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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】手洗い装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/00 20060101AFI20240430BHJP
   A47K 5/12 20060101ALI20240430BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20240430BHJP
   A61L 2/28 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A47K1/00 J
A47K5/12 Z
A61L2/18 100
A61L2/18
A61L2/28
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020095245
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021186306
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田端 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】川邊 啓祐
(72)【発明者】
【氏名】若林 寿枝
(72)【発明者】
【氏名】大桃 義智
(72)【発明者】
【氏名】小野 長平
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-017631(JP,A)
【文献】特開2017-012597(JP,A)
【文献】国際公開第2016/104442(WO,A1)
【文献】特表2019-512276(JP,A)
【文献】特開2020-065643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00- 1/14
5/00- 5/18
A16L 2/00- 2/28
11/00-12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の手洗い時に所定の洗浄媒体を供給可能とする供給機構部と、
使用者の手洗い状況に関連する所定の情報を取得する手洗い状況取得部と、
使用者に対し少なくとも手洗いに係る所定情報を報知可能な報知部と、
を備え、
使用者の手洗い時に、使用者の手洗い状況に関連する所定の情報に基づいて、前記供給機構部と報知部の少なくとも一方の制御を行うように構成されており、
前記洗浄媒体に被識別剤を混入するとともに、当該被識別剤を識別可能な、前記手洗い状況取得部となる識別センサを備え、
前記識別センサから取得される情報を使用者の手洗い状況に関連する所定の情報として取得することを特徴とする手洗い装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手洗いを行おうとする使用者に、手洗いに用いられる洗浄媒体を供給可能な手洗い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を取り扱う事業者においては、その業務へのHACCPのような安全のための管理手法の導入が進んでおり、こうした管理手法の導入に合わせて、事業者側での従業者各々の手洗い状況の管理要求が強まっている。近年、こうした要求に対応するために、人の手洗いに係る行動を監視し、手洗いにかかる時間が短いなど、手洗いが適切に行われていない場合に警告を行ったり、行動を記録して正しい手洗いのアドバイスや指導に使用できるようにするシステムが提案されている。
こうした従来の手洗いに関するモニタリングシステムの例として、特開2017-12597号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-12597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のモニタリングシステムは、前記特許文献に示される構成とされており、手洗い用の設備を使用者が使用して手洗いを行う際の、使用者の行動を監視し、使用者の手洗いに係る行動が適切でないと判断したばあいには、そのやり直しを使用者に指示することで、使用者の手洗いにおける行動をガイドライン等に規定された適切な手洗い行動に沿うようにするものであった。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の従来システムは、使用者の手洗いにおける各動作にかかった時間を基準時間と比較し、基準時間より短い場合にその動作を不適と判断するものである。このため、使用者の手洗いにおける各動作の内容が適切な手洗いを実現するものでなくても、そうした動作が基準時間以上にわたって継続されていれば、適切な動作であると誤って判断されるなど、判断結果の信憑性が高いとはいえない。すなわち、監視が手洗いによる手指の清浄性の獲得に必ずしも繋がらず、システムの監視下で手洗いを行っても手指の衛生状態を担保できない、という課題を有していた。
【0006】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、使用者の手洗い状況に関連する情報に基づいて洗浄媒体の供給や使用者への指示を調整制御して、使用者が手洗いを適切に実行できるようにする手洗い装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開示に係る手洗い装置は、使用者の手洗い時に所定の洗浄媒体を供給可能とする供給機構部と、使用者の手洗い状況に関連する所定の情報を取得する手洗い状況取得部と、使用者に対し少なくとも手洗いに係る所定情報を報知可能な報知部と、を備え、使用者の手洗い時に、使用者の手洗い状況に関連する所定の情報に基づいて、前記供給機構部と報知部の少なくとも一方の制御を行うものである。
【0008】
このように本発明の開示によれば、手洗い状況取得部で取得した使用者の手洗い状況に関連する所定の情報に基づいて、洗浄媒体の供給や手洗いに係る情報の報知を制御して、使用者に与えられる手洗いの条件や、使用者の手洗いに係る行動を変化させられることにより、使用者の手洗いにおける良くない点を正しく評価して、その良くない点を改善できるように洗浄媒体供給の調整や使用者への働きかけを行うことができ、使用者の洗浄媒体を使用した手洗いの質の向上が図れる。
【0009】
また、本発明の開示に係る手洗い装置は必要に応じて、前記洗浄媒体に被識別剤を混入するとともに、当該被識別剤を識別可能な識別センサを備え、前記手洗い状況取得部は、前記センサから取得される情報を使用者の手洗い状況に関連する所定の情報として取得するものである。
【0010】
このように本発明の開示によれば、手洗いに使用される水や洗浄剤、あるいは専用の装置で生成される電解次亜水やオゾン水などの洗浄媒体を容易に識別できるように、洗浄媒体に、可視光と異なる波長の光(例えば紫外線)を当てると他と区別可能となる発色成分や蛍光(発光)成分のような被識別剤を混入し、当該被識別剤を識別する識別センサを備えることで、被識別剤を有す洗浄媒体を介して手の動きを認識できるので、手洗い状況を把握しやすく、また、洗浄媒体の残渣を確認することですすぎの判断をより正確に行うことが出来る。
また、本発明の開示に係る手洗い装置は必要に応じて、使用者の洗浄用器具を備え、前記手洗い状況取得部は、前記洗浄用器具の動きに係る情報を使用者の手洗い状況に関連する所定の情報として取得するものである。
【0011】
このように本発明の開示によれば、手洗いに係る使用者の手の動きを洗浄用器具の動きから容易且つ明確に把握でき、手洗いの質のさらなる向上に繋げられる。
【0012】
また、本発明の開示に係る手洗い装置は必要に応じて、前記洗浄用器具にモーションセンサを内蔵し、前記洗浄用器具の動きに係る情報を、前記モーションセンサにより取得するものである。
【0013】
このように本発明の開示によれば、使用者の手洗いに用いられる器具の動きをとらえるにあたり、洗浄用器具にモーションセンサを内蔵する構成としたので、直接的に洗浄用器具の動きを捉えられ、加速度などの検知により、力の入れ具合なども推測でき、より良好に洗浄状況を把握出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る手洗い装置の概略構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る手洗い装置における洗浄媒体供給部の側面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る手洗い装置における洗浄媒体供給部の正面側斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る手洗い装置のブロック図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る洗浄用器具の側面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る手洗い装置の手洗い管理情報に基づく報知制御状態説明図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る手洗い装置のブロック図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る手洗い装置における洗浄媒体供給部の側面図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る手洗い装置における洗浄媒体供給部と管理部との間での情報送受信状態説明図である。
図10】本発明の第3の実施形態に係る手洗い装置の概略構成図である。
図11】本発明の第4の実施形態に係る手洗い装置における洗浄媒体供給部の配設状態説明図である。
