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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】導線束分離装置及び導線束分離方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
H02K15/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024507072
(86)(22)【出願日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2023023949
【審査請求日】2024-02-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591248809
【氏名又は名称】株式会社エイシン技研
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】久保 幾營
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-155355(JP,A)
【文献】特開2008-167627(JP,A)
【文献】特開2022-157824(JP,A)
【文献】特開2012-55037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央孔及びその周囲の複数のスロットを有するステータコアと、
前記スロット内の接着された導線束であって、前記ステータコアの両端から露出した部分が切断除去された導線束と、
を有するステータから前記導線束を分離する導線束分離装置であって、
ステーと、
前記ステーの上部のプレス用アクチュエータと、
前記導線束が通過可能な空洞部及び前記空洞部の周囲の支持部を有する前記ステーの下部の支台と、
前記プレス用アクチュエータにより軸線上で上下に駆動されるプレス棒と、
前記ステータを間欠回転させる回転装置と、
を有するプレスユニットを有し、
前記スロットのいずれかが前記軸線に一致するように前記回転装置が前記ステータを間欠的に回転させ、前記プレス用アクチュエータが前記プレス棒を下降させることで、前記ステータコアの下面が前記支持部で支持された状態で前記プレス棒が前記スロットに侵入し、前記スロットから前記導線束が押出されることを特徴とする導線束分離装置。
【請求項2】
装置本体に固定された前記支台が通過可能な開口を有するテーブルと、
前記装置本体に固定された前記ステーを上下に案内するリニアガイドと、
前記ステーを上方向に付勢するバランススプリングと、
をさらに有し、
前記プレスユニットの重量と前記バランススプリングの付勢力のバランスにより、前記支台上面が前記テーブルの下方に位置するように前記ステーが支持され、
前記プレス棒の付勢力が前記テーブル上の前記ステータに加わることで、前記支持部が前記テーブル上の前記ステータコアの下面に当接する位置まで前記ステーが上昇することを特徴とする請求項1の導線束分離装置。
【請求項3】
前記回転装置が、
前記中央孔を通過可能な外形を有するチャック筐体と、
前記チャック筐体の異なる角度位置で径方向にスライド可能な複数のチャック爪と、
前記チャック筐体を間欠回転させるロータリーアクチュエータと、
を有するチャックユニットと、
前記チャックユニットを、
前記チャック筐体の上端が前記テーブルより下方に配置される原点高さ、
前記テーブルに載置された前記ステータの前記中央孔に前記チャック爪が係合可能な第1動作高さ、及び、
前記第1動作高さよりも上方の第2動作高さ、
の3つの高さ位置の間で上下動させるリニアアクチュエータと、
を有することを特徴とする請求項1の導線束分離装置。
【請求項6】
前記プレスユニットは、前記軸線上に形成された前記プレス棒を案内する案内穴を有する案内部材をさらに有し、
前記プレス棒は、先端部と、前記先端部よりも断面二次モーメントの大きい断面形状の基端部を有し、
前記案内穴は、前記先端部及び前記基端部のいずれもが通過可能な断面形状を有することを特徴とする請求項1の導線束分離装置。
【請求項7】
導線束分離装置を用いて、
中央孔及びその周囲の複数のスロットを有するステータコアと、
前記スロット内の接着された導線束であって、前記ステータコアの両端から露出した部分が切断除去された導線束と、
を有するステータから前記導線束を分離する導線束分離方法であって、
前記導線束分離装置は、
ステーと、
前記ステーの上部のプレス用アクチュエータと、
前記導線束が通過可能な空洞部及び前記空洞部の周囲の支持部を有する前記ステーの下部の支台と、
前記プレス用アクチュエータにより軸線上で上下に駆動されるプレス棒と、
前記ステータを間欠回転させる回転装置と、
を有するプレスユニットを有し、
