(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】製造発注支援装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240430BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2019182308
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 英明
(72)【発明者】
【氏名】山川 和浩
(72)【発明者】
【氏名】北 佑二郎
【審査官】橋沼 和樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/035133(WO,A1)
【文献】特開2003-141179(JP,A)
【文献】特開2001-357241(JP,A)
【文献】特開2003-067598(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0043014(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品メーカが使用する第1の端末装置および部品メーカが使用する第2の端末装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能な製造発注支援装置であって、
前記第1の端末装置から製品の設計情報を取得する取得部と、
取得された前記設計情報から部品に関する情報を認識し、認識された前記部品に関する情報に基づいて部品別に当該部品を製造するために必要な部品製造情報を生成する部品製造情報生成部と、
生成された前記部品製造情報と、前記部品メーカの製造能力に関する情報とに基づいて、前記部品別に当該部品の発注先となる部品メーカを選定する選定部と
を具備し、
前記部品製造情報生成部は、
前記設計情報に含まれる前記製品の組立図および部品の仕様情報をもとに、前記製品を構成する部品の形状およびサイズを認識する第1の処理と、
前記部品ごとに、当該部品の形状およびサイズと、前記製品メーカから指定される部品の製造に必要な条件とに基づいて、前記部品の製作図および加工工程の設計情報を生成し、生成された前記製作図および前記加工工程の設計情報を前記部品製造情報とする第2の処理と
を実行し、
前記第2の処理は、
前記部品の形状およびサイズに基づいて当該部品の三次元または二次元の部品図を生成し、生成された前記部品図を前記第1の端末装置へ出力する処理と、
前記部品図の出力に対し、前記第1の端末装置から前記部品の製造に必要な条件を表す補足情報を取得する処理と、
事前に取得し保存しておい
た部品加工技術に関する情報に基づいて前記部品の加工内容を判定する処理と、
判定された前記加工内容と前記補足情報とに基づいて前記加工工程を表す情報を生成する処理と
を実行する製造発注支援装置。
【請求項2】
前記部品製造情報に基づいて前記部品の発注書情報を生成し、生成された発注書情報を、選定された前記部品メーカが使用する前記第2の端末
装置に対し送信する発注部を、さらに具備する請求項1に記載の製造発注支援装置。
【請求項3】
前記選定部は、
前記第1の端末
装置から前記部品の発注条件を表す情報を取得する処理と、
前記第2の端末
装置から前記部品メーカの製造リソースを表す情報を取得する処理と、
取得された前記発注条件を表す情報と、取得された前記部品メーカの製造リソースを表す情報とを比較し、前記部品の発注条件を表す情報に示される条件を満たす製造リソースを有する部品メーカを選定する処理と
を実行する、請求項1に記載の製造発注支援装置。
【請求項4】
前記選定部は、
前記部品の発注先候補となる部品メーカを少なくとも1つ選択し、選択された前記部品メーカごとに、前記発注条件を表す情報と前記製造リソースを表す情報とをもとに前記部品の製造に係る見積情報を生成する処理と、
前記部品メーカごとに見積情報を前記第1の端末
装置および前記第2の端末
装置へ送信する処理と
を有する、
請求項3に記載の製造発注支援装置。
【請求項5】
前記発注部は、前記部品製造情報と前記製品メーカから指定される部品の製造に必要な条件とに基づいて、前記部品の製作図、加工工程の設計情報、発注量、価格および納期を表す情報のうち、少なくとも前記部品の製作図および加工工程の設計情報を含む前記発注書情報を生成する、請求項2に記載の製造発注支援装置。
【請求項6】
製品メーカが使用する第1の端末装置および部品メーカが使用する第2の端末装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能な情報処理装置が実行する製造発注支援方法であって、
