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特許7479626センサ、及びこのセンサを備える塗装装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】センサ、及びこのセンサを備える塗装装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/32 20180101AFI20240430BHJP
   G01B 11/245 20060101ALI20240430BHJP
   B05B 12/18 20180101ALI20240430BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20240430BHJP
   B05B 12/04 20060101ALI20240430BHJP
   B05B 12/08 20060101ALI20240430BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20240430BHJP
   B05B 13/04 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B05B12/32
G01B11/245 Z
B05B12/18
B05B12/00 A
B05B12/04
B05B12/08
B05B13/02
B05B13/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020078288
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021171719
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 達哉
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 真平
(72)【発明者】
【氏名】柳田 建三
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-114309(JP,A)
【文献】国際公開第2018/169057(WO,A1)
【文献】特開2018-144007(JP,A)
【文献】特開2001-021312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 12/00-13/06
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の三次元形状を特定する三次元形状特定手段と、
前記三次元形状特定手段における前記被測定物に対向する対向面への異物の堆積を防止する異物堆積防止手段と、
を備えており、
前記異物堆積防止手段は、
前記三次元形状特定手段を覆うように設けられ、前記対向面が露出するように開口部が形成されたカバーと、
前記カバーよりも外側において前記開口部を覆うように前記開口部に沿って気体を吐出する第1吐出動作を実行する第1吐出部と、
を有し、
前記第1吐出部の気体の吐出方向は、前記開口部の開口縁と平行な一方向であるセンサ。
【請求項2】
被測定物の三次元形状を特定する三次元形状特定手段と、
前記三次元形状特定手段における前記被測定物に対向する対向面への異物の堆積を防止する異物堆積防止手段と、
を備えており、
前記異物堆積防止手段は、
前記三次元形状特定手段を覆うように設けられ、前記対向面が露出するように開口部が形成されたカバーと、
前記カバーよりも外側から前記対向面に向けて気体を吐出する第2吐出動作を実行する第2吐出部と、を有しているセンサ。
【請求項3】
前記異物堆積防止手段は、前記対向面に向けて気体を吐出する第2吐出動作を実行する第2吐出部を有している請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記異物堆積防止手段は、前記カバーによって覆われた領域内に気体を吐出して、前記開口部から前記カバー外に気体を流出させる第3吐出部を有している請求項は請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のセンサと、
前記被測定物を搬送するコンベアと、
前記被測定物に対して相対移動しながら前記被測定物に塗料を噴出する塗装ガンと、
制御装置と、
を備え、
前記三次元形状特定手段は、前記被測定物の被塗面までの間の距離を計測して前記被測定物の三次元形状を特定し、
前記制御装置は、前記三次元形状特定手段によって計測された前記距離の情報に基づいて、前記被塗面に前記塗料を塗着させる際の塗装条件を設定又は変更し、前記塗装ガンの前記被測定物に対する移動を制御する塗装装置。
【請求項6】
請求項1に記載のセンサと、
前記被測定物を搬送するコンベアと、
前記被測定物に対して相対移動しながら前記被測定物に塗料を噴出する塗装ガンと、
制御装置と、
を備え
記三次元形状特定手段は、前記被測定物の被塗面までの間の距離を計測して前記被測定物の三次元形状を特定し、
前記制御装置は、前記三次元形状特定手段によって計測された前記距離の情報に基づいて、前記被塗面に前記塗料を塗着させる際の塗装条件を設定又は変更し、前記塗装ガンの前記被測定物に対する移動を制御し、
前記第1吐出部は、前記塗装ガンから前記被測定物に向けて前記塗料を噴出する間、前記第1吐出動作を継続する塗装装置。
【請求項7】
前記異物堆積防止手段は、前記対向面に向けて気体を吐出する第2吐出動作を実行する第2吐出部を有し、
前記第2吐出部は、吐出する気体の流量が前記第1吐出部よりも大きい請求項6に記載の塗装装置。
【請求項8】
請求項に記載のセンサと、
前記被測定物を搬送するコンベアと、
前記被測定物に対して相対移動しながら前記被測定物に塗料を噴出する塗装ガンと、
制御装置と、
を備え
記三次元形状特定手段は、前記被測定物の被塗面までの間の距離を計測して前記被測定物の三次元形状を特定し、
