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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】シート型止水装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20240430BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E06B5/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020183199
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065586
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】504196492
【氏名又は名称】株式会社高橋監理
(72)【発明者】
【氏名】高橋 龍夫
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-089569(JP,A)
【文献】特開平07-173956(JP,A)
【文献】特開2020-159021(JP,A)
【文献】特開平11-002077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/14
E06B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物を洪水等の水害から守るためのシート型止水装置において、
通路の床面に止水シート収納箱を埋め込み、止水シート収納箱の上面に通行用蓋を載置すると共に、前記通路の左右両端に通行用蓋を上方に作動させるためのガイド柱を設置し、
止水シート収納箱の内部を2室に区切り、一方の止水シート補強板収納室に上下連結部材で連結した複数枚の止水シート用補強板を配置し、他方の止水シート収納室にロール巻きした止水シートを収納すると共に止水シートの下縁を止水状態に支持し、
前記通行用蓋の下面に、前記ロール巻きした止水シート巻芯と、前記上下連結部材で連結した最上部の止水シート用補強板を連結部材で取り付け、
地中に止水シート用浮力体収納槽を埋設し、止水シート用浮力体収納槽の内部に洪水等の水で浮き上がる止水シート用浮力体を設置し、止水シート用浮力体と前記通行用蓋を複数の滑車を介してロープ等で結合し、止水シート用浮力体が洪水等の水の力で浮き上がることにより通行用蓋に取り付けた止水シートと止水シート用補強板が上昇し通路を閉鎖するように構成したことを特徴とするシート型止水装置。
【請求項3】
ガイド柱は、平板鋼板を折り曲げ概ねコの字形に成形した止水シート押圧装置収納部と概ねZ形に成形した止水シート補強板設置部で形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート型止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台風等の自然災害における洪水等の水害時に建物等への浸水を防止するためのシート型の止水装置に関するものである。
【技術分野】
【背景技術】
【0002】
近年、地球の温暖化や環境変化などにより、以前にも増して短時間あたりの降水量が非常に多くなっており、河川の氾濫による水害の発生が数多く見受けられるようになった。
水害による建物への直接的な被害は、住宅の床下浸水や床上浸水である。
とりわけ床上浸水の場合は、家財道具の損壊に留まらず住宅の流失や崩壊まで発展することもあり甚大な被害が発生した。
【0003】
また、増水した河川の水により下水が逆流してマンホール等から下水が噴き出し建物内部に浸水するという水害も発生している。
【0004】
このような水害から建物を守るため、従来から洪水等の水を堰き止めるためのいろいろな止水装置が提案されている。大別すると、起伏式止水装置、スライド式止水装置、片開き扉式止水装置などが提案されている。
1.起伏式止水装置は、建物の出入口の床下に止水板を収納し、浸水時に水の力により止水板が起き上がり通路を塞ぐことにより洪水等の水を堰き止めるように構成されている。
2.スライド式止水装置は、通路の袖部に止水板を配置し、浸水時に止水板を通路側にスライドさせ通路を止水板で堰き止めるように構成されている。
