(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】基準電圧回路
(51)【国際特許分類】
G05F 3/30 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G05F3/30
(21)【出願番号】P 2020139899
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】椎名 美臣
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-009423(JP,A)
【文献】特開2007-266715(JP,A)
【文献】特開2010-073133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0204863(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/12 ー 1/618
G05F 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電圧を発生させ、発生させた前記基準電圧を出力端子へ供給する出力ラインを有する基準電圧発生回路と、
制御電圧が入力されるゲートと、ドレインと、ソースと、を有する出力トランジスタと、前記出力トランジスタのソースと接続されるゲートと、ドレインと、前記出力トランジスタのドレインと接続されるソースと、を有する安定化トランジスタと、を有し、前記基準電圧の前記出力端子への供給を制御する出力制御回路と、を備え、
前記安定化トランジスタは、そのゲート・ソース間電圧が前記出力トランジスタの飽和領域におけるドレイン・ソース間電圧以上に構成されることを特徴とする基準電圧回路。
【請求項2】
前記出力トランジスタは、第1のデプレッション型NMOSトランジスタであり、
前記安定化トランジスタは、第2のデプレッション型NMOSトランジスタであって、
前記第1のデプレッション型NMOSトランジスタは、前記制御電圧が入力されるゲートと、ドレインと、前記出力ラインに接続されるソースと、を有し、
前記第2のデプレッション型NMOSトランジスタは、前記第1のデプレッション型NMOSトランジスタのソースと接続されるゲートと、第1の電源電圧を供給する第1の電源供給端子に接続されるドレインと、前記第1のデプレッション型NMOSトランジスタのドレインと接続されるソースと、を有する請求項1に記載の基準電圧回路。
【請求項3】
前記基準電圧発生回路は、それぞれ、第1端及び第2端を有する第1の抵抗、第2の抵抗及び第3の抵抗と、
前記第1の抵抗の第2端と接続されるアノードと、第2の電源電圧を供給する第2の電源供給端子に接続されるカソードと、を有する第1のダイオードと、
前記第3の抵抗の第2端と接続されるアノードと、前記第2の電源供給端子に接続されるカソードと、を有する第2のダイオードと、を有し、
前記出力制御回路は、前記第1の抵抗の第1端及び前記第2の抵抗の第2端と接続される反転入力端と、前記第2のダイオードのアノード及び前記第3の抵抗の第2端と接続される非反転入力端と、前記第1のデプレッション型NMOSトランジスタのゲートと接続され、前記制御電圧を供給する出力端とを含む演算増幅器と、をさらに有する請求項2に記載の基準電圧回路。
【請求項4】
前記基準電圧発生回路は、カレントミラー回路を構成するダイオード及び第1のバイポーラトランジスタと、
前記出力ラインと接続される第1端と、前記ダイオードのアノードと接続される第2端と、を有する第1の抵抗と、
前記出力ラインと接続される第1端と、前記第1のバイポーラトランジスタのコレクタと接続される第2端と、を有する第2の抵抗と、
前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタに接続される第1端と、第2の電源電圧を供給する第2の電源供給端子に接続される第2端と、を有する第3の抵抗と、を有し、
前記出力制御回路は、前記第2の抵抗の第2端及び前記第1のバイポーラトランジスタのコレクタに接続されるベースと、定電流源を介して接続される前記第1の電源供給端子及び前記第1のデプレッション型NMOSトランジスタのゲートと接続されるコレクタと、前記第2の電源供給端子に接続されるエミッタと、を有する第2のバイポーラトランジスタをさらに有する請求項2に記載の基準電圧回路。