前記第1の端末装置から製品の設計情報を取得する過程と、
取得された前記設計情報から部品に関する情報を認識し、認識された前記部品に関する情報に基づいて部品別に当該部品を製造するために必要な部品製造情報を生成する過程と、
生成された前記部品製造情報と、前記部品メーカの製造能力に関する情報とに基づいて、前記部品別に当該部品の発注先となる部品メーカを選定する過程と
を具備し、
前記部品製造情報を生成する過程は、
前記設計情報に含まれる前記製品の組立図および部品の仕様情報をもとに、前記製品を構成する部品の形状およびサイズを認識する第1の処理と、
前記部品ごとに、当該部品の形状およびサイズと、前記製品メーカから指定される部品の製造に必要な条件とに基づいて、前記部品の製作図および加工工程の設計情報を生成し、生成された前記製作図および前記加工工程の設計情報を前記部品製造情報とする第2の処理と
を実行し、
前記第2の処理は、
前記部品の形状およびサイズに基づいて当該部品の三次元または二次元の部品図を生成し、生成された前記部品図を前記第1の端末装置へ出力する処理と、
前記部品図の出力に対し、前記第1の端末装置から前記部品の製造に必要な条件を表す補足情報を取得する処理と、
事前に取得し保存しておい
た部品加工技術に関する情報に基づいて前記部品の加工内容を判定する処理と、
判定された前記加工内容と前記補足情報とに基づいて前記加工工程を表す情報を生成する処理と
を実行する製造発注支援方法。
【請求項7】
前記部品製造情報に基づいて前記部品の発注書情報を生成し、生成された発注書情報を、選定された前記部品メーカが使用する前記第2の端末
装置に対し送信する過程を、さらに具備する
請求項6に記載の製造発注支援方法。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれかに記載の製造発注支援装置が具備する前記各部が備える各処理を、前記製造発注支援装置が備えるハードウェアプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一態様は、例えば、製品メーカの製造・発注に係る業務を支援する製造発注支援装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工業製品を製造する場合、メーカは一般に、製品の設計図面をCAD(Computer Aided Design)等を使用した設計システムにより作成し、作成された設計図面をもとに部品表等を作成して、この部品表等に基づいて部品ごとにその加工業者または調達業者を選定し部品を発注するようにしている。そして、以上の作業を自動化するために、例えば上記部品表の作成処理および発注処理を行うソフトウェアをCAD設計システムに搭載した技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載された技術では、部品表の作成機能や部品の発注機能がCAD設計システムに搭載される。このため、CAD設計システムの処理負荷の増大やコストアップを招く。また、各製品メーカはそれぞれ、部品の製造業者または調達業者から加工可能な部品に関する情報を取得して、CAD設計システムの部品表作成機能および部品発注機能を初期設定しさらに定期的に更新する必要があり、その作業に多くの時間と労力を要する。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、設計システムの処理負荷の増大やコストアップを生じることなく部品発注先を選定できるようにし、さらに部品発注業務に係る人的負荷の軽減を図った技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明に係る製造発注支援装置、方法およびプログラムの第1の態様は、製品メーカが使用する第1の端末装置および部品メーカが使用する第2の端末装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能な製造発注支援装置において、前記第1の端末装置から製品の設計情報を取得し、取得された前記設計情報から部品に関する情報を認識し、認識された前記部品に関する情報に基づいて部品別に当該部品を製造するために必要な部品製造情報を生成し、生成された前記部品製造情報と、前記部品メーカの製造能力に関する情報とに基づいて、前記部品別に当該部品の発注先となる部品メーカを選定するようにしたものである。
