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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】水産イミテーション食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/00 20160101AFI20240430BHJP
   A23L 5/44 20160101ALI20240430BHJP
   A23L 29/212 20160101ALI20240430BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20240430BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240430BHJP
【FI】
A23L17/00 Z
A23L5/44
A23L29/212
A23L29/00
A23L5/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023116435
(22)【出願日】2023-07-18
【審査請求日】2023-07-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592205919
【氏名又は名称】福一漁業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(74)【代理人】
【識別番号】100174849
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 理生
(72)【発明者】
【氏名】近藤 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】近藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】小林 明人
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-078391(JP,A)
【文献】特開2021-078395(JP,A)
【文献】国際公開第2022/087750(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食物繊維を含む水産イミテーション食品の製造方法であって、
水に食物繊維と前記食物繊維以外の第1の増粘剤とを混合して、身溶液を調製することと、
前記身溶液の層を形成することと、
二酸化チタンおよび/または炭酸カルシウムと、第2の増粘剤とを含み、前記身溶液と粘度が異なる筋液を調製することと、
前記身溶液の層の上に、前記筋液の層を形成することと、
前記筋液の層の上から刃を入れて、前記刃によって前記筋液の層を通過して前記身溶液の層に切り込みを入れることと、
前記刃を抜いて、前記身溶液の層の切り込みに前記筋液を入れ込むことと、
前記身溶液および前記筋液を固化することと、
を含む、水産イミテーション食品の製造方法。
【請求項2】
前記身溶液は、さらにタピオカ粉末および/またはリコピンと共に混合することにより調製される、請求項1に記載の水産イミテーション食品の製造方法。
【請求項3】
前記身溶液および前記筋液を固化したのち、固化物を凍結することをさらに含む、請求項2に記載の水産イミテーション食品の製造方法。
【請求項4】
前記身溶液は、さらに野菜スープを混合することにより調整される、請求項1~3のいずれか1項に記載の水産イミテーション食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水産イミテーション食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の多様性が声高に叫ばれている今日、食においても、様々な主義および趣向がある。たとえば、肉等を摂取しない菜食主義者が存在するが、一概に菜食主義者と言っても、卵や牛乳等は摂取するベジタリアンだけでなく、動物由来の食品を一切摂取しない、完全菜食主義者(いわゆる、ヴィーガン)も存在する。
【0003】
ヴィーガンであっても、たまには野菜等以外の食物を摂取したいこともある。そのような欲求を満足すべく、たとえば、特許文献1に記載されているような、動物由来の食品に似せているが動物由来の材料を用いていないイミテーション食品が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-159076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イミテーション食品は数多く開発されている。しかし、魚介類等に似せた水産イミテーション食品は、今まで、水産食品に特有の筋を十分に再現できていなかった。そのため、従来の水産イミテーション食品は、摂食者の視覚的な欲求を満たすものではなかった。また、筋を再現するために身の間に筋を組み込むことを試みたものの、生成されたイミテーション食品の筋と身の間で剥がれやすく、流通させるには不十分な品質であった。
