(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】組合せ秤
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G01G19/387 D
(21)【出願番号】P 2020162899
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】津川 久志
(72)【発明者】
【氏名】中西 壯介
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138651(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181611(JP,U)
【文献】特開平11-108745(JP,A)
【文献】特開2012-202937(JP,A)
【文献】特開2017-227576(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0180357(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列配置されると共に、載置される物品をそれぞれ搬送する複数の計量コンベヤ
と、
前記計量コンベヤから搬出される物品を、前記複数の計量コンベヤの並列方向に沿って搬送する集合コンベヤ
と、
前記計量コンベヤ及び前記集合コンベヤの駆動を制御すると共に、前記複数の計量コンベヤの物品の重量を組合せた組合せ重量が、所定重量範囲となる前記計量コンベヤの組合せを、前記物品を搬出すべき適量組合せとして選択する組合せ演算を行う制御部
と、
を備え、
前記制御部は、前記適量組合せに選択された前記計量コンベヤを駆動して前記物品を前記集合コンベヤへ搬出する間は、前記集合コンベヤの駆動を停止して
待機させ、
複数の前記計量コンベヤを、前記集合コンベヤの両側に、該集合コンベヤを挟むようにそれぞれ並列配置しており、
前記集合コンベヤの両側の複数の計量コンベヤは、前記集合コンベヤを挟んで各一対の計量コンベヤがそれぞれ互いに対面するように配置され、
前記制御部は、前記適量組合せに選択された複数の計量コンベヤに、互いに対面する一対の計量コンベヤが含まれているときには、前記集合コンベヤの駆動を停止させた待機状態で、前記適量組合せに選択された前記両側の一方側の計量コンベヤを駆動して物品を前記集合コンベヤに搬出させた後、前記集合コンベヤを、並列配置されている前記複数の計量コンベヤのピッチの半分のピッチ分駆動して停止させ、前記適量組合せに選択された前記両側の他方側の計量コンベヤを駆動して、物品を待機状態の前記集合コンベヤに搬出させた後、前記集合コンベヤを駆動して、集合コンベヤ上の物品を搬出する、
ことを特徴とする組合せ秤。
【請求項2】
前記適量組合せに選択された前記計量コンベヤの物品を搬出する搬出モードとして、第1搬出モードと第2搬出モードとを選択設定可能な設定操作部を備え、
前記制御部は、前記設定操作部で前記第1搬出モードが設定されているときには、前記適量組合せに選択された前記計量コンベヤを駆動して前記物品を前記集合コンベヤへ搬出する間は、前記集合コンベヤの駆動を停止して待機させ、前記第2搬出モードが設定されているときには、前記適量組合せに選択された前記計量コンベヤを駆動すると共に、前記集合コンベヤを駆動する、
請求項1に記載の組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を所定重量範囲の重量となるように組合せ計量して排出する組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤は、計量部への物品の供給方法及び排出方法の違いにより、自動式、半自動式、手動式に大別することができる。手動式の組合せ秤では、物品の供給と排出とが人手によって行われる。また、半自動式の組合せ秤では、物品の供給は人手によって行われ、物品の排出は自動で行われる。また、自動式の組合せ秤では、物品の供給と排出が自動で行われる。
【0003】
組合せ秤への物品の供給を自動で行うことができない物品あるいは自動で行うことに適さない物品に対して、手動式あるいは半自動式の組合せ秤が用いられる。
【0004】