前記スロットのいずれかが前記軸線に一致するように前記回転装置が前記ステータを間欠的に回転させ、前記プレス用アクチュエータが前記プレス棒を下降させることで、前記ステータコアの下面が前記支持部で支持された状態で前記プレス棒が前記スロットに侵入し、前記スロットから前記導線束が押出されることを特徴とする導線束分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央孔とその周囲のスロットが形成されたステータコアと、前記スロット内に接着された導線束を有するステータから前記導線束を分離する導線束分離装置及び導線束分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気を用いて走行する自動車には大きく分類して4種類があるが、これらはxEVと総称されている。最初に市販されたのはハイブリッド車であるが、販売開始からすでに20年が経過し、xEVのリサイクル技術の確立が大きな課題になりつつある。従来の自動車の解体・リサイクルと大きく異なる課題は、電池とxEVモーターの解体・リサイクルである。
【0003】
xEVモーターの解体・リサイクルについては技術的な手法は確立していないので、参考としてまず家電用モーターの解体について説明する。
【0004】
家電リサイクル法が施行されて以来、家庭用または業務用の冷蔵庫やエアコン、給水器、自動販売機などの冷却用コンプレッサーモーター(以下、黒モーターと称する)の解体技術が進化してきた。黒モーターを解体する場合、資源として最も価値があるのはコイル状に巻かれた導線(主に銅線)である。
【0005】
黒モーターは、冷媒用ガスを圧縮して高圧にするための機器であり、モーターと圧縮器を一体としてシェルと呼ばれる溶接した鉄の容器に密封されている。このシェルからの入出力は、ガスの吸い込みポート、吐出ポート及び電気を流すリード線のみであり、ガス漏れが無いよう完全に密封されている。このため、これを解体するのは容易ではない。
【0006】
一般的には、破砕機にかけて鉄、銅、ケイ素鋼鈑、アルミ、場合によってはレアアースを含む磁石などを粉砕し、後に分別する方法があるが、黒モーターは極めて頑丈なため、破砕機の刃が長持ちせず、また導線がからみつくなどのため必ずしも綺麗に分別できず、また鉄片に銅の粉末が付着するなどのため、完全に分離するのは困難である。
【0007】
もう一つの方法は、黒モーターの前記シェルを溶断または機械的に切断して、内容物を取り出し、更に細かく分解していく方法である。以下に黒モーターのその解体工程の概略を示す。
第一行程 黒モーターのシェル切断工程
ロータリー式黒モーターは上下2箇所、レシプロ式黒モーターは一箇所を円周に沿って切断する。切断方法は、ガスまたはプラズマによる溶断、切削による切断、あるいは塑性変形を利用した回転刃の食い込みによる切断などの方法がある。
第二行程 モーター部分と圧縮機の分離
導線が巻かれたステータを取り出す。
第三行程 導線の切断
ステータの両端に出ている導線の一方をステータ面に沿って切断する。
第四行程 導線の引き抜き
ステータを固定し、切断した導線の他端側から出ている導線を掴んで引き抜く。
【0008】
以上は黒モーターの場合であるが、xEVモーターの解体・リサイクルにおいては、第一工程、第二工程はモーターが溶接した容器内に密封されていないので分解は容易であり、第三工程も家電用の切断機を応用して対応が可能であるが、最大の課題は第四工程である。
【0009】
図1(a)~(f)にxEVモーターの各種ステータ1を示す(ステータ1の各部材の符号は図1(a)にのみ付してある)。ステータコア2は厚さ0.1mm程のケイ素鋼鈑を数百枚以上重ね合わせて構成されており、丸導線または角導線が複数のスロット2b間を一定の法則に従って巻回され、ステータコア2の上下のステータ面3U,3Lに上導線4Uと下導線4Lが露出している。
【0010】
丸導線の場合は上下とも紐等で円周上に固定されており、角導線の場合は丸導線のような柔軟性が無いため、上下とも溶接等によって導線同士が接合されている。角導線は電流密度を高くすることができるためxEVモーターの主流になっている。
【0011】
【文献】特開2011-062030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以下、前記ステータからの導線取出方法における課題を説明する。
【0013】
課題1
激しい振動に耐える目的で、図1に示すxEVモーターのステータコア2に巻かれた巻線は、スロット2b内で接着剤等で堅牢に固定されている。従って、前記スロット内で固定されていない家電用黒モーターの導線のようには容易に引き抜くことができない。すなわち、黒モーター用の導線引抜機でxEVモーターの導線を引き抜くことはできない。
【0014】
課題2
黒モーターのステータは人手で持ち運びが可能であるが、xEVモーターのステータ1は最大20Kg以上であり、実験的にはともかく、事業的には人手によって移動、持ち上げ、反転等の作業を継続的に行うことは無理である。xEVモーターは現在、乗用車が主であるが、やがて普及すると予測される輸送用トラック等のxEVモーターは更に大型になり、重量も増すと考えられる。
【0015】
そこでまず課題1を解決できる導線取出方法を確立するために、二通りの実験を行った。
【0016】
実験1 引抜法