図12】本発明の第4の実施形態に係る手洗い装置における洗浄媒体供給部の平面図である。
図13】本発明の第4の実施形態に係る手洗い装置における洗浄媒体供給部の概略底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る手洗い装置を前記図1ないし図6に基づいて説明する。
【0016】
なお、本発明を説明するにあたり、手洗い装置に洗浄媒体供給部を備えているが、供給される洗浄媒体は通常の洗剤、アルコールなどの薬剤以外に専用の装置で水道水や食塩水などから生成される電解次亜水、オゾン水などが考えられ、さらには本発明における洗浄媒体供給装置としては水のみを供給する自動水栓のようなものを含む。
【0017】
前記各図において本実施形態に係る手洗い装置1は、使用者の使用する洗浄媒体を内部に収めて手洗器110に配設され、使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作に応じて、洗浄媒体50を使用者に対し供給する洗浄媒体供給部10と、この洗浄媒体供給部10のある手洗器110近傍に配設され、洗浄媒体供給部10で洗浄媒体とは別に供給されるオゾン水を発生させるオゾン水生成部60とを備える構成である。
【0018】
前記洗浄媒体供給部10は、使用者が手洗いのために洗浄媒体を実際に使用する場所、例えば、手洗器や洗面台等の手洗い設備に設けられるものである。具体的には、既存の手洗器又は洗面台に設けられている水石けん入れにおける、着脱可能な水石けん容器と置き換える形で配設され、洗浄媒体を所定量収められるものである。
【0019】
また、前記オゾン水生成部60は、洗浄媒体供給部10を設けた手洗器や洗面台等の手洗い設備の近傍に配設され、オゾン水の流通する管路を介して洗浄媒体供給部10と接続され、オゾン水を発生させると共に、前記管路を通じて洗浄媒体供給部10にオゾン水を送り出し、洗浄媒体供給部10からオゾン水を吐出供給可能とするものである。
【0020】
なお、手洗い設備の近傍にオゾン水生成部60を設ける代わりに、既設のオゾン水生成設備からオゾン水用管路を通じて分配されるオゾン水を洗浄媒体供給部10に導入したり、オゾン発生装置で発生させた気体のオゾンを洗浄媒体供給部10に供給し、洗浄媒体供給部10でこのオゾンを例えば微小気泡として水に混入させてオゾン水を得る構成とすることもできる。
【0021】
こうした洗浄媒体供給部10とオゾン水生成部60とを備える、本実施形態に係る手洗い装置1は、食品を取り扱う事業所等に関する施設基準で設置が求められる、従事者専用の流水受槽式手洗い設備に設けられる手指消毒装置に該当するものとすることができる。
【0022】
前記洗浄媒体供給部10は、詳細には、手洗いに使用される所定の洗浄媒体を収納する収納部11と、この収納部11に収納された洗浄媒体を使用者の手洗い時に供給可能とする供給機構部12と、この供給機構部12から供給される洗浄媒体を手で受けようとする使用者の所定動作を検出する動作検出部13と、使用者に係る所定の認証用情報を受け取る入力部14と、使用者の手洗いの状況を撮像する撮像部15と、供給機構部12に使用者への洗浄媒体の供給を行わせる制御部16と、使用者に対し手洗いに係る所定情報を報知可能な報知部17と、オゾン水生成部60で発生させたオゾン水を使用者に対し吐出供給するオゾン水供給部19とを備える構成である。
【0023】
この洗浄媒体供給部10は、最外部の略円筒形の筐体10a内に、前記収納部11、供給機構部12、動作検出部13、入力部14、撮像部15、制御部16、及び報知部17を収めると共に、筐体外側にオゾン水供給部19を設けた構成とされる。
【0024】
この洗浄媒体供給部10の下側には、(従来の水石けん入れと同様に、)使用者が手を差し入れて洗浄媒体を受けられる程度の大きさの空間が存在しており、また、この空間の上方となる洗浄媒体供給部10の筐体下部所定箇所には、供給機構部12で送出された洗浄媒体を下方の空間へ出すための開口部である吐出口10bが設けられる。洗浄媒体供給部10の下側の空間に使用者が手を差し出すと、供給機構部12で送出された洗浄媒体が吐出口10bを通って下方へ吐出され、ちょうど洗浄媒体供給部10の下側に位置させた使用者の手の上に達して、使用者は洗浄媒体を受け取って洗浄に用いることができる仕組みとなっている。
【0025】
この他、手洗い装置10には、供給機構部12、動作検出部13、入力部14、撮像部15、制御部16、報知部17、オゾン水供給部19、及び、オゾン水生成部60に電力を供給する電源として、洗浄媒体供給部10に内蔵される電池又は洗浄媒体供給部10に直接若しくはACアダプタ等を介して接続される商用電源が用いられる構成である。
【0026】
なお、電源としては、オゾン水生成部60に内蔵される電池又はオゾン水生成部60に接続される商用電源を用いる構成としてもよい。
【0027】
前記収納部11は、洗浄媒体供給部10の筐体10a内に設けられ、使用者が手洗いに使用する洗浄媒体、例えば、水石けんを、補充可能な状態として収納するものである。収納部11近傍となる洗浄媒体供給部10の筐体10aの一部は開閉可能とされており、開放状態で外部から収納部11に洗浄媒体を補充できる。なお、収納部11への洗浄媒体の補充については、洗浄媒体を収めたカートリッジを、それまで使用されていた前のカートリッジと交換する方式としてもかまわない。
【0028】
収納部11に収められた洗浄媒体は、その洗浄媒体の使用時に順次収納部11から所定量ずつ供給機構部12により取り出され、洗浄媒体供給部10に設けられた吐出口10bに達し、この吐出口10bから外部に吐出される仕組みである。
【0029】
この洗浄媒体は、撮像部15で使用者の手洗い状況に関連する所定の情報を撮像する際に、この洗浄媒体の存在を他から識別可能となる被識別剤として、手洗い状況取得部となる識別センサとして機能する撮像部15の撮像に特に適するように着色されたり、可視光と異なる波長の光(例えば紫外線)を当てると他と区別可能となる発色成分や蛍光(発光)成分を添加したり、不透明の微細な泡沫(フォーム)状として吐出するようにされる。
【0030】
この構成により、被識別剤を有す洗浄媒体を撮像しやすくなり、洗浄媒体を介して手の動きを認識できるので、手洗い状況を把握しやすく、また、洗浄媒体の残渣を確認することですすぎの判断をより正確に行うことが出来る。
【0031】
なお、紫外線を当てるための発光部は撮像部15に備えられても良いが、別に識別用ライトとして備えても良い。識別用ライトの光を受けた被識別剤は、肉眼でも存在を確認出来るので、手洗いのすすぎの状況を撮像部15を介することなく知ることが出来る。
【0032】
前記供給機構部12は、使用者の手洗い時に収納部11に収められた洗浄媒体を使用者に対し供給可能とするものである。この供給機構部12は、より具体的には、制御部16による制御に基づいて、収納部11の洗浄媒体を吸込み、洗浄媒体供給部10内の流路を通じて吐出口10bへ移送し、吐出口10bから洗浄媒体供給部10の下方へ洗浄媒体を吐出することで、使用者の手に洗浄媒体を供給可能とする、公知のポンプ機構である。
【0033】
供給機構部12は、必要に応じて洗浄媒体を泡立てて微細な泡沫(フォーム)状として吐出するようにすることもできる。
【0034】
また、供給機構部12で移送される洗浄媒体の流路には、この供給機構部12により使用者の手に向けて送出供給される洗浄媒体の量を検出する検出部12aが設けられる。
【0035】
この検出部12aで検出された洗浄媒体の量に係る情報は、使用者の手洗い状況に関連する所定の情報、より詳細には、供給機構部12による使用者への洗浄媒体の供給に係る情報として、制御部16により取得されることとなる。
【0036】
前記動作検出部13は、供給機構部12から供給される洗浄媒体を手で受けようとする使用者の所定動作、例えば、洗浄媒体が吐出される吐出口10bの下方に、洗浄媒体を受け取るために手を差し出す動作など、を検出するものである。
【0037】
詳細には、動作検出部13は、洗浄媒体供給部10における下部に設けられ、使用者が洗浄媒体を受け取るために吐出口10bの下方に手を差し出し、手の一部が吐出口10bの下に達した際に、手の存在を感知可能なセンサとされるものである。これにより、動作検出部13は、使用者が洗浄媒体50を受け取ろうとして手を差し出す動作を検出することができる。
【0038】
こうした洗浄媒体を受け取ろうとする使用者の動作を検出するセンサとしては、焦電効果を利用したもの、光や超音波の反射を検出するもの、光の進行経路が妨げられた状態を検出するものなど、この種の手などの動きを検出する目的に用いられる公知のセンサを使用できる。
【0039】
この他、動作検出部は、洗浄媒体の受け取りに際し使用者に操作される所定のスイッチとして設けられて、使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作としての使用者のスイッチ操作を、スイッチの状態変化により検出する仕組みとすることもできる。
【0040】
前記入力部14は、使用者に係る所定の認証用情報を受け入れるものである。詳細には、入力部14は、個人を識別可能な指紋や静脈パターン、虹彩等の身体的特徴情報を認証用情報として読み取ったり、使用者の音声や顔等の撮像画像など個人を識別可能な情報の入力を受けたり、認証用情報としての個人ごとに付与され暗号化された電子的情報が記録されたICカード等の記録媒体から情報を読み出すものである。
【0041】
入力部14の認証用情報を受け入れる機構については、公知の個人認証用の指紋や静脈パターン等の読み取り装置や音声等の入力装置、公知のカード情報読み取り装置等と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0042】
なお、入力部として、使用者ごとにあらかじめ設定された、個人の識別用番号(ID番号)と、これと対をなし、他人のなりすましを防ぐための暗証番号とを、認証用情報として使用者に入力させる入力機構部を、洗浄媒体供給部10に設ける構成とすることもできる。
【0043】
