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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】食料生産システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20170101AFI20240430BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A01K63/00 Z
A01K63/04 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023062118
(22)【出願日】2023-04-06
【審査請求日】2024-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523129572
【氏名又は名称】ワイコフ 尚江
(73)【特許権者】
【識別番号】523129583
【氏名又は名称】ジェフリー スコット ワイコフ
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】ワイコフ 尚江
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー スコット ワイコフ
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特許第6876187(JP,B1)
【文献】特開2016-77268(JP,A)
【文献】特開2020-74761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00 - 63/10
A01G 31/00 - 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水生生物を養殖するための養殖水槽と、
植物を水耕栽培するための水耕栽培水槽と、
前記養殖水槽から排出され、かつ、異物を含む水を前記水耕栽培水槽へ送る第1経路と、
前記水耕栽培水槽から排出される水を前記養殖水槽へ送る第2経路と、
を有する食料生産システムであって、
前記第1経路を通る水を物理的に分離することにより、異物と水とを分離する物理分離部と、
前記物理分離部により分離された水を生物処理することにより、異物と水とに再度分離する生物濾過部と、
前記物理分離部で分離された水を前記生物濾過部へ送る第3経路と、
前記第3経路に設けられ、かつ、前記物理分離部で分離された水を前記生物濾過部へ送る前に貯える第1タンクと、
を有する、食料生産システム。
【請求項2】
請求項1記載の食料生産システムであって、
前記第1経路に設けられ、かつ、前記物理分離部から排出される水から栄養分を抽出する栄養分抽出装置と、
前記栄養分抽出装置で抽出された栄養分を濃縮して肥料を生成する肥料生成装置と、
を有する、食料生産システム。
【請求項3】
請求項2記載の食料生産システムであって、
前記肥料生成装置が栄養分を濃縮する過程で除去された水を貯え、かつ、貯えた水を前記水耕栽培水槽へ送る第2タンクが、更に設けられている、食料生産システム。
【請求項4】
請求項2記載の食料生産システムであって、
前記栄養分抽出装置で栄養分が抽出されて前記水耕栽培水槽へ送られる水に所定の成分添加する機能と、前記肥料生成装置で生成される前記肥料に所定の成分を添加する機能と、を有する成分添加装置が更に設けられている、食料生産システム。
【請求項5】
請求項1記載の食料生産システムであって、
前記生物濾過部で分離された水を前記養殖水槽へ送る第4経路と、
前記第4経路に設けられ、かつ、前記養殖水槽へ送る水から窒素を除去する脱窒装置と、
を有する、食料生産システム。
【請求項6】
請求項5記載の食料生産システムであって、
前記第3経路に設けられ、かつ、前記生物濾過部へ送られる水から二酸化炭素を除去する二酸化炭素除去装置を更に有する、食料生産システム。
【請求項7】
請求項1記載の食料生産システムであって、
前記第1タンクから前記養殖水槽へ送られる水に酸素を供給し、かつ、電力で駆動される酸素供給機を更に有する、食料生産システム。
【請求項8】
請求項7記載の食料生産システムであって、
前記養殖水槽へ第5経路を介して酸素を供給する酸素ボンベと、
前記第5経路を開閉する電磁弁と、
を有し、
前記電磁弁は、電力が供給されていると前記第5経路を閉じ、かつ、電力が遮断されると前記第5経路を開く構成である、食料生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、魚介類等の水生生物を養殖するための養殖水槽と、植物を水耕栽培するための水耕栽培水槽との間において水を循環させることができる、食料生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
