(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】圧縮ばね及び容器用吐出装置
(51)【国際特許分類】
F16F 1/373 20060101AFI20240430BHJP
A47K 5/12 20060101ALI20240430BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20240430BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20240430BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
F16F1/373
A47K5/12 A
B05B11/00 101M
B65D47/34 110
F04B9/14 B
(21)【出願番号】P 2020217915
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和寿
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-285423(JP,A)
【文献】特開平09-144794(JP,A)
【文献】特開平08-182946(JP,A)
【文献】特開平09-303453(JP,A)
【文献】国際公開第2007/018099(WO,A1)
【文献】特開平10-047400(JP,A)
【文献】特開2000-213581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/373
B65D 47/34
A47K 5/12
B05B 11/00
F04B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのユニット構造を含み、
前記ユニット構造が、中心軸線に沿う軸方向に互いに離間するとともに各々が前記中心軸線を中心とする環状をなす2つの環状部材と、前記中心軸線を周回する周方向に位相をずらして設けられる複数のばね部材と、を有するとともに、各々の前記ばね部材が、前記軸方向に沿って前記2つの環状部材の間に位置する領域内で、前記2つの環状部材を連ねるようにこれらの間を前記周方向にずれた2つの端部間で線状に延び、前記各々のばね部材の各々の前記端部が、前記中心軸線に直交する直線に沿う径方向に見て、前記ばね部材が前記端部間でらせん状に延びると仮定した場合の第1角度よりも大きい第2角度で前記環状部材に連なる構造であ
り、
前記各々のばね部材が、前記各々の端部からもう一方の前記端部に向けて前記もう一方の端部に近づく一方側のみに湾曲して延びる2つの湾曲部と、前記各々の湾曲部から前記もう一方の端部に向けて他方側のみに湾曲して延びる2つの逆湾曲部と、を有することを特徴とする圧縮ばね。
【請求項2】
前記各々のばね部材において、前記2つの湾曲部を連ねる中間部が、前記ユニット構造の前記軸方向の圧縮時に、少なくとも両方の前記湾曲部が反対側の前記環状部材に当接するまでは、いずれの前記環状部材にも当接しない、請求項
1に記載の圧縮ばね。
【請求項3】
前記各々のばね部材において、前記中間部が、展開図で見た時に、一方の前記湾曲部の前記一方側の外縁の根本から他方の前記湾曲部の前記他方側の外縁に接するように引いた直線と、前記他方の湾曲部の前記一方側の外縁の根本から前記一方の湾曲部の前記他方側の外縁に接するように引いた直線と、の間の領域に収まる、請求項
2に記載の圧縮ばね。
【請求項4】
前記複数のばね部材が、前記ユニット構造の前記軸方向の圧縮時に互いに干渉しない、請求項1~
3の何れか1項に記載の圧縮ばね。
【請求項5】
少なくとも1つのユニット対構造を含み、
前記ユニット対構造が、前記複数のばね部材の巻き方向が異なる他は同一の構造である一対の前記ユニット構造からなるとともに、前記一対のユニット構造が互いに前記軸方向に隣接して一体に連なる構造である、請求項1~
4の何れか1項に記載の圧縮ばね。
【請求項6】
少なくとも1つのユニット対連続構造を含み、
前記ユニット対連続構造が、複数の前記ユニット対構造からなるとともに、前記複数のユニット対構造が前記軸方向に並んで一体に連なる構造である、請求項
5に記載の圧縮ばね。
【請求項7】
合成樹脂製である、請求項1~
6の何れか1項に記載の圧縮ばね。