入力部14に対しては、使用者が洗浄媒体を受け取るために、事前に使用者が入力部14に情報を取得させるよう規定される。入力部14は、使用者が洗浄媒体を受け取ろうとする直前の段階で、例えば使用者が入力部14に近付けた、使用者の指紋や記録媒体等を読み取って、認証用情報を取得する。
【0044】
入力部14により得た認証用の情報に基づいて、制御部16は、洗浄媒体を受け取ろうとする使用者があらかじめ登録された使用者であるか否かを判別可能とされる。そして、制御部16は、登録された使用者であると判定した場合のみ、洗浄媒体供給部10を作動させて、洗浄媒体が使用者の手に向けて送り出されるようにする。
【0045】
入力部14で、登録された使用者の認証用情報を受け入れた場合、制御部16は、認証用情報に対応する使用者ごとに、その認証用情報を受け入れた日時と回数を記録する。こうした記録は、使用者が手洗い設備のある事業所の従業者である場合、事業所における従業者の出退勤管理記録と一元化してもよく、使用者の手洗い行動からも出退勤を識別でき、使用者(従業者)は、別途に出退勤記録用の入力装置に対し認証用情報の入力に係る操作を行う手間が省け、事業所側は、出退勤記録用の入力装置を別途設置せずに済み、管理のためのコストを抑えられる。
【0046】
前記撮像部15は、使用者の手洗い時に、使用者の手洗いの状況を撮像して画像情報を取得するものである。詳細には、撮像部15は、洗浄媒体供給部10の下部に配設されて、洗浄媒体供給部10の下方で受け取った洗浄媒体を用いて手洗いを行っている使用者の手を撮像可能な公知のカメラである。この撮像部15による撮像で取得され、使用者の手洗いの状況を捉えた動画像又は複数の静止画像を含んだ画像情報が、管理部をなす制御部16に入力され、使用者の手洗い状況記録情報として解析、評価されることとなる。
【0047】
なお、撮像部が、使用者の手洗いに先立ち、洗浄媒体供給部10の下方の空間に向けられて連続又は断続的に撮像を行い、この撮像で得られた画像情報についての画像解析の結果、画像に使用者の手が含まれることを判別した場合に、これを使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作の検出とみなすようにして、撮像部を使用者の手洗いに係る動作を検出する動作検出部として使用する構成とすることもできる。
【0048】
前記制御部16は、供給機構部12の洗浄媒体供給に係る作動制御として、入力部14で受け付けた認証用情報からあらかじめ登録された使用者であると認められた使用者に対し、動作検出部13で使用者の洗浄媒体を手で受けようとする所定動作が検出されると、供給機構部12に洗浄媒体の供給を行わせるものである。
【0049】
この制御部16は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを制御部16として動作させる仕組みである。この制御部16をなすコンピュータは、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとしてもかまわない。
【0050】
この制御部16をなすコンピュータのユニットは、洗浄媒体供給部10内部の所定のスペースに配設され、オゾン生成部60と通信可能な状態とされると共に、洗浄媒体供給部10の供給機構部12や報知部17、オゾン供給部19とそれぞれ電気的に接続され、これらの作動を制御する。
【0051】
加えて、制御部40は、動作検出部13や入力部14、撮像部15等の信号出力手段とも電気的に接続されており、使用者の認証用情報の他、使用者の手洗いに係る動作や手洗いの状況を把握しつつ、あらかじめ設定された制御用プログラムに基づく制御信号出力により、供給機構部12等の作動制御を行うこととなる。
【0052】
また、制御部16は、使用者ごとに手洗いを管理する管理制御として、使用者の手洗い状況に関連する所定の情報としての、使用者の手洗い時にその手洗いの状況を捉えて記録した手洗い状況記録情報、具体例としては、撮像部15で手洗いの状況を撮像して得られた画像情報、について、手洗いの良否判断の基準情報と照らし合わせて評価を行い、評価結果を使用者ごとの手洗い管理情報として取得するものである。
【0053】
そして、制御部16は、使用者の手洗い時ごとに、取得した使用者ごとの手洗い管理情報に基づいて、供給機構部12や報知部17の制御を行う。加えて、制御部16は、供給機構部12が洗浄媒体を供給した後に、使用者の手洗い管理情報に基づいて、オゾン水供給部19にオゾン水の供給を行わせる制御を実行することとなる。
【0054】
詳細には、制御部16は、撮像部15での撮像で得られた画像情報で示される手洗いの状況、例えば、洗浄媒体の吐出前における手を水で濡らした時間や濡らした範囲、吐出された洗浄媒体の手各部への到達範囲、洗浄媒体付着状態での両手における擦り合わせを実行した各位置、左右の手の所定箇所同士を擦り合わせる時間や回数、洗浄媒体を洗い流す際の手における洗浄媒体の残留範囲、などを手洗いの各段階で取得して、直ちに基準情報としてのそれぞれの適正値と照合して評価し、この評価結果を使用者ごとの手洗い管理情報とする。
【0055】
そして、この手洗い管理情報に基づいて行う供給機構部12や報知部17の制御としては、例えば、洗浄媒体の吐出前における手を水で濡らした時間が基準に満たない場合や、濡らした範囲が基準の大きさに達していない場合には、手を十分な時間濡らすことや手を全体にわたりまんべんなく濡らすことを使用者に促すように、報知部17での表示や音声出力等による報知を実行させることとなる。
【0056】
また、吐出された洗浄媒体の手各部への到達範囲が基準の大きさに達していない場合には、洗浄媒体を手全体に付けることを使用者に促すように報知部17による報知を実行させたり、供給機構部12が洗浄媒体の手への供給時間を延ばして供給量を増やし、洗浄媒体が手全体に行き渡るようにする。
【0057】
また、洗浄媒体付着状態での両手における擦り合わせを実行した各位置が複数の基準位置を全て網羅していない場合には、擦り合わせを行っていない基準位置についても確実に擦り合わせを行って洗浄不足の箇所をなくすことを使用者に促すように、報知部17での報知を実行させる。
【0058】
また、左右の手の所定箇所同士を擦り合わせる時間や回数が基準に満たない場合には、、手の擦り合わされる時間や回数を十分なものとして洗浄媒体を用いた手洗いの効果を確実にすることを使用者に促すように、報知部17での報知を実行させる。
【0059】
また、洗浄媒体を洗い流す際の手における洗浄媒体の残留範囲が基準より大きい場合には、、すすぎの水を手全体に到達させることを使用者に促すように報知部17による報知を実行させたり、供給機構部12がオゾン水供給部からのオゾン水の供給時間を延ばして供給量を増やすようにする。
【0060】
なお、制御部16では、前記使用者の手洗い状況に関連する所定の情報として、使用者の手洗い時ごとの手洗いの状況を捉えて記録した手洗い状況記録情報を使用しているが、これに加えて、入力部14で使用者の認証用情報を受けた時間に係る情報や、動作検出部13で使用者の動作を検出した時間や検出回数に係る情報、供給機構部12による使用者への洗浄媒体の供給に係る情報等についても、手洗い状況に関連する所定の情報として取り扱い、これらについて評価を行って手続管理情報を取得するようにしてもよい。
【0061】
例えば、動作検出部13で使用者の動作を検出した時間が、基準情報として与えられた通常の手洗い時間からずれていると評価される場合は、通常とは異なる特別な手洗いとして、制御部16は、使用者に対し特に丁寧に手洗いを行うよう促す内容の報知を報知部17に実行させることとなる。また、入力部14で認証用情報を受け入れた時間から動作検出部13で使用者の動作を検出した時間までの経過時間が、基準情報として与えられた通常の経過時間と比べて大幅に短いと評価される場合は、制御部16は、洗浄媒体の使用前における流水で手を濡らす過程の時間が過少であり、不適切である旨の報知を報知部17に実行させる。
【0062】
この他、制御部16は、使用者の認証制御として、あらかじめ登録された使用者の認証用情報を記録格納した上で、入力部14で受け付けた認証用情報を取得し、記録された登録済み使用者の認証用情報と比較照合して、認証用情報に対応する使用者があらかじめ登録された使用者であるか否かを判別するものである。制御部16が使用者をあらかじめ登録された使用者であると判別すると、この後の動作検出部13で使用者の所定動作が検出された際に、供給機構部12に洗浄媒体の供給を行わせる作動制御を実行する。
【0063】
この制御部16で、入力部14で得た情報に基づいて、使用者が未登録の使用者と判別された場合は、制御部16は、その使用者の動作が動作検出部13で検出されても、それに対応して供給機構部12を作動させることはない。
【0064】
なお、一般的な自動水栓と同様に、使用者の登録の有無に関わりなく、使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作が検出されると洗浄媒体の供給を行う構成とすることもできる。ただし、登録されていない使用者や、認証用情報を入力部で受けていない使用者の場合には、手洗い状況に関連する各種情報を評価して手洗い管理情報を取得し、これに基づいて供給機構部等を制御する一連の処理を実行しないようにして、登録された使用者の使用時のみ手洗いの改善を図るなど、登録の有無で差別化することが望ましい。
【0065】
また、手洗いで手洗い装置を使用する使用者が、特定の使用者に限られる、例えば、使用者が手洗い装置のある事業所内の従事者で、あらかじめ装置の使用を許可された者のみである場合には、使用者の認証制御を省略して、処理や装置構成の簡略化を図るようにしてもよい。
【0066】
前記報知部17は、使用者に対し手洗いに係る所定情報を光、画像、音等として報知可能とするものである。使用者の手洗い管理情報に基づいた報知部17による報知としては、具体的には、表示画面による表示や、音声出力により、使用者に対し手洗いに係る各種行為の実行時間や実行回数、対象範囲等を使用者が修正すべき旨を、使用者に理解しやすい形で知らせるようにされる。こうした報知部17の報知により、使用者に対し適切な手洗いを促すことができる。
