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  • 特許-差動増幅器 図1
  • 特許-差動増幅器 図2
  • 特許-差動増幅器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】差動増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
H03F3/45 210
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020019244
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021125830
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】椎名 美臣
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-41037(JP,A)
【文献】特開2005-136473(JP,A)
【文献】特開2009-60439(JP,A)
【文献】特開2016-187123(JP,A)
【文献】米国特許第5764101(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動入力回路を構成する第一導電型の第一及び第二のMOSトランジスタと、
前記第一及び第二のMOSトランジスタにバイアス電流を流すバイアス電流源と、
前記バイアス電流源と前記第一及び第二のMOSトランジスタの間に、前記第一及び第二のMOSトランジスタのバックゲート電圧を制限する第一導電型の第三のMOSトランジスタを備え
前記第三のMOSトランジスタは、ゲートが前記第一及び第二のMOSトランジスタのいずれかのゲートと接続されることを特徴とする差動増幅器。
【請求項2】
前記第三のMOSトランジスタは、ゲート・ソース間電圧が前記第一及び第二のMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の差動増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来の差動増幅器を示す回路図である。
従来の差動増幅器は、差動入力回路を構成しているPMOSトランジスタ31及び32と、負荷の役割を果たすNMOSトランジスタ33及び34と、バイアス電流源である定電流源35と、NMOSトランジスタ36を備えている。NMOSトランジスタ36は、PMOSトランジスタ31及び32のバックゲート・ソース間電圧を制限する。
【0003】
以上のように差動増幅器は、NMOSトランジスタ36を備えたため、電源電圧として高い電圧を設定しても、PMOSトランジスタ31及び32のバックゲート・ソース間電圧はNMOSトランジスタ36のゲート・ソース間電圧となるので、PMOSトランジスタ31の相互コンダクタンスは必要以上に減少しないので、広い同相入力電圧範囲を確保しながらオフセット電圧の増加を抑制することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-41037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の差動増幅器は、ダイオード接続されたNMOSトランジスタ36を備えたため、電源電圧として、PMOSトランジスタ31及び32のゲート・ソース間電圧とNMOSトランジスタ36のゲート・ソース間電圧を加算した電圧よりも高い電圧が必要である。即ち、従来の差動増幅器は、低電圧動作をすることは困難であった。
【0006】
本発明は上記課題に顧みてなされたもので、広い同相入力電圧範囲を確保しながら、低電圧動作が可能な差動増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の差動増幅器は、差動入力回路を構成する第一導電型の第一及び第二のMOSトランジスタと、前記第一及び第二のMOSトランジスタにバイアス電流を流すバイアス電流源と、前記バイアス電流源と前記第一及び第二のMOSトランジスタの間に、前記第一及び第二のMOSトランジスタのバックゲート電圧を制限する第一導電型の第三のMOSトランジスタを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の差動増幅器によれば、広い同相入力電圧範囲を確保しながら、低電圧で動作することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の差動増幅器を示す回路図である。
図2】本実施形態の差動増幅器の他の例を示す回路図である。
図3】従来の差動増幅器を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態の差動増幅器を示す回路図である。
本実施形態の差動増幅器は、差動入力回路を構成しているPMOSトランジスタ11及び12と、負荷の役割を果たすNMOSトランジスタ13及び14と、バイアス電流源である定電流源15と、PMOSトランジスタ16を備えている。
【0011】
PMOSトランジスタ16は、ソースとバックゲートが定電流源15に接続され、ゲートが差動増幅器の入力端子、例えば、入力端子INNに接続されている。PMOSトランジスタ11は、ソースがPMOSトランジスタ16のドレインに接続され、ゲートが入力端子INPに接続され、バックゲートが定電流源15に接続されている。PMOSトランジスタ12は、ソースがPMOSトランジスタ16のドレインに接続され、ゲートが入力端子INNに接続され、バックゲートが定電流源15に接続されている。NMOSトランジスタ13は、ゲートとドレインがPMOSトランジスタ11のドレインに接続され、ソースとバックゲートが接地端子に接続されている。NMOSトランジスタ14は、ゲートがNMOSトランジスタ13のゲートに接続され、ドレインがPMOSトランジスタ12のドレインと出力端子OUTに接続され、ソースとバックゲートが接地端子に接続されている。
【0012】
以下に、上述のように構成した差動増幅器の動作について説明する。
PMOSトランジスタ16は、ゲートが差動増幅器の入力端子INNに接続されているので、ソースに接続されたバックゲートの電圧は、入力端子INNの電圧にゲート・ソース間電圧が加算された値になる。また、PMOSトランジスタ16は、ソースにPMOSトランジスタ11及び12のバックゲートが接続されているため、PMOSトランジスタ11及び12のバックゲート・ソース間電圧を制限する。即ち、PMOSトランジスタ11及び12のバックゲートの電圧は、入力端子の電圧にPMOSトランジスタ16のゲート・ソース間電圧が加算された値になる。
【0013】
ここで、PMOSトランジスタ16のサイズは、PMOSトランジスタ11及び12よりもゲート・ソース間電圧が高くなるように設定する。例えば、PMOSトランジスタ16のLをPMOSトランジスタ11及び12よりも大きくする。
【0014】
このようにPMOSトランジスタ16を構成すると、PMOSトランジスタ11及び12のバックゲート電位が高くなるので、バックゲート効果により同相入力電圧範囲を拡張することが出来て、更に電源電圧はPMOSトランジスタ16のゲート・ソース間電圧よりも高い電圧であればよいので、従来の差動増幅器よりも低電圧で動作することが出来る。
【0015】
以上説明したように、本発明の差動増幅器によれば、差動入力回路を構成しているPMOSトランジスタのバックゲート・ソース間電圧を制限する回路に、ゲートが入力端子に接続され、ゲート・ソース間電圧が差動入力回路を構成しているPMOSトランジスタよりも高いPMOSトランジスタを備えたので、広い同相入力電圧範囲を確保しながら、低電圧で動作することが出来る。
【0016】
図2は、本実施形態の差動増幅器の他の例を示す回路図である。
図2の差動増幅器は、図1から、PMOSトランジスタ16のゲートに接続された定電圧源17が追加されている。定電圧源17は、PMOSトランジスタ16のゲートにバイアス電圧を印加している。
【0017】
PMOSトランジスタ16のゲート・ソース間電圧は、定電圧源17のバイアス電圧を入力端子の電圧よりも高く設定すると、PMOSトランジスタ11及び12のゲート・ソース間電圧よりも高くなる。従って、定電圧源17のバイアス電圧を適当な値に設定すれば、PMOSトランジスタ16は、PMOSトランジスタ11及び12と同じサイズで構成することが可能である。
【0018】
即ち、図2の差動増幅器は、定電圧源17のバイアス電圧を適当な値に設定することによって、PMOSトランジスタ16をPMOSトランジスタ11及び12と同じサイズで構成しても、図1の差動増幅器と同様の効果を得ることが出来る。
【0019】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0020】
例えば、本実施形態において、差動増幅器は、PMOSトランジスタが差動入力回路を構成して、PMOSトランジスタがそのバックゲート・ソース間電圧を制限する回路として説明したが、NMOSトランジスタが差動入力回路を構成して、NMOSトランジスタがそのバックゲート・ソース間電圧を制限する回路としてもよい。その場合の差動増幅器は、電源端子と接地端子の間の関係において、回路が反転して構成される。
【符号の説明】
【0021】
11、12、16 PMOSトランジスタ
13、14 NMOSトランジスタ
15 定電流源
17 定電圧源
図1
図2
図3