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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】清掃装置及び清掃ユニット
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/093 20060101AFI20240430BHJP
   B08B 9/34 20060101ALI20240430BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B08B9/093
B08B9/34
B08B5/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020206589
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022093874
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 研二
(72)【発明者】
【氏名】宮田 繁朋
(72)【発明者】
【氏名】柳田 建三
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134603(JP,A)
【文献】特開2015-188819(JP,A)
【文献】特開2004-358291(JP,A)
【文献】登録実用新案第3026471(JP,U)
【文献】特開2009-052236(JP,A)
【文献】実開平03-068859(JP,U)
【文献】特開2008-149264(JP,A)
【文献】特開平10-263494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/00- 9/46
B08B 3/00- 3/14
B08B 5/00- 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料タンク内をエアブローするエアブロー機構と、
前記エアブロー機構を、前記塗料タンク内をエアブローする清掃位置と、前記清掃位置とは異なる待機位置との間で移動させる駆動機構と、を備え
前記エアブロー機構は、
円板状部材と、
前記円板状部材の外周側に配置される外周ノズルと、を有し、
前記外周ノズルの開口は、前記円板状部材の外周の接線に沿う方向を向いて配置され、
前記外周ノズルには、前記円板状部材の外周の接線に沿う方向に直線状に延び、前記開口に連なる通路が形成されている清掃装置。
【請求項2】
前記円板状部材は、前記清掃位置において、前記塗料タンクの底面に対向する対向面を有しており、
前記外周ノズルは、前記対向面に配置される請求項に記載の清掃装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の清掃装置と、
前記塗料タンクと、を備える清掃ユニットであって、
前記塗料タンクの底面には、排出口が形成されており、
前記清掃装置の前記外周ノズルの開口が前記塗料タンクの前記底面側に傾斜して配置される清掃ユニット。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の清掃装置と、
前記塗料タンクと、を備える清掃ユニットであって、
前記塗料タンクは、上方に開放されたタンク本体と、前記タンク本体の底面に開口する排出口と、を有しており、
前記清掃装置の前記エアブロー機構は、前記排出口に連なる排出路内にエアを噴出させる排出路用ノズルを有する清掃ユニット。
【請求項5】
前記排出路用ノズルによって噴出されたエアを前記排出路から排気させる請求項に記載の清掃ユニット。
【請求項6】
掃装置と、塗料タンクと、を備える清掃ユニットであって、
前記清掃装置は、
前記塗料タンク内をエアブローするエアブロー機構と、
前記エアブロー機構を、前記塗料タンク内をエアブローする清掃位置と、前記清掃位置とは異なる待機位置との間で移動させる駆動機構と、を備え、
前記塗料タンクは、上方に開放されたタンク本体と、前記タンク本体の底面に開口する排出口と、を有しており、
前記清掃装置の前記エアブロー機構は、前記排出口に連なる排出路内にエアを噴出させる排出路用ノズルを有する清掃ユニット。
【請求項7】