【請求項8】
請求項1~
7の何れか1項に記載の圧縮ばねと、
前記圧縮ばねを圧縮する操作によって容器の内容物を吐出させる操作部と、を有することを特徴とする容器用吐出装置。
【請求項9】
前記操作部が伸縮構造を含み、
前記伸縮構造が、前記圧縮ばねを内蔵するとともに、前記操作とその解除によって前記軸方向に伸縮する構造である、請求項
8に記載の容器用吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮ばね及び容器用吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つのユニット構造を含み、ユニット構造が、軸方向に互いに離間するとともに各々が環状をなす2つの環状部材と、周方向に位相をずらして設けられる複数のばね部材と、を有するとともに、各々のばね部材が、軸方向に沿って2つの環状部材の間に位置する領域内で、2つの環状部材を連ねるようにこれらの間をらせん状に延びる構造である、圧縮ばねが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような圧縮ばねは、伸縮時に各々のばね部材の両端部に荷重が集中するため、両端部が塑性変形しやすく、それにより、弾性力の低下を生じやすい。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、弾性力の低下を生じにくい圧縮ばねと、操作部の反発力の低下を生じにくい容器用吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の圧縮ばねは、少なくとも1つのユニット構造を含み、前記ユニット構造が、中心軸線に沿う軸方向に互いに離間するとともに各々が前記中心軸線を中心とする環状をなす2つの環状部材と、前記中心軸線を周回する周方向に位相をずらして設けられる複数のばね部材と、を有するとともに、各々の前記ばね部材が、前記軸方向に沿って前記2つの環状部材の間に位置する領域内で、前記2つの環状部材を連ねるようにこれらの間を前記周方向にずれた2つの端部間で線状に延び、前記各々のばね部材の各々の前記端部が、前記中心軸線に直交する直線に沿う径方向に見て、前記ばね部材が前記端部間でらせん状に延びると仮定した場合の第1角度よりも大きい第2角度で前記環状部材に連なる構造であり、前記各々のばね部材が、前記各々の端部からもう一方の前記端部に向けて前記もう一方の端部に近づく一方側のみに湾曲して延びる2つの湾曲部と、前記各々の湾曲部から前記もう一方の端部に向けて他方側のみに湾曲して延びる2つの逆湾曲部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の圧縮ばねは、上記構成において、前記各々のばね部材において、前記2つの湾曲部を連ねる中間部が、前記ユニット構造の前記軸方向の圧縮時に、少なくとも両方の前記湾曲部が反対側の前記環状部材に当接するまでは、いずれの前記環状部材にも当接しないのが好ましい。
【0010】
本発明の圧縮ばねは、上記構成において、前記各々のばね部材において、前記中間部が、展開図で見た時に、一方の前記湾曲部の前記一方側の外縁の根本から他方の前記湾曲部の前記他方側の外縁に接するように引いた直線と、前記他方の湾曲部の前記一方側の外縁の根本から前記一方の湾曲部の前記他方側の外縁に接するように引いた直線と、の間の領域に収まるのが好ましい。
【0011】
本発明の圧縮ばねは、上記構成において、前記複数のばね部材が、前記ユニット構造の前記軸方向の圧縮時に互いに干渉しないのが好ましい。
【0012】
本発明の圧縮ばねは、上記構成において、少なくとも1つのユニット対構造を含み、前記ユニット対構造が、前記複数のばね部材の巻き方向が異なる他は同一の構造である一対の前記ユニット構造からなるとともに、前記一対のユニット構造が互いに前記軸方向に隣接して一体に連なる構造であるのが好ましい。
【0013】
本発明の圧縮ばねは、上記構成において、少なくとも1つのユニット対連続構造を含み、前記ユニット対連続構造が、複数の前記ユニット対構造からなるとともに、前記複数のユニット対構造が前記軸方向に並んで一体に連なる構造であるのが好ましい。
【0014】
本発明の圧縮ばねは、上記構成において、合成樹脂製であるのが好ましい。
【0015】