また、この発明の第1の態様は、前記部品製造情報を生成する際に、前記設計情報に含まれる前記製品の組立図および部品の仕様情報をもとに、前記製品を構成する部品の形状およびサイズを認識する第1の処理と、前記部品ごとに、当該部品の形状およびサイズと、前記製品メーカから指定される部品の製造に必要な条件とに基づいて、前記部品の製作図および加工工程の設計情報を生成し、生成された前記製作図および前記加工工程の設計情報を前記部品製造情報とする第2の処理とを実行し、
さらに、上記第2の処理において、前記部品の形状およびサイズに基づいて当該部品の三次元または二次元の部品図を生成し、生成された前記部品図を前記第1の端末装置へ出力する処理と、前記部品図の出力に対し、前記第1の端末装置から前記部品の製造に必要な条件を表す補足情報を取得する処理と、事前に取得し保存しておいた部品加工技術に関する情報に基づいて前記部品の加工内容を判定する処理と、判定された前記加工内容と前記補足情報とに基づいて前記加工工程を表す情報を生成する処理とを実行することも特徴とする。
【0007】
この発明の第1の態様によれば、例えば、ネットワーク上に設けられた製造発注支援装置において、製品メーカから設計情報を取得する処理と、設計情報をもとに部品の製造に必要な情報を生成する処理と、部品の発注先となる部品メーカの選定処理が自動的に行われる。このため、例えば部品の製造に必要な情報の生成機能や部品の発注機能を製品メーカの設計システム等に搭載する必要がなくなり、これにより設計システムの処理負荷の増大やコストアップを防止することが可能となる。さらに、各製品メーカの担当者はそれぞれ、発注先となり得る複数の部品メーカから事前に製造能力に関する情報を取得して、設計システムの機能を初期設定したり、定期的に更新する作業を行う必要がなくなり、これにより製品メーカの人的な作業負担を軽減することが可能となり、業務効率を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
すなわち、この発明の一態様によれば、設計システムの処理負荷の増大やコストアップを生じることなく部品発注先を選定することが可能となり、さらに部品発注業務に係る製品メーカの人的負荷の軽減を図った技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係る製造発注支援装置を含むシステムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、この発明の一実施形態に係る製造発注支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、この発明の一実施形態に係る製造発注支援装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した製造発注支援装置による製造発注支援処理の全体の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図4に示したフローチャートのうちの部品製造情報生成処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図4に示したフローチャートのうちのマッチング処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図4に示したフローチャートのうちの見積・発注処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0011】
[一実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の一実施形態に係る製造発注支援装置を含むシステムの全体構成を示す図である。
この例では、システムは製造発注支援装置として動作するサーバコンピュータ(以後サーバ装置と称する)SVを備える。そして、サーバ装置SVが、各製品メーカ(セットメーカとも云う)がそれぞれ使用する第1の端末MA1~MAnと、各部品メーカ(部品製造業者または加工業者とも云う)がそれぞれ使用する第2の端末MB1~MBmとの間で、それぞれネットワークNWを介してデータ伝送を行えるようにしたものである。
【0012】
第1の端末MA1~MAnは、例えばCAD設計システムまたはパーソナルコンピュータからなる。第1の端末MA1~MAnは、製品メーカの技術者等が作成した製品の設計情報、使用部品の製造に必要な補足情報、および使用部品の発注に係る各種要求(または希望)を含む発注情報等を上記サーバ装置SVへ送信したり、サーバ装置SVから送られる見積情報等を受信するために使用される。
【0013】
第2の端末MB1~MBmは、例えばパーソナルコンピュータからなり、部品メーカが有する製造能力を表す製造リソース情報をサーバ装置SVへ送信したり、サーバ装置SVから送られる部品の発注書情報を受信するために使用される。
