(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】電波透過型遮熱複層ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20240430BHJP
C03C 17/23 20060101ALI20240430BHJP
B32B 17/06 20060101ALI20240430BHJP
E06B 3/66 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
C03C27/06 101H
C03C17/23
B32B17/06
E06B3/66 E
(21)【出願番号】P 2023102797
(22)【出願日】2023-06-22
【審査請求日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2022168073
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511002478
【氏名又は名称】ヘラクレスガラス技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181009
【氏名又は名称】中井 日出海
(72)【発明者】
【氏名】伊地知 正樹
(72)【発明者】
【氏名】伊地知 治江
(72)【発明者】
【氏名】伊地知 正宏
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-144418(JP,A)
【文献】特開2018-039713(JP,A)
【文献】特開2008-101111(JP,A)
【文献】特開平03-151038(JP,A)
【文献】国際公開第2014/045853(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00-23/00
27/00-29/00
E06B 3/54-3/88
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複層ガラスであって、該複層ガラスを構成する1枚の板ガラスの空気層側に、一般式MxWOyで表される複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫(SnO
2:Sb)微粒子の混合被膜が形成されていて、前記アンチモンドープ酸化錫(SnO
2:Sb)のMxWOyに対する割合が5から20wt%であって、前記金属MのタングステンWに対するモル比xが0.8~1.1の範囲にあり、金属Mが少なくともアルミニウム(Al)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)を含有し、該複層ガラスの光学特性として可視光線透過率が70%以上及び日射透過率が40%以下であり、紫外線透過率が1%以下であり、さらに第5世代移動通信システムで用いられるミリ波帯である周波数28GHz帯の電波減衰率が6dB以下であることを特徴とする電波透過型遮熱複層ガラス。
【請求項2】
複層ガラスであって、該複層ガラスを構成する1枚の板ガラスの空気層側に、一般式MxWOyで表される複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫(SnO
2:Sb)微粒子の混合被膜が形成されていて、前記アンチモンドープ酸化錫(SnO
2:Sb)のMxWOyに対する割合が5から20wt%であって、前記金属MのタングステンWに対するモル比xが0.8~1.1の範囲にあり、金属Mが少なくともアルミニウム(Al)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)を含有し、該複層ガラスの光学特性として可視光線透過率が70%以上及び日射透過率が40%以下であり、紫外線透過率が1%以下であり、さらに第5世代移動通信システムで用いられるSub6帯(周波数4.5GHz帯及び周波数3.7GHz帯)の電波減衰率が3dB以下であることを特徴とする電波透過型遮熱複層ガラス。
【請求項3】
前記アンチモンドープ酸化錫(SnO
2:Sb)中のSbのドープ割合が3~10mol%である請求項1又は2に記載の電波透過型遮熱複層ガラス。
【請求項4】
前記複合酸化タングステン微粒子の平均粒径が40nm~60nmである請求項1又は2に記載の電波透過型遮熱複層ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日射光の近赤外線領域を遮蔽しつつ、高い可視光透過率を有する遮熱複層ガラスで、かつ第5世代移動通信システムに用いられるミリ波帯である周波数28GHz帯及びSub6帯である周波数4.5GHz帯及び周波数3.7GHz帯の電波を透過する電波透過型遮熱複層ガラスに関する。なお、28GHz帯の周波数範囲は27.0GHz~29.5GHzであり、4.5GHz帯の周波数範囲は4.4GHz~4.9GHzであり、3.7GHz帯の周波数範囲は3.6GHz~4.2GHzであって、これらの点は当業者にとって周知であり、自明な事項である。