魚介類等の水生生物を養殖するための養殖水槽と、植物を水耕栽培するための水耕栽培水槽との間において水を循環させる、食料生産システムの一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている食料生産システムは、水生生物を養殖するための養殖水槽と、植物を水耕栽培するための水耕栽培水槽と、養殖水槽からの排水を処理して、処理水を水耕栽培水槽に供給する循環部と、水耕栽培水槽からの排水を養殖水槽に提供する配管と、を備えている。特許文献1に記載された食料生産システムは、固液分離部と、液肥生成部と、液肥貯留タンクと、栄養分調整部とを備える。
【0003】
固液分離部は、養殖水槽からの排水を、水生生物の糞および食べ残し餌などの不純物と、不純物を除去した処理水とに固液分離するろ過装置である。固液分離部は、分離した不純物を液肥生成部に供給する。液肥生成部は、不純物を分解して、植物の栄養分である液肥を生成する装置である。液肥生成部は、例えば、サイズの大きい不純物は粉砕した上で、バクテリアなどの好気性菌による生物処理により、不純物に含まれる窒素分を硝酸塩などの肥料成分にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6876187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されている食料生産システムにおいては、物理濾過部(固液分離部)及び生物濾過部(液肥生成部)のそれぞれについてのリスク管理に着目されておらず、その点で改善の余地がある、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、物理濾過部及び生物濾過部のそれぞれについてのリスク管理を容易に行うことが可能な食料生産システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、水生生物を養殖するための養殖水槽と、植物を水耕栽培するための水耕栽培水槽と、前記養殖水槽から排出され、かつ、異物を含む水を前記水耕栽培水槽へ送る第1経路と、前記水耕栽培水槽から排出される水を前記養殖水槽へ送る第2経路と、を有する食料生産システムであって、前記第1経路を通る水を物理的に分離することにより、異物と水とを分離する物理分離部と、前記物理分離部により分離された水を生物処理することにより、異物と水とに再度分離する生物濾過部と、前記物理分離部で分離された水を前記生物濾過部へ送る第3経路と、前記第3経路に設けられ、かつ、前記物理分離部で分離された水を前記生物濾過部へ送る前に貯える第1タンクと、を有する、食料生産システムを構成した。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、物理濾過部及び生物濾過部のそれぞれについてのリスク管理を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】食料生産システムの一例を示す概念図である。
図2】食料生産システムに適用できる制御系統を示すブロック図である。
図3】食料生産システムの制御部で実行される制御を包括して示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(概要)
本実施形態には、食料生産システム及び食料生産方法が開示されている。具体的に説明すると、窒素循環を利用した植物生産システム及び窒素循環を利用した肥料生産システムが開示されている。また、窒素循環を利用した植物生産方法及び窒素循環を利用した肥料生産方法が開示されている。食料生産システムは、養殖水槽、水耕栽培水槽及び中継部を有する。中継部は、物理分離部及び生物濾過部を有する。物理分離部は、養殖水槽から排出される排出物を受け取り、排出物を、異物と水とに分離する。また、物理分離部と生物分離部とを接続する通路が設けられている。通路は、物理分離部から排出される水を、生物分離部へ送る機能を有する。さらに、タンクが通路に設けられている。
【0011】
つまり、物理分離部と生物濾過部とが、タンクにより隔てられている。したがって、中継部は、物理分離部及び生物濾過部のそれぞれについてのリスク管理を、容易に行うことが可能である。また、物理分離部で分離された固体は、濃縮されて肥料が生成される。したがって、中継部は、物理分離部から排出される固体を肥料そして再利用可能である。本実施形態は、中継部のいくつかの実施例を含む。中継部のいくつかの実施例は、図面を参照して説明されている。図面に示される同一要素には、同一の符号が付与されている。
【0012】
(構成)
食料生産システム10は、養殖部としての養殖水槽11、水耕栽培部としての水耕栽培水槽12、及び中継部13を有する。養殖水槽11と中継部13とが、複数の通路22,23,24,29を介して接続されている。水耕栽培水槽12と中継部13とが、複数の通路25,26,27を介して接続されている。中継部13は、養殖水槽11と水耕栽培水槽12との間において、水、栄養素、等を循環させる役割を有する。中継部13は、ドラムフィルター14、養殖用サンプタンク15、水耕用サンプタンク16、生物濾過装置17、栄養分保持タンク18、脱窒装置19、二酸化炭素除去装置20等を有する。