前記制御装置は、前記三次元形状特定手段によって計測された前記距離の情報に基づいて、前記被塗面に前記塗料を塗着させる際の塗装条件を設定又は変更し、前記塗装ガンの前記被測定物に対する移動を制御し、
前記第2吐出部は、前記塗装ガンから前記被測定物に向けて前記塗料の噴出をしていないときに、前記第2吐出動作を所定の時間実行する塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ、及びこのセンサを備える塗装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吹き付け対象位置にワークが存在する場合にだけエアブローするエアブローユニットが開示されている。このエアブローユニットには、搬送装置上にワークが存在することを検知するセンサが設けられている。このセンサは、発信部と受信部とを有しており、受信部が発信部からの信号を受信しない間、すなわち、ワークが受信部と発信部との間に位置している間、エアブローすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録3190599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、こうした構成の場合、受信部に埃等の異物が堆積してしまうことによって、ワークが存在していないにもかかわらず、ワークが存在していると誤検知してしまうおそれがある。一方、制御装置によって移動する制御がなされる塗装ガンを用いてコンベアによって搬送される被塗物を塗装する塗装装置において、塗装ガンと被塗物との間の距離をセンサによって計測し、この結果に基づいて塗装ガンの位置を変化させる技術が知られている。特許文献1のものと同様に、この塗装装置に用いられるセンサにおいても、埃等の異物が堆積すると、塗装ガンと被塗物との間の距離を正確に計測できなくなり、塗装ガンの位置を良好に変化させることができなくなるおそれがあり、こうした問題の解決が望まれている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、埃等の異物の影響を受け難いセンサ、及びこのセンサを用いた塗装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のセンサは、
被測定物の三次元形状を特定する三次元形状特定手段と、
前記三次元形状特定手段における前記被測定物に対向する対向面への異物の堆積を防止する異物堆積防止手段と、
を備えている。
【0007】
第2発明の塗装装置は、
第1発明のセンサと、
前記被測定物を搬送するコンベアと、
前記被測定物に対して相対移動しながら前記被測定物に塗料を噴出する塗装ガンと、
制御装置と、
を備え、
前記三次元形状特定手段は、前記被測定物の被塗面までの間の距離を計測して前記被測定物の三次元形状を特定し、
前記制御装置は、前記三次元形状特定手段によって計測された前記距離の情報に基づいて、前記被塗面に前記塗料を塗着させる際の塗装条件を設定又は変更し、前記塗装ガンの前記被測定物に対する移動を制御する。
【0008】
第3発明の塗装装置は、
第1発明のセンサと、
前記被測定物を搬送するコンベアと、
前記被測定物に対して相対移動しながら前記被測定物に塗料を噴出する塗装ガンと、
制御装置と、
を備え、
前記異物堆積防止手段は、前記三次元形状特定手段を覆うように設けられ、前記対向面を露出するように開口部が形成されたカバーと、前記開口部を覆うように前記開口部に沿って気体を吐出する第1吐出動作を実行する第1吐出部と、を有し、
前記三次元形状特定手段は、前記被測定物の被塗面までの間の距離を計測して前記被測定物の三次元形状を特定し、
前記制御装置は、前記三次元形状特定手段によって計測された前記距離の情報に基づいて、前記被塗面に前記塗料を塗着させる際の塗装条件を設定又は変更し、前記塗装ガンの前記被測定物に対する移動を制御し、
前記第1吐出部は、前記塗装ガンから前記被測定物に向けて前記塗料を噴出する間、前記第1吐出動作を継続する。
【0009】
第4発明の塗装装置は、
第1発明のセンサと、
前記被測定物を搬送するコンベアと、
前記被測定物に対して相対移動しながら前記被測定物に塗料を噴出する塗装ガンと、
制御装置と、
を備え、
前記異物堆積防止手段は、前記三次元形状特定手段を覆うように設けられ、前記対向面を露出するように開口部が形成されたカバーと、前記対向面に向けて気体を吐出する第2吐出動作を実行する第2吐出部を有し、
前記三次元形状特定手段は、前記被測定物の被塗面までの間の距離を計測して前記被測定物の三次元形状を特定し、
前記制御装置は、前記三次元形状特定手段によって計測された前記距離の情報に基づいて、前記被塗面に前記塗料を塗着させる際の塗装条件を設定又は変更し、前記塗装ガンの前記被測定物に対する移動を制御し、
前記第2吐出部は、前記塗装ガンから前記被測定物に向けて前記塗料の噴出をしていないときに、前記第2吐出動作を所定の時間実行する。
【発明の効果】
【0010】
第1発明のセンサは、異物堆積防止手段によって三次元形状特定手段の被測定物と対向する対向面への埃等の異物の堆積を防止することができる。これによって、三次元形状特定手段が被測定物までの距離を良好に計測できなくなる事態を防止することができる。
【0011】
第2発明の塗装装置は、異物堆積防止手段によって三次元形状特定手段の被測定物と対向する対向面への埃や塗料等の異物の堆積を防止することができる。これによって、三次元形状特定手段が被測定物までの距離を良好に計測できなくなる事態を防止するとともに、制御装置によって塗装ガンの移動を良好に制御することができる。
【0012】
第3発明の塗装装置は、異物堆積防止手段によって三次元形状特定手段の被測定物と対向する対向面への埃や塗料等の異物の堆積を防止することができる。これによって、三次元形状特定手段が被測定物までの距離を良好に計測できなくなる事態を防止することができる。また、塗装ガンから塗料を噴出する間、第1吐出動作を継続することによって、三次元形状特定手段に異物が堆積することを確実に防止することができる。
