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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】乳化型整髪剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20240430BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240430BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/06
A61K8/37
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/891
A61Q5/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020118432
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015527
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾形 直紀
(72)【発明者】
【氏名】宍粟 政行
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-254632(JP,A)
【文献】特開2007-091615(JP,A)
【文献】Styling Creme, Joico Laboratories, 2008年12月, Mintel GNPD [online],[検索日 2024.01.17], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID:1010490
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分Aと、下記成分Bと、下記成分Cと、下記成分Dと、下記成分Eとを含み、
前記成分Dが、下記成分D1と、下記成分D2とを含み、
前記成分Aの含有量が、0.02質量%以上、20.0質量%以下であり、
前記成分Cの含有量が、0.3質量%以上、10.0質量%以下であり、
前記成分Eの含有量が、50.0質量%以上である、乳化型整髪剤組成物。
成分A:ヒドロキシアルキルウレア
成分B:25℃における動粘度が20mm/s以上、4000mm/s以下であるジメチルポリシロキサン
成分C:カチオン性皮膜形成ポリマー
成分D:ノニオン性界面活性剤
成分D1:ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はグリセリル脂肪酸エステル
成分D2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル
成分E:水
【請求項2】
前記成分Bの含有量が、0.3質量%以上、20.0質量%以下である、請求項に記載の乳化型整髪剤組成物。
【請求項3】
前記成分Dの含有量が、0.3質量%以上、25.0質量%以下である、請求項1又は2に記載の乳化型整髪剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪を整える整髪剤に好適に用いられる乳化型整髪剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液状、ジェル状、クリーム状及び固形状等の種々の性状の整髪剤組成物が知られている。整髪力を高めるために、皮膜形成ポリマー、室温で固形状のロウ、油脂及び炭化水素油等の成分が配合された整髪剤組成物が広く用いられている(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
また、下記の特許文献3には、ヒドロキシエチルウレアを含有する毛髪内部損傷改善剤が開示されている。特許文献3には、この毛髪内部損傷改善剤を、アウトバスヘアスタイリング剤、アウトバスヘアトリートメント等の頭髪用整髪料として使用可能であることができることが記載されている。
【0004】
ところで、毛髪にパーマネントウェーブを施して、人工的なカールを形成させた髪型が好まれることがある。しかしながら、カールを形成させた毛髪は徐々に元の形状に戻るため、パーマネントウェーブ施術直後の髪型を長時間保持することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-171740号公報
【文献】特開平10-45546号公報
【文献】特開2007-91615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カールが形成された毛髪に対して用いられる整髪剤組成物が知られている。この整髪剤組成物では、パーマネントウェーブ施術後のカールを再現する性質(カール再現性)に優れ、かつ、再現したカールを保持する性質(カール保持性)に優れることが求められる。しかしながら、従来の整髪剤組成物では、カール再現性及びカール保持性を十分に高めることは困難である。
【0007】
また、整髪剤組成物では、使用感を高めるために、塗布時及び塗布後の滑らかさを良好にすることが求められる。
【0008】
本発明の目的は、カール再現性及びカール保持性に優れ、かつ、塗布時及び塗布後の滑らかさを良好にすることができる乳化型整髪剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記成分(A)と、下記成分(B)と、下記成分(C)と、下記成分(D)と、下記成分(E)とを含み、前記成分(A)の含有量が、0.02質量%以上、20.0質量%以下であり、前記成分(C)の含有量が、0.3質量%以上、10.0質量%以下である、乳化型整髪剤組成物を提供する。
【0010】
成分(A):ヒドロキシアルキルウレア
成分(B):25℃における動粘度が20mm/s以上、4000mm/s以下であるジメチルポリシロキサン
成分(C):カチオン性皮膜形成ポリマー
成分(D):ノニオン性界面活性剤
成分(E):水
【0011】