【背景技術】
【0002】
複層ガラスとしては、
図1に示す構造のものが一般的である。すなわち、略平行に配置された2枚の板ガラス11及び12の四周に乾燥剤が封入されたスペーサー13が配置されて、2枚の板ガラスの間に中空層16が形成されている。中空層の効果で熱伝導性が抑えられることから断熱性が高められる。近年では、板ガラス11及び12のうち、いずれか一方を低放射率ガラス(いわゆるLowEガラス)として、放射伝熱を抑えることによりさらに断熱性を高めたものが普及している。そして、LowEガラスが、可視光領域では高い透過率を有し透明性を確保するととも、日射光透過率が低いことから夏場の遮熱性を高めることができることにより、冬の断熱にも夏の遮熱にも住宅用に好適なガラスとして、さらに急速に普及してきている。
【0003】
このようなLowEガラスは、最近の研究によると、次世代(第5世代)移動通信システムで用いられる28GHzのミリ波を1/10000に減衰することが判明した。そのため、LowEガラスを用いた複層ガラス窓が5G電波を透過させるためには、LowEガラスの被膜をミクロン単位の縞模様に加工する必要のあることがわかってきた(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-229388号公報
【文献】WO2013―147029号公報
【文献】特開平7-10609号公報
【文献】WO2013/122181号公報
【文献】WO2014/126135号公報
【文献】特開2021-172583号公報
【文献】特開平9-100139号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/05529/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、第5世代移動通信システムに用いられる5G電波のミリ波帯である周波数28GHz帯及びSub6帯である周波数4.5GHz帯及び周波数3.7GHz帯を屋外から屋内に取り込み易くする電波透過型遮熱複層ガラスを提供するものである。すなわち、本発明は、優れた断熱性能と遮熱性能を保ちつつ5Gの電波を遮らない「5G対応電波透過型遮熱複層ガラス」を提供する。
【0007】
ここで遮熱ガラスとして機能するには、高い遮熱性能を有すると同時に、高い可視光透過率を有する必要がある。特に、住宅の窓として機能するには、日射光を遮蔽する中で、可視光線の多くを透過し、透明である必要があるからである。また人体や家具類を日焼けから守るために、紫外線の多くを遮蔽することが望ましい。
【0008】
このような遮熱ガラスにおいて、可視光透過率が70%以上、日射透過率が40%以下、紫外線透過率が1%以下という性能を全て満足することは難しく、また、該遮熱ガラスを、複層ガラスを構成する1枚の板ガラスとして用いた複層ガラスにおいても、可視光透過率が70%以上、日射透過率が40%以下、紫外線透過率が1%以下という性能を全て満足することも困難であった。
【0009】
すなわち、このような複層ガラスにおいて、可視光透過率が70%以上、日射透過率が40%以下、紫外線透過率が1%以下という性能を満足させて高透明な日射遮蔽複層ガラスとすることは難しいが、本発明では、これらの性能を満足させつつ、さらに5Gの電波も透過させることを目的とする。5Gの電波を透過させるとは、具体的にはミリ波帯である周波数28GHz帯及びSub6帯である周波数4.5GHz帯及び周波数3.7GHz帯の電波が、本発明の遮熱複層ガラスを透過した後も、これらの周波数範囲の電波の強度が50%以上ある(これは、電波の電圧減衰率が6dB以下に相当する。)、さらに望ましくはこれら周波数範囲での電波の強度が70%以上ある(これは、電波の電圧減衰率が3dB以下に相当する。)という意味である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、複層ガラスであって、該複層ガラスを構成する1枚の板ガラスの空気層側に、一般式MxWOyで表される複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)微粒子の混合被膜が形成されていて、前記アンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)のMxWOyに対する割合が5から20wt%であって、前記金属MのタングステンWに対するモル比xが0.8~1.1の範囲にあり、金属Mが少なくともアルミニウム(Al)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)を含有し、該複層ガラスの光学特性が、可視光線透過率が70%以上及び日射透過率が40%以下であり、紫外線透過率が1%以下であり、さらに第5世代移動通信システムで用いられるミリ波帯である周波数28GHz帯の電波減衰率が6dB以下であることを特徴とする電波透過型遮熱複層ガラスである。