【請求項5】
前記出力トランジスタは、エンハンスメント型PMOSトランジスタであり、
前記安定化トランジスタは、デプレッション型PMOSトランジスタであって、
前記エンハンスメント型PMOSトランジスタは、前記制御電圧が入力されるゲートと、ドレインと、第1の電源電圧を供給する第1の電源供給端子に接続されるソースと、を有し、
前記デプレッション型PMOSトランジスタは、前記エンハンスメント型PMOSトランジスタのソースと接続されるゲートと、前記出力ラインに接続されるドレインと、前記エンハンスメント型PMOSトランジスタのドレインと接続されるソースと、を有
し、そのゲート・ソース間電圧が前記エンハンスメント型PMOSトランジスタの飽和領域におけるドレイン・ソース間電圧以上に構成される請求項1に記載の基準電圧回路。
【請求項6】
前記基準電圧発生回路は、それぞれ、第1端及び第2端を有する第1の抵抗、第2の抵抗及び第3の抵抗と、
前記第1の抵抗の第2端と接続されるアノードと、第2の電源電圧を供給する第2の電源供給端子に接続されるカソードと、を有する第1のダイオードと、
前記第3の抵抗の第2端と接続されるアノードと、前記第2の電源供給端子に接続されるカソードと、を有する第2のダイオードと、を有し、
前記出力制御回路は、前記第2のダイオードのアノード及び前記第3の抵抗の第2端と接続される反転入力端と、前記第1の抵抗の第1端及び前記第2の抵抗の第2端と接続される非反転入力端と、前記エンハンスメント型PMOSトランジスタのゲートと接続され、前記制御電圧を供給する出力端とを含む演算増幅器と、をさらに有する請求項5に記載の基準電圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準電圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電源電圧変動や温度変動によらない一定の電圧を基準電圧として生成する基準電圧回路の一例として、バンドギャップリファレンス(BGR)回路が利用されている。例えば、基準電圧が出力される出力端子と電源供給端子との間にNMOSトランジスタ等の出力トランジスタが接続されたBGR回路を備える基準電圧回路がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の基準電圧回路では、出力トランジスタのドレインが電源供給端子に直接接続されているため、出力トランジスタの動作点は、電源電圧の変動の影響を受けやすい。従って、上述した従来の基準電圧回路では、電源電圧が変動した場合、出力トランジスタの動作点が変動してしまい、電圧が一定な基準電圧を供給するのが困難であった。
【0005】
本発明は、上述した事情を考慮し、電源電圧の変動に対して電圧の変動が抑制された基準電圧を供給する基準電圧回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る基準電圧回路は、基準電圧を発生させ、発生させた前記基準電圧を出力端子へ供給する出力ラインを有する基準電圧発生回路と、制御電圧が入力されるゲートと、ドレインと、ソースと、を有する出力トランジスタと、前記出力トランジスタのソースと接続されるゲートと、ドレインと、前記出力トランジスタのドレインに接続されるソースと、を有する安定化トランジスタと、を有し、前記基準電圧の前記出力端子への供給を制御する出力制御回路と、を備え、前記安定化トランジスタは、そのゲート・ソース間電圧が前記出力トランジスタの飽和領域におけるドレイン・ソース間電圧以上に構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電源電圧の変動に対して電圧の変動が抑制された基準電圧を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る基準電圧回路の第1の構成例を示す回路図である。
【
図2】本実施形態に係る基準電圧回路の第2の構成例を示す回路図である。
【