従来の半自動式の組合せ秤としては、例えば、特許文献1に示されているように、横一列に並列配置された複数の計量コンベヤに手作業で物品を供給する。複数の計量コンベヤに供給された物品の重量に基づく組合せ演算を行って、所定重量範囲内となる計量コンベヤの組合せを選択する。選択した組合せの計量コンベヤを駆動して、計量コンベヤの物品を、複数の計量コンベヤの並列方向に沿って搬送する集合コンベヤに排出する。この集合コンベヤによって所定重量範囲内の物品を搬送して、袋詰め工程などの次工程へ排出するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記半自動式の組合せ秤を用いて細長い物品を計量処理する場合、物品の向きや姿勢が揃っていないと、後の袋詰め工程などでの処理に支障をきたすことになり、計量搬出した物品の姿勢揃え処理が別途必要となる。
【0007】
特許文献1に示される組合せ秤は、このような問題を解消するために提案されたものであって、細長い物品を、計量コンベヤから集合コンベヤに送り込む際に、集合コンベヤの搬送速度を計量コンベヤの搬送速度より速くすることで、計量コンベヤから送り出される物品が集合コンベヤに引きずられ、物品の長手方向が、集合コンベヤの搬出方向に沿った姿勢に変更修正されるようになっている。
【0008】
また、集合コンベヤにおける物品の姿勢を、集合コンベヤの搬出方向に沿った姿勢に安定させるために、集合コンベヤにおける搬送面の正面形状をV形に形成することも提案されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1に示される組合せ秤では、計量コンベヤと集合コンベヤとの搬送速度差を用いて、細長い物品の姿勢を強制的に大きく変更修正するものであるから、計量コンベヤから集合コンベヤへの移載時における引き摺りを伴う強制的な姿勢変更によって物品の表面が損傷する虞があった。勿論、搬送速度を十分遅くすれば上記のような不具合を回避することも可能であるが、それでは処理能力が著しく低下してしまうことになる。
【0010】
また、集合コンベヤを特殊な構造にすることで、製造コストが高くなる問題もあった。
【0011】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、特殊な構造の集合コンベヤを必要とすることなく、細長い物品を、損傷なく整列させて効率よく搬出できる組合せ秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0013】
(1)本発明に係る組合せ秤は、並列配置されると共に、載置される物品をそれぞれ搬送する複数の計量コンベヤと、前記計量コンベヤから搬出される物品を、前記複数の計量コンベヤの並列方向に沿って搬送する集合コンベヤと、前記計量コンベヤ及び前記集合コンベヤの駆動を制御すると共に、前記複数の計量コンベヤの物品の重量を組合せた組合せ重量が、所定重量範囲となる前記計量コンベヤの組合せを、前記物品を搬出すべき適量組合せとして選択する組合せ演算を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記適量組合せに選択された前記計量コンベヤを駆動して前記物品を前記集合コンベヤへ搬出する間は、前記集合コンベヤの駆動を停止して待機させる。
【0014】
本発明によると、細長い物品を、例えば、その長手方向が計量コンベヤの搬送方向に沿う姿勢で計量コンベヤに手作業で載置することで、組合せ演算によって適量組合せに選択された計量コンベヤの物品は、載置された姿勢のまま、停止している集合コンベヤに送り込まれる。これによって、物品は、その長手方向を集合コンベヤの幅方向に沿わせた姿勢で集合コンベヤに移載され、その後の集合コンベヤの駆動によって、送り込まれた時の姿勢を維持したまま整列して搬出されることになる。
【0015】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記集合コンベヤの搬送径路の側端部には、前記計量コンベヤから搬出される物品の先端を受け止めるガイドが立設されている。
【0016】
この実施態様によると、計量コンベヤから送り込まれた物品の先端をガイドで受け止めて、物品の先端位置が大きくずれて搬出されることを防止することができる
(3)本発明の一実施態様では、複数の前記計量コンベヤを、前記集合コンベヤの両側に、該集合コンベヤを挟むようにそれぞれ並列配置している。
【0017】
この実施態様によると、集合コンベヤの両側に、複数の計量コンベヤを並列配置することで、組合せ演算に参加できる計量コンベヤの数を増やして精度の高い組合せ計量が可能になる。また、当該組合せ秤を、複数の計量コンベヤを集合コンベヤの一方側のみに並列配置する構成に比べて、並列方向に短くしてコンパクト化を図ることができる。
【0018】
