で意見の応酬がなされるため、掲示板が炎上し、インターネット上で適切な議論を尽くすことができない可能性がある。この掲示板の炎上が生じる理由として、自らの意見に否定的な意見や、自らの意見を侮辱する意見などが表示され、それをユーザが視認することにある。このため、自らが視認しても憤慨しない範囲に限り他のユーザの意見を視認できるコメントを選択できれば炎上の可能性は低い。このため、本実施形態の炎上防止システムは、他のユーザの意見をフィルタリングするための、コメントフィルタリング機能を有している。
【0015】
また、本実施形態の炎上防止システムは、掲示板の炎上を防止するため、投稿された意見が適切であるか不適切であるかを判定するための適切・不適切選択機能を有している。
【0016】
本実施形態のインターネット上の炎上防止システム1(以下、システム1という場合がある)は、
図1に示すように、情報処理装置200と、記憶装置(データベース)300と、各ユーザが有する個々のユーザ端末(パーソナルコンピュータやスマートフォン等)400と、これらを接続するインターネット回線(ネットワーク)100とからなり、これら情報処理装置200、記憶装置300及びユーザ端末400により実行されるインターネット上のコミュニティー(いわゆるSNSサイト)内のシステムである。なお、記憶装置300は、情報処理装置200とは別に構成されることとしたが、記憶装置300は、情報処理装置200に直接接続されていてもよいし、情報処理装置200に内蔵されていてもよい。
この炎上防止システム1は、上述したコメントフィルタリング機能、適切・不適切選択機能を有している。
以下、上記各種機能について、各実施形態に分けて詳細に説明する。
【0017】
[第1実施形態]
ここで、インターネット上の顔が見えない相手とのやりとりは炎上を始めとする様々な問題が存在する。特に文面のニュアンスや投稿者の意図を汲み取らず表面的な揚げ足取りの様な批判が頻繁に生じたりする。これを客観的に分析すると発信者と受信者の温度差や能力差が大きな原因と考えられる。つまり表現能力と読解能力の差異から生じる齟齬である。投稿に対して想定外の批判や間違いの指摘となるコメントが寄せられて問題発生となるが、投稿者が槍玉に上げられ逃げ場のない状況に追いやられてしまう。
この問題を解決するため、本実施形態の炎上防止システム1は、コメントに対する制限や設定を投稿者自身が行えるコメントフィルタリング機能を有している。このコメントフィルタリング機能は、
図1に示すネットワーク100を介して接続された複数のユーザ端末400と、記憶装置300と、情報処理装置200とを備える炎上防止システム1によって実現される。
【0018】
また、各ユーザ端末400は、図示を省略するが、各ユーザ端末400の各種処理を実行する制御部と、各ユーザ端末400を操作するための操作部と、各種情報を表示する表示部と、各種情報を記憶する記憶部と、ネットワーク100に接続され各種情報を送信するための通信部を備えている。
【0019】
本実施形態では、ユーザ端末400は、情報処理装置200にあらかじめ設定されたコメントの種類を選択可能なコメント選択手段と、投稿意見に対するコメントのうち、制限する種類のコメントを選択可能なコメント制限種類選択手段と、を有し、この情報処理装置200は、ユーザ端末400により制限するコメントが選択されているか否かを判定する選択判定手段を有し、選択判定手段により制限するコメントが選択されていると判定された場合に、制限するコメントのIDを記憶装置300に記憶することを特徴としている。
また、情報処理装置200は、ユーザ端末400により制限するコメントのIDが記憶装置300に記憶されている場合に、他のユーザ端末400が投稿意見に対するコメントを作成するときに、記憶装置300に記憶された種類のコメントのみ投稿可能に制限するコメント投稿制限手段を有することを特徴としている。以下、具体的に説明する。
【0020】
この第1実施形態のコメントフィルタリング機能は、発言者が意見を述べる投稿欄内部に設置された機能であり、投稿者が求めるコメントのみを許可する機能となる。例えば、コメントの種類を予め(1)真面目な感想、(2)応援・賞賛、(3)疑問・質問、(4)アドバイス、(5)反論、(6)悪ふざけ・冗談、などに分類しておき、投稿者が投稿を行う際、受け付けるコメントの種類を選択した上で設置可能となっている。この点、多くの人は好意的なコメントは歓迎し、批判的なコメントには嫌悪を感じる。しかし、知識や文章力が豊富にあり様々な意見に対応できる人にとっては、批判的な意見も歓迎される。また炎上商法のように投稿者によっては、批判的な指摘をむしろ歓迎する可能性があり、堅苦しい意見を好まない投稿者は、あえて悪ふざけのコメントを希望する可能性もある。
また、詳しくは、第2実施形態において説明するが、書き込まれたコメントが適切なものであるか否かの判断が可能となるように、各コメントに「適切/不適切」ボタンを配置する。第三者となる閲覧者が明らかに不適切なコメントを発見した場合は、このボタンで違反警告として一票を投じる事が可能となる。こうした投票が規定数に達すると、違反コメントには表示の禁止や削除、コメント投稿者には減点などの罰則等を用意している。
【0021】
本実施形態では、
図2に示すように、各ユーザ端末400は、画面に新規投稿画面を表示するとともに、新規投稿画面を操作することにより取得するコメントを選択可能な機能を有している。これらの機能は、ユーザ端末400の制御部、操作部、表示部及び通信部により実行される。また、情報処理装置200は、
図5に示すように、投稿内容を保存する保存機能とともに、投稿に対する意見のうち、取得するコメントとして選択されたコメント以外のコメントを表示しないように制御するコメント分類フィルタリング機能を有している。これらの機能は情報処理装置200の制御部、操作部、記憶部及び通信部により実行される。さらに、記憶装置300は、投稿内容を記憶する投稿テーブル、コメントフィルターテーブル、コメントを記憶するコメントテーブル及びコメントの分類を記憶するコメント分類テーブルを有している。
【0022】
本実施形態のコメントフィルタリング機能は、掲示板やチャット、SNSなど、文字ベースのコミュニケーション手段において活用される。このような場合、発言者は最初の投稿(議題の提案)を行う。その際、自身の投稿に対して、受け付けるコメント、もしくは受け付けないコメントを選択する。具体的には、