前記排出路用ノズルは、前記排出路内に進入した状態で、径方向外方又は斜め下方を向いて配置される請求項6に記載の清掃ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は清掃装置及び清掃ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、塗装装置が開示されている。この塗装装置は、粉体塗料タンク内の粉体塗料を吸引し、搬送ホースを介して静電塗装ガンにエア搬送し、静電塗装ガンから噴射させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-47432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記塗装装置は、粉体塗料タンク内の粉体塗料を異なる色の粉体塗料に替えることで、いわゆる色替えが行われる。しかし、色替えを行う際、色替え後の粉体塗料に色替え前の粉体塗料が混ざらないように、色替え前の粉体塗料を除去すべく粉体塗料タンク内を清掃する必要がある。このため、清掃の手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、塗料タンク内の清掃の手間を削減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の清掃装置は、
塗料タンク内をエアブローするエアブロー機構と、
前記エアブロー機構を、前記塗料タンク内をエアブローする清掃位置と、前記清掃位置とは異なる待機位置との間で移動させる駆動機構と、を備える。
【0007】
第2の発明の清掃ユニットは、
第1の発明の清掃装置と、
前記塗料タンクと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エアブロー機構を清掃位置に移動させて、塗料タンク内をエアブローすることで、塗料タンク内を清掃することができる。このため、塗料タンク内の清掃の手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の清掃装置の正面断面図である。
図2】清掃装置の底面図である。
図3】清掃装置における外周ノズル周辺の部分拡大図である。
図4】清掃ユニットの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図5】塗装中における塗料タンク及び吸引管の正面図である。
図6】塗装終了後における塗料タンク及び吸引管の正面図である。
図7】清掃装置が待機位置に配置された状態における清掃ユニットの正面図である。
図8】清掃装置が清掃開始位置に到達した状態における清掃ユニットの正面図である。
図9】清掃装置が下端位置に配置された状態における清掃ユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)第1の発明において、上記エアブロー機構は、円板状部材と、円板状部材の外周側に配置される外周ノズルと、を有するようにしてもよい。
この構成によれば、外周ノズルによって、塗料タンクの内周面に近い位置でエアを噴射させることができる。このため、塗料タンクの内周面に残った粉体塗料を効果的に除去することができる。
【0011】
(2)上記外周ノズルの開口は、円板状部材の外周の接線に沿う方向を向いて配置されるようにしてもよい。
この構成によれば、外周ノズルから噴射されるエアが、塗料タンクの内周面に沿って流れる。このため、塗料タンクの内周面に残った粉体塗料を塗料タンクの内周面に沿って移動させることができ、その結果、粉体塗料が広範囲に飛散するのを抑制しつつ除去することができる。
【0012】
(3)上記円板状部材は、清掃位置において、塗料タンクの底面に対向する対向面を有するようにしてもよい。外周ノズルは、対向面に配置されるようにしてもよい。
この構成によれば、塗料タンクの内周面から除去された粉体塗料が塗料タンク外に排出される経路が、円板状部材によって制限される。このため、塗料タンクの内周面から除去した粉体塗料が塗料タンク外へ飛散するのをより効果的に防止することができる。
【0013】
(4)第2の発明において、上記エアブロー機構は、円板状部材と、円板状部材の外周側に配置される外周ノズルと、を有するようにしてもよい。塗料タンクの底面には、排出口が形成されるようにしてもよい。清掃装置の外周ノズルの開口が塗料タンクの底面側に傾斜して配置されるようにしてもよい。
この構成によれば、外周ノズルから噴出されるエアによって排出口に向かう空気流が生成される。このため、塗料タンクの内周面に残った粉体塗料を排出口から好適に排出させることができる。
【0014】
(5)第2の発明において、塗料タンクは、上方に開放されたタンク本体と、タンク本体の底面に開口する排出口と、排出口に連なる排出路を開閉するバルブと、を有するようにしてもよい。清掃装置のエアブロー機構は、排出路内にエアを噴出させる排出路用ノズルを有するようにしてもよい。
この構成によれば、塗装終了後、バルブによって排出路を開放させることで、塗料タンク内の粉体塗料を容易に排出させることができる。更に、排出路用ノズルから排出路内にエアを噴出させることで排出路内も清掃することができる。
【0015】