本発明の乳化型整髪剤組成物は、前記成分(D)として、下記成分(D1)と、下記成分(D2)とを含むことが好ましい。
【0012】
成分(D1):ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はグリセリル脂肪酸エステル
成分(D2):ポリオキシエチレンアルキルエーテル
【0013】
本発明の乳化型整髪剤組成物では、前記成分(B)の含有量が、0.3質量%以上、20.0質量%以下であることが好ましい。
【0014】
本発明の乳化型整髪剤組成物では、前記成分(D)の含有量が、0.3質量%以上、25.0質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の乳化型整髪剤組成物は、特定の成分(A)~(E)を含み、成分(A)の含有量が、0.02質量%以上、20.0質量%以下であり、成分(C)の含有量が、0.3質量%以上、10.0質量%以下であるので、カール再現性及びカール保持性に優れ、かつ、塗布時及び塗布後の滑らかさを良好にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の乳化型整髪剤組成物は、ヒドロキシアルキルウレアと、25℃における動粘度が20mm/s以上、4000mm/s以下であるジメチルポリシロキサンと、カチオン性皮膜形成ポリマーと、ノニオン性界面活性剤と、水とを含む。
【0017】
本明細書においては、上記「ヒドロキシアルキルウレア」を「成分(A)」と称する場合がある。
【0018】
本明細書においては、上記「25℃における動粘度が20mm/s以上、4000mm/s以下であるジメチルポリシロキサン」を「成分(B)」と称する場合がある。
【0019】
本明細書においては、上記「カチオン性皮膜形成ポリマー」を「成分(C)」と称する場合がある。
【0020】
本明細書においては、上記「ノニオン性界面活性剤」を「成分(D)」と称する場合がある。
【0021】
本明細書においては、上記「水」を「成分(E)」と称する場合がある。
【0022】
本発明の乳化型整髪剤組成物は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、成分(D)と、成分(E)とを含み、成分(A)の含有量が、0.02質量%以上、20.0質量%以下であり、成分(C)の含有量が、0.3質量%以上、10.0質量%以下である。
【0023】
本発明の乳化型整髪剤組成物では、上記の構成が備えられているので、カール再現性及びカール保持性に優れ、かつ、塗布時及び塗布後の滑らかさを良好にすることができる。
【0024】
パーマネントウェーブ施術によってカールが形成された毛髪は、時間の経過とともに、徐々に元の形状に戻っていく。本発明の乳化型整髪剤組成物では、パーマネントウェーブ施術した毛髪に対して塗布したときに、パーマネントウェーブ施術後のカールを再現する性質(カール再現性)に優れ、かつ、再現したカールを保持する性質(カール保持性)に優れる。
【0025】
また、本発明の乳化型整髪剤組成物では、整髪剤組成物を塗布したときの毛髪と指との滑り感(塗布時の滑らかさ)を良好にすることができ、かつ、塗布した後に毛髪に触れたときの毛髪と指との滑り感(塗布後の滑らかさ)を良好にすることができる。
【0026】
上記のように、本発明の乳化型整髪剤組成物は、成分(A)と成分(B)と成分(C)と成分(D)と成分(E)とを少なくとも含む。
【0027】
本発明の乳化型整髪剤組成物は、成分(A)~(E)以外の他の成分を含んでいてもよい。上記の成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)や他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0028】
以下、本発明の乳化型整髪剤組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。なお、以下の説明において、「乳化型整髪剤組成物」を、「整髪剤組成物」と略記することがある。
【0029】
(成分(A))
成分(A)は、ヒドロキシアルキルウレアである。成分(A)を用いることにより、カール再現性を高めることができる。成分(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
成分(A)としては、ヒドロキシエチルウレア、ヒドロキシプロピルウレア、及びヒドロキシブチルウレア等が挙げられる。
【0031】
カール再現性をより一層高める観点からは、成分(A)は、ヒドロキシエチルウレアであることが好ましい。
【0032】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、0.02質量%以上、20.0質量%以下である。成分(A)の含有量が0.02質量%未満であると、カール再現性を十分に高めることができないことがある。
【0033】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、好ましくは0.07質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは12.0質量%以下である。成分(A)の含有量が上記下限以上であると、カール再現性をより一層高めることができる。成分(A)の含有量が上記上限以下であると、カール再現性をより一層高めつつ、製造コストを抑えることができる。上記成分(A)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(A)の含有量の合計である。
【0034】
(成分(B))
成分(B)は、25℃における動粘度が20mm/s以上、4000mm/s以下であるジメチルポリシロキサンである。成分(B)を用いることにより、塗布時及び塗布後の滑らかさを良好にすることができる。成分(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0035】