図2に示すように、コメントの種類としては、(1)真面目な感想、(2)応援・賞賛、(3)疑問・質問、(4)アドバイス、(5)反論、(6)悪ふざけが示され、これらのコメントの種類を示す下方には、上記コメントを受け付けるか否かを選択可能な選択ボタンが表示されている。より具体的には、コメントの受付の選択ボタンは、ON・OFFのトグル式となっており、ONの場合は着色され、OFFの場合はグレー等と表示される。こうした視覚的作用により、使用者にはON・OFFの状態が一目で判別可能となる。
なお、別の方法として、コメント設定欄等を用意しておき、そこにチェックを入れる方式や、キーワードを登録し、このキーワードを含むコメントを選択しない方式などを採用してもよい。
【0023】
そして、新規投稿を行うユーザが、新規投稿する文章を入力した後、又は、入力する前に、このような受け付けるコメントを選択して、「入力確認画面へ進む」と記載されたボタンが操作されると、新規投稿が他のユーザ端末200でも視認可能な状態となる。具体的には、コメントを受け付ける状態となる。
【0024】
このような新規投稿に対してコメントを行う場合、コメント投稿者は自身のコメント内容に該当するコメント分類を投稿者自ら選択する。なお、近年AI等により自動分類する技術も存在するが、AIによる過学習問題も想定されるため、本実施形態では、コメント分類を投稿者自ら選択することとしている。具体的には、コメント投稿者の表示画面には、
図3に示す画面が表示される。この表示画面には、コメント分類の選択ボタン及び投稿テーマの選択ボタンが表示され、これら選択ボタンを操作することにより、自身のコメントの分類が可能となる。
なお、コメントの対象となっている投稿のうち、該当の分類を受け付けない設定(コメント種類がOFF設定)にされている場合には、投稿ができないように設定されている。また、コメント分類はこの時点で受け付けた項目のみしか選択できないのが好ましい。さらに、
図3に示す例では、2つの選択ボタンを表示することとしたが、ひとつだけ、または更に多くの選択ボタンを表示してもよく、必要に応じた選択を可能としている。こうした様式と別の方法として、コメント投稿者が分類を選択しなくても許可範囲が分かるように予めアイコンなどで画面の傍らに表示される方法や、フォントの色付けや背景色をコメント分類に合わせる方式などでもよい。つまり、閲覧者は許可された分類とコメントが一致しているかが一目瞭然となればよい。
【0025】
そして、
図3に示す表示画面の各選択ボタンを操作すると、例えば、
図4に示す投稿コメントを投稿するためのコメント内容記載画面が表示される。この表示画面には、選択されたコメント分類及び選択された投稿テーマが最上部に表示される。このため、コメント投稿者は、自らが記入するコメントが上記内容に合致するようにコメントをすることができるようになる。そして、コメント内容の記入が終了すると、表示画面の最下部に表示された投稿コメントの確認ボタンを操作すると、確認画面(図示省略)が表示され、投稿ボタンを操作することによりコメントが投稿される。
【0026】
[コメント制限処理]
コメント投稿時におけるコメント制限処理は、
図6に示すフローチャートに沿って実行される。
まず、投稿内容の入力が実行される(ステップS101)と、受付コメントを制限するか否かの判定が実行される(ステップS102)。この受付コメントの制限は、上述したようにコメント入力画面においてコメント投稿者によるON/OFFボタンの操作により実行される。このステップS102の判定処理において、コメント投稿者によるON/OFFボタンの操作が実行された(S102でYES)と判定されると、制限するコメント分類を選択する(ステップS103)し、コメント分類のIDリストを取得する(ステップS104)。一方、コメント投稿者によるON/OFFボタンの操作が実行されていない(S102でNO)と判定されると、上記ステップS102を実行することなく、コメント分類のIDリストを取得するステップS104へと移行する。このステップS104の処理では、制限していないコメント分類のIDリストを取得するため、上記ステップS102の判定処理において「NO」と判定された場合には、コメント分類IDリストは、上述した(1)~(6)の全てのコメント種別ごとのIDリストを取得する。一方、ステップS102で「YES」と判定された場合には、コメント分類IDリストは、制限していないコメント分類のIDリストのみを取得する。
【0027】
次に、コメント分類IDリストの終端か否かを判定するステップS105を実行する。このステップS105の処理では、ステップS104の処理で取得したコメント分類IDリストの終端に到達したか、すなわち、コメント分類IDリストの終端まで、当該IDリストの全ての分類と投稿コメントとが一致するか否かの判定が終了した否かを判定する。このステップS105の判定処理により、コメント分類IDリストの終端である(S105でYES)と判定されると、投稿内容を記憶装置300に保存して処理を終了させる。
一方、ステップS105の判定処理により、コメント分類IDリストの終端ではない(S105でNO)と判定される、すなわち、コメント分類IDリストの全ての分類と投稿コメントとが一致するか否かの判定が終了していない(例えば、コメント分類IDリストの1番目の分類)と判定されると、制限するコメントが選択されているか否かを判定するステップS106の処理へと移行する。このステップS106の判定処理により、制限するコメントが選択されている(S106でYES)と判定されると、制限するコメントのIDを記憶装置300に記憶する(S107)。具体的には、制限するコメント分類がある場合は、「この投稿IDではこの分類IDを受け付けない」という投稿IDと、拒否する分類IDとを紐付けて記憶装置300に記憶させる。そして、カウンタをコメント分類IDの番号に合わせて、すなわち、初回のステップS106の処理がコメント分類IDリストの1番目の場合、次の番号(2番目の番号)に合わせて(S108)、S105の処理へと移行する。一方、ステップS107の処理により制限するコメントが選択されていない(S106でNO)と判定されると、ステップS107の処理を実行することなくステップS108の処理に移行する。そして、これらの処理を繰り返し、コメント分類IDリストの終端である(S105でYES)と判定される、すなわち、当該IDリストの全ての分類と投稿コメントとが一致するか否かの判定が終了したと、投稿内容を記憶装置300に記憶させてコメント投稿時におけるコメント制限処理を終了させる。