【0014】
なお、ネットワークNWは、例えば、インターネットを中核とする広域網と、この広域網にアクセスするためのアクセス網とを備える。アクセス網としては、例えば有線および無線の公衆ネットワーク、有線および無線のLAN(Local Area Network)、CATV(Cable Television)ネットワークが使用される。
【0015】
(2)装置
図2および
図3は、それぞれサーバ装置SVのハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
サーバ装置SVは、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを有する制御部1を備え、この制御部1に対しバス5を介して、プログラム記憶部2およびデータ記憶部3を有する記憶ユニットと、通信インタフェース(通信I/F)4を接続したものとなっている。
【0016】
通信I/F4は、制御部1の制御の下、ネットワークNWを介して上記第1の端末MA1~MAnおよび第2の端末MB1~MBmとの間でデータ伝送を行うもので、例えば有線ネットワーク用のインタフェースにより構成される。
【0017】
プログラム記憶部2は、例えば、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、この発明の一実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0018】
データ記憶部3は、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと組み合わせたもので、この発明の一実施形態を実施するために必要な主たる記憶領域として、設計情報記憶部31と、部品製造情報記憶部32と、発注情報記憶部33と、製造リソース情報記憶部34と、発注履歴情報記憶部35とを備えている。
【0019】
設計情報記憶部31は、製品メーカの第1の端末MA1~MAnからアップロードされた設計情報および製品メーカの属性情報を記憶するために使用される。設計情報には、例えば製品の組立図と仕様情報が含まれる。組立図は、例えばPDF(Portable Document Format)データ、二次元(2D)CADデータまたは三次元(3D)CADデータからなる。仕様情報には、例えば、製品の識別情報、数量、寸法、材質、硬度および表面処理種別が含まれ、さらに部品の寸法等が含まれる。属性情報には、例えば、登録日時、製品メーカ名、所属部門名、登録者名およびメールアドレスが含まれる。
【0020】
部品製造情報記憶部32は、後述する制御部1により生成される、部品を製造するために必要な部品製造情報を記憶するために用いられる。部品製造情報の具体例については後述する。
【0021】
発注情報記憶部33は、製品メーカの第1の端末MA1~MAnから取得される、部品の発注情報を記憶するために使用される。部品の発注情報は、部品の発注に係る各種要求(または希望条件)を指定するもので、例えば部品の識別情報、部品の区分と型番、希望数量、希望する製造工数単価および希望納期等を含む。
【0022】
製造リソース情報記憶部34は、部品メーカの第2の端末MB1~MBmから取得される、部品メーカの製造リソース情報を記憶するために用いられる。製造リソース情報は、部品メーカの製造能力を表すもので、例えば部品メーカが保有する加工技術の種類、加工費、保有設備名、稼働可能な設備名、稼働可能な技術者の数等を含んでいる。
【0023】
発注履歴情報記憶部35は、後述する制御部1により生成された発注書情報を発注日付と紐づけて記憶するために使用される。この発注履歴情報記憶部35に記憶された発注履歴情報は、例えば後に部品メーカの選定の精度等を分析するために使用される。
【0024】
制御部1は、この発明の一実施形態に係る処理機能として、設計情報取得処理部11と、部品製造情報生成処理部12と、発注情報取得処理部13と、製造リソース情報取得処理部14と、マッチング処理部15と、見積提示・交渉処理部16と、発注処理部17とを備えている。これらの処理部11~17は、何れもプログラム記憶部2に格納されたプログラムを制御部1のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0025】
設計情報取得処理部11は、製品メーカの第1の端末MA1~MAnからアップロードされた製品の設計情報および属性情報を通信I/F4を介して受信する。そして、受信された上記設計情報を、同時に受信された上記属性情報により定義されている製品メーカの識別情報および製品の識別情報と紐づけて、上記設計情報記憶部31に記憶させる処理を行う。