成分(B)の25℃における動粘度は、20mm/s以上、4000mm/s以下である。上記動粘度が20mm/s未満であると、塗布後の滑らかさに劣ることがある。上記動粘度が4000mm/sを超えると、整髪剤組成物が重くなり、毛髪のカールが伸びやすく、カール再現性が低下しやすい。
【0036】
成分(B)の25℃における動粘度は、好ましくは150mm/s以上、より好ましくは200mm/s以上、好ましくは3000mm/s以下、より好ましくは800mm/s以下である。上記動粘度が上記下限以上であると、塗布後の滑らかさをより一層良好にすることができる。上記動粘度が上記上限以下であると、カール再現性を良好にすることができる。
【0037】
成分(B)の25℃における動粘度は、例えば、毛細管粘度計法により測定される。
【0038】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは12.0質量%以下である。成分(B)の含有量が上記下限以上であると、塗布時及び塗布後の滑らかさをより一層良好にすることができる。成分(B)の含有量が上記上限以下であると、カール再現性及びカール保持性を良好にすることができる。上記成分(B)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(B)の含有量の合計である。
【0039】
(成分(C))
成分(C)はカチオン性皮膜形成ポリマーである。成分(C)を用いることにより、カール再現性及びカール保持性を高めることができる。成分(C)を含まず、かつ成分(C)以外の皮膜形成ポリマー(例えば、アニオン性皮膜形成ポリマー等)を含む整髪剤組成物では、カール再現性及びカール保持性を十分に高めることは困難である。本発明の整髪剤組成物は、皮膜形成ポリマーとして、少なくとも成分(C)を含むので、カール再現性及びカール保持性を高めることができる。成分(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0040】
成分(C)としては、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩(ポリクオタニウム-11)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/メタクリロイルアミノプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-7)、アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム-22)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸2-エトキシエチル/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、及び(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)共重合体等が挙げられる。
【0041】
成分(C)は、ビニルピロリドンに由来する構成単位を有するカチオン性皮膜形成ポリマー、又はアンモニウムクロリドを有する単量体に由来する構成単位を有するカチオン性皮膜形成ポリマーであることが好ましく、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩(ポリクオタニウム-11)、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-7)、又はアクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム-22)であることがより好ましく、ポリクオタニウム-11であることがより好ましい。この場合には、カール再現性及びカール保持性(特に、塗布乾燥後に手ぐしを通した後のカール保持性)を更に一層高めることができる。
【0042】
ポリクオタニウム-11は、INCI名で、「Polyquaternium-11」と表記される化合物である。ポリクオタニウム-22は、INCI名で、「Polyquaternium-22」と表記される化合物である。ポリクオタニウム-7は、INCI名で、「Polyquaternium-7」と表記される化合物である。
【0043】
ポリクオタニウム-11の市販品としては、例えば、商品名「H.C.ポリマー1N」(以上、大阪有機工業社製)、商品名「Gafquat 440」、商品名「Gafquat 755N」(以上、Ashland社製)等が挙げられる。
【0044】
ポリクオタニウム-22の市販品としては、例えば、商品名「Merquat 280 Polymer」(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)等が挙げられる。
【0045】
ポリクオタニウム-7の市販品としては、例えば、商品名「Merquat 550PR Polymer」(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)等が挙げられる。
【0046】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は0.3質量%以上、10.0質量%以下である。成分(C)の含有量が0.3質量%未満であると、カール保持性が低下することがある。成分(C)の含有量が10.0質量%を超えると、再現されたカールの形及び質感が不自然になって、カール再現性が低下することがある。
【0047】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下である。成分(C)の含有量が上記下限以上であると、カール保持性をより一層高めることができる。成分(C)の含有量が上記上限以下であると、カール再現性より一層高めることができる。上記成分(C)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(C)の含有量の合計である。
【0048】
(成分(D))
成分(D)は、ノニオン性界面活性剤である。成分(D)を用いることにより、乳化安定性を高めることができる。成分(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