【0028】
[コメント制限下におけるコメント投稿処理]
次に、コメント制限処理が実行されたコメントに対するコメント制限処理について説明する。このコメント制限下におけるコメント投稿処理は、
図7に示すフローチャートに沿って実行される。
まず、コメント制限が実行されたコメントに対するコメント内容を入力し(ステップS201)、コメントの分類を選択する(ステップS202)。なお、このステップS201及びS202の処理は、いずれを先に実行してもかまわない。例えば、
図3及び
図4に示す例では、ステップS202のコメント分類を実行した後、ステップS201のコメント入力が実行される。そして、これらステップS201及びS202が実行され、コメント投稿ボタンが押下される(ステップS203)と、ユーザにより選択されているコメント分類のIDリストを取得する(ステップS204)。例えば、ユーザにより選択されているコメント分類が(1)真面目な感想及び(5)反論である場合、これらのIDリストを取得する。
【0029】
次に、選択されているコメント分類IDリストの終端か否かを判定するステップS205を実行する。このステップS205の処理では、ステップS204の処理で取得した選択されているコメント分類IDの終端に到達したか、すなわち、ユーザにより選択されたコメント分類IDの終端まで、当該IDリストの全ての分類と制限されているコメント分類とが一致するか否かの判定が終了したか否かを判定する。このステップS205の判定処理により、選択されたコメント分類IDリストの終端である(S205でYES)と判定されると、投稿内容を記憶装置300に保存して処理を終了させる。
【0030】
一方、ステップS205の判定処理により、コメント分類IDリストの終端ではない(S205でNO)と判定される、すなわち、ユーザにより選択されたコメント分類IDの終端まで、当該IDリストの全ての分類とが一致するか否かの判定が終了していない(上述した例であれば、(5)反論の判定が終了していないと判定される)と、制限されているコメント分類IDリストの終端であるか否かの判定を実行する(ステップS206)。このステップS206の判定処理により、ステップS204で取得したコメントIDが制限されているコメント分類IDリストの終端であると判定されると(S206でNO)、カウンタAを選択されているコメント分類IDに設定し、再度ステップS206の処理へと移行する。一方、ステップS206の判定処理により、制限されていうコメント分類IDリストの終端でないと判定されると(S206でNO)、カウンタAがカウンタBと一致するか否かを判定する。ここでいうカウンタAとは、ユーザにより選択されているコメントIDであり、カウンタBとは、制限されているコメント分類IDのうちの1つである。つまり、ステップS207の判定処理では、選択されているコメントIDが制御されているコメントIDの1つと一致するか否かを判定している。この判定処理により、これらが一致していると判定されると(S207でYES)、コメントが制限されている旨をコメント投稿者の表示画面に表示させ(ステップS208)、処理を終了させる。
【0031】
一方、ステップS207の判定処理により、選択されているコメントIDが制御されているコメントIDの1つと一致していないと判定されると(S207でNO)、カウンタBを制限されているコメント分類IDの中から前回のステップS207の処理で設定されていたコメントIDとは異なるIDに設定し、ステップS206の処理へと移行する。そして、制御されているコメントIDの全てにおいてステップS207~S209の処理が終了すると、ステップS206の処理において「YES」となり、カウンタAを前回のステップS205の処理時に設定されたコメント分類IDとは異なるコメントIDに変更し、S206~S209の処理を繰り返す。そして、全ての選択されているコメント分類IDについての処理が終了すると(S205でYES)、コメントを記憶装置300に保存し(ステップS211)、処理を終了させる。
【0032】
つまり、
図8のフローチャートにおけるS205~S209の処理における2重ループの外側のループは、ユーザが選択しているコメント分類IDに対する処理であり、内側のループは、投稿者が制限したコメント分類IDに対する処理である。これらS205~S209の処理を実行することにより、ユーザが選択しているコメント分類IDと投稿者が制限したコメント分類IDとが一致した場合に、ユーザのコメントが投稿できない旨の表示がされる。一方、これらが一致しない場合には、ユーザのコメントは問題なく投稿できることとなる。
【0033】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の炎上防止システム1は、コミュニティー内に1つのユーザ端末を用いて投稿する投稿意見に対するコメントの種類を制限可能なコメントフィルタリング機能を有しているので、制限されたコメントが投稿されることを抑制できる。具体的には、情報処理装置に制限するコメントIDが記憶され、他のユーザ端末が投稿意見に対するコメントを作成するときに、記憶装置に記憶された種類のコメントのみ投稿可能に制限されるので、不要な種類のコメントを制限できる。
【0034】
すなわち、本実施形態では、意見の投稿者の好みに合わせて募集するコメントを選択できる。つまり、個人の度量に応じて受け取るコメントを選択(制限)できるので、掲示板の炎上を抑制できる。このため、批判的なコメントを恐れる投稿者にとっては肯定的なコメントのみを選択できるので恐怖を感じることなく投稿が行える。つまり、多くの書き込みの募集促進が期待できる。
【0035】
以上のように、本実施形態の炎上防止機能は、インターネット上の掲示板において多様な対応をとれるようにすることで炎上を抑制できる。この事は広く多くの書き込みを募集しつつも一定の秩序が保持された状態となるので、サイト内での健全化が図られものとなる。これまで両立が難しいとされてきたこうした問題が解消される。
【0036】
[第2実施形態]
ここで、インターネット上には不適切な発言や事実と異なる情報を目にする機会が数多くある。この様な場合に訂正を求めたいと感じつつも指摘や注意を行うと、争いが生じてしまう危険性が多分に存在する。また、訂正を求めたところで得られるメリットは何も存在しない。そうした背景から不適切な書き込みを目にしても多くの場合スルーされるのが一般的である。また、人の意見や主張には明確に間違いだと言い切れない賛否両論を呼ぶものも多数存在する。例えば、同じような意見でもあっても「許容の範囲内」であるとか「度を越えている」などの判断は人の価値観に左右されるものである。個人差による人の価値観に基準を設ける事自体が困難とされている。