図3】本実施形態に係る基準電圧回路の第3の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る基準電圧回路を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態の説明に際し、図面に示される抵抗及び定電流源の両端のうち、上側に位置する端を第1端、下側に位置する端を第2端と呼称する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る基準電圧回路の第1の構成例である基準電圧回路100の回路図である。
【0011】
基準電圧回路100は、バンドギャップリファレンス(BGR)回路である基準電圧発生回路10と、出力制御回路30と、を備えている。また、基準電圧発生回路10、出力制御回路30及び出力端子Toは、節点N1で互いに接続されている。ここで、節点N1は、デプレッション型NMOSトランジスタ31のソースと、デプレッション型NMOSトランジスタ32のゲートと、抵抗15の第1端と、抵抗16の第1端と、出力端子Toとの接続点である。
【0012】
基準電圧発生回路10は、2個のPNPバイポーラトランジスタ11,12と、3個の抵抗13,15,16と、を有している。
【0013】
第1のダイオードとしてのPNPバイポーラトランジスタ11は、ベース及びコレクタが、第2の電源電圧を供給する第2の電源供給端子としての接地端子2に接続(接地)されている。従って、第1のダイオードのカソードとしてのベース及びコレクタが接地端子2を介して接続(短絡)されている。第1のダイオードのアノードとしてのPNPバイポーラトランジスタ11のエミッタは、抵抗13の第2端と接続されている。
【0014】
第2のダイオードとしてのPNPバイポーラトランジスタ12は、PNPバイポーラトランジスタ11と同じサイズに構成されている。PNPバイポーラトランジスタ12は、ベース及びコレクタが、接地端子2に接続(接地)されている。従って、第2のダイオードのカソードとしてのベース及びコレクタが接地端子2を介して接続(短絡)されている。第2のダイオードのアノードとしてのPNPバイポーラトランジスタ12のエミッタは、抵抗16の第2端と接続されている。
【0015】
PNPバイポーラトランジスタ11のエミッタ面積及びPNPバイポーラトランジスタ12のエミッタ面積の比(エミッタ面積比)は、N(>0):1に設定される。すなわち、PNPバイポーラトランジスタ11は、PNPバイポーラトランジスタ12のエミッタ面積のN倍の面積に構成されるエミッタを有している。
【0016】
第2の抵抗としての抵抗15は、節点N1に接続される第1端と、第1抵抗としての抵抗13の第1端及び演算増幅器33の反転入力端(-)に接続される第2端と、を有している。
【0017】
第3の抵抗としての抵抗16は、節点N1に接続される第1端と、PNPバイポーラトランジスタ12のエミッタ及び演算増幅器33の非反転入力端(+)に接続される第2端と、を有している。
【0018】
また、基準電圧発生回路10は、抵抗15の第1端と、抵抗16の第1端と、出力端子Toとが接続された出力ラインOLを有し、出力ラインOLから出力端子Toに基準電圧VREFが供給される。
【0019】
出力制御回路30は、デプレッション型NMOSトランジスタ31,32と、演算増幅器33と、を有し、基準電圧VREFの出力端子Toへの供給を制御する。
【0020】
出力トランジスタ及び第1のデプレッション型NMOSトランジスタとしてのデプレッション型NMOSトランジスタ31は、演算増幅器33の出力端と接続されるゲートと、ドレインと、出力ラインOLに接続されるソースと、を有している。
【0021】
安定化トランジスタ及び第2のデプレッション型NMOSトランジスタとしてのデプレッション型NMOSトランジスタ32は、出力ラインOLを介してデプレッション型NMOSトランジスタ31のソースと接続されるゲートと、電源供給端子1と接続されるドレインと、デプレッション型NMOSトランジスタ31のドレインと接続されるソースと、を有している。
【0022】
また、デプレッション型NMOSトランジスタ32は、その定数が、ゲート・ソース間電圧VGS#32がデプレッション型NMOSトランジスタ31の飽和領域におけるドレイン・ソース間電圧VDS#31s以上になるように設定されている。すなわち、デプレッション型NMOSトランジスタ32は、下記式(1)
VGS#32≧VDS#31s …(1)
を満たすように、構成されている。
【0023】
演算増幅器33は、正側電源端、負側電源端、非反転入力端(+)、反転入力端(-)、及び出力端と、を含み、出力端から制御電圧を供給する。