成分(D)としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油等が挙げられる。
【0050】
上記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
【0051】
上記ソルビタン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。
【0052】
上記グリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステルであってもよく、ポリグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。
【0053】
上記モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジアラキン酸グリセリル等が挙げられる。
【0054】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4~10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、セスキオレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、ジステアリン酸ポリ(6~10)グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸ポリ(10)グリセリル等の上記モノグリセリン脂肪酸エステルの重合度2~10のポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0055】
上記グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。
【0056】
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテル等が挙げられる。
【0057】
上記ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0058】
乳化安定性をより一層高める観点からは、成分(D)は、ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はグリセリル脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとを含むことが好ましい。
【0059】
本明細書においては、上記「ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はグリセリル脂肪酸エステル」を「成分(D1)」と称する場合がある。
【0060】
本明細書においては、上記「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」を「成分(D2)」と称する場合がある。
【0061】
成分(D)は、成分(D1)と成分(D2)とを含むことが好ましく、成分(D1)及び成分(D2)であることがより好ましい。本発明の整髪剤組成物は、成分(D)として、成分(D1)と成分(D2)とを含むことがより好ましい。この場合には、乳化安定性をより一層高めることができる。
【0062】
成分(D1)及び成分(D2)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0063】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(D1)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下である。成分(D1)の含有量が上記下限以上であると、乳化安定性をより一層高めることができる。成分(D1)の含有量が上記上限以下であると、べたつきをより一層抑えることができる。上記成分(D1)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(D1)の含有量の合計である。
【0064】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(D2)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下である。成分(D2)の含有量が上記下限以上であると、乳化安定性をより一層高めることができる。成分(D2)の含有量が上記上限以下であると、べたつきをより一層抑えることができる。上記成分(D2)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(D2)の含有量の合計である。
【0065】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(D)の含有量は、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、好ましくは25.0質量%以下、より好ましくは22.0質量%以下である。成分(D)の含有量が上記下限以上であると、乳化安定性をより一層高めることができる。成分(D)の含有量が上記上限以下であると、べたつきをより一層抑えることができる。上記成分(D)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(D)の含有量の合計である。
【0066】
(成分(E))
成分(E)は、水である。成分(E)は、精製水であることが好ましい。
【0067】
成分(E)の含有量は、他の配合成分の含有量によって、適宜調整することができる。本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(E)の含有量は、好ましくは50.0質量%以上、より好ましくは70.0質量%以上、好ましくは99.0質量%以下、より好ましくは96.0質量%以下である。
【0068】
(他の成分)