【0013】
養殖水槽11は、食料となる魚介類などの水生生物を養殖するための水槽である。養殖水槽11へは、水源21から水が加水される。養殖水槽11へ加水される水は、例えば、井戸水、水道水、雨水等を含む。水道水は、カルキが除去されてから養殖水槽11へ加水される。雨水は、浄水器で異物が除去されてから養殖水槽へ加水される。養殖水槽11への加水は、養殖水槽11における水の蒸発による水量低下を補うために行われる。養殖水槽11から通路22へ水が排出される。養殖水槽11から排出される水には、異物、例えば、水生生物の排泄物、残渣、浮遊物、固形物が含まれている。養殖水槽11から通路22へ排出された水は、ドラムフィルター14へ送られる。
【0014】
また、水耕栽培水槽12から排出される水の一部は、水耕用サンプタンク16、及び通路28,29を経由して養殖水槽11へ送られる。さらに、養殖水槽11へは、養殖用サンプタンク15の水が、通路23を介して供給される。さらに、養殖水槽11に通路24が接続されている。また、非常用の酸素ボンベ58が設けられている。酸素ボンベ58は、停電時に、通路59から養殖水槽11へ酸素を供給するために設けられている。通路59には、電磁弁60が設けられている。電磁弁60は、酸素ボンベ58から養殖水槽11へ供給される酸素量を調整する機能を有する。電磁弁60は、電力が供給されていると通路59を遮断し、かつ、電力が遮断されると通路59を開く構成である。
【0015】
水耕栽培水槽12は、食料となる植物、例えば、野菜、果物を水耕栽培することができる水槽である。また、水耕栽培水槽12は、食料以外の観葉植物を水耕栽培することもできる。水耕栽培水槽12へは、水耕用サンプタンク16の水が、通路25を介して供給される。また、水耕栽培水槽12へは、栄養分保持タンク18の水が、通路26を介して供給される。水耕用サンプタンク16及び栄養分保持タンク18は、それぞれ後述する。水耕栽培水槽12では、水に含まれる有機物が、水耕栽培される植物の窒素源として吸収されることで水が浄化される。水耕栽培水槽12で浄化された水の一部は、通路27を介して水耕用サンプタンク16へ送られる。また、水耕用サンプタンク16の水の一部は、通路28及び通路29を介して養殖水槽11へ送られる。
【0016】
ドラムフィルター14は、モータにより回転される遠心分離装置である。養殖水槽11から排出された水は、通路22を介してドラムフィルター14へ送られる。内部に水を収容したドラムフィルター14が回転されると、異物を含む水が強制的に濾過され、異物と水とに分離される。つまり、ドラムフィルター14は、脱水装置及び物理濾過部としての機能を有する。
【0017】
ドラムフィルター14により固液分離を行う場合、予め設定されたタイミング、例えば、タイマーにより定められた時間毎に、エアーで逆洗する。逆洗とは、ドラムフィルター14内で水の流れ方向における下流側から上流側へ向けて、エアーもしくは水(養殖水)を吹き付けることにより、ドラムフィルター14に詰まった汚れ物体を洗浄する工程を意味する。ドラムフィルター14で分離された固形物、つまり、異物は、通路30を介して栄養分抽出タンク31へ供給される。栄養分抽出タンク31は、後述する。また、ドラムフィルター14で分離された水は、通路32を介して養殖用サンプタンク15へ送られる。
【0018】
養殖用サンプタンク15は、ドラムフィルター14から排出される水を貯え、かつ、養殖水槽11の水量を調整する機能を有する。養殖用サンプタンク15は、重力の作用方向、つまり、鉛直方向で生物濾過装置17より低い位置に設けられている。養殖用サンプタンク15は、例えば、地中へ埋められている。養殖用サンプタンク15に貯えられた水の一部は、通路33を経由して水耕用サンプタンク16へ送られる。
【0019】
また、養殖用サンプタンク15に貯えられた水の一部は、通路34を経由して酸素溶解機35へ送られる。酸素溶解機35は、通路23に接続されている。酸素溶解機35は、後述する。また、養殖用サンプタンク15の水は、必要に応じて排水路38へ排出される。さらに、養殖用サンプタンク15と二酸化炭素除去装置20とを接続する通路36が設けられ、ポンプ37が通路36に設けられている。ポンプ37は、養殖用サンプタンク15に貯えられた水の一部を吸い込み、かつ、ポンプ37から吐出された水は、二酸化炭素除去装置20へ送られる。
【0020】
養殖用サンプタンク15から二酸化炭素除去装置20へ送られる水には、水生生物の呼吸で生じた二酸化炭素が含まれている。二酸化炭素除去装置20は、水に含まれる二酸化炭素を除去する。二酸化炭素除去装置20は、例えば、水素細菌により、水中の二酸化炭素(CO2)を吸収して除去する。また、二酸化炭素除去装置20へ酸素を供給する酸素ボンベ45が設けられており、水素細菌の活性化が促進される。そして、二酸化炭素除去装置20で二酸化炭素が除去され、かつ、酸素を豊富に含む水は、通路46を通って生物濾過装置17へ送られる。