【0024】
正側電源端は、第1の電源電圧を供給する第1の電源供給端子としての電源供給端子1に接続されている。負側電源端は、接地端子2に接続されている。非反転入力端(+)は、PNPバイポーラトランジスタ12のエミッタと抵抗16の第2端との節点に接続されている。また、反転入力端(-)は、抵抗13の第1端と抵抗15の第2端との節点に接続されている。出力端は、デプレッション型NMOSトランジスタ31のゲートと接続されており、制御電圧がデプレッション型NMOSトランジスタ31のゲートに入力される。
【0025】
次に、基準電圧回路100の作用及び効果について説明する。
基準電圧回路100では、基準電圧発生回路10が基準電圧VREFを発生させる。基準電圧VREFは出力ラインOLを通して出力端子Toへ供給される。また、出力制御回路30は、基準電圧VREFの出力端子Toへの供給を制御する。
【0026】
出力制御回路30において、デプレッション型NMOSトランジスタ31のドレイン・ソース間電圧VDS#31は、デプレッション型NMOSトランジスタ32のゲート・ソース間電圧VGS#32で一定にバイアスされる。
【0027】
デプレッション型NMOSトランジスタ32のソースの電位は、基準電圧VREFからデプレッション型NMOSトランジスタ32のゲート・ソース間電圧VGS#32だけ高いVREF+VGS#32である。デプレッション型NMOSトランジスタ31のソースの電位は、デプレッション型NMOSトランジスタ32のゲートの電位に等しい。
【0028】
従って、第1の電源電圧が変動した場合、デプレッション型NMOSトランジスタ32のドレイン・ソース間電圧は変動するものの、デプレッション型NMOSトランジスタ31のドレイン・ソース間電圧は変動せずに一定に保たれる。また、起動時に基準電圧VREFが0[V]から上昇して所定の電圧に達する間も、デプレッション型NMOSトランジスタ31のドレイン・ソース間電圧は変動せず一定に保たれる。
【0029】
このように構成される基準電圧回路100によれば、第1の電源電圧が変動したとしても、デプレッション型NMOSトランジスタ31のドレイン・ソース間電圧は変動しないので、デプレッション型NMOSトランジスタ31の動作点は変動しない。故に、出力端子Toから安定した基準電圧VREFを外部へ供給することができる。
【0030】
また、基準電圧回路100は、起動時に基準電圧VREFが0[V]から所定の電圧に達する間において、デプレッション型NMOSトランジスタ31のドレイン・ソース間電圧は変動しないので、安定した起動特性を得ることができる。
【0031】
なお、本実施形態に係る基準電圧回路は、基準電圧回路100に限られず、例えば、後述する基準電圧回路200(
図2),300(
図3)等でもよい。
【0032】
図2は、本実施形態に係る基準電圧回路の第2の構成例である基準電圧回路200の回路図である。
【0033】
基準電圧回路200は、いわゆるWidlar型BGR回路である基準電圧発生回路20と、出力制御回路40と、を備えている。また、基準電圧発生回路20、出力制御回路40及び出力端子Toは、節点N3で互いに接続されている。ここで、節点N3は、デプレッション型NMOSトランジスタ41のソースと、デプレッション型NMOSトランジスタ42のゲートと、抵抗23の第1端と、抵抗24の第1端と、出力端子Toとの接続点である。
【0034】
基準電圧発生回路20は、2個のNPNバイポーラトランジスタ21,22と、3個の抵抗23,24,26と、を有している。
【0035】
ダイオードとしてのNPNバイポーラトランジスタ21は、接地端子2に直接接続されている一方、第1のバイポーラトランジスタとしてのNPNバイポーラトランジスタ22は、抵抗26を介して接地端子2に接続されている。また、NPNバイポーラトランジスタ21は、ダイオード接続されており、NPNバイポーラトランジスタ22とともに、カレントミラー回路を構成している。
【0036】
NPNバイポーラトランジスタ21のコレクタと節点N3との間には、抵抗23が接続されている。NPNバイポーラトランジスタ22のコレクタと節点N3との間には、抵抗24が接続されている。
【0037】
第1の抵抗としての抵抗23は、出力ラインOLと接続される第1端と、ダイオードのアノードとしてのNPNバイポーラトランジスタ21のコレクタと接続される第2端と、を有している。