(6)上記排出路用ノズルを有する第2の発明は、排出路用ノズルによって噴出されたエアを排出路から排気させるようにしてもよい。
この構成によれば、バルブ内の通路を利用して、塗料タンク内の粉体塗料を排出させることができる。
【0016】
<実施例1>
以下では、本発明を具体化した実施例1を図1図9を参照して説明する。
【0017】
[清掃装置及び清掃ユニットの構成]
図1に示す清掃装置10は、塗料タンク110(図8参照)内を清掃する装置であり、塗料タンク110(図8参照)内をエアブローすることによって塗料タンク110内に残った粉体塗料111を除去する。清掃装置10は、塗料タンク110とともに清掃ユニット1(図8参照)を構成する。
【0018】
清掃装置10は、例えば金属製であり、図1に示すように、塗料タンク110内をエアブローするエアブロー機構30と、エアブロー機構30を駆動する駆動機構70と、を備える。エアブロー機構30は、円板状部材31と、円板状部材31の外周に沿って配置される複数(本実施例では12)の外周ノズル32と、円板状部材31の径方向中央から下方に突出した構成をなす排出路用ノズル33と、を有する。
【0019】
円板状部材31は、円板状の上板41と、円板状の下板42と、上板41及び下板42の間に挟まれる第1スペーサ43、第2スペーサ44及び複数(本実施例では4)の第3スペーサ45と、を有する。上板41、下板42、第1スペーサ43、第2スペーサ44及び第3スペーサ45は、ネジ止めによって互いに連結されている。
【0020】
第1スペーサ43及び第2スペーサ44は、それぞれ円環状をなしており、上板41及び下板42と同心円状に配置される。第2スペーサ44の外径は第1スペーサ43の内径よりも小さく、第2スペーサ44は第1スペーサ43の径方向内方に配置される。第1スペーサ43の外径は上板41の外径よりも大きく、第1スペーサ43の内径は上板41の外径よりも小さい。第1スペーサ43は、径方向内側部分が上板41と下板42との間に挟まれ、径方向外側部分が上板41及び下板42の外周よりも径方向外方に突出した形態で配置される。第3スペーサ45は、第1スペーサ43と第2スペーサ44との間に軸心を有する円環状をなしており、第1スペーサ43と第2スペーサ44との間に配置される。
【0021】
上板41には、複数のホース接続部34が連結されている。ホース接続部34の各々は、上方に突出した形態をなしており、先端部にホース35が取り付けられている。上述した外周ノズル32は、第1スペーサ43における径方向外側部分の下側にネジ止めによって連結されている。上述した排出路用ノズル33は、下板42の径方向中央部の下側にネジ止めによって連結されている。円板状部材31の内部には、ホース35から供給されたエアを、外周ノズル32の各々及び排出路用ノズル33に供給するエア流路50が形成されている。
【0022】
具体的には、図1及び図2に示すように、上板41と下板42との間で且つ第1スペーサ43と第2スペーサ44との間には、ホース接続部34の内部空間に連なる第1通路51が形成されている。そして、第1スペーサ43の内部には、外周ノズル32の各々に対応して、第1通路51と外周ノズル32内の通路32Aとを連通させる第1スペーサ内通路43Aが形成されている。よって、ホース35から供給されたエアは、第1通路51及び第1スペーサ内通路43Aを通って外周ノズル32に供給され、外周ノズル32の開口32Bから噴出される。
【0023】
また、上板41と下板42との間で且つ第2スペーサ44の径方向内側には第2通路52が形成されており、第2スペーサ44の内部には、第1通路51と第2通路52とを連通させる第2スペーサ内通路44Aが形成されている。さらに、下板42の径方向中央部には、第2通路52と排出路用ノズル33内の通路33Aとを連通させるエア導出孔53が形成されている。よって、ホース35から供給されたエアは、第1通路51、第2スペーサ内通路44A、第2通路52及びエア導出孔53を通って、排出路用ノズル33内の通路33Aに供給され、排出路用ノズル33の開口33Bから噴出される。
【0024】
外周ノズル32は、図1図3に示すように、ブロック状をなしている。外周ノズル32は、円板状部材31の外周側において、周方向に等間隔で配置されている。外周ノズル32内の通路32Aは、平面視において円板状部材31の外周の接線に沿う方向に直線状に延びており、側面視において斜め下方に直線状に延びている。また、外周ノズル32の開口32Bは、平面視において円板状部材31の外周の接線に沿う方向を向いており、側面視において斜め下方を向いている。
【0025】
