(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】和音発生方法並びにそれに用いる単音発生具及び和音発生具
(51)【国際特許分類】
G10D 7/12 20200101AFI20240430BHJP
【FI】
G10D7/12 130
(21)【出願番号】P 2023193246
(22)【出願日】2023-11-13
【審査請求日】2023-11-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502059984
【氏名又は名称】株式会社 一歩
(74)【代理人】
【識別番号】100183575
【氏名又は名称】老田 政憲
(72)【発明者】
【氏名】山名 勉
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3068505(JP,U)
【文献】特開2002-315971(JP,A)
【文献】特開2002-263215(JP,A)
【文献】登録実用新案第3068510(JP,U)
【文献】米国特許第09380764(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 7/00-9/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる単音を発生させる複数の単音発生具のセットから少なくとも2つの前記単音発生具を和音発生具として任意に選択するステップと、
前記和音発生具の全体を手で
一緒に掴んだ状態でまとめて押し操作又は曲げ操作し、前記和音発生具を構成する前記各単音発生具からそれぞれ単音を同時に発生させることにより、全体として和音を発生させるステップとを含む、和音発生方法。
【請求項2】
請求項1に記載の和音発生方法で使用する単音発生具であって、
筒状部と該筒状部の軸方向両端に形成された端部とを有する本体と、
前記端部の少なくとも一方に設けられたリード部とを備え、
前記本体を屈曲させることによって前記リード部で単音を鳴らすように構成されている、単音発生具。
【請求項3】
請求項2に記載の単音発生具において、
前記本体は、硬度が30度以上且つ40度以下であるEVAスポンジ材によって構成され、
前記筒状部の厚みは、3mm以上且つ7mm以下である、単音発生具。
【請求項4】
請求項2に記載の単音発生具において、
前記端部の厚みが、前記筒状部の厚みよりも
大きい、単音発生具。
【請求項5】
請求項1に記載の和音発生方法で使用する和音発生具であって、
前記単音発生具は、筒状部と該筒状部の軸方向両端に形成された端部とを有する本体と、前記端部の少なくとも一方に設けられたリード部とを備え、前記本体を屈曲させることによって前記リード部で単音を鳴らすように構成されている、和音発生具。
【請求項6】
請求項5に記載の和音発生具において、
前記単音発生具のセットは、前記リード部で発生する単音が音階を構成している、和音発生具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的に和音を発生させる和音発生方法並びにそれに用いる単音発生具及び和音発生具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のラッパ本体と、各ラッパ本体の歌口を略横一列に並べて着脱可能に束ねる連結体と、連結体に結合されて各ラッパ本体の歌口に連通する連通吹口体とを有する管楽器が記載されている。この特許文献1の管楽器によれば、連通吹口体から連結体を通じて複数のラッパ本体に同時に息が吹き込まれるので、全てのラッパ本体の音が鳴り、全体として所定の和音を発生させることができる。
【0003】
特許文献2には、蛇腹状に折った紙を手動で伸縮させることにより内部の金属リードで音を発生させるリード楽器が開示されている。さらに、同文献の
図6に示されるように、蛇腹部分の側方に配置された台座板に複数のリードを設けることによって、和音を発生させることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平6-068091号公報