【0037】
この点、不適切な投稿に対して、是正を求める旨のコメントを寄稿しても、本来求めていた是正が行われない場合が殆どであり、言い争いや炎上に発展する危険性の方が高い。また、従来の不適切な投稿に対する評価システム(例えば、サービス提供者に投稿の削除を求める通報ボタンを設けるシステム)では、運営者に対して投稿の削除を求めるだけで、投稿者自身に是正を求めることはできなかった。
この問題を解決するため、本実施形態の炎上防止システム1は、書き込まれたコメントが適切なものであるか否かの判断が可能となる適切・不適切選択機能を有している。この適切・不適切選択機能は、第1実施形態のコメントフィルタリング機能の一部、又はコメントフィルタリング機能とは別個の機能であり、
図1に示すネットワーク100を介して接続された複数のユーザ端末400と、記憶装置300と、情報処理装置200とを備える炎上防止システム1によって実現される。
【0038】
この適切・不適切選択機能は、発言者が意見を述べる投稿欄内部に設置された機能であり、各コメントに不適切指摘ボタンを配置し、第三者となる閲覧者が明らかに不適切なコメントを発見した場合は、このボタンで違反警告として一票を投じる事が可能となる。こうした投票が規定数に達すると、表示の禁止や削除、コメント投稿者に対する減点などの罰則等が設けられる。
【0039】
本実施形態では、情報処理装置200は、1つのユーザ端末400により投稿がなされた場合に、他のユーザ端末400における投稿意見の表示画面に当該投稿意見が不適切であることを指摘するための不適切ボタンを表示する不適切ボタン表示手段と、不適切ボタンが押下されたときに、不適切事項入力手段を前記他のユーザ端末に表示させる不適切事項入力画面表示手段と、不適切事項を表示する不適切事項表示手段と、を有することを特徴としている。
また、情報処理装置200は、不適切事項表示手段により不適切事項が表示された際に、1つのユーザ端末400及び不適切事項を入力したユーザ端末400以外の端末に投稿意見が不適切であるか否かの審議中であることを示す審議中表示ボタンを表示する審議中表示手段と、審議中表示ボタンが押下されたときに、投稿意見が適切か不適切かのいずれかに投票するための投票画面を表示する投票画面表示手段と、投票が終了した際に投稿意見が適切か不適切かを判定する適切・不適切判定手段と、を有することを特徴としている。
【0040】
なお、本実施形態の適切・不適切選択機能は、
図8に示すような厳正な審査を経て投稿意見の不適切の認定がなされる厳正審査機能、及び
図9に示すような簡易的な審査を経て投稿意見の不適切の認定が認定される簡易審査機能を有する。これらのいずれの審査を実行するのは適宜変更可能である。以下の説明では、まず厳正審査機能について説明し、次に簡易審査機能について説明する。また、共通する部分については、説明を省略又は簡略化して説明する。
【0041】
[厳正審査機能]
厳正審査機能では、
図8に示すように、1のユーザ端末400から投稿された投稿意見に対し、他のユーザ端末400から不適切の指摘があった場合に、公認の承認者による適切・不適切の承認がなされ、その後、公認の承認者により不適切の承認がなされた場合に、公認の投票者による適切・不適切の投票がなされ、これにより投稿意見の適切・不適切が認定される。すなわち、厳正審査機能の特徴は、公認の承認者による承認及び公認の投票者による投票の2段階にわたる厳正な審査が実行される点にある。これを実現するため、本実施形態の情報処理装置200は、投稿意見に不適切の指摘があったときに、不適切の指摘を承認するか否かを決定する承認手段を有し、承認手段により不適切の指摘が承認された場合に、審議を開始することを特徴としている。以下、具体的に説明する。
【0042】
図10は、厳正操作機能を実行する複数のユーザ端末400、記憶装置300、及び情報処理装置200を示すブロック図である。
厳正操作機能では、
図10に示すように、記憶装置300は、投稿者や不適切の指摘者を判別するためのユーザーテーブルと、投稿者の投稿データを保存するための投稿内容テーブルと、適切・不適切の指摘が提起された投稿と指摘のステータス(承認待ち・承認・非承認・適切・不適切)を管理する適切・不適切の指摘テーブルと、承認された指摘に関して、適切・不適切の投票データを保存する適切・不適切の投票テーブルとを備えている。
これらのうち、適切・不適切の指摘テーブルには、指摘のステータスのマスタデータを保管する指摘のステータスマスタと、提起された不適切の指摘に対して、承認・非承認の投票データを保存する指摘の承認・非承認の投票テーブルと、承認された指摘に関して、適切・不適切の投票データを保存する適切・不適切のコメントテーブルとが対応付けられている。
なお、
図10に示すブロック図は、本実施形態の厳正操作機能を実行するための一例を示したものに過ぎず、同様の動作を実行する構成は無数に存在する。
【0043】
図11は、ユーザによる発言(投稿画面)を示したインターフェース画面の一例である。
図11に示すように、あるユーザ(1つのユーザ端末)から投稿文やコメントが投稿された場合、情報処理装置300の制御により投稿文を投稿したユーザ以外のユーザの各ユーザ端末400(他のユーザ端末)のインターフェース画面の右上部には、不適切指摘ボタン(デフォルト状態・未投票状態において表示されるボタン)が表示される。この不適切指摘ボタンは、他者の投稿に不適切な発言を見つけた時、不適切指摘ボタンを押下(クリック、タップ)すると、規約やルールと照らし合わせて、投稿内容が不適切であることを指摘可能な構成とされている。
なお、投稿者本人には不適切指摘ボタンは表示されてもかまわないが、投票の公正を期すため、投稿者本人の不適切指摘ボタンの操作はできないように設定されている。
【0044】
この不適切指摘ボタンが第三者(投稿者以外のユーザ)に押下されると、情報処理装置300の制御により、第三者のユーザ端末400の表示手段に、
図12に示すような入力フォーム(不適切指摘フォーム)画面が表示される。この入力フォームは、実際に規約やルールと照らし合わせて、投稿内容の不適切内容を具体的に指摘するための画面である。具体的には、