【0006】
本発明は、従来よりも再現性よく水産食品の身を再現でき、かつ筋と身が剥がれにくい、水産イミテーション食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、身溶液の層に、身溶液とは粘度の異なる筋液の層を形成し、刃によってこの筋液の層を通過して身溶液の層に切り込みを入れ、刃を抜くことによって筋液を切り込みに入れ込むと、本物の水産食品さながらの筋の入った水産イミテーション食品を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
従って、本発明は、食物繊維を含む水産イミテーション食品の製造方法であって、
水に食物繊維と第1の増粘剤とを混合して、身溶液を調製することと、
前記身溶液の層を形成することと、
二酸化チタンおよび/または炭酸カルシウムと、第2の増粘剤とを含み、前記身溶液と粘度が異なる筋液を調製することと、
前記身溶液の層の上に、前記筋液の層を形成することと、
前記筋液の層の上から刃を入れて、前記刃によって前記筋液の層を通過して前記身溶液の層に切り込みを入れることと、
前記刃を抜いて、前記身溶液の層の切り込みに前記筋液を入れ込むことと、
前記身溶液および前記筋液を固化することと、
を含む、水産イミテーション食品の製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記身溶液は、さらにタピオカ粉末および/またはリコピンと共に混合することにより調製される、上記水産イミテーション食品の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記身溶液および前記筋液を固化したのち、固化物を凍結することをさらに含む、上記水産イミテーション食品の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、身溶液は、さらに野菜成分と共に混合することにより調整される、上記水産イミテーション食品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
身溶液の層に、身溶液とは粘度の異なる筋液の層を形成し、刃によってこの筋液の層を通過して身溶液の層に切り込みを入れ、刃を抜くことによって筋液を切り込みに入れ込むと、本物の水産食品さながらの筋の入った水産イミテーション食品を製造することができる。さらには、身溶液にタピオカとリコピンとを含ませ、身溶液を固化した後に凍結させることにより、マグロの赤身の色味、白濁、および食感も再現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る水産イミテーション食品の製造方法の一例のフロー図。
図2】実施形態に係る水産イミテーション食品の製造方法の一例における切り込みを入れる工程を示す概略図。
図3】実施形態に係る水産イミテーション食品の製造方法の一例で得ることができる水産イミテーション食品の概略断面図。
図4】実施形態に係る水産イミテーション食品の製造方法のさらに一例のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、実施形態に係る水産イミテーション食品の製造方法のいくつかの例を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の水産イミテーション食品の製造方法は、以下に説明する例に限定されるものではない。
【0015】
まず、図1図3を参照しながら、本発明に係る水産イミテーション食品の製造方法の一例を説明する。本発明の水産イミテーション食品は、身溶液と筋溶液をそれぞれ調整し、身溶液の間に筋溶液を入れ込むことによって製造する。
【0016】
<身溶液の調製>
まず、水に食物繊維と第1の増粘剤とを混合して、混合物を得る。この混合物を身溶液と呼ぶ。
【0017】
食物繊維は、たとえば水溶性食物繊維であることができる。本明細書において、水溶性食物繊維は、水溶液中に溶解する食物繊維であり、水溶液中に溶解することによって水溶液の粘度を増大させる性質を有する食物繊維を含む。本発明に使用される水溶性食物繊維は、たとえばグルコマンナン(たとえば、コンニャクイモ)、海藻由来の食物繊維(たとえば、寒天)および化学修飾多糖類(たとえば、加工でんぷん)などであることができるが、特に限定されない。グルコマンナンは、コンニャクイモに存在する多糖類である。グルコマンナンは、たとえばコンニャクイモを乾燥して粉砕し、不純物を分離して、コンニャク粉として得ることができる。コンニャク粉には、グルコマンナンが約75~85質量%程度含まれている。グルコマンナンは、市販の製品を使用することができる。
【0018】
食物繊維の量は、水産イミテーション食品において所望の固さおよび粘度が得られるように調整することができ、たとえば身溶液100質量部に対し、0.3質量部以上10質量部以下の量であることができ、0.5質量部以上7質量部以下の量であることが好ましい。