【0026】
部品製造情報生成処理部12は、以下の処理機能を有する。
(1) 製品別に、上記設計情報記憶部31から設計情報を読み込み、当該設計情報に含まれる組立図および仕様情報に基づいて構成部品ごとのソリッド形状と寸法(サイズ)等を認識し、認識されたソリッド形状および寸法をもとに構成部品ごとの部品図を生成する。そして、生成された各構成部品の部品図を、上記設計情報をアップロードした製品メーカの第1の端末MA1~MAnへ送信する処理。なお、部品図は、例えば3Dモデルにより表される。
【0027】
(2) 部品の形状と種類との対応関係を定義した部品カタログ情報を参照して、上記構成部品ごとにそのソリッド形状をもとに部品の種類を判別し、判別された構成部品のリストを表す部品表を生成する処理。なお、部品カタログ情報は、事前にデータ記憶部3内の参照情報記憶部(図示省略)に記憶しておいてもよいし、Webサイトにその都度アクセスして閲覧するようにしてもよい。
【0028】
(3) 上記部品表に記載された構成部品ごとに、その部品図と、製品メーカの第1の端末MA1~MAnから送信される補足情報とに基づいて、発注用の製作図を生成する処理。補足情報は、部品の製作図を作成するために必要な各種条件を指定した情報であり、例えば、素材の材質、硬度、各部の寸法、および表面処理の種類等を含む。なお、製作図は例えば3D図面により構成されるが、必要に応じ2D図面を追加生成するようにしてもよい。
【0029】
なお、上記製作図の生成に際しては、上記補足情報に含まれる条件が適切な値であるか否かを、製造条件の基準情報に基づいて判定する処理が行われる。製造条件の基準情報は、事前にデータ記憶部3内の参照情報記憶部(図示省略)に記憶しておいてもよいし、Webサイトにその都度アクセスして閲覧するようにしてもよい。
【0030】
(4) 部品加工技術に関する情報を参照して、上記製作図の部品を製造するために必要な加工内容を判別し、判別された加工内容と上記補足情報とを比較することで加工工程を設計する処理。加工工程の設計データには、部品の識別情報と区分、数量、型番、加工種別および加工順序を表す情報が含まれる。なお、部品加工技術に関する情報は、部品の識別情報と区分、加工種別、および加工順序を表す情報を含む。部品加工技術に関する情報は、事前にデータ記憶部3内の参照情報記憶部(図示省略)に記憶しておいてもよいし、Webサイトにその都度アクセスして閲覧するようにしてもよい。
【0031】
(5) 生成された上記部品の製作図および加工工程の設計データを、部品製造情報として、製品メーカの識別情報、製品および部品の識別情報と紐づけて部品製造情報記憶部32に保存させる処理。
【0032】
発注情報取得処理部13は、製品メーカの第1の端末MA1~MAnから送信される部品に関する発注情報を通信I/F4を介して受信し、受信された発注情報を、製品メーカおよび製品の識別情報および部品の識別情報と紐づけて発注情報記憶部33に記憶させる処理を行う。
【0033】
製造リソース情報取得処理部14は、部品メーカの第2の端末MB1~MBmから送信される部品メーカの製造リソース情報を通信I/F4を介して受信し、受信された製造リソース情報を、部品メーカの識別情報と紐づけて製造リソース情報記憶部34に記憶させる処理を行う。
【0034】
マッチング処理部15は、以下の処理機能を有する。
(1) 部品ごとに、発注情報記憶部33から発注情報を読み込むと共に、製造リソース情報記憶部34から各部品メーカの製造リソース情報を読み込む。そして、上記発注情報を上記各部品メーカの製造リソース情報と順次マッチングし、発注情報に記載された各条件を満たす製造リソースを提供可能な部品メーカを選択して、発注候補リストを生成する処理。
【0035】
(2) 生成された上記発注候補リストに含まれる部品メーカごとに、その製造リソース情報と上記発注情報の要求内容とに基づいて製造価格および最短納期を計算し、見積情報を生成する。そして、上記計算された製造価格および最短納期に基づいて、上記発注候補リストの部品メーカを並べ替える処理。
【0036】
見積提示・交渉処理部16は、以下の処理機能を有する。
(1) 上記マッチング処理部15により部品ごとに生成された発注候補リストとその見積情報を、通信I/F4から該当する製品メーカの第1の端末へ送信する。そして、当該送信先の製品メーカの第1の端末から送信される、発注候補リストのソート条件を通信I/F4を介して受信し、受信されたソート条件に従い発注候補リストの部品メーカをソートする処理。なお、ソート条件としては、例えば製造可能数量、価格やおよび納期の3項目が用意され、これらの項目を製品メーカが任意に設定できる。
