(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ケーブル保護管路
(51)【国際特許分類】
H02G 9/06 20060101AFI20240430BHJP
F16L 27/113 20060101ALI20240430BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20240430BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H02G9/06 050
F16L27/113
F16L57/00 A
H02G1/06
(21)【出願番号】P 2018165319
(22)【出願日】2018-09-04
【審査請求日】2021-08-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】竹村 茂雄
【合議体】
【審判長】吉田 美彦
【審判官】須田 勝巳
【審判官】山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198338(JP,A)
【文献】特開平7-260055(JP,A)
【文献】実開平1-83988(JP,U)
【文献】特開2017-163627(JP,A)
【文献】特開2017-198338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/06
H02G 1/06
F16L27/113
F16L57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーブル保護管と
前記ケーブル保護管同士を連結するケーブル保護管用継手と、
を備え、
前記ケーブル保護管用継手は、
本管と、
前記本管の管軸に沿う管軸方向の両端に設けられて前記ケーブル保護管の挿入端部を挿入可能な受口と、
を備え、
前記受口は、
前記本管に向かって拡径しつつ延びている第1拡径部と、前記第1拡径部に対して前記本管側に配置され前記第1拡径部に直結され
、前記本管に近づくにしたがって縮径している第1縮径部と、を備え、
前記第1拡径部が前記管軸に対してなす角度は、3°以上12°以下であり、
前記受口には、
前記ケーブル保護管の前記挿入端部の端面に接するストッパー面を有するストッパー部が設けられ、
前記ストッパー部は、前記受口に着脱自在に装着され、前記管軸方向から見て環状に形成された環状部材を有し、
通常使用時において、前記環状部材は、前記第1拡径部と前記第1縮径部とが直結された部分の径方向の内側に
、前記ケーブル保護管の前記挿入端部の端面と前記第1縮径部の内周面に当接し、かつ、前記第1拡径部の内面には当接せずに配置され、
前記環状部材には、前記管軸方向を中心とする周方向において前記環状部材を前記周方向に分断するスリットが形成され
、
前記ストッパー面において最も径が小さい位置の内径は、前記ケーブル保護管の外径より小さく、前記ケーブル保護管の内径以上であり、
前記本管の内径は、前記ケーブル保護管の外径より小さいことを特徴とするケーブル保護管路。
【請求項2】
前記ストッパー部は可撓性を有する、
請求項1に記載のケーブル保護管路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル保護管路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、景観改善や防災等のために、電線等のケーブル及び該ケーブルに関係する設備等を地中に埋設する電線類地中化(無電柱化)が推進されている。電線類地中化を行う場合、ケーブルは、直接またはさや管に挿入された状態で、ケーブル保護管内に複数本収容される。このようなケーブル保護管は、多数連結した状態で地中に埋設されることでケーブル保護管路を構成する。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の屈曲自在部を有する継手部材で複数のケーブル保護管同士が連結されているケーブル保護管路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のケーブル保護管路では、耐震性を高める観点及びケーブル保護管や継手部材の熱収縮の影響によってケーブルに損失が加わるのを防止することが望ましい。そのため、従来のケーブル保護管又は継手部材の受口の長さは、ケーブル保護管が挿入される長さと熱収縮によるケーブル保護管の最大変化長との和と同等であった。このように受口の長さが設定されたケーブル保護管路では、施工時に、ケーブル保護管を受口における挿入方向の先端から最大変化長だけ戻った位置で止める。すなわち、施工時に、受口の途中でケーブル保護管の挿入を止める必要があった。しかしながら、受口が複数あるケーブル保護管路の施工時には、先に受口に挿入されたケーブル保護管がその後のケーブル保護管と受け口との連結作業時にかかる力を受けて、先に挿入された位置からずれることがあった。そのため、ケーブル保護管と受口との連結作業には、専用の管挿入機が必要であった。
