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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】流路切替機構、及び、水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/086 20060101AFI20240430BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20240430BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20240430BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20240430BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20240430BHJP
   E03C 1/10 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
E03C1/086
A47K3/28
B05B1/18 101
C02F1/28 S
E03C1/042 B
E03C1/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021107516
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005531
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】313014077
【氏名又は名称】トクラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 建志
(72)【発明者】
【氏名】笠井 雄真
(72)【発明者】
【氏名】上川 秀哉
(72)【発明者】
【氏名】大橋 喜四郎
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-105788(JP,A)
【文献】特開2006-42993(JP,A)
【文献】特開平11-159645(JP,A)
【文献】特開2001-218691(JP,A)
【文献】特開2004-188245(JP,A)
【文献】特開2014-145411(JP,A)
【文献】特開2021-156303(JP,A)
【文献】実開昭62-99670(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0346255(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101961690(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/04-1/10
A47K 3/20-3/40
B05B 1/00-1/36
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水態様を切り替えるための流路切替機構であって、
第一対向面を有し、流体が流出する通水孔を前記第一対向面に1以上有する通水部と、
前記第一対向面に対向する第二対向面を有し、該第二対向面にある流路孔を含む流路を1以上有する流出流路部と、を備え、
前記通水孔と前記流路の少なくとも一方は、2以上あり、
本流路切替機構は、前記通水孔と前記流路孔とが第一の組合せにおいて合わせられる第一通水位置と、前記通水孔と前記流路孔とが第二の組合せにおいて合わせられる第二通水位置と、を含む複数の通水位置に前記流出流路部の相対位置を切り替える操作が可能な操作部をさらに備え、
前記流出流路部は、前記流路孔から離隔した圧力逃がし孔を有し、
前記圧力逃がし孔は、前記流出流路部の相対位置が前記第一通水位置と前記第二通水位置との間にある場合に前記通水孔に繋がって該通水孔から前記流体を流出させる、流路切替機構。
【請求項2】
前記流出流路部は、前記流路孔として第一流路孔を含む第一流路であって前記第一流路孔から流入した前記流体により第一吐水形状を実現させる第一流路と、前記流路孔として第二流路孔を含む第二流路であって前記第二流路孔から流入した前記流体により第二吐水形状を実現させる第二流路と、を前記流路として有し、
前記第一通水位置において、前記第二流路孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞されて前記第一流路孔が前記通水孔に合わせられ、
前記第二通水位置において、前記第一流路孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞されて前記第二流路孔が前記通水孔に合わせられ、
前記圧力逃がし孔は、前記第一流路孔及び前記第二流路孔から離隔し、前記流出流路部の相対位置が前記第一通水位置と前記第二通水位置との間にある場合に前記通水孔に繋がって該通水孔から前記流体を流出させる、請求項1に記載の流路切替機構。
【請求項3】
前記流体は、第一流体及び第二流体を含み、
前記通水部は、前記第一流体が流出する第一通水孔と、前記第二流体が流出する第二通水孔と、を前記通水孔として有し、
前記第一通水位置において、前記第二通水孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞され、前記第二流路孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞され、且つ、前記第一流路孔が前記第一通水孔に合わせられ、
前記第二通水位置において、前記第二通水孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞され、前記第一流路孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞され、且つ、前記第二流路孔が前記第一通水孔に合わせられ、
前記複数の通水位置は、さらに、
前記第一通水孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞され、前記第二流路孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞され、且つ、前記第一流路孔が前記第二通水孔に合わせられる第三通水位置と、
前記第一通水孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞され、前記第一流路孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞され、且つ、前記第二流路孔が前記第二通水孔に合わせられる第四通水位置と、
の少なくとも一方を含み、
前記圧力逃がし孔は、前記複数の通水位置のうち隣り合う通水位置同士の間に前記流出流路部の相対位置がある場合に前記通水孔に繋がって該通水孔から前記流体を流出させる、請求項2に記載の流路切替機構。
【請求項4】
前記操作部は、前記複数の通水位置を通るように前記通水部に対して前記流出流路部を相対的に360°回転させることが可能である、請求項3に記載の流路切替機構。
【請求項5】
前記流体は、第一流体及び第二流体を含み、
前記通水部は、前記第一流体が流出する第一通水孔と、前記第二流体が流出する第二通水孔と、を前記通水孔として有し、
前記第一通水位置において、前記第二通水孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞されて前記第一通水孔が前記流路孔に合わせられ、
前記第二通水位置において、前記第一通水孔が前記第一対向面と前記第二対向面との間で閉塞されて前記第二通水孔が前記流路孔に合わせられ、
前記流出流路部は、該流出流路部の相対位置が前記第一通水位置にある場合に前記第一通水孔から前記流路に流入した前記第一流体を吐出させ、前記流出流路部の相対位置が前記第二通水位置にある場合に前記第二通水孔から前記流路に流入した前記第二流体を吐出させ、
前記圧力逃がし孔は、前記流出流路部の相対位置が前記第一通水位置と前記第二通水位置との間にある場合に前記第一通水孔と前記第二通水孔の少なくとも一方の通水孔に繋がって該通水孔から前記第一流体と前記第二流体の少なくとも一方を流出させる、請求項1に記載の流路切替機構。