3.片開き扉式止水装置は、外枠に取り付けた扉に止水パッキンを取り付け、扉のヒンジを中心に扉を回転させることにより通路を扉で堰き止めるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら起伏式止水装置は、止水扉本体を収納するための広いスペースを床下に必要とするため、すでに鉄筋、地中梁等が埋設されている既存の建物の通路の床下に施工するのは難しかった。
スライド式止水装置は、通路の袖部に止水板をスライドさせて収納するための細くて長い収納場所を必要とするため設置場所が限られた。
片開き扉式止水装置は、設置スペースを大きく確保する必要は無いが、耐水性能を高めるため厚く頑丈な金属製扉を必要とするため高価であり、さらに非常時に扉を操作して止水レバー等を閉める作業を伴うため日頃の訓練が必要であった。
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたもので、建物等の出入口近くの通路に設置し、洪水等の水の力によりロール巻きした止水シートの一端を上方向に自動的に上昇させて通路を止水すると共に、止水シートを採用することにより止水装置を小型化し、製造コストの低減が図れるシート型止水装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、建物を洪水等の水害から守るためのシート型止水装置において、通路の床面に止水シート収納箱を埋め込み、止水シート収納箱の上面に通行用蓋を載置すると共に、前記通路の左右両端に通行用蓋を上方に作動させるためのガイド柱を設置し、止水シート収納箱の内部を2室に区切り、一方の止水シート補強板収納室に上下連結部材で連結した複数枚の止水シート用補強板を配置し、他方の止水シート収納室にロール巻きした止水シートを収納すると共に止水シートの下縁を止水状態に支持し、前記通行用蓋の下面に、前記ロール巻きした止水シート巻芯と、前記上下連結部材で連結した最上部の止水シート用補強板を連結部材で取り付け、地中に止水シート用浮力体収納槽を埋設し、止水シート用浮力体収納槽の内部に洪水等の水で浮き上がる止水シート用浮力体を設置し、止水シート用浮力体と前記通行用蓋を複数の滑車を介してロープ等で結合し、止水シート用浮力体が洪水等の水の力で浮き上がることにより通行用蓋に取り付けた止水シートと止水シート用補強板が上昇し通路を閉鎖するように構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構造に加え、前記止水シートを巻き取るための止水シート巻芯にバネを取り付け、ロール巻きした止水シートを上方に引き上げる際、前記止水シートが緩み無く引き上がることができるように構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構造に加え、ガイド柱は、平板鋼板を折り曲げ概ねコの字形に成形した止水シート押圧装置収納部と概ねZ形に成形した止水シート補強板設置部で形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、建物を洪水等の水害から守るためのシート型止水装置において、通路の床面に止水シート収納箱を埋め込み、止水シート収納箱の上面に通行用蓋を載置すると共に、前記通路の左右両端に通行用蓋を上方に作動させるためのガイド柱を設置し、止水シート収納箱の内部を2室に区切り、一方の止水シート補強板収納室に上下連結部材で連結した複数枚の止水シート用補強板を配置し、他方の止水シート収納室にロール巻きした止水シートを収納すると共に止水シートの下縁を止水状態に支持し、前記通行用蓋の下面に、前記ロール巻きした止水シート巻芯と、前記上下連結部材で連結した最上部の止水シート用補強板を連結部材で取り付け、地中に止水シート用浮力体収納槽を埋設し、止水シート用浮力体収納槽の内部に洪水等の水で浮き上がる止水シート用浮力体を設置し、止水シート用浮力体と前記通行用蓋を複数の滑車を介してロープ等で結合し、止水シート用浮力体が洪水等の水の力で浮き上がることにより通行用蓋に取り付けた止水シートと止水シート用補強板が上昇し通路を閉鎖するように構成したことにより、人の力を必要とせず洪水等の水の力で止水シート用浮力材が浮き上がり止水シートが洪水等の水を遮断し、水が通路から建物内に侵入するのを防ぐことが可能になった。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、前記止水シートを巻き取るための止水シート巻芯にバネを取り付け、ロール巻きした止水シートを上方に引き上げる際、前記止水シートが緩み無く引き上がることができるように構成したことにより、簡単な構造で止水シートを緩み無く設置することが可能になった。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、ガイド柱は、平板鋼板を折り曲げ概ねコの字形に成形した止水シート押圧装置収納部と概ねZ形に成形した止水シート補強板設置部で形成したことにより、市販されている安価な平板鋼板を使って高強度のガイド柱を形成することが可能になった。