【0019】
第1の増粘剤は、食品用の増粘剤であれば、限定されない。増粘剤は、たとえばメチルセルロース、ローカストビーンガム、グァーガム、ジェランガム、カルボキシルメチルセルロース、アラビアガム、キサンタンガム、コーンスターチ、カラギナンおよびペクチンであることができる。増粘剤の量は、水産イミテーション食品において所望の固さおよび粘度が得られるように調整することができ、たとえば身溶液100質量部に対し、0.3質量部以上5質量部以下の量であることができ、0.5質量部以上3質量部以下の量であることが好ましい。
【0020】
身溶液の調製の際、タピオカ粉末を添加することもできる。タピオカ粉末は、キャッサバの根茎から製造した澱粉の粉末である。タピオカ粉末は、水産イミテーション食品に含有することにより、水産物の白色を再現することができるだけでなく、他の発色剤と併用することによって、水産物の身の色を再現することができる。本発明のタピオカ粉末を含む水産イミテーション食品は、固化後に凍結することによって白色を発色させることができる。
【0021】
タピオカ粉末の量は、水産イミテーション食品において所望の白さ、固さおよび粘度が得られるように調整することができ、たとえば、身溶液100質量部に対し、1質量部以上10質量部以下の量であることができ、2質量部以上8質量部以下の量であることが好ましい。また、タピオカ粉末は、当該粉末を水などの溶液中に混合して溶液として提供されてもよく、またタピオカ粉末は、溶液中で加熱溶解されて提供されてもよい。
【0022】
また、身溶液の調製の際、タピオカ粉末に加えて、別の発色剤を添加することができる。別の発色剤は、所望の色を発色する発色剤であることができ、たとえばリコピン色素およびパプリカ色素を含むが、限定されない。
【0023】
リコピン色素を添加すると、最終的にマグロの赤身の風合いを再現できる。最終的にマグロの赤身の風合いを再現することができる。リコピン色素は、身溶液100質量部に対し0.01質量部以上3.0質量部以下、たとえば0.05質量部以上0.5質量部以下の量で添加することができる。このような量でリコピン色素を含有することにより、タピオカ粉末による白色とリコピン色素による赤色の効果によって、マグロの赤身の色および質感を再現することができる。
【0024】
リコピン色素は、たとえばトマト色素であることができる。リコピン色素は、その他の成分との混合物として添加してもよい。たとえば、リコピン色素は、グリセリン、食品素材(たとえば、水)、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンおよびリコピン色素としてのトマト色素の混合物として添加することができる。
【0025】
一方、リコピン色素に加え、パプリカ色素をさらに添加すると、水産イミテーション食品においてサーモントラウトの身の風合いを再現することができる。パプリカ色素は、所望の身色を再現する量で使用することができ、たとえば身溶液100質量部に対し0.01質量部以上3.0質量部以下、たとえば0.05質量部以上0.5質量部以下の量で添加することができる。このような量でリコピン色素およびパプリカ色素を含有することにより、タピオカ粉末による白色とリコピン色素による赤色とパプリカ色素のオレンジ色の効果によって、サーモントラウトの身の色および質感を再現することができる。さらに、混合液に、二酸化チタンを添加すると、水産イミテーション食品におけるサーモントラウトの身の風合いをより再現することができる。
【0026】
パプリカ色素は、たとえばトウガラシ色素であってもよい。パプリカ色素は、その他の成分との混合物として添加してもよい。たとえば、パプリカ色素は、食品素材(たとえば、水)、ミックストコフェロールおよびパプリカ色素としてのトウガラシ色素の混合物として添加することができる。
【0027】
身溶液は、水産イミテーション食品に目的の風味を与えるために、任意の添加剤をさらに含むことができる。特に、野菜成分を添加することにより、食感は水産食品を模しながら、野菜スープの味によって水産イミテーション食品の味をよくすることができる。本発明者らは、驚くべきことに、魚とは異なる野菜成分を添加することによって水産イミテーション食品の風味を改善できることを見出した。
【0028】
野菜成分は、液体状でもよいし、顆粒状でもよい。液状、すなわち野菜スープの場合、ブイヨンのような動物由来の物でもよいが、ヴィーガン用に動物由来のものを含まないものでもよい。
【0029】
野菜スープは、たとえば水、醤油、砂糖、食塩、発酵調味料、野菜(玉ねぎ、セロリ、人参等)、および酵母エキスを含むことができるが、成分は特に限定されない。
【0030】
身溶液は、他の成分を含むこともできる。身溶液は、たとえば保存安定性を高めるために、ヒドロキシプロピル澱粉を含むこともできる。身溶液は、固結防止成分として、たとえば塩化カリウムを含むこともできる。固結防止剤は、粉末製剤を保管する際に必要であり、原材料に混合されていている。本発明の水産イミテーション食品を製造するための原料に固結防止剤を含んでいてもよく、したがって水産イミテーション食品に固結防止剤が含まれていてもよい。また、身溶液は、水産イミテーション食品にモチモチ感と歯ごたえを与えるため、ブドウ糖およびデキストリンなどを添加することもできる。また、身溶液は、所望の色を再現するためのさらなる成分を含むことができる。