【0038】
第2の抵抗としての抵抗24は、出力ラインOLと接続される第1端と、NPNバイポーラトランジスタ22のコレクタと接続される第2端と、を有している。
【0039】
第3の抵抗としての抵抗26は、NPNバイポーラトランジスタ22のエミッタに接続される第1端と、接地端子2に接続される第2端と、を有している。
【0040】
出力制御回路40は、デプレッション型NMOSトランジスタ41,42と、定電流源45と、NPNバイポーラトランジスタ46と、を有している。
【0041】
出力トランジスタ及び第1のデプレッション型NMOSトランジスタとしてのデプレッション型NMOSトランジスタ41は、定電流源45の第2端及びNPNバイポーラトランジスタ46のコレクタに接続されるゲートと、節点N3に接続されるソースと、を有している。
【0042】
安定化トランジスタ及び第2のデプレッション型NMOSトランジスタとしてのデプレッション型NMOSトランジスタ42は、節点N3に接続されるゲートと、電源供給端子1に接続されるドレインと、デプレッション型NMOSトランジスタ41のドレインと接続されるソースと、を有している。
【0043】
また、デプレッション型NMOSトランジスタ42は、デプレッション型NMOSトランジスタ32と同様、その定数が、ゲート・ソース間電圧VGS#42がデプレッション型NMOSトランジスタ41の飽和領域におけるドレイン・ソース間電圧VDS#41s以上になるように設定されている。すなわち、デプレッション型NMOSトランジスタ42は、下記式(2)
VGS#42≧VDS#41s …(2)
を満たすように、構成されている。
【0044】
定電流源45は、電源供給端子1に接続される第1端と、デプレッション型NMOSトランジスタ41のゲート及びNPNバイポーラトランジスタ46のコレクタに接続される第2端と、を有している。
【0045】
第2のバイポーラトランジスタとしてのNPNバイポーラトランジスタ46は、NPNバイポーラトランジスタ22のコレクタ及び抵抗24の第2端に接続されるベースと、定電流源45の第2端及びデプレッション型NMOSトランジスタ41のゲートと接続されるコレクタと、接地端子2に接続されるエミッタと、を有している。
【0046】
このように構成される基準電圧回路200は、基準電圧回路100と同様に作用し、同様の効果を得ることができる。すなわち、基準電圧回路200の作用及び効果の詳細については、上述した基準電圧回路100の作用及び効果の説明において、出力制御回路30及びデプレッション型NMOSトランジスタ31,32を、それぞれ、出力制御回路40及びデプレッション型NMOSトランジスタ41,42に、読み替えればよい。
【0047】
図3は、本実施形態に係る基準電圧回路の第3の構成例である基準電圧回路300の回路図である。
【0048】
基準電圧回路300は、基準電圧回路100に対して、出力制御回路30の代わりに出力制御回路50を備える点で相違しているが、その他の点は実質的に相違しない。そこで、基準電圧回路100の構成要素と実質的に相違しない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0049】
出力制御回路50は、出力トランジスタとしてのエンハンスメント型PMOSトランジスタ51と、安定化トランジスタとしてのデプレッション型PMOSトランジスタ52と、演算増幅器53と、を有している。
【0050】
エンハンスメント型PMOSトランジスタ51は、演算増幅器53の出力端と接続されるゲートと、ドレインと、電源供給端子1と接続されるソースと、を有している。デプレッション型PMOSトランジスタ52は、電源供給端子1と接続されるゲートと、出力ラインOLに接続されるドレインと、エンハンスメント型PMOSトランジスタ51のドレインに接続されるソースと、を有している。
【0051】
デプレッション型PMOSトランジスタ52は、その定数が、ゲート・ソース間電圧VGS#52がエンハンスメント型PMOSトランジスタ51の飽和領域におけるドレイン・ソース間電圧VDS#51s以上になるように設定されている。すなわち、デプレッション型PMOSトランジスタ52は、下記式(3)
VGS#52≧VDS#51s …(3)
を満たすように、構成されている。
【0052】