【0067】
この他、報知部17は、LED等の発光や、短い通知音又は警告音の出力等のみ行える簡略な構成であってもよく、この場合も、使用者に手洗いに係る各種行為の実行開始又は終了のタイミングを示したり、行為の対象箇所選択の適又は不適を知らせるようにすることで、使用者を補助して手洗いを適切なものとすることができる。
【0068】
また、報知部17は、手洗いに係る情報として、洗浄媒体供給部10内の収納部11における洗浄媒体の残量を表示等で報知するようにすることもでき、手洗い装置の管理者が洗浄媒体の残量を容易に把握でき、適切なタイミングで洗浄媒体の補充を確実に行える。特に、洗浄媒体供給部10での洗浄媒体の残量が0の場合には、その洗浄媒体供給部10のある手洗い設備で使用者が手洗いを行おうとする前に、使用者が洗浄媒体供給不可の状態を報知により把握でき、使用者に無駄な手洗い行動をとらせることなく、使用者を他の洗浄媒体供給部のある手洗い設備に誘導できる。
【0069】
さらに、報知部17は、手洗い装置10各部の電源として、洗浄媒体供給部10又はオゾン水生成部60に内蔵される電池を用いる場合に、この電池が電源として供給可能な電力の残量を表示等で報知するようにすることもでき、手洗い装置の管理者が電池の状態を容易に把握でき、適切なタイミングで充電や電池交換等のメンテナンスを確実に行える。なお、報知部17は、手洗いに係る各段階でその目的に応じて、表示や音声出力等の報知を切り替えるようにしてもよく、例えば、使用者が手洗いやすすぎを行っている際は、手洗いやすすぎの実行の経過時間を示して、手洗いやすすぎを適切な所定時間継続実行する目安となるようにする一方、手洗いやすすぎ以外の状況では洗浄媒体の残量や電池の残量を報知して管理を容易にすることができる。こうした報知部17の報知内容の切替を使用者の求めに応じて実行させるために、使用者が操作可能な切替スイッチを設けるようにしてもよい。
【0070】
前記オゾン水供給部19は、使用者の手洗い時にオゾン水を供給可能とするものである。具体的には、オゾン水供給部19は、洗浄媒体供給部10の筐体10aの外側に配設され、オゾン水の流通可能な管路を介してオゾン水生成部60と接続されて、供給機構部12が洗浄媒体を供給した後に、オゾン水生成部60で発生させたオゾン水の供給を、制御部16の手洗い管理情報に基づく制御下で実行するものである。
【0071】
オゾン水供給部19によるオゾン水の供給は、例えば、供給機構部12が洗浄媒体を供給してから、手洗い管理情報に基づいて設定される所定時間経過の後にオゾン水の供給を行うようにしたり、手洗い管理情報に基づいて設定される所定量のオゾン水を供給したり、手洗い管理情報に基づいて設定される所定時間にわたってオゾン水を供給する、といった形で行われる。
【0072】
この他、使用者が洗浄媒体を手に付ける前に、通常水栓からの水で手全体を濡らすと共に汚れを洗い流す行動に置き換わるものとして、供給機構部12による洗浄媒体供給前の所定タイミングでオゾン水供給部19にオゾン水を吐出供給させ、オゾン水の流水で手全体を濡らすと共に汚れを洗い流せるようにすることもでき、オゾン水により手の清浄性を高めた状態で、使用者に洗浄媒体を用いた本格的な手洗いを行わせることができる。
【0073】
次に、本実施形態に係る手洗い装置の使用を伴う手洗いについて説明する。前提として、手洗い装置10は、手洗器に設置され、電源として内蔵された電池又は接続された商用電源の電源供給能力に問題はなく、制御部16による制御の下で必要に応じて供給機構部12を作動させて洗浄媒体50を収納部11から送り出し、使用者が受け取れるようにすることが可能な状態にあるものとする。
【0074】
手を洗おうとする使用者は、まず、手洗い設備としての手洗器110に設置された洗浄媒体供給部10の入力部14に使用者の認証用情報としての指紋等を読み取らせて入力する。
【0075】
洗浄媒体供給部10では、入力部14に入力された情報から、制御部16が、使用者をこの洗浄媒体供給部10から洗浄媒体を受け取って使用可能な使用者としてあらかじめ登録された者であると判別すると、必要に応じて登録された使用者であることを報知部17での表示等で使用者に報知した上で、使用者の洗浄媒体を手で受け取ろうとする動作を待つ状態に移行する。ここで、使用者があらかじめ登録された使用者ではないと判別された場合は、そのまま入力部14に登録された使用者の認証用情報の入力が行われるのを待つ状態が継続し、仮に使用者により洗浄媒体を受け取ろうとする所定動作がなされても、制御部16が供給機構部12を作動させないことから、供給機構部12は収納部11からの洗浄媒体の送出を行うことはなく、使用者は洗浄媒体を受け取ることはできない。
【0076】
あらかじめ登録された使用者であると認定され、洗浄媒体を受け取り可能となった使用者は、洗浄媒体の受け取りに先立ち、洗浄媒体供給部10の設けられた手洗器110で、別途設けられた水栓111を操作して水を吐出させ、生じた流水で手を軽く洗い、手を十分に濡らすと共に水で落ちる汚れを落とす。
【0077】
こうして流水で手を濡らした使用者は、洗浄媒体を受け取るために、洗浄媒体供給部10の下方の空間へ手を差し出し、吐出口10bから送出される洗浄媒体を手で受け取れるようにする。こうして手を洗浄媒体供給部10の下方まで動かすと、手の存在を動作検出部13が感知して、使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作として検出される。そして、この動作を動作検出部13で検出した時間が、制御部16で取得され、必要に応じて、手洗い状況に関連する情報として取り扱われる。
【0078】
使用者の動作が検出されたことを受けて、制御部16は、供給機構部12を作動状態とする。供給機構部12は収納部11から洗浄媒体を吸い込んで吐出口10bへ向けて送り出し、吐出口10bから使用者の手の方へ吐出供給する。制御部16は、使用者の手の洗浄に必要な量としてあらかじめ設定された量に相当する量が手の方へ送り出されるまで、検出部12aで検出される洗浄媒体の供給量に係る情報を取得参照しつつ、供給機構部12を作動させて使用者への洗浄媒体の供給を継続させる。
【0079】
吐出口10bから使用者の手の上に達するように吐出された洗浄媒体50は、使用者による両手の擦り合わせで必要に応じて泡立てられながら手各部に広げられ、手の各部に付着した状態となる(図6参照)。
【0080】
洗浄媒体が洗浄媒体供給部10の吐出口10bから吐出され、手に達した洗浄媒体が手の各部に広げられる状況は、撮像部15で撮像されており、この撮像部15の撮像で得られた画像情報が制御部16で取得される。制御部16は、画像情報について、その画像からわかる洗浄媒体の広がりの状況に対応する、基準情報としての適切な洗浄媒体配置状態と照合して評価を行い、評価結果を手洗い管理情報として取得する。
【0081】
この手洗い管理情報において、基準情報に対し洗浄媒体の広がりが同等かそれ以上であると評価されている場合には、あらかじめ設定された供給量まで洗浄媒体が送り出されると、制御部16は供給機構部12の作動を停止させ、洗浄媒体の供給を止める。
【0082】
一方、手洗い管理情報において、基準情報に対し洗浄媒体の広がりが不足している場合(図6参照)には、制御部16は、報知部17に対し、手に付いた洗浄媒体を、使用者がその手で手全体にまんべんなく付着するよう広げることを促す報知を実行させたり、撮像部15からの画像情報に基づく制御部16での洗浄媒体の状況把握を継続しつつ、あらかじめ設定された供給量まで洗浄媒体が送り出された後も、しばらく供給機構部12の作動を継続させて洗浄媒体を吐出させる。この供給機構部12は、手洗い管理情報において、基準情報に対し洗浄媒体の広がりが同等かそれ以上との評価に至った段階で、制御部16によるその作動を停止させる制御を受け、作動を停止し、洗浄媒体の供給を止める。
【0083】
洗浄媒体の供給が停止した後、使用者は、洗浄媒体がまんべんなく付着した両手の各部を擦り合わせて手各部に洗浄媒体をすり込み、手に付着した菌やウィルスを洗浄する手洗いを実行する。
【0084】
この使用者が洗浄媒体の付いた両手を擦り合わせて手洗いを行う状況は、撮像部15で撮像されており、この撮像部15の撮像で得られた画像情報が前記同様制御部16で取得される。制御部16は、得られた画像情報について、その画像からわかる手を擦り合わせる状況に対応する、基準情報としての手各部の適切な洗い状態と照合して評価を行い、その評価結果を手洗い管理情報として取得する。
【0085】
この手洗い管理情報において、基準情報に対し、両手の擦り合わせるべきポイントとして設定された複数箇所がいずれも十分な回数擦り合わされて手洗いが適切に行われていると評価されている場合には、洗浄媒体の供給停止からあらかじめ設定された所定時間経過後、オゾン水によるすすぎ段階へ移行する。
【0086】
一方、手洗い管理情報において、基準情報に対し、前記ポイントとして設定された複数箇所のいずれかで、擦り合わせる回数が少ないか、擦り合わせによる洗いが全く実行されていないと評価されている場合には、制御部16は、撮像部15からの画像情報に基づく制御部16での手を擦り合わせる状況の把握を継続しつつ、報知部17に対し、使用者が洗浄媒体を手に付けた状態で、擦り合わせによる洗いが不十分である箇所について、十分に擦り合わせて洗うことを促す報知を実行させる。加えて、制御部16は、洗浄媒体の供給停止からあらかじめ設定された所定時間が経過したか否かに関わりなく、手洗い管理情報において前記ポイントとして設定された複数箇所が全て十分な回数擦り合わされたとの評価に至るまでは、オゾン水によるすすぎ段階には移行せず、手の擦り合わせによる手洗いの時間を確保する。
【0087】
この場合も、制御部16は、手洗い管理情報において、前記ポイントとして設定された複数箇所が全て十分な回数擦り合わされたとの評価に至った段階で、オゾン水によるすすぎ段階へ移行する。