【0021】
生物濾過装置17は、水を濾過し、かつ、水に含まれる不純物を分解して、植物の栄養分となる排泄物を生成する装置である。生物濾過装置17は、例えば、サイズの大きい不純物は粉砕した上で、バクテリア等の好気性菌による生物処理により、不純物に含まれる窒素分を硝酸塩などの排泄物にする。排泄物の生成の際には、好気性菌が活動しやすいようにエアレーションが行われる。生物濾過装置17で分離された排泄物は、通路43を介して栄養分抽出タンク31へ送られる。また、生物濾過装置17で排泄物を得る過程で生じた濾過水は、通路42へ排出される。本実施形態において、ドラムフィルター14と生物濾過装置17とは、物理的に分離されている。そして、ドラムフィルター14から排出される水を生物濾過装置17へ送る経路に、養殖用サンプタンク15及び二酸化炭素除去装置20が設けられている。
【0022】
生物濾過装置17から通路42へ排出された濾過水は、脱窒装置19へ送られる。脱窒装置19は、濾過水を処理することにより、水に含まれる窒素を除去する装置である。脱窒装置19では、例えば、水中のアンモニア態窒素を、曝気槽内で脱窒素細菌(硝化細菌)の作用により、亜硝酸及び硝酸イオンに変化させる硝化反応と、この水を嫌気槽に導いて酸素を絶ち、これらのイオンに含まれる酸素が微生物に利用され、窒素ガスが放出される脱窒素反応と、が行われる。また、脱窒装置19の曝気槽へ酸素を供給する酸素ボンベ72が設けられており、脱窒細菌(硝化細菌)の活性化が促進される。そして、脱窒装置19で窒素が除去された水は、通路44を通って殺菌装置47へ送られる。殺菌装置47は、脱窒装置19から送られる水を殺菌して通路24へ排出する。殺菌装置47は、例えば、水に紫外線を照射して殺菌する。通路24へ排出された水は、養殖水槽11へ送られる。
【0023】
水耕用サンプタンク16は、水耕栽培水槽12から通路27を介して送られる水、及び養殖用サンプタンク15から通路33を介して送られる水を貯え、かつ、水耕栽培水槽12の水量を調整する機能を有する。水耕用サンプタンク16は、重力の作用方向において、養殖用サンプタンク15より低い位置に設けられ、かつ、水耕栽培水槽12より低い位置に設けられている。水耕用サンプタンク16は、たとえば、地中へ埋められている。養殖用サンプタンク15に溜められた水の一部は、自重で水耕用サンプタンク16へ供給される。
【0024】
通路25は、水耕用サンプタンク16と水耕栽培水槽12とを接続しており、ポンプ39が通路25に設けられている。ポンプ39は、水耕用サンプタンク16に貯えられた水を吸い込み、かつ、ポンプ39から吐出された水は、水耕栽培水槽12へ供給される。また、通路25におけるポンプ39と水耕栽培水槽12との間に酸素供給機40が設けられている。酸素供給機40は、水耕用サンプタンク16から水耕栽培水槽12へ供給される水の酸素濃度を高める。なお、水耕用サンプタンク16の水は、必要に応じて排水路41へ排出される。
【0025】
ドラムフィルター14から排出された固形物及び排泄物は、通路30を通って栄養分抽出タンク31へ送られる。また、生物濾過装置17から排出された排泄物は、通路43を通って栄養分抽出タンク31へ送られる。栄養分抽出タンク31は、固形物及び排泄物に含まれる栄養水を抽出する。栄養分抽出タンク31は、例えば、好気性細菌及び嫌気性細菌により、固形物及び排泄物を処理することにより、固形物及び排泄物に含まれる栄養分を抽出する。また、栄養分抽出タンク31へ酸素を供給する酸素供給装置48が設けられている。酸素供給装置48は、栄養分抽出タンク31で栄養分を抽出する処理に用いる好気性細菌の活性化を促進させる。
【0026】
栄養分抽出タンク31で抽出された栄養分は、通路49を介して栄養分保持タンク18へ送られる。栄養分保持タンク18は、栄養分抽出タンク31から排出される栄養水を、一旦、溜める役割を有する。栄養分保持タンク18の栄養水は、通路26を通って水耕栽培水槽12へ送られる。
【0027】
栄養分抽出タンク31において栄養分が抽出された残りのヘドロ状排泄物は、通路50を通って濃縮装置51へ送られる。濃縮装置51は、栄養分抽出タンク31から送られたヘドロ状排泄物を乾燥させて水分を除去することにより、肥料57を生成する。また、成分添加装置52が設けられている。成分添加装置52は、栄養分保持タンク18から水耕栽培水槽12へ送られる栄養水に微量な成分、及び微量な栄養成分を添加する機能と、濃縮装置51で生成される肥料57に微量な栄養成分、及び微量な成分を添加する機能と、を有する。成分添加装置52が添加する成分は、例えば、栄養分抽出タンク31でモニタリングされる成分のうち、不足している成分を補うように定められる。栄養分抽出タンク31でモニタリングされる成分は、後述する。なお、濃縮装置51で除去された水分は、通路53及び通路33を通って水耕用サンプタンク16へ送られる。
【0028】
