IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 藤原 保信の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】トラス把手式箱容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/462 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
B65D5/462 305
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020115217
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021193034
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】592173043
【氏名又は名称】藤原 保信
(74)【代理人】
【識別番号】100147647
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 保信
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実公昭42-020587(JP,Y1)
【文献】実開平04-001115(JP,U)
【文献】実開平06-025113(JP,U)
【文献】特開平11-310222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/462
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱容器を組み立てるための箱容器組立用シートであって、
前記箱容器の相対する一の側壁を構成する一対の巾広側壁と、
前記箱容器の相対する他の側壁を構成する一対の巾狭側壁と、
前記一対の巾広側壁及び前記一対の巾狭側壁のうち何れか一方の上方に隣接してそれぞれ配置され、前記箱容器の天面において最下部に位置する第一層とその上に積層される第二層とをそれぞれ構成する一対の上部内側フラップと、
前記一対の巾広側壁及び前記一対の巾狭側壁のうち何れか他方の上方に隣接してそれぞれ配置され、前記箱容器の天面において前記第二層の上に積層される第三層とその上に積層される第四層とをそれぞれ構成する一対の上部外側フラップと、
を備え、
前記第三層を構成する前記上部外側フラップは、その一部が内側へ折り曲げ可能に形成されてなり、折り曲げられた状態でトラス構造を形成する一対の第一トラス形成把手を有し、
前記第四層を構成する前記上部外側フラップは、その一部が外側へ折り曲げ可能に形成されてなり、折り曲げられた状態でトラス構造を形成する一対の第二トラス形成把手を有し、
前記第一層及び前記第二層を構成する前記一対の上部内側フラップそれぞれは、前記一対の第一トラス形成把手と対応する位置にそれぞれ形成された一対の打抜穴を有することを特徴とする箱容器組立用シート。
【請求項2】
前記一対の第一トラス形成把手に、その縁部を部分的に切り欠いて指掛穴がそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項1に記載の箱容器組立用シート。
【請求項3】
前記第四層を構成する前記上部外側フラップは、前記第二トラス形成把手に面する縁部が内側へ折り曲げ可能に形成されてなるトラス形成把手引き上げフラップを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の箱容器組立用シート。
【請求項4】
前記一対の第一トラス形成把手は、その折り曲げ線に直交する方向の長さが互いに等しく形成され、且つ、前記一対の第二トラス形成把手は、その折り曲げ線に直交する方向の長さが互いに等しく形成され、
前記一対の第二トラス形成把手は、前記一対の第一トラス形成把手が互いに当接する位置の鉛直上方の位置で互いに当接することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の箱容器組立用シート。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の箱容器組立用シートを組み立てることにより形成される箱容器であって、
一方の前記巾広側壁と一方の前記巾狭側壁とが互いに固着され、
前記第一層を構成する前記上部内側フラップの上に、前記第二層を構成する前記上部内側フラップが積層され、その上に前記第三層を構成する前記上部外側フラップが積層されると共に、更にその上に前記第四層を構成する前記上部外側フラップが積層されたことを特徴とする箱容器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一枚のダンボールシート等で形成され、片手で可搬し易い様にされるとともに、重量物でも可能なように、トラス構造の把手を設けた箱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の物を入れ、運ぶために箱容器の相対する側面に、手掛け穴を設けたものや、合掌にした把手や、プラスチック等で後付けしたもの等が存在している。
【先行技術文献】
【0003】
特願2019-9551
特開平07-309327
実用新案登録3141026
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、把手を形成する場合は、組み立てに時間が掛かるとともに、包装の自動化が課題であった。