(4)本発明の他の実施態様では、前記集合コンベヤの両側の複数の計量コンベヤは、前記集合コンベヤを挟んで各一対の計量コンベヤがそれぞれ互いに対面するように配置され、前記制御部は、前記適量組合せに選択された複数の計量コンベヤに、互いに対面する一対の計量コンベヤが含まれているときには、前記集合コンベヤの駆動を停止させた待機状態で、前記適量組合せに選択された前記両側の一方側の計量コンベヤを駆動して物品を前記集合コンベヤに搬出させた後、前記集合コンベヤを、並列配置されている前記複数の計量コンベヤのピッチの半分のピッチ分駆動して停止させ、前記適量組合せに選択された前記両側の他方側の計量コンベヤを駆動して、物品を待機状態の前記集合コンベヤに搬出させた後、前記集合コンベヤを駆動して、集合コンベヤ上の物品を搬出する。
【0019】
この実施態様によると、組合せ演算によって適量組合せに選択された複数の計量コンベヤに、互いに対面する一対の計量コンベヤが含まれていない場合、つまり、適量組合せに選択された複数の計量コンベヤが、集合コンベヤの一方側にのみある場合や、適量組合せに選択された複数の計量コンベヤが、集合コンベヤを挟んで対面していない場合には、集合コンベヤの駆動を停止させた待機状態で、適量組合せに選択された計量コンベヤの全てが駆動され、計量コンベヤに載置された姿勢のまま、停止している集合コンベヤに送り込まれる。その後、集合コンベヤが駆動されて物品が搬出される。
【0020】
また、組合せ演算によって適量組合せに選択された複数の計量コンベヤに、互いに対面する一対の計量コンベヤが含まれている場合には、集合コンベヤの駆動を停止させた待機状態で、集合コンベヤの一方側に配置されている、適量組合せに選択された計量コンベヤを駆動して物品を集合コンベヤへ搬出した後、並列配置されている隣合う計量コンベヤの並列方向のピッチの半分のピッチ分、集合コンベヤを駆動させて搬出された物品の位置をずらす。次に、集合コンベヤを停止させた待機状態で、集合コンベヤの他方側に配置されている、適量組合せに選択された計量コンベヤを駆動して物品を集合コンベヤへ搬出する。
【0021】
これによって、互いに対面する一対の計量コンベヤの前記他方側の計量コンベヤから搬出される物品が、前記一方側の計量コンベヤから既に搬出されて位置が半ピッチ分ずらされた物品にぶつかることなく、集合コンベヤへ搬出される。その後、集合コンベヤを駆動させることで、適量組合せに選択された計量コンベヤの全ての物品を、集合コンベヤへ送り込まれた姿勢を維持したまま整列して搬出することができる。
【0022】
(5)本発明の一実施態様では、複数の前記計量コンベヤを、前記集合コンベヤの一方側に並列配置している。
【0023】
この実施態様によると、集合コンベヤを挟んで互い対面する計量コンベヤは存在しないので、対面する計量コンベヤから搬出された物品同士がぶつかって姿勢を崩すといったことはない。したがって、対面する計量コンベヤから搬出される物品同士がぶつかるのを避けるための搬出制御が不要となる。
【0024】
(6)本発明の更に他の実施態様では、前記適量組合せに選択された前記計量コンベヤの物品を搬出する搬出モードとして、第1搬出モードと第2搬出モードとを選択設定可能な設定操作部を備え、前記制御部は、前記設定操作部で前記第1搬出モードが設定されているときには、前記適量組合せに選択された前記計量コンベヤを駆動して前記物品を前記集合コンベヤへ搬出する間は、前記集合コンベヤの駆動を停止して待機させ、前記第2搬出モードが設定されているときには、前記適量組合せに選択された前記計量コンベヤを駆動すると共に、前記集合コンベヤを駆動する。
【0025】
この実施態様によると、細長い物品を計量処理する場合には、第1搬出モードを設定しておくことで所定の姿勢で物品の整列搬出を行うことができ、また、特に整列搬出を要しない物品を計量処理する場合には、第2搬出モードを選択設定しておくことで、計量コンベヤと集合コンベヤとを共に駆動して速やかな搬出を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
このように、本発明に係る組合せ秤によれば、特殊な構造の集合コンベヤを必要とすることなく、細長い物品を、損傷なく整列させて効率よく搬出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る組合せ秤の斜視図である。
【
図5】
図5は搬出処理の動作の一例を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は搬出処理の他の例の動作の一例を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8は