本発明の整髪剤組成物は、上述した成分(A)~(E)以外の成分を含んでいてもよい。成分(A)~(E)以外の成分としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、粉体、水溶性増粘剤、糖アルコール、保湿剤、防腐剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、色素、無機顔料、酸化防止剤、ビタミン類、動物性抽出物、金属イオン封鎖剤(キレート剤)等が挙げられる。上記他の成分は、それぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0069】
<低級アルコール>
上記低級アルコールとしては、エタノール等が挙げられる。
【0070】
<多価アルコール>
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、及び1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
【0071】
<粉体>
上記粉体としては、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0072】
<水溶性増粘剤>
上記水溶性増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマー、アクリレーツ/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(N-ビニルピロリドン-N、N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)クロスポリマー(ポリアクリレート-1)、キサンタンガム、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
【0073】
<糖アルコール>
上記糖アルコールとしては、ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。
【0074】
<保湿剤>
上記保湿剤としては、ヒアルロン酸、コラーゲン、パントテニルアルコール等が挙げられる。
【0075】
<防腐剤>
上記防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、及びフェノキシエタノール等が挙げられる。
【0076】
(乳化型整髪剤組成物の他の詳細)
本発明の乳化型整髪剤組成物の性状は、特に限定されない。本発明の乳化型整髪剤組成物の性状は、乳液状であってもよく、クリーム状であってもよく、ペースト状であってもよい。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、本発明の乳化型整髪剤組成物の性状は、乳液状又はクリーム状であることが好ましく、乳液状であることがより好ましい。本発明の乳化型整髪剤組成物は、乳液状乳化型整髪剤組成物、又はクリーム状乳化型整髪剤組成物であることが好ましく、乳液状乳化型整髪剤組成物であることがより好ましい。
【0077】
本発明の乳化型整髪剤組成物の25℃における粘度は、特に限定されない。塗布性を高める観点及び毛髪へのなじみ性を高める観点からは、本発明の乳化型整髪剤組成物の25℃における粘度は、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは5000mPa・s以上、好ましくは50000mPa・s以下、より好ましくは30000mPa・s以下である。
【0078】
上記粘度は、粘度計を用いて、No.4ローターを使用して回転速度12rpm、回転時間1分間の条件で測定される。上記粘度計としては、東機産業社製、TV-22型粘度計を使用可能である。
【0079】
本発明の乳化型整髪剤組成物の製造方法としては、例えば、各成分を用いて、混合及び乳化を行う法等が挙げられる。混合及び乳化には、ホモミキサー等が用いられる。乳化は、転相乳化であってもよい。上記各成分を混合した後に乳化が行われてもよく、各成分の混合時に乳化が行われてもよい。
【0080】
本発明の乳化型整髪剤組成物は、例えば、容器に充填された形態で用いることができる。本発明の乳化型整髪剤組成物の性状が乳液状である場合には、上記容器は、ポンプ容器又はチューブ容器であることが好ましい。
【実施例
【0081】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0082】
実施例及び比較例において、整髪剤組成物の調製には下記の成分を用いた。
【0083】
(成分(A))
ヒドロキシエチルウレア
【0084】
(成分(B))
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度:3000mm/s):商品名「DOWSIL SH200C FLUID 3000CS」、ダウ・東レ社製
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度:1000mm/s):商品名「DOWSIL SH200C FLUID 1000CS」、ダウ・東レ社製
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度:350mm/s):商品名「DOWSIL SH200C FLUID 350CS」、ダウ・東レ社製
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度:100mm/s):商品名「DOWSIL SH200C Fluid 100cSt」、ダウ・東レ社製
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度:20mm/s):商品名「DOWSIL SH200C Fluid 20cSt」、ダウ・東レ社製
【0085】
(成分(B)に相当しない成分)
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度:5000mm/s):商品名「DOWSIL SH200C FLUID 5000CS」、ダウ・東レ社製