図12に示すように、自動入力される投稿コメント番号、該当する違反箇所を表示する違反箇所表示画面、違反に適用される規約を入力する規約入力画面、違反内容の入力画面及び承認申請を実行するための承認申請ボタンが表示される。
【0045】
これらのうち、違反箇所表示画面には、該当箇所を指示するボタン(該当箇所指示ボタン)が表示され、これを押下すると、投稿文指示フォーム(1つのユーザにより投稿された投稿意見の文字列)が表示され、該当箇所を指示可能となる。指示された該当箇所は、例えば、
図12に示すように、マーカー表示される。なお、該当箇所は、複数個所指摘することも可能である。
また、規約入力画面には、規約入力ボタンが表示され、これを押下すると、複数の規約違反を示す一覧フォーム(図示省略)が表示され、これら表示された規約違反から投稿意見の該当する規約違反を選択する。この選択がなされると、選択した規約の条文番号(例えば、○○条○○項)及び法律が規定する内容(例えば、刑法第230条、名誉棄損の行為とは・・・)等が自動入力される。一方、規約違反に該当しない場合、複数の規約違反とともに一覧フォームに表示された「該当なし」を選択すればよい。
また、違反内容の入力画面には、内容入力ボタンを押下すると、
図12に示すように、編集フォームが表示され、当該フォーム内で内容を入力可能となる。この違反内容の入力画面では、投稿意見内の違反箇所を具体的に記載する他、投稿意見を不適切であると考える自己の考えなども記載可能となる。一方、規約違反ではないものの、刑法や民法に違反する場合には、刑法や民法の具体的な条文番号及びその内容について入力すればよい。
【0046】
そして、これらの入力が終了した後、最後に承認申請ボタンを押下することで、不適切の承認申請が完了する。このような不適切指摘ボタンを押下して実行される不適切の承認申請は、投稿意見を投稿した1つのユーザ端末400以外のユーザ端末400のそれぞれから実行することが可能である。このため、例えば、1つのユーザ端末400により投稿された投稿意見に対して、3人以上のユーザ(3以上のユーザ端末400)から不適切の承認申請があった場合、後述する投票権を有するユーザのユーザ端末400からの不適切の承認申請があった場合、不適切の承認申請に対して運営側が不適切と認めた場合などの各種条件が設定されており、これらのいずれかに該当する場合に、後述する公認の承認者による承認が実行される。また、このような条件が設定されることにより、いたずらや押し間違い等により不適切指摘が実行されることを抑制できる。さらに、厳正審査機能では、指摘者(他のユーザ)から不適切表現の指摘が行われても、すぐに審議に移るシステムとはしていない。これは指摘者の勘違いや上述したようなイタズラが予想されるためである。このため、公認の承認者による承認が求められ認可された状態で審議が始まることとしている。この公認の承認者は、適宜設定可能であり、運営者でもよいし第三者であってもよい。なお、第三者から選択される場合には、投稿者の三親等以内の血族、四親等以内の姻族が除かれる他、投稿者の利害関係人(友人等も含む)も除かれることが好ましい。
【0047】
公認の承認者による認定は、例えば、以下のようにして実行される。
例えば、サイト内で予め承認者となることを許諾したユーザのユーザ端末400の情報(例えば、ID及びメールアドレス)が承認者情報として記憶装置300に記憶されている。そして、承認申請がなされると、承認者情報として記憶されたユーザ端末400の複数に
図13に示すような承認申請の認可・不認可の選択画面を表示するためのデータが送付される。この
図13に示すデータは、対象のユーザ端末400にメール送信されてもよいし、サイト内の通知機能等により送信されてもよいし、SNSで送信されてもよい。すなわち、
図13に示すデータが公認の承認者となるユーザ端末400に送信されれば、その送信方法はどのような送信方法であってもよい。
また、認可・不認可を決定する規定数は、例えば規定数を10とした場合、不認可の規定数は7とする。この認可不認可の規定数に違いがあるのは不適切表示をより明確なものとするためであり、イタズラや悪意ある判断を防止する意図もある。この場合、公認の認定者は、30名程度確保する必要があるため、30名に
図13に示すデータが送信される。
【0048】
そして、上記データが送信され、ユーザが当該データを開封すると、ユーザ端末400に
図13に示す画像が表示される。この画面には、公認の承認者となるユーザの名称、メッセージ、不適切表示の内容を確認するためのリンク表示、「不適切表現を認可する」又は「不適切表現を認可しない」のいずれかを選択するための選択ボタンが表示される他、認可・不認可の設定により受諾するポイント数を示すメッセージが表示されている。
これらのうち、不適切表示の内容を確認するためのリンク表示をタップすると、
図12に示す情報のうち、該当する違反箇所表示、違反に適用される規約及び違反内容の記入画面に入力された情報(以下、承認申請情報という)が表示される。これにより、公認の承認者は、承認申請情報を確認した上で、承認申請の認可・不認可を選択することが可能となる。
【0049】
そして、公認の承認者により、非承認(例えば、上述した例の場合7人の公認の承認者が非承認を選択した)と決定されると、公認の承認者による審議が終了したとして、審議済となる。一方、公認の承認者により承認(例えば、上述した例の場合10人の公認の承認者が認可を選択した)と決定されると、審議が開始される。
なお、承認に規定数が達せず停滞が生じた場合(例えば、承認申請がなされてから24時間が経過した場合等)、公認の承認者の追加招集が実行される。また、停滞が生じた場合には、所定時間経過後、自動的に審議に移行するようにしてもよい。さらに、不適切の指摘が承認を得られなかった場合、つまり、適切表現であると判断された場合には、不適切ボタンは「審議済」の表示に切り替わる。この場合、再度不適切の指摘を可能とすると、無限に当該投稿に対する承認申請が実行されることとなるので、再度の不適切の承認申請はできないように設定されているが、例えば、1回までは可能としてもかまわない。この審議済み後の再承認申請については、運営サイドが適宜設定可能である。また、既に審議が始まっている状態で、更に違った観点から不適切の指摘が追加できるようにしてもかまわない。特に、長文の投稿などは複数個所に異なる問題の不適切表現が見られる場合などである。こうした場合、追加して不適切の指摘が行える仕様が好ましい。