洗浄媒体を用いた手洗いが十分になされた後のすすぎ段階では、制御部16は、オゾン水供給部19を作動状態とし、オゾン水生成部60で生成されたオゾン水をオゾン水供給部19から使用者の手へ吐出供給する。
【0088】
オゾン水がオゾン水供給部19から吐出され、手の各部に付いた洗浄媒体がオゾン水で洗い流されて除去される状況は、撮像部15で撮像されており、この撮像部15の撮像で得られた画像情報が制御部16で取得される。制御部16は、画像情報について、その画像からわかる洗浄媒体が手から除去される状況に対応する、基準情報としての適切な洗浄媒体除去状態と照合して評価を行い、評価結果を手洗い管理情報として取得する。
【0089】
この手洗い管理情報において、基準情報に対し洗浄媒体の除去の度合いが同等であると評価されている場合には、あらかじめ設定された供給量までオゾン水が送り出されると、制御部16は、すすぎ完了としてオゾン水供給部19の作動を停止させ、オゾン水の供給を止める。
【0090】
一方、手洗い管理情報において、基準情報に対し洗浄媒体の除去の度合いが劣っていると評価されている場合には、制御部16は、報知部17に対し、流下するオゾン水を使用者が手全体に行き渡らせて手に付いた洗浄媒体を流すことを促す報知を実行させたり、撮像部15からの画像情報に基づく制御部16での洗浄媒体の除去状況把握を継続しつつ、あらかじめ設定された供給量までオゾン水が送り出された後もしばらくオゾン水供給部19の作動を継続させてオゾン水を吐出供給させる。このオゾン水供給部19は、手洗い管理情報において、洗浄媒体の除去の度合いが基準情報の洗浄媒体除去終了状態と同等であるとの評価に至った段階で、すすぎ完了として制御部16によるその作動を停止させる制御を受け、作動を停止し、オゾン水の供給を止める。
【0091】
オゾン水供給部19からのオゾン水の供給が終了すると、手洗いは完了となり、使用者は濡れた手をタオル等で拭いたり、空気噴出型の乾燥装置で空気を手に当てるようにして、手を乾燥状態とすればよい。
【0092】
このように、本実施形態に係る手洗い装置は、入力部14で受け入れた使用者の認証用情報に基づいて、使用者をあらかじめ登録された使用者であると認めると、使用者に対し洗浄媒体を供給可能とすると共に、手洗いに際して供給される洗浄媒体を使用者が手で受け取れるように手を動かした場合に、使用者の手の動作を動作検出部13で検出可能とし、この動作の検出に基づいて、制御部16が供給機構部12に洗浄媒体を供給させ、使用者に洗浄媒体を用いた手洗いを行わせる中で、手洗い状況に関連する所定の情報について評価した結果である使用者ごとの手洗い管理情報を制御部16で取得し、得られた手洗い管理情報に基づいて、洗浄媒体の供給や手洗いに係る情報の報知を制御して、使用者に与えられる手洗いの条件や、使用者の手洗いに係る行動を変化させられることから、使用者の手洗いにおける良くない点を正しく評価して、その良くない点を改善できるように洗浄媒体供給の調整や使用者への働きかけを行うことができ、使用者の洗浄媒体を使用した手洗いの質の向上が図れる。
【0093】
また、使用者の手洗い管理情報において評価される対象となる使用者の手洗い状況に関連する所定の情報として、使用者の手洗い時における手洗いの状況を捉えた手洗い状況記録情報、特に、撮像部で使用者の手洗いの状況を撮像して得た画像情報を用いるようにして、使用者の実際の手洗いで生じた事象をそのまま基準情報と照らし合わせて評価できることから、評価結果としての手洗い管理情報が使用者の手洗い状況の特徴を反映したより正確なものとなり、手洗い管理情報に基づく制御で、使用者の手洗いにおける改善すべき点の発生のつど、それに適切に対応した改善を伴う手洗いを使用者に実行させることができ、使用者の手洗いの質のさらなる向上に繋げられる。
【0094】
なお、前記実施形態に係る手洗い装置においては、手洗い管理情報を取得するための手洗い状況記録情報として、撮像部15で使用者の手洗いの状況を手洗い状況取得部である撮像部15で撮像して得られた画像情報を用いる構成としているが、これに限らず、図5に示すように使用者の手洗い時に併用されるブラシ等の洗浄用器具にモーションセンサを配設し手洗い状況取得部とし、このモーションセンサで得られる、洗浄用器具の動きに係る情報を、使用者の手洗い状況記録情報として用いる構成とすることもできる。
【0095】
洗浄用器具30は、内部に有線または無線で外部と情報をやり取りできる通信部と、洗浄用器具30の動きを把握出来るモーションセンサのようなセンサ部と上記通信部とセンサ部に電源を供給できる電池からなる電源部が備わっている。洗浄用器具30への電力の供給は、電池以外に洗浄媒体供給部10から有線で行うことも可能である。
【0096】
内蔵する電源部を電池とする場合、通信部から送信される洗浄用器具30の動きに係る情報をネットワークを介して別途備わる管理部とやり取りを出来るようになるので、洗浄媒体供給部10の構成が無くとも使用者の手洗い状況に関連する所定の情報を管理できる。
【0097】
この場合、洗浄用器具30に報知部を設ければ手洗いの良しあしを洗浄媒体供給部10が無くとも知ることが出来、更には洗浄用器具30にブラシを駆動させる駆動部を設けた場合、使用者の手洗い状況に応じて洗浄用器具30の駆動部を制御することも可能となる。
【0098】
具体的には、手洗い中の洗浄用器具30の動きをモーションセンサが捉え、得られた動きの情報を使用者の手洗い状況に関連する所定の情報として洗浄用器具30の通信部から管理部をなす制御部16に送信し、手洗い状況記録情報として用いて評価し、評価結果としての手洗い管理情報に基づいて制御部16が供給機構部12や報知部17等の制御を行うこととなる。これにより、手洗いに係る使用者の手の動きを容易且つ明確に把握でき、使用者の手洗いに係る各行動の特徴を反映した正しい評価を含んだ手洗い管理情報が得られ、この手洗い管理情報に基づく制御で手洗いの適切な改善が図れ、手洗いの質のさらなる向上に繋げられる。
【0099】
洗浄用器具の動きに係る情報を使用者の手洗い状況に関連する所定の情報として取得するには、上述のように洗浄用器具30にモーションセンサを内蔵する以外に、撮像装置15により洗浄用器具30を撮影しても良いがモーションセンサを内蔵する場合、動きを直接的に検出できるのでコスト的に優れ、応答も俊敏なのでリアルタイムで判断するような場合に都合が良い。
【0100】
更には、撮像装置15とモーションセンサを組み合わせて使用者の手洗い状況に関連する所定の情報として取得することも考えられる。
【0101】
なお、本実施形態では洗浄用器具30は使用者の手を洗う目的で備えられているが、手洗い装置に用いるだけでなく、洗浄用器具を食器や他の部材などの洗浄に使用することも可能であり、その場合、被洗浄物の洗浄状況のチェックに利用することが出来る。
【0102】
また、前記実施形態に係る手洗い装置においては、オゾン水を発生させるオゾン水生成部60を設けると共に、手洗器110上の洗浄媒体供給部10にオゾン水生成部60と接続されたオゾン水供給部19を配設して、オゾン水供給部19からオゾン水を供給可能な構成としているが、これに限らず、オゾン水以外の洗浄能力の高い水、例えば、次亜塩素酸水(酸性電解水)など、を生成して供給する構成とすることもできる。
【0103】
また、前記実施形態に係る手洗い装置においては、撮像部15で使用者の手洗いの状況を撮像して画像情報を取得し、この画像情報から、制御部16が、手洗い状況を示す、手への洗浄媒体の付着具合や手を擦り合わせるなどの動作を判別し、それらを基準情報と照らし合わせて手洗いの良否を評価可能とする構成としているが、この他、手洗いの後に手に付ける保湿クリームなどの塗布剤に、これを撮像可能とする所定成分、例えば、着色成分や、可視光と異なる波長の光を当てると他と区別可能となる発色成分又は蛍光(発光)成分等を添加し、塗布剤を付けた後での手洗いの際に、手を撮像して得られた画像情報から、手洗いで除去される塗布剤の除去具合を判別可能として、この塗布剤の除去具合に基づいて手洗いの進行度合いや手洗いの良否を評価するようにすることもできる。
【0104】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る手洗い装置を前記図7ないし図9に基づいて説明する。
【0105】
前記各図において本実施形態に係る手洗い装置2は、前記第1の実施形態同様、洗浄媒体供給部20と、オゾン水生成部60とを備える一方、異なる点として、洗浄媒体供給部20における制御部26が供給機構部22の作動制御を主に行うようにされ、この洗浄媒体供給部20に対し、ネットワーク100を介してデータ送受信可能とされ、洗浄媒体供給部20を使用する使用者ごとに手洗いを管理する管理制御を実行する管理部90を別途備える構成を有するものである。
【0106】
なお、前記オゾン水生成部60は、前記第1の実施形態同様、洗浄媒体供給部20を設けた手洗器110の近傍に配設され、オゾン水の流通する管路を介して洗浄媒体供給部20と接続され、オゾン水を発生させると共に、前記管路を通じて洗浄媒体供給部20にオゾン水を送り出すものであり、詳細な説明を省略する。
【0107】
本実施形態における洗浄媒体供給部20は、前記第1の実施形態同様、収納部21と、供給機構部22と、動作検出部23と、入力部24と、撮像部25と、制御部26と、報知部27と、オゾン水供給部29とを備える一方、異なる点として、使用者の洗浄媒体供給部20の使用に関連する各種情報を外部の管理部90とネットワーク100を介してやり取り可能な通信部28をさらに備える構成を有するものである。
【0108】
この洗浄媒体供給部20は、前記第1の実施形態と同様に、最外部の筐体20a内に、前記収納部21、供給機構部22、動作検出部23、入力部24、撮像部25、制御部26、及び報知部27を収めると共に、筐体外側にオゾン水供給部29を設けた構成とされ、その下側には、使用者が手を差し入れて洗浄媒体を受けられる程度の大きさの空間が存在しており、この空間に使用者が手を差し出すと、洗浄媒体が筐体20a下部の吐出口20bを経て使用者の手の上に達し、使用者の手洗いに供される仕組みとなっている。
【0109】