【0031】
<身溶液の混合>
身溶液は、任意の手順で製造することができる。簡単には、水に食物繊維と第1の増粘剤とを混合することによって製造することができる。また、タピオカ粉末およびリコピンなどのその他の成分を一緒に混合することによって、身溶液を得てもよい。
【0032】
混合するための容器は、特に限定されない。たとえば、温度調節可能な電気釜などの釜を用いることで、混合およびその後の加熱を同じ容器で行うことができる。
【0033】
身溶液を調整する際に、食物繊維を増粘剤および水と混合して得られた第1の混合液と、タピオカ粉末を増粘剤および水と混同して得られた第2の混合液とを混合することによって混合液を製造してもよい。
【0034】
また、身溶液を調整する際に、任意の温度で各成分を混合することができる。しかし、単に材料を水中で混合するだけでは、十分に材料が溶解されずにダマが生じてしまう。材料のダマが生じるのを防ぐために、混合する温度を1℃以上30℃以下とすることができる。または、材料のダマが生じるのを防ぐために、高速攪拌機によって原材料を水中で攪拌しながら混合液を製造してもよい。また、身溶液を調整する際に、混合後に加熱することが好ましい。加熱は、混合した身溶液の成分が溶解する温度、たとえば85℃以上100℃以下の温度になるように行うことが好ましい。身溶液の加熱を行うことにより、模したい水産食品の色合いをより近く再現できる。加熱混合することが好ましい。加熱混合する温度は、60℃以上であることが好ましく、75℃以上100℃以下であることがより好ましい。
【0035】
身溶液は、食物繊維、タピオカ粉末、増粘剤および発色剤の各原材料の融点以上に加熱してもよい。身溶液が各原材料の融点以上に加熱されていないと、後の工程において水産イミテーション食品を凍結解凍したときに離水が生じてしまう。したがって、本発明の水産イミテーション食品の製造方法は、身溶液を調整したあとに、当該身溶液を加熱することをさらに含んでいてもよい。
【0036】
タピオカ粉末とは別の発色剤を添加した場合、発色剤を加熱後に混合すると思い通りの色にならない。したがって、タピオカ粉末とは別の発色剤を添加する場合、他の材料と発色剤を共に混合して得られた身溶液を加熱することが好ましい。加熱をするときは、身溶液の温度が85℃~100℃間であるように加熱することが好ましい。タピオカ粉末、リコピン色素およびパプリカ色素などの発色剤は、身溶液中において加熱することにより、発色を良くすることができ、模したい水産食品の色合いをより再現することができる。
【0037】
加熱後の身溶液は、流動性をもつ粘度を有する。身溶液は、温度によりその粘度が変化する。身溶液は、加熱により各成分が溶解していることにより、温度が高いほど粘度が低い。身溶液の粘度は、たとえば溶液温度が60℃~100℃であるときに、10dPa・s~500dPa・s、たとえば50dPa・s~200dPa・s、たとえば60dPa・s以上150dPa・sであることができる。また、身溶液の粘度は、たとえば溶液温度が70℃~85℃であるときに、10dPa・s~500dPa・s、たとえば50dPa・s~200dPa・s、たとえば60dPa・s~150dPa・sであることができる。
【0038】
[身溶液の層の形成]
次に、身溶液の層を形成する。身溶液の層は、任意の手段によって形成することができ、たとえば単に容器内に身溶液を注ぐことによって形成することができる。たとえば、図2(A)に示すように、身溶液を型100に流し込むことによって身溶液の層1を形成することができる。上記のとおり、身溶液は、加熱後の温度により粘度が変化する。したがって、身溶液を容器に注ぐことができる粘度であれば、容易に身溶液の層1を形成することができる。また、一旦固化した身溶液を容器内において再度加熱することによって身溶液の層1を形成してもよい。
【0039】
[筋液の調製]
身溶液とは別に、筋液を調製する。筋液は、二酸化チタンおよび/または炭酸カルシウムと、第2の増粘剤とを混合することによって調製することができる。たとえば、水にこれらを混合することによって調製することができる。
【0040】
筋液は、二酸化チタンおよび/または炭酸カルシウムは、筋液100質量部に対し、0.2質量部以上5質量部以下の量とすることができ、好ましくは0.2質量部以上1質量部以下の量とすることができる。
【0041】
第2の増粘剤としては、第1の増粘剤の例として挙げたものを使用することができる。ただし、第2の増粘剤は、身溶液の粘度と筋液の粘度が異なるように調整する。たとえば、第2の増粘剤の量は、筋液100質量部に対し、0.05質量部以上1質量部以下の量とすることが好ましく、0.1質量部以上0.5質量部以下の量とすることがより好ましい。身溶液の粘度と筋溶液の粘度が異なることにより、身溶液の切り込みに筋溶液を入れ込んだ時に、身溶液と筋溶液が混合されることがない。