【0011】
さらに本発明は、複層ガラスであって、該複層ガラスを構成する1枚の板ガラスの空気層側に、一般式MxWOyで表される複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)微粒子の混合被膜が形成されていて、前記アンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)のMxWOyに対する割合が5から20wt%であって、前記金属MのタングステンWに対するモル比xが0.8~1.1の範囲にあり、金属Mが少なくともアルミニウム(Al)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)を含有し、該複層ガラスの光学特性が、可視光線透過率が70%以上及び日射透過率が40%以下であり、紫外線透過率が1%以下であり、さらに第5世代移動通信システムで用いられるSub6帯である周波数4.5GHz帯及び周波数3.7GHz帯の電波減衰率が3dB以下であることを特徴とする電波透過型遮熱複層ガラスである。
【0012】
本発明において、一般式MxWOyで表される複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)微粒子の混合被膜中の複合酸化タングステンMxWOy中の金属Mは、酸化タングステンにおけるタングステン原子を置換するか酸化タングステン中に固溶して存在し、そのことにより酸素欠損を生じさせ、5価のタングステンイオンであるW5+を効率的に生成させ、酸化タングステンの近赤外光吸収効果、すなわち遮熱効果を促進する。本発明においては、金属Mとして、Al、Sn及びZnを含有することが必須であるが、これら以外にカリウム(K)、イットリウム(Y)及びジルコニウム(Zr)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ユーロピウム(Eu)、ニオビウム(Nb)及び鉄(Fe)を含有していてもよい。
【0013】
本発明において、金属MのタングステンWに対するモル比Xは、0.8~1.1であるのがよい。Xが1.1を超えると、金属イオンが過多になって可視光透過率が低下する。逆に、Xが0.8より小さいと、5価のタングステンイオンの生成が不足し、日射透過率が増大してしまう。
【0014】
本発明では、複合タングステン酸化物が、W以外の金属MとしてZnを含有し、さらに少なくともAl及びSnを含有させる。これらの作用によって、近赤外線の吸収効果に加えて、紫外線の遮蔽効果を併せ持つことができる。
【0015】
本発明において一般式MxWOyで表される複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)微粒子の混合被膜を形成する複合酸化タングステン微粒子は、特許文献1等に開示されている公知の方法を利用して作製することができる。すなわち、酸化タングステン原料としては酸化タングステン水和物(H2WO4)等を、酸化亜鉛原料としては酢酸亜鉛二水和物(Zn(CH3COO)2・2H2O)等を、酸化アルミニウム原料としては硫酸アルミニウム水和物(Al2(SO4)3・16H2O)等を、酸化スズ原料としては塩化スズ二水和物(SnCl2・2H2O)等を、酸化カリウム原料としては水酸化カリウム(KOH)等を、酸化イットリウム原料としては硝酸イットリウム水和物(Y(NO3)3・6H2O)等を、酸化ジルコニウム原料としてはジルコニアナノ粒子分散液等を利用することができる。これら原料を所定の比率で含有させた水溶液を均一に撹拌し、不活性ガス雰囲気中で約650℃の温度で焼成することにより、分子レベルで均一な複合酸化タングステン微粒子を得ることができる。
【0016】
本発明において一般式MxWOyで表される複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)微粒子の混合被膜を形成するアンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)微粒子は、例えば特許文献2に開示された方法を用いて作製することができる。
【0017】
本発明の、一般式MxWOyで表される複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)微粒子の混合被膜は、前記複合酸化タングステン微粒子と前記アンチモンドープ酸化錫微粒子とを、ブチルセロソルブアセタート40~50wt%、酢酸ブチル5~15wt%、メチルエチルケトン5~15wt%の混合溶液に、前記複合酸化タングステン微粒子15~20wt%、アンチモンドープ酸化錫1~3%を分散させ、スプレーガンにより板ガラス表面に噴霧し塗布することができる。
