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  • 特許-アンバムの分析方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】アンバムの分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/06 20060101AFI20240430BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20240430BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G01N30/06 Z
G01N30/72 A
G01N30/88 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020201188
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022089003
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003665
【氏名又は名称】株式会社ツムラ
(73)【特許権者】
【識別番号】518378949
【氏名又は名称】株式会社マシス
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相馬 学
(72)【発明者】
【氏名】工藤 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】清野 淳也
(72)【発明者】
【氏名】築舘 一晃
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036258(JP,A)
【文献】特開2016-180710(JP,A)
【文献】特開2012-107954(JP,A)
【文献】特開2018-163025(JP,A)
【文献】特開2008-064670(JP,A)
【文献】特開2008-145358(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0138953(US,A1)
【文献】一般名 アンバム (殺菌剤),農薬抄録,日本,独立行政法人 農業水産消費安全技術センター,2015年02月02日,https://www.acis.famic.go.jp/syouroku/amobam/index.htm
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
G01N 27/60 -27/92
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中に残留するアンバムをガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析するアンバムの分析方法において、抽出溶媒として炭素数1~3のアルコールを用いて試料からアンバムを抽出することを含むアンバムの分析方法。
【請求項2】
抽出溶媒として用いる炭素数1~3のアルコールがメタノール、エタノール、1-プロパノール又はこれらの混合物である請求項1記載の方法。
【請求項3】
抽出溶媒として用いる炭素数1~3のアルコールがエタノール、1-プロパノール又はこれらの混合物である請求項1記載の方法。
【請求項4】
抽出溶媒として用いる炭素数1~3のアルコールがエタノールである請求項1記載の方法。
【請求項5】
ガスクロマトグラフ質量分析計がガスクロマトグラフタンデム型質量分析計である請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
試料が生薬、農作物又は土壌である請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中に残留するアンバムをガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いて分析する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンバム(Amobam)は、エチレンビスジチオカーバメート系の有機硫黄殺菌剤であり、アモバム、アンビス、ジタンステンレス、ダイセンステンレス、エチレンビス(ジチオカルバミド酸アンモニウム)、エチレンビス(ジチオカルバミン酸アンモニウム)、1,2-エタンジイルビス(カルバモジチオ酸アンモニウム)、エチレンビス(ジチオカルバミド酸)ジアンモニウム、N,N’-エチレンビス(ジチオカルバミド酸)ビスアンモニウム等の名称でも呼ばれている。
【0003】
アンバムは、次式:
【化1】
で示される構造を有し、分解しやすい化合物であるため、今まで、アンバムを14Cで標識した14C標識体を分析することは知られているが(非特許文献1)、アンバムを直接分析する方法は確立されていない。
【0004】
厚生労働省から公表されている「GC/MSによる農薬等の一斉試験法(農産物)」には、試料中に残留する農薬の抽出に用いる溶媒として、アセトニトリルが記載されており(非特許文献2)、特許文献1には、抽出溶媒としてアセトニトリル及びアセトンが好ましいと記載されている。
【0005】