図7に続く動作の一例を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は搬出処理の他の例のフローチャートである。
【
図11】
図11は本発明の他の実施形態に係る組合せ秤を模式的に示す平面図である。
【
図12】
図12は本発明の他の実施形態に係る組合せ秤の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係る組合せ秤1の斜視図であり、
図2はその平面図であり、
図3はその正面図である。
【0030】
この組合せ秤1は、作業者が、計量対象の物品を手作業で供給し、組合せ計量された物品を、自動的に搬出する半自動式の組合せ秤である。
【0031】
組合せ秤1は、物品を
図2に示される一定方向Xへ水平搬送するベルトコンベヤからなる集合コンベヤ2と、この集合コンベヤヤ2を挟むようにその両側に並列配備され、集合コンベヤ2の搬送方向Xと直交する方向Yに、載置された物品を搬送する複数台(この例では、片側7台、全14台)のベルトコンベヤを有する計量コンベヤ3と、運転制御用パラメータの設定や作動状況の表示などを行うタッチパネル式の操作設定表示器4と、これらを支持する基台5を備えている。操作設定表示器4は、後述の搬出モードを設定する設定操作部としての機能を有する。
【0032】
基台5の上部には、集合コンベヤ2の両側に複数台の重量計測部6が、集合コンベヤ2に沿って並列設置され、各重量計測部6に各計量コンベヤ3がそれぞれ脱着可能に搭載支持されている。物品を載置した計量コンベヤ3全体の重量が、重量計測部6に組み込まれたロードセルなどの後述の重量センサ7で検出されて計量される。
【0033】
集合コンベヤ2のコンベヤベルトは、計量コンベヤ3からの物品が集合コンベヤ2へ円滑に移載できるように、物品を載置する外周搬送面が滑性の高いものであるのが好ましい。また、この集合コンベヤ2の両側端部には、ガイド8が縦壁状に立設されており、計量コンベヤ2から送り込まれた物品の先端部をガイド8で受け止め、物品の先端位置がずれないようにしている。
【0034】
14台の計量コンベヤ3は、集合コンベヤ2を挟んで各一対が互いに対面するようにそれぞれ配置されている。
図2では、各計量コンベヤ3には、配置位置に応じてそれぞれを特定するための下付き文字を付して示している。この例では、集合コンベヤ2を挟んで一方側に位置する7台の計量コンベヤ3
1~3
7がA列に属し、他方側に位置する7台の計量コンベヤ3
8~3
14がB列に属する。
【0035】
集合コンベヤ2の一方側に配置されたA列の計量コンベヤ3、及び、集合コンベヤ2の他方側に配置されたB列の計量コンベヤ3の外側下方には、電源部や制御部などを収容した制御ボックス9がそれぞれ配備されて基台5に支持されている。制御ボックス9の上部には、制御ボックス9上部を上方及び外側方から覆う前後に長い保護カバー10が配備され、作業者が計量コンベヤ3の搬送始端部や、その駆動部に不用意に接近して接触するのを阻止するようになっている。
【0036】
保護カバー10の上面には、各計量コンベヤ3にそれぞれ対応して表示灯11が装備されていると共に、運転を緊急停止するための非常停止ボタン12が装備されている。表示灯11は、例えば、計量コンベヤ3上に供給された物品が、適量重量範囲でないことを作業者に報知して、物品の交換を促す場合などに使用される。
【0037】
図4は、この実施形態の組合せ秤1の制御ブロック図である。
【0038】
この組合せ秤1は、各計量コンベヤ31~314及び集合コンベヤ2をそれぞれ駆動する第1,第2コンベヤ駆動回路部14,15、各表示灯11を駆動する表示灯駆動回路部16、A/D変換部7、各部を制御する制御部18及びI/O回路部19等を備えている。
【0039】
各計量コンベヤ31~314は、上記のようにロードセル等の重量センサ7によって支持されており、これら重量センサ7によって計量コンベヤ31~314の重量が検出され、その検出信号(アナログ荷重信号)は、上記A/D変換部7でデジタル荷重信号に変換され、制御部18へ送られる。
【0040】
制御部18は、CPU等からなる演算制御部20と、RAM及びROM等のメモリからなる記憶部21とを有している。記憶部21には、運転用プログラム、動作パラメータのデータ、計量データ等が記憶される。
【0041】
制御部18は、演算制御部20が記憶部21に記憶されている運転用プログラムを実行することにより、組合せ秤1の全体の制御を行うと共に、組合せ演算等の処理を行う。