本発明の容器用吐出装置は、前記圧縮ばねと、前記圧縮ばねを圧縮する操作によって容器の内容物を吐出させる操作部と、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の容器用吐出装置は、上記構成において、前記操作部が伸縮構造を含み、前記伸縮構造が、前記圧縮ばねを内蔵するとともに、前記操作とその解除によって前記軸方向に伸縮する構造であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、弾性力の低下を生じにくい圧縮ばねと、操作部の反発力の低下を生じにくい容器用吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)は、本発明の第1実施形態である圧縮ばねを非圧縮状態で示す側面図であり、(b)は、(a)に示す圧縮ばねを圧縮状態で示す側面図である。
【
図2】
図1(a)に示す状態の圧縮ばねの展開図である。
【
図3】
図2に示すユニット構造の一部を示す拡大図である。
【
図4】(a)は、
図2に示すユニット対構造の一部を示す拡大図であり、(b)は、(a)に示す状態から圧縮した時の状態を示す拡大図であり、(c)は、(b)に示す状態からさらに圧縮した時の状態を示す拡大図である。
【
図5】本発明の第2実施形態である圧縮ばねのユニット対構造の一部を非圧縮状態で示す展開図である。
【
図6】(a)は、本発明の第3実施形態である圧縮ばねのユニット対構造の一部を非圧縮状態で示す展開図であり、(b)は、(a)に示す状態から圧縮した時の状態を示す展開図であり、(c)は、(b)に示す状態からさらに圧縮した時の状態を示す展開図である。
【
図7】本発明の一実施形態である容器用吐出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態を例示説明する。
【0020】
図1~
図2に示す本発明の第1実施形態である圧縮ばね1は、3つのユニット対構造3からなるユニット対連続構造4を含む合成樹脂製のばねである。各々のユニット対構造3は、巻き方向が異なる一対のユニット構造2からなっている。各々のユニット構造2は、3つのばね部材5と、2つの環状部材6と、を有している。なお、
図1~
図2において、1つのユニット構造2のみについて、3つのばね部材5と、2つの環状部材6と、に符号を付している。
【0021】
本明細書において、中心軸線Oに沿う方向を軸方向といい、中心軸線Oを周回する方向を周方向といい、中心軸線Oに直交する直線に沿う方向を径方向という。
【0022】
図1~
図3に示すように、各々のユニット構造2は、軸方向に互いに離間するとともに各々が中心軸線Oを中心とする環状をなす2つの環状部材6と、周方向に位相をずらして設けられる複数のばね部材5と、を有するとともに、各々のばね部材が5、軸方向に沿って2つの環状部材6の間に位置する領域内で、2つの環状部材6を連ねるようにこれらの間を周方向にずれた2つの端部5a間で線状に延び、各々のばね部材5の各々の端部5aが、径方向に見て、ばね部材5が端部5a間でらせん状に延びると仮定した場合の第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2で環状部材6に連なる構造である。なお、各々のユニット構造2に含まれるばね部材5の個数は、上述したように本実施形態では3つであるが、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。以下に、各々のユニット構造2の詳細構造を説明する。
【0023】
各々の環状部材6は、円環形平板状をなしている。2つの環状部材6は、形状及び大きさがそれぞれ互いに同一である。複数のばね部材5は、形状及び大きさがそれぞれ互いに同一である。複数のばね部材5は、ユニット構造2の軸方向の圧縮時に互いに干渉しないように配置されている。
【0024】
図3に示すように、各々のばね部材5は、各々の端部5aからもう一方の端部5aに向けて前記もう一方の5a端部に近づく一方側のみに円弧状に湾曲して延びる2つの湾曲部5bを有している。2つの湾曲部5bは、形状及び大きさがそれぞれ互いに同一である。
【0025】
各々のばね部材5は、各々の湾曲部5bから前記もう一方の端部5aに向けて他方側のみに円弧状に湾曲して延びる2つの逆湾曲部5cを有している。2つの逆湾曲部5cは、形状及び大きさがそれぞれ互いに同一である。