【0013】
第4発明の塗装装置は、異物堆積防止手段によって三次元形状特定手段の被測定物と対向する対向面への埃や塗料等の異物の堆積を防止することができる。これによって、三次元形状特定手段が被測定物までの距離を良好に計測できなくなる事態を防止することができる。また、塗装ガンから塗料の噴出をしていないときに第2吐出動作を所定の時間実行することによって、三次元形状特定手段に付着した異物を除去することができる。また、第2吐出動作の実行を所定の時間に限定したので、吐出する気体の量を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本願発明の塗装装置及び三次元形状認識図を左方から見た側面図である。
図2図2は、塗装装置を下流側から見た側面図である。
図3図3は、実施例1のセンサの斜視図である。
図4図4は、実施例1のセンサの平面図である。
図5図5は、実施例1のセンサを右方から見た側面図である。
図6図6は、実施例1の三次元形状特定手段から放射する検知光がなす対象範囲を示す概略平面図である。
図7図7は、三次元形状認識部を下流側から見た概略側面図であって、各三次元形状特定手段によって被塗物の被塗面を計測している状態を示す。
図8図8は、三次元形状認識部、及び制御装置の構成を示すブロック図である。
図9図9は、実施例2のセンサの斜視図である。
図10図10は、実施例2のセンサの平面図である。
図11図11は、実施例2のセンサを下流側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1発明の異物堆積防止手段は、三次元形状特定手段を覆うように設けられ、対向面を露出するように開口部が形成されたカバーと、開口部を覆うように開口部に沿って気体を吐出する第1吐出動作を実行する第1吐出部とを有してもよい。この構成によれば、開口部を覆うように開口部に沿って気体を吐出することによって、開口部からカバー内への埃や塗料等の異物の浸入を防ぎ、これによって、三次元形状特定手段への異物の堆積を防止することができる。
【0016】
第1発明の異物堆積防止手段は、対向面に向けて気体を吐出する第2吐出動作を実行する第2吐出部を有してもよい。この構成によれば、三次元形状特定手段の対向面に付着した埃や塗料等の異物を第2吐出部からの気体の吐出によって除去することができる。
【0017】
第1発明の異物堆積防止手段は、カバーによって覆われた領域内に気体を吐出して、開口部からカバー外に気体を流出させる第3吐出部を有してもよい。この構成によれば、開口部からカバー外へ気体を流出させることによって、開口部からカバー内へ埃や塗料等の異物が浸入することを防ぎ、三次元形状特定手段の対向面への異物の堆積を防止することができる。
【0018】
第3発明の異物堆積防止手段は、対向面に向けて気体を吐出する第2吐出動作を実行する第2吐出部を有し、第2吐出部は、吐出する気体の流量が第1吐出部よりも大きくてよい。この構成によれば、第1吐出部は第2吐出部よりも吐出する気体の流量が小さいため、第2吐出部に比べて吐出する気体の量を節約することができる。第2吐出部は第1吐出部よりも吐出する気体の流量が大きいため、三次元形状特定手段に堆積した埃や塗料等の異物を除去し易い。つまり、互いに気体を吐出する流量、及び気体を噴出する状態が異なる第1吐出部と第2吐出部とを使い分けることによって、吐出する気体の量を抑制しつつ、センサの状態を良好な状態に維持することができる。
【0019】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1から図8を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後の方向については、図1における左方を前方、右方を後方と定義し、上下の方向については、図1にあらわれる向きをそのまま上方、下方と定義し、左右の方向については、図2、7にあらわれる向きをそのまま左方、右方と定義する。なお、塗装ガン13における移動方向については、レシプロケータ14のアーム14Aが上下方向に移動する方向に平行であり、且つコンベア12の左右方向の中心を通る基準線CCを基準にして、被塗物40に向けて塗装ガン13が接近する方向を前進方向Fと定義し、被塗物40から遠ざかる方向を後進方向Rと定義する(図2参照。)。
【0020】
本実施例1の塗装装置10は、図1、2、8に示すように、塗装ブース11と、コンベア12と、塗装ガン13と、レシプロケータ14と、三次元形状認識部20と、制御装置34とを備えている。塗装ブース11は、箱状をなしている。塗装ブース11は、左側部11Aと右側部11Bとが離隔して左右に並んでいる(図2参照。)。左側部11A、及び右側部11Bの各々は、コンベア12の左方と右方とに配置されている(図2参照。)。コンベア12は、塗装ブース11内において、被測定物である被塗物40を所定間隔を空けて吊り下げた状態で後方向(以下、搬送方向Trともいう)へ水平に搬送する。コンベア12が被塗物40を搬送する搬送速度は、例えば、0.1m/minから6m/minである。コンベア12に吊り下げられた被塗物40は、左側部11Aと右側部11Bとの間を搬送方向Trに通過する。
【0021】
塗装ガン13は、塗装ブース11外に設置されたレシプロケータ14のアーム14Aの先端部に取り付けられ、被塗物40の被塗面41に向けて塗料を噴出する。塗装ブース11の左側部11Aの左面には、上下方向に延びてスリット11Cが開口して形成されている(図2参照。)。レシプロケータ14のアーム14Aは、スリット11Cに挿通されている。塗装ガン13は、塗装ブース11内に配置されている(図2参照。)。レシプロケータ14は、塗装ガン13を被塗物40の搬送方向Tr(図1参照)と交差する二次元方向(上下方向、及び前進方向F・後進方向R(図2参照))に移動させる。つまり、塗装ガン13は、被塗物40に対して相対移動しながら被塗物40に塗料を噴出するのである。