なお、再度の不適切の承認申請については、例えば、投稿内の指摘範囲が同じ場合は指摘できないように設定してもよい。この場合、さらに違った観点から不適切の指摘を追加することが難しいため、これとは異なる方式にて再度の不適切の承認申請を実行してもよい。
【0050】
上述した公認の承認者により、不適切の指摘が承認されると、
図14の上部に示すような適切・不適切の審議中であることを示す審議中ボタンが表示される。この審議中ボタンを押下すると、
図14の下部に示す不適切事項の審議画面が表示される。この不適切事項審議画面には、不適切表現の審議画面であることを示す表示、不適切事項、みんなの声(他のユーザによるコメント及び評価(○、△、×)等)、自身のコメントを入力するための入力フォーム、自己の評価を選択する選択画面が表示される。
【0051】
さらに、審議が開始され、他のユーザのコメントが多数寄せられると、審議内容に注目が集まる。大多数の閲覧者は投票権を持たないが、審議内容に一言コメントを残したい者は多数存在することが予想される。こうした閲覧者からのコメントを集め、その動向が投票者の判断に影響を与えることも予測される。また、悪意ある閲覧者が審議のコメントや内容を対象者に伝える可能性もあるので、これは規約で禁止していることを明記しておくことで解消している。
投稿意見を投稿した1つのユーザ端末400以外の全てのユーザ端末400のうち、投票権を有していないユーザのユーザ端末400では、上述した不適切であることが承認された投稿意見や審議中のコメントに対する意見を記入可能となっており、例えば、「この投稿意見は不適切だ。その理由は・・・。」等と自由な意見を書き込むことが可能となる。これにより、投票権を有していないユーザ間での議論が活発となり、この議論がなされたページを、投票権を有するユーザが視認することにより適切・不適切のどちらに投票すべきかを検討する材料とすることができる。
また、審議中ボタンの下部には、投票権を有していないユーザのユーザ端末400においては審議中と表示され、投票権を有しているユーザのユーザ端末400には、投票中と表示されるとともに、投稿意見の審議又は投票がどの程度進んでいるかを示す数値(例えば、%表示)が合わせて表示される。
【0052】
なお、審議対象となる投稿意見を投票したユーザのユーザ端末400には、審議中ボタンは表示されない設定とされている。このように投稿意見を投稿したユーザ端末400から審議中の議論内容は視認できないようになっているため、議論が活発化し、その投稿意見の適切・不適切を具体的に検討できる。つまり、投稿意見を投稿したユーザが審議中画面を視認できないようにすることで、投稿者を心的ストレスから保護するとともに、審議が白熱し、多くの人が興味を持つようにしている。
一方、投票権を有するユーザのユーザ端末400には、
図15の上部に示す投票ページ入室ボタンが表示される。この投票ボタンは、投稿意見を投稿したユーザ以外のユーザ(他のユーザ)のユーザ端末400の全てに表示されるわけではなく、投票権を有するユーザのユーザ端末400にのみ表示される。
【0053】
なお、ユーザの投票権については、ランダムに設定してもよいし、システム1内での各ユーザの行動履歴や発言履歴から選択されてもよい。また、投票ページへの移行は、審議中ボタンの押下に限らず、例えば、情報処理装置300から投票権を有するユーザのユーザ端末400に投票権配布の自動メールを配布したり、これらのユーザ端末400の事案発生ページやマイページ等から投票ページにアクセスしたりすることも可能である。また、投票権を有する公認の投票者についても、上記公認の承認者と同様に、投稿者の三親等以内の血族、四親等以内の姻族が除かれる他、投稿者の利害関係人(友人等も含む)も除かれることが好ましい。
【0054】
投票者のユーザ端末400の操作により投票ページに入室すると、
図15の下部に示す投票画面が表示される。この投票画面には、投票期限と、現在の投票率、適切・不適切の選択ボタン、争点についてのコメントを入力するための入力欄、他の一言コメントを視認可能なボタン、投票ボタン及び投票の変更ボタンが表示されている。このため、投票者は、前述した審議内容の他、前の投票者の争点についてのコメント等を視認した上で自己の適切・不適切の判断を容易にできる。
【0055】
そして、投票ボタンを押下すると投票が終了する。この投票ボタンが押下されると、ユーザ端末400は、情報処理装置300にコメント及び投票結果を送信し、これらの情報が記憶装置200に記憶される。そして、記憶装置200内の有効投票数を1追加するとともにその投票数を情報処理装置300に送信する。これにより、次回の投票者が投票ボタンを押下した際に表示される投票画面の投票率が上昇した状態で表示される。
なお、投票ボタンの右側に表示された投票の変更ボタンを押下することにより、投票期限までは投票後あっても投票の変更は可能とされている。また、投票が終了すると、投票結果が対象者に通知されるが、具体的な判断がどのように行われたのかを伝えるためにも、投票者の一言コメントは対象者に通知される。一方、一般閲覧者のコメント(審議での他のユーザコメント)は感情的な背景も想定され、無責任な発言も多くなることが予想されるのでこちらは対象者へ通知されることはない。
【0056】
そして、投票の結果、投稿意見が適切と判定された場合(例えば、有効投票数100に対して、不適切が67以上の場合)には、投稿意見が不適切であること(不適切認定)が決定されることから、情報処理装置300は、全てのユーザ端末400において不適切と判定された投稿意見を非表示の状態とする。一方、投稿意見が適切と判定された場合(有効投票数100に対して、不適切が67未満、つまり、適切が33票以上の場合)には、その結果が表示されるとともに、投稿意見の表示が維持される。そして、不適切指摘ボタンは、「審議済」の表示に切り替わり、審議済ボタンを押せば審議内容を閲覧することができるように設定される。また、審議対象者だった者も適切の認定を受けた後であれば、コメントの内容などを見ても精神的な悪影響は無く冷静に対処できることから、「審議済」表示は、投稿意見の投稿ユーザにも表示される。
【0057】
なお、不適切認定を投票総数の67%以上としたのは、表現には曖昧な意味合いや受け取り方が存在するため、明確に悪影響のあるものだけを取り締まり対象とするためである。つまり、不適切認定が67%未満のもの(賛否両論のあるもの)は論議を活性化する必要があるため投稿意見の表示を継続する。また、不適切の認定を受けた場合に対象となる投稿意見を不表示とするのは、削除などを行ってしまえば審議の形跡なども無くなってしまう事や、前後や周囲の繋がりなどに影響を与えてしまうことも想定されるからである。