【0018】
本発明において、複合酸化タングステン微粒子は平均粒径が50nm以下の球形とすることが望ましい。平均粒径を50nm以下の球形とすることにより、複合酸化タングステン微粒子の分散状態がよく、可視光の散乱が少ない被膜が得られる。また、微粒子の粒径が小さく、凝集体を形成することなく均一に分散していることから、微粒子の機能が向上し、可視光透過率を高く保ち、日射遮蔽性も向上し、ヘイズ率も低く抑えることができる。そして、このように凝集体を形成することなく、高度に分散していることも、5G電波の透過率を高めることに貢献しているものと考えられる。但し、複合タングステン酸化物微粒子の平均粒径を40nm以下にすることは容易ではなく、実用上は平均粒径が40nm~60nmの複合酸化タングステン微粒子を利用することになる。
【0019】
本発明において前記一般式MxWOyで表される複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)微粒子の混合被膜中のアンチモンドープ酸化錫微粒子の混合割合は、複合酸化タングステン微粒子100部に対して5部から20部であることが望ましい。5部より少ないと、該混合被膜の放射率が高くなってしまい、複層ガラスとした場合に断熱性を高くすることができない。一方、20部を超えると混合被膜の透過率が急激に低下する。
【0020】
前記アンチモンドープ酸化錫微粒子中のアンチモンのドープ割合は3~10mol%が適当であって、より望ましくは5~7mol%である。5mol%を下回ると、前記混合被膜の近赤外線遮蔽能が低下しはじめ、また放射率が高くなることから複層ガラスとした場合の断熱性が悪化する。ドープ割合が7mol%を超えるに従い可視光透過率が急激に低下するので好ましくない。
【0021】
前記複合酸化タングステンと前記アンチモンドープ酸化錫の混合被膜を板ガラス表面に塗布し、常温でセルフレベリング特性により薄く均一な厚さとする。その後30℃から60℃で約10分間加熱乾燥し、さらに一昼夜自然乾燥(温度約25℃、湿度約50%)させて、複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫微粒子からなる被膜を形成し、本発明の電波透過型遮熱複層ガラスの作製に用いる遮熱ガラスを作製することができる。
【0022】
本発明の電波透過型遮熱複層ガラスは、前記した方法で得た遮熱ガラスを、構成する1枚の板ガラス11又は12として、
図1に示した一般的な複層ガラスを作製することにより、得ることができる。その場合、遮熱ガラス表面に形成した複合酸化タングステン微粒子と前記アンチモンドープ酸化錫微粒子の混合被膜は空気層16に面するように配置する。
【0023】
なお、高い可視光線透過率とは、複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫微粒子の混合被膜が塗布された電波透過型遮熱複層ガラスにおいて、70%以上であって、本発明の構成によって達成することができる。
【0024】
また、優れた日射遮蔽性とは、本発明の電波透過型遮熱複層ガラスで、日射透過率が40%以下、紫外線透過率が1%以下という性能を満足することができることを言うが、本発明の構成によって達成することができる。
【0025】
そして、本発明の電波透過型遮熱複層ガラスにおいて、5Gにおける高い電波透過性とは、ミリ波帯である周波数28GHz帯の電波の減衰率が50%を上回らない(6dB以下)こと及びSub6帯である周波数4.5GHz帯及び周波数3.7GHz帯の電波の減衰率が30%上回らない(3dB以下)ことである。逆に言えば、本発明の電波透過型遮熱複層ガラスを透過後も、28GHz帯の電波の透過率が、電波の強度として50%以上あり、4.5GHz帯及び3.7GHz帯の電波の透過率が、電波の強度として70%以上あることを言う。
【0026】
本発明の電波透過型遮熱複層ガラスに用いることのできる板ガラスとしては、一般的なクリアガラスであるフロート板ガラスを用いればよい。また、遮熱性を高めるために、グリーンガラスなどの熱線吸収ガラスを用いてもよい。あるいは、紫外線遮蔽性を高めるために、紫外線吸収ガラスを用いることもできる。
【0027】
ここで、本発明の特徴を明確にするため、いくつかの公知例と比較して、本発明の優位点を説明する。
【0028】