【文献】特開2014-089429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の管楽器は、複数のラッパ本体が連結体に固定された構成となっている。したがって、発生させることができる和音は1種類のみに過ぎない。また、上記特許文献2に記載のリード楽器においても、複数のリードが台座板に固定された構造であるため、上記特許文献1と同様に、発生させることができる和音は1種類のみである。このように、上記特許文献1及び2に記載の発明では、構造的に複数の異なる和音を発生させることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的とするところは、演奏者または第三者が複数の単音発生具を選択して和音発生具として準備することにより、複数の異なる和音を選択的に且つ容易に発生することができる和音発生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る和音発生方法は、互いに異なる単音を発生させる複数の単音発生具のセットから少なくとも2つの前記単音発生具を和音発生具として任意に選択するステップと、前記和音発生具の全体を手で一緒に掴んだ状態でまとめて押し操作又は曲げ操作し、前記和音発生具を構成する前記各単音発生具からそれぞれ単音を同時に発生させることにより、全体として和音を発生させるステップとを含む。
【0008】
この方法によれば、まず、異なる単音を発生させる複数の単音発生具のセットから少なくとも2つの単音発生具を和音発生具として演奏者または第三者により任意に選択する。前記セットにおいて選択対象となる単音発生具の数を多くするほど、発生できる和音の種類も増やすことができる。続いて、予め選択して準備した和音発生具を構成する単音発生具の全体を演奏者が手で一緒に掴んだ状態でまとめて押し操作又は曲げ操作することにより、和音発生具を構成する各単音発生具から互いに異なる音がそれぞれ同時に発生する。その結果、このような簡単な操作で所定の和音を容易に発生させることができる。次に、複数の単音発生具のセットから、異なる組合せで少なくとも2つの単音発生具を選択すれば、先程とは異なる和音が発生する。したがって、複数の異なる和音を選択的に且つ容易に発生させることができることとなる。
【0009】
本発明に係る単音発生具は、上記和音発生方法で使用する単音発生具であって、筒状部と該筒状部の軸方向両端に形成された端部とを有する本体と、前記端部の少なくとも一方に設けられたリード部とを備え、前記本体を屈曲させることによって前記リード部で単音を鳴らすように構成されている。
【0010】
この構成によれば、押し操作又は曲げ操作により本体を屈曲させると、本体内の空気が圧縮されてリード部を通じて外部へ押し出される。そのため、容易な動作によって単音が発生する。したがって、複数の単音を同時に鳴らして和音を発生させるために好適な単音発生具が得られる。
【0011】
前記本体は、硬度が30度以上且つ40度以下であるEVAスポンジ材によって構成され、前記筒状部の厚みは、3mm以上且つ7mm以下であってもよい。
このように本体の構造を規定することにより、例えば使用者が幼児や手先の動作に障害を有する者であっても、本体を把持することで当該本体を容易に屈曲させることができ、しかもその把持力を緩めることで本体を元の形に容易に復元させることが可能になる。
【0012】
すなわち、硬度が20度よりも小さい場合又は筒状部の厚みが3mmよりも薄い場合は、使用者が本体への把持力を緩めても復元しにくくなる。一方、硬度が40度よりも大きい場合又は筒状部の厚みが7mmよりも大きい場合は、使用者が比較的大きな把持力をもって本体を把持しなければ当該本体を十分に屈曲させにくくなる。よって、上述の通り、本体は、硬度が30度以上且つ40度以下であるEVAスポンジ材によって構成され、筒状部の厚みが3mm以上且つ7mm以下であることが望ましい。
【0013】
また、上記端部の厚みは、上記筒状部の厚みよりも大きいことが好ましい。
そのことにより、リード部を本体における端部で確実に保持しつつ、本体における筒状部を容易に屈曲させることが可能になる。したがって、リード部を端部によって適切に保護し、玩具の使用時における当該リード部の損耗を抑制することが可能になる。
【0014】
本発明に係る和音発生具は、上記和音発生方法で使用する和音発生具であって、前記単音発生具は、筒状部と該筒状部の軸方向両端に形成された端部とを有する本体と、前記端部の少なくとも一方に設けられたリード部とを備え、前記本体を屈曲させることによって前記リード部で単音を鳴らすように構成されている。
このような構成により、複数の異なる和音を選択的に且つ容易に発生させる上記和音発生方法に好適な和音発生具を得ることができる。
【0015】
前記単音発生具のセットは、前記リード部で発生する単音が音階を構成していてもよい。
このような構成とすれば、一連の音階から単音を選択して音の組合せを試すなど、知育に適した和音発生具とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の演奏者が異なる単音をそれぞれ発生させることにより全体として和音を発生させるような方法とは大きく異なり、一人の演奏者であっても和音を発生できるのであり、しかも、和音発生具を構成する複数の単音発生具を手で一緒に掴んだ状態でまとめて押し操作又は曲げ操作するという簡単な操作によって、容易に和音を発生させることができる。その上、複数の単音発生具から少なくとも2つを任意に選択するという方法であるため、発生させる和音の自由度も高い。