【実施例
【0017】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1乃至図13には、この発明の実施の形態を示す。
【0019】
図1は、シート型止水装置1を建物出入口の通路に設置した状態を斜視図で示す。シート型止水装置1は通路の床に埋設するための止水シート収納箱27と、前記止水シート収納箱27の上面に載置され、人、自動車等が通路を行き来するための通行用蓋29と、洪水等の水の力により上昇する通行用蓋29を支えるため止水シート収納箱27の両端にガイド柱(A)2、ガイド柱(B)3を固定した状態を斜視図で示す。
【0020】
止水シート収納箱27は、厚さ約2.3mmの平板鋼板を升形状に折り曲げて成形し、内部の概ね中央部分に厚さ約2.3mmの平板鋼板で中仕切鋼板30を設置することによりロール巻きした厚さ約1mmのシート状のウレタン素材で成形した止水シート45(図2で示す)を収納するための止水シート収納室31と、止水シート補強板46(図2で示す)を収納するための止水シート補強板収納室32の2室で形成される。
【0021】
さらに、止水シート収納箱27の両端上面には、厚さ約2.3mmの平板鋼板を折り曲げ概ねコの字形に成形した止水シート押圧装置収納部(A)8、止水シート押圧装置収納部(B)13と概ねZ形に成形した止水シート補強板設置場所(A)10、止水シート補強板設置場所(B)14を一体として形成したガイド柱(A)2、ガイド柱(B)3が溶融接合により取り付けられる。ガイド柱(A)2の形状は図13の平面図で示すように厚さ約2.3mm、巾は洪水等の高さを考慮した長方形の平板鋼板を、先端部から長さ概ね10mmの位置で角度(A)120(角度は270度)折り曲げることにより折曲部(イ)131を成形し、さらに長さ概ね20mmの位置で角度(B)121(角度は270度)折り曲げることにより折曲部(ロ)132を成形し、さらに長さ概ね27mmの位置で角度(C)122(角度は270度)折り曲げることにより折曲部(ハ)133を成形し、さらに長さ概ね22mmの位置で角度(D)123(角度は196度)折り曲げることにより折曲部(二)134を成形し、さらに長さ概ね104mmの位置で角度(E)124(角度は285度)折り曲げることにより折曲部(ホ)135を成形し、さらに長さ概ね10mmの位置で角度(F)125(角度は135度)折り曲げることにより折曲部(ヘ)136を成形し、さらに長さ概ね15mmの位置で角度(G)126(角度は90度)折り曲げることにより折曲部(ト)137を成形し、さらに長さ概ね15mmの位置で角度(H)127(角度は135度)折り曲げることにより折曲部(チ)138を成形し、さらに長さ概ね30mmの位置で角度(I)128(角度は90度)折り曲げることにより折曲部(リ)139を成形し、さらに長さ概ね97mmの位置で角度(J)129(角度は90度)折り曲げることにより折曲部(ヌ)140を成形し、さらに長さ概ね60mmの位置で角度(K)130(角度は90度)折り曲げることにより折曲部(ル)141を成形し、さらに長さ概ね25mmの末端の折曲部(ヲ)142を成形することによりガイド柱2が形成される。なお、ガイド柱(A)2、ガイド柱(B)3は左右対称に同一形状で構成される。
【0022】
さらに、ガイド柱(A)2、ガイド柱(B)3のコの字形に成形した止水シート押圧装置収納部(A)8、止水シート押圧装置収納部(B)13には、洪水等の水の力により引き上げた止水シート45(図2図6図7で示す)とガイド柱(A)2、ガイド柱(B)3との隙間から水が漏れないように止水シート45を緩み無く固定させるため図8図9で示すように止水シート押圧装置(A)5、止水シート押圧装置(B)17が取り付けられる。
【0023】
止水シート押圧装置(A)5は図1図8図9で示すように止水シート45(図2図6図7で示す)をガイド柱(A)2のV形部(A)6に押し付けるため厚さ約2.3mmの平板鋼板の概ね中央部をV字形で縦長に折り曲げ成形したV形押え部(A)76と、前記V形押え部(A)76をV形部(A)6に押し付けるための複数本の押えアーム(A)73と、その複数本の押えアーム(A)73を回動させるための軸(A)74と、さらに軸(A)74を回転させるためのアーム(A)72と重り棒(A)71で構成され、軸(A)74の両端を止水シート押圧装置収納部(A)8の折曲部(ヌ)140(図13で示す)、折曲部(ヲ)142(図13で示す)に回転自在に固定した状態で構成される。なお、止水シート押圧装置(A)5と止水シート押圧装置(B)17は左右対称に同一形状で構成される。