ステータコア2の上下いずれかのステータ面3U,3Lから外部に延在する巻線(上導線4U又は下導線4L)をステータ面3U又は3Lに沿って切断した後、他方のステータ面3U又は3Lから出ている導線の円周60度分を油圧を利用した強力なグリップ機構で把持し、その付近のステータ面3U,3Lの数カ所を押さえて引き抜く時の反力を受け、前記グリップ機構を最大2000Kgの推力で持ち上げたとき、導線がステータ1内から少しだけ持ち上がる事を確認した。ステータ1内の導線が移動することが可能な把持力と推力であることを証明している。
【0017】
しかし、導線は上下ともに円周上に繋がっているため、ステータ1を押さえる場所が限られ、そのためステータ1を構成する薄いケイ素鋼鈑の一枚一枚が、導線の移動に伴い分離し変形してスロット2bの幅を狭めるため、引抜き時の導線の抵抗が急激に増して、途中から全く移動しなくなり、ケイ素鋼鈑の変形が大きくなるばかりで、本方法では物理的に抜けないことが分かった。
【0018】
実験2 スロット2b内の導線プレス押出方法
ステータ1の両端の上導線4U及び下導線4Lをステータ面3U,3Lに沿って切断して、スロット2bが綺麗に見える状態にした。スロット2b内には樹脂等で接着された導線束4M(図1では不図示/図2参照)が残置している。以下、このような処理を行ったステータ1を処理済ステータ1Aと呼ぶ。基準面にスロット2bより大きい穴を開け、スロット2bと穴の位置を合わせて処理済ステータ1Aを基準面に置き、スロット2b上部からプレス棒を油圧で押し込んだ。この場合、スロット2b周辺が基準面に接触して支持されているため、ケイ素鋼鈑が変形することもなく、適正な力をプレス棒に掛ける事で、押し出すことが可能であった。
【0019】
実験1は処理済ステータ1Aの60度の範囲(スロット2bの個数は8個~12個分)で行ったが、実験2のように、1つのスロット2b毎であれば、かなり少ない力で導線束4Mを押し出すことが可能であった。
【0020】
ただし、上記方法の場合、下記の課題3~6が発生する。
【0021】
課題3
図1に示すように、スロット2bの断面寸法に比してスロット2bの高さ5がかなり長い。従って、大きな力で細長いプレス棒をスロット2b内に挿入すると、スロット2bに挿入された部分はスロット2bの内壁でガイドされるため曲がらないが、スロット2bにプレス棒を挿入し始めたときは、プレス棒の大部分がスロット2bから露出しているため、加圧によりプレス棒が座屈する問題がある。実験2は、短い複数の棒を順次差し込む方法で行ったため、座屈は発生しなかったが、事業用装置で同様の方法を採用することは困難である。
【0022】
課題4
ステータ1の外径をチャックする場合、チャック機構(チャック筐体等)がステータの上下面の全体が遮蔽され、チャック機構と干渉するためスロット2b内の導線束4Mをプレスして押し出すことができない。磁気効率を最大にする目的で、図1に示すようにスロット2bはステータ1の内径に近接している。そのため中央孔2aを内側からチャックする場合も、チャック機構が中央孔2aよりも外側に少しでも大きくなるとプレスして押し出した導線束4Mが干渉する。
【0023】
課題5
ステータ1の内径、または外径をチャックした状態で、所定のスロット2b内にプレス棒を押し込む場合、プレス力がチャック機構全体に掛かる。チャック力が弱いと、ステータ1がずれたり傾く恐れがある。一方、チャック力が強すぎるとケイ素鋼鈑が変形する問題を生じる。
【0024】
課題6
ケイ素鋼鈑を変形させないでスロット2b内の導線束4Mをプレスして押し出すためには、そのスロットの周辺でステータコアを堅固に支える支台が必要である。複数のスロットから導線束4Mを分離するには、各スロットの導線束4Mを分離する毎にステータを回転させる必要があるが、回転時にステータが支台と接触するのは好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願には、下記発明が開示される。
<態様1>
中央孔及びその周囲の複数のスロットを有するステータコアと、
前記スロット内の接着された導線束であって、前記ステータコアの両端から露出した部分が切断除去された導線束と、
を有するステータから前記導線束を分離する導線束分離装置であって、
ステーと、
前記ステーの上部のプレス用アクチュエータと、
前記導線束が通過可能な空洞部及び前記空洞部の周囲の支持部を有する前記ステーの下部の支台と、
前記プレス用アクチュエータにより軸線上で上下に駆動されるプレス棒と、
前記ステータを間欠回転させる回転装置と、
を有するプレスユニットを有し、
前記スロットのいずれかが前記軸線に一致するように前記回転装置が前記ステータを間欠的に回転させ、前記プレス用アクチュエータが前記プレス棒を下降させることで、前記ステータコアの下面が前記支持部で支持された状態で前記プレス棒が前記スロットに侵入し、前記スロットから前記導線束が押出されることを特徴とする導線束分離装置。
<態様2>
装置本体に固定された前記支台が通過可能な開口を有するテーブルと、
前記装置本体に固定された前記ステーを上下に案内するリニアガイドと、
前記ステーを上方向に付勢するバランススプリングと、
をさらに有し、