この洗浄媒体供給部20における収納部21、供給機構部22、動作検出部23、入力部24、撮像部25、報知部27、及びオゾン水供給部29については、いずれも前記第1の実施形態と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0110】
前記制御部26は、前記第1の実施形態同様、供給機構部22の洗浄媒体供給に係る作動制御として、あらかじめ登録された使用者であると認められた使用者に対し、動作検出部23で使用者の洗浄媒体を手で受けようとする所定動作が検出されると、供給機構部22に洗浄媒体の供給を行わせる構成とされる一方、異なる点として、使用者ごとに手洗いを管理する前記管理制御や、使用者の認証を行う前記認証制御を行わず、これらの制御を制御部26に代わって行う管理部90での制御結果を利用可能とされる構成を有するものである。
【0111】
すなわち、制御部26は、前記第1の実施形態同様、使用者の手洗い時ごとに、使用者ごとの手洗い管理情報に基づいて、供給機構部22や報知部27の制御を行ったり、供給機構部22が洗浄媒体を供給した後に、使用者の手洗い管理情報に基づいて、オゾン水供給部29にオゾン水の供給を行わせる制御を実行するが、手洗い管理情報は前記管理部90から取得したものを用いることとなる。
【0112】
なお、制御部26のハードウェア構成は、前記第1の実施形態と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0113】
前記通信部28は、洗浄媒体供給部20内で、入力部24、撮像部25、制御部26、オゾン水供給部29、及び、洗浄媒体の流路に設けられる洗浄媒体供給量検出用の検出部22aとそれぞれ電気的に接続されて、入力部24で取得された使用者の認証用情報や、撮像部25による撮像で取得された画像情報、動作検出部23での使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする所定動作の検出時間に係る情報、洗浄媒体流路の検出部22aで検出された洗浄媒体の量に係る情報等を受け取り可能とされてなり、必要に応じてネットワーク100に接続され、受け取った各種情報を管理部90に向けて送信する一方、使用者の認証結果に係る情報や使用者ごとの手洗い管理情報を受信して制御部26にわたすものである。
【0114】
通信部28は、有線又は無線でLANやIP通信網等と接続し、これらを通じてネットワーク100に接続され、管理部90との間で情報を送受信する仕組みである。通信部28をネットワークに接続する場合、その通信は、有線接続によるものの他、例えばIEEE 802.11シリーズやIEEE 802.15シリーズの規格方式等による無線通信や、いわゆるLPWANとされる各方式による省電力型の無線通信として行うことができる。
【0115】
この他、通信部28は、洗浄媒体供給部20を使用する使用者により用いられるスマートフォン等の所定の通信端末と近距離通信を行い、この通信端末を介して管理部90との通信を行うようにすることもできる。この場合、通信部28は、洗浄媒体供給部20の所定距離以内に近付いた通信端末との通信を可能にするものとされて、この通信端末と通信可能な状態にある間、各情報を通信端末を介して送受信することとなる。こうした通信部28と通信端末との通信は、ISO/IEC 18092等の規格方式による近距離無線通信や、例えばIEEE 802.11シリーズやIEEE 802.15シリーズの規格方式等による無線通信として行われる。
【0116】
なお、通信端末は、管理部90から送信される手洗い管理情報を受信した際に、報知部27での報知内容に係る情報が含まれる場合、報知部27に代わって使用者にそうした情報を報知することもできる。
【0117】
前記管理部90は、所定のネットワーク100に接続され、使用者ごとに手洗いを管理する管理制御として、洗浄媒体供給部20の通信部28を通じて送られる各種情報をネットワーク100を通じて取得し、得られた情報から使用者の手洗い状況に関連する所定の情報を導き、この情報について、手洗いの良否判断の基準情報と照らし合わせて評価を行い、評価結果を使用者ごとの手洗い管理情報として取得するものである。
【0118】
管理部90は、前記管理制御として、まず、洗浄媒体供給部20の通信部28を通じて送られる各種情報、例えば、入力部24で使用者の認証用情報を受けた時間に係る情報、供給機構部22による使用者への洗浄媒体の供給に係る情報、動作検出部23による使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作の検出時間や検出回数に係る情報、又は、使用者の手洗い時ごとに使用者の手洗いの状況を捉えて記録した手洗い状況記録情報、などをネットワークを通じて受け取り、受け取った情報を使用者ごとに記録し蓄積する。管理部90は、こうして蓄積された情報に基づいて使用者における手洗いの特徴を分析取得し、この手洗いの特徴を前記手洗い状況に関連する所定の情報として扱う。そして、管理部90は、この使用者の手洗い状況に関連する所定の情報について、手洗いの良否判断の基準情報と照らし合わせて評価を行い、評価結果を使用者ごとの手洗い管理情報として取得することとなる。
【0119】
管理部90が受け取る洗浄媒体供給部20からの各種情報のうち、供給機構部22による使用者への洗浄媒体の供給に係る情報は、検出部22aで検出された、供給機構部22により供給される洗浄媒体の量に係る情報である。
【0120】
また、動作検出部23による使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作の検出時間に係る情報については、動作検出部23が、洗浄媒体供給部10の下方に手を差し出すなど、使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作を検出すると、制御部26が供給機構部22の作動制御を開始する一方でこの使用者の動作の検出時間(時刻)を取得し、この検出時間に係る情報が、制御部26から管理部90に向けて送られる仕組みに基づくものである。
【0121】
また、使用者の手洗い時ごとに使用者の手洗いの状況を捉えて記録した手洗い状況記録情報は、具体的には、撮像部25で手洗いの状況を撮像して得られた画像情報である。
【0122】
管理部90は、これら洗浄媒体供給部20から送られる各種情報を使用者ごとに記録し蓄積した上で、蓄積された情報に基づいて使用者における手洗いの特徴を分析取得することとなる。例えば、洗浄媒体使用前に使用者が水栓からの流水で手を濡らし且つ汚れを洗い流している時間に相当すると考えられる、入力部24で使用者の認証用情報を受けてから動作検出部23で使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作を検出するまでの経過時間について、記録蓄積された全ての手洗い機会におけるそれの平均を求め、使用者の手洗い状況に関連する特徴の一つである、使用者が手を濡らし汚れを洗い流す手洗い準備の標準作業時間として取得する。
【0123】
また、動作検出部23による使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作の検出時間について、記録蓄積された情報を統計処理して、習慣として繰り返し行われている手洗い機会を見出し、その時間を使用者の標準的な手洗い実行時間として取得する。この他、管理部90は、前記動作の検出時間に係る情報を受信し記録した件数のカウントを行って、使用者の前記動作の検出回数、すなわち、使用者が洗浄媒体供給部20を使用して手洗いを行った回数を取得可能としている。
【0124】
また、動作検出部23による使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作の検出時間と、画像情報である手洗い状況記録情報のうち、すすぎ段階で手に付いた洗浄媒体が全て洗い流されたと認められる状態の発生時間とから求められる、使用者が洗浄媒体を用いて手を洗い始めてからすすぎが完了するまでの時間について、記録蓄積された全ての手洗い機会におけるそれの平均を求め、使用者の手洗い状況に関連する特徴の一つである、使用者の手洗い及びすすぎの標準作業時間として取得する。
【0125】
また、画像情報である手洗い状況記録情報のうち、あらかじめ設定された供給量の洗浄媒体が供給されて全て手に付いたと認められる状態での洗浄媒体の手各部への到達範囲として認識した領域の大きさについて、記録蓄積された全ての手洗い機会におけるそれの平均を求め、使用者の手洗い状況に関連する特徴の一つである、供給された洗浄媒体の使用者の手各部への標準到達範囲として取得する。
【0126】
また、画像情報である手洗い状況記録情報のうち、洗浄媒体付着状態において使用者のみの判断で洗浄に係る擦り合わせを実行したと認められる手の位置について、記録蓄積された情報を統計処理して、習慣として継続的に擦り合わせを行っている手の位置を見出し、その位置を使用者の標準的な擦り合わせ位置として取得する。そして、このような使用者の標準的な擦り合わせ位置における、擦り合わせを行った時間又は擦り合わせた回数について、記録蓄積された各手洗い機会の情報に現れるそうした時間又は回数の平均を求め、使用者の手洗い状況に関連する特徴の一つである、使用者の標準的な擦り合わせ位置における標準擦り合わせ時間又は標準擦り合わせ回数として取得する。
【0127】
また、画像情報である手洗い状況記録情報のうち、すすぎ段階であらかじめ設定された供給量分供給されたオゾン水が全て手から流れ落ちたと認められる状態での手における洗浄媒体の残留範囲として認識した領域の大きさについて、記録蓄積された全ての手洗い機会におけるそれの平均を求め、使用者の手洗い状況に関連する特徴の一つである、オゾン水による通常すすぎを経た使用者の手への洗浄媒体の標準残留範囲として取得する。
【0128】
管理部90は、手洗い状況に関連する所定の情報として、上記の各例示のように取得した手洗いの特徴に係る情報について、基準情報としてのそれぞれの適正値と照合して評価し、この評価結果を使用者ごとの手洗い管理情報とし、制御部26へ送ることとなる。