【0022】
三次元形状認識部20は、塗装ブース11におけるレシプロケータ14及び塗装ガン13よりも被塗物40の搬送方向Trにおける上流側に配されている(図1参照。)。三次元形状認識部20は、搬送される被塗物40の被塗面41の三次元形状を計測するものである。三次元形状認識部20は、複数のセンサ31を備えている。
【0023】
各センサ31は、図3、4、5に示すように、三次元形状特定手段21と異物堆積防止手段32と、を備えている。三次元形状特定手段21の外形は、円筒状をなした投受光部21Aの一端面に、直方体状をなした基部21Bが連結した形態をなしている。三次元形状特定手段21は、図8に示すように、モータ22と、モータ22によって回転駆動される投受光用ミラー23と、回転位置検出器24と、投光器25と、受光器26と、受光器26に接続された距離演算部27と、を収納した形態とされている。投受光部21Aは、例えば、透明であり所定の色に着色された合成樹脂製である。各三次元形状特定手段21は、所謂、ToF(Time Of Flight)センサである。ToFセンサは、自身から発したレーザ光が対象物に照射され、対称物から反射した反射光が自身に戻るまでに要した時間に基づいて、自身と対象物との距離を計測することができる。各三次元形状特定手段21の仕様は互いに同じである。各三次元形状特定手段21は、こうして被塗物40の被塗面41上の任意の点と自身との距離(すなわち、被塗面41までの距離)を計測することによって、被塗物40の三次元形状を特定する。
【0024】
モータ22の回転中心軸28は投受光部21Aと同軸に配置され、被塗物40の搬送方向Trと平行な方向を向いている(図1参照。)。尚、本実施例では、モータ22の回転中心軸28と三次元形状特定手段21の回転中心軸28を同義で用いる。モータ22の回転数は、例えば、2400rpmである。投受光用ミラー23は、モータ22の回転中心軸28に対して45°の角度で傾いている。回転位置検出器24は、投受光用ミラー23の回転中心軸28周りにおける周方向の位置を検出する。例えば、投受光用ミラー23は、モータ22によって回転中心軸28周りに0.025秒で一回回転する。これにより、各三次元形状特定手段21は、0.025秒毎に被塗物40の被塗面41の三次元形状を計測することができる。ここで、コンベア12の搬送速度が6m/minである場合、コンベア12によって被塗物40が0.025秒で搬送される距離は2.5mmである。したがって、この場合、各三次元形状特定手段21は、横方向に2.5mm毎に被塗面41の三次元形状を計測することができる。ここでいう、横方向とは、コンベア12の搬送方向Trである。
【0025】
投光器25は、検知光DLとして赤外線レーザ光を水平に照射する。投光器25から発せられた検知光DLは、モータ22によって回転する投受光用ミラー23で反射され、三次元形状特定手段21の外部へ向けて回転中心軸28と直交する径方向外方へ放射される。回転中心軸28から10m離れたところでは、投受光用ミラー23で反射した赤外線レーザは、回転中心軸28に直交する方向におよそ160mmに拡がり、回転中心軸28に平行な方向におよそ25mmに拡がる。つまり、投受光用ミラー23で反射した赤外線レーザの放射軌跡は、回転中心軸28から離れるにしたがって回転中心軸28に平行な方向に寸法が拡がる対象範囲29(図6参照)をなす。
【0026】
三次元形状特定手段21から発せられた検知光DLの一部は、直接、被塗物40の被塗面41に照射される。そして、被塗面41から反射した検知光DLは、検知光DLを発した三次元形状特定手段21に入射して、受光器26によって受光される。三次元形状特定手段21の受光器26は、対象範囲29の内の、所定の範囲R内における検知光DLを受光し得る構成とされている。例えば、この所定の範囲Rは、図7に示すように、投受光用ミラー23で反射した赤外線レーザが被塗物40に向けて水平方向に発せられた状態を中央として、赤外線レーザが水平方向に対して上側に35°傾いた角度から下側に35°傾いた角度までの間の範囲である。つまり、所定の範囲Rは、投受光用ミラー23で反射した赤外線レーザが被塗物40に向けて水平方向に発せられた状態を中央として±35°の範囲である。
【0027】
受光器26は、対象範囲29を通り三次元形状特定手段21に入射し、投受光用ミラー23で反射した検知光DLのみを受光する。距離演算部27には、受光器26にて受光した検知光DLの位相情報と、回転位置検出器24からの投受光用ミラー23の回転位置情報とが入力される。投受光用ミラー23の回転位置情報は、対象範囲29における赤外線レーザ(検知光DL)の放射角度の情報として処理される。
【0028】
距離演算部27では、入力された情報に基づいて演算が行われ、検知光DLの対象範囲29における被塗面41(被塗物40)の三次元形状のデータが得られる。距離演算部27には、速度センサ30から、コンベア12の搬送速度(三次元形状特定手段21に対する被塗物40の相対変位速度)に応じて所定の周期毎にハイレベルとローレベルの信号が交互に入力される。例えば、速度センサ30は、コンベア12が10mm移動する毎にハイレベルと、ローレベルの2つの信号を1回ずつ交互に出力する構成とされている。
【0029】
距離演算部27は、こうして得られた三次元形状のデータと、速度センサ30から入力される信号とを対応付けることによって、被塗物40の被塗面41の横方向における所定の間隔毎の三次元形状のデータを順に生成する。投光器25から検知光DLを発しているにもかかわらず、受光器26が検知光DLを受光しない場合、距離演算部27は、受光していないことを示す値(例えば、65533)を出力する。
【0030】