前記プレスユニットの重量と前記バランススプリングの付勢力のバランスにより、前記支台上面が前記テーブルの下方に位置するように前記ステーが支持され、
前記プレス棒の付勢力が前記テーブル上の前記ステータに加わることで、前記支持部が前記テーブル上の前記ステータコアの下面に当接する位置まで前記ステーが上昇することを特徴とする請求項1の導線束分離装置。
<態様3>
前記回転装置が、
前記中央孔を通過可能な外形を有するチャック筐体と、
前記チャック筐体の異なる角度位置で径方向にスライド可能な複数のチャック爪と、
前記チャック筐体を間欠回転させるロータリーアクチュエータと、
を有するチャックユニットと、
前記チャックユニットを、
前記チャック筐体の上端が前記テーブルより下方に配置される原点高さ、
前記テーブルに載置された前記ステータの前記中央孔に前記チャック爪が係合可能な第1動作高さ、及び、
前記第1動作高さよりも上方の第2動作高さ、
の3つの高さ位置の間で上下動させるリニアアクチュエータと、
を有することを特徴とする請求項1の導線束分離装置。
<態様4>
前記チャックユニットは、
前記チャック筐体の中央軸穴内で上下動可能なテーパ軸と、
上下動する前記テーパ軸に摺動することで前記チャック爪を径方向外方に駆動するカムフォロアと、
前記テーパ軸を前記軸穴内で上下に駆動する流体圧アクチュエータと、
を有することを特徴とする態様3の導線束分離装置。
<態様5>
前記ロータリーアクチュエータが、
中空回転軸と、
前記中空回転軸を通る駆動流体管路と、
をさらに有し、
前記駆動流体管路の一端が前記流体圧アクチュエータに接続され、
前記駆動流体管路の他端がスイベルジョイントに接続されていることを特徴とする態様4の導線束分離装置。
<態様6>
前記プレスユニットは、前記軸線上に形成された前記プレス棒を案内する案内穴を有する案内部材をさらに有し、
前記プレス棒は、先端部と、前記先端部よりも断面二次モーメントの大きい断面形状の基端部を有し、
前記案内穴は、前記先端部及び前記基端部のいずれもが通過可能な断面形状を有することを特徴とする態様1の導線束分離装置。
<態様7>
導線束分離装置を用いて、
中央孔及びその周囲の複数のスロットを有するステータコアと、
前記スロット内の接着された導線束であって、前記ステータコアの両端から露出した部分が切断除去された導線束と、
を有するステータから前記導線束を分離する導線束分離方法であって、
前記導線束分離装置は、
ステーと、
前記ステーの上部のプレス用アクチュエータと、
前記導線束が通過可能な空洞部及び前記空洞部の周囲の支持部を有する前記ステーの下部の支台と、
前記プレス用アクチュエータにより軸線上で上下に駆動されるプレス棒と、
前記ステータを間欠回転させる回転装置と、
を有するプレスユニットを有し、
前記スロットのいずれかが前記軸線に一致するように前記回転装置が前記ステータを間欠的に回転させ、前記プレス用アクチュエータが前記プレス棒を下降させることで、前記ステータコアの下面が前記支持部で支持された状態で前記プレス棒が前記スロットに侵入し、前記スロットから前記導線束が押出されることを特徴とする導線束分離方法。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】各種xEVモーターのステータの構造。
図2】本発明の1実施形態の導線束分離装置6の側部断面図。
図3】導線束分離装置6の平面図。
図4】チャックユニット10を示す。(a)は要部平面図。(b)は側部断面図。
図5】プレスユニット30及び進退ユニット50。(a)は要部平面図。(b)は側部断面図。
図6】プレス棒34及び案内部材35の側面図及び平面図、並びに、C,D,E,F位置でのプレス棒34及び案内部材35の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の1実施形態の導線束分離装置6を説明する。
【0028】
図1を参照して上記した通り、ステータ1は、中央孔2aと中央孔2aの周囲のスロット2bが形成されたステータコア2と、スロット2bに巻回されて樹脂等で接着、固定された巻線4を有する。巻線のうち、ステータコア2の上下面3U,3Lから露出した部分をそれぞれ上巻線4U及び下巻線4Lと言う。
【0029】
ステータ1を切削加工等することにより、ステータコア2から上巻線4U及び下巻線4Lを切断除去したものを処理済ステータ1Aと言う。処理済ステータ1Aのスロット2bには、樹脂等で接着、固定された導線束4Mが残置される。処理済ステータ1Aが導線束分離装置6の処理対象物である。導線束4Mは、巻線4のうち上巻線4U及び下巻線4Dを切断除去した部分である。導線束4Mは、通常、スロット2bと概略同一の断面形状を有する。導線束分離装置6の目的は、処理済ステータ1Aのスロット2bから導線束4Mを押し出して分離することである。
【0030】
図2,3は、本発明の1実施形態の導線束分離装置6を示す。図2は側面図であり、図3は平面図である。導線束分離装置6は、装置本体64とテーブル60とプレスユニット30とチャックユニット10を有する。導線束分離装置6は、プレスユニット30を進退駆動するための進退ユニット50や各種アクチュエータを駆動するための流体圧ユニット(流体圧源)70、制御盤80(図3)等をさらに有するとよい。