【0026】
各々のばね部材5において、2つの湾曲部5bを連ねる中間部5dは、2つの逆湾曲部5cと、これらを連ねる直線状の逆湾曲部連結部5eと、からなっている。
【0027】
各々のばね部材5において、中間部5dは、
図3に示すように展開図で見た時に、一方の湾曲部5bの前記一方側の外縁の根本から他方の湾曲部5bの前記他方側の外縁に接するように引いた直線Lと、他方の湾曲部5bの前記一方側の外縁の根本から一方の湾曲部5bの前記他方側の外縁に接するように引いた直線Lと、の間の領域である特定領域Rに収まるように構成されている。したがって、中間部5dは、ユニット構造2の軸方向の圧縮時に、少なくとも両方の湾曲部5bが反対側の環状部材6に当接するまでは、いずれの環状部材6にも当接しない(
図4(a)~(c)参照)。
【0028】
各々のばね部材5において、中間部5dは、2つの前記直線Lに接することなく特定領域Rに収まっている。しかし、
図5に示す本発明の第2実施形態のように、各々のばね部材5において、中間部5dは、2つの前記直線Lに接して特定領域Rに収まる構成であってもよい。第2実施形態では、中間部5dは、各々の逆湾曲部5cにおいて前記直線Lに接している。第2実施形態でも、中間部5dは、ユニット構造2の軸方向の圧縮時に、少なくとも両方の湾曲部5bが反対側の環状部材6に当接するまでは、いずれの環状部材6にも当接しない。
【0029】
図1~
図2に示すように、各々のユニット対構造3は、複数のばね部材5の巻き方向が異なる他は同一の構造である一対のユニット構造2からなるとともに、一対のユニット構造2が互いに軸方向に隣接して一体に連なる構造である。なお、「巻き方向が異なる」とは、一方のユニット構造2では各々のばね部材5が軸方向に右巻きであり、他方のユニット構造2では各々のばね部材5が軸方向に左巻きであることを意味している。
【0030】
各々のユニット対構造3は、軸方向中央を通るとともに中心軸線Oに垂直な平面について面対称な構造である。しかし、ユニット対構造3は、面対称な構造に限らない。つまり、各々のユニット対構造3において、一方のユニット構造2の向きを、他方のユニット構造2の向きから独立して、中心軸線Oの周りに変更することができる。
【0031】
ユニット対連続構造4は、複数のユニット対構造3からなるとともに、複数のユニット対構造3が軸方向に並んで一体に連なる構造である。なお、ユニット対連続構造4に含まれるユニット対構造3の個数は、上述したように本実施形態では3つであるが、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0032】
上述したように、各々のユニット構造2は、各々のばね部材5の各々の端部5aが、径方向に見て、ばね部材5が端部5a間でらせん状に延びると仮定した場合の第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2で環状部材6に連なる構造である。したがって、本実施形態によれば、伸縮時に各々のばね部材5の各々の端部5aに荷重が集中しにくくすることができるため、端部5aを塑性変形しにくくし、それにより、弾性力の低下を生じにくくすることができる。
【0033】
また、上述したように、各々のユニット構造2は、各々のばね部材5が2つの湾曲部5bを有する構造である。したがって、本実施形態によれば、各々のばね部材5の各々の端部5aへの荷重の集中をより一層抑制し、それにより、弾性力の低下をより一層生じにくくすることができる。
【0034】
また、各々のユニット構造2は、各々のばね部材5が2つの逆湾曲部5cを有する構造である。したがって、本実施形態によれば、2つの湾曲部5bをより長く設定することができるため、各々のばね部材5の各々の端部5aへの荷重の集中をより一層抑制し、それにより、弾性力の低下をより一層生じにくくすることができる。
【0035】
各々のユニット構造2は、各々のばね部材5において、中間部5dが、ユニット構造2の軸方向の圧縮時に、少なくとも両方の湾曲部5bが反対側の環状部材6に当接するまでは、いずれの環状部材6にも当接しない構造である。したがって、本実施形態によれば、各々のユニット構造2の伸縮ストローク量を確保しやすくすることができる。
【0036】