【請求項6】
前記第二流体が浄水であり、
本流路切替機構は、前記第一流体が流入して前記浄水を流出させる処理材をさらに備える、請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の流路切替機構。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の流路切替機構と、
前記流路切替機構に前記流体を吐出させるための原水を前記流路切替機構に供給する原水供給部と、を備える、水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水態様を切り替えるための流路切替機構、及び、水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチン、洗面化粧台、システムバス、等の水栓には、ストレート形状やシャワー形状等といった複数の吐水形状の中から吐水形状を切り替えるための流路切替機構を備えるものがある。また、システムキッチン等の水栓には、水道水を吐出させるか浄水を吐出させるかを切り替えるための流路切替機構を備えるものがある。尚、吐出させる水に水道水と浄水の2種類があり、吐水形状にストレート形状とシャワー形状の2種類がある場合、水栓の吐水態様を最大、ストレート形状の水道水、シャワー形状の水道水、ストレート形状の浄水、及び、シャワー形状の浄水の4種類にすることができる。
【0003】
特許文献1に開示された水栓の流路切替機構は、上流側の弁体、及び、操作筒に圧入されてシャワーフェイスと同様に操作筒と一体的に回転可能な下流側の基台を備えている。基台は、シャワー吐水用の下流側流路とストレート吐水用の下流側流路を有している。基台は、シャワー吐水を実現させる第1の位置とストレート吐水を実現させる第2の位置との間でのみ回転可能である。第1の位置においてストレート吐水用の下流側流路の入口が塞がれてシャワー吐水用の下流側流路が上流側流路に連通し、第2の位置においてシャワー吐水用の下流側流路の入口が塞がれてストレート吐水用の下流側流路が上流側流路に連通する。弁体自体に上流側流路は無く、弁体の周囲から湯水が下流側流路に流れ込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-210653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流路切替機構をコンパクトで簡易な構造にするため、上流側流路部材において下流側流路部材に対向する面に上流側流路の出口を設けることが考えられる。この場合、流路を切り替える回転操作の途中で上流側流路の出口が塞がれる瞬間がある。この瞬間に高い水圧が生じるため、回転操作がし難くなる。回転操作をし易くするため流路断面積を増やすと、流路切替機構の構造容積が増大する。
上述のような問題は、水道水を吐出させるか浄水を吐出させるかを切り替えるための流路切替機構等にも存在し、スライド操作等により流路を切り替える場合にも存在する。
【0006】
本発明は、吐水態様を切り替える操作性を向上させることが可能な技術を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の流路切替機構は、吐水態様を切り替えるための流路切替機構であって、
第一対向面を有し、流体が流出する通水孔を前記第一対向面に1以上有する通水部と、
前記第一対向面に対向する第二対向面を有し、該第二対向面にある流路孔を含む流路を1以上有する流出流路部と、を備え、
前記通水孔と前記流路の少なくとも一方は、2以上あり、
本流路切替機構は、前記通水孔と前記流路孔とが第一の組合せにおいて合わせられる第一通水位置と、前記通水孔と前記流路孔とが第二の組合せにおいて合わせられる第二通水位置と、を含む複数の通水位置に前記流出流路部の相対位置を切り替える操作が可能な操作部をさらに備え、
前記流出流路部は、前記流路孔から離隔した圧力逃がし孔を有し、
前記圧力逃がし孔は、前記流出流路部の相対位置が前記第一通水位置と前記第二通水位置との間にある場合に前記通水孔に繋がって該通水孔から前記流体を流出させる、態様を有する。
また、本発明の水栓は、
前記流路切替機構と、
前記流路切替機構に前記流体を吐出させるための原水を前記流路切替機構に供給する原水供給部と、を備える、態様を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吐水態様を切り替える操作性を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】浄水機能付き水栓を組み込んだシステムキッチンの例を模式的に示す図。
図2】流路切替機構を含む浄水カートリッジの縦断面の例を示す図。
図3】浄水カートリッジの例を示す分解斜視図。
図4】濾材保持部材、通水部、シール材、及び、流出流路部の例を示す断面図。
図5】通水部、シール材、及び、流出流路部の例を示す平面図。
図6】流出流路部の連絡部形成部の横断面の例を示す図。
図7】流出流路部が第一通水位置から第二通水位置に切り替わる例を模式的に示す縦断面図。
図8】流出流路部が第三通水位置から第四通水位置に切り替わる例を模式的に示す縦断面図。
図9】流出流路部の通水位置が切り替わる途中の例を模式的に示す平面図。
図10】流出流路部の通水位置が切り替わる途中の例を模式的に示す平面図。
図11】吐水形状を切り替えるための流路切替機構に含まれる通水部、シール材、及び、流出流路部の別の例を示す平面図。
図12】吐水流体を切り替えるための流路切替機構に含まれる通水部、シール材、及び、流出流路部の別の例を示す平面図。
図13】流出流路部の通水位置が切り替わる例を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0011】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1~13に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0012】
[態様1]
本技術の一態様に係る流路切替機構2は、吐水態様を切り替えるための流路切替機構2であって、通水部30、流出流路部60、及び、操作部80を備える。前記通水部30は、第一対向面30aを有し、流体FLが流出する通水孔40を前記第一対向面30aに1以上有している。前記流出流路部60は、前記第一対向面30aに対向する第二対向面60aを有し、該第二対向面60aにある流路孔70aを含む流路70を1以上有している。ここで、前記通水孔40と前記流路70の少なくとも一方は、2以上ある。前記操作部80は、前記通水孔40と前記流路孔70aとが第一の組合せ(例えば図7,9において第一通水孔41と第一流路孔71a)において合わせられる第一通水位置P1と、前記通水孔40と前記流路孔70aとが第二の組合せ(例えば図7,9において第一通水孔41と第二流路孔72a)において合わせられる第二通水位置P2と、を含む複数の通水位置に前記流出流路部60の相対位置を切り替える操作が可能である。前記流出流路部60は、前記流路孔70aから離隔した圧力逃がし孔75を有している。前記圧力逃がし孔75は、前記流出流路部60の相対位置が前記第一通水位置P1と前記第二通水位置P2との間にある場合に前記通水孔40に繋がって該通水孔40から前記流体FLを流出させる。
【0013】
上記態様1では、流出流路部60の相対位置を第一通水位置P1と第二通水位置P2との間で切り替える途中において、流出流路部60の圧力逃がし孔75が通水部30の通水孔40に繋がって該通水孔40から流体FLを流出させる。これにより、流出流路部60の相対位置を第一通水位置P1と第二通水位置P2との間で切り替える途中において、高い流体圧が生じず、切り替え操作がし易くなる。従って、上記態様1は、吐水態様を切り替える操作性を向上させる流路切替機構を提供することできる。
尚、流路孔を長孔にすると、吐出される流体の流れに影響し、吐水形状が変形することがある。圧力逃がし孔は流路孔から離隔しているので、吐出される流体の流れへの影響を抑制することができ、吐水形状の変形を抑制することができる。
【0014】