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度:10mm/s):商品名「DOWSIL SH200C Fluid 10cSt」、ダウ・東レ社製
【0086】
(成分(C))
ポリクオタニウム-11:商品名「H.C.ポリマー1N」、大阪有機工業社製
ポリクオタニウム-22:商品名「Merquat 280 Polymer」、Lubrizol Advanced Materials社製
ポリクオタニウム-7:商品名「Merquat 550PR Polymer」、Lubrizol Advanced Materials社製
【0087】
(成分(D))
成分(D1):
ステアリン酸ソルビタン:商品名「SS-10V」、日本サーファクタント工業社製
ステアリン酸グリセリル:商品名「CUTINA GMS-V」、BASF社製
成分(D2):
セテス-20:商品名「ブラウノン CH-320L」、青木油脂工業社製、ポリオキシエチレンセチルエーテル、オキシエチレン基の平均付加モル数20
ステアレス-20:商品名「ブラウノン SR-720」、青木油脂工業社製、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、オキシエチレンの平均付加モル数20
【0088】
(成分(E))
精製水
【0089】
(その他の成分)
カルボマー:商品名「CARBOPOL 980 POLYMER」、Lubrizol Advanced Materials社製、カルボキシビニルポリマー
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー:商品名「Carbopol 1382 Polymer」、Lubrizol Advanced Materials社製
トリエタノールアミン
【0090】
(実施例1~24及び比較例1~9)
下記の表1~4に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、ホモミキサーを用いて混合及び乳化し、乳化型整髪剤組成物を調製した。表中の配合量(乳化型整髪剤組成物100質量%中の配合量)は、純分の配合量(単位:質量%)で示した。
【0091】
(評価)
(試験例1:乳化状態)
下記の表1~4に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、下記の表1~4に示す組成を有する評価用サンプルを作製した。評価用サンプルを容器に収容し、容器を手に持ち振とうした。振とうから1分後の評価用サンプルを目視にて観察し、均一に分散しているか否かを確認した。また、振とうした容器を室温で24時間以上保管した際の評価用サンプルを目視にて観察し、均一に分散しているか否かを確認した。
【0092】
<乳化状態の評価基準>
A:振とうから1分後の評価用サンプルにおいて、均一に分散しており、乳化状態が良好である。さらにその乳化状態を室温環境下で24時間以上維持できている。
B:振とうから1分後の評価用サンプルにおいて、均一に分散しており、乳化状態が良好である。
C:振とうから1分後の評価用サンプルにおいて、均一に分散しておらず、乳化状態が不良である。
【0093】
(試験例2:カール再現性)
約175mmの平毛束2.5gに直径10mmのカールロッドを用いてパーマネントウェーブを施して、カールを形成させた。次いで、カールを形成させた毛束を充分に乾燥させた。この毛束の長さを測定し、その長さをL0とした。次いで、得られた整髪剤組成物を乾燥させた毛束に均一に塗布した。整髪剤組成物を塗布してから室温で10分間静置した後の毛束の長さを測定し、その長さをL1とした。
【0094】
L0とL1とから、下記式(1)より、整髪剤組成物によるカール率を算出した。このカール率が高い程、カール再現性に優れる。
【0095】
整髪剤組成物によるカール率(%)=([L0-L1]/L0)×100 ・・・(1)
L0:カール形成後、充分に乾燥させたときの毛束の長さ(mm)
L1:整髪剤組成物を塗布してから室温で10分間静置した後の毛束の長さ(mm)
【0096】
カール再現性を以下の基準で判定した。
【0097】
<カール再現性の評価基準>
A:整髪剤組成物によるカール率が11.5%を超える
B:整髪剤組成物によるカール率が8.0%を超え、11.5%以下
C:整髪剤組成物によるカール率が8.0%以下
【0098】
(試験例3:カール保持性)
上記のカール再現性の試験において得られた毛束を、整髪剤組成物を塗布してから室温で120分間静置した。120分間静置した後の毛束の長さを測定し、その長さをL2とした。
【0099】
L1とL2とから、下記式(2)より、カール戻り率を算出した。このカール戻り率が低い程、カール保持性に優れる。
【0100】
カール戻り率(%)=([L2-L1]/L1)×100 ・・・(2)
L1:整髪剤組成物を塗布してから室温で10分間静置した後の毛束の長さ(mm)
L2:整髪剤組成物を塗布してから室温で120分間静置した後の毛束の長さ(mm)
【0101】
カール保持性を以下の基準で判定した。
【0102】
<カール保持性の評価基準>
A:カール戻り率が2.0%未満
B:カール戻り率が2.0%以上、4.0%未満
C:カール戻り率が4.0%以上
【0103】
(試験例4:塗布時の滑らかさ)
上記のカール再現性の試験の際に、整髪剤組成物を毛束に塗布したときの感触から、塗布時の滑らかさを以下の基準で判定した。
【0104】
<塗布時の滑らかさの評価基準>
A:非常に滑らかで、塗布時の感触に優れる
B:Aほどではないが、滑らかで塗布時の感触に優れる
C:引っ掛かりが生じ、塗布時の感触が悪い
【0105】
(試験例5:塗布後の滑らかさ)
上記のカール保持性の試験後、毛束の表面を指先で触れたときの感触から、塗布後の滑らかさを以下の基準で判定した。
【0106】
<塗布後の滑らかさの評価基準>
A:非常に滑らかで、塗布後の感触に優れる
B:Aほどではないが、滑らかで塗布後の感触に優れる
C:引っ掛かりが生じ、塗布後の感触が悪い
【0107】
組成及び結果を下記の表1~4に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】