排出路用ノズル33は、図1に示すように、上下方向に延びる円筒状をなしている。排出路用ノズル33は、下板42の下面から下方に突出する円筒状の基部60と、基部60の先端部に設けられる第1ノズル部61と、第1ノズル部61の先端側に設けられる第2ノズル部62と、第1ノズル部61と第2ノズル部62とを連結させる固定具63と、を有する。基部60の基端側の外周には、径方向外方に張り出したフランジ64が設けられており、このフランジ64が下板42にネジ止めによって連結されることで、排出路用ノズル33が円板状部材31に連結される。
【0026】
第1ノズル部61には、基部60内の通路60Aに連なり、上下方向に延びる断面円形の直進通路61Aが形成されている。直進通路61Aは、排出路用ノズル33の周方向に等間隔で複数(本実施例では4)形成されている。直進通路61Aの直径は、基部60内の通路60Aの直径よりも小さい。
【0027】
第2ノズル部62は、第1ノズル部61の先端側を覆うカバー部65と、カバー部65と第1ノズル部61との間に隙間を形成するスペーサ部66と、を有する。スペーサ部66は、第1ノズル部61の直進通路61Aよりも径方向内側に配置される。このため、第1ノズル部61と第2ノズル部62との間には、直進通路61Aに連なる交差通路62Aが形成される。交差通路62Aは、直進通路61Aに対して交差(より具体的には直交)し、径方向外方に放射状に広がり、排出路用ノズル33の開口33Bに連なる。つまり、排出路用ノズル33の開口33Bは、第1ノズル部61の外周面と、第2ノズル部62の外周面との間に全周にわたって形成されており、排出路用ノズル33の径方向外方を向いている。
【0028】
駆動機構70は、例えばエアシリンダであり、エアブロー機構30を昇降させて、塗料タンク110内をエアブローする清掃位置と、清掃位置とは異なる待機位置との間で移動させる。駆動機構70は、シリンダ71と、ピストンロッド72とを有する。シリンダ71は、支持部材90を介して側壁91に固定されている。ピストンロッド72は、シリンダ71に対して上下に移動する。ピストンロッド72の先端部は、駆動機構連結部36を介して、円板状部材31に連結されている。したがって、ピストンロッド72が上下に移動するのに伴って、エアブロー機構30が昇降する。
【0029】
塗料タンク110は、図5に示すように、粉体塗料111を収容するタンク本体120と、タンク本体120の下部に設けられるバルブ130と、を有する。タンク本体120は、平面視において円形をなす円筒部121と、円筒部121の下側の開口を塞ぐ多孔板122と、多孔板122の下方から多孔板122の上方に流動化用のエアを供給する流動化用エア供給部123と、を有する。タンク本体120は、円筒部121と多孔板122とによって粉体塗料111を収容する収容空間を区画している。収容空間は、上方に開放されている。多孔板122には、粉体塗料111の粒子の外形よりも小さい孔が多数形成されている。収容空間内に収容された粉体塗料111は、多孔板122の孔を通過せず、多孔板122の上側に堆積する。流動化用エア供給部123には流動化用エア流入口125が形成されている。流動化用エア流入口125から流入したエアは、多孔板122の孔を通過して、多孔板122の上側に堆積した粉体塗料111を流動化させる。これにより、図示しない静電塗装ガンへの粉体塗料111の供給安定性が確保される。
【0030】
タンク本体120の底面には、排出口126が形成されている。タンク本体120の底面は、多孔板122の上面のことである。排出口126は、収容空間内の粉体塗料111を外部に排出させる排出路140に連なっている。排出路140は、タンク本体120の多孔板122及び流動化用エア供給部123を貫通し、バルブ130内部を通過している。
【0031】
バルブ130は、例えばピンチバルブであり、より具体的には、空気圧によって流路を開閉させる空圧式ピンチバルブである。バルブ130は、バルブケース131と、バルブケース131内に配置されるゴム製のチューブ132と、を有する。チューブ132内には、排出路140の少なくとも一部が形成されている。バルブ130は、バルブケース131内の空気が加圧されることで排出路140を閉塞し、バルブケース131内の空気が減圧されることで排出路140を開放する。
【0032】
清掃装置10は、図4に示すように、制御部80を備える。制御部80は、CPU、ROM、RAMなどを有する。制御部80は、図示しないエア供給源と各機器との間に設けられた電磁弁を制御することで各機器へのエアの供給を制御し、図示しない排気口と各機器との間に設けられた電磁弁を制御することで各機器からのエアの排気を制御する。制御部80は、駆動機構70のシリンダ71内へのエアの供給又はシリンダ71からのエアの排気を行うことで、ピストンロッド72を上下に移動させ、エアブロー機構30を上下に移動させる。制御部80は、ホース35を通じてエアブロー機構30にエアを供給し、エアブロー機構30にエアブローさせる。制御部80は、塗料タンク110の流動化用エア供給部123にエアを供給し、流動化用エア供給部123に多孔板122の下方からエアを供給させる。制御部80は、バルブ130のバルブケース131内の空気を加圧又は減圧し、排出路140を開閉させる。