酸素溶解機35には、酸素ボンベ54が接続されている。酸素溶解機35は、例えば、電力により駆動されるベンチュリーミキサーである。ベンチュリーミキサーは、所定圧の水がノズルを通過するとき、ノズルの外周に発生する負圧で酸素ボンベ54から酸素を吸引し、かつ、水と酸素とを混合する。このように、酸素溶解機35は、養殖用サンプタンク15から送られる水の酸素濃度を高める機能を有する。酸素溶解機35で酸素濃度が高められた水は、通路23を通って養殖水槽11へ供給される。
【0029】
さらに、通路28と通路29との間に、脱塩素装置55が設けられてもよい。脱塩素装置55は、水耕用サンプタンク16から通路29へ送られる水の塩素を除去する。脱塩素装置55は、例えば、塩素フィルター、または、活性炭により、水に含まれる塩素を吸着して除去する。また、脱塩素装置55で塩素が除去された水は、通路29を通って養殖水槽11へ供給される他に、通路29及び通路56を通って養殖用サンプタンク15にも送られる。通路56には、電磁弁61が設けられている。
【0030】
(モニタリング及び制御)
図2は、食料生産システム10に適用できる制御系統を示すブロック図である。図2には、モニタリング部62、制御部63、制御対象部64が示されている。モニタリング部62は、食料生産システム10が有する各種の装置及び機器をモニタリングする機能を有する。モニタリングは、各種の装置及び機器の状態を監視、観察、観測すること、各種の装置及び機器における物理量を測定、計測、検知、検出すること、を含む。モニタリング部62は、例えば、各種のセンサ、カメラ、等を有する。制御対象部64は、管理対象部と把握することもでき、制御対象部64は、酸素溶解機35、成分添加装置52、電磁弁、熱交換器、ドラムフィルター14のコンプレッサ、等を含む。
【0031】
制御部63は、ネットワークを介してモニタリング部62及び制御対象部64へ接続されるコンピュータである。制御部63は、中央演算処理回路67、通信部68、記憶部69、操作部70、及び表示部71を有する。操作部70は、利用者により操作され、その操作信号は、中央演算処理回路67へ入力される。利用者は、操作部70を操作することにより、食料生産システム10が有する装置及び機器の状態、各種の制御条件等を設定できる。表示部71は、タッチパネル、液晶モニタ、または、有機エレクトロルミネッセンスモニタ等であり、利用者は、表示部71を目視できる。表示部71の表示内容は、中央演算処理回路67により制御される。表示部71が、タッチパネルであると、表示部71は、操作部70の機能を兼ねることができる。
【0032】
中央演算処理回路67は、モニタリング部62から通信部68を介して入力される信号、操作部70の操作内容、及び記憶部69に記憶されている情報に基づいて、所定の処理及び判断を行い、処理結果及び判断結果に基づいて、制御信号を生成する。制御信号は、通信部68を介して、制御対象部64へ送信される。また、中央演算処理回路67は、処理結果及び判断結果を、記憶部69へ記憶する。記憶部65には、中央演算処理回路67が行う処理及び判断に用いられる情報、例えば、データ、マップ、基準値、操作部70の操作により設定された制御条件、操作部70の操作により設定された装置及び機器の状態等が記憶されている。さらに、記憶部65には、中央演算処理回路67で実行される各種のソフトウェア及びプログラムが記憶されている。
【0033】
(食料生産システムの稼働例)
食料生産システム10の稼働例は、次のようなものである。水源21から水が養殖水槽11へ供給される。また、酸素ボンベ58の酸素が通路59を通って養殖水槽11へ供給される。養殖水槽11では、魚介類等の水生生物が養殖される。養殖水槽11から通路22へ排出される水には、水生生物の排泄物が混入されている。養殖水槽11から通路22へ排出された水は、ドラムフィルター14へ送られる。
【0034】
ドラムフィルター14が回転されると、遠心力により養殖水が強制的に濾過され、水が異物と水とに分離される。ドラムフィルター14で分離された異物、例えば、排泄物及び固形物は、通路30を通って栄養分抽出タンク31へ送られる。栄養分抽出タンク31は、排泄物及び固形物に含まれる栄養水を抽出する。栄養分抽出タンク31から排出される水は、水耕栽培水槽12へ一旦、貯えられる。栄養分保持タンク18の水は、通路26を通って水耕栽培水槽12へ送られる。
【0035】
水耕栽培水槽12では、水に含まれる有機物が、水耕栽培される植物の窒素源として吸収されることで水が浄化される。水耕栽培水槽12で浄化された水は通路27へ排出された後、水耕用サンプタンク16へ送られる。水耕用サンプタンク16の水の一部は、通路28及び通路29を通って養殖水槽11へ送られる。ポンプ39は、水耕用サンプタンク16から水を吸い込み、かつ、水を水耕栽培水槽12へ供給する。また、酸素供給機40は、水耕用サンプタンク16から水耕栽培水槽12へ供給される水の酸素濃度を高める。
【0036】
なお、水耕用サンプタンク16の水は、必要に応じて排水路41へ排出される。さらに、通路28と通路29との間に、脱塩素装置55が設けられていると、脱塩素装置55は、水耕用サンプタンク16から養殖水槽11へ送られる水の塩素を除去する。