ここで、吐水態様は、ストレート形状やシャワー形状等といった吐水形状と、原水や浄水等といった吐水流体(吐出される流体)との両方を含む概念である。例えば、吐水態様に「ストレート形状の原水」、「シャワー形状の原水」、「ストレート形状の浄水」、及び、「シャワー形状の浄水」がある場合、吐水態様は4種類である。
流体には、水道水といった原水、浄水、電解水、バブル水、ミスト、等が含まれる。
第一対向面と第二対向面とは、互いに対向している面であればよく、平面に限定されず、曲面でもよい。
流出流路部の相対位置を切り替えることには、移動しない通水部を基準として流出流路部を移動させることにより流出流路部の位置を切り替えること、移動しない流出流路部を基準として通水部を移動させることにより通水部の位置を切り替えること、及び、流出流路部と通水部の両方を移動させることにより流出流路部の相対位置を切り替えることが含まれる。
圧力逃がし孔は、通水孔から流体を流路70経由で流出させてもよいし、通水孔から流体を流路70以外の経路で流出させてもよい。
本願における「第一」、「第二」、「第三」、…は、類似点を有する複数の構成要素に含まれる各構成要素を識別するための用語であり、順番を意味しない。複数の構成要素のうちどの構成要素が「第一」、「第二」、「第三」、…に当てはまるのかは、相対的に決まることがある。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0015】
[態様2]
図1~11に例示するように、上記態様1の流路切替機構2は、第一吐水形状101(例えばストレート形状)と第二吐水形状102(例えばシャワー形状)を含む複数の吐水形状の中から吐水形状を切り替えるための流路切替機構2を含む。
本態様2の流路切替機構2は、
第一対向面30aを有し、流体FLが流出する通水孔40を前記第一対向面30aに有する通水部30と、
前記第一対向面30aに対向する第二対向面60aを有し、該第二対向面60aにある第一流路孔71aを含む第一流路71であって前記第一流路孔71aから流入した前記流体FLにより前記第一吐水形状101を実現させる第一流路71と、前記第二対向面60aにある第二流路孔72aを含む第二流路72であって前記第二流路孔72aから流入した前記流体FLにより前記第二吐水形状102を実現させる第二流路72と、を有する流出流路部60と、
前記第二流路孔72aが前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞されて前記第一流路孔71aが前記通水孔40に合わせられる第一通水位置P1と、前記第一流路孔71aが前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞されて前記第二流路孔72aが前記通水孔40に合わせられる第二通水位置P2と、を含む複数の通水位置に前記流出流路部60の相対位置を切り替える操作が可能な操作部80と、を備え、
前記流出流路部60は、前記第一流路孔71a及び前記第二流路孔72aから離隔した圧力逃がし孔75を有し、
前記圧力逃がし孔75は、前記流出流路部60の相対位置が前記第一通水位置P1と前記第二通水位置P2との間にある場合に前記通水孔40に繋がって該通水孔40から前記流体FLを流出させる。
【0016】
上記態様2では、流出流路部60の相対位置を第一通水位置P1と第二通水位置P2との間で切り替える途中において、流出流路部60の圧力逃がし孔75が通水部30の通水孔40に繋がって該通水孔40から流体FLを流出させる。これにより、流出流路部60の相対位置を第一通水位置P1と第二通水位置P2との間で切り替える途中において、高い流体圧が生じず、切り替え操作がし易くなる。従って、上記態様2は、吐水形状を切り替える操作性を向上させる流路切替機構を提供することできる。
【0017】
ここで、流出流路部は、流路として、第一流路及び第二流路とは異なる第三流路等を有していてもよい。従って、流路孔には、第一流路孔及び第二流路孔とは異なる第三流路孔等が含まれてもよい。
圧力逃がし孔は、通水孔から流体を第一流路71経由で流出させてもよいし、通水孔から流体を第二流路72経由で流出させてもよいし、通水孔から流体を流路71,72以外の経路で流出させてもよい。
上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0018】
[態様3]
前記流体FLは、第一流体FL1(例えば原水)及び第二流体FL2(例えば浄水)を含んでいてもよい。前記通水部30は、前記第一流体FL1が流出する第一通水孔41と、前記第二流体FL2が流出する第二通水孔42と、を前記通水孔40として有していてもよい。前記第一通水位置P1において、前記第二通水孔42が前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞され、前記第二流路孔72aが前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞され、且つ、前記第一流路孔71aが前記第一通水孔41に合わせられてもよい。前記第二通水位置P2において、前記第二通水孔42が前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞され、前記第一流路孔71aが前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞され、且つ、前記第二流路孔72aが前記第一通水孔41に合わせられてもよい。
前記複数の通水位置は、さらに、
前記第一通水孔41が前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞され、前記第二流路孔72aが前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞され、且つ、前記第一流路孔71aが前記第二通水孔42に合わせられる第三通水位置P3と、
前記第一通水孔41が前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞され、前記第一流路孔71aが前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞され、且つ、前記第二流路孔72aが前記第二通水孔42に合わせられる第四通水位置P4と、
の少なくとも一方を含んでいてもよい。
前記圧力逃がし孔75は、前記複数の通水位置のうち隣り合う通水位置同士の間に前記流出流路部60の相対位置がある場合に前記通水孔40に繋がって該通水孔40から前記流体FLを流出させてもよい。
【0019】
上記態様3では、3以上の吐水態様の中から吐水態様を切り替える操作性を向上させる流路切替機構を提供することできる。
ここで、流体には、第一流体及び第二流体とは異なる第三流体等が含まれてもよい。従って、通水部は、通水孔として、第一通水孔及び第二通水孔とは異なる第三通水孔を有していてもよい。
複数の通水位置は、第一通水位置と第二通水位置と第三通水位置と第四通水位置の4箇所の通水位置でもよいし、第一通水位置と第二通水位置と第三通水位置の3箇所の通水位置でもよいし、第一通水位置と第二通水位置と第四通水位置の3箇所の通水位置でもよい。また、複数の通水位置には、前述の4箇所の通水位置とは異なる第五通水位置等が含まれてもよい。
上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0020】
[態様4]
前記操作部80は、前記複数の通水位置を通るように前記通水部30に対して前記流出流路部60を相対的に360°回転させることが可能でもよい。この態様は、通水孔40及び流路70をコンパクトに設計し易いので、3以上の吐水態様を有する流路切替機構を小型化させ易い流路切替機構を提供することができる。
【0021】
[態様5]
また、図12,13に例示するように、上記態様1の流路切替機構2は、第一流体FL1と第二流体FL2を含む複数の流体FLの中から吐水流体を切り替えるための流路切替機構2を含む。
本態様5の流路切替機構2は、
第一流体FL1と第二流体FL2を含む複数の流体FLの中から吐水流体を切り替えるための流路切替機構2であって、
第一対向面30aを有し、前記第一流体FL1が流出する第一通水孔41と、前記第二流体FL2が流出する第二通水孔42と、を前記第一対向面30aに有する通水部30と、