【0031】
図5はプレスユニット30を示す。プレスユニット30は、ステー33と、ステー33の上部に固定されたプレス用アクチュエータ31と、シリンダーロッドジョイント41とプレス棒ジョイント42を介してプレス用アクチュエータ31の駆動軸に接続されたプレス棒34と、ステー33の下端から張り出した空洞部(又は凹部)37aが形成された支台37を有する。プレス棒34は、プレス用アクチュエータ31により軸線(駆動軸)Lに沿って上下に駆動される。ステー33と支台37は一体の部材とするとよい。空洞部37aは、プレス棒34の軸線L上に位置し、導線束4Mが通過可能な形状/サイズを有する。異なる形状/サイズのスロット2bを有する複数種類のステータ1に対応するため、空洞部37aは、複数の形状/サイズのスロット2b内の導線束4Mのいずれもが通過可能な形状/サイズとするとよい。図5では、直線状の空洞部37aを示すが、空洞部37aは途中で湾曲、屈曲等してもよい。
【0032】
進退ユニット50は、装置本体64に固定されたリニアガイド39と、リニアガイド39を前後にスライド可能な基台51と基台51に取り付けられた上下方向のリニアガイド36を有することができ、プレスユニット30のステー33は、リニアガイド36上で上下にスライド可能とし得る。
【0033】
プレスユニット30は、リニアガイド36上でのステー33の位置検出のため、リニア位置センサー32を有するとよい。進退ユニット50は、基台51のスライド駆動のためのアクチュエータやプレスユニット30の位置検出のためのセンサーを有するとよい。
【0034】
導線束分離装置6はさらに、リニアガイド39とステー33の間に改挿されたバランススプリング38を有するとよい。すなわち、ステー33は、リニアガイド36により上下に案内されるとともに、バランススプリング38により上方に付勢されている。よって、無負荷状態のプレスユニット30は、プレスユニット30の重量とバランススプリング38の付勢力がバランスする高さ位置(バランス位置)で停止しており、小さな外部負荷でバランス位置から上下に移動可能である。本例の導線束分離装置6では、プレスユニット30がバランス位置にあるときに支台37の上面37bがテーブル60(基準点Hr)よりも下方に位置するように、バランススプリング38等の寸法や強度等が設定されている。
【0035】
図3に示すように、テーブル60には開口61が形成されている。開口61は、チャック筐体15(図4)、あるいはさらに、支台37(又は支台37とステー33)が通過可能な形状/サイズを有するとよい。開口61はチャック筐体15が通る円形部分61aと支台37(又は支台37とステー33)を通す付加部分61bを有し得る。テーブル60上にはローラー65,66を有し、処理済ステータ1Aは小さい力で図3矢印のようにテーブル60上を移動可能である。
【0036】
図4は、チャックユニット10を示す。チャックユニット10は、処理済ステータ1Aの中央孔2aを通過可能な外形を有するチャック筐体15と、チャック筐体15の異なる角度位置で径方向に伸びる溝内でスライド可能なチャック爪11と、チャック筐体15を間欠回転させるロータリーアクチュエータ21を有する。チャックユニット10は、チャック爪11を径方向外方にスライドさせることで中央孔2aに係合して処理済ステータ1Aを把持することが可能である。図4では、120度間隔で配置された3つのチャック爪11を有する三方チャックの例を示すが、角度間隔やチャック爪11の数は変更可能である。ステータ1の種類毎に中央孔2aの内径は相違し得るため、中央孔2aの内径に応じてチャック爪11又はチャック爪11の先端を交換可能とするとよい。
【0037】
導線束分離装置6はさらにチャックユニット10を上下に駆動するリニアアクチュエータ23を有するとよい。リニアアクチュエータ23は、チャックユニット10を、
-チャック筐体15の上端がテーブル60より下方に位置する原点高さH0、
-テーブル60に載置された処理済ステータ1Aの中央孔2aにチャック爪が係合可能な第1動作高さH1、及び、
-第1動作点よりも上方の第2動作高さH2、
の3種類の高さH0~H2の間で移動させることが可能である。
図中Hrはテーブル60の表面の高さ位置(基準点Hr)を示す。原点高さH0は基準点Hrよりもわずかに下方の位置である。
【0038】
3つの高さH0~H2の間でのチャックユニット10の移動の安定化、確実化のため、及び/又は、制御の容易化のため、リニアアクチュエータ23は、2つのリニアシリンダ23a,23bをタンデムに接続したデュアルシリンダとすることが好ましい。
【0039】
リニアアクチュエータ23の動作安定化のため、チャックユニット10を支持するガイド棒24と、ガイド棒24を案内するリニアブッシュ25を設けるとよい。
【0040】