【0037】
一方、ドラムフィルター14で分離された水は、通路32を通って養殖用サンプタンク15へ送られる。養殖用サンプタンク15は、ドラムフィルター14から供給される水を貯え、かつ、通路29及び通路56を通って送られる水を貯える。養殖用サンプタンク15に貯えられた水の一部は、通路33を経由して水耕用サンプタンク16へ送られる。また、養殖用サンプタンク15に貯えられた水の一部は、酸素溶解機35で酸素濃度が高められ、かつ、通路23を通って養殖水槽11へ送られる。
【0038】
ポンプ37は、養殖用サンプタンク15に貯えられた水の一部を吸い込み、かつ、生物濾過装置17へ送る。また、養殖用サンプタンク15の水の一部は、通路33を通って水耕用サンプタンク16へ送られる。さらに、養殖用サンプタンク15の水の一部は、排水路38へ排出される。
【0039】
生物濾過装置17は、養殖用サンプタンク15から排出された水に含まれる不純物を分解して、植物の栄養分となる排泄物を生成する。生物濾過装置17で分離された排泄物は、通路43を介して栄養分抽出タンク31へ送られる。生物濾過装置17において栄養分が抽出された残りのヘドロ状排泄物は、通路50を介して濃縮装置51へ送られる。
【0040】
濃縮装置51は、栄養分抽出タンク31から送られるヘドロ状排泄物を乾燥させて水分を除去することにより、肥料57を生成する。成分添加装置52は、栄養分保持タンク18から水耕栽培水槽12へ送られる栄養水に微量な成分、及び微量な栄養成分を添加し、かつ、濃縮装置51で生成される肥料57に微量な栄養成分、及び微量な成分を添加する。なお、濃縮装置51で除去された水分は、通路53及び通路33を介して水耕用サンプタンク16へ送られる。
【0041】
さらに、生物濾過装置17で排泄物を得る過程で生じた濾過水の一部は、通路42、通路46及び通路24を通って養殖水槽11へ送られる。生物濾過装置17で排泄物を得る過程で生じた濾過水の一部は、通路42を通って脱窒装置19へ送られる。脱窒装置19は、濾過水を処理することにより、水に含まれる窒素を除去する。脱窒装置19で窒素が除去された水は、通路44を通って二酸化炭素除去装置20へ送られる。二酸化炭素除去装置20で二酸化炭素が除去された水は、通路24を通って養殖水槽11へ送られる。
【0042】
(モニタリング例、制御例及び作業例)
【0043】
[養殖水槽11]
モニタリング部62は、養殖水槽11の水に関し、水素イオン指数[ph]、肥料濃度(EC)、溶存酸素濃度(溶存酸素量:DO)、アルカリ度、アンモニア濃度、亜硝酸塩濃度、硝酸塩濃度、総懸濁個体量、総溶解固形物量、水源21からの加水量、水位、水温、養殖用サンプタンク15からの水供給量、水耕用サンプタンク16からの水供給量、等をモニタリングする。モニタリング部62は、養殖水槽11の状態を含む信号を制御部63へ送る。制御対象部64は、養殖水槽11において、水源21からの加水量、養殖用サンプタンク15からの水供給量、水耕用サンプタンク16からの水供給量、等をそれぞれ制御する電磁弁を有する。制御部63は、制御対象部64の電磁弁をそれぞれ制御することにより、養殖水槽11の水位を調整できる。
【0044】
また、制御対象部64は、酸素溶解機35と酸素ボンベ54との間に設けられた電磁弁を有する。制御部63は、電磁弁を制御することにより、養殖水槽11の水の溶存酸素濃度を調整できる。さらに、停電時には、電動モータが停止されるため、酸素溶解機35が停止される。すると、通路23を通って養殖水槽11へ送られる水に、酸素を供給できなくなる。しかし、停電時には、電磁弁60へ電力が供給されず、電磁弁60が通路59を開く。このため、停電時には、酸素ボンベ58から養殖水槽11へ酸素が供給される。
【0045】
[水耕栽培水槽12]
モニタリング部62は、水耕栽培水槽12の水に関し、水素イオン指数[ph]、肥料濃度(EC)、溶存酸素濃度(DO)、水温、気温、水位、照度、アンモニア濃度、硝酸塩濃度、等をモニタリングする。制御対象部64は、通路25に設けられた電磁弁を有する。制御部63は、電磁弁を制御することにより、ポンプ39を通って水耕栽培水槽12へ供給される水量を制御する。
【0046】
制御対象部64は、遮光カーテン、発光ダイオード照明、熱交換器、空調装置、湿度調整装置、電磁弁等を有する。制御部63は、遮光カーテンを制御して調光する処理、発光ダイオード照明を制御して調光する処理、熱交換器を制御して気温を制御する処理、空調装置を制御して風向き、風量、二酸化炭素発散状態を調整する処理、湿度調整装置を制御して湿度を調整する処理、電磁弁を制御して水位を調整する処理、等を実行できる。なお、水耕栽培水槽12には、殺菌灯、防虫灯、等が設けられている。
【0047】
[ドラムフィルター14]