前記第一対向面30aに対向する第二対向面60aを有し、該第二対向面60aにある流路孔70aを含む流路70であって前記吐水流体を通す流路70を有する流出流路部60と、
前記第二通水孔42が前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞されて前記第一通水孔41が前記流路孔70aに合わせられる第一通水位置P1と、前記第一通水孔41が前記第一対向面30aと前記第二対向面60aとの間で閉塞されて前記第二通水孔42が前記流路孔70aに合わせられる第二通水位置P2と、を含む複数の通水位置に前記流出流路部60の相対位置を切り替える操作が可能な操作部80と、を備え、
前記流出流路部60は、前記流路孔70aから離隔した圧力逃がし孔75を有し、
前記圧力逃がし孔75は、前記流出流路部60の相対位置が前記第一通水位置P1と前記第二通水位置P2との間にある場合に前記第一通水孔41と前記第二通水孔42の少なくとも一方の通水孔40に繋がって該通水孔40から前記第一流体FL1と前記第二流体FL2の少なくとも一方を流出させる。
【0022】
上記態様5では、流出流路部60の相対位置を第一通水位置P1と第二通水位置P2との間で切り替える途中において、流出流路部60の圧力逃がし孔75が通水部30における第一通水孔41と第二通水孔42の少なくとも一方の通水孔40に繋がって該通水孔40から流体FLを流出させる。これにより、流出流路部60の相対位置を第一通水位置P1と第二通水位置P2との間で切り替える途中において、高い流体圧が生じず、切り替え操作がし易くなる。従って、上記態様5は、吐水流体を切り替える操作性を向上させる流路切替機構を提供することできる。
【0023】
[態様6]
前記第二流体FL2は、浄水でもよい。本流路切替機構2は、前記第一流体FL1が流入して前記浄水を流出させる処理材(例えば濾材15)をさらに備えていてもよい。本態様は、原水と浄水を含む吐水流体を切り替える操作性を向上させる流路切替機構を提供することできる。
ここで、処理材には、活性炭、イオン交換樹脂といったイオン除去部材、中空糸膜、等が含まれる。この付言は、以下の態様においても適用される。
【0024】
[態様7]
さらに、本技術の一態様に係る水栓700は、態様1乃至6のいずれか一つに記載の流路切替機構2と、該流路切替機構2に前記流体FLを吐出させるための原水を前記流路切替機構2に供給する原水供給部(例えば水栓本体702)と、を備える。この態様は、吐水態様を切り替える操作性を向上させる水栓を提供することできる。
【0025】
(2)流路切替機構を含む水栓の具体例:
図1は、浄水機能付き水栓700を組み込んだシステムキッチンSY1を模式的に例示している。
図1に示すシステムキッチンSY1には、水平に延びるカウンター801にキャビネット802、凹状のシンク803、水栓700、等が組み込まれている。水栓700は、傾動可能な開栓レバー703を有する水栓本体702と、この水栓本体702のカートリッジ取付部710に対して取り外し可能に取り付けられた浄水カートリッジ1とを備えている。カートリッジ取付部710は、水栓本体702の先端にある。水栓本体702には、図示しない給水管から水道水(原水の例)が供給される。開栓レバー703は、開位置(例えば傾動範囲の上側の位置)にある時に水道水がカートリッジ取付部710から浄水カートリッジ1に供給されるようにし、閉位置(例えば傾動範囲の下側の位置)にある時に水道水の供給を停止させる。
【0026】
浄水カートリッジ1は、摘み92を回す操作により吐出態様を切り替える流路切替機構2を備えている。本具体例の浄水カートリッジ1は、吐水部65から吐出する流体を水道水にするか浄水にするかを切り替えることが可能であり、吐水部65から吐出される流体の形状、すなわち、吐水形状をストレート形状にするかシャワー形状にするかを切り替えることが可能である。浄水カートリッジ1から吐出される浄水は、水栓本体702から供給される水道水を浄水カートリッジ1の中で濾過したものである。
以上より、水栓本体702は、流路切替機構2に流体を吐出させるための原水を流路切替機構2に供給する原水供給部の例である。
【0027】
尚、本明細書等における位置関係の説明は、例示に過ぎない。従って、左右方向を上下方向又は前後方向に変更したり、上下方向を左右方向や前後方向に変更したり、前後方向を左右方向や上下方向に変更したり、回転方向を逆方向に変更したり等することも、本技術に含まれる。また、方向や位置等の同一は、厳密な一致に限定されず、誤差等により厳密な一致からずれることを含む。「直交」も、厳密な90°に限定されず、誤差等により厳密な90°からずれることを含む。
【0028】
図2は、流路切替機構2を含む浄水カートリッジ1の縦断面を例示している。図3は、浄水カートリッジ1を例示する分解斜視図である。図4は、図2に示す断面において、濾材保持部材20、通水部30、シール部51~55、及び、流出流路部60を例示している。図5は、通水部30、シール材51~55、及び、流出流路部60を例示する平面図である。図5には、第一通水孔41が第一閉塞部73に合わせられ、第二通水孔42が第一流路孔71aに合わせられる様子が示されている。図6は、流出流路部60の連絡部形成部62の横断面を例示している。分かり易く示すため、図6には、流路孔70aと圧力逃がし孔75を吐水面60bに投影した位置を二点鎖線で示している。
【0029】
図3に示すように、浄水カートリッジ1は、ケース10、濾材15、濾材保持部材20、通水部30、内側シール材51~54、外側シール材55、流出流路部60、及び、操作部80を備えている。操作部80は、環状部材85とレバー部材90を含んでいる。浄水カートリッジ1は、摘み92を回す操作により吐水態様を切り替えるロータリー式の流路切替機構2を含んでいる。
【0030】
ケース10は、図2,3に示すように、濾材15を収容可能な空間を有する収容部11、第一流体FL1としての水道水が流入する入口部12、及び、この入口部12とは反対側にある開口部13を備えている。図2,3に示すケース10は、流出流路部60の回転中心線AX1を中心とした筒状に形成され、狭まった入口部12を除いて略円筒状に形成されている。入口部12は、水栓本体702のカートリッジ取付部710に取り付けられている。開口部13は、通水部30のフランジ部34と嵌合している。
【0031】
濾材15は、入口部12に面する閉塞端15a、回転中心線AX1に沿った凹部16を有する開口端15b、及び、閉塞端15aと開口端15bとの間の側面15cを有している。濾材15の内部には、流体FLが通り抜けることが可能な微細な孔が多数形成されている。濾材15には、活性炭、イオン交換樹脂やキレート樹脂といったイオン除去部材、中空糸膜、抗菌剤、これらの少なくとも一部の組合せ、等を用いることができる。入口部12から流入した水道水(第一流体FL1)は、閉塞端15a及び側面15cから濾材15の内部に入って浄化され、浄水(第二流体FL2の例)として凹部16から流出する。流体FLは、第一流体FL1と第二流体FL2を総称している。以下、第一流体FL1としての水道水を原水(FL1)とも記載し、第二流体FL2としての浄水を浄水(FL2)とも記載する。濾材15は、原水(FL1)が流入して浄水(FL2)を流出させる処理材の例である。
【0032】
濾材保持部材20は、図2~4に示すように、濾材15の凹部16に合わせられた貫通孔22を有して濾材15の閉塞端15aに沿ったプレート部21、及び、このプレート部21から濾材15とは反対側の方へ延出した円筒状の延出部24を備えている。プレート部21の縁部は、濾材15の方へ短く延出している。これにより、濾材保持部材20は、濾材15の閉塞端15aと嵌合する濾材受け部23をプレート部21から濾材15の側に有している。延出部24は、延出端から凹んで貫通孔22に繋がっている凹部24aを有している。延出部24は、通水部30における内側延出部33の凹部33aに挿入されている。図2に示すように、円筒状の延出部24の外側において、濾材保持部材20と通水部30との間には、原水(FL1)を通す隙間CL1が設けられている。
【0033】