異物堆積防止手段32は、図3、4、5に示すように、カバー33、第1吐出部35、及び第2吐出部36を有している。カバー33は、直方体状をなし、互いに反対に位置する二つの面に相当する部分が開口して、第1開口部33A、及び第2開口部33Bとして形成されている。三次元形状特定手段21は、円筒状をなした投受光部21Aの軸心がカバー33の第1開口部33A、及び第2開口部33Bに平行になるようにカバー33に収納されている。第1開口部33Aは、被塗物40に対向するように配置される(図7参照。)。投受光部21Aの外周面において、第1開口部33A側に位置する面は、被塗物40に対向する対向面Cである。つまり、カバー33は、三次元形状特定手段21を覆うように設けられ、対向面Cを露出するように第1開口部33Aが形成されているのである。
【0031】
第1吐出部35は、厚みを有した多角形状をなし、空気が流入する流入部35Aと、流入した空気を吐出する吐出口35Bと、を有している。第1吐出部35は、中空である。流入部35Aは、円筒状をなしている。流入部35Aの一端面は、多角形状をなす第1吐出部35の側面のうちの一つに連結されている。第1吐出部35の内部空間は、流入部35Aに連通している。流入部35Aには、円筒状をなした第1継手35Cが連結されている。第1継手35Cには、エアコンプレッサ等のエア供給源(図示せず)からホース等を介して空気が供給される。第1吐出部35の内部空間には、第1継手35Cを介してエア供給源からの空気が流入する。第1継手35Cに空気を供給する経路には、第1開閉弁35Dが設けられている。
【0032】
吐出口35Bは、多角形状をなす第1吐出部35において、流入部35Aが連結された側面と直交する面に複数開口して形成されている。吐出口35Bは、流入部35Aが連結された側面に対して反対に位置する側面に沿うように一列に並んでいる。第1吐出部35の内部空間は、吐出口35Bを介して外部に連通している。吐出口35Bは、吐出口35Bが形成された面に直交する方向(以下、吐出方向Vともいう)に帯状をなすように空気を吐出する(図3参照。)。
【0033】
第1吐出部35は、流入部35Aが連結された側面に対して反対に位置する側面をカバー33の第1開口部33Aに沿うように配置している。第1吐出部35の吐出口35Bが形成された面は、投受光部21Aと基部21Bとが連結する境界に沿うように配置されている。吐出口35Bは、カバー33の第1開口部33Aにおける、投受光部21Aが配置される方に向いている。第1吐出部35は、カバー33に連結されている。
【0034】
吐出口35Bから吐出された空気は、投受光部21Aが位置する第1開口部33Aを覆うように第1開口部33Aに沿って流れる(図3参照。)。つまり、第1吐出部35は、第1開口部33Aを覆うエアカーテンを形成するのである。第1吐出部35によって実行されるこの動作は、第1吐出動作である。
【0035】
第2吐出部36は、例えば、筒状をなし、一端に空気が流入する流入部36Aが設けられ、他端に流入した空気を吐出する吐出口36Bが設けられている。第2吐出部36の吐出口36Bから吐出された空気は、例えば、円錐状に拡がるように吐出される(図4参照。)。流入部36Aには、円筒状をなした第2継手36Cが連結されている。第2継手36Cには、エアコンプレッサ等のエア供給源からホース等を介して空気が供給される。第2継手36Cに空気を供給する経路には、第2開閉弁36Dが設けられている。
【0036】
第2吐出部36の吐出口36Bは、吐出した空気が第1開口部33Aから投受光部21Aの外周面における対向面Cにかかる向きにされている。第2吐出部36は、カバー33の第1開口部33Aを正面から見た際に、投受光部21Aに重ならないように配置されている(図5参照。)。第2吐出部36は、カバー33に連結されている。第2吐出部36の吐出口36Bから吐出される空気の流量は、第1吐出部35の吐出口35Bから吐出される空気の流量よりも大きい。吐出口36Bから吐出された空気は、対向面Cに向けて吐出される(図4参照。)。第2吐出部36によって実行されるこの動作は、第2吐出動作である。センサ31は、このように構成されている。
【0037】
各センサ31は、図7に示すように、上下方向に直列に配置されている。具体的には、各センサ31の回転中心軸28は、互いに平行にされている。上下方向に隣合うセンサ31の回転中心軸28の間の寸法は同じにされている。各センサ31は、第1吐出部35、及び第2吐出部36が、三次元形状特定手段21よりも後方(すなわち、三次元形状特定手段21から見て被塗物40が配置される方)に配置されている。
【0038】
制御装置34は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)などのメモリ、A/D変換器等を有した構成とされている。制御装置34は、距離演算部27において生成された三次元形状のデータ(すなわち、三次元形状特定手段21によって計測された被塗物40の被塗面41までの距離の情報)に基づいて、コンベア12、レシプロケータ14、及び塗装ガン13等の動作を制御して、被塗面41に塗料を塗着させる際の塗装条件を設定又は変更し、塗装ガン13の被塗物40に対する移動を制御し得る構成とされている。さらに、制御装置34は、第1継手35Cに空気を供給する経路に設けられた第1開閉弁35D、及び第2継手36Cに空気を供給する経路に設けられた第2開閉弁36Dの開閉の制御を実行し得る構成とされている。
【0039】
次に、塗装装置10が被塗物40の外面のうち三次元形状特定手段21と対向する表面側の被塗面41の形状を計測する手順について説明する。
【0040】
図1、2、7に示すように、被塗物40は、全体として板面を上下方向に向けた板状をなす。被塗物40の被塗面41の上端縁部には、左方へリブ状に突出する上部突起42が形成され、被塗面41の高さ方向中央部には、左方へリブ状に突出する中央部突起43が形成され、被塗面41の下端縁部には、左方へリブ状に突出する下部突起44が形成されている。
【0041】