モニタリング部62は、ドラムフィルター14へ供給される水量、ドラムフィルター14から通路32へ排出される水量、ドラムフィルター14から通路30へ排出される排泄物及び固形物の量、等をモニタリンできる。制御対象部64は、ドラムフィルター14へ供給される水量を制御する電磁弁、ドラムフィルター14から排出される水量を制御する電磁弁、ドラムフィルター14から排出される排泄物及び固形物の量を制御する電磁弁と、を有する。制御部63は、各電磁弁を制御することができる。また、制御対象部64は、ドラムフィルター14のフィルターに圧縮エアーを吹き付けるコンプレッサを有する。また、ドラムフィルター14は、水(養殖水)を吹き付ける内蔵ポンプを備えている。制御部63は、記憶部69に予め記憶されているタイミングで、かつ、記憶部69に記憶された所定時間に亘りコンプレッサを起動させて、ドラムフィルター14を圧縮エアーで逆洗する制御を行う。さらに、制御部63は、記憶部69に予め記憶されているタイミングで、かつ、記憶部69に記憶された所定時間に亘り内蔵ポンプを起動させて、ドラムフィルター14に水(養殖水)を吹き付けて目詰まりを防ぐ機能を有する。上記のコンプレッサ及び内蔵ポンプは、制御対象部64に含まれる。
【0048】
[養殖用サンプタンク15]
モニタリング部62は、養殖用サンプタンク15の水温、養殖用サンプタンク15から養殖水槽11へ送られる水の流量、養殖用サンプタンク15から排水路38へ排出される水量、等をそれぞれモニタリングする。制御対象部64は、養殖用サンプタンク15の水温を調整する熱交換器を有する。また、制御対象部64は、養殖用サンプタンク15から養殖水槽11へ送られる水の流量を制御する電磁弁、及び養殖用サンプタンク15から排水路38へ排出される水量を制御する電磁弁を、それぞれ有する。
【0049】
制御部63は、これらの熱交換器、及び電磁弁をそれぞれ制御できる。さらに、制御対象部64は、電磁弁60を有する。そして、液肥で濃くなった水耕用サンプタンク16の水が、即座に、通路29,56を経由して養殖用サンプタンク15へ供給されることを制限するため、制御部63は、所定期間に亘って電磁弁61を閉じる制御を行える。所定期間は、記憶部69に記憶されている。所定期間は、例えば、栄養分保持タンク18の水が水耕栽培水槽12へ供給された時点から3日間である。
【0050】
[水耕用サンプタンク16]
モニタリング部62は、水耕用サンプタンク16の水位及び水温をモニタリングする。制御対象部64は、水耕用サンプタンク16へ供給される水量を調整する電磁弁、水耕用サンプタンク16から排出される水量を調整する電磁弁、水耕用サンプタンク16の水温を調整する熱交換器を有する。制御部63は、これらの電磁弁及び熱交換器を制御する。
【0051】
[生物濾過装置17]
固液分離後に生物濾過装置17から排出される固体の排出量が手作業で調整され、かつ、生物濾過装置17へ流入される水量が手作業で調整される。
【0052】
[脱窒装置19]
モニタリング部62は、脱窒装置19において、水の硝酸塩濃度及び溶存酸素濃度をモニタリングする。
【0053】
[二酸化炭素除去装置20]
モニタリング部62は、二酸化炭素除去装置20において、水の二酸化炭素濃度及び溶存酸素濃度をモニタリングする。
【0054】
[栄養分抽出タンク31]
モニタリング部62は、栄養分抽出タンク31において、水の水素イオン指数[ph]、溶存酸素濃度(DO)、肥料濃度(液肥濃度:EC)、水温、等をモニタリングする。また、モニタリング部62は、栄養分抽出タンク31において、水に含まれる微量な栄養成分、例えば、窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、等をモニタリングする。さらに、また、モニタリング部62は、栄養分抽出タンク31において、水に含まれる他の微量な成分、例えば、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ホウ素、モリブデン、ニル、等をモニタリングする。
【0055】
[成分添加装置52]
制御部63は、モニタリング部62が栄養分抽出タンク31でモニタリングした成分の実測値と、予め記憶部65に記憶されている基準値とを比較する。制御部63は、実測値が基準値に対して不足している場合、不足している成分を補うように、成分添加装置52を制御する。成分添加装置52は、濃縮装置51で生成される肥料57、及び栄養分保持タンク18から水耕栽培水槽12に供給される水に対し、不足している成分をそれぞれ添加する。記憶部69に記憶されている基準値は、実験、シミュレーションを行って定められたものである。
【0056】
(フローチャート)
図3は、制御部63で行われる処理を包括して示すフローチャートである。制御部63は、ステップS11において、モニタリング部62からモニタリング情報を取得する。制御部63は、ステップS12において、モニタリング情報を処理し、各種の判断を実行する。制御部63は、ステップS13において、モニタリング情報の処理及び判断結果に応じた制御信号を、制御対象部64へ送信し、図3の制御例を終了する。
【0057】
(本実施形態の効果)