【0006】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、受口に挿入したケーブル保護管を受口の途中で容易に留めることができるケーブル保護管路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るケーブル保護管路は、複数のケーブル保護管と前記ケーブル保護管同士を連結するケーブル保護管用継手と、を備え、前記ケーブル保護管用継手は、本管と、前記本管の管軸に沿う管軸方向の両端に設けられて前記ケーブル保護管の挿入端部を挿入可能な受口と、を備え、前記受口は、前記本管に向かって拡径しつつ延びている第1拡径部と、前記第1拡径部に対して前記本管側に配置され前記第1拡径部に直結され、前記本管に近づくにしたがって縮径している第1縮径部と、を備え、前記第1拡径部が前記管軸に対してなす角度は、3°以上12°以下であり、前記受口には、前記ケーブル保護管の前記挿入端部の端面に接するストッパー面を有するストッパー部が設けられ、前記ストッパー部は、前記受口に着脱自在に装着され、前記管軸方向から見て環状に形成された環状部材を有し、通常使用時において、前記環状部材は、前記第1拡径部と前記第1縮径部とが直結された部分の径方向の内側に、前記ケーブル保護管の前記挿入端部の端面と前記第1縮径部の内周面に当接し、かつ、前記第1拡径部の内面には当接せずに配置され、前記環状部材には、前記管軸方向を中心とする周方向において前記環状部材を前記周方向に分断するスリットが形成され、前記ストッパー面において最も径が小さい位置の内径は、前記ケーブル保護管の外径より小さく、前記ケーブル保護管の内径以上であり、前記本管の内径は、前記ケーブル保護管の外径より小さいことを特徴とする。
本発明の一態様に係るケーブル保護管路は、複数のケーブル保護管と前記ケーブル保護管同士を連結するケーブル保護管用継手と、を備え、前記ケーブル保護管用継手は、本管と、前記本管の管軸に沿う管軸方向の両端に設けられて前記ケーブル保護管の挿入端部を挿入可能な受口と、を備え、前記受口は第1拡径部を備え、前記第1拡径部が前記管軸に対してなす角度は、3°以上12°以下であり、前記受口には、前記挿入端部の端面に接するストッパー面を有するストッパー部が設けられ、前記ストッパー部は、可撓性を有するとともに前記第1拡径部の径方向の内側に配置され、前記ストッパー面において最も径が小さい位置の内径は、前記ケーブル保護管の外径より小さく、前記ケーブル保護管の内径以上であり、前記本管の内径は、前記ケーブル保護管の外径より小さいことを特徴とする。
【0008】
上述の構成では、ストッパー面の内径がケーブル保護管の外径より小さく、かつケーブル保護管の内径以上であるので、受口にケーブル保護管を挿入した際に挿入端部の端面がストッパー面に当たり、ケーブル保護管の進入が停止する。すなわち、専用の管挿入機を使用しなくても、受口に挿入したケーブル保護管を受口の途中で容易に止めることができる。
【0009】
上述のケーブル保護管路では、前記ストッパー部は、前記受口に着脱自在に装着され、前記管軸方向から見て環状に形成された環状部材を有し、前記環状部材には、前記管軸方向を中心とする周方向において前記環状部材を前記周方向に分断するスリットが形成されていてもよい。
【0010】
上述の構成では、ストッパー部が環状部材を有し、環状部材にスリットが形成されているので、環状部材の変形の自由度が生じ、ケーブル保護管の挿入端部の端面がストッパー面に当たった際にストッパー部に加わる衝撃が環状部材の全体に分散される。
【0011】
上述のケーブル保護管路では、前記ストッパー部は可撓性を有することが好ましい。
【0012】
上述の構成では、地震発生時や施工において温度差が生じた時に、ケーブル保護管に対して挿入方向に大きな力が作用しても、ストッパー部が径方向の外側に向けて変形し、ケーブル保護管がストッパー部の径方向の内側を通過する。このことによって、ケーブル保護管の挿入余代が確保される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るケーブル保護管路によれば、受口に挿入したケーブル保護管を受口の途中で容易に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る第1実施形態のケーブル保護管路の平面図である。
【
図2】
図1に示すII-II線で矢視したケーブル保護管路の断面図である。
【
図3】
図1に示す領域Zのケーブル保護管路の断面図である。
【
図4】
図3に示すIV-IV線で矢視したケーブル保護管用継手の断面図である。
【
図5】
図1に示す領域Zの第2実施形態のケーブル保護管路の断面図である。
【
図6】
図5に示すケーブル保護管路のストッパー部を管軸方向から見た正面図である。
【
図7】
図5に示すケーブル保護管路の別の断面図である。
【
図8】