【0024】
図2は、止水シート収納箱27の内部に収納したロール巻きした止水シート45と複数枚を上下に重ねて収納した止水シート用補助板46を明確に表すため、図1で説明したガイド柱(A)2、ガイド柱(B)3、止水シート収納箱27、通行用蓋29、止水シート押圧装置(A)5、止水シート押圧装置(B)17を点線で示すと共に、止水シート収納箱27の内部の止水シート収納室31に収納したロール巻きした止水シート45と、止水シート補強板収納室32の内部に複数枚を上下に重ねて収納した止水シート用補強板46を実線で示す。止水シート巻き芯51に取り付けたバネ(図示せず)の力により止水シート45を弛ませることなく止水シート巻き芯51にロール巻きした止水シート45の止水シート巻芯51を通行用蓋29の下面に取り付けた止水シート吊下げ用フレーム96(図10図11で示す)に回転自在に取り付けると共に、さらに図6図7で示すように通行用蓋29の下面に重ね合せた複数枚の止水シート用補強板46の最上部の止水シート用補強板(A)47を鎖(A)64、鎖(B)65(図6で示す)で取り付け、同様に順を追って止水シート用補強板(A)47の下部に鎖(A)64、鎖(B)65で止水シート用補強板(B)48、止水シート用補強板(C)49、止水シート用補強板(D)50を取り付けることにより通行用蓋29がロープ55により引き上げられる際にシート45と止水シート用補強板46も通行用蓋29と同様に引き上げられる。
【0025】
図3は、通行用蓋29をロープ55で引き上げるための複数の滑車の取り付け位置と、吊金具(A)28に結び付けたロープ55を複数の滑車と吊金具(B)57を経由させることにより通行用蓋29を引き上げる方法について説明する。通行用蓋29の上面の概ね左右中央両端に通行用蓋29を持上げるため四角形の鋼板にロープ55取り付け用の穴を開けた吊金具(A)28、吊金具(B)57を取り付けると共に、吊金具(A)28と、吊金具(B)57の概ね直上のガイド柱(A)2、ガイド柱(B)3の上端に滑車(A)7、滑車(B)16を取り付け、さらに滑車(A)7の概ね直下の止水シート収納箱27の底部に滑車(C)56を取り付けると共に、さらに滑車(B)16の概ね直下の止水シート収納箱27の底部にも滑車(D)58を取り付け、さらに滑車(B)16の概ね直下のガイド柱(B)3の下端外側に滑車(E)59を取り付ける。このように配置した複数の滑車とロープを活用して通行用蓋29を引き上げるため、最初に通行用蓋29の吊金具(A)28の穴(A)34にロープ55の端部を固定し、前記固定したロープ55を滑車(A)7を経由させたのち、次に滑車(C)56を経由させ、さらに滑車(D)58を経由させたのち、つづいて吊金具(B)57の穴(B)61にロープ55を固定し、このように固定したロープ55を、ひきつづき滑車(B)16を経由させ、さらにロープ55を滑車(E)59を経由させた矢印62で示す方向に引っ張ることにより通行用蓋29が概ね水平状態を保ったままで上方に引き上げられる。
【0026】
図4は、図3で説明したロープ55を洪水等の増水した水の力により矢印62で示す方向に引っ張るため、止水シート用浮力体収納槽87の内部に配置され、洪水等の増水した水の力により浮かび上がるように形成した止水シート浮力体88を示す。止水シート用浮力体収納槽87は直方体をした升形の水槽85の上端部に、洪水等の水を流入させるための複数の水流入口93を開口させると共に中央部に支柱94を挿入するための支柱穴91を開口した蓋92と、さらに止水シート用浮力体収納槽87の内部に配置され、洪水等の水の力により浮かび上がるように発泡スチロール等の浮力材で構成した止水シート用浮力体88と、前記止水シート用浮力体88に取り付けられ上端部にロープ55の端部を結び付けるためのフック89を取り付けた支柱94で構成される。このように構成した止水シート用浮力体収納槽87の蓋92部分を地表面に突き出るように地中に埋設すると共に、支柱94の直下の蓋92の上面に滑車(F)90を取り付け、図5で示すように止水シート浮力体88が洪水等の水の力により浮かび上がることにより支柱94が上昇し、支柱94の上端のフック89に取り付けたロープ55の端部が滑車(F)90を経由してロープ55を矢印62で示す方向に引っ張られることにより通行用蓋29が図6図7で示すように持ち上げられる。
【0027】