上に位置する三次元形状特定手段21(以下、上の三次元形状特定手段21ともいう)は、上部突起42よりも僅かに上方の位置に配置されている。上下中央に位置する三次元形状特定手段21(以下、中央の三次元形状特定手段21ともいう)は、中央部突起43よりも僅かに下方の位置に配置されている。下に位置する三次元形状特定手段21(以下、下の三次元形状特定手段21ともいう)は、下部突起44よりも僅かに下方の位置に配置されている。
【0042】
例えば、図7における点Aは、中央の三次元形状特定手段21が測定し得る範囲に位置している。点Aと回転中心軸28との間における上下方向の距離H、及び塗装ガン13が前進及び後進する方向の距離Lは、H=a×sinθ、L=a×cosθとして求めることができる。つまり、被塗面41上の上下方向における任意の点と、回転中心軸28との間における上下方向の距離H、及び塗装ガン13が前進及び後進する方向の距離Lは三次元形状特定手段21によって計測された距離aに基づいて求めることができる。各三次元形状特定手段21は、被塗面41を上下方向に所定の距離毎(例えば、1cm毎)に自身からの距離aを測定する。三次元形状認識部20は、例えば、被塗面41の上下方向に1cm毎に、自身からの距離aを測定することができる。
【0043】
三次元形状認識部20は、被塗物40における横方向(コンベア12の搬送方向Tr)においても、所定の距離毎(例えば、1cm毎)に三次元形状を測定する。被塗物40はコンベア12によって所定の搬送速度で搬送されている。このため、被塗物40における横方向の三次元形状の測定は、被塗物40が所定の距離搬送された毎に上記した上下方向における三次元形状の測定を三次元形状認識部20によって行うのである。
【0044】
例えば、コンベア12の搬送速度が6m/minである場合、コンベア12によって被塗物40が1cm移動するために要する時間は0.1秒である。これに対して、三次元形状認識部20は、0.1秒間に4回三次元形状を計測することができる。制御装置34は、三次元形状認識部20によって連続して繰り返し計測した三次元形状のデータの4回分の平均値を演算し、このデータを被塗物40における横方向の所定の位置における三次元形状のデータとして記憶する。こうして、制御装置34は、被塗物40が搬送方向Trに1cm搬送される毎に、上下方向における三次元形状の測定を三次元形状認識部20によって実行して得られたデータを連続して記憶することによって、被塗物40における被塗面41の上下方向及び横方向の三次元形状のデータを生成するのである。
【0045】
塗装を行う際には、コンベア12を作動させ、コンベア12に被塗物40を適宜配置して吊り下げて被塗物40を塗装ブース11へ搬送する。このとき、制御装置34は、第1継手35Cに空気を供給する経路に設けられた第1開閉弁35Dを開状態にする。これによって、流入部35Aを介して第1吐出部35への空気の流入が開始する。これとともに、吐出口35Bからの空気の吐出が開始される。吐出口35Bから吐出された空気は、帯状をなして、カバー33の第1開口部33Aにおいて、投受光部21Aが配置された側を覆うエアカーテンを形成して流れる。こうして第1吐出部35は、第1吐出動作を開始する。これによって、カバー33の第1開口部33Aからカバー33の内部に埃や塗料等が入り込み、三次元形状特定手段21における被塗物40に対向する対向面Cへの埃や塗料等の異物の堆積を防止することができる。このとき、第2継手36Cに空気を供給する経路に設けられた第2開閉弁36Dは閉状態にされる。
【0046】
このとき、三次元形状認識部20は、被塗物40が2.5mm搬送される毎に、三次元形状を計測して制御装置34に三次元形状のデータを出力する。制御装置34は、三次元形状認識部20によって連続して計測した三次元形状のデータの4回分の平均値を演算し、このデータを被塗物40における横方向における所定の位置の三次元形状のデータとして記憶する。
【0047】
ここで、三次元形状認識部20と、レシプロケータ14の塗装ガン13との間の搬送方向Trにおける距離は、所定の値に設定されている。コンベア12の搬送速度も所定の値に設定されている。したがって、被塗物40における任意の点が、三次元形状認識部20に対向する位置から塗装ガン13に対向する位置に到達するまでの時間Tは、三次元形状認識部20と塗装ガン13との間の搬送方向Trにおける距離を、コンベア12の搬送速度によって除することによって求めることができる。つまり、制御装置34は、現在測定した被塗物40の三次元形状のデータを記憶しておき、時間Tが経過した後、記憶したデータに基づいて、制御装置34から塗装用制御信号を出力する。
【0048】
そして、この塗装用制御信号によって、図2に実線及び想像線で示すように、レシプロケータ14が被塗面41の三次元形状に合わせて塗装ガン13を適正に移動させるとともに、塗装ガン13が適正な塗料噴出を行う。制御装置34は、搬送される被塗物40に合わせて、現在塗装ガン13に対向する位置に対応した三次元形状のデータに基づいて塗装用制御信号の出力を行う。これによって、塗装装置10は、被塗物40の被塗面41に満遍なく塗料を塗着させることができる。
【0049】
塗装を終了する際には、コンベア12の動作を停止させ、被塗物40の塗装ブース11への搬送を停止する。このとき、制御装置34は、第1継手35Cに空気を供給する経路に設けられた第1開閉弁35Dを開状態から閉状態にする。これによって、第1吐出部35への空気の流入を停止する。これとともに、吐出口35Bからの空気の吐出も停止する。つまり、第1吐出部35は、塗装ガン13から被塗物40に向けて塗料を噴出する間、第1吐出動作を継続するのである。
【0050】
塗装を終了した直後には、被塗物40に塗着しなかった塗料が粒子状となり空気中を漂っている可能性がある。塗装を終了した後、空気中に粒子状の塗料が概ね漂わなくなった時点で、制御装置34は、第2継手36Cに空気を供給する経路に設けられた第2開閉弁36Dを閉状態から開状態にする。これによって、流入部36Aを介して第2吐出部36への空気の流入が開始する。これとともに、吐出口36Bから空気の吐出が開始される。吐出口36Bから吐出された空気は、投受光部21Aの対向面Cに向けて円錐状に拡がる(図4参照。)。こうして第2吐出部36は、第2吐出動作を開始する。これによって、三次元形状特定手段21における被塗物40に対向する対向面Cに付着した埃や塗料等の異物を吹き飛ばして除去し、対向面Cに埃や塗料等の異物の堆積を防止することができる。そして、所定の時間が経過したところで、第2吐出部36は第2吐出動作を終了する。つまり、第2吐出部36は、塗装ガン13から被塗物40に向けて塗料の噴出をしていないときに、第2吐出動作を所定の時間実行するのである。