【0042】
筋液には、食品素材を含ませることもできる。また、エタノールなどのさらなる任意の成分を添加してもよい。
【0043】
また、筋液を調整する際に、任意の温度で各成分を混合することができる。しかし、単に材料を水中で混合するだけでは、十分に材料が溶解されずにダマが生じてしまう。材料のダマが生じるのを防ぐために、混合する温度を1℃以上30℃以下とすることができる。または、材料のダマが生じるのを防ぐために、高速攪拌機によって原材料を水中で攪拌しながら混合液を製造してもよい。また、筋液を調整する際に、混合後に加熱することが好ましい。加熱は、混合した筋液の成分が溶解する温度、たとえば85℃以上100℃以下の温度になるように行うことが好ましい。筋液の加熱を行うことにより、模したい水産食品の色合いをより近く再現できる。加熱混合することが好ましい。加熱混合する温度は、60℃以上であることが好ましく、75℃以上100℃以下であることがより好ましい。
【0044】
筋液は、身溶液とは異なる粘度を有する様に調整する。身溶液と筋液は、第1の増粘剤の成分と第2の増粘剤の成分とを適宜調製することによって互いに粘度の異なる溶液である。また、筋溶液の粘度は、身溶液よりも低い。筋液は、身溶液とは混ざり合わない配合である。したがって、筋液は、身溶液の層に切り込みを入れて身溶液の間に流し込まれたときに、身溶液と混ざり合わずに筋の層となるように配合される。一方、本発明の水産イミテーション食品の製造方法において、筋液の粘度が低いほど身溶液の内部に筋液が入り込みやすい。したがって、筋液の粘度は、身溶液と混合せずに身溶液の間に入り込むと共に、身溶液の間に入り込みやすい低い粘度であることが好ましい。
【0045】
加熱後の筋液は、流動性をもつ粘度を有する。筋液は、温度によりその粘度が変化する。筋液は、加熱により各成分が溶解していることにより、温度が高いほど粘度が低い。筋液の粘度は、たとえば溶液温度が60℃~100℃であるときに、0.01dPa・s~10dPa・s、たとえば0.1dPa・s~0.6dPa・sであることができる。また、身溶液の粘度は、たとえば溶液温度が70℃~85℃であるときに、0.01dPa・s~10dPa・s、たとえば0.1dPa・s~0.6dPa・sであることができる。
【0046】
[筋液の層の形成]
次に、筋液を用いて、図2(B)に示すように、身溶液1の層の上に、筋液2の層を形成する。身溶液1と筋液2とは粘度が互いに異なるため、身溶液1の層と筋液2の層とが混ざり合うことはない。
【0047】
身溶液1の層の厚さに対して、任意の厚さとすることができる。たとえば、筋液2の層の厚さは、0.5mm以上30mm以下であることができる。筋液2の層が厚いほど、イミテーション食品における筋の量を増大することができ、筋液2の層が薄いほど、イミテーション食品における筋の量を減少することができる。
【0048】
身溶液1の層の上に、筋液2の層を形成するときに、身溶液1および筋液2の温度は、身溶液の間に筋液が入り込むことができる粘度を有するように、両者の温度を調整する。身溶液1および筋液2の温度は、たとえば60℃以上100℃以下、たとえば65℃以上90℃以下、たとえば70℃以上85℃以下であることができる。また、身溶液1および筋液2は、各溶液の調整の際に加熱した後、身溶液1の層の上に筋液2の層を形成する前に上記温度を下回らないこと、すなわち60℃以上、たとえば65℃以上、たとえば75℃以上の温度を有することが好ましい。身溶液1および筋液2は、一旦温度が下がってしまうと流動性が低下してしまい、再度の加熱が必要となってしまう。
【0049】
[切り込みを入れる]
次に、図2(C)に示すように、筋液2の層の上から刃3を入れて、刃3によって筋液の層2を通過して身溶液1の層に切り込み(図2(D)の4)を入れる。
【0050】
刃3の形状は、イミテーション食品に形成する筋の形状に合わせて適宜選択することができる。刃3の厚さは、筋の厚みに応じて選択することができる。刃3は、たとえば0.1mm~10mmの厚さ、たとえば1mm~5mmの厚さの刃、たとえばステンレス板であることができる。また、図2に示すように複数の刃3を並べることにより、一度に身溶液に切れ込みを入れて筋液を入れ込むことができる。
【0051】
[切り込みに筋液を入れ込む]
次に、刃3を、身溶液1の層から、図2(D)に白抜きの矢印の方向に引き抜く。身溶液1と筋液2とは粘度が異なるため、刃3を引き抜くと、身溶液1と筋液2とは混ざり合うことなく、図2(E)に示すように、身溶液1の層に設けられた切り込み4に筋液2が入り込む。このとき身溶液1および筋液2の粘度は、筋液が身溶液内に流れ込むことができる粘度である。たとえば、以下の実施例に示した身溶液および筋液の場合、70℃以上、たとえば80℃以上の温度であれば、身溶液1および筋液2の粘度は、筋液が身溶液内に流れ込むことができる粘度である。
【0052】
なお、図2では複数の切り込み4を同時に形成しているが、切り込み4を一つずつ形成してもよいし、一つずつ形成した切り込み4に一つずつ筋液2を入れ込んでもよい。