【0037】
(2) 上記発注候補リストに従い発注候補の部品メーカを順に選択し、選択された部品メーカの第2の端末へ見積情報を送信すると共に、製品メーカの第1の端末へも同一の見積情報を送信し、両者間の発注/受注交渉を仲介する処理。
【0038】
(3) 上記発注/受注交渉の結果、両者から合意した旨の通知を受け取った場合に、その部品メーカを発注先として決定する。そして、上記部品製造情報生成処理部12により生成された部品の製作図および加工工程の設計データと、製品メーカの第1の端末から送られた上記発注情報と、上記発注/受注交渉処理により合意した価格、納期、数量を指定する情報とに基づいて、発注書情報を生成する処理。発注書情報には、例えば、製作図、加工工程の設計データ、価格、納期および数量が含まれる。
【0039】
発注処理部17は、上記見積提示・交渉処理部16により生成された発注書情報を、該当する部品メーカの第2の端末へ通信I/F4から送信する処理と、発注履歴情報記憶部35に記憶させる処理を行う。
【0040】
(動作例)
次に、以上のように構成された装置の動作例を説明する。
図4は、サーバ装置SVによる製造発注支援処理の全体の流れを示すフローチャート、
図5乃至
図7はそれぞれそのうちの部品製造情報生成処理、マッチング処理および見積・発注処理の具体例を示す図である。
【0041】
(I)設計情報の取得
サーバ装置SVは、先ず設計情報取得処理部11の制御の下、ステップS1において製品メーカから製品の設計情報を取得する処理を実行する。
例えば、ある製品メーカにおいて、CAD設計システムを使用して製品の組立図が作成されると共に当該製品の仕様情報が作成され、これらの組立図および仕様情報を含む設計情報が、製品メーカの属性情報と共に、第1の端末MA1から送信されたとする。
【0042】
サーバ装置SVは、上記第1の端末MA1から送信された設計情報および属性情報を通信I/F4を介して受信する。そして、受信された設計情報を、同時に受信された属性情報に含まれる製品メーカの識別情報等と紐づけて、設計情報記憶部31に記憶させる。同様に、他の製品メーカの第1の端末MA2~MAnから設計情報が送信された場合にも、サーバ装置SVは、設計情報取得処理部11の制御の下で設計情報の取得処理を実行する。
【0043】
(II)部品製造情報の生成
サーバ装置SVは、部品製造情報生成処理部12の制御の下、ステップS2において部品製造情報を生成する処理を以下のように実行する。
図5にその処理の流れと内容の具体例を示す。
【0044】
(1)組立図の認識
部品製造情報生成処理部12は、製品別に、上記設計情報記憶部31から設計情報を読み込み、先ず当該設計情報に含まれる組立図に基づいて構成部品ごとのソリッド形状を例えばパターンマッチングを用いて認識する(1-1)。そして、上記認識されたソリッド形状から構成部品を分別する(1-2)。部品製造情報生成処理部12は、次に上記設計情報に含まれる仕様情報に基づいて、上記構成部品ごとにその寸法を認識する(1-3)。なお、設計情報に含まれる組立図が2DのCAD図面データだった場合、部品製造情報生成処理部12は3DのCAD図面データに変換する。
【0045】
(2)部品図および部品表の生成
部品製造情報生成処理部12は、次に、分別された上記構成部品ごとに、そのソリッド形状と寸法とに基づいて、構成部品の3Dモデルからなる部品図を生成する(2-1)。部品製造情報生成処理部12は、続いて、上記構成部品ごとにその形状をもとに構成部品の種類を判別する(2-2)。この判別処理は、例えばWebサイトから事前にダウンロードしてデータ記憶部3に保存しておいた部品カタログ情報を参照することにより行われる。部品カタログ情報は、部品ごとにその形状と種類との対応関係を定義した情報である。そして、部品製造情報生成処理部12は、判別された上記各構成部品の種類に基づいて、製品に使用される部品のリストを表す部品表を生成する(2-3)。部品表は、例えば、部品ごとに、部品の識別情報と区分、数量、型番(付番を想定)および配置座標を記載したものである。
【0046】
(3)部品製作図の生成
部品製造情報生成処理部12は、次に、製品メーカの第1の端末MA1~MAnから送信される補足情報を取得する(3-1)。補足情報には、例えば、素材の材質、硬度、各部の寸法、および表面処理の種類等の、部品の製造に必要な複数の条件が含まれている。続いて部品製造情報生成処理部12は、上記補足情報に含まれる各条件が適切な値であるか否かを、製造条件の基準情報に基づいて判定する。そして、補足情報に含まれる条件の中に基準を満たさないものが含まれていた場合には、アラーム情報を生成して第1の端末MA1へ送信する(3-2)。なお、製造条件の基準情報は、例えばWebサイトから事前にダウンロードしてデータ記憶部3に保存しておいたものを用いる。