【0033】
[清掃装置及び清掃ユニットの作用・効果]
塗装中においては、図5に示すように、バルブ130によって排出路140が閉塞され、塗料タンク110内に粉体塗料111が収容されている。そして、塗料タンク110内の粉体塗料111が吸引装置100の吸引管101によって吸引され、図示しない静電塗装ガンに供給される。吸引装置100は、複数の吸引管101と、複数の吸引管101を互いに連結させる吸引管ベース連結板102と、を有しており、複数の吸引管101によって粉体塗料111を吸引する。塗装が終了すると、図6に示すように、吸引装置100が上昇して、塗料タンク110内から引き出される。その後、塗料タンク110は、図示しない塗料タンク移動装置により自動的に移動し、図7に示すように、清掃装置10の真下に配置される。そして、排出路140がバルブ130によって開放されることで、塗料タンク110内の粉体塗料111の大部分が排出路140から排出される。しかし、塗料タンク110の内周面や、多孔板122の上面には、粉体塗料111が残っている。この塗料タンク110内に残った粉体塗料111が、清掃装置10によって除去される。
【0034】
清掃装置10は、塗料タンク110内を清掃する清掃処理を開始する前、図7に示す待機位置に配置されている。つまり、待機位置は、本実施例では、塗料タンク110の上方(より具体的には真上)である。清掃装置10は、清掃処理開始条件が成立した場合に、清掃処理を開始する。清掃処理開始条件は、例えば、操作部92によって清掃開始操作が行われたことである。
【0035】
清掃装置10は、清掃処理を開始すると、駆動機構70を駆動させて、エアブローしていないエアブロー機構30を待機位置から徐々に下降させる。清掃装置10は、エアブロー機構30が図8に示す清掃開始位置に到達すると、エアブロー機構30に塗料タンク110内をエアブローさせる。具体的には、清掃装置10は、各外周ノズル32の開口32B及び排出路用ノズル33の開口33Bからエアを噴出させる。清掃装置10は、エアブロー機構30にエアブローさせる際、継続的にエアを噴出させるようにしてもよいし、間欠的にエアを噴出させるようにしてもよい。清掃開始位置は、図8に示すように、排出路用ノズル33の開口33Bが塗料タンク110内に配置され、且つ外周ノズル32の開口32Bが塗料タンク110の上端よりも上方に配置される位置に設定されている。つまり、清掃装置10は、外周ノズル32が塗料タンク110内に進入する前からエアブローを開始する。
【0036】
清掃装置10は、エアブロー機構30が清掃開始位置に到達すると、エアブロー機構30にエアブローさせながらエアブロー機構30を徐々に下降させる。図9に示すように、エアブロー機構30は、塗料タンク110内に収まる大きさとなっている。具体的には、外周ノズル32は、円板状部材31の外周よりも径方向内側に配置されており、円板状部材31の外径は、塗料タンク110の内径(より具体的には円筒部121の内径)よりも小さい。このため、エアブロー機構30は、塗料タンク110の内部に進入可能となっている。したがって、エアブロー機構30は、塗料タンク110内を下降しながら、外周ノズル32の開口32Bから、塗料タンク110の内周面にエアを噴射させる。これにより、塗料タンク110の内周面に残った粉体塗料111は、塗料タンク110の底側に飛ばされ、排出路140から排出される。
【0037】
特に、外周ノズル32は、円板状部材31の外周側に配置されている。よって、エアブロー機構30は、外周ノズル32によって、塗料タンク110の内周面に近い位置でエアを噴射させることができる。このため、塗料タンク110の内周面に残った粉体塗料111を効果的に除去することができる。
【0038】
更に、外周ノズル32の開口32Bは、平面視において円板状部材31の接線に沿う方向を向いて配置されている。よって、外周ノズル32から噴射されるエアは、塗料タンク110の内周面に沿って流れる。このため、塗料タンク110の内周面に残った粉体塗料111を塗料タンク110の内周面に沿って移動させることができ、その結果、粉体塗料111が広範囲に飛散するのを抑制しつつ除去することができる。
【0039】
更に、外周ノズル32は、円板状部材31の第1スペーサ43の下面(つまり、塗料タンク110の底面に対向する対向面)に配置されている。よって、塗料タンク110の内周面から除去された粉体塗料111が塗料タンク110外に排出される経路が、円板状部材31によって制限される。このため、塗料タンク110の内周面から除去した粉体塗料111が塗料タンク110の上面開口部から塗料タンク110外へ飛散するのをより効果的に防止することができる。なお、塗料タンク110の底面は、タンク本体120の底面のことであり、多孔板122の上面のことである。