【0053】
<固化>
次に、身溶液1および筋液2を固化する。本明細書において、固化するとは、溶液である身溶液を、溶液ではなく、かつ流動性を有していない状態に固化することを含み、たとえばゼリー状に固化したゲルを形成することを含む。
【0054】
固化は、身溶液1および筋液2の成分に応じた方法によって身溶液1および筋液2を固化することによって、たとえば身溶液1および筋液2の粘度を高めること、および流動性をなくすことによって行うことができる。
【0055】
身溶液1および筋液2は、たとえば冷却することによって固化することができる。身溶液1および筋液2は、たとえばエアブラストによるブラストチラーなどの急速冷却器を使用して身溶液1および筋液2を20℃以下に冷却することによって固化することができる。また、身溶液1および筋液2は、身溶液1および筋液2は、0℃~4℃に急速に冷却することによって固化させることができる。ただし、冷却時における安全性、品質および効率を高めるために、急速冷却して固化することが好ましい。あるいは、身溶液1および筋液2は、たとえば食物繊維としてグルコマンナンを用いる場合、灰汁と呼ばれる食用水酸化カルシウムを身溶液1に添加し、混ぜ合わせることによって身溶液1の固化(凝固)を行うことができる。
【0056】
身溶液1および筋液2を固化したあと、固化した身溶液1の上の筋液2の層を削りとって、図2(F)に示すように身溶液1に入れ込まれた筋液2のみを残してもよい。図2(F)に示すように筋液2の層を削りとることにより、図3に示すように身の間にのみ筋が形成された水産イミテーション食品10を得ることができる。水産イミテーション食品10は、身11と身11中に形成された筋12とが密着して一体となって形成される。このような水産イミテーション食品10では、本物の水産食品さながらの筋12が身11に入っている外観を有する。また、身11および筋12が密着していることにより、身11と筋12との間で剥がれてしまうことがなく、かつ食感および見た目が優れたイミテーション食品を製造することができる。
【0057】
<凍結>
身溶液1にタピオカ粉末を含ませた場合、図4に示すように、水産イミテーション食品を凍結することが好ましい。次いで、固化体を凍結する。凍結の温度は特に限定されないが、たとえば0℃以下で行うことができ、-18℃以下の温度、たとえば-20℃~-40℃に冷却することができる。凍結の手段は、特に限定されないが、急速冷凍が好ましい。凍結は、たとえばエアブラストによるブラストチラーまたはブラインによって急速冷凍することができる。また、冷却および凍結の工程は、連続して冷却することによって実施してもよく、0℃以下に直接凍結させてもよい。
【0058】
本発明者らは、タピオカを含んだ上記身溶液を固化することによって得た固化体を凍結することで、固化体にあたかも水産食品のような濁りを付与できることを見出した。また、凍結することにより、イミテーション食品をカットするのが容易となる。本発明の水産イミテーション食品のように固化体に濁りを与えないと、イミテーション食品の透明度が高くなり過ぎ、水産食品には見えないゼリー状の風合いの食品になってしまう。
【0059】
凍結前の固化体は、濁りがないか濁りが少ない風合いである。そのため、水産食品特有の身の濁りを十分に再現できていない。一方、凍結後の水産イミテーション食品は、あたかも水産食品特有の濁りを呈する。
【0060】
つまり、本発明の水産イミテーション食品によれば、水産食品特有の身の濁りを再現することができる。さらには、水産食品の食感も再現できる。さらに、タピオカとは別の発色剤、たとえばリコピン色素やパプリカ色素を混合し、身溶液を加熱したものを用いると、マグロやサーモンなどの赤身を再現することができる。身溶液には様々なものを含ませても良く、風味の増す成分を入れることができる。
【0061】
凍結の後、解凍を行なって、水産イミテーション食品を製造してもよい。あるいは、凍結状態を完成品とし、解凍を行わなくてもよい。
【実施例1】
【0062】
マグロを模した水産イミテーション食品を製造した。
[身溶液の調製]
まず、マグロを模した水産イミテーション食品を製造するために、表1に示す成分の原材料を準備した。表1において、配合量は、kgにて示し、最終的な身溶液における配合比を重量/%として示す。
【0063】
【表1】
【0064】
原材料1に示した成分を、外寸:幅1850mm×奥行1090mm×高さ1160mm、内釜内径:1000mm、内釜深さ:560mm、満水量:約380リットルの釜に入れ、攪拌機で混合した。温度は、30℃以下に管理した。
【0065】
一方で、原材料2に示したコーンスターチおよびタピオカ澱粉の溶液を調製した。4kgの水(最終的な身溶液において4.63重量/%)に、2.4kgのコーンスターチ(最終的な身溶液において2.78重量/%)および1.6kgのタピオカ澱粉(最終的な身溶液において1.85重量/%)を投入し、混合した。混合は、30℃以下で行った。調製した原材料2のコーンスターチおよびタピオカ溶液を、上記原材料1の混合液に投入した。