【0047】
部品製造情報生成処理部12は、次に上記部品表に記載された構成部品ごとに、その3D部品図と上記補足情報とに基づいて部品の3D製作図を生成する。この処理は、例えば3D部品図からその座標値を認識し、この座標値と、上記補足情報により指定された素材の厚さや寸法に基づいて行われる(3-3)。なお、3D図面データ以外に2D図面データが必要な場合には、例えば上記3D製作図の上下左右を判別して平面および側面にそれぞれ投射することにより2D製作図を生成する(3-4)。部品の製作図のデータはPDF形式でもよい。
【0048】
(4)加工工程の設計
部品製造情報生成処理部12は、次に、部品加工技術に関する情報を参照して、上記製作図の部品を製造するために必要な加工内容(加工技術)を判別する(4-1)。部品加工技術に関する情報は、例えばWebサイトから事前にダウンロードしてデータ記憶部3に保存しておいたものを用いる。部品製造情報生成処理部12は、続いて、判別された上記加工内容を上記補足情報と対比させることにより加工工程を設計する(4-2)。加工工程の設計データには、部品の識別情報と区分、数量、型番、加工種別および加工順序を表す情報が含まれる。
【0049】
サーバ装置SVは、部品製造情報生成処理部12により生成された、部品の製作図および加工工程の設計データを、部品製造情報として製品メーカの識別情報、製品および部品の識別情報と紐づけて部品製造情報記憶部32に一旦記憶する。
【0050】
(III)マッチング処理
次にサーバ装置SVは、ステップS3において、部品の発注候補となる部品メーカを選定するための処理を以下のように実行する。
図6にその処理の流れと内容の具体例を示す。
【0051】
(5)発注情報および製造リソース情報の取得
製品メーカでは、例えば調達担当者が、部品ごとに発注情報を生成し、第1の端末MA1からサーバ装置SVへ送信する。発注情報には、例えば、部品の識別番号、希望数量、製造工数単価および希望納期が含まれる。これに対し、サーバ装置SVは、発注情報取得処理部13の制御の下、製品メーカの第1の端末MA1から送信された発注情報を通信I/F4を介して受信し、受信された発注情報を発注情報記憶部33に記憶する。
【0052】
一方、各部品メーカでは、それぞれ例えば営業担当者が自社の製造能力を表す製造リソース情報を作成し、作成された製造リソース情報を第2の端末MB1~MBmからサーバ装置SVへ送信する。製造リソース情報には、例えば、部品メーカが保有する加工技術の種類、加工費単価、保有設備の性能、稼働可能設備の台数、加工作業者数等が含まれる。これに対し、サーバ装置SVは、製造リソース情報取得処理部14の制御の下、各部品メーカの第2の端末MB1~MBmから送信された製造リソース情報を通信I/F4を介して受信し、受信された製造リソース情報を製造リソース情報記憶部34に記憶する。
【0053】
(6)発注情報と製造リソース情報とのマッチングおよび見積の計算
サーバ装置SVは、マッチング処理部15の制御の下、先ず上記発注情報記憶部33から部品ごとに発注情報を読み出す。また製造リソース情報記憶部34から、各部品メーカの製造リソース情報を読み出す。そして、発注情報を各部品メーカの製造リソース情報と順次比較し、発注情報により要求されている希望数量、製造工数単価および希望納期の各条件を満たす製造リソースを提供可能な部品メーカをすべて選択して、発注候補リストを生成する(6-1)。発注候補リストには、製造可能な部品メーカ名と、部品メーカごとの製造可能数量、製造見積価格および対応可能納期を表す情報が含まれる。
【0054】
続いてマッチング処理部15は、上記発注候補リストに含まれる各部品メーカについて、その製造リソース情報と上記発注情報の各条件とに基づいて、各構成要素における項数と項数単価、各材料の仕入れ額から製造価格を計算する(6-2)。
【0055】
またそれと共にマッチング処理部15は、上記発注候補リストに含まれる各部品メーカについて、その製造リソース情報に含まれる稼働可能設備の台数、その性能、加工作業員の人員をもとに最短納期を計算する(6-3)。
【0056】
最後にマッチング処理部15は、計算された上記製造価格および上記最短納期に基づいて、上記発注候補リストの部品メーカを並べ替える(6-4)。そして、並べ替え後の発注候補リスト、および当該リストに含まれる各部品メーカの見積情報を、見積・発注処理に渡す。
【0057】
(IV)見積・発注処理
サーバ装置SVは、ステップS4において、見積・発注処理を以下のように実行する。