【0040】
更に、塗料タンク110の底面には、排出口126が形成されており、清掃装置10の外周ノズル32の開口32Bが塗料タンク110の底面側に傾斜して配置されている。よって、外周ノズル32から噴射されるエアによって排出口126に向かう空気流が生成される。このため、塗料タンク110の内周面に残った粉体塗料111を排出口126から好適に排出させることができる。
【0041】
また、排出路用ノズル33は、開放された状態の排出路140内に収まる大きさに構成されている。具体的には、排出路用ノズル33の外径は、開放された状態の排出路140の直径よりも小さい。よって、排出路用ノズル33は、開放された状態の排出路140内に進入可能となっている。排出路用ノズル33は、エアブロー機構30が清掃開始位置に到達したときに、排出路140外に配置されている。排出路用ノズル33は、エアブロー機構30が下降するにつれて、排出路140内に進入する。そして、排出路用ノズル33は、排出路140内にエアを噴出させる。このように、清掃装置10は、排出路用ノズル33から排出路140内にエアを噴出させることで排出路140内も清掃することができる。
【0042】
更に、清掃装置10は、外周ノズル32と排出路用ノズル33から噴出されたエアを排出路140から排気させる。よって、清掃ユニット1は、バルブ130内の通路を利用して、塗料タンク110内の粉体塗料111を排出させることができる。
【0043】
清掃装置10は、エアブロー機構30にエアブローさせながら、エアブロー機構30を、図9に示す下端位置まで下降させる。清掃装置10は、下端位置まで到達すると、エアブローを終了する。つまり、本実施例では、清掃開始位置から下端位置までが「清掃位置」となっている。清掃装置10は、エアブローを終了した後、エアブロー機構30を待機位置に戻して、清掃処理を終了する。
【0044】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば 次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0045】
エアブロー中のエアブロー機構30の動作は、上記実施例1の構成に限らない。例えば、エアブロー機構30は、上下に往復移動しながらエアブローするようにしてもよい。また、円板状部材31を周方向に回転可能とした上で、エアブロー機構30は、円板状部材31を回転させながらエアブローするようにしてもよい。
【0046】
エアブロー機構30の移動方向は、上下方向に限らない。例えば、エアブロー機構30は、上下方向に対して傾斜した方向に移動可能であってもよいし、互いに異なる複数方向に移動可能であってもよい。
【0047】
清掃開始位置は、外周ノズル32の開口32Bが塗料タンク110内に配置される位置であってもよい。
【0048】
外周ノズル32の開口32Bは、塗料タンク110の底面側に傾斜していなくてもよい。例えば、外周ノズル32の開口32Bは、塗料タンク110の底面と平行な方向を向いて配置されてもよいし、塗料タンク110の底面を向いて配置されてもよい。
【0049】
排出路用ノズル33の開口33Bは、エアブロー機構30の径方向外方に対して塗料タンク110の底面側に傾斜して配置されてもよい。つまり、排出路用ノズル33の開口33Bは、斜め下方を向いて配置されてもよい。この構成によれば、エアブロー機構30は、排出路用ノズル33が排出路140外に配置された状態においても、排出路140内にエアを噴出させることができる。この場合、排出路用ノズル33は、排出路140内に進入可能な構成でなくてもよい。具体的には、排出路用ノズル33の外径が、排出路140の直径よりも大きくてもよいし、排出路用ノズル33が排出路140内まで移動しない構成としてもよい。
【0050】
エアブロー機構30は、排出路用ノズル33を有していなくてもよい。
【0051】
塗料タンク110は、排出口126、排出路140及びバルブ130を有していなくてもよい。
【0052】
上記実施例1では、各部材をネジ止めによって連結させる構成としたが、各部材を溶接など別の手段によって連結させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…清掃ユニット
10…清掃装置
30…エアブロー機構
31…円板状部材
32…外周ノズル
32B…外周ノズルの開口
33…排出路用ノズル
33B…排出路用ノズルの開口
70…駆動機構
110…塗料タンク
111…粉体塗料
120…タンク本体
126…排出口
130…バルブ
140…排出路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9