通水部30は、図2~5に示すように、流出流路部60に対向する第一対向面30aを有するプレート部31、このプレート部31から濾材15の方へ延出した外側延出部32及び内側延出部33、フランジ部34、並びに、雄ねじ部35を備えている。プレート部31は、流体FLが流出する通水孔40を第一対向面30aに複数有している。通水孔40は、原水(FL1)が流出する第一通水孔41と浄水(FL2)が流出する第二通水孔42を総称している。外側延出部32は、延出端から凹んで第一通水孔41に繋がっている凹部32aを有している。内側延出部33は、外側延出部32の内側にあり、一部が外側延出部32と一体化されている。内側延出部33は、延出端から凹んで第二通水孔42に繋がっている凹部33aを有している。凹部33aには、濾材保持部材20の延出部24が挿入されている。これにより、濾材15から流出した浄水(FL2)は、貫通孔22から凹部33aに流入し、第二通水孔42から流出する。原水(FL1)は、隙間CL1から凹部32aに流入し、第一通水孔41から流出する。従って、通水部30は、原水(FL1)と浄水(FL2)とを仕切る仕切部ともいえる。フランジ部34は、外側延出部32から外方へ延出し、ケース10の開口部13と嵌合している。雄ねじ部35は、通水部30の外周面においてフランジ部34よりも流出流路部60の方にある部分に形成され、環状部材85の雌ねじ部87と螺合している。
【0034】
シール材51~55は、図2~5に示すように、流出流路部60に取り付けられた環状の部材である。シール材51~55には、比較的小さい径の内側シール材51~54、及び、これらの内側シール材51~54を囲む比較的大きい径の外側シール材55が含まれる。図2~5に示すシール材51~55は、弾性を有するOリングである。シール材51~55の材料には、ゴムを含むエラストマー等を用いることができる。
【0035】
図4に示すように、流出流路部60は、概ね、通水部30の第一対向面30aに対向する第二対向面60aを有する流路孔形成部61、及び、第二対向面60aとは反対側の吐水面60bを有する連絡部形成部62を含んでいる。
【0036】
流路孔形成部61は、流路70に含まれる流路孔70aを第二対向面60aに複数有している。図5に示すように、流路孔70aは、第一流路孔71aと第二流路孔72aを総称している。第二対向面60aには、内側シール材51が挿入された凹部71b、内側シール材52が挿入された凹部72b、内側シール材53が挿入された環状の溝73a、内側シール材54が挿入された環状の溝74a、及び、外側シール材55が挿入された環状の溝61aが形成されている。凹部71bは、第一流路孔71aの入口部分であり、第一流路孔71aに含まれる要素である。凹部72bは、第二流路孔72aの入口部分であり、第二流路孔72aに含まれる要素である。第二対向面60aにおいて環状の溝73aに囲まれた部分は、対向する通水孔40から流体FLが流出しないようにする第一閉塞部73である。第二対向面60aにおいて環状の溝74aに囲まれた部分は、対向する通水孔40から流体FLが流出しないようにする第二閉塞部74である。さらに、流路孔形成部61は、後述する圧力逃がし孔75を複数有している。
【0037】
連絡部形成部62は、図4,6に示すように、第一吐水形状101の流体FLを吐出させる第一吐水孔71d、及び、第二吐水形状102の流体FLを吐出させる第二吐水孔72dを吐水面60bに有している。第一吐水孔71dは、回転中心線AX1の位置にあり、第一吐水形状101としてのストレート形状の流体FLを吐出する。第二吐水孔72dは、回転中心線AX1を囲む位置に複数あり、第二吐水形状102としてのシャワー形状の流体FLを吐出する。以下、第一吐水形状101としてのストレート形状をストレート形状(101)とも記載し、第二吐水形状102としてのシャワー形状をシャワー形状(102)とも記載する。吐水面60bを有する連絡部形成部62は、水栓700における吐水部65に相当する。
また、連絡部形成部62は、第一流路孔71aから第一吐水孔71dに繋がる連絡部71c、及び、第二流路孔72aから第二吐水孔72dに繋がる連絡部72cを有している。図6に示すように、連絡部71cは、周囲の連絡部72cから略長円状の内壁62aにより区画された空間である。連絡部72cは、内壁62aと円形の外壁62bとにより区画された空間であり、複数の圧力逃がし孔75にも繋がっている。
【0038】
本具体例において、第一流路孔71a、連絡部71c、及び、第一吐水孔71dは、第一流路孔71aから流入した流体FLにより第一吐水形状101を実現させる第一流路71を構成している。また、第二流路孔72a、連絡部72c、及び、第二吐水孔72dは、第二流路孔72aから流入した流体FLにより第二吐水形状102を実現させる第二流路72を構成している。すなわち、流出流路部60は、第一流路孔71aを含む第一流路71、及び、第二流路孔72aを含む第二流路72を流路70として有している。
【0039】
さらに、流出流路部60は、図4等に示すように、流路孔形成部61から外方へ延出したフランジ部63、及び、外周面においてフランジ部63よりも吐水面60bの方の部分にある雄ねじ部64を備えている。フランジ部63は、通水部30の第一対向面30aと環状部材85の内方延出部86との間において回転中心線AX1を中心とする回転位置を変更可能に配置されている。雄ねじ部64は、レバー部材90の雄ねじ部95と螺合している。流出流路部60は、レバー部材90の操作により回転中心線AX1を中心として回転し、通水孔40に合わせられる流路孔70aを切り替える。従って、流出流路部60は、通水孔40からの流体FLを通す流路70を切り替える流路切替部ともいえる。
【0040】
図5に示すように、流路孔形成部61に形成された複数の圧力逃がし孔75は、第一流路孔71aと第二流路孔72aとの間の圧力逃がし孔75a、第二流路孔72aと第一閉塞部73との間の圧力逃がし孔75b、第一閉塞部73と第二閉塞部74との間の圧力逃がし孔75c、及び、第二閉塞部74と第一流路孔71aとの間の圧力逃がし孔75dを含んでいる。いずれの圧力逃がし孔75a~75dも、第一流路孔71a及び第二流路孔72aから離隔している。第二対向面60aにおいて、圧力逃がし孔75a~75dは、内側シール材51~54の外側、且つ、外側シール材55の内側に配置されている。
【0041】
環状部材85は、吐水面60bに近い方の縁部から内方へ延出した内方延出部86、及び、内周面において内方延出部86よりも濾材15の方の部分にある雌ねじ部87を備えている。内方延出部86と通水部30とは、流出流路部60のフランジ部63を挟む位置にあり、回転中心線AX1を中心として回転位置を変更可能にフランジ部63を保持する。雌ねじ部87は、通水部30の雄ねじ部35と螺合している。
【0042】
レバー部材90は、環状部91、及び、この環状部91の外周面から外方へ出た摘み92を備えている。環状部91は、吐水面60bに合わせられる位置において内方へ延出した内方延出部94により回転中心線AX1を中心として回転位置を相対的に変更可能に環状部材85を受ける環状部材受け部93を備えている。内方延出部94の内周面に形成された雌ねじ部95は、流出流路部60の雄ねじ部64と螺合している。本具体例において、シール材51~55が取り付けられた流出流路部60、及び、この流出流路部60と螺合したレバー部材90は、回転中心線AX1を中心として回転する要素である。一方、ケース10、濾材15、濾材保持部材20、通水部30、及び、環状部材85は、回転しない要素である。
【0043】
以上より、環状部材85とレバー部材90を含む操作部80は、図7~10に示す複数の通水位置P1~P4を通るように通水部30に対して流出流路部60を相対的に360°回転させることが可能である。通水位置P1~P4の詳細は、後述する。
【0044】
尚、ケース10、濾材保持部材20、通水部30、流出流路部60、環状部材85、及び、レバー部材90の材料は、特に限定されず、樹脂、ステンレス、等の汎用の材料を用いることができる。
【0045】
浄水カートリッジ1の組み立て方法は特に限定されないが、例えば、以下のようにして浄水カートリッジ1を組み立てることができる。