【0066】
原材料3の野菜スープは、表2に示す配合である。
【0067】
【表2】
【0068】
次に、釜の内容物の加熱を開始した。加熱中に、5kgの野菜スープ(最終的な身溶液の5.79重量/%)を原材料1および原材料2を含む釜に投入した。
【0069】
釜の内容物が85℃を超えた時点で、加熱を停止した。これにより、身溶液を得た。
【0070】
このときの身溶液の粘度を測定した。粘度は、リオン株式会社 ビスコメータVT-06を使用して、手順に従って測定した。身溶液の温度が80℃~85℃のとき、粘度は、70dPa・s~80dPa・sであった。
【0071】
また、Brix計により中心芯温85℃の時点で身溶液のBrix値を溶液の粘度としてを測定した。身溶液の濃度は、15%~18%であった。なお、本明細書において、「Brix値」とは、糖の含有量を測るために糖度として用いられる物理量である。ショ糖1gのみを溶質として含む水溶液100gをBrix屈折計で測定したとき、その示度であるBrix値が1%である。たとえば、100gの溶液中に10gのショ糖が溶解した溶液(水は90g)は、Brix値が10%となる。身溶液は、たとえばBrix値1%~40%、12%~20%または15%~18%であることができる。
【0072】
[筋液の調製]
以下の原料を準備した。
【0073】
【表3】
【0074】
これらの原料を混合し、筋液を調製した。
【0075】
このときの筋溶液の粘度を測定した。粘度は、リオン株式会社 ビスコメータVT-06を使用して、手順に従って測定した。筋液の温度が80℃~85℃のとき、粘度は、0.3dPa・s~0.6dPa・sであり、粘度の低い水に近い溶液であった。
【0076】
[身溶液の層の形成および筋液の層の形成]
80℃~85℃の身溶液を型に入れて、身溶液の層を形成した。次いで、身溶液の層の上に、80℃~85℃の筋液を流し込み、筋液の層を形成した。身溶液1の層の厚さに対して、筋液2の層の厚さを30mmとした。
【0077】
[切り込みの形成]
次に、筋液の層の上から5mmのステンレス板の刃を入れて、刃によって筋液の層を通過して身溶液の層に切り込みを入れた。その後、刃を上方に抜いた。これにより、身溶液の層の切り込みに筋液が入り込んだ。
【0078】
[固化]
この状態で、身溶液および筋液をそれぞれ固化した。ブラストチラーで容器を0℃~4℃に冷却することにより、身溶液および筋液を固化し、固化体を得た。
【0079】
[凍結]
固化体を、-40℃の冷凍庫において急速冷却して身溶液および筋溶液の固化体を凍結した。凍結した固化体から、身溶液の層に入り込んでいない筋液の層を削り取った。
【0080】
[解凍]
凍結した固化体を、袋に入れ、袋の封をした。袋を50℃以下の温水に入れ、0.5時間放置した。これによって解凍を行い、実施例1の水産イミテーション食品を得た。
【0081】
[評価]
上記方法によって製造した水産イミテーション食品の官能検査を行った。評価は、以下の手順で行った。
【0082】
1.官能検査手順の実施
官能検査を実施するパネリストは、製品の検品工程の経験を積み、マグロの肉色、腐敗臭および異臭を判断することができる者である。加えて、官能検査を実施するパネリストは、味の識別テストに合格したものを選出した。
【0083】
パネリストは、細菌検査担当者、鮪加工品および水産イミテーション食品のパネリストを5名選出した。官能検査は、以下の条件にて実施した。
・官能検査は、パネリストが空腹でも満腹でもない時間に行う
・検査試料は、通常喫食するときの温度で検査を行う。
・検査試料は、パネリストが噛み応え・舌触りが感じられる量を用意する。
・官能検査を行ったパネリストは、色・臭い・味を判断して結果を記録する。
・官能検査を行ったパネリストは、食感・離水を含めて判断し、結果を記録する。
・検査前および各製品を喫食する間に、水を含むなど次製品検査への影響を抑える。
【0084】
官能検査における適否の判断は、以下の色、臭い、食感および離水の4項目について実施した。各項目の判断基準は、下記のとおりである。
色:マグロ・サーモン・イカと比較し、同様または近しい色合いを有していること
臭い:腐敗臭・異臭がしないこと
食感:マグロ・サーモン・イカに近しい食感で、イミテーション食品特有の味を有していること
離水:解凍時に明らかな離水が生じないこと。
【0085】
2.官能検査結果
上記の手順により、水産イミテーション食品を10回製造し、検査を実施した。10回の全ての水産イミテーション食品について、5人のパネリストの全てが色、臭い、食感および離水の項目の全てについて適格であると判断した。
【0086】
また、上記方法によって製造した水産イミテーション食品は、筋部分と身の部分が一体となり、筋部分において剥がれることなかった。また、上記方法によって製造した水産イミテーション食品は刺身様の食感を有していた。また、上記方法によって製造した水産イミテーション食品は、タピオカ澱粉による白色およびリコピンによる赤色の発色により、マグロの赤身様の外見を有していた。
【実施例2】
【0087】