【0042】
制御部18は、第1コンベヤ駆動回路部14を介して各計量コンベヤ31~314の駆動を制御し、第2コンベヤ駆動回路部15を介して集合コンベヤ2の駆動を制御する、すなわち、物品の搬出制御を行う。また、制御部18は、I/O回路部19を介して外部装置との信号授受を行う。
【0043】
運転に際しては、A列及びB列の2列に配備された各計量コンベヤ2群の各列A,Bの前にそれぞれ立った2名の各作業者が、停止している空の各計量コンベヤ3に物品を手作業でそれぞれ載置する。制御部18は、計量コンベヤ3の物品の重量を組合せた合計重量である組合せ重量が、目標組合せ重量に基づく所定重量範囲内となる計量コンベヤ3の組合せを、物品を搬出すべき計量コンベヤ3の組合せである適量組合せとして選択する組合せ演算を行う。制御部18は、組合せ演算によって選択された適量組合せの計量コンベヤ3から物品を集合コンベヤ2へそれぞれ搬出する。集合コンベヤ2へ搬出された所定重量範囲内の物品は、搬送されて集合コンベヤ2の終端から搬出されて、袋詰め工程などの次の工程に送り込まれる。
【0044】
この実施形態の組合せ秤は、アスパラガス等の細長い物品を計量搬出するに際し、その姿勢を揃えて整列搬出するようにしており、次の袋詰め工程などで物品の向きを揃えて整列させるのを不要としている。
【0045】
図5は、物品の姿勢を揃えて搬出する整列搬出モードにおける搬出動作の一例を摸式的に示す平面図である。この
図5及び後述の
図7,
図8において、計量コンベヤ3
1~3
14に載置された物品wの内、適量組合せに選択された物品wを塗りつぶして表示し、適量組合せに選択されていないものと区別している。また、物品wは、例えば、アスパラガスであり、向きが分かるように、アスパラガスの一端側の穂先を先細りの形状で示している。
【0046】
なお、運転に先だって、作業者は、操作設定表示器4を用いて第1搬出モードである整列搬出モードと、第2搬出モードである通常搬出モードとのいずれかを予め選択設定する。計量対象物品が、アスパラガスのような細長い物品であるときには、整列搬出が必要であるので、操作設定表示器4を操作して整列搬出モードを設定する。
【0047】
整列搬出モードが設定されて、組合せ運転が開始されると、作業者は、
図5(a)に示すように、停止している空の計量コンベヤ3へ物品wの向きを揃えて載置する。
【0048】
このとき、アスパラガスのような両端部の形状が異なる細長い物品wでは、集合コンベヤ2の一方側のA列の計量コンベヤ31~37へ載置する物品の向きと、集合コンベヤ2の他方側のB列の計量コンベヤ38~314へ載置する物品の向きを逆にしておく。すなわち、穂先が先細りのアスパラガスの場合、A列の計量コンベヤ31~37へは先細りの穂先を集合コンベヤ2側に向けて載置し、B列の計量コンベヤ38~314へはアスパラガスの茎の根元を集合コンベヤ2側に向けて載置することで、集合コンベヤ2に搬出した物品wの穂先が同じ向きになるよう整列させることができる。
【0049】
制御部18は、計量コンベヤ3に載置された物品wの重量を組合せた合計重量である組合せ重量が、目標組合せ重量に基づく所定重量範囲内となる計量コンベヤ3の組合せを、物品を搬出すべき計量コンベヤ3の組合せである適量組合せとして選択する組合せ演算を行う。
図5の例では、同図(a)に示すように、計量コンベヤ3
2、3
5、3
8、3
10が適量組合せに選択されている。
【0050】
制御部18は、集合コンベヤ2を停止させた待機状態で、適量組合せに選択された計量コンベヤ32、35、38、310の物品wを、集合コンベヤ2へ搬出するために、計量コンベヤ32、35、38、310を一定時間に亘って駆動する。
【0051】
このように集合コンベヤ2の駆動を停止させた待機状態で、計量コンベヤ3
2、3
5、3
8、3
10を駆動するので、
図5(b),(c)に示されるように、集合コンベヤ2には、物品wが、計量コンベヤ3に載置されたままの向きを揃えた姿勢、
図5の例では、アスパラガスの先細りの穂先を
図5の上方へ向けた姿勢で移載される。
【0052】
制御部18は、計量コンベヤ3
2、3
5、3
8、3
10を一定時間駆動して物品wの集合コンベヤ2への搬出が終了すると、計量コンベヤ3の駆動を停止する。その後、制御部18は、集合コンベヤ2を、一定時間駆動して、
図5(c)に示すように、物品wを、向きが揃った姿勢を維持したまま整列搬出する。
【0053】
図6は、この整列搬出モードのフローチャートである。
【0054】