まず、シール材51~55を流出流路部60に取り付け、この流出流路部60を環状部材85の内側に入れ、この環状部材85に通水部30を螺合させる。流出流路部60において環状部材85から出ている雄ねじ部64には、レバー部材90に螺合させる。また、濾材15と濾材保持部材20とを嵌合させ、この濾材保持部材20の延出部24を通水部30の凹部33aに挿入する。通水部30のフランジ部34とケース10の開口部13とを嵌合させると、浄水カートリッジ1の組み立てが完了する。
【0046】
上述した浄水カートリッジ1は、吐水流体を原水(FL1)と浄水(FL2)とから選ぶことができ、吐水形状をストレート形状(101)とシャワー形状(102)とから選ぶことができる。浄水カートリッジ1の吐水態様には、吐水流体と吐水形状とを組み合わせた4種類がある。吐水態様の切り替えは、摘み92の操作により回転中心線AX1を中心として流出流路部60を回すことによって行われる。
【0047】
図7,8は、流出流路部60の通水位置が切り替わる様子を模式的に例示する縦断面図である。図9,10は、通水位置が切り替わる流出流路部60の第二対向面60aを模式的に例示する平面図である。通水孔40と流路孔70aとの組合せを分かり易く示すため、図9,10には、通水孔40が太線で示され、流体FLが流出しない通水孔40にはX印が付されている。
流出流路部60の通水位置には、原水ストレートを実現させる第一通水位置P1、原水シャワーを実現させる第二通水位置P2、浄水ストレートを実現させる第三通水位置P3、及び、浄水シャワーを実現させる第四通水位置P4が含まれる。尚、図2~5には、第三通水位置P3にある流出流路部60が示されている。
【0048】
図7,9に示すように流出流路部60が第一通水位置P1にある場合、第一流路孔71aが第一通水孔41に合わせられ、第二流路孔72aが第一対向面30aに対向し、第一閉塞部73が第二通水孔42を閉塞させ、第二閉塞部74が第一対向面30aに対向している。第一対向面30aに対向した第二流路孔72aは、この第二流路孔72aの周りにある内側シール材52により第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されている。第二通水孔42は、第一閉塞部73に取り付けられた内側シール材53により第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されている。従って、浄水(FL2)は、吐水面60bから流出しない。隙間CL1から凹部32aに入った原水(FL1)は、第一通水孔41から流出して第一流路孔71aから第一流路71に入り、第一吐水孔71dからストレート形状(101)となって吐出される。第一通水孔41と第一流路孔71aの組合せは、第一の組合せの例である。
【0049】
第一通水位置P1にある流出流路部60を図9の右回りに90°回転させると、流出流路部60が第二通水位置P2となる(図7,9参照)。この場合、第一流路孔71aが第一対向面30aに対向し、第二流路孔72aが第一通水孔41に合わせられ、第一閉塞部73が第一対向面30aに対向し、第二閉塞部74が第二通水孔42を閉塞させている。第一対向面30aに対向した第一流路孔71aは、この第一流路孔71aの周りにある内側シール材51により第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されている。第二通水孔42は、第二閉塞部74に取り付けられた内側シール材54により第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されている。従って、浄水(FL2)は、吐水面60bから流出しない。隙間CL1から凹部32aに入った原水(FL1)は、第一通水孔41から流出して第二流路孔72aから第二流路72に入り、第二吐水孔72dからシャワー形状(102)となって吐出される。第一通水孔41と第二流路孔72aの組合せは、第二の組合せの例である。
【0050】
第二通水位置P2にある流出流路部60を図9の右回りに90°回転させると、流出流路部60が第三通水位置P3となる(図8,10参照)。この場合、第一流路孔71aが第二通水孔42に合わせられ、第二流路孔72aが第一対向面30aに対向し、第一閉塞部73が第一通水孔41を閉塞させ、第二閉塞部74が第一対向面30aに対向している。第一対向面30aに対向した第二流路孔72aは、この第二流路孔72aの周りにある内側シール材52により第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されている。第一通水孔41は、第一閉塞部73に取り付けられた内側シール材53により第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されている。従って、原水(FL1)は、吐水面60bから流出しない。貫通孔22から凹部33aに入った浄水(FL2)は、第二通水孔42から流出して第一流路孔71aから第一流路71に入り、第一吐水孔71dからストレート形状(101)となって吐出される。第二通水孔42と第一流路孔71aの組合せは、第三の組合せの例である。
【0051】
第三通水位置P3にある流出流路部60を図10の右回りに90°回転させると、流出流路部60が第四通水位置P4となる(図8,10参照)。この場合、第一流路孔71aが第一対向面30aに対向し、第二流路孔72aが第二通水孔42に合わせられ、第一閉塞部73が第一対向面30aに対向し、第二閉塞部74が第一通水孔41を閉塞させている。第一対向面30aに対向した第一流路孔71aは、この第一流路孔71aの周りにある内側シール材51により第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されている。第一通水孔41は、第二閉塞部74に取り付けられた内側シール材54により第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されている。従って、原水(FL1)は、吐水面60bから流出しない。貫通孔22から凹部33aに入った浄水(FL2)は、第二通水孔42から流出して第二流路孔72aから第二流路72に入り、第二吐水孔72dからシャワー形状(102)となって吐出される。第二通水孔42と第二流路孔72aの組合せは、第四の組合せの例である。
【0052】
第四通水位置P4にある流出流路部60を図10の右回りに90°回転させると、流出流路部60が第一通水位置P1となる(図7,9参照)。従って、流出流路部60は、通水位置P1~P4を通るように360°回転させることが可能である。流出流路部60が4箇所の通水位置P1~P4を通るように通水部30に対して相対的に360°回転可能であるので、通水部30の通水孔40や流出流路部60の流路70をコンパクトに設計し易い。従って、本具体例の流路切替機構2は、小型ながら4種類と多くの種類がある吐出態様を切り替え可能である。また、流出流路部60の回転に止まる位置が無いので、流路切替機構2の耐久性が良好である。
流出流路部60は、図10の左回りに回転させることも可能である。例えば、第四通水位置P4にある流出流路部60を図10の左回りに90°ずつ回転させると、第三通水位置P3、第二通水位置P2、第一通水位置P1、及び、第四通水位置P4の順に切り替わる。ユーザーは回転中心線AX1を中心として摘み92を操作することにより吐出態様を切り替えることができるので、吐出態様を切り替える操作が直感的に分かり易い。
【0053】
流出流路部60に圧力逃がし孔75が無い場合、流出流路部60の通水位置を切り替える回転操作の途中で第一通水孔41と第二通水孔42の両方が塞がれる瞬間が生じる。この瞬間に高い水圧が生じるため、回転操作がし難くなる。回転操作をし易くするため通水孔40や流路孔70aの断面積を増やすと、流路切替機構の構造容積が増大する。
本具体例の流出流路部60は、通水位置を切り替える途中において通水孔40に繋がって通水孔40から流体FLを第二流路72に流出させる圧力逃がし孔75a~75dを有している。これにより、流出流路部60の通水位置を切り替える途中において、高い流体圧が生じず、切り替え操作がし易くなる。以下、図9,10を参照して、吐水態様を切り替えるための流路切替機構2を含む水栓700の作用及び効果を説明する。
【0054】
(3)吐水態様を切り替えるための流路切替機構を含む水栓の作用及び効果:
図9,10は、流出流路部60の通水位置が切り替わる途中の様子も模式的に例示している。