サーモンを模した水産イミテーション食品を製造した。
[身溶液の調製]
まず、サーモンを模した水産イミテーション食品を製造するために、表2に示す成分の原材料を準備した。表2において、配合量は、kgにて示し、最終的な身溶液における配合比を重量/%として示す。
【0088】
【表4】
【0089】
原材料1に示した成分を、実施例1で用いたのと同様の外寸:幅1850mm×奥行1090mm×高さ1160mm、内釜内径:1000mm、内釜深さ:560mm、満水量:約380リットルの釜に入れ、攪拌機で混合した。温度は、30℃以下に管理した。
【0090】
一方で、原材料2に示したコーンスターチおよびタピオカ澱粉の溶液を調製した。4kgの水(最終的な身溶液において4.63重量/%)に、2.4kgのコーンスターチ(最終的な身溶液において2.78重量/%)および1.6kgのタピオカ澱粉(最終的な身溶液において1.85重量/%)を投入し、混合した。混合は、30℃以下で行った。調製した原材料2のコーンスターチおよびタピオカ溶液を、上記原材料1の混合液に投入した。
【0091】
原材料3の野菜スープは、上記表2に示す配合である。
【0092】
次に、実施例1と同様に釜の内容物の加熱を開始した。加熱中に、5kgの野菜スープ(最終的な身溶液の5.79重量/%)を原材料1および原材料2を含む釜に投入した。
【0093】
釜の内容物が85℃を超えた時点で、加熱を停止した。これにより、身溶液を得た。
【0094】
このときの身溶液の粘度を測定した。粘度は、リオン株式会社 ビスコメータVT-06を使用して、手順に従って測定した。身溶液の温度が80℃~85℃のとき、粘度は、70dPa・s~80dPa・sであった。
【0095】
また、Brix計により中心芯温85℃の時点で身溶液のBrix値を溶液の粘度としてを測定した。身溶液の濃度は、15%~18%であった。
【0096】
[筋液の調製]
実施例1と同じ手順で筋液を調製した。
【0097】
[身溶液の層の形成および筋液の層の形成]
実施例1と同じ手順で身溶液の層および筋液の層を形成した。
【0098】
[切り込みの形成]
実施例1と同じ手順で切り込みを形成し、身溶液の層の切り込みに筋液が入り込んだ。
【0099】
[固化]
実施例1と同じ手順で固化体を得た。
【0100】
[凍結]
実施例1と同じ手順で固化体を凍結し、凍結した固化体から、身溶液の層に入り込んでいない筋液の層を削り取った。
【0101】
[評価]
実施例1と同様に、実施例2の水産イミテーション食品の評価を行った。
【0102】
官能検査結果
上記の手順により、水産イミテーション食品を10回製造し、検査を実施した。10回の全ての水産イミテーション食品について、5人のパネリストの全てが色、臭い、食感および離水の項目の全てについて適格であると判断した。
【0103】
また、上記方法によって製造した水産イミテーション食品は、筋部分と身の部分が一体となり、筋部分において剥がれることなかった。また、上記方法によって製造した水産イミテーション食品は刺身様の食感を有していた。また、上記方法によって製造した水産イミテーション食品は、タピオカ澱粉による白色、パプリカ色素およびリコピンによる赤色の発色により、サーモンの赤身様の外見を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上に説明した本発明の水産イミテーション食品の製造方法は、身溶液の層に、身溶液とは粘度の異なる筋液の層を形成し、刃によってこの筋液の層を通過して身溶液の層に切り込みを入れ、刃を抜くことによって筋液を切り込みに入れることにより、本物の水産食品さながらの筋の入った水産イミテーション食品を製造できる。
【0105】
また、身溶液にタピオカ粉末、パプリカ色素およびリコピン色素等を含ませ、固化させ、凍結することにより、マグロおよびサーモンの赤身の色味、白濁および食感も再現することができる。
【符号の説明】
【0106】
1…身溶液、2…筋液、3…刃、4…切り込み、10…水産イミテーション食品、11…身、12…筋。
【要約】
【課題】本発明の課題は、従来よりも再現性よく水産食品の身を再現できる、水産イミテーション食品の製造方法を提供することを提供することにある。
【解決手段】本発明の水産イミテーション食品の製造方法を提供する。この製造方法は、食物繊維を含む水産イミテーション食品の製造方法であって、水に食物繊維と第1の増粘剤とを混合して、身溶液を調製することと、前記身溶液の層を形成することと、二酸化チタンおよび/または炭酸カルシウムと、第2の増粘剤とを含み、前記身溶液と粘度が異なる筋液を調製することと、前記身溶液の層の上に、前記筋液の層を形成することと、前記筋液の層の上から刃を入れて、前記刃によって前記筋液の層を通過して前記身溶液の層に切り込みを入れることと、前記刃を抜いて、前記身溶液の層の切り込みに前記筋液を入れ込むことと、前記身溶液および前記筋液を固化することと、を含む、水産イミテーション食品の製造方法である。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4