図7に示すケーブル保護管路のストッパー部を管軸方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るケーブル保護管用継手及びケーブル保護管路の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0016】
(第1実施形態)
はじめに、本発明の第1実施形態のケーブル保護管路について説明する。
【0017】
[ケーブル保護管路の構成]
図1及び
図2に示すように、本発明を適用した一実施形態のケーブル保護管路4は、無電柱化による景観保護等のために、ケーブル1を電線等地中化するために用いられる。ケーブル保護管路4は、例えば、道路等の地中に所要の間隔を有して複数の不図示のマンホール等を埋設した状態で、これらのマンホール間を横方向(即ち、水平方向)に沿ってつなげるように設置されている。
【0018】
ケーブル保護管路4は、内部にケーブル1を収容可能に構成された1本以上のケーブル保護管5と、ケーブル保護管5同士を連結可能に構成されたケーブル保護管用継手(以下、単に継手という場合がある)21と、を備えている。
【0019】
ケーブル保護管5は、樹脂製の管材であって、例えばボディ管やフリーアクセス管と呼ばれるものが該当する。ボディ管として使用される場合には、
図2に示すように、ケーブル保護管5の内部には、ケーブル1を収容したさや管2が複数本まとめて収容されている。ボディ管の呼び径は、150(外径約165mm)から250(外径約267mm)と比較的大きい。
【0020】
なお、ケーブル1の種類等に応じて、さや管2は省略される場合がある。また、フリーアクセス管として使用される場合にも、さや管2は省略される。例えば、ケーブル保護管5の外面には不図示の分岐継手が設けられ、フリーアクセス管の呼び径は100(外径約114mm)から150(外径約165mm)とされる場合がある。ケーブル1はケーブル保護管5の内部に収容されることで、地中の土砂等から隔離及び保護されている。
【0021】
さや管2は、継手21の内部で連続している。継手21の内部で連続とは、例えば、ケーブル保護管5同士を連結している継手21の内部において、1本のさや管2が接合部なく連続していること、または、継手21の内部において、さや管2同士が接着剤または嵌合によって連結されていることである。
【0022】
[ケーブル保護管用継手の構成]
図1に示すように、継手21は、可撓性を有し、ケーブル保護管5同士を連結可能に構成されている。継手21は、本管31と、本管31の管軸J31に沿う管軸方向Aの両端に設けられた受口41,42と、を備える。受口41には、ケーブル保護管5の挿入端部6が挿入されている。受口42には、別のケーブル保護管5の挿入端部7が挿入されている。挿入端部6,7のそれぞれは、受口41,42に対して挿入可能及び抜出可能とされている。
【0023】
第1実施形態では、継手21として
図3に示す継手26が用いられている。
図3に示すように、本管31は、直線状に形成され、所謂短管である。
【0024】
図3に示すように、受口41の管軸方向Aの途中には、支持部102が設けられている。支持部102は、挿入端部6の挿入方向の端面125より手前側で挿入端部6を、受口41の内部に支持する。挿入端部6の挿入方向は、端面125が進む方向であり、
図3の左側から右側に進む方向である。挿入端部6は、支持部102に支持されることによって、受口41の内部で管軸J31に対して回転可能である。
【0025】
受口41は、管軸方向Aに沿って支持部102から離れるにしたがって、支持部102を中心に拡径している。詳細には、受口41は、支持部102を構成する第1膨出部61、第1拡径部51、ストッパー部58、第1縮径部53、第2拡径部52を備えている。
【0026】
第1膨出部61は、管軸方向Aに直交する径方向Bにおいて外側に膨出している。第1膨出部61の内周面には、凹部が形成されている。凹部には、ゴム輪等の弾性部材64が嵌められている。ケーブル保護管5の外周面が弾性部材64に当接した状態で、挿入端部6は安定して支持部102に支持されている。
【0027】
第1拡径部51は、第1膨出部61の本管31側の端から本管31に向かって、拡径しつつ、延びている。第1拡径部51が管軸J31に対してなす角度は、3°以上12°以下であることが好ましく、5.5°以上6°以下であることがより好ましい。
【0028】
ストッパー部58は、第1拡径部51の本管31側の端から本管31に向かって、管軸方向Aに直交する径方向Bにおいて内側に膨出しつつ、延びている。ケーブル保護管5の継手26への通常使用時は、挿入端部6の端面125がストッパー部58の内周面に接する。つまり、受口41には、挿入端部6の端面125に接するストッパー面75を有するストッパー部58が設けられている。
【0029】
ストッパー面75において最も径が小さい位置77の内径201は、ケーブル保護管5の外径202より小さく、ケーブル保護管5の内径203以上である。端面125には、曲面であるストッパー面75に対して、管軸J31に対して所定の角度で傾斜して当たる当たり面127が設けられている。当たり面127は、端面125において径方向Bの外側に形成されている。また、当たり面127は、径方向Bの内側に膨出するストッパー面75に当たりやすくなるように、径方向Bの内側から外側に進むにしたがって、本管31から遠ざかるように、管軸J31に対して所定の角度で傾斜している。