原水ストレート用の第一通水位置P1から原水シャワー用の第二通水位置P2に切り替わる途中の様子は、図9に示す途中位置P1-2に示されている。この場合、第一通水孔41は圧力逃がし孔75aと一部重なり、第二通水孔42は圧力逃がし孔75cと一部重なっている。従って、圧力逃がし孔75aは、流出流路部60が途中位置P1-2にある場合に第一通水孔41に繋がって第一通水孔41から原水(FL1)を連絡部72c経由で第二吐水孔72dから流出させる。圧力逃がし孔75cは、流出流路部60が途中位置P1-2にある場合に第二通水孔42に繋がって第二通水孔42から浄水(FL2)を連絡部72c経由で第二吐水孔72dから流出させる。尚、圧力逃がし孔75a~75dは、いずれも内側シール材51~54と外側シール材55との間にあるので、厳密には第一通水孔41及び第二通水孔42から流体FLを連絡部72c経由で第二吐水孔72dから流出させることになる。後述する途中位置P2-3,P3-4,P4-1でも、同じことがいえる。
【0055】
原水シャワー用の第二通水位置P2から浄水ストレート用の第三通水位置P3に切り替わる途中の様子は、図9に示す途中位置P2-3に示されている。この場合、第一通水孔41は圧力逃がし孔75bと一部重なり、第二通水孔42は圧力逃がし孔75dと一部重なっている。従って、圧力逃がし孔75bは、流出流路部60が途中位置P2-3にある場合に第一通水孔41に繋がって第一通水孔41から原水(FL1)を連絡部72c経由で第二吐水孔72dから流出させる。圧力逃がし孔75dは、流出流路部60が途中位置P2-3にある場合に第二通水孔42に繋がって第二通水孔42から浄水(FL2)を連絡部72c経由で第二吐水孔72dから流出させる。
【0056】
浄水ストレート用の第三通水位置P3から浄水シャワー用の第四通水位置P4に切り替わる途中の様子は、図10に示す途中位置P3-4に示されている。この場合、第一通水孔41は圧力逃がし孔75cと一部重なり、第二通水孔42は圧力逃がし孔75aと一部重なっている。浄水シャワー用の第四通水位置P4から原水ストレート用の第一通水位置P1に切り替わる途中の様子は、図10に示す途中位置P4-1に示されている。この場合、第一通水孔41は圧力逃がし孔75dと一部重なり、第二通水孔42は圧力逃がし孔75bと一部重なっている。途中位置P3-4,P4-1においても、圧力逃がし孔75は、第一通水孔41に繋がって第一通水孔41から原水(FL1)を連絡部72c経由で第二吐水孔72dから流出させ、第二通水孔42に繋がって第二通水孔42から浄水(FL2)を連絡部72c経由で第二吐水孔72dから流出させる。
【0057】
以上説明したように、流出流路部60の通水位置を切り替える途中において、流出流路部60の圧力逃がし孔75は、通水部30の第一通水孔41に繋がって第一通水孔41から原水(FL1)を流出させ、通水部30の第二通水孔42に繋がって第二通水孔42から浄水(FL2)を流出させる。これにより、流出流路部60の通水位置を切り替える途中において、高い流体圧が生じず、切り替え操作がし易くなる。従って、本具体例の流路切替機構2は、吐水態様を切り替える操作性が向上する。
【0058】
尚、流出流路部60の通水位置を切り替える途中において通水孔40から第二流路72に流体FLを流出させるために第二流路孔72aを長孔にすると、吐出される流体FLの流れに影響し、シャワー形状(102)が変形してしまう。流出流路部60の通水位置を切り替える途中において通水孔40から第一流路71に流体FLを流出させるために第一流路孔71aを長孔にしても、吐出される流体FLの流れに影響し、ストレート形状(101)が変形してしまう。
本具体例の圧力逃がし孔75a~75dは第一流路孔71aからも第二流路孔72aからも離隔しているので、吐出される流体の流れへの影響が抑制され、吐水形状の変形が抑制される。
【0059】
また、4種類と多くの種類がある吐出態様を切り替えるための流路切替機構において、第二流路孔72a又は第一流路孔71aを長孔にすると、シール材の形状が複雑になったり流路切替機構の構造容積が増大したりする。本具体例の流出流路部60は、径の小さい内側シール材51~54の外側に圧力逃がし孔75a~75dを有しているので、Oリングのように、形状が複雑でない内側シール材51~54を使用することができ、構造容積が少なくて済む。
【0060】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
本技術を適用可能な水栓は、システムキッチンに設けられた水栓に限定されず、洗面化粧台やシステムバス等に設けられた水栓でもよい。また、本技術を適用可能な流路切替機構は、浄水カートリッジに設けられた流路切替機構に限定されず、シャワーヘッド等に設けられた流路切替機構でもよい。
切り替え対象の吐水態様は、浄水シャワーが無くて原水ストレートと原水シャワーと浄水ストレートの3種類でもよい。第一通水位置P1において第一通水孔41と第一流路孔71aとが合わせられ、第二通水位置P2において第一通水孔41と第二流路孔72aとが合わせられ、第三通水位置P3において第二通水孔42と第一流路孔71aとが合わせられると、前述の3種類の吐水態様が実現される。また、切り替え対象の吐水態様は、浄水ストレートが無くて原水ストレートと原水シャワーと浄水シャワーの3種類でもよい。第一通水位置P1において第一通水孔41と第一流路孔71aとが合わせられ、第二通水位置P2において第一通水孔41と第二流路孔72aとが合わせられ、第三通水位置P3において第二通水孔42と第二流路孔72aとが合わせられると、前述の3種類の吐水態様が実現される。さらに、切り替え対象の吐水態様は、2種類でもよいし、5種類以上でもよい。
【0061】
切り替え対象の吐水形状は、ストレート形状と狭い範囲のシャワー形状と広い範囲のシャワー形状等、3種類以上でもよい。切り替え対象の吐水流体も、原水と浄水と電解水等、3種類以上でもよい。
原水から生成される第二流体は、電解水、バブル水、ミスト、等でもよい。例えば、電解水は、原水に電解処理を行うことにより生成される。
操作部は、流出流路部60を回転させることにより流出流路部60の位置を切り替えることに限定されず、通水部30を回転させることにより流出流路部60の相対位置を切り替えてもよいし、流出流路部60と通水部30の両方を回転させることにより流出流路部60の相対位置を切り替えてもよい。
流路切替機構は、ロータリー式に限定されず、スライド操作により吐水態様を切り替えるスライド式の機構等でもよい。
シール材51~55の少なくとも一部は、流出流路部60でなく通水部30に取り付けられてもよい。また、内側シール材51~54を流出流路部60に取り付けて外側シール材55を通水部30に取り付ける等、シール材51~55を流出流路部60と通水部30とに分散させて取り付けてもよい。
【0062】
圧力逃がし孔は、通水孔40から第二流路72を経由して流体を流出させることに限定されず、通水孔40から第一流路71を経由して流体を流出させてもよいし、通水孔40から第一流路71及び第二流路72とは異なる流路を経由して流体を流出させてもよい。
尚、圧力逃がし孔は、流出流路部60の通水位置を切り替える途中において第一通水孔41と第二通水孔42の一方にのみ繋がってもよい。この場合でも、圧力逃がし孔が繋がった通水孔から流体を流出させることにより、圧力逃がし孔が繋がった通水孔について高い流体圧が生じず、切り替え操作がし易くなる。特に、第一流体FL1から第二流体FL2を生成する場合、圧力逃がし孔が第一通水孔41に繋がると第一流体FL1の流体圧が下がることにより第二流体FL2の流体圧が下がり、圧力逃がし孔が第二通水孔42に繋がると第二流体FL2の流体圧が下がることにより第一流体FL1の流体圧が下がる。従って、流出流路部60の通水位置を切り替える途中において高い流体圧が生じず、切り替え操作がし易くなる。
【0063】
図11に例示するように、通水部30に通水孔40が一つしか無い場合にも本技術を適用可能である。図11は、吐水形状を切り替えるための流路切替機構2に含まれる通水部30、内側シール材51,52、外側シール材55、及び、流出流路部60を例示する平面図である。図11に示す流路切替機構2も、水栓に設けることが可能である。