図6図7は、図5で説明した通り止水シート用浮力体収納槽87の水流入口93から洪水等の水が流れ込み止水シート用浮力体88が浮かび上がりロープ55が矢印62で示す方向に引っ張られ通行用蓋29が持ち上げられたことにより通行用蓋29に取り付けた止水シート45と止水シート用補強板46が持ち上げられた状態を示す。止水シート45の下端を平板状の止水シート固定板67と中仕切鋼板30(図1で示す)でサンドイッチ状にボルトとナット66で止水状態になるように固定し通行用蓋29を上昇させることにより止水シート巻芯51に取り付けたバネ(図示せず)がロール巻きした止水シート45を緩み無く引き上げると共に、通行用蓋29の下面に鎖64、65で連結して取り付けた4枚の止水シート用補強板(A)47、止水シート用補強板(B)48、止水シート用補強板(C)49、止水シート用補強板(D)50が引き上げられた状態を示す。図6では通行用蓋29を概ね上下中間部まで引き上げた状態を示すと共に、図7では通行用蓋29を最上部まで引き上げた状態を示す。
【0028】
図8図9は、止水シート押圧装置(A)5、止水シート押圧装置(B)17について説明する。図8は、平時における止水シート押圧装置(A)5と止水シート押圧装置(B)17の状態を示す。止水シート押圧装置(A)5は図1で説明した止水シート押圧装置収納部(A)8の袖部(AA)11に成形したV形部(A)6の形状に合致するように平板鋼板の一部をV形押え部(A)76に成形し両端をコの字形に成形した縦長の押え板(A)75と、前記押え板(A)75のV形押え部(A)76に回動自在に取り付けた複数本の押えアーム(A)73と、押えアーム(A)73を固定するため図1で説明した止水シート押圧装置収納部(A)8の袖部(A)12に成形した折曲部(ヌ)140、折曲部(ヲ)142(図13で示す)に開けた穴に取り付けた軸(A)74と、軸(A)74を回転させるためのアーム(A)72とアーム(A)72を回動させるための重り棒(A)71で構成され、このように構成された止水シート押圧装置(A)5の重り棒(A)71を下方に押し下げることにより、図9で示すように押え板(A)75に成形したV形押え部(A)76が止水シート45を図1で説明したV形部(A)6に押し付け、止水シート45が押え板(A)75とV形部(A)6で密着されることにより洪水等の漏水を防ぐことが可能になった。なお、止水シート押圧装置(B)17についても止水シート押圧装置(A)5と同様に左右対称に同一形状で構成することにより止水シート45からの漏水を防ぐことが可能になった。
【0029】
図10は、図1で説明したシート型止水装置1の平時における状態を断面図で示す。止水シート45がロール巻きした状態で止水シート収納箱27の内部の止水シート収納室31(図1で示す)に収納されると共に、4枚の止水シート用補強板(A)47、止水シート用補強板(B)48、止水シート用補強板(C)49、止水シート用補強板(D)50が重なった状態で止水シート収納箱27の内部の止水シート用補強板収納室32(図1で示す)に収納された状態を示す。
【0030】
図11は、図10で説明した通行用蓋29が洪水等の水の力で持ち上げられた状態を示す。通行用蓋29の下面に固定した止水シート吊下げ用フレーム96に回転自在に保持された止水シート45が引き上げられ、止水シート45が図9で説明した止水シート押圧装置(B)17によりV形部(B)15(図1で示す)に押し付けられることにより洪水等の水の侵入を防ぐと共に、図7で説明した通行用蓋29に鎖(A)64、鎖(B)65で吊り下げられた4枚の止水シート用補強板(A)47、止水シート用補強板(B)48、止水シート用補強板(C)49、止水シート用補強板(D)50が引き上げられ、図11aで示すように止水シート用補強板46のL字形に成形した止水シート押え面110が止水シート45を押えることにより、止水シート45が洪水等の水の力により押された場合においても大きく変形するのを防ぐことが可能になった。
【0031】
図12は、止水シート押圧装置(A)8の作動前の状態と、作動後の状態を平面図で示す。図12aは、図10で説明した通行用蓋29が引き上げられない平時の状態を示す。図12bでは、図11で説明したように通行用蓋29が引き上げられ、止水シート45が止水シート押圧装置(A)5に成形したV形押え部(A)76によりV形部(A)6に押し付けられた状態を示す。さらに図12bでは、図11で説明した止水シート用補強板46に成形した折り曲げた止水シート押え面110が止水シート45を押えると共に、止水シート用補強板46に成形した折り曲げた補強部111が図13で示すガイド柱(A)2の折曲部131に当接して止水シート用補強板46を支えることにより洪水等の水の力により押された防水シート45を大きく撓み、変形させることなく安定した状態で支えることが可能になった。