前述したように、GC/MSによる農薬の分析方法において、農薬の抽出溶媒として一般的に用いられているのは、アセトニトリル、アセトン等の極性非プロトン性溶媒であり、メタノール、エタノール等の極性プロトン性溶媒はあまり用いられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-36258号公報(請求項3、段落0079)
【非特許文献】
【0007】
【文献】安全性評価資料、アンバム、2014年7月、環境省水・大気環境局土壌環境課農薬環境管理室<URL:https://www.env.go.jp/council/10dojo/y104-46/%E3%80%90%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%95%EF%BC%8D%EF%BC%91%E3%80%91.pdf>
【文献】GC/MSによる農薬等の一斉試験法(農産物)(厚生労働省)<URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000075497.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、試料中に残留するアンバムをGC/MSを用いて直接分析する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の要旨は以下のとおりである。
【0010】
(1)試料中に残留するアンバムをガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析するアンバムの分析方法において、抽出溶媒として炭素数1~3のアルコールを用いて試料からアンバムを抽出することを含むアンバムの分析方法。
(2)抽出溶媒として用いる炭素数1~3のアルコールがメタノール、エタノール、1-プロパノール又はこれらの混合物である前記(1)に記載の方法。
(3)ガスクロマトグラフ質量分析計がガスクロマトグラフタンデム型質量分析計である前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)試料が生薬、農作物又は土壌である前記(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、試料中に残留するアンバムをGC/MSを用いて直接分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の実施態様の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に適用しうる試料としては、アンバムの残留が疑われるものであれば特に制限はなく、例えば生薬、漢方製剤、農作物、土壌、畜産物、水産物、加工食品等が挙げられ、好ましくは生薬(例えば、オタネニンジン(紅参)、ジオウ、サンヤク、リンドウ、ゴミシ、サイシン)、農作物(例えば、菊、りんご等)が挙げられる。
【0014】
本発明においては、試料からアンバムを抽出するための溶媒として、炭素数1~3のアルコール、好ましくはメタノール、エタノール、1-プロパノール又はこれらの混合物を用いる。残留農薬の分析方法において抽出溶媒として通常用いられているアセトニトリル、アセトン等の極性非プロトン性溶媒では、アンバムを十分に回収することができない。
【0015】
抽出溶媒として用いる炭素数1~3のアルコールは、含水率が低いこと(通常、5質量%以下)が好ましい。
【0016】
抽出溶媒は、炭素数1~3のアルコール以外の有機溶媒を含有しなくてもよいが、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA・2Na、EDTA・4Na、EDTA・2NH、EDTA・OH、EDTA・Ca・2Na等のキレート剤や硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、無水エタノール、無水硫酸マグネシウム等の脱水剤を含有してもよい。キレート剤としてはEDTA・2Na,脱水剤としては硫酸ナトリウムが特に好ましい。
【0017】
本発明は、試料からアンバムを抽出するための溶媒として炭素数1~3のアルコールを用いる以外は、特に制限はないが、例えば、以下のようにして、実施することができる。本発明の実施態様の一例を示す模式図を図1に示す。
【0018】
(1)試験品秤量
試験品0.1~10g、通常約1g(好ましくは0.995~1.004g)を採取し、50ml遠心沈殿管に入れる。
【0019】
(2)抽出溶媒の添加
抽出溶媒(炭素数1~3のアルコール)通常5~20ml、好ましくは約10ml(必要に応じて前記のキレート剤、脱水剤を添加)を遠心沈殿管に入れる。
【0020】
(3)超音波抽出
超音波抽出を通常5~20分、好ましくは約10分、温度を、好ましくは20℃以下にして行う。
【0021】
(4)遠心分離
通常2000~4000rpm、好ましくは約3000rpmで、通常1~10分、好ましくは約5分の条件で遠心分離を行って上澄みを分取する。
沈殿物(残渣)に、抽出溶媒(炭素数1~3のアルコール)通常5~20ml、好ましくは約10mlを加え振とう抽出(通常150~250rpm、好ましくは約200rpmで、通常5~20分、好ましくは約15分)し、再度遠心分離(通常2000~4000rpm、好ましくは約3000rpmで、通常1~10分、好ましくは約5分)して、上澄みを分取し、最初に得られた上澄みと合わせる。