演算増幅器53は、演算増幅器33に対して、非反転入力端(+)の接続先と反転入力端(-)の接続先とが入れ替えられている点が相違するが、正側電源端、負側電源端、非反転入力端(+)、反転入力端(-)、及び出力端と、を含む点では共通している。
【0053】
演算増幅器53において、非反転入力端(+)は、抵抗13の第1端と抵抗15の第2端との節点に接続されている。また、反転入力端(-)は、PNPバイポーラトランジスタ12のエミッタと抵抗16の第2端との節点に接続されている。出力端は、エンハンスメント型PMOSトランジスタ51のゲートと接続されている。
【0054】
このように構成される基準電圧回路300は、基準電圧回路100と同様に作用し、同様の効果を得ることができる。すなわち、基準電圧回路300の作用及び効果の詳細については、上述した基準電圧回路100の作用及び効果の説明において、出力制御回路30、デプレッション型NMOSトランジスタ31及びデプレッション型NMOSトランジスタ32を、それぞれ、出力制御回路50、エンハンスメント型PMOSトランジスタ51及びデプレッション型PMOSトランジスタ52に、読み替えればよい。
【0055】
なお、本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更をすることができる。
【0056】
例えば、上述した基準電圧回路100,200,300において、PNPバイポーラトランジスタ11,12及びNPNバイポーラトランジスタ21は、バイポーラトランジスタである例を説明したが、これに限定されない。PNPバイポーラトランジスタ11,12及びNPNバイポーラトランジスタ21のうち、少なくとも1個はダイオードでもよい。
【0057】
例えば、出力トランジスタとしてのデプレッション型NMOSトランジスタ31のソースと安定化トランジスタとしてのデプレッション型NMOSトランジスタ32のゲートとが、出力制御回路30の外部で接続(短絡)される構成例が
図1に示されているが、図示されている構成例に限定されない。出力トランジスタのソースと安定化トランジスタのゲートとは、出力制御回路の内部で接続されていてもよい。
【0058】
具体的に説明すれば、出力制御回路30の内部でデプレッション型NMOSトランジスタ31のソースとデプレッション型NMOSトランジスタ32のゲートとが接続されていてもよい。出力制御回路40の内部でデプレッション型NMOSトランジスタ41のソースとデプレッション型NMOSトランジスタ42のゲートとが接続されていてもよい。出力制御回路50の内部でエンハンスメント型PMOSトランジスタ51のソースとデプレッション型PMOSトランジスタ52のゲートとが接続されていてもよい。
【0059】
本実施形態に係る基準電圧回路の一例として、BGR回路である基準電圧発生回路10を備える基準電圧回路100,300及びBGR回路である基準電圧発生回路20を備える基準電圧回路200について説明したが、本実施形態に係る基準電圧回路は、BGR回路以外の基準電圧発生回路を備えていてもよい。
【0060】
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
100,200,300 基準電圧回路
1 電源供給端子(第1の電源供給端子)
2 接地端子(第2の電源供給端子)
10,20 基準電圧発生回路
11 PNPバイポーラトランジスタ(第1のダイオード)
12 PNPバイポーラトランジスタ(第2のダイオード)
13 抵抗(第1の抵抗)
15 抵抗(第2の抵抗)
16 抵抗(第3の抵抗)
21 NPNバイポーラトランジスタ(ダイオード)
22 NPNバイポーラトランジスタ(第1のバイポーラトランジスタ)
23 抵抗(第1の抵抗)
24 抵抗(第2の抵抗)
26 抵抗(第3の抵抗)
30,40 出力制御回路
31,41 デプレッション型NMOSトランジスタ(出力トランジスタ、第1のデプレッション型NMOSトランジスタ)
32,42 デプレッション型NMOSトランジスタ(安定化トランジスタ、第2のデプレッション型NMOSトランジスタ)
33,53 演算増幅器
46 NPNバイポーラトランジスタ(第2のバイポーラトランジスタ)
51 エンハンスメント型PMOSトランジスタ(出力トランジスタ)
52 デプレッション型PMOSトランジスタ(安定化トランジスタ)
OL 出力ライン