【0051】
上記のように構成された実施例1によれば、以下の効果を奏する。
【0052】
このセンサ31は、被塗物40の三次元形状を特定する三次元形状特定手段21と、三次元形状特定手段21における被塗物40に対向する対向面Cへの異物の堆積を防止する異物堆積防止手段32とを備えている。この構成によれば、異物堆積防止手段32によって三次元形状特定手段21の被塗物40と対向する対向面Cへの埃や塗料等の異物の堆積を防止することができる。これによって、三次元形状特定手段21が被塗物40までの距離を良好に計測できなくなる事態を防止することができる。
【0053】
異物堆積防止手段32は、三次元形状特定手段21を覆うように設けられ、対向面Cを露出するように第1開口部33Aが形成されたカバー33と、第1開口部33Aを覆うように第1開口部33Aに沿って気体を吐出する第1吐出動作を実行する第1吐出部35とを有している。この構成によれば、センサ31は、第1開口部33Aを覆うように第1開口部33Aに沿って気体を吐出することによって、第1開口部33Aからカバー33内への埃や塗料等の異物の浸入を防ぎ、これによって、三次元形状特定手段21への異物の堆積を防止することができる。
【0054】
異物堆積防止手段32は、対向面Cに向けて気体を吐出する第2吐出動作を実行する第2吐出部36を有している。この構成によれば、センサ31は、三次元形状特定手段21の対向面Cに付着した埃や塗料等の異物を第2吐出部36からの気体の吐出によって除去することができる。
【0055】
この塗装装置10は、センサ31と、被塗物40を搬送するコンベア12と、被塗物40に対して相対移動しながら被塗物40に塗料を噴出する塗装ガン13と、制御装置34とを備えている。三次元形状特定手段21は、被塗物40の被塗面41までの間の距離を計測して被塗物40の三次元形状を特定する。制御装置34は、三次元形状特定手段21によって計測された距離の情報に基づいて、被塗面41に塗料を塗着させる際の塗装条件を設定又は変更し、塗装ガン13の被塗物40に対する移動を制御する。この構成によれば、異物堆積防止手段32によって三次元形状特定手段21の被塗物40と対向する対向面Cへの埃や塗料等の異物の堆積を防止することができる。これによって、三次元形状特定手段21が被塗物40までの距離を良好に計測できなくなる事態を防止するとともに、制御装置34によって塗装ガン13の移動を良好に制御することができる。
【0056】
この塗装装置10は、センサ31と、被塗物40を搬送するコンベア12と、被塗物40に対して相対移動しながら被塗物40に塗料を噴出する塗装ガン13と、制御装置34とを備えている。異物堆積防止手段32は、三次元形状特定手段21を覆うように設けられ、対向面Cを露出するように第1開口部33Aが形成されたカバー33と、第1開口部33Aを覆うように第1開口部33Aに沿って気体を吐出する第1吐出動作を実行する第1吐出部35とを有している。三次元形状特定手段21は、被塗物40の被塗面41までの間の距離を計測して被塗物40の三次元形状を特定する。制御装置34は、三次元形状特定手段21によって計測された距離の情報に基づいて、被塗面41に塗料を塗着させる際の塗装条件を設定又は変更し、塗装ガン13の被塗物40に対する移動を制御する。第1吐出部35は、塗装ガン13から被塗物40に向けて塗料を噴出する間、第1吐出動作を継続する。
【0057】
この構成によれば、異物堆積防止手段32によって三次元形状特定手段21の被塗物40と対向する対向面Cへの埃や塗料等の異物の堆積を防止することができる。これによって、三次元形状特定手段21が被塗物40までの距離を良好に計測できなくなる事態を防止することができる。また、塗装ガン13から塗料を噴出する間、第1吐出動作を継続することによって、三次元形状特定手段21に異物が堆積することを確実に防止することができる。
【0058】
この塗装装置10は、センサ31と、被塗物40を搬送するコンベア12と、被塗物40に対して相対移動しながら被塗物40に塗料を噴出する塗装ガン13と、制御装置34とを備えている。異物堆積防止手段32は、三次元形状特定手段21を覆うように設けられ、対向面Cを露出するように第1開口部33Aが形成されたカバー33と、対向面Cに向けて気体を吐出する第2吐出動作を実行する第2吐出部36を有している。三次元形状特定手段21は、被塗物40の被塗面41までの間の距離を計測して被塗物40の三次元形状を特定する。制御装置34は、三次元形状特定手段21によって計測された距離の情報に基づいて、被塗面41に塗料を塗着させる際の塗装条件を設定又は変更し、塗装ガン13の被塗物40に対する移動を制御する。第2吐出部36は、塗装ガン13から被塗物40に向けて塗料の噴出をしていないときに、第2吐出動作を所定の時間実行する。
【0059】
この構成によれば、異物堆積防止手段32によって三次元形状特定手段21の被塗物40と対向する対向面Cへの埃や塗料等の異物の堆積を防止することができる。これによって、三次元形状特定手段21が被塗物40までの距離を良好に計測できなくなる事態を防止することができる。また、塗装ガン13から塗料の噴出をしていないときに第2吐出動作を所定の時間実行することによって、三次元形状特定手段21に堆積した異物を除去することができる。また、第2吐出動作の実行を所定の時間に限定したので、吐出する気体の量を節約することができる。
【0060】