【0032】
以上、実施の形態に基づいて、本発明に係るシート型止水装置について詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施の形態に係る、シート型止水装置を斜視図で示す。
図2】同実施の形態に係る、図1で示したシート型止水装置を点線で示すと共に、止水シート収納箱に設置した止水シートと止水シート補強版を実線で示す。
図3】同実施の形態に係る、図1で示したシート型止水装置の通行用蓋を持上げるためのロープを取り付けた状態を斜視図で示す。
図4】同実施の形態に係る、図3で示したシート型止水装置の通行用蓋を持上げるためのロープと、洪水等の水の力で引っ張るための止水シート用浮力体収納槽を斜視図で示す。
図5】同実施の形態に係る、図4で示した止水シート用浮力体収納槽の内部の止水シート用浮力体が洪水等の水の力により浮かび上がった状態を斜視図で示す。
図6】同実施の形態に係る、図1で示したシート型止水装置の通行用蓋を概ね中間位置まで持上げた状態を斜視図で示す。
図7】同実施の形態に係る、図6で示した通行用蓋を上端まで持ち上げた状態を斜視図で示す。
図8】同実施の形態に係る、図1で示したシート型止水装置を点線で示すと共に、止水シート押圧装置を作動させる前の状態を実線で示す。
図9】同実施の形態に係る、図8で示した止水シート押圧装置を作動させた状態を斜視図で示す。
図10】同実施の形態に係る、図1図2で示したガイド柱を側面図で示すと共に、止水シート収納箱にロール巻きした止水シートと重ね合わせた止水シート補強板を設置した状態を断面図で示す。
図11】同実施の形態に係る、図10で示したロール巻きした止水シートと重ね合せ合わせた止水シート補強板を、通行用蓋を持上げることにより引き上げた状態を断面図で示す。
図12】同実施の形態に係る、止水シート押圧装置の作動前の状態と、作動後の状態を平面図で示す。
図13】同実施の形態に係る、図1で示したガイド柱の内の一方のガイド柱を平面図で示す。
【符号の説明】
【0034】
1 シート型止水装置
2 ガイド柱(A)
3 ガイド柱(B)
4 胴体部(A)
5 止水シート押圧装置(A)
6 V形部(A)
7 滑車(A)
8 止水シート押圧装置収納部(A)
10 止水シート補強板設置部(A)
11 袖部(AA)
12 袖部(A)
13 止水シート押圧装置収納部(B)
14 止水シート補強板設置部(B)
15 V形部(B)
16 滑車(B)
17 止水シート押圧装置(B)
20 袖部(B)
21 胴体部(B)
22 アーム(B)
23 重り棒(B)
24 アーム取付穴(A)
25 ボルトとナット
26 ボルトとナット
27 止水シート収納箱
28 吊金具(A)
29 通行用蓋
30 中仕切鋼板
31 止水シート収納室
32 止水シート補強板収納室
33 地表面(A)
34 穴(A)
45 止水シート
46 止水シート用補強板
47 止水シート用補強板(A)
48 止水シート用補強板(B)
49 止水シート用補強板(C)
50 止水シート用補強板(D)
51 止水シート巻芯
55 ロープ
56 滑車(C)
57 吊金具(B)
58 滑車(D)
59 滑車(E)
60 アーム取付穴(B)
61 穴(B)
62 矢印
64 鎖(A)
65 鎖(B)
66 ボルトとナット
67 止水シート固定板
71 重り棒(A)
72 アーム(A)
73 押えアーム(A)
74 軸(A)
75 押え板(A)
76 V形押え部(A)
77 V形押え部(B)
78 押えアーム(B)
79 軸(B)
80 押え板(B)
81 ボルトとナット
86 地表面(B)
87 止水シート用浮力体収納槽
88 止水シート用浮力体
89 フック
90 滑車(F)
91 支柱穴
92 蓋
93 水流入口
94 支柱
95 洪水
96 止水シート吊下げ用フレーム
110 止水シート押え面
111 補強部
120 角度(A)
121 角度(B)
122 角度(C)
123 角度(D)
124 角度(E)
125 角度(F)
126 角度(G)
127 角度(H)
128 角度(I)
129 角度(J)
130 角度(K)
131 折曲部(イ)
132 折曲部(ロ)
133 折曲部(ハ)
134 折曲部(二)
135 折曲部(ホ)
136 折曲部(ヘ)
137 折曲部(ト)
138 折曲部(チ)
139 折曲部(リ)
140 折曲部(ヌ)
141 折曲部(ル)
142 折曲部(ヲ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13