【0017】
さらに、単音発生具の組合せを演奏者以外の第三者によっても選択的に且つ容易に事前に指定可能になるので、演奏者は演奏時に悩むことなく和音を発生させることができる。すなわち、演奏者が幼児や老人など音楽演奏時に楽器で和音を選択操作することが困難な者であっても、指導者が演奏前に和音発生具を準備しておき、演奏者が指導者の指導に沿って和音発生具を操作すれば、和音発生を含む音楽を容易に演奏することが可能となる。もちろん、単独で和音を発生させて遊ぶことも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態における単音発生具の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、単音発生具における本体の断面構造を示す断面斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における単音発生具のセットを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、単音発生具を押し操作した状態を示す説明図である。
【
図5】
図5は、単音発生具を曲げ操作した状態を示す説明図である。
【
図6】
図6は、和音発生具を押し操作した状態を示す説明図である。
【
図7】
図7は、和音発生具により発生させる和音の例を示す図である。
【
図8】
図8は、和音発生具により発生させる和音の例を示す図である。
【
図9】
図9は、和音発生具により発生させる和音の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本実施形態における単音発生具1の外観を示し、
図2は、単音発生具1における本体3の断面構造を示している。
図3は、本実施形態における和音発生具10を示している。
図4は単音発生具を押し操作した状態を示し、
図5は単音発生具を曲げ操作した状態を示す図である。
図6は、和音発生具を押し操作した状態を示す図である。
尚、本実施形態における和音発生具10及び単音発生具1は、
図1~
図6に示される構成に限定されるものではない。
【0021】
本実施形態における和音発生方法は、例えば
図6に示す和音発生具20によって行うことができる。和音発生具20は、複数の単音発生具1によって構成されている。
図1及び
図2に示すように、単音発生具1は、中空の本体3と、本体3に設けられたリード部5とを有している。本体3は、筒状部11と、筒状部11の軸方向Aの両端に形成された端部13とを有する。
【0022】
本実施形態における筒状部11は円筒状に形成されている。尚、筒状部11の形状はこれに限定されるものではなく、例えば断面楕円の筒状や断面多角形の筒状など、他の形状の筒状であってもよい。端部13は、筒状部11の両端をそれぞれ塞ぐように形成された部分である。端部13は、筒状部11と一体に形成されている。端部13の外縁は、テーパ状又はアール状に形成されている。
【0023】
本体3の直径は、例えば4cm程度である。また、軸方向Aにおける本体3の長さは、例えば17cm程度である。本体3の直径及び長さは、これに限定されるものでなく使用者に応じて適宜変更してもよい。
【0024】
筒状部11における一方の端部13には、リード部5が設けられている。リード部5は、音を鳴らすリード本体15と、リード本体15を収容する筒状のケース16とを有している。一方の端部13の中央には貫通孔17が形成されており、リード本体15を収容したケース16が貫通孔17に嵌合することによって、リード部5は端部13に取付固定されている。
【0025】
尚、リード部5は、筒状部11における両方の端部13にそれぞれ設けられていてもよい。ただし、一方の端部13にのみリード部5を設けることにより、当該リード部5を通過する空気の流量を大きくして、比較的大きな音を鳴らしやすくすることが可能になる。
【0026】
単音発生具1は、本体3を屈曲させることにより、本体3内の空気がリード本体15を通じて外部へ押し出されることでリード部5から音を鳴らすように構成されている。
単音発生具1は、片手又は両手で容易に屈曲させることができる構成となっている。例えば、単音発生具1は、
図4に示すように、本体3の中央部分を片手で把持して押す操作によって、当該本体3を屈曲させることができる。また、
図5に示すように、単音発生具1の両方の端部13をそれぞれ把持して曲げ操作することにより、本体3の中央部分を屈曲させることが可能である。
【0027】