チャックユニット10は、さらに、チャック筐体15の中央に形成された軸穴内で上下動可能なテーパ軸17と、テーパ軸17に摺動することでチャック爪11を経方向外方に駆動するカムフォロア12と、テーパ軸17を駆動する流体圧アクチュエータ28を有するとよい。流体圧は、例えば、油圧式、空圧式が良く、空圧式が特によい。チャックユニット10は、各チャック爪11を径方向内方に向けて付勢するリターンスプリング14をさらに有するとよい。
【0041】
流体圧アクチュエータ28の駆動でテーパ軸17が上昇すると、テーパ軸17にカムフォロア12が摺動してチャック爪11が径方向外方に駆動される。テーパ軸17が下降すると、リターンスプリング14の付勢力でチャック爪11が径方向内方に駆動される。
【0042】
カムフォロア12は、テーパ軸17上で摺動して回転するローラー12aと、ローラー12aを軸支する、両端がチャック爪11に支持された回転軸12bを有するとよい。テーパ軸17は、各チャック爪11のローラー12aに対応する位置に傾斜平面18を有するとよい。傾斜平面18上でローラー12aを摺動させることによりの摺動安定性が向上する。
【0043】
ロータリーアクチュエータ21は中空回転軸を有し、当該中空回転軸に駆動流体管路20を通すとよい。駆動流体管路20は、一端を流体圧アクチュエータ28に接続し、他端をスイベルジョイント22に接続するとよい。これにより、回転及び上下動する流体圧アクチュエータ28のシンプルな構造による流体圧制御が実現する。スイベルジョイント22は、流体圧ユニット70(図3)に接続するとよい。
【0044】
プレスユニット30は、ステー33の中間高さ位置に案内部材35をさらに有するとよい。案内部材35は、ステー33に固定するとよい。図6は、好ましい形態のプレス棒34及び案内部材35の側面図及び平面図と、C,D,E,F位置でのプレス棒34及び案内部材35の断面図を示す。
【0045】
プレス棒34は、先端部34aと、先端部34aよりも断面二次モーメントの大きい断面形状の基端部34bを有するとよい。図の例では、プレス棒34は、先端部34aがスロット2bに挿入可能な形状(例えば、扁平形状)であり、基端部34bは先端部34aよりも断面二次モーメントが大きい形状(例えば、十文字形状)である。
【0046】
案内部材35は、プレス棒34の案内のための案内穴35aを有するとよい。案内穴35aはプレス棒34の軸線L上に位置するとよい。案内穴35aは、プレス棒34の先端部34a及び基端部34bのいずれもが通過可能な断面形状を有することが好ましい。
【0047】
プレス棒34が下降してステータ1に当接し、さらに、プレス棒34がスロット2bに挿入されていく過程で軸方向の力がプレス棒34に作用するため、プレス棒34は座屈を生じ得る。しかし、上記プレスユニット30では、先端部34aは案内穴35aで案内され、さらに、基端部34bは断面二次モーメントが大きいため、プレス棒34の座屈を防止できる。先端部34aの長さは、ステータコア2の高さ5と概略同程度又はそれよりわずかに大きくするとよい。案内部材35の長さは、ステータコア2の高さ5と概略同程度とするとよい。
【0048】
スロット形状の異なる複数の種類(機種)の処理済ステータ1Aに対応するため、先端部34aは、各種の処理済ステータ1Aのスロット2bのいずれにも挿入できる形状、サイズとするとよい。例えば、先端部34aを、各種の処理済ステータ1Aのスロット2bのいずれにも内挿できる形状、サイズにするとよい。
【0049】
図6では、長方形のスロット2b(図1(a)~(c))を想定し、長方形の組み合わせの形状のプレス棒34及び案内穴35aを示したが、他の形状のスロット2b(図1(d)~(f))の場合はそれに応じてプレス棒34及び案内穴35aの形状を変更できる。
【0050】
導線束分離装置6は、コンピュータによる動作制御のため、コンピュータや記憶媒体等で構成された不図示の制御装置を有するとよい。
【0051】
以下、本発明の1実施形態の導線束分離方法(導線束分離装置6の動作方法)を説明する。
【0052】
事前準備
手順1:チャックユニット10は、チャック筐体15の上端がテーブル60より下方に位置するように、ロータリーアクチュエータ21により原点高さH0で支持されている。
手順2:支台37の上面37bがテーブル60よりわずかに下方に位置するようにバランススプリング38の強度等が調整されている。
手順3:プレスユニット30をリニアガイド39上でチャックユニット10から最も離れた位置まで後退させる。
手順4:作業対象の処理済ステータ1Aの種類に応じたプレス棒34及び案内部材35をシリンダーロッドジョイント41とプレス棒ジョイント42を介してプレス用アクチュエータ31の先端に取り付ける。
手順5:プレス棒34のプレス開始位置やステータ1の高さ5に応じたプレス用アクチュエータ31の駆動距離等は記憶媒体等に予め記憶しておくとよい。
上記手順1~5により、チャック筐体15、支台37、プレス棒34等の部材と干渉することなく、処理済ステータ1Aをテーブル60上で自由に移動することが可能である(図3矢印参照)。
【0053】
搬入、位置合わせ等
手順6:処理済ステータ1Aをテーブル60上でスライドさせて開口61aの位置に配置する。
手順7:リニアアクチュエータ23の駆動でチャックユニット10を第1動作高さH1まで上昇させる。これにより、チャック爪11が中央孔2aをチャック可能な高さまで上昇する。