【0005】
例えば、重量物の場合は、段ボール箱の相対する側壁に手掛け穴を開けた場合は、両手が塞がり作業性が課題であった。又、箱容器の強度が著しく低下するとともに、異物混入の課題が課題であった。
【0006】
プラスチックで形成された把手を後付けする場合に於いても、追加のコストが掛かると共に、紙器に比べて環境面で好ましくない。
【0007】
合掌式に把手が上部に突き出た形態の物は、包装後に積み重ねができない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
把手は、包装した後で形成を可能なので、従来のA式のダンボール容器として、包装の自動化が可能である。又、側面ではない天面の中央部に把手を設けているので、片手で可搬し易い。更に、天面のトラス形成把手は、使わないときは蓋として利用できる。
【0009】
[図-1]の(1-A)、(1-B)に示すように、天面の相対する内側フラップと外側フラップに山折り線、谷折線、切り目を入れることでトラス型の把手の形成を可能にし、天面のフラップが四重になることにより、吊り上げ荷重による湾曲を防止でき、耐荷重性を高めることができる。
【0010】
[図-1]の(1-A)、(1-B)に示すように、四辺の内外フラップにトラス把手を、箱容器1の中央部に形成を可能なように、山折り線、谷折線、切り目を入れることにより、形成が可能となるので、コスト面でも、環境問題でも課題を解決できる。
【0011】
最上部の外側フラップに形成された、トラス形成把手は、上方向の可動式になって、陥没しない様に構成しているので、包装後積層することができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、[図―1]の(1-A)のように、従来のJIS規格A式のダンボール箱の上部の四つの内外フラップが四層に重なるように設計を変えることで、天面が耐荷重性を高める剛構造にすることができる。
【0013】
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1で四層になったそれぞれの内外フラップに、トラス状把手を設ける手段として、上部内側フラップTFI1、TFI2に其々のフラップが重なる状態で、内側フラップ把手HD1、HD2及び、其々の左右に円設された打抜穴BK1、BK2が丁度重なる状態で、設けられ、更に上部外側フラップTFO2には、内側フラップ把手HD2、HD1を[図―5]の(5-B)に示すように、二か所のトラス形成把手TT2で掴むことにより、外側フラップ把手THD2と下部トラス把手部を形成して、強度を高めている。そしてまた上部外側フラップTFO1にも、外側フラップ把手THD1と二か所のトラス形成把手TT1による、上部トラス把手部を形成して、菱形の把手ができ、更に耐荷重性を高める。
【0014】
請求項3に記載の本発明によれば、[図―5]の(5-B)に示すように、上部外側フラップTFO2に設けた、外側フラップ把手THD2及び、その左右に延設された二か所のトラス形成把手TT2を、山折り線、Bで折り曲げて、内側フラップ把手HD1,HD2を挟む状態で掴んだときに、指掛穴FHが形成され握りやすくなる。
【0015】
請求項4に記載の本発明によれば、[図-4]の(4-A)に示すように、箱容器1の天面の中央部に外側フラップ把手THD1、及びその延設する二か所のトラス形成把手TT1を、谷折縦Aにて、上部へ引き上げる手段として、二か所のトラス形成把手引き上げフラップPFを山折り線Cで折り曲げ、指の引っ掛け部ができるように構成している。又、把手として、使わないときは、蓋として異物混入を防止できる。更に、天面がフラットなので箱容器1を積み重ねることができる。
【0016】
請求項5に記載の本発明によれば、請求項1で天面が四層になり、吊り上げた時、湾曲し難い構造になるとともに、{図-5}の(5-A)、(5-B)に示すように、トラス部分を上下に構成することで、把手部分が吊り上げ荷重に強くなる。
【0017】
請求項6に記載の本発明によれば、[図-5]の(5-B)に示すように、片手で把手部分を掴んで上下の其々二か所のトラス形成把手TT1、TT2が(5-B)で示すように、握力でトラスを形成することができる。又、トラス部分にかかる応力は、(5-C)で示すように、軸方向に拮抗応力Kが働き、せん断力と曲げ応力が働きにくく、構成されたダブルトラス(菱形構造)により、強度が高まる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
ダンボールシート等で形成された外包装として、例えば、瓶詰、缶詰、ペットボトル、プラスチックボトル等に詰められた比較的重量物に、家電製品、日用品等、従来箱容器の側壁に手掛け穴を二か所開けて、両手でのハンドリングを片手でできる箱容器として。
【0019】
引っ越し用途に作業性の良いリサイクルできる箱容器として、例えば、プラスチックのインジェクションでできた、収納ボックスやツールボックスに代替するコストパフォーマンスの良い箱容器として普及することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図-1】[図-1の(1-A)は、箱容器1に関しての展開図である。(1-B)は、(1-A)のジョイントフラップJFを巾広側壁WS2とバインダー等で接着させ、底部を完成させ上部開口の状態を示す斜視図である。更に上部陥入防止フラップJFSを山折り線1Aで折り曲げた状態を示す。