組合せ運転が開始されると(ステップs1)、作業者によって、停止している空の計量コンベヤ3に手作業で物品が載置される(ステップs2)。
【0055】
計量コンベヤ3に載置された物品の重量がそれぞれ重量センサ7で計測され、A/D変換され(ステップs3)、更にフィルタ処理されて(ステップs4)、重量値が取り込まれて確定する(ステップs5)。
【0056】
確定した計量コンベヤ3の物品の重量値に基づいて組合せ演算を行って、所定重量範囲内となる計量コンベヤ3の適量組合せが在るか否か、すなわち、組合せが成立したか否かを判断し(ステップs6)、成立しなかったときには、ステップs3に戻り、成立したときには、ステップs7に移る。
【0057】
ステップs7では、整列搬出モードが設定されているか否かを判断し、整列搬出モードが設定されているときには、集合コンベヤ2を停止させた待機状態で、適量組合せに選択された計量コンベヤ3の駆動を開始して物品を集合コンベヤ2へ搬出し(ステップs8)、物品の搬出に必要な設定時間が経過すると計量コンベヤ3の駆動を停止し(ステップs9)、ステップs10に移る。ステップs10では、集合コンベヤ2へ搬出された物品が静止して安定するのに必要な設定された待機時間だけ集合コンベヤ2を停止させた状態で待機し、ステップs11に移る。なお、姿勢が安定しやすい物品においては、この待機時間を省略してもよい。
【0058】
ステップs11では、集合コンベヤ2の駆動を開始し、搬出に必要な設定時間が経過すると、集合コンベヤ2を停止し(ステップs12)、物品の搬出動作が終了する(ステップs13)。
【0059】
上記ステップs7で、整列搬出モードが設定されていないときには、ステップs14に移り、第2搬出モードである通常搬出モードであるとして、適量組合せに選択された計量コンベヤ3及び集合コンベヤ2の駆動を開始し(ステップs14)、物品を集合コンベヤ2へ搬出するのに必要な設定時間が経過すると、計量コンベヤ3の駆動を停止し(ステップs15)、次いで、集合コンベヤ2が物品を搬出するのに必要な設定時間が経過すると、集合コンベヤ2の駆動を停止し(ステップs16)、これによって、整列を伴わない通常の搬出モードでの物品の搬出動作が終了する(ステップs17)。
【0060】
このように、通常搬出モードでは、計量コンベヤ3と集合コンベヤ2の駆動を、時間差なく開始するので、1回あたりの物品の搬出処理時間が、上記した整列搬出モードに比べて短いものになる。
【0061】
以上のように本実施形態によれば、アスパラガスのような細長い物品を、例えば、その長手方向が計量コンベヤ3の搬送方向に沿う姿勢で計量コンベヤ3に手作業で載置することで、組合せ演算によって適量組合せに選択された計量コンベヤ3の物品は、載置された姿勢のまま、停止している集合コンベヤ2に送り込まれる。これによって、物品は、その長手方向を集合コンベヤ2の幅方向に沿わせた姿勢で集合コンベヤ2に移載され、その後の集合コンベヤ2の駆動によって、送り込まれた時の姿勢を維持したまま整列して、次の袋詰め工程などへ搬出される。
【0062】
したがって、次の袋詰め工程などでは、物品の向きを揃えて整列させる必要がなく、円滑に袋詰めなどを行うことができる。
【0063】
また、計量コンベヤと集合コンベヤとの搬送速度差を用いて、細長い物品の姿勢を強制的に変更修正する構成のように、計量コンベヤから集合コンベヤへの移載時に物品を引き摺ることがなく、物品の表面が損傷することもない。
【0064】
また、集合コンベヤの搬送面をV形のような特殊な構造にする必要もない。
【0065】
整列搬出モードは、通常搬出モードに比べて、上記のように搬出処理時間が長くなるが、次の袋詰め工程などで物品の向きを揃えて整列させる必要がないので、物品の搬出及び袋詰めなどを含めた全体の処理時間を短縮することが可能となる。
【0066】
この実施形態の組合せ秤1は、上記
図2に示されるように、14台の計量コンベヤ3は、集合コンベヤ2を挟んで各一対が互いに対面するように配置されており、一方側にA列の7台の計量コンベヤ3
1~3
7が配置され、他方側にB列の7台の計量コンベヤ3
8~3
14が配置されている。
【0067】
このように各一対の計量コンベヤ31,38;32,39;33,310;34,311;35,312;36,313;37,314が、集合コンベヤ2を挟んで互いに対面しているので、少なくともいずれか一対の計量コンベヤ3が、適量組合せに選択されて、物品を集合コンベヤ2に搬出すると、搬出された物品同士がぶつかって向きの揃った姿勢が崩される場合がある。
【0068】