【0022】
(5)定容
前記で得られた上澄みを通常10~50ml、好ましくは約25mlに定容する。
【0023】
(6)固相カラム、濃縮、定容
前記で得られた溶液は、低濃度でのアンバムの回収率及び装置の汚れ防止の点から、固相カラムを通すことが好ましい。通常、固相カラムに溶媒(炭素数1~3のアルコール)通常5~20ml、好ましくは約10mlを入れて活性化させる。試料溶液10mlを固相カラムに入れ流出させ、次いで同量の溶媒(炭素数1~3のアルコール)で流出させる。得られた流出液を40℃以下で濃縮する。この際、蒸発乾固させてしまうとアンバムの回収率が低下するので注意する。その後、溶媒(炭素数1~3のアルコール)で正確に1~2mlに定容する。
ここで用いる固相カラムとしては、ポリメリック結合したアミノプロピル相を有するシリカ系の固相カラム、例えばSIGMA-ALDRICH社製 DiscoveryTM DSC-NH2 SPEチューブ、Waters社製 Sep-Pak NH2 Cartridge等、好ましくはDiscoveryTM DSC-NH2 SPEチューブが挙げられる。DiscoveryTM DSC-NH2 SPEチューブは、極性が非常に高く、順相、イオン交換の両モ-ドに使用でき、弱陰イオン交換体として、SAX相よりも短時間で強陰イオンを遊離する。
【0024】
(7)冷却、遠心分離
必要に応じて、試料溶液を0~5℃で約30分冷却させた後、遠心分離(通常5000~12000rpm、好ましくは約6000~10000rpmで、通常20秒~5分、好ましくは約30秒~3分)する。
【0025】
(8)GC/MSによるアンバムの測定
アンバム標準品を溶媒(炭素数1~3のアルコール)で希釈し標準溶液を調製し、定量イオンのピーク面積の検量線を描く。試料溶液中のアンバムをガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析し、検量線から当該濃度を求める。本発明においては、試料溶液に含まれる夾雑成分が測定に悪影響を与えないようにするため、選択性を高くする必要がある点から、ガスクロマトグラフ質量分析計としてはガスクロマトグラフタンデム型質量分析計(GC-MS/MS)が好ましい。ガスクロマトグラフ質量分析計に用いるカラムは、高極性カラム、中極性カラム、微極性カラム、無極性カラムのいずれでもよく、使用する溶媒(炭素数1~3のアルコール)との関係で、適宜選択できるが、高極性カラムが特に好ましく、高極性カラムとしては具体的に脂肪酸メチルエステル(FAME)高速分析用カラム、WAX系カラムが好ましい。
【0026】
本発明によれば、試料中に残留するアンバムを高精度で分析することができる。
【実施例
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
人参の粉末1.0gを正確に量り、遠心沈殿管に入れエタノール10mlを加えて20℃以下で10分間超音波抽出した。その後5分間遠心分離し、上澄液を分取した。残留物にエタノール10mlを加え、15分間振とう抽出、再度5分間遠心分離し、上澄液を前記上澄液と合わせて正確に25mlに定容し、抽出溶液とした。
【0029】
あらかじめエタノールで活性化させたSIGMA-ALDRICH社製 DiscoveryTM DSC-NH2 SPEチューブに抽出溶液を10ml入れ流出させ、次いでエタノール10mlで流出させた。得られた流出液を減圧下40℃で濃縮し、エタノールで正確に2mlに定容した。これを0~5℃で30分間以上放置した後、3分間高速遠心分離し、上澄液を試料溶液とした。人参の粉末に、2ppm相当のアンバム標準品のエタノール希釈液を加え同様に処理し、アンバム添加試料溶液を得た。
【0030】
別に、アンバム標準品をエタノールで希釈し、0.1、0.25、0.5、1.0、5.0μg/mlの標準液を調製し、対応する定量イオンピークの面積の検量線を描いた。
【0031】
試料溶液及びアンバム添加試料溶液をガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析し、添加回収率を求めた。添加回収率は96%であり、残留農薬における分析試験成立の条件とされている、添加回収率70~120%に適合していることが確認された。
試験条件
カラム:ZB-FAME、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度:150℃(1分)-50℃/分-280℃(12分)
注入口温度:280℃
キャリヤーガス:ヘリウム
キャリヤー流量:1.0ml/min
イオン化モード:EI(70eV)
イオン源温度:260℃
コリジョンガス:窒素
測定モード:MRM
モニターイオン(m/z):定量イオン(102.1>73.9)、定性イオン(104.0>76.1)
【0032】
(比較例1)
人参の粉末1.0gを正確に量り、遠心沈殿管に入れアセトン10mlを加えて20℃以下で10分間超音波抽出した。その後5分間遠心分離し、上澄液を分取した。残留物にアセトン10mlを加え、15分間振とう抽出、再度5分間遠心分離し、上澄液を前記上澄液と合わせて正確に25mlに定容し、抽出溶液とした。
【0033】