特許文献3は、熱遮断ガラスおよびそれを用いた複層ガラスを開示したもので、熱線・紫外線吸収緑色系ガラスに、銀層を含む多層膜からなる垂直放射率0.2以下の低放射性膜を被膜形成した熱遮断ガラス、および該熱遮断ガラスを屋外側、クリアー系ガラスを屋内側に配設し、前記低放射性膜を熱遮断ガラスの内側面に配した複層ガラスからなる。優れた日射遮蔽性(40%以下)と比較的高い可視光透過性(67~69%)と断熱性を有するが、電波透過性についてはなんら言及がなく、導電性の高い銀層を含む多層膜を利用していることから第5世代移動通信システムに用いられる電波を反射するものと考えられる。
【0029】
特許文献4は、熱線反射性、透明性、かつテレビや通信機器、携帯電話等の周波数帯域の電波透過性に優れた熱線反射電波透過透明積層体を提供することを目途としたもので、透明プラスチックフィルムなどからなる基材Aの少なくとも一方の面に、透明誘電体層B、不連続な金属層C、透明誘電体層Dが順次積層された熱線反射電波透過透明積層体であって、特定の電波遮蔽効果、特定の可視光線透過率、及び特定の赤外線透過率を有する熱線反射電波透過透明積層体である。ここで、不連続な金属層Cの例として斑点状に形成した銀膜が挙げられている。テレビや通信機器、携帯電話等の周波数帯域電波を透過させるためには連続膜としての銀膜は不適当であって、不連続な斑点状などの形態で形成する必要があるのである。
【0030】
特許文献5は、太陽の熱線遮蔽による室内温度の上昇防止や省エネ、可視光線の透過による透明性の保持、向上、通信機器やテレビ、携帯電話等の周波数帯域の電波の透過性に優れた熱線反射電波透過透明積層体を提供することを目途としたもので、熱線反射電波透過透明積層体は、基材Aの少なくとも一方の面に、絶縁体層B、透明誘電体層C、不連続な金属層D、透明誘電体層Eが順次積層されている。ここでも、通信機器やテレビ、携帯電話等の周波数帯域の電波の透過させるためには、金属層D(銀を例示)は島状等の不連続な形態で形成する必要があるのである。
【0031】
特許文献6は、十分な断熱性を有しつつ電波透過性の確保が可能な複層ガラスパネルを提供することを目途として、第1ガラス板と、第1ガラス板と対向配置される第2ガラス板と、第1ガラス板と第2ガラス板との間に配置され、第1ガラス板と第2ガラス板の間に空隙層を形成するスペーサーとを備え、第1ガラス板及び第2ガラス板の少なくとも一方の板面に、LowE膜が形成された被膜領域と、LowE膜が形成されていない露出領域とを有する複層ガラスパネルを開示している。ここでも、電波透過性を確保するため、Low-E膜が形成されていない露出領域を設けることが必須で、実施例によれば、露出領域に対応する位置に電波を受信するためのアンテナが設けられている。
【0032】
このように従来の低放射率膜(LowE膜)を用いた複層ガラスにおいては、通信等に用いられる電波を透過させようとすると、低放射率膜を斑点状や島状の不連続な膜として形成するか、電波を透過させるための切り欠きを設ける必要があったが、本発明においては、複合酸化タングステン微粒子と前記アンチモンドープ酸化錫微粒子の混合被膜は、そのような不連続な形態にしたり切り欠きを設ける必要はない。
【0033】
特許文献7は、簡単な膜構成等で、透明性とミラー性並びに断熱性を効果的にバランスよく持たせて同時に満足し、人や環境に優しくかつ居住性に優れ、濃いグリーン色系ガラス面反射色調を呈しかつ電波透過性を有するガラス板を得ることを目途として、透明なガラス基板の一方の表面に、ガラス面側から第1層目として膜厚が10nm以上200nm 以下であるSnの酸化物薄膜、第1層の上に第2層目として膜厚が1nm以上15nm以下でかつその表面抵抗率が1kΩ/口以上であるTi、SUS、NiCrの金属ならびにこれらを主成分とする窒化物の群から選ばれた少なくとも一つの薄膜、さらに第2層の上に膜厚が30nm以上200nm 以下であるSnの酸化物薄膜を被覆積層した積層膜からなり、かつ第1層目と第3層目のうちどちらか一方の膜厚が70nm~200nm であり、しかもガラス面側からの反射光の可視光線波長域での刺激純度が10%以上である高彩度のグリ-ン色系のガラス面反射色調を呈する居住性を高めたガラス板が開示されている。この引例においては、電波透過性については、前記薄膜の表面抵抗値が1~5kΩ/□であったことが記載されているだけで5G電波を透過するかどうかは不明である。そして何よりも、可視光透過率を50~70%確保しようとすると日射透過率が50~60%と高い値となり、日射遮蔽性が極めて劣る。
【発明の効果】
【0034】
本発明の電波透過型遮熱複層ガラスは、70%以上という高い可視光透過率を維持しながら、日射透過率が40%以下という優れた遮熱性及び紫外線透過率が1%以下という優れた紫外線遮蔽性を示す。また、第5世代移動通信システムで用いられる5G電波である周波数28GHz帯のミリ波帯の透過損失を6dB以下に、及び周波数4.5GHz帯及び周波数3.7GHz帯のSub6帯の透過損失を3dB以下に抑えることができる。これは、市販のいわゆるLowE複層ガラスが、電波を反射する金属膜(銀膜)を使用しているか、遮熱性の低い金属酸化物膜を利用しているのに対して、本発明では遮熱性の高い複合金属酸化物膜を利用しているためと考えられる。これらのことから、本発明の電波透過型遮熱複層ガラスは、今後の住宅に用いられる遮熱複層ガラスとして極めて好適である。