図11に示す通水部30は、図5に示す内側延出部33が無く、通水孔40から流出する流体FLを受ける凹部32aを有する外側延出部32、及び、フランジ部34を備えている。流出流路部60は、通水部30の第一対向面30aに対向する第二対向面60aに第一流路孔71a、第二流路孔72a、外側シール材55を取り付けるための溝61a、第一流路孔71aと第二流路孔72aとの間の圧力逃がし孔75a,75bを有している。第一流路71は、第一流路孔71aから流入した流体FLによりストレート形状(101)を実現させる。第二流路72は、第二流路孔72aから流入した流体FLによりシャワー形状(102)を実現させる。
【0064】
図11に示す複数の通水位置には、第二流路孔72aが第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されて第一流路孔71aが通水孔40に合わせられる第一通水位置P1、及び、第一流路孔71aが第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されて第二流路孔72aが通水孔40に合わせられる第二通水位置P2が含まれる。圧力逃がし孔75a,75bは、第一流路孔71a及び第二流路孔72aから離隔し、流出流路部60が第一通水位置P1と第二通水位置P2との間にある場合に通水孔40に繋がって通水孔40から第二流路72を経由して流体FLを流出させる。ユーザーは、図11には示されていない摘み92を操作することにより、回転中心線AX1を中心として流出流路部60を回転させることができる。
図11に示す流路切替機構2も、流出流路部60の相対位置を第一通水位置P1と第二通水位置P2との間で切り替える途中において、高い流体圧が生じず、切り替え操作がし易くなる。従って、吐水形状を切り替える操作性が向上する。
【0065】
図12に例示するように、流出流路部60に流路孔70aが一つしか無い場合にも本技術を適用可能である。図12は、吐水流体を切り替えるための流路切替機構2に含まれる通水部30、内側シール材51,53、外側シール材55、及び、流出流路部60を例示する平面図である。図12に示す流路切替機構2も、浄水カートリッジに設けることが可能である。
図12に示す通水部30は、図5に示す通水部30と同じである。すなわち、第一通水孔41は原水(FL1)が流出し、第二通水孔42は浄水(FL2)が流出する。図12に示す流出流路部60は、図5に示す第二流路72及び第二閉塞部74が無い。流出流路部60は、通水部30の第一対向面30aに対向する第二対向面60aに流路孔70a、内側シール材53に囲まれた閉塞部(第一閉塞部73の符号を付している。)、外側シール材55を取り付けるための溝61a、流路孔70aと閉塞部(73)との間の圧力逃がし孔75a,75bを有している。流路70は、流路孔70aから流入した流体FLにより所定の吐水形状(例えばストレート形状)を実現させる。
【0066】
図12に示す複数の通水位置には、第二通水孔42が第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されて第一通水孔41が流路孔70aに合わせられる第一通水位置P1、及び、第一通水孔41が第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されて第二通水孔42が流路孔70aに合わせられる第二通水位置P2が含まれる。流出流路部60が第一通水位置P1にある場合には第一通水孔41から流路70に流入した原水(FL1)が吐水孔から吐出し、流出流路部60が第二通水位置P2にある場合には第二通水孔42から流路70に流入した浄水(FL2)が吐水孔から吐出する。圧力逃がし孔75a,75bは、流路孔70aから離隔し、流出流路部60が第一通水位置P1と第二通水位置P2との間にある場合に第一通水孔41及び第二通水孔42に繋がって、第一通水孔41から流路70を経由して原水(FL1)を流出させ、第二通水孔42から流路70を経由して浄水(FL2)を流出させる。ユーザーは、図12には示されていない摘み92を操作することにより、回転中心線AX1を中心として流出流路部60を回転させることができる。
図12に示す流路切替機構2も、流出流路部60の相対位置を第一通水位置P1と第二通水位置P2との間で切り替える途中において、高い流体圧が生じず、切り替え操作がし易くなる。従って、吐水流体を切り替える操作性が向上する。
【0067】
尚、図13に例示するように、吐水流体の切り替えに着目して本技術の各要素を当てはめてもよい。図13に示す例も、図9,10に示す例のように、流出流路部60が回転中心線AX1を中心として90°ずつ回転する毎に吐出態様が原水ストレート、原水シャワー、浄水ストレート、及び、浄水シャワーの順に切り替わる。ただし、吐水流体が原水(FL1)となる通水位置を第一通水位置P1に当てはめ、吐水流体が浄水(FL2)となる通水位置を第二通水位置P2に当てはめている。すなわち、第一通水位置P1では、第二通水孔42が第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されて第一通水孔41が第一流路孔71a又は第二流路孔72aに合わせられる。第二通水位置P2では、第一通水孔41が第一対向面30aと第二対向面60aとの間で閉塞されて第二通水孔42が第一流路孔71a又は第二流路孔72aに合わせられる。
【0068】
流出流路部60が原水シャワー(第一通水位置P1)から浄水ストレート(第二通水位置P2)に切り替わる途中において、第一通水孔41が圧力逃がし孔75bと一部重なり、第二通水孔42は圧力逃がし孔75dと一部重なる。これにより、少なくとも圧力逃がし孔75bが第一通水孔41から第二流路72を経由して原水(FL1)を流出させ、少なくとも圧力逃がし孔75dが第二通水孔42から第二流路72を経由して浄水(FL2)を流出させる。流出流路部60が浄水シャワー(第二通水位置P2)から原水ストレート(第一通水位置P1)に切り替わる途中において、第一通水孔41が圧力逃がし孔75dと一部重なり、第二通水孔42は圧力逃がし孔75bと一部重なる。これにより、少なくとも圧力逃がし孔75dが第一通水孔41から第二流路72を経由して原水(FL1)を流出させ、少なくとも圧力逃がし孔75bが第二通水孔42から第二流路72を経由して浄水(FL2)を流出させる。いずれの場合も、流出流路部60の相対位置を第一通水位置P1と第二通水位置P2との間で切り替える途中において、高い流体圧が生じず、切り替え操作がし易くなる。
【0069】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、吐水態様を切り替える操作性を向上させる技術等を提供することができる。むろん、独立請求項(実施形態に記載した態様を含む。)に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1…浄水カートリッジ、2…流路切替機構、
10…ケース、15…濾材(処理材の例)、20…濾材保持部材、
30…通水部、30a…第一対向面、31…プレート部、
32…外側延出部、32a…凹部、33…内側延出部、33a…凹部、
40…通水孔、41…第一通水孔、42…第二通水孔、
51,52,53,54…内側シール材、55…外側シール材、
60…流出流路部、60a…第二対向面、60b…吐水面、
61…流路孔形成部、61a…溝、62…連絡部形成部、62a…内壁、62b…外壁、
70…流路、70a…流路孔、
71…第一流路、
71a…第一流路孔、71b…凹部、71c…連絡部、71d…第一吐水孔、
72…第二流路、
72a…第二流路孔、72b…凹部、72c…連絡部、72d…第二吐水孔、
73…第一閉塞部、73a…溝、74…第二閉塞部、74a…溝、
75,75a,75b,75c,75d…圧力逃がし孔、
80…操作部、85…環状部材、90…レバー部材、
101…第一吐水形状、102…第二吐水形状、
700…水栓、702…水栓本体(原水供給部の例)、710…カートリッジ取付部、
AX1…回転中心線、
CL1…隙間、
FL…流体、FL1…第一流体、FL2…第二流体、
P1…第一通水位置、P2…第二通水位置、P3…第三通水位置、P4…第四通水位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13