食料生産システム10は、ドラムフィルター14と生物濾過装置17とが物理的に分離して設けられている。このため、ドラムフィルター14の状態管理と、生物濾過装置17の状態管理とを、別々に行うことが可能である。したがって、ドラムフィルター14で不具合が生じるリスクと、生物濾過装置17で不具合が生じるリスクとを分散できる。また、食料生産システム10は、養殖水槽11及び水耕栽培水槽12で生成される物質、例えば、排泄物及び固形物を回収し、濃縮装置51で濃縮して肥料57として再利用することができる。
【0058】
水耕用サンプタンク16と養殖用サンプタンク15との間で、通路28,56,33を介して水の循環が行われる。したがって、水耕栽培水槽12への水の供給と、養殖水槽11への水の供給とを、別々に管理できる。また、養殖用サンプタンク15から養殖水槽11へ送られる水には、酸素溶解機35で酸素が供給され、酸素濃度の高い水を、養殖水槽11へ供給できる。ドラムフィルター14で強制的に分離された水の一部が、養殖用サンプタンク15を介して生物濾過装置17へ送られる。したがって、生物濾過装置17の負荷を軽減できる。さらに、生物濾過装置17から排出される水の一部は、脱窒装置19で窒素が除去され、かつ、二酸化炭素除去装置20で二酸化炭素(CO2)が除去された後、養殖水槽11へ送られる。
【0059】
また、制御部63は、モニタリング部62でモニタリングされた情報及びデータのうち、実測値が基準値に対して不足していると判断した場合、制御部63は、モニタリングされる装置及び機器において、実測値が基準値に対して不足していることを、表示部71でアラート表示する。
【0060】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。食料生産システム10は、食料生産システムの一例である。養殖水槽11は、養殖水槽の一例である。水耕栽培水槽12は、水耕栽培水槽の一例である。通路22,30,49,26は、第1経路の一例である。通路27,28,29は、第2経路の一例である。通路32,36は、第3経路の一例である。通路42,44,24は、第4経路の一例である。通路59は、第5経路の一例である。ドラムフィルター14は、物理分離部の一例である。生物濾過装置17は、生物濾過部の一例である。養殖用サンプタンク15は、第1タンクの一例である。水耕用サンプタンク16は、第2タンクの一例である。栄養分抽出タンク31は、栄養分抽出装置の一例である。濃縮装置51は、肥料生成装置の一例である。成分添加装置52は、成分添加装置の一例である。脱窒装置19は、脱窒装置の一例である。二酸化炭素除去装置20は、二酸化炭素除去装置の一例である。酸素溶解機35は、酸素供給機の一例である。酸素ボンベ58は、酸素ボンベの一例である。電磁弁60は、電磁弁の一例である。
【0061】
本実施形態は、図面を用いて開示されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、第1経路乃至第5経路は、金属管、合成樹脂管、ホース、チューブ等により構成される通路である。物理分離部は、遠心分離の他に、濾過方式、圧力方式、反応方式を用いることもできる。また、図1に示す食料生産システムの一例において、脱窒装置19と殺菌装置47とを入れ替えて配置したレイアウトでもよい。このレイアウトでは、生物濾過装置17から通路42へ排出された水が、殺菌装置47を通り、次いで、脱窒装置19を通って通路24へ排出される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本実施形態は、魚介類等の水生生物を養殖するための養殖水槽と、植物を水耕栽培するための水耕栽培水槽と、を備える食料生産システムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10…食料生産システム、11…養殖水槽、12…水耕栽培水槽、14…ドラムフィルター、15…養殖用サンプタンク、16…水耕用サンプタンク、17…生物濾過装置、19…脱窒装置、20…二酸化炭素除去装置、22,24,26,27,28,29,30,32,36,42,44,49,59…通路、31…栄養分抽出タンク、35…酸素溶解機、51…濃縮装置、52…成分添加装置、58…酸素ボンベ、60…電磁弁
【要約】
【課題】物理濾過部及び生物濾過部のそれぞれについてのリスク管理を容易に行うことが可能な食料生産システムを提供する。
【解決手段】養殖水槽11と、水耕栽培水槽12と、養殖水槽11から排出される水を水耕栽培水槽12へ送る通路22,30,26と、水耕栽培水槽12から排出される水を養殖水槽11へ送る通路27,28,29と、を有する食料生産システム10であって、通路22を通る水を物理的に分離することにより、異物と水とを分離するドラムフィルター14と、ドラムフィルター14で分離された水を生物処理することにより、異物と水ととに再度分離する生物濾過装置17と、ドラムフィルター14で分離された水を生物濾過装置17へ送る通路32,36と、通路32に設けられた養殖用サンプタンク15と、を有する、食料生産システム10を構成した。
【選択図】図1
図1
図2
図3