各々のユニット構造2は、複数のばね部材5が、ユニット構造2の軸方向の圧縮時に互いに干渉しない構造である。したがって、本実施形態によれば、各々のユニット構造2の伸縮ストローク量を確保しやすくすることができる。
【0037】
上述したように、各々のユニット対構造3は、複数のばね部材5の巻き方向が異なる他は同一の構造である一対のユニット構造2からなるとともに、一対のユニット構造2が互いに軸方向に隣接して一体に連なる構造である。したがって、各々のユニット対構造3は、
図1(b)に太線矢印で示すような軸方向の圧縮力を付与された時に、ユニット対構造3の軸方向中央に位置する環状部材6が、
図1(b)に白抜き矢印で示すように周方向に回転し、それにより、複数のばね部材5を径方向の代わりに周方向に広げさせることができる。したがって、本実施形態によれば、圧縮ばね1の圧縮時の径方向の広がりを抑制することができる。なお、各々のユニット対構造3は、軸方向中央を通るとともに中心軸線Oに垂直な平面について面対称な構造でなくても、このような効果を生じることができる。
【0038】
また、上述したように、ユニット対連続構造4は、複数のユニット対構造3からなるとともに、複数のユニット対構造3が軸方向に並んで一体に連なる構造である。したがって、本実施形態によれば、ユニット対構造3の複数分の大きな伸縮ストローク量を確保することができる。
【0039】
上述したように、圧縮ばね1は合成樹脂製である。したがって、本実施形態によれば、圧縮ばね1が合成樹脂製の装置で使用される場合のリサイクル性を高めることができる。
【0040】
なお、
図6に示す本発明の第3実施形態のように、各々のユニット構造2は、各々のばね部材5が、2つの湾曲部5bを連ねる中間部5dが2つの逆湾曲部5cを有さない構造であってもよい。第3実施形態では、各々のユニット構造2の各々のばね部材5の中間部5dは、直線状をなしている。
【0041】
図7に示すように、本発明の第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態に係る圧縮ばね1は、容器11の内容物を吐出可能な容器用吐出装置10などで使用することができる。
図7に示す本発明の一実施形態である容器用吐出装置10は、圧縮ばね1と、圧縮ばね1を軸方向(上述のとおり、中心軸線Oに沿う方向)に圧縮する操作(以下、圧縮操作ともいう)によって容器11の内容物を吐出させる操作部12と、を有している。
【0042】
容器用吐出装置10は、圧縮ばね1を含む全ての構成部品が合成樹脂製である。また、容器用吐出装置10は、操作部12が押し下げヘッド13を含む一般的な公知の押し下げヘッド式のポンプ装置である。
【0043】
操作部12は、伸縮構造12aを含んでいる。伸縮構造12aは、圧縮ばね1を内蔵するとともに、圧縮操作とその解除によって軸方向に伸縮する構造である。
【0044】
伸縮構造12aは、押し下げヘッド13と、押し下げヘッド13に一体に連結される中心軸線Oを中心とする筒状をなすステム14と、装着キャップ15と、装着キャップ15により容器11に固定されるステム抜け止め部材16と、からなっている。押し下げヘッド13は、ステム14よりも径方向外側に設けられるとともに中心軸線Oを中心とする円筒状をなす周壁13aを有している。装着キャップ15は、ステム14よりも径方向外側に設けられるとともに周壁13aを軸方向に案内可能な、中心軸線Oを中心とする円筒状をなす案内壁15aを有している。
【0045】
圧縮ばね1は、ステム14と、周壁13a及び案内壁15aと、で囲まれる環状空間S内に配置されている。圧縮ばね1は、押し下げヘッド13の下面と、ステム抜け止め部材16の上面と、によって軸方向に挟まれて保持されている。
【0046】
上述したように、容器用吐出装置10は、弾性力の低下を生じにくい圧縮ばね1を有している。したがって、本実施形態によれば、操作部12の反発力の低下を生じにくくすることができる。
【0047】
また、上述したように、伸縮構造12aは、圧縮時に径方向に広がりにくい圧縮ばね1を内蔵している。したがって、本実施形態によれば、小型化を容易に実現することができる。
【0048】
上述したように、容器用吐出装置10は、圧縮ばね1を含む全ての構成部品が合成樹脂製である。したがって、本実施形態によれば、容器用吐出装置10を分別することなくそのままリサイクル品として廃棄することができるので、優れたリサイクル性を実現することができる。