【0030】
図4に示すように、ストッパー部58は、管軸J31を中心とする周方向Cにおいて、間隔をあけて2つ以上設けられている。
図4は、受口41の周方向Cに4つのストッパー部58が設けられている例を示している。なお、ストッパー部58は、周方向Cの全体に設けられていてもよい。周方向Cにおけるストッパー部58の大きさ及び周方向Cにおけるストッパー部58の割合は、特に限定されず、適宜決められている。
【0031】
図3に示すように、第1縮径部53は、ストッパー部58の本管31側の端から本管31まで延び、本管31に近づくしたがって縮径している。
【0032】
第2拡径部52は、管軸方向Aにおいて、第1膨出部61の本管31側とは反対側の端から受口41の端(受口の本管に接する端部とは反対側の端部)137まで延びている。第2拡径部52は、第1膨出部61の本管31側とは反対側の端から、端137に近づくにしたがって拡径している。第2拡径部52が管軸J31に対してなす角度は、第1拡径部51と同様に、3°以上12°以下であることが好ましく、5.5°以上6°以下であることがより好ましい。第2拡径部52の長さは、支持部102に支持されて管軸J31に対して回転する挿入端部6を支持部102と端137との間で補助的に支持するように、挿入端部6の長さ及び第1拡径部51の長さを考慮して適宜設定されている。
【0033】
受口42は、ストッパー部58を備えず、第1拡径部51と第1縮径部53とが直結していること以外は、受口41と同様の構成を備えている。ただし、受口42は、受口41と同様の構成を備え、ストッパー部58を備えてもよい。
【0034】
ケーブル保護管5及び継手26の素材としては、可撓性を有して弾性変形可能な樹脂が好ましく、例えばポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。
【0035】
[作用効果]
以上説明した第1実施形態のケーブル保護管路4は、複数のケーブル保護管5とケーブル保護管用継手21と、を備えている。ケーブル保護管用継手21は、本管31と、受口41,42と、を備える。受口41には、挿入端部6の端面125に接するストッパー面75を有するストッパー部58が設けられている。ストッパー部58において最も径が小さい位置77の内径201は、ケーブル保護管5の外径202より小さく、ケーブル保護管5の内径203以上である。
上述の構成では、
図3に示すように、受口41にケーブル保護管5を挿入した際に、挿入端部6の端面125の当たり面127がストッパー面75に当たり、ケーブル保護管5の進入を止めることができる。すなわち、専用の管挿入機を使用しなくても、受口41に挿入したケーブル保護管5を受口41の管軸方向Aの途中で容易に止めることができる。受口41にストッパー部58が設けられていることによって、受口41,42に挿入される挿入端部6,7同士の衝突を回避できる。
【0036】
また、第1実施形態のケーブル保護管路4では、継手26のストッパー部58が可撓性を有する。そのため、地震発生時のように、ケーブル保護管5の挿入方向に大きな力が作用した際には、ストッパー部58が弾性変形し、径方向Bにおいて外側に膨出し、挿入余代を確保できる。ストッパー部58の弾性変形によって、ケーブル保護管5は、管軸方向Aに沿って挿入余代分だけ移動可能になり、作用した大きな力を吸収する。このことによって、通常使用時、地震発生時のいずれの場合であっても、ケーブル1やさや管2の破損を防止できる。
【0037】
(第2実施形態)
次いで、本発明の第2実施形態のケーブル保護管路について説明する。第2実施形態のケーブル保護管路の構成のうち、第1実施形態のケーブル保護管路の構成と共通するものについては、第1実施形態と共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
[ケーブル保護管路の構成]
図示していないが、第2実施形態のケーブル保護管路は、第1実施形態のケーブル保護管路4における継手21として
図5に示す継手27及びストッパー部材(ストッパー部)70を用いたものである。
【0039】
図5に示すように、第2実施形態では、受口41は第1実施形態のストッパー部58に替えてストッパー部材70を備え、管軸方向Aにおいて第1拡径部51と第1縮径部53とが直結している。ストッパー部材70は、受口41とは別の部材として構成されている。すなわち、ストッパー部材70は、受口41に着脱自在に装着されている。
【0040】
図6に示すように、ストッパー部材70は、管軸方向Aから見て環状に形成された環状部材80を有する。つまり、環状部材80は、
図6に示す環状形状の断面を有し、管軸J31を共有する円筒部材である。
図5に示すように、環状部材80の外径及び内径201は、管軸方向Aにおいて一定である。第1実施形態と同様に、内径201は、外径202より小さく、内径203以上である。
【0041】