そこで、互いに対面する一対の計量コンベヤ3が、適量組合せに選択された場合に、一対の計量コンベヤ3から集合コンベヤ2へ搬出される物品が、ぶつかるのを防止するために、次のような半ピッチ整列搬出モードを実行するようにしてもよい。
【0069】
図7及び
図8は、この半ピッチ整列搬出モードの動作の一例を模式的に示す
図5に対応する平面図である。
【0070】
この例では、
図7(a)に示すように、適量組合せに選択された4台の計量コンベヤ3
3、3
5、3
10、3
11の内、A列の計量コンベヤ3
3とB列の計量コンベヤ3
10とが互いに対面する一対の計量コンベヤを構成している。
【0071】
この半ピッチ整列搬出モードでは、互いに対面する一対の計量コンベヤ3
3,3
10が適量組合せに選択されると、集合コンベヤ2を停止させた待機状態で、A列及びB列の一方の列、この例ではA列の計量コンベヤ3
3,3
10を一定時間駆動して、
図7(b),(c)に示すように、物品wを集合コンベヤ2に搬出する。これによって、集合コンベヤ2に物品wが姿勢を乱すことなく移載される。その後、
図8(d)に示すように、集合コンベヤ2を、並列配置された隣合う計量コンベヤ3の配置間隔である1ピッチ(1p)の半分の半ピッチ(p/2)分、搬送方向へ駆動して停止させる。
【0072】
これによって、A列の計量コンベヤ33,310から搬出された物品wの位置が、集合コンベヤ2の搬送方向に沿って半ピッチ(p/2)ずれることになる。
【0073】
次に、集合コンベヤ2を停止させた待機状態で、適量組合せに選択されたB列の計量コンベヤ3
10,3
11を一定時間駆動して、
図8(e),(f)に示すように、物品wを集合コンベヤ2に搬出する。A列の計量コンベヤ3
3,3
10から集合コンベヤ2へ搬出された物品wは、半ピッチ(p/2)ずれた位置にあるので、B列の計量コンベヤ3
10,3
11から搬出される物品wが、集合コンベヤ2上に既に搬出されている物品wにぶつかって姿勢を崩すことなく、所定の姿勢のまま集合コンベヤ2へ移載される。
【0074】
その後、
図8(f)に示すように、集合コンベヤ2を一定時間駆動して、向きが揃った姿勢で移載された物品wを、その姿勢を維持したまま集合コンベヤ2の終端から整列搬出する。
【0075】
図9及び
図10は、上記の整列搬出モードに、半ピッチ整列搬出モードを組合せた搬出制御のフローチャートである。
【0076】
先ず、組合せ運転が開始されると(ステップs1)、作業者によって、停止している空の計量コンベヤ3に手作業で物品が載置される(ステップs2)。
【0077】
計量コンベヤ3に載置された物品の重量がそれぞれ重量センサ7で計測され、A/D変換され(ステップs3)、更にフィルタ処理されて(ステップs4)、重量値が取り込まれて確定する(ステップs5)。
【0078】
確定した計量コンベヤ3の物品の重量値に基づいて組合せ演算を行って、所定重量範囲内となる計量コンベヤ3の適量組合せが在るか否か、すなわち、組合せが成立したか否かを判断し(ステップs6)、成立しなかったときには、ステップs3に戻り、成立したときには、ステップs7に移る。
【0079】
ステップs7では、整列搬出モードが設定されているか否かを判断し、整列搬出モードが設定されているときには、適量組合せに選択された計量コンベヤ3に、互いに対面する一対の計量コンベヤ3が含まれているかの検索を開始する(ステップs8)。
【0080】
具体的には、計量コンベヤ3のNo.を、初期値i=1とし、No.1の計量コンベヤ3
1と、No.(i=i+7)の計量コンベヤ3
8とが、同時に適量組合せに選択されているか否かを判断し(ステップs9)、選択されているときには、
図10のステップs19に移り、選択されていないときには、ステップs10に移る。ステップs10では、iをインクリメントとし、i=8になったか否か、すなわち、全ての計量コンベヤ3について検索が完了したか否かを判断し(ステップs11)、完了していないときには、ステップs9に戻り、完了したときには、
図10のステップs12に移る。
【0081】
図10のステップs12では、適量組合せに選択された計量コンベヤ3に、互いに対面する一対の計量コンベヤ3は検出されなかったとして、ステップs13に移る。ステップs13では、集合コンベヤ2を停止した待機状態で、適量組合せに選択された計量コンベヤ3の駆動を開始して物品を集合コンベヤ2へ搬送し、物品の搬出に必要な設定時間が経過すると、計量コンベヤ3の駆動を停止し(ステップs14)、ステップs15に移る。ステップs15では、集合コンベヤ2へ搬出された物品が静止して安定するのに必要な設定された待機時間だけ集合コンベヤ2を停止させた状態で待機し、ステップs16に移る。なお、姿勢が安定しやすい物品においては、この待機時間を省略してもよい。