異物堆積防止手段32は、対向面Cに向けて気体を吐出する第2吐出動作を実行する第2吐出部36を有し、第2吐出部36は、吐出する気体の流量が第1吐出部35よりも大きい。この構成によれば、第1吐出部35は、第2吐出部36よりも吐出する気体の流量が小さいため、第2吐出部36に比べて吐出する気体の量を節約することができる。第2吐出部36は第1吐出部35よりも吐出する気体の流量が大きいため、三次元形状特定手段21に付着した埃や塗料等の異物を除去し易い。つまり、塗装装置10は、互いに気体を吐出する流量、及び気体を噴出する状態が異なる第1吐出部35と第2吐出部36とを使い分けることによって、吐出する気体の量を抑制しつつ、センサ31の状態を良好な状態に維持することができる。
【0061】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2を図9から図11を参照して説明する。本実施例2の異物堆積防止手段132は、カバー133の形態、第3吐出部37を有している点が、実施例1と異なる。実施例1と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0062】
センサ131の異物堆積防止手段132は、カバー133、及び第3吐出部37を有している。カバー133は、直方体状をなした箱である。カバー133の一つの面には、一方向に長い外形をなして貫通した開口部である長孔133Aが形成されている。カバー133には、三次元形状特定手段21が収納されている。三次元形状特定手段21の回転中心軸28は、長孔133Aが形成された面に平行をなし、長孔133Aが延びる方向に直角をなすように配置されている。投受光部21Aの外周面の一部は、対向面Cとして長孔133Aに対向して配置されている。所定の範囲R内における検知光DLは、カバー133によって遮られない(図10、11参照。)。長孔133Aが形成されたカバー133の面は、被塗物40に対向するように配置される(図10、11参照。)。
【0063】
第3吐出部37は、例えば、円筒状をなしており、カバー133における長孔133Aが形成されていない面に連結されている。第3吐出部37は、カバー133の内部と外部とを連通している。第3吐出部37には、円筒状をなした第3継手37Cが連結されている。カバー133によって覆われた領域内には、第3継手37C及び第3吐出部37を介して空気が流入する。カバー133によって覆われた領域内に流入した空気は、長孔133Aを介して外部へ流出する。第3継手37Cに空気を供給する経路には、第3開閉弁37Dが設けられている。制御装置34は、第3開閉弁37Dの開閉の制御を実行し得る構成とされている。
【0064】
塗装を行う際、制御装置34は、第3開閉弁37Dを開状態にする。これによって、第3吐出部37は、カバー133によって覆われた領域内への空気の吐出を開始する。これとともに、長孔133Aからカバー133外に空気が流出する。これによって、カバー133の内部に長孔133Aから埃や塗料等が入り込むことを防止することができる。塗装を終了した後、制御装置34は、第3開閉弁37Dを開状態から閉状態にする。これによって、第3吐出部37を介してカバー133内への空気の流入を停止する。これとともに、長孔133Aからカバー133外への空気の流出も停止する。
【0065】
上記のように構成された実施例2によれば、以下の効果を奏する。
【0066】
異物堆積防止手段132は、カバー133によって覆われた領域内に気体を吐出して、長孔133Aからカバー133外に気体を流出させる第3吐出部37を有している。この構成によれば、長孔133Aからカバー133外へ気体を流出させることによって、長孔133Aからカバー133内へ埃や塗料等の異物が浸入することを防ぎ、三次元形状特定手段21の対向面Cへの異物の堆積を防止することができる。
【0067】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、3つの三次元形状特定手段を用いているが、三次元形状特定手段の数はこれに限定されない。
(2)上記実施例では、コンベアに吊り下げられる被塗物の外形が同じであるが、異なる外形の被塗物を並べてコンベアに吊り下げてもよい。
(3)上記実施例では、第1吐出部と第2吐出部とを設けているが、第1吐出部の吐出口の正面に、第1吐出部から吐出する空気の向きを変更する変更部材を設け、塗装する際には、カバーの開口部に沿うように吐出される空気の向きを変更し、塗装を終了した後には、投受光部の対向面に吐出される空気の向きを変更する構成としてもよい。
(4)上記実施例では、第1吐出部、第2吐出部、及び第3吐出部にエアコンプレッサ等のエア供給源から空気が供給されているが、エアコンプレッサに代えて軸流ファン等を用いてもよい。
(5)上記実施例では、被塗物の外面のうち三次元形状特定手段と対向する表面側の形状のみを計測したが、被塗物の表面側の形状に加え、裏面側の形状も併せて計測してもよい。この場合、三次元形状特定手段の設置位置と設置数は適宜に設定すればよい。
(6)上記実施例では、三次元形状特定手段は、回転中心軸周りに検知光を回転させる方式であるが、三次元形状特定手段として、一方向に検知光を照射する方式のものを所定の間隔(例えば1cm)を設けて上下方向に多数並べてもよい。
(7)上記実施例では、測定媒体として赤外線レーザ光を利用しているが、超音波等を用いてもよい。
(8)第1吐出部、第2吐出部、及び第3吐出部を併用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…塗装装置
12…コンベア
13…塗装ガン
20…三次元形状認識部
21…三次元形状特定手段
31,131…センサ
32,132…異物堆積防止手段
33,133…カバー
33A…第1開口部(開口部)
34…制御装置
35…第1吐出部
36…第2吐出部
37…第3吐出部
40…被塗物(被測定物)
41…被塗面
133A…長孔(開口部)
C…対向面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11