図5に示すように、ストッパー部材70は、ケーブル保護管路4の通常使用時において管軸方向Aにおいて挿入端部6の端面125と第1縮径部53の内周面との間に介在している。ストッパー部材70の本管31側の端71の少なくとも一部は、第1縮径部53の内周面に接している。ストッパー部材70の本管31側とは反対側の端72の少なくとも一部は、端面125に接している。
【0042】
端72には、当たり面127に沿うストッパー面75が形成されている。第2実施形態では、ストッパー面75は、管軸方向Aにおいて環状部材80の本管31側とは反対側の端72で径方向Bに延びる端面である。環状部材80のストッパー面75は、径方向Bの内側から外側に進むにしたがって、本管31から遠ざかるように、管軸J31に対して所定の角度で傾斜している。当たり面127は、前述のストッパー面75に当たるように、端面125において径方向Bの内側から外側に進むにしたがって、本管31から遠ざかるように、管軸J31に対して所定の角度で傾斜している。
【0043】
図6に示すように、環状部材80には、管軸方向Aを中心とする周方向Cにおいて環状部材80を分断するスリット82が形成されている。自然状態において、周方向Cにおいてスリット82を挟んで互いに向かい合う環状部材80の端面86,86同士の離間距離88は、環状部材80の外周長と管軸方向Aにおいて受口41の端(受口の本管に接する端部とは反対側の端部)137の内周長との差より大きい。
【0044】
継手27及びストッパー部材70の素材としては、可撓性を有して弾性変形可能な樹脂が好ましく、例えばポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。
【0045】
[作用効果]
第2実施形態のケーブル保護管路は、第1実施形態のケーブル保護管路4と同様の構成を備えるので、第1実施形態のケーブル保護管路4と同様の作用効果を奏する。
【0046】
また、第2実施形態のケーブル保護管路では、ストッパー部材70が環状部材80を有し、環状部材80にスリット82が形成されているので、ケーブル保護管5の挿入端部6の端面125がストッパー面75に当たった際にストッパー部材70に加わる衝撃がスリット82に向けて分散される。
【0047】
また、第2実施形態のケーブル保護管路では、環状部材80は可撓性を有する。環状部材80の端面86,86同士の離間距離88は、環状部材80の外周長と受口41の端137の内周長との差より大きい。そのため、ケーブル保護管5が支持部102で支持されて支持部102を中心として管軸J31に対して端137に接する範囲内で回転した際でも、ケーブル保護管5の端面125が環状部材80のストッパー面75に当たる。このことによって、ストッパー機能を損なわない範囲でストッパー部材70の変形の自由度を付与できる。また、地震発生時や施工において温度差が生じた時に、ケーブル保護管5に対して挿入方向に大きな力が作用しても、環状部材80が拡径し、ケーブル保護管5が環状部材80の内部を通過する。このことによって、ケーブル保護管5の挿入余代を確保できる。
【0048】
図7及び
図8に示すように、例えば、地震発生時のようにケーブル保護管5に大きな力が作用した際には、ストッパー部材70が弾性変形する。
図8に示すように、周方向Cにおいて離間距離88が弾性変形前より大きくなり、ストッパー部材70が
図8の二点鎖線で示すように拡径する。ストッパー部材70の拡径によって、
図7に示すように、ストッパー部材70が径方向Bにおいて挿入端部6と第1拡径部51との間に移動する。このようなストッパー部材70の移動によって、挿入余代を作り出すことができる。したがって、ケーブル保護管5は、管軸方向Aに沿って挿入余代分だけ移動可能になり、作用した大きな力を吸収する。このことによって、通常使用時、地震発生時のいずれの場合であっても、ケーブル1やさや管2の破損を確実に防止できる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0050】
例えば、上述の実施形態では、ケーブル保護管路4が施工場所の形状等に合わせて所定の範囲で屈折可能となるように、ケーブル保護管5が支持部102、第1拡径部51及び第2拡径部52を備えていることを説明した。ケーブル保護管路4の一部又は全部が直線状に施工される場合であれば、第1拡径部51及び第2拡径部52の内径及び外径が管軸方向Aに沿って一定であってもよい。その場合、第1拡径部51及び第2拡径部52の内径は、ケーブル保護管5の外径202以上であり、外径202と略同等になっていることが好ましい。また、第2実施形態で説明したように受口41とは別部材のストッパー部材70を用いる場合は、第1拡径部51は第1実施形態で説明したように管軸方向Aに沿って拡径し、第2拡径部52の内径及び外径が管軸方向Aに沿って一定であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
4…ケーブル保護管路、5…ケーブル保護管、21,26,27…継手(ケーブル保護管用継手)、31…本管、41,42…受口