【0082】
ステップs16では、集合コンベヤ2の駆動を開始し、搬出に必要な設定時間が経過すると、集合コンベヤ2を停止し(ステップs17)、物品の搬出動作が終了する(ステップs18)。
【0083】
図9の上記ステップs9において、互いに対面する計量コンベヤ3が同時に適量組合せに選択されているときには、上記のように
図10のステップs19に移る。このステップs19では、適量組合せに選択された計量コンベヤ3には、互いに対面する計量コンベヤ3が含まれているので、半ピッチ整列搬出モードを行うために、ステップs20に移る。ステップs20では、集合コンベヤ2を停止させた待機状態で、適量組合せに選択された複数の計量コンベヤ3の内、A列の計量コンベヤ3だけ駆動を開始し、物品を集合コンベヤ2へ搬送し、物品の搬出に必要な設定時間が経過すると計量コンベヤ3の駆動を停止し(ステップs21)、ステップs22に移る。ステップs22では、集合コンベヤ2へ搬出された物品が静止して安定するのに必要な設定された待機時間だけ集合コンベヤ2を停止させた状態で待機し、ステップs23に移る。
【0084】
ステップs23では、集合コンベヤ2を隣り合う計量コンベヤ3のピッチpの半分の半ピッチ(p/2)だけ駆動して停止し、ステップs24に移る。ステップs24では、集合コンベヤ2を停止させた待機状態で、適量組合せに選択された複数の計量コンベヤ3の内、B列の計量コンベヤ3だけ駆動を開始し、物品を集合コンベヤ2へ搬送し、物品の搬出に必要な設定時間が経過すると計量コンベヤ3の駆動を停止し(ステップs25)、ステップs26に移る。ステップs26では、集合コンベヤ2へ搬出された物品が静止して安定するのに必要な設定された待機時間だけ集合コンベヤ2を停止させた状態で待機し、ステップs27に移る。
【0085】
ステップs27では、集合コンベヤ2の駆動を開始し、搬出に必要な設定時間が経過すると、集合コンベヤ2を停止し(ステップs28)、物品の搬出動作が終了する(ステップs29)。
【0086】
図9の上記ステップs7で、整列搬出モードが設定されていないときには、ステップs30に移り、第2搬出モードである通常搬出モードであるとして、適量組合せに選択された計量コンベヤ3及び集合コンベヤ2の駆動を共に開始し、物品を集合コンベヤ2へ搬出するのに必要な設定時間が経過すると、計量コンベヤ3の駆動を停止し(ステップs31)、次いで、集合コンベヤ2が物品を搬出するのに必要な設定時間が経過すると、集合コンベヤ2の駆動を停止し(ステップs32)、整列搬出を伴わない通常の搬出モードでの物品の搬出動作が終了する(ステップs33)。
【0087】
上記実施形態では、
図2に示すように、集合コンベヤ2の両側に、複数の計量コンベヤ3
1~3
7,3
8~3
14をそれぞれ並列配置したが、本発明の他の実施形態として、例えば、
図12の平面図に示すように、複数の計量コンベヤ3
1~3
10を、集合コンベヤ2の一方側にのみ並列配置してもよい。
【0088】
この実施形態では、集合コンベヤ2を挟んで計量コンベヤが対面することがないので、上記の半ピッチ整列搬出モードを実行する必要がない。
【0089】
[その他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
(1)集合コンベヤ2の両側部に立設されるガイド8を、物品の長さに対応して集合コンベヤ2の幅方向に位置調節できるように構成し、好適な位置で被計量物の先端を受け止めるようにしてもよい。
【0090】
(2)集合コンベヤ2の高さを調節して、計量コンベヤ3から集合コンベヤ2への落差を調節可能に構成しておくと、物品を損傷することなく、かつ、円滑に集合コンベヤ2に送り込むことができる。
【0091】
(3)
図11に示すように、集合コンベヤ2の両側に並列配備される2列の計量コンベヤ3を、計量コンベヤ3の並列ピッチpの半分p/2だけずらして配置すれば、集合コンベヤ2の両側から同時に適量組合せの計量コンベヤ3から被計量物wが送り込まれても、互いにぶつかることなく集合コンベヤ2に移載することが可能となり、上記した半ピッチ整列搬出モードを不要とすることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 組合せ秤
2 集合コンベヤ
3,31~314 計量コンベヤ
4 操作設定表示器
8 ガイド
18 制御部
w 物品