【図-2】[図-2]の(2-A)は、上部内側フラップTFI2を山折り線1Dで、内側に折り曲げて、箱容器1の内部に陥入防止フラップJFSで、上部内側フラップTFI2を箱容器内に陥入しない様に、支えられた状態を示す斜視図である。(2-B)は、上部内側フラップTFI2の上部に、上部内側フラップTFI1を山折り線1Bで折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図-3】[図-3]の(3-A)は、上部内側フラップTFI1、の上部へ重なるように上部外側フラップTFO2を、山折り線1Eで折り曲げた状態を示す斜視図である。(3-B)は、上部外側フラップTFO1を、山折り線1Cで折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図-4】[図-4]の(4-A)は、[図-3]の(3-B)の状態を、シーリング部TBで上部外側フラップTFO1と側壁部とテープ等で固定し、箱容器1の天面の円弧部分の拡大図(4-B)に示すように、二か所のトラス形成把手引き上げフラップPFを押し下げ、二か所のトラス形成把手TT2、TT1で上下のトラス部分を形成した状態を示す斜視図である。
【図-5】[図-5]の(5-A)は、相対する巾広側壁と直角に中央部を切った断面部を示す。(5-B)は、片手で上下のトラス部把手を掴んだ状態を示す斜視図である。(5-C)は、把手部分を握ることで、握力を加えることで、トラス形成把手と外側フラップ把手の軸方向に拮抗応力Kが働く状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0022】
<全体的構成>
[図-1]の(1-A)の展開図に示すように、図面を起こし、相対する巾広側壁WS1、WS2に延設する、上部外側フラップTFO1、TFO2、下部内側フラップUFI1、UFI2.更に、相対する巾狭側壁SS1、SS2に延設する上部内側フラップTFI1、TFI2.下部外側フラップUFO1、UFO2、及びジョイントフラップJF、それに延設する上部陥入防止フラップJFSを備え、縦横に山折り線を入れ、上部外側フラップTFO1に内設する、二か所のトラス形成把手TT1の折り曲げ部Aに谷折線を入れる。
【0023】
[図-1]の(1-B)に示すように、箱容器1の組み立て手順として、巾広側壁WSとジョイントフラップJFをグルー接合し、立体化し底部を上にして、下部内側フラップUFI1、UFI2のダイカット部を接合した状態で、下部外側フラップUFO1,UFO2を山折り線で折り曲げてシーリングして、反転させて(1-B)の状態にする。上部内側フラップTFI2上に、内側フラップ把手HD2及び、二か所の打抜穴BK2を穿ち、上部内側フラップTFI1上に内側フラップ把手HD1、及び、二か所の打抜き穴BK1を穿ち、それぞれ内側フラップ把手HD1、HD2が丁度重なり合う状態で、[図-2]の(2-A)、(2-B)の状態になる。
【0024】
(2-B)に示すように、上部外側フラップTFO2の中央部に、上部外側フラップTFO2の中央部に外側フラップ把手THD2を設け、指掛穴FHを内設した二か所のトラス形成把手TT2を山折り線Bで下方に折り曲げる状態にする。
【0025】
(3-A)に示すように、上部外側フラップTFO1の中央部に、外側フラップ把手THD1及び、山折り線Cでトラス形成把手引き上げフラップPFを押し下げながら二か所のトラス形成把手TT1を、谷折線Aで引き上げる状態にする。
【0026】
(3-B)に箱容器1の閉じたシーリング前の状態にする。
【0027】
[図-4]の(4-A)、(4-B)では、上下のトラス把手部を形成する方法を説明します。内容物を収納して、シーリング部TBで上部外側フラップTFO1を側壁と固定し、二か所のトラス形成把手引き上げフラップPFを、山折り線Cで下方に折り曲げ二か所のトラス形成把手TT1を持ち上げて、上部のトラスを形成して、その後二か所のトラス形成把手TT2を山折り線Bで内側フラップ把手HD1、HD2を掴む要領で、下部のトラス部を形成する。
【0028】
次に箱容器1の天面の中央部に形成されたトラス把手部を持ち上げた時に、働く応力について説明します。
【0029】
[図-4]の(4-A)の破線の円弧部分の拡大図を(4-B)に示す。天面が四層になった状態を四層構造断面Zで示す。
[図-5]の(5-A)は、天面部の把手部断面を表していて、上下のトラス形成把手TT1、TT2で構成された菱形の把手部を形成して、吊り上げ荷重Eによる曲げ応力で、天面が四層になることにで、湾曲を防止できる。
(5-B)で示すように、右手でトラス形把手を掴んで中指を指掛穴FHに掛けた様子を示す。握力を加えることで、トラス形成把手部TT1、TT2.及び外側フラップ把手THD1、THD2に軸方向に拮抗応力Kが働き、せん断力と曲げ応力を低減できる構造を示す。
【符号の説明】
【0030】
1:箱容器
TFI1、TFI2:上部内側フラップ
TFO1、TFO2:上部外側フラップ
WS1、WS2 :巾広側壁
SS1、SS2 :巾狭側壁
UFI1、UFI2:下部内側フラップ
UFO1、UFO2:下部外側フラップ
JF :ジョイントフラップ
JFS :上部嵌入防止フラップ
HD1、HD2 :内側フラップ把手
THD1、THD2:外側フラップ把手
TT1、TT2 :トラス形成把手
FH :指掛穴
PF :トラス形成把手引上げフラップ
BK1、BK2 :打抜穴
B、C、D、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I、2A、2B、 2C、2D :山折り線
A :谷折線
TB :シーリング部
Z :四層構造断面
E :吊り上げ荷重
F :握力
K :拮抗応力
【図-1】
【図-2】
【図-3】
【図-4】
【図-5】