手順8:流体圧アクチュエータ28の駆動でテーパ軸17を上昇させる。これにより、チャック爪11は径方向外方に移動して処理済ステータ1Aの中央孔2aの内側に当接し、処理済ステータ1Aがチャックされる。
手順9:リニアアクチュエータ23の駆動でチャックユニット10を第2動作高さH2まで上昇させる。これにより、処理済ステータ1Aはテーブル60から離間する。よって、テーブル60と干渉することなく処理済ステータ1Aを自由に回転させることが可能である。
手順10:リニアガイド39に従ってプレスユニット30を処理済ステータ1Aの種類に応じた規定の位置まで前進させる。手動で微調整を行ってもよい。処理済ステータ1Aの回転位置がずれている場合、軸線L上にスロット2bが位置するようにロータリーアクチュエータ21を回転させる。回転は手動でよく、一致の判断は目視でよい。
【0054】
導線束4Mの押出分離
手順11:下記の手順11-1,11-2に従ってプレス用アクチュエータ31の駆動でプレス棒34を下降させる。
手順11-1:プレス棒34が下降してその先端が導線束4Mに接触し、プレス用アクチュエータ31による下方への付勢力が処理済ステータ1Aに作用すると、当該付勢力によりプレスユニット30がリニアガイド36に沿って上昇する。プレスユニット30は、その重量とバランススプリング38の付勢力が釣り合った状態で支持されているため、わずかな力で上方に移動する。そのため、プレス棒34は下降せず、プレス棒34の先端が導線束4Mに接触したときの位置(接触位置)を保持し得る。この間、処理済ステータ1Aとチャック爪11にはほとんど力は掛からない。
手順11-2:支台37の上面37bがステータコア2の下面に当接すると、プレスユニット30の上昇は終了し、それに代わって、プレス棒34の接触位置からの下降が開始する。ステータコア2の下面は支台37の上面37bに支持されており、下方移動できないため、プレス棒34がスロット2b内に侵入し、導線束4Mがスロット2bから空洞部37aに押し出される。スロット2bの周囲が支台37の上面37bに支持されているため、ケイ素鋼鈑の変形やそれによるスロット2bの形状の変形を防止できる。押し出された導線束4Mは、シューター62を介して回収箱63に回収される(図2)。
手順12:導線束4Mの押し出しが完了すると、プレス用アクチュエータ31の駆動でプレス棒34を初期位置まで上昇させる。押出の完了は、プレス棒34の高さ位置をリニア位置センサー32によって測定し、処理済ステータ1Aの種類毎に予め記憶されているプレス用アクチュエータ31の駆動距離を比較することで判断することができる。
手順13:プレス棒34の初期位置への上昇を確認した後、ロータリーアクチュエータ21の駆動により、次のスロット2bがプレス棒34の軸線Lに一致する位置までチャックユニット10(処理済ステータ1A)を回転させる。手順9で述べた通り、処理済ステータ1Aは自由に回転可能である。
手順14:以降、手順11~13を反復実施することですべてのスロット2bの導線束4Mを分離することができる。
【0055】
処理済ステータ1Aの開放、搬出等
手順15:すべてのスロット2bの導線束4Mの分離が完了すると、リニアアクチュエータ23がチャックユニット10を第1動作高さH1まで下降させ、次いで、流体圧アクチュエータ28がテーパ軸17を下降させることで、チャックユニット10による処理済ステータ1Aのチャックが開放され、その後、リニアアクチュエータ23がチャックユニット10を原点高さH0まで下降させる。その後、リニアガイド39上でプレスユニット30を退避位置まで後退させるとよい。
手順16:ローラー65,66の転動を用いて処理済ステータ1Aをテーブル60上でスライドさせて装置外に搬出する。
【0056】
以降、手順6~16を反復することで複数の処理済ステータ1Aについて導線束4Mの分離を行うことが可能である。
【0057】
前記手順6~16の全部又は一部は、制御装置等によるアクチュエータ21,23,28,31等の制御により自動運転することが可能である。特に、手順11~15を自動運転とすることが好ましい。
【0058】
上記導線束分離装置6によれば、プレス棒34の軸線L上の導線束4Mが通過可能な空洞部37aを有する支台37でステータコア2の下面(スロット2bの周囲)を支持した状態でスロット2bにプレス棒34を挿入することでスロット2bから導線束4Mが押し出される。このため、ケイ素鋼鈑の変形等を生じることなく、また、過大な力で処理済ステータ1Aをチャックすることなく、スロット2b内の強固に接着された状態の導線束4Mを押し出し分離することができる。
【0059】
さらに、ステー33をリニアガイド36で上下移動可能に案内しつつ、支台37がテーブル60の下方に位置するようにバランススプリング38でステー33を支持したため、支台37に干渉することなく処理済ステータ1Aをテーブル60上で移動可能とし、かつ、導線束4Mの押出分離の際の支台37によるステータコア2の支持が可能になる。支台37によりステータコア2の下面が支持されるため、ステータコア2やチャック爪11にほとんど外力を作用させることなく導線束4Mを押し出し分離することが可能である。