【0129】
そして、この手洗い管理情報に基づいて制御部26が行う供給機構部22や報知部27の制御としては、例えば、使用者が水栓からの流水で手を濡らし且つ汚れを洗い流す際に、手洗い管理情報における前記手洗い準備の標準作業時間が、基準情報としての適正作業時間より少ないと評価されている場合には、手を十分な時間濡らすことや手を全体にわたりまんべんなく濡らすことを使用者に促すように、報知部27での表示や音声出力等による報知を実行させることとなる。
【0130】
また、使用者が洗浄媒体を受け取ろうとして洗浄媒体供給部20の下方に手を差し出す動作を行った際に、手洗い管理情報における使用者の標準的な手洗い実行時間が、基準情報としての適正な手洗い実行時間(例えば、事業所における従業者の出退勤時や昼休み前後の時間)とずれていると評価されている場合や、手洗い管理情報における使用者の手洗いを行った回数が、基準情報としての使用者の手洗いを行うべき手洗い機会に応じた適正な手洗い回数より少ないと評価されている場合には、通常の手洗いルールに従っていない使用者とみなして、特に洗浄媒体を適切に手に付けて手各部を十分に擦り合わせる丁寧な手洗いを実行することを使用者に促すように、報知部27での表示や音声出力等による報知を実行させる。
【0131】
また、洗浄媒体供給部20の動作検出部23が使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作を検出して、制御部26が供給機構部22を作動させて洗浄媒体を供給しようとする際に、手洗い管理情報における前記手各部への標準到達範囲が、基準情報としての適正な到達範囲より小さいと評価されている場合には、洗浄媒体の吐出と合わせて、洗浄媒体を手全体に付けることを使用者に促すように報知部27による報知を実行させたり、供給機構部12が洗浄媒体の手への供給時間を延ばして供給量を増やし、洗浄媒体が手全体に行き渡るようにする。この他、手洗い管理情報における前記手各部への標準到達範囲が、基準情報としての適正な到達範囲より小さいと評価されている場合には、この使用者の手の大きさに対しあらかじめ設定された洗浄媒体の供給量が少ないとみなして、洗浄媒体供給量の設定値を増やすよう制御部26で調整することもできる。
【0132】
また、洗浄媒体供給部20の供給機構部22による洗浄媒体の供給が停止して、使用者が洗浄媒体の付いた手各部を擦り合わせようとする際に、手洗い管理情報における使用者の前記標準的な擦り合わせ位置が、基準情報としての手の擦り合わせを行うべき適正な位置と一致していないと評価されている場合には、使用者の前記標準的な擦り合わせ位置には含まれていない、基準情報の擦り合わせを行うべき一又は複数の位置についても、確実に擦り合わせを行うことを使用者に促すように、報知部27での報知を実行させる。
【0133】
そして、この際、手洗い管理情報における前記標準擦り合わせ時間又は標準擦り合わせ回数が、基準情報としての各位置で擦り合わせを続けるべき適正な時間又は擦り合わせを繰り返すべき適正な回数より少ないと評価されている場合には、前記各位置の擦り合わされる時間や回数を十分なものとして手洗いの効果を確実にすることを使用者に促すように、報知部27での報知を実行させる。
【0134】
また、洗浄媒体供給部20のオゾン水供給部29ですすぎのためにオゾン水を供給しようとする際に、手洗い管理情報における洗浄媒体の前記標準残留範囲が、基準情報としてのオゾン水供給後の洗浄媒体の適正な残留範囲より大きいと評価されている場合には、すすぎの水を手全体に到達させることを使用者に促すように報知部27による報知を実行させたり、オゾン水供給部29からのオゾン水の供給時間を延ばして供給量を増やすようにする。この他、手洗い管理情報における洗浄媒体の前記標準残留範囲が、基準情報としてのオゾン水供給後の洗浄媒体の適正な残留範囲より大きいと評価されている場合には、この使用者の手の大きさに対しあらかじめ設定されたオゾン水の供給量が少ないとみなして、オゾン水供給量の設定値を増やすよう制御部26で調整することもできる。
【0135】
この他、管理部90は、手洗い設備の手洗い装置2を使用可能な使用者としてあらかじめ登録された使用者について、使用者ごとにその認証用情報を記録格納している。そして、管理部90は、使用者の認証制御として、入力部24で受け付けた認証用情報をネットワーク100を通じて取得し、記録された登録済み使用者の認証用情報と比較照合して、認証用情報に対応する使用者があらかじめ登録された使用者であるか否かを判別し、その判別結果を含む情報を、通信部28を介して制御部26に送る。この情報を受けた制御部26は、入力部24で受け付けた認証用情報に対応する使用者があらかじめ登録された使用者であると判別されている場合、この使用者2洗浄媒体を手で受けようとする所定動作が動作検出部23で検出された際に、供給機構部12に洗浄媒体の供給を行わせる作動制御を実行することとなる。
【0136】
次に、本実施形態に係る手洗い装置の使用を伴う手洗いについて説明する。前提として、洗浄媒体供給部20は、前記第1の実施形態同様、手洗器に設置され、電源として内蔵された電池又は接続された商用電源の電源供給能力に問題はなく、制御部26による制御の下で必要に応じて供給機構部22を作動させて洗浄媒体を収納部21から送り出し、使用者に対し供給可能な状態にあるものとする。
【0137】
また、洗浄媒体供給部20の通信部28と情報をやり取りする管理部90には、手洗い装置2を使用可能な使用者があらかじめ登録され、また、その時点までの使用者の手洗い状況に関する情報が記録蓄積されているものとする。さらに、洗浄媒体供給部20の通信部28は、管理部90から送られる手洗い管理情報を受信して、この情報を制御部26で取得できる状態としているものとする。
【0138】
手を洗おうとする使用者は、前記第1の実施形態と同様に、まず、手洗い設備としての手洗器110に設置された洗浄媒体供給部20の入力部24に使用者の認証用情報としての指紋等を読み取らせて入力する。
【0139】
洗浄媒体供給部20の入力部24に入力された使用者の認証用情報は、その入力された時間(時刻)の情報と共に、通信部28からネットワーク100を通じて管理部90に送信される。
【0140】
管理部90は、使用者の認証用情報を受信して取得すると、使用者の認証制御として、この取得した認証用情報を、管理部90に記録格納されている登録済み使用者の認証用情報と比較照合し、認証用情報に対応する使用者があらかじめ登録された使用者であるか否かの判別を行う。そして、管理部90は、この判別結果を含む情報を、ネットワーク100を通じて通信部28に送信する。また、管理部90は、認証用情報に対応する使用者があらかじめ登録された使用者であると判別した場合には、この使用者について、通信部28から送られる各種情報を受信し記録して、使用者ごとの情報を更新しつつ、この記録蓄積された使用者に関連する各種情報を用いて手洗い管理情報を導き、この手洗い管理情報をネットワーク100を通じて通信部28に送信する。
【0141】
制御部26は、通信部28で受信された手洗い管理情報と前記判別結果を含む情報を取得し、このうち判別結果を含む情報において、入力部24で受け取った認証用情報に対応する使用者があらかじめ登録された使用者であると判別されている場合には、必要に応じて登録された使用者であることを報知部27での表示等で使用者に報知した上で、使用者の洗浄媒体を手で受け取ろうとする動作を待つ状態に移行する。また、制御部26は、取得した手洗い管理情報に基づいて供給機構部22と報知部27の制御を行える状態となる。
【0142】
一方、制御部26は、前記判別結果を含む情報において、認証用情報に対応する使用者があらかじめ登録された使用者ではないと判別されている場合には、そのまま入力部24に登録された使用者の認証用情報の入力が行われるのを待つ状態が継続し、仮に使用者により洗浄媒体を受け取ろうとする所定動作がなされても、制御部26が供給機構部22を作動させないことから、供給機構部22は収納部21からの洗浄媒体の送出を行うことはなく、使用者は洗浄媒体を入手することはできない。
【0143】
あらかじめ登録された使用者であると認定され、洗浄媒体を入手可能となった使用者は、洗浄媒体の入手に先立ち、洗浄媒体供給部20の設けられた手洗器110で、別途設けられた水栓を操作して水を吐出させ、生じた流水で手を軽く洗い、手を十分に濡らすと共に水で落ちる汚れを落とす。
【0144】
こうして使用者が水栓からの流水で手を濡らし且つ汚れを洗い流す際に、制御部26で取得された手洗い管理情報において、前記手洗い準備の標準作業時間が、基準情報としての適正作業時間より少ないと評価されている場合、制御部26は、手を十分な時間濡らすことや手を全体にわたりまんべんなく濡らすことを使用者に促す内容の表示や音声出力等による報知を報知部27に実行させる。
【0145】
水栓からの流水で手を濡らした使用者は、洗浄媒体を受け取るために、洗浄媒体供給部20の下方の空間へ手を差し出し、吐出口20bから送出される洗浄媒体を手で受け取れるようにする。こうして使用者が手を洗浄媒体供給部20の下方まで動かすと、手の存在を動作検出部23が検知して、使用者の洗浄媒体を受け取ろうとする動作として検出する。そして、この動作検出部13での動作検出により、制御部26は供給機構部12の作動制御を開始すると共に、前記動作を検出した時間を取得する。この時間の情報は通信部28からネットワーク100を通じて管理部90に送信される。
【0146】
また、この時、制御部26で取得された手洗い管理情報において、使用者の標準的な手洗い実行時間が、基準情報としての適正な手洗い実行時間とずれていると評価されている場合や、手洗い管理情報における使用者の手洗いを行った回数が、基準情報としての使用者の手洗いを行うべき手洗い機会に応じた適正な手洗い回数より少ないと評価されている場合、制御部26は、特に洗浄媒体を適切に手に付けて手各部を十分に擦り合わせる丁寧な手洗いを実行することを使用者に促す内容の表示や音声出力等による報知を報知部27に実行させる。