【0035】
なお、板硝子協会によると、省エネ対策の推進によってLowEガラスの普及が進み日本の新築1戸建ては2019年時点でその使用が8割にまで増えている。このLow-Eガラスの金属膜が5G電波の透過を阻害するのである。この対策としてガラス大手メーカーA社は、LowEガラスの優れた遮熱性を保ちつつ5Gの電波を遮らない技術を開発に成功している(FSS(Frequency Selective Surface)技術:非特許文献1)。しかし、この技術は一度製品になったLowEガラスをレーザービームで精密加工するので、コストや手間が掛かる。これに対して、本発明の「5G対応電波透過型遮熱複層ガラス」は、製造の過程で電波透過型遮熱膜を塗布する方式なので、コスト的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】本発明の電波透過型遮熱複層ガラスのミリ波帯域での電波透過性を比較例と対比した図である。
【
図3】本発明の電波透過型遮熱複層ガラスのミリ波帯域での電波減衰率を比較例と対比した図である。
【
図4】本発明の電波透過型遮熱複層ガラスのSub6帯域での電波透過性を比較例と対比した図である。
【
図5】本発明の電波透過型遮熱複層ガラスのSub6帯域での電波減衰率を比較例と対比した図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する。可視光線透過率(波長範囲:380nm~780nm)、紫外線透過率(波長範囲:300nm~380nm)及び日射透過率(波長範囲:300nm~2500nm)は、日立製作所(株)製の分光光度計UH-4150を用いて測定した。
【0038】
遮熱複層ガラス作製用の分散液の作製において、複合酸化タングステンは、酸化タングステン原料として酸化タングステン水和物(H2WO4)を、酸化亜鉛原料として酢酸亜鉛二水和物(Zn(CH3COO)2・2H2O)を、酸化アルミニウム原料として硫酸アルミニウム水和物(Al2(SO4)3・16H2O)を、酸化スズ原料として塩化スズ二水和物(SnCl2・2H2O)を、モル分率で1:0.1:0.25:0.4となるよう秤量し、乳鉢で粉砕して粉末とし、公知の方法で還元し焼成し複合酸化タングステン微粒子を得た。この例では、金属MのタングステンWに対するモル比xは化学量論的には1.0となる。
【0039】
また、遮熱複層ガラス作製用の分散液の作製において、アンチモンドープ酸化錫は市販のアンチモンドープ酸化錫(三菱マテリアル電子化成製)を用いた。アンチモンのドープ割合は5mol%である。
【0040】
前記複合酸化タングステン微粒子17.5wt%及びアンチモンドープ酸化錫2.5wt%を、分散剤としてブチルセロソルブアセタート50wt%、酢酸ブチル15wt%及びメチルエチルケトン15wt%からなる有機溶剤に分散させた。分散をよくするために、撹拌機を用いて回転数1000rpmで10分間の処理を行い、複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫微粒子の混合分散液を作製した。
【0041】
幅150mm×長さ150mm×厚み3mmの透明板ガラス(いわゆるFL3)の表面に少量の重曹粉末を散布し、水に濡らしたスポンジを擦り付けて洗浄した。このガラス表面の重曹を水で完全に洗い落とした。
【0042】
前記板ガラスの表面を洗浄した後、その表面に先に作製しておいた複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫微粒子の混合分散液を、スプレーガンを用いてガラス基板上に約5g/枚を噴霧し塗布した。
【0043】
前記板ガラス上に分散液を塗布した後、常温でセルフレベリング特性により薄く均一な厚さとした。その後30℃から60℃で約10分間加熱乾燥し、さらに一昼夜自然乾燥(温度約25℃、湿度約50%)させて、複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫微粒子からなる被膜を形成し、本発明の電波透過型遮熱複層ガラスの作製に用いる遮熱ガラスを作製した。膜厚を測定したところ、3μmであった。
【0044】
上記で作製した遮熱ガラスと同寸法の板ガラスを、6mm厚みのスペーサーを介して
図1の構造の複層ガラスを組み立てることにより、空気層厚みが6mmの電波透過型遮熱複層ガラスを得た。複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫微粒子の混合被膜は、
図1において板ガラス11又は12の空気層に面した側に配置されている。
【0045】