本実施形態における単音発生具1の本体3は、硬度が30度以上且つ40度以下であるEVAスポンジ材によって構成されている。例えば、本体3の硬度は35度程度であることが特に好ましい。また、筒状部11の厚みは、3mm以上且つ7mm以下である。例えば、筒状部11の厚みは、5mm程度であることが特に好ましい。
【0028】
端部13の厚みは、筒状部11の厚みよりも大きくなっており、例えば17mm以上且つ23mm以下であることが好ましい。例えば、端部13の厚みは、20mm程度であることが特に好ましい。また、筒状部11の厚みは、端部13の厚みの1/4程度であることが望ましい。尚、本体3はEVAスポンジ材に限らず、合成樹脂材料等の他の材料によって形成してもよい。
【0029】
また、本実施形態における和音発生具20は、
図3に示すように、上記説明した単音発生具1を複数備えたセット10から任意に選択した複数の単音発生具1からなる。特に、単音発生具のセット10は、リード部5で発生する単音が音階(例えば、ドレミファソラシドの音階)を構成するように複数の単音発生具1が一組のセットになっており、和音発生具20は当該セット10から少なくとも2つの単音発生具1を任意に選択して和音を発生させるように構成されている。
【0030】
図3に示すように、各単音発生具1には、当該単音発生具1によって鳴る1つの音(例えばド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ又はド)の文字7がそれぞれ刻印されている。尚、1オクターブ異なる音(例えば「ド」)については、低い方の音を表す文字7の下に〇印が刻印され、高い方の音を表す文字7の上に〇印が刻印されている。このようにして、所望の音が鳴る単音発生具1を視覚及び触覚により識別できるようになっている。
【0031】
次に、和音発生方法について説明する。
図7~
図9は、和音発生具10により発生させる和音の例を示している。本実施形態における和音発生方法は、上述した和音発生具20を使用して和音を発生させる方法である。
【0032】
まず、
図3に示すように、互いに異なる単音を発生させる複数の単音発生具1のセットから少なくとも2つの単音発生具1を任意に選択し、
図6に示すように、この選択した複数の単音発生具1を和音発生具20とする。このとき、和音発生具20を構成する単音発生具1の選択は、演奏者(使用者本人)に限らず、第三者(例えば指導者等の補助者)が行ってもよい。そのことにより、演奏者が例えば幼児や老人等であっても、和音を発生させて演奏を楽しむことができる。
【0033】
3つの単音発生具1を選択する場合は、例えば、
図7に示すド・ミ・ソの音や、
図8に示すミ・ソ・シの音などを組み合わせることができる。また、2つの単音発生具1を選択する場合は、例えば
図9に示すド、ソの音などを組み合わせることができる。尚、これらの和音は例示であって、発生させる和音は任意である。
【0034】
次に、例えば
図6に示すように、準備した和音発生具20の全体を手で掴んだ状態でまとめて押し操作又は曲げ操作する。各単音発生具1は筒状の本体3を有するので、その軸方向を揃えることにより全体をまとめて手で掴みやすくなっている。
【0035】
図6では押し操作した例を示している。押し操作するときは、各単音発生具1の中央部分(つまり和音発生具20の中央部分)を把持した状態で押し込む。一方、曲げ操作するときは、
図5に示す単音発生具1の場合と同じ要領で、和音発生具20の両端部分(つまり複数の単音発生具1の両端部分)をそれぞれ把持して全体を曲げることが可能である。
【0036】
押し操作又は曲げ操作により本体3は屈曲し、本体3内の空気が圧縮されてリード部5を通じて外部へ押し出される。そのことにより、各単音発生具1からそれぞれ単音が同時に発生し、全体として和音を発生させる。
単音発生具1のセットから選択して組み合わせる音の数は任意であり、自由な音の組合せを楽しむことができる。
【0037】
このように、本実施形態の和音発生方法によれば、複数の演奏者が異なる単音をそれぞれ発生させることにより全体として和音を発生させるような方法とは大きく異なり、一人の演奏者であっても和音を発生できるのであり、しかも、和音発生具20を構成する複数の単音発生具1を手で一緒に掴んだ状態でまとめて押し操作又は曲げ操作するという簡単な操作によって、容易に和音を発生させることができる。その上、複数の単音発生具1から少なくとも2つを任意に選択するという方法であるため、発生させる和音の自由度も高いという顕著な効果を奏する。すなわち、予め設定された1種類の和音を発生させる方法とは異なり、複数の異なる和音を選択的に発生させることができ、しかも各和音を簡単な操作で容易に発生させることができるのである。
【0038】
さらに、本実施形態の和音発生方法によれば、音楽を演奏する場合にも、演奏者および第三者により単音発生具1を選択的に且つ容易に事前に指定可能になるので、演奏者は演奏時に悩むことなく、その選んだ複数の単音発生具1を和音発生具20として和音を発生させることができる。