【0049】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0050】
したがって、前記実施形態の圧縮ばね1及び容器用吐出装置10は、例えば以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0051】
前記実施形態の圧縮ばね1は、少なくとも1つのユニット構造2を含み、ユニット構造2が、中心軸線Oに沿う軸方向に互いに離間するとともに各々が中心軸線Oを中心とする環状をなす2つの環状部材6と、中心軸線Oを周回する周方向に位相をずらして設けられる複数のばね部材5と、を有するとともに、各々のばね部材5が、軸方向に沿って2つの環状部材6の間に位置する領域内で、2つの環状部材6を連ねるようにこれらの間を周方向にずれた2つの端部5a間で線状に延び、各々のばね部材5の各々の端部5aが、中心軸線Oに直交する直線に沿う径方向に見て、ばね部材5が端部5a間でらせん状に延びると仮定した場合の第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2で環状部材6に連なる構造である限り、種々変更可能である。
【0052】
なお、圧縮ばね1は、各々のばね部材5が、各々の端部5aからもう一方の端部5aに向けて前記もう一方の端部5aに近づく一方側のみに湾曲して延びる2つの湾曲部5bを有するのが好ましい。
【0053】
また、圧縮ばね1は、各々のばね部材5が、各々の湾曲部5bから前記もう一方の端部5aに向けて他方側のみに湾曲して延びる2つの逆湾曲部5cを有するのが好ましい。
【0054】
圧縮ばね1は、各々のばね部材5において、2つの湾曲部5bを連ねる中間部5dが、ユニット構造2の軸方向の圧縮時に、少なくとも両方の湾曲部5bが反対側の環状部材6に当接するまでは、いずれの環状部材6にも当接しないのが好ましい。
【0055】
圧縮ばね1は、各々のばね部材5において、中間部5dが、展開図で見た時に、一方の湾曲部5bの前記一方側の外縁の根本から他方の湾曲部5bの前記他方側の外縁に接するように引いた直線Lと、他方の湾曲部5bの前記一方側の外縁の根本から一方の湾曲部5bの前記他方側の外縁に接するように引いた直線Lと、の間の領域(特定領域R)に収まるのが好ましい。
【0056】
圧縮ばね1は、複数のばね部材5が、ユニット構造2の軸方向の圧縮時に互いに干渉しないのが好ましい。
【0057】
圧縮ばね1は、少なくとも1つのユニット対構造3を含み、ユニット対構造3が、複数のばね部材5の巻き方向が異なる他は同一の構造である一対のユニット構造2からなるとともに、一対のユニット構造2が互いに軸方向に隣接して一体に連なる構造であるのが好ましい。
【0058】
圧縮ばね1は、少なくとも1つのユニット対連続構造4を含み、ユニット対連続構造4が、複数のユニット対構造3からなるとともに、複数のユニット対構造3が軸方向に並んで一体に連なる構造であるのが好ましい。
【0059】
圧縮ばね1は合成樹脂製であるのが好ましい。
【0060】
前記実施形態の容器用吐出装置10は、圧縮ばね1と、圧縮ばね1を圧縮する操作によって容器11の内容物を吐出させる操作部12と、を有する限り、種々変更可能である。
【0061】
なお、容器用吐出装置10は、操作部12が伸縮構造12aを含み、伸縮構造12aが、圧縮ばね1を内蔵するとともに、前記操作とその解除によって軸方向に伸縮する構造であるのが好ましい。
【0062】
また、容器用吐出装置10は、操作部12が押し下げヘッド13を含む、押し下げヘッド式のポンプ装置であるのが好ましい。
【0063】
容器用吐出装置10は、圧縮ばね1を含む全ての構成部品が合成樹脂製であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0064】
1 圧縮ばね
2 ユニット構造
3 ユニット対構造
4 ユニット対連続構造
5 ばね部材
5a ばね部材の端部
5b 湾曲部
5c 逆湾曲部
5d 中間部
5e 逆湾曲部連結部
6 環状部材
10 容器用吐出装置
11 容器
12 操作部
12a 伸縮構造
13 押し下げヘッド
13a 周壁
14 ステム
15 装着キャップ
15a 案内壁
16 ステム抜け止め部材
L 直線
O 中心軸線
R 特定領域
S 環状空間
θ1 第1角度
θ2 第2角度