【0058】
[投票時の処理フロー]
投票時の処理フローは、
図16に示すフローチャートに沿って実行される。
具体的には、投票が実行されると、その投票が適切に投票されたか否かが判定される(ステップS301)。このステップS301の判定処理により適切に投票したと判定されると(S301でYES)、情報処理装置300は適切の投票数を増加させ、記憶装置200に投票数を記憶させる(ステップS302)。一方、ステップS301の判定処理により適切に投票しなかった(不適切に投票した)と判定されると(S301でNO)、情報処理装置300は不適切の投票数を増加させ、記憶装置200に投票数を記憶させる(ステップS303)。
そして、情報処理装置300は、投票比率が一定の水準に達したか否かを判定する(ステップS304)。このステップS304の判定処理により、投票比率が一定数に達していないと判定されると(S304でNO)、ステップS301の判定処理に戻り他のユーザの投票まで待機状態とする。一方、ステップS304の判定処理により投票比率が一定水準に達したと判定されると(S304でYES)、記憶装置200に記憶された投票数に応じて「審議済」又は「不適切表現に認定する」のいずれかに投票結果を決定し、処理を終了させる。
【0059】
[簡易審査機能]
簡易審査機能では、
図9に示すように、1のユーザ端末400から投稿された投稿意見に対し、他のユーザ端末400から不適切の指摘があった場合に、即座に審議が開始されるとともに、公認の投票者による適切・不適切の投票がなされ、これにより投稿意見の適切・不適切が認定される。すなわち、簡易審査機能の特徴は、適切・不適切の認定までの時間を短縮することができる点にある。
簡易審査機能においては、情報処理装置200は、適切・不適切判定手段により投稿意見が不適切であると判定された場合に、投稿意見の表示を禁止する表示禁止手段を有することを特徴としている。以下、具体的に説明する。
なお、簡易審査機能については、短文のコメントなどに配置することを想定している。また、第1実施形態のコメントフィルタリング機能における違反の指摘などのケースも想定している。以下、厳正審査機能と異なる点についてのみ具体的に説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0060】
図17は、簡易操作機能を実行する複数のユーザ端末400、記憶装置300、及び情報処理装置200を示すブロック図である。
簡易操作機能では、
図17に示すように、記憶装置300は、投稿者や不適切の指摘者を判別するためのユーザーテーブルと、投稿者の投稿データを保存するための投稿内容テーブルと、適切・不適切の指摘が提起された投稿と指摘のステータス(承認待ち・承認・非承認・適切・不適切)を管理する適切・不適切の指摘テーブルと、承認された指摘に関して、適切・不適切の投票データを保存する適切・不適切の投票テーブルとを備えている。
これらのうち、適切・不適切の指摘テーブルには、厳正審査機能とは異なり適切・不適切の指摘の承認・非承認プロセスがないため、指摘のステータスのマスタデータを保管する指摘のステータスマスタと、適切・不適切の投票データを保存する適切・不適切のコメントテーブルとのみが対応付けられている。
なお、
図17に示すブロック図は、本実施形態の簡易操作機能を実行するための一例を示したものに過ぎず、同様の動作を実行する構成は無数に存在する。
【0061】
この不適切指摘ボタンが第三者(投稿者以外のユーザ)に押下されると、情報処理装置300の制御により、第三者のユーザ端末400の表示手段に、
図18に示すような入力フォーム(不適切指摘フォーム)画面が表示される。この入力フォームは、実際に規約やルールと照らし合わせて、投稿内容の不適切内容を具体的に指摘するための画面である。具体的には、
図18に示すように、違反に適用される規約を入力する規約入力画面、違反内容の入力画面及び不適切を指摘する不適切指摘ボタンが表示される。
【0062】
そして、これらの入力が終了した後、不適切指摘ボタンを押下することで、不適切の指摘が完了する。このようにして不適切指摘ボタンが1つのユーザ端末400により実行されると、不適切指摘ボタンの表示は、
図19に示すように変化する。この
図19に示す表示により、他の閲覧者からは不適切の指摘が行われている状態がわかり、適切・不適切の指摘の総数をそれぞれ把握可能となる。
【0063】
このような不適切指摘ボタンを押下して実行される不適切の指摘は、投稿意見を投稿した1つのユーザ端末400以外のユーザ端末400のそれぞれから実行することが可能である。このため、適切/不適切の判断に参加したい閲覧者が「適切/不適切ボタン」を押下すると、
図20に示す適切・不適切の判断画面が表示される。
この適切・不適切の判断画面には、
図20に示すように、不適切表現の判断内容とともに、不適切指摘ボタンを押下した閲覧者の判断が可能な適切・不適切選択ボタン及び判断理由を入力可能な判断理由入力画面の他、判断の投票ボタンが表示される。このような
図20の画面を操作することにより、閲覧者は適切・不適切の欄にチェックを入れ、判断理由も記述し。確認後投票ボタンを押下し投票を行う。
【0064】
このようにして複数の閲覧者が適切・不適切の判断を行うことにより、適切の指摘数又は不適切の指摘数が上昇し、例えば、
図21に示す状態となる。閲覧者の判断は適切なものが期待されるが、状況によっては賛否両論が起こる場合やイタズラが集結することも予想される。このため、簡易審査機能では、以下の処理を実行している。
具体的には、判断の指摘による結果は「5票差」が付いた段階で決着するものとする。例えば、賛否両論が有る場合投票数が拮抗している状態では5票差が付くまでエンドレスに投票が行われる。これにより「5票差」が付いた段階において、適切の判断が5票以上多い場合、不適切ボタンは、「審議済」の表示に切り替わり、以下、上述した厳正審査機能と同様の処理を実行する。
【0065】
一方、不適切の判断が5票以上多い場合、正式な判断を得るため、審議を投票者に問うものとし、不適切ボタンは、
図22に示す「審議中」の表示に切り替わる。この場合、不適切ボタンを利用した不適切自由の記入は一時凍結状態とする。そして、上述した厳正審査機能と同様に厳正な公認の投票者が選別され、投票者に