【0060】
さらに、チャック筐体15が中央孔2aを通過可能であり、チャック爪11が中央孔2aに内側から係合することで処理済ステータ1Aをチャックし、リニアアクチュエータ23によりチャック筐体15を原点高さH0,第1動作高さH1,第2動作高さH2の間で上下動可能としたため、チャック筐体15によるスロット2bの遮蔽が防止でき、チャック筐体15に干渉することなく処理済ステータ1Aをテーブル60上で移動可能となり、また、テーブル60に接触することなく処理済ステータ1Aを回転させることが可能となる。
【0061】
チャック筐体の中央の軸穴において流体圧アクチュエータ28によって上下するテーパ軸にカムフォロア12を摺動させることでチャック爪11を径方向外方に駆動するため、処理済ステータ1Aのチャックの際に過大な把持力が処理済ステータ1Aに掛かることが防止され、過大な把持力によるケイ素鋼鈑やスロット2bの変形やそれに起因する導線束4Mの押出分離の困難化を防止できる。過大な把持力防止のため、流体圧アクチュエータ28は空圧式とし、あらかじめ調整された圧力で動作させることが好ましい。
【0062】
さらに、ロータリーアクチュエータ21に中空回転軸を設け、当該中空回転軸に駆動流体管路20を通し、駆動流体管路20の両端を流体圧アクチュエータ28とスイベルジョイント22に接続したため、上下動及び回転動する流体圧アクチュエータ28への作動流体の供給が可能になる。
【0063】
さらに、軸線Lに案内穴35aを有する案内部材35を設け、プレス棒34の基端部34bが先端部34aより大きい断面二次モーメントを有し、案内穴35aを先端部34a及び基端部34bのいずれもが通過可能な断面形状としたことで、導線束4Mの押し出しの際のプレス棒34の座屈を防止しすることが可能である。
【0064】
上記実施形態に記載した導線束分離装置6やそれらの要素の寸法、形状、配置、個数、材料等は例示であり、他の態様も可能である。例えば、ロボット等を用いて処理済ステータ1Aの搬入/搬出を行い、搬入位置でチャックユニット10が処理済ステータ1Aをチャックする場合、テーブル60やリニアガイド39等は省略可能であり、チャックユニット10を第2動作高さH2から移動させる必要がないので、リニアアクチュエータ23も省略可能である。ロボット等を用いて処理済ステータ1Aを回転させる場合、チャックユニット10は省略可能である。
【符号の説明】
【0065】
1・・・ステータ
1A・・・処理済ステータ
2・・・ステータコア
2a・・・中央孔
2b・・・スロット
3U,3L・・・ステータ面
4・・・巻線
4U・・・上巻線
4L・・・下巻線
4M・・・導線束
5・・・スロット高さ
6・・・導線束分離装置
10・・・チャックユニット
11・・・チャック爪
12・・・カムフォロア
12a・・・ローラー
12b・・・回転軸
14・・・リターンスプリング
15・・・チャック筐体
17・・・テーパ軸
18・・・傾斜平面
20・・・駆動流体管路
21・・・ロータリーアクチュエータ
22・・・スイベルジョイント
23・・・リニアアクチュエータ
24・・・ガイド棒
25・・・リニアブッシュ
28・・・流体圧アクチュエータ
30・・・プレスユニット
31・・・プレス用アクチュエータ
32・・・リニア位置センサー
33・・・ステー
34・・・プレス棒
34a・・・先端部
34b・・・基端部
35・・・案内部材
35a・・・案内穴
36・・・リニアガイド
37・・・支台
37a・・・空洞部
37b・・・表面
38・・・バランススプリング
39・・・リニアガイド
41・・・シリンダーロッドジョイント
42・・・プレス棒ジョイント
50・・・進退ユニット
60・・・テーブル
61・・・開口
61a・・・円形部分
61b・・・付加部分
62・・・シューター
63・・・回収箱
64・・・装置本体
65,66・・・ローラー
70・・・流体圧ユニット
80・・・制御盤
H0・・・原点高さ
H1・・・第1動作高さ
H2・・・第2動作高さ
Hr・・・基準点
L・・・軸線
【要約】
【課題】 ケイ素鋼鈑の変形を生じることなく、過大な力で処理済ステータ1Aをチャックすることなく、スロット2b内で強固に接着された導線束4Mを分離する。
【解決手段】 中央孔2a及びその周囲の複数のスロット2bを有するステータコア2と、スロット2b内の接着された導線束4Mと、を有するステータ1から導線束4Mを分離する導線束分離装置6であって、ステー33と、ステー33上部のプレス用アクチュエータ31により上下に駆動されるプレス棒34と、ステー33下部の支台37と、を有するプレスユニット30を有し、支台37は、プレス棒34の軸線L上に位置する導線束4Mが通過可能な空洞部37aを有し、スロット2bを軸線Lに一致させ、ステータコア2下面を支台37で支持した状態で、プレス用アクチュエータ31の駆動によりプレス棒34をスロット2bに挿入する導線束分離装置6とした。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6