【0147】
さらに、このように洗浄媒体を供給しようとする際に、手洗い管理情報において、前記手各部への標準到達範囲が、基準情報としての適正な到達範囲より小さいと評価されている場合、制御部26は、洗浄媒体の吐出と合わせて、洗浄媒体を手全体に付けることを使用者に促す内容の表示や音声出力等による報知を報知部27に実行させる。
【0148】
制御部26により作動状態とされた供給機構部22は、収納部21から洗浄媒体を吸い込んで吐出口20bへ向けて送り出し、吐出口20bから使用者の手の方へ吐出供給する。制御部26は、使用者の手の洗浄に必要な量としてあらかじめ設定された量に相当する量が手の方へ送り出されるまで、検出部22aで検出される洗浄媒体の供給量に係る情報を取得参照しつつ、供給機構部22を作動させて使用者への洗浄媒体の供給を継続させる。なお、制御部26で取得された洗浄媒体の供給量に係る情報についても、通信部28からネットワーク100を通じて管理部90に送信される。
【0149】
吐出口20bから使用者の手の上に達するように吐出された洗浄媒体50は、使用者による両手の擦り合わせで必要に応じて泡立てられながら洗浄対象の手各部に広がって、手に付着した状態となる。使用者は、報知部27による報知がされた場合はその報知内容も考慮しつつ、洗浄媒体を手全体に広げるように手を動かしていく。
【0150】
洗浄媒体が洗浄媒体供給部20の吐出口20bから吐出され、手に達した洗浄媒体が手の各部に広がる状況は、撮像部25で撮像されており、この撮像部25の撮像で得られた画像情報が通信部28からネットワーク100を通じて管理部90に送信される。
【0151】
制御部26は、あらかじめ設定された供給量、又は、手洗い管理情報に基づいて増量設定された供給量まで洗浄媒体が送り出されると、供給機構部22の作動を停止させ、洗浄媒体の供給を止める。
【0152】
この洗浄媒体の供給が停止した際に、手洗い管理情報において、使用者の前記標準的な擦り合わせ位置が、基準情報としての手の擦り合わせを行うべき適正な位置と一致していないと評価されている場合、制御部26は、使用者の前記標準的な擦り合わせ位置には含まれていない、基準情報の擦り合わせを行うべき一又は複数の位置についても、漏らさず擦り合わせを行うことを使用者に促す内容の表示や音声出力等による報知を報知部27に実行させる。
【0153】
合わせて、同じく手洗い管理情報において、前記標準擦り合わせ時間又は標準擦り合わせ回数が、基準情報としての各位置で擦り合わせを続けるべき適正な時間又は擦り合わせを繰り返すべき適正な回数より少ないと評価されている場合、制御部26はさらに、前記各位置の擦り合わされる時間や回数を規定に則った十分なものとすることを使用者に促す内容の表示や音声出力等による報知も、報知部27に実行させる。
【0154】
洗浄媒体の供給が停止した後、使用者は、報知部27による報知がされた場合はその報知内容も考慮しつつ、洗浄媒体がまんべんなく付着した両手の各部を擦り合わせて手各部に洗浄媒体をすり込み、手に付着した菌やウィルスを洗浄する手洗いを実行する。この使用者が洗浄媒体の付いた両手を擦り合わせて手洗いを行う状況についても、撮像部25で継続して撮像されており、ここで得られた画像情報も前記同様通信部28からネットワーク100を通じて管理部90に送信される。
【0155】
制御部26は、洗浄媒体の供給停止からあらかじめ設定された所定時間、又は、手洗い管理情報に基づいて延長分を追加設定された所定時間の経過後、オゾン水によるすすぎ段階へ移行する。
【0156】
このすすぎ段階への移行の際に、手洗い管理情報において、洗浄媒体の前記標準残留範囲が、基準情報としてのオゾン水供給後の洗浄媒体の適正な残留範囲より大きいと評価されている場合、制御部26は、すすぎ用のオゾン水を手全体に到達させることを使用者に促す内容の表示や音声出力等による報知を報知部27に実行させる。また、必要に応じて、制御部26は、オゾン水供給部29からのオゾン水供給時間を延ばしてオゾン水の供給量を増やすよう制御を行う。
【0157】
洗浄媒体を用いた手洗いが十分になされた後のすすぎ段階では、制御部26は、オゾン水供給部29を作動状態とし、オゾン水生成部60で生成されたオゾン水をオゾン水供給部29から使用者の手へ吐出供給する。使用者は、報知部27による報知がされた場合はその報知内容も考慮しつつ、オゾン水が手全体に達して洗浄媒体を流し落とすように手を動かしていく。
【0158】
オゾン水がオゾン水供給部29から吐出され、手の各部に付いた洗浄媒体がオゾン水で洗い流されて除去される状況についても、撮像部25で継続的に撮像されており、ここで得られた画像情報も前記同様通信部28からネットワーク100を通じて管理部90に送信される。
【0159】
制御部26は、あらかじめ設定された供給量、又は、手洗い管理情報に基づいて増量設定された供給量までオゾン水が送り出されると、すすぎ完了としてオゾン水供給部29の作動を停止させ、オゾン水の供給を止める。
【0160】
オゾン水供給部29からのオゾン水の供給が終了すると、手洗いは完了となり、使用者は前記第1の実施形態同様、濡れた手をタオル等で拭いたり、空気噴出型の乾燥装置で空気を手に当てるようにして、手を乾燥状態とすればよい。
【0161】
このように、本実施形態に係る手洗い装置は、使用者の手洗い管理情報において評価される対象となる使用者の手洗い状況に関連する所定の情報として、装置の状態変化が生じた時間や回数、変化量に係る情報や、使用者の手洗いの状況を捉えた手洗い状況記録情報等を管理部90で記録蓄積して、この蓄積された情報から得られる使用者の手洗いの特徴に係る情報を用いるようにして、使用者のそれまでの手洗いに共通する特徴的な行動やそれに対応する装置の作動状態を特に抽出して評価できることから、評価結果としての手洗い管理情報が使用者ごとの手洗いの特徴を反映したものとなり、手洗い管理情報に基づく制御で、使用者の手洗いにおける改善すべき点に事前に対策を施した状態で使用者に手洗いを行わせることができ、使用者の手洗いの質を確実に向上させられる。
【0162】
なお、前記実施形態に係る手洗い装置において、使用者の手洗い管理情報を導くための使用者の手洗い状況に関連する情報として、前記第1の実施形態と同様の、使用者の手洗いの状況を撮像した撮像部からの画像情報を、管理部60で使用者ごとに記録蓄積した情報と併用するようにしてもよく、使用者の手洗い中にその手洗いで生じた事象に係る情報を直接基準情報と照合して評価した手洗い管理情報により、使用者の手洗いにおける改善すべき点の発生のつど、それに対応した適切な改善を伴う手洗いを使用者に直ちに実行させられ、使用者の手洗いの質をさらに向上させられる。
【0163】
(本発明の第3の実施形態)
前記第1の実施形態に係る手洗い装置においては、オゾン水を発生させるオゾン水生成部60を設けると共に、手洗器110上の洗浄媒体供給部10にオゾン水生成部60と接続されたオゾン水供給部19を配設して、オゾン水供給部19からオゾン水を供給可能とし、供給されたオゾン水をすすぎ等に使用できる構成としているが、この他、第3の実施形態として、図10に示すように、手洗器110に設けられる手洗い装置3を洗浄媒体のみ供給可能として、オゾン水の供給に係る機構を設けない簡略な構成とすることもできる。この場合、洗浄媒体を用いて手洗いを行った後のすすぎについては、手洗器110に通常設けられている水栓111から吐出させた水を用いることとなる。
【0164】
(本発明の第4の実施形態)
前記第1の実施形態に係る手洗い装置においては、洗浄媒体供給部10を手洗器110における既設の水石けん入れ(ソープディスペンサー)の水石けん容器部と置き換えて配設可能な構成とし、従来の水石けん入れにおける水石けんの供給形態を維持する形で、洗浄媒体の供給を行う構成としているが、この他、第4の実施形態として、図11ないし図13に示すように、手洗い装置4を既設品の置き換えではなく手洗器120に当初から洗浄媒体供給用として設ける構成とすることもできる。
【0165】
本実施形態に係る手洗い装置4は、前記第1の実施形態同様、洗浄媒体供給部40と、オゾン水生成部(図示を省略)とを備える一方、異なる点として、洗浄媒体供給部40が直接手洗器120に配設される構成を有するものである。
【0166】
洗浄媒体供給部40は、前記第1の実施形態同様、収納部41と、供給機構部42と、動作検出部43と、入力部44と、撮像部45と、制御部46と、報知部47と、オゾン水供給部49とを備えるものの、形態については大きく異なっており、収納部41と供給機構部42を収めたタワー部40aと、このタワー部40aから突出し、収納部41と供給機構部42以外の各部を収めた水栓部40bとからなる。
水栓部40bは、手洗器120の鉢部(ボウル)121上方に位置するように設けられ、上面側に入力部44と報知部47とを備えると共に、下面側に撮像部45とオゾン水供給部49とを備える構成である。そして、この水栓部40bの下面側には、供給機構部42で送出された洗浄媒体をこの水栓部40b下方へ出す吐出口40cが設けられる。
また、水栓部40bの下面側には、手洗いとすすぎの後、濡れた手を乾かすための空気を噴出する空気供給部40dや、手洗器120の鉢部121に除菌用の光を照射する光照射部40e等を設けることができる。
【符号の説明】
【0167】
1、2、3、4 手洗い装置
10、20、40 洗浄媒体供給部
10a、20a 筐体
10b、20b 吐出口
11、21、41 収納部
12、22、42 供給機構部
12a、22a 検出部
13、23、43 動作検出部
14、24、44 入力部
15、25、45 撮像部
16、26、46 制御部
17、27、47 報知部
19、29、49 オゾン水供給部
28 通信部
40a タワー部
40b 水栓部
40c 吐出口
40d 空気供給部
40e 光照射部
60 オゾン水生成部
90 管理部
100 ネットワーク
110、120 手洗器
111 水栓
121 鉢部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13