【0039】
これによって、演奏者が幼児や老人など音楽演奏時に楽器を使用した和音選択操作が困難な者でも、指導者が演奏前に和音発生具20を準備しておき、演奏者が指導者の指導に沿って和音発生具20を操作すれば幼児や老人でも和音発生を含む音楽を演奏することが可能となる。もちろん、単独で和音を発生させて遊ぶことも可能となる。
【0040】
また、本実施形態における単音発生具1及び和音発生具20は、単音又は和音を発生させるだけでなく、例えば、幼児が手遊びするために使用したり、手先の動作に障害を有する者が楽しみながら手先の機能訓練を行うために使用することも可能である。
【0041】
本実施形態では、上述のように本体3を構成するEVAスポンジ材の硬度が30度以上且つ40度以下であり、且つ筒状部11の厚みが3mm以上且つ7mm以下である特定の構成としている。単音発生具1は、このような特定の本体構成であるために、使用者が幼児や手先の動作に障害を有する者であるとしても、本体3を把持することで当該本体3を容易に屈曲させることができ、しかもその把持力を緩めることで本体3を元の形に容易に復元させることが可能になるのである。
【0042】
すなわち、本体3の硬度が20度よりも小さい場合又は筒状部11の厚みが3mmよりも薄い場合は、使用者が本体3への把持力を緩めても容易に復元しにくい。一方、本体3の硬度が40度よりも大きい場合又は筒状部11の厚みが7mmよりも大きい場合は、使用者が比較的大きな把持力をもって本体3を把持しなければ当該本体3を十分に屈曲させることが難しい。その結果、使用者の思い通りに音を鳴らすことが難しくなる。よって、上述の通り、本体3は、硬度が30度以上且つ40度以下であるEVAスポンジ材によって構成され、且つ筒状部11の厚みが3mm以上且つ7mm以下であることが望ましいのである。
【0043】
また、本実施形態における単音発生具1及び和音発生具20では、端部13の厚みが筒状部11の厚みよりも大きくなっている。したがって、筒状部11における厚みを比較的薄くしつつ端部13における厚みを比較的厚くすることによって、本体3全体の形状安定性を高められている。さらに、リード部5を本体3における端部13で確実に保持しつつ、筒状部11において本体3を容易に屈曲させることが可能になる。したがって、リード部5を端部13によって適切に保護し、単音発生具1及び和音発生具20の使用時における当該リード部5の損耗を好適に抑制できる。
【0044】
さらに、本実施形態における単音発生具のセット10は、複数の単音発生具1における各リード部5の音が全体として音階を構成している。そのため、一連の音階から任意の単音を選択して音の組合せを試すなど、知育に適した和音発生具20とすることができる。
【0045】
また、複数の使用者がそれぞれ当該単音発生具1を持ち、各人が自由に異なる音を鳴らして遊んだり、音楽に合わせて各人がリズムをとって遊ぶことも可能である。また、種々のゲーム遊びに利用することもできる。
【0046】
尚、上記単音発生具1について、筒状部11と端部13に設けられたリード部5とを有する例について説明したが、単音発生具の構成はこれに限定されない。
例えば、蛇腹体(図示省略)とその両端に設けられた側板(図示省略)とを有し且つ側板にリード部(図示省略)が設けられた単音発生具としてもよい。また、その他に、屈曲可能な本体(図示省略)と、本体の屈曲状態を検知するセンサ部(図示省略)と、センサ部の出力に応じて電子音を発生させる単音発生部(図示省略)とを有する単音発生具としてもよい。
【0047】
単音発生具をこのような構成としても、上記筒状の本体3とリード部を有する単音発生具1及びそれを備えた和音発生具10と同様の効果を得ることができ、上記和音発生方法を実現することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明は、選択的に和音を発生させる和音発生方法並びにそれに用いる単音発生具及び和音発生具について有用である。
【符号の説明】
【0049】
A 軸方向
1 単音発生具
3 本体
5 リード部
10 単音発生具のセット
11 筒状部
13 端部
20 和音発生具
【要約】
【課題】複数の異なる和音を選択的に且つ容易に発生させることができる和音発生方法を提供する。
【解決手段】和音発生方法は、互いに異なる単音を発生させる複数の単音発生具のセットから少なくとも2つの前記単音発生具を和音発生具として任意に選択するステップと、前記和音発生具の全体を手でまとめて押し操作又は曲げ操作し、前記和音発生具を構成する前記各単音発生具からそれぞれ単音を同時に発生させることにより、全体として和音を発生させるステップとを含む。
【選択図】
図6