このようにして得た電波透過型遮熱複層ガラス(実施例1)の光学特性を評価した結果を表1にまとめた。表1には本発明の電波透過型遮熱複層ガラスの光学特性の他、市販の2種類の複層ガラスの光学特性も記載している。2種類のうち、1つはガラス表面にAg膜からなる低放射率膜(いわゆるソフトコートLowE膜)が形成されたものであり、もう一つはガラス表面にフッ素ドープ酸化錫膜からなる低放射率膜(いわゆるハードコートLowE膜)が形成されたものである。市販複層ガラス1は、可視光透過率がやや低く、紫外線透過率がやや高い。また、市販複層ガラス2は、日射透過率が61%と高く、遮熱性に劣り、紫外線透過率も高い。
【0046】
【0047】
次に、表1に示した本発明の実施例1及び2種類の市販のLowE膜付き複層ガラスの電波透過性の測定を、地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所にて実施した。ネットワークアナライザを用いて、アンテナを対向させた状態で、これらのガラスを挟んだ場合と挟まない場合の受信電力比を測定することにより評価した。
【0048】
ミリ波帯である周波数28GHz帯の周波数領域を挟んだ測定領域である15GHz~40GHzの周波数範囲での電波透過率の測定結果を
図2に示す。
図2中、S21は透過した電波の強度に対応するもので、破線がアンテナ間に何も挟まない状態での基準値を示している。サンプルA、サンプルBは、それぞれ市販の複層ガラス1、市販の複層ガラス2である。28GHz帯近傍の電波が30~50dB程度となっており減衰していることがわかる。一方、本発明の実施例1に対応するサンプルCでは基準値からの乖離は小さく電波の減衰が少ないことがわかる。
【0049】
図3は、ガラスを挟まない状態、すなわち何もない空気だけの状態を基準値として本発明の実施例1(サンプルC)と市販の複層ガラス1(サンプルA)及び2(サンプルB)を挟んだ場合のミリ波帯(周波数28GHz帯)の受信電力の比である。つまり、空気の状態を0dBとして、本発明の実施例を挟んだ場合の電波減衰率と市販の複層ガラス1及び2を挟んだ場合の電波減衰率を示している。こうして表すことにより、サンプルA及びサンプルBと本発明であるサンプルCの違いがより明らかになる。第5世代移動通信システムで用いられる、いわゆる5G電波の周波数の1つであるミリ波帯(周波数28GHz帯)では、本発明の実施例1であるサンプルC(電波透過型遮熱複層ガラス)では、15GHzでの減衰率はほぼ0dBであり、その後、周波数28GHzに向けて、徐々に減衰率が増大するが、28GHzでの減衰率は2.8dBであって、約70%の電波が透過していて、電波の減衰率が、小さいことがわかった。28GHzを超えると、29.5GHzで減衰率は4.97dBになる。その後、32~33GHzまで徐々に減衰率が増大し、電波の減衰率が約10dBに達する。その後、40GHzに向けて徐々に減衰率は低下し、40GHzでの減衰率は1dB以下となる。
【0050】
一方、市販の複層ガラス1では、15GHzでの減衰率は35dBに達し、その後、周波数28GHzに向けて、減衰率に大きな変化はない。28GHzでの減衰率は31dBであって、電波が1/40まで減衰することがわかった。28GHzを超えると、徐々に減衰率は大きくなり、40GHzでの減衰率は約43dBとなる。
【0051】
市販の複層ガラス2でも、15GHzでの減衰率は22dBを超え、その後、周波数28GHzに向けて、減衰率は小さな増減を示す。そして、28GHzでの減衰率は16.3dBであって、電波は1/7程度まで減衰することがわかった。28GHzを超えると、徐々に減衰率は大きくなり、40GHzでの減衰率は約29dBとなる。
【0052】
これらをすべてのデータを記載すると膨大になるので、本発明のサンプルCについて、ミリ波帯の測定結果として24GHzから30GHzまで0.25GHzピッチで、30GHzから40GHzまで0.5GHzピッチでの測定結果を表2に示す。減衰率が3dB近傍と6dB近傍は細かく示した。また、28GHz帯の周波数である27.0GHz~29.5GHzのデータは太枠で囲っている。
【0053】
【0054】
5G通信に用いられるミリ波帯の周波数である27.0~29.5GHzでは、本発明の実施例であるサンプルCは、減衰率は2.15dB~4.98dBであり、5dBを下回っている。特に、27.0~28.16GHzの周波数領域では、減衰率は3dB以下であり、70%以上の電波を透過する。28.19~29.50GHzの領域では3dB~5dBの減衰率である。29.5GHzを超えると30GHz未満では5dB~6dBの減衰率であると判断できる。
【0055】
次に、Sub6帯である周波数4.5GHz帯及び3.7GHz帯の電波透過率の測定結果を
図4及び
図5に示す。測定した周波数領域は、2GHz~18GHzである。