図23に示す内容の自動メールが送付される。なお、この簡易審査機能では、審議内容も高度なものを含まない事が想定されるため、投票の規模も小さく行うことが望ましく、その審査内容については上述した厳正審査機能における審査と略同様の審査が実行される。
【0066】
そして、投票権を有するユーザのユーザ端末400には、
図24の上部に示す投票ページ入室ボタンが表示される。この投票ボタンは、投稿意見を投稿したユーザ以外のユーザ(他のユーザ)のユーザ端末400の全てに表示されるわけではなく、投票権を有するユーザのユーザ端末400にのみ表示される。そして、この投票画面を操作することにより投票が実行され、投稿意見の適切・不適切の認定がなされ、適切と認定された投稿意見についてはその表示が継続され、不適切と認定された投稿意見については、非表示状態とされる。
なお、厳正審査機能と同様に、投稿意見の投稿者には、審議内容は表示されない。また、審議後の対象者への通知を行うにあたり、適切な内容を通知するため投票者のコメントは必須としている。これは投票者数が少なく任意にしてしまうと、無記入のまま適切・不適切の認定がなされることが想定されるためである。
【0067】
[第2実施形態の効果]
本実施形態では、1つのユーザ端末400により投稿がなされた場合に、他のユーザ端末400における投稿意見の表示画面に当該投稿意見が不適切であることを指摘するための不適切ボタンを表示され、この不適切ボタンが押下されたときに、不適切事項を入力するための入力画面が他のユーザ端末400にされ、不適切事項が表示されるので、インターネット上の不特定多数の発言(投稿、書き込み)にそれぞれ責任を持たせ、無責任な発言を抑制させる事が可能となる。これによって投稿者も不用意な発言を控え、推敲を重ねた質の高い投稿が掲載される事が期待できる。また、不適切と判断された投稿意見は、不表示状態となるので、各ユーザによる当該意見に基づく炎上を防止できる。
【0068】
また、従来、不適切な発言があった場合には“通報”ボタンで運営者に通知される仕組みであった。しかし判断基準が曖昧で判断の難しいものに関しては運営者側の担当者にとっては難しい選択を迫られることになり大きな負担にもなる。この点、本実施形態では、ユーザの投票、すなわち、公の判断により適切・不適切の判断が可能となるので、運営者側の負担が大きく軽減できる。さらに、公となる複数の意見や指摘が直接投稿者に届くので当事者や第三者の誰であってもが納得の行く形態となる。すなわち、現在各種サイトで設けられている「Good/Bad」ボタンのように、単にその票数が表示されているだけでなく、その後の審議及び投票により適切・不適切の認定が実行される点で本実施形態はこれらの技術とは異なる。
また、公認の承認者による承認及び投票者による投票につきポイントが付与されるので、これら承認及び投票を促し、投稿意見の適切・不適切の認定処理を早期に終了させることができる。
【0069】
また、厳正審査機能では、公認の承認者による承認及び公認の投票者による投票の2段階にわたる厳正な審査が実行されるので、適切・不適切の認定をより的確に実行できる。
一方、簡易審査機能では、厳正審査機能と比べて審査機能が簡略化されているので、適切・不適切の認定をよりスムースに実行することができ、不適切な投稿意見が表示される期間をより短くできる。
【0070】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、上述した各実施形態における各構成要素等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0071】
[変形例]
上記第2実施形態では、不適切の投票が67票以上集まった場合に投稿意見を不適切と判定することとしたが、これに限らない。例えば、有効投票数100に対して、適切が70以上の場合には、投稿意見が適切として判定し、その結果が表示されるとともに、投稿意見の表示を維持するようにし、有効投票数100に対して、適切が50以下の場合に投稿意見を不適切と判定し、情報処理装置200により全てのユーザ端末400において不適切と判定された投稿意見を不表示の状態としてもよい。また、例えば、有効投票数100に対して、適切が51以上69以下の場合には、有効とも無効とも判断がつかない(賛否両論がある判断の難しい)ことから、情報処理装置200により投稿意見に紐付けて適切/不適切の投票結果をそのまま表示するようにしてもよい。
上記変形例では、賛否両論がある判断の難しい意見には適切/不適切の投票をそのまま表示することで判断の難しさを改めて閲覧者側に問いかける事になる。これは表層的な判断でなく、より本質的な思考と判断を提起する事にも繋がり、炎上を確実に防止することができる。
【0072】
なお、不適切な投稿を行った対象者に対する罰則として、ユーザが保有するポイントの消失制度を設けてもよい。例えば、投票によって“不適切”表現の認定が行われた場合、罰則規定を設けておきそれが実施されるものとする。これは各サイトの運営者が適宜設定可能である。
【0073】
上記第2実施形態では、不適切と認定された投稿意見を非表示状態とすることとしたが、これに限らない。例えば、不適切と認定された投稿意見(トラブルの実例)をサイトの片隅に残し閲覧可能としてもよい。これらの不適切と認定された投稿意見を完全に削除してしまえば、同じトラブルが繰り返される。この点、反面教師とした過去の問題が閲覧できれば同じ過ちを防止することにもつながる。この場合、問題を起こした当事者を特定できないような配慮や工夫を行うことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1 炎上防止システム
100 ネットワーク
200 情報処理装置
300 記憶装置
400 ユーザ端末
【要約】
【課題】インターネット上の炎上を防止することができるインターネットを使用した炎上防止システムを提供すること。
【解決手段】本発明は、情報処理装置と、記憶装置と、各ユーザが有する個々のユーザ端末と、これらを接続するインターネット回線とを備え、情報処理装置、記憶装置及びユーザ端末により実行されるインターネット上のコミュニティー内の炎上防止システムであって、コミュニティー内に1つのユーザ端末を用いて投稿される投稿意見に対するコメントの種類を制限可能なコメントフィルタリング機能、及び、投稿意見が適切か不適切化を判定するための適切・不適切指摘機能の少なくとも一方を備えている。
【選択図】
図1