あらかじめアセトンで活性化させたSIGMA-ALDRICH社製 DiscoveryTM DSC-NH2 SPEチューブに抽出溶液を10ml入れ流出させ、次いでアセトン10mlで流出させた。得られた流出液を減圧下40℃で濃縮し、アセトンで正確に2mlに定容した。これを0~5℃で30分間以上放置した後、3分間高速遠心分離し、上澄液を試料溶液とした。人参の粉末に、2ppm相当のアンバム標準品のアセトン希釈液を加え同様に処理し、アンバム添加試料溶液を得た。
【0034】
別に、アンバム標準品をアセトンで希釈し、0.1、0.25、0.5、1.0、5.0μg/mlの標準液を調製し、対応する定量イオンピークの面積の検量線を描いた。
【0035】
試料溶液及びアンバム添加試料溶液をガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析し、添加回収率を求めた。添加回収率は64%であり、残留農薬における分析試験成立の条件とされている、添加回収率70~120%に適合しなかった。
【0036】
(実施例2)
人参の粉末1.0gを正確に量り、遠心沈殿管に入れ、あらかじめエタノールにEDTA及び硫酸ナトリウムを添加し、一晩おいたものを抽出溶媒として10ml加えて20℃以下で10分間超音波抽出した。その後5分間遠心分離し、上澄液を分取した。残留物に抽出溶媒10mlを加え、15分間振とう抽出、再度5分間遠心分離し、上澄液を前記上澄液と合わせて正確に25mlに定容し、抽出溶液とした。
【0037】
あらかじめエタノールで活性化させたSIGMA-ALDRICH社製 DiscoveryTM DSC-NH2 SPEチューブに抽出溶液を10ml入れ流出させ、次いでエタノール10mlで流出させた。得られた流出液5mlを減圧下40℃で濃縮し、エタノールで正確に1mlに定容した。これを0~5℃で30分間以上放置した後、30秒間高速遠心分離し、上澄液を試料溶液とした。人参の粉末に、5ppm相当のアンバム標準品のエタノール希釈液を加え同様に処理し、アンバム添加試料溶液を得た。
【0038】
別に、アンバム標準品をエタノールで希釈し、0.5、1.0、5.0μg/mlの標準液を調製し、対応する定量イオンピークの面積の検量線を描いた。
【0039】
試料溶液及びアンバム添加試料溶液をガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析し、添加回収率を求めた。
【0040】
抽出溶媒としてエタノールの代わりにメタノール及び1-プロパノールを用いて同様の試験を実施した。添加回収率はエタノール73%、メタノール96%、1-プロパノール69%で、分析試験成立の条件とされている、添加回収率70~120%におおよそ適合することが確認された。
試験条件
カラム:ZB-FAME、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.20μm
カラム温度:150℃(1分)-50℃/分-280℃(12分)
注入口温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウム
キャリヤー流量:1.0ml/min
イオン化モード:EI(70eV)
イオン源温度:260℃
コリジョンガス:アルゴン
測定モード:MRM
モニターイオン(m/z):定量イオン(102>74)
【0041】
(実施例3)
山薬の粉末1.0gを正確に量り、遠心沈殿管に入れ、あらかじめエタノールにEDTA及び硫酸ナトリウムを添加し、一晩おいたものを抽出溶媒として10ml加えて20℃以下で10分間超音波抽出した。その後5分間遠心分離し、上澄液を分取した。残留物に抽出溶媒10mlを加え、15分間振とう抽出、再度5分間遠心分離し、上澄液を前記上澄液と合わせて正確に25mlに定容し、抽出溶液とした。
【0042】
あらかじめエタノールで活性化させたSIGMA-ALDRICH社製 DiscoveryTM DSC-NH2 SPEチューブに抽出溶液を10ml入れ流出させ、次いでエタノール10mlで流出させた。得られた流出液5mlを減圧下40℃で濃縮し、エタノールで正確に1mlに定容した。これを0~5℃で30分間以上放置した後、30秒間高速遠心分離し、上澄液を試料溶液とした。人参の粉末に、5ppm相当のアンバム標準品のエタノール希釈液を加え同様に処理し、アンバム添加試料溶液を得た。
【0043】
別に、アンバム標準品をエタノールで希釈し、0.5、1.0、5.0μg/mlの標準液を調製し、対応する定量イオンピークの面積の検量線を描いた。
【0044】
試料溶液及びアンバム添加試料溶液をガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析し、添加回収率を求めた。添加回収率は96%で、分析試験成立の条件とされている、添加回収率70~120%に適合していることが確認された。
試験条件
カラム:ZB-FAME、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.20μm
カラム温度:150℃(1分)-50℃/分-280℃(12分)
注入口温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウム
キャリヤー流量:1.0ml/min
イオン化モード:EI(70eV)
イオン源温度:260℃
コリジョンガス:アルゴン
測定モード:MRM
モニターイオン(m/z):定量イオン(102>74)
図1