図4は、ガラスを挟まない状態(対向するアンテナ間に空気しかない状態)の基準値とガラスを挟んだ場合を比較した測定結果であり、
図5は本発明の実施例1(サンプルC)と市販の複層ガラス1(サンプルA)及び市販の複層ガラス2(サンプルB)のそれぞれの測定結果と基準値との差を表したものである。
【0056】
本発明の実施例1(サンプルC)は、2GHzでは電波の減衰がほとんどなく、3.7GHzで減衰率は0.9dBであり、4.5GHzでは1.6dBであり、その後、10~11GHzの領域で約10dBの極大値を示す。一方、市販の複層ガラス1(サンプルA)は、2GHzで25dBの減衰を示し、その後、4.5GHz近傍、10GHz近傍及び14GHz近傍で極大値を示し、40dB以上の減衰率であって、電波の強度は1/100以下まで減衰する。7GHz近傍、12GHz近傍、16GHz近傍で極小値を示すが、減衰率は30dB以上であり、電波の強度は3%程度まで減衰している。市販の複層ガラス2(サンプルB)は、2GHz近傍で20dBの減衰を示し、その後、18GHzまで20dB~30dB程度の減衰率であって、電波の強度は少なくとも1/10以下にまで減衰している。
【0057】
本発明の実施例であるサンプルCについて、Sub6帯の5G通信の電波である3.7GHz帯及び4.5GHz帯での減衰率のデータを表3に示す。
【0058】
【0059】
本発明の実施例であるサンプルCでは、3GHzにおいて減衰率は0.045dBとほとんど減衰はなく、3.7GHz帯である3.6GHz~4.2GHzの周波数領域では、減衰率は0.75~1.35dBであって、85%以上の電波が透過している。また、4.5GHz帯である4.4GHz~4.9GHzの周波数領域では、減衰率は1.52dB~1.92dBであって、80%以上の電波が透過していることがわかった。なお、さらに高周波数側では、6.06GHzまで減衰率は3dB以下であり、7.6GHz未満まで6dB以下と判断される。
【0060】
以上の測定結果を整理して、第5世代移動通信システムに用いられるミリ波帯(周波数28GHz帯)及びSub6帯(周波数4.5GHz帯及び周波数3.7GHz帯)の電波が、本発明の実施例1、市販の複層ガラス1及び市販の複層ガラス2でどの程度減衰するのかを表4に整理してまとめた。本発明の実施例1では、第5世代移動通信システムに用いられるミリ波帯である28GHz帯の周波数27.0GHz~29.5GHzでは減衰率は2.16dB~4.98dBであり、Sub6帯である4.5GHz帯の周波数4.4GHz~4.9GHzでは減衰率は1.52~1.92dBであり、同じくSub6帯である3.7GHz帯の周波数3.6GHz~4.2GHzでは減衰率は0.76dB~1.35dBであることがわかった。すなわち、ミリ波帯の電波は、少なくとも50%以上が透過し、Sub6帯の電波は、少なくとも70%以上が透過することがわかった。
【0061】
なお、これまで電波の減衰率と電波の透過率の関係は、以下の関係式を用いて計算している。すなわち、出射電波の電圧と、電波透過率を測定するためネットワークアナライザの間に置いたガラスからの透過電波の電圧の比が、電波透過率であり、これの対数をとって20倍したものが電波減衰率(dB)であり、電波の受信電力比に相当する。この式に、例えば、電波の透過率として0.7(70%)を代入すると、電波の減衰率は-3.09と計算される。これを電波減衰率が3.09dBと表している。もう一例として、電波の透過率を0.1(10%)を代入すると、-20dBとなり、これを電波減衰率が20dBと表している。
電波の受信電力比=電波の減衰率(dB)=20log10[電波の透過率]
電波の透過率=透過電波の電圧(振幅)/出射電波の電圧(振幅)
【0062】
【符号の説明】
【0063】
10・・・複層ガラス
11,12・・・板ガラス
13・・・スペーサー
14b、14c・・・一次シール材
15・・・二次シール材
16・・・空気層
【要約】
【課題】本発明は、高い可視光透過率と優れた日射遮蔽性能及び紫外線遮蔽性能を有し、かつ第5世代移動通信システムに使用されるミリ波帯(28GHz帯)及びSub6帯(周波数4.5GHz帯及び3.7GHz帯)の電波を透過する電波透過遮熱複層ガラスを提供することを目的する。
【解決手段】複層ガラスを構成する1枚の板ガラスの空気層側に、一般式MxWOyで表される複合酸化タングステン微粒子とアンチモンドープ酸化錫(SnO
2:Sb)微粒子の混合被膜が形成されていて、前記アンチモンドープ酸化錫(SnO
2:Sb)のMxWOyに対する割合が5から20wt%であって、前記金属MのタングステンWに対するモル比xが0.8~1.1の範囲にあり、金属Mが少なくともアルミニウム(Al)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)を含有する。
【選択図】
図3