図7にその処理の流れと内容の具体例を示す。
【0058】
(7)発注候補リストと見積の提示
サーバ装置SVは、見積提示・交渉処理部16の制御の下、先ず上記マッチング処理部15から渡された発注候補リストおよび各部品メーカの見積情報を、通信I/F4から製品メーカの第1の端末MA1へ送信する。これにより、製品メーカの調達担当者は部品の発注候補リストと、当該リストに掲載された各部品メーカの見積情報を確認することができる。
【0059】
そして、製品メーカの調達担当者が、上記発注候補リストに対し並べ替え(ソート)の条件を第1の端末MA1からサーバ装置SVへ送信すると、サーバ装置SVは見積提示・交渉処理部16の制御の下で、発注候補リストの部品メーカを並べ替える。例えば、調達担当者が製造可能数量、製造価格および納期の3項目を任意に指定すると、見積提示・交渉処理部16は指定された上記項目について条件の良い順に発注候補リストの部品メーカを並べ替える。
【0060】
(8)見積交渉の支援
サーバ装置SVは、見積提示・交渉処理部16の制御の下、製品メーカと各部品メーカとの間の発注・受注に係る交渉を支援する仲介処理を実行する。例えば、見積提示・交渉処理部16は、上記並べ替え後の発注候補リストにおいて最上位に位置する部品メーカに係る見積情報を製品メーカの第1の端末MA1へ送信する。またそれと共に、上記最上位に位置する部品メーカの第2の端末MB1へ上記見積情報を送信する。この結果、以後製品メーカの調達担当者と部品メーカの技術者との間で発注・受注のための交渉が可能となる。
【0061】
この交渉の過程において、サーバ装置SVは例えばチャット機能等のメッセージ転送機能を提供することにより、上記第1の端末MA1と第2の端末MB1との間での交渉データの転送を可能にする。
【0062】
例えば、サーバ装置SVでは、製品メーカの調達担当者および部品メーカの技術者がそれぞれ第1および第2の端末において入力した詳細条件、価格および納期を、サーバ装置SVのメッセージ転送機能により双方が閲覧可能な状態で掲示する処理(8-1)と、製品メーカの調達担当者が発注候補リストから所望の部品メーカを選択した場合に、当該部品メーカの見積情報を製品メーカの第1の端末および部品メーカの第2の端末へそれぞれ送信して交渉を可能にし、交渉の結果を中継転送する処理(8-2),(8-3)が行われる。
【0063】
(9)発注書の生成
上記発注・受注交渉の結果、製品メーカの調達担当者と部品メーカの加工技術者との間で受発注が合意すると、サーバ装置SVは発注処理部17の制御の下で発注書の生成処理を実行する。
【0064】
例えば、発注処理部17は発注書のフォーマットを有しており、このフォーマットに、発注先の部品メーカ名、発注元の製品メーカ名とその所在地および代表者名、部品の識別情報、上記部品製造情報記憶部32に記憶された部品製作図および加工工程の設計データ、上記発注・受注の交渉において合意した価格、納期および数量のデータを挿入することにより、発注書を生成する。
【0065】
(10)発注書の送信
サーバ装置SVは、発注処理部17の制御の下、上記見積提示・交渉処理部16により生成された上記発注書の情報を、通信I/F4から発注先の部品メーカの第2の端末へ送信する。また発注処理部17は、上記発注書の情報を発注日付と紐づけて発注履歴情報記憶部35に記憶させる。この発注履歴情報記憶部35に記憶された発注履歴情報を利用することで、サーバ装置SVは例えば部品メーカの選定の精度等を分析することが可能となる。
【0066】
(作用・効果)
以上述べたように一実施形態では、サーバ装置SVにおいて、製品メーカの第1の端末MA1~MAnから設計情報を取得し、取得された設計情報に含まれる組立図と仕様情報をもとに製品の構成部品を認識して、当該構成部品のリストを示す部品表と各部品の部品図を生成し、さらに上記部品図と、製品メーカから補足情報として要求される部品の条件とをもとに、部品の製作図および加工工程の設計データを生成する。そして、製品メーカから指定される発注情報を各部品メーカの製造リソース情報と順次比較することにより発注情報の条件を満たす製造リソースを提供可能な部品メーカを選択して発注候補リストを生成し、製品メーカと上記発注候補リストの部品メーカとの間の交渉により決定された発注先の部品メーカに向けて発注書を生成し、第2の端末へ送信するようにしている。
【0067】
従って、ネットワークNW上に設けられたサーバ装置SVにおいて、製品メーカから送られる設計情報をもとに構成部品を認識してその部品製造情報を生成する処理から、部品の発注先となる部品メーカを選定して発注書を送信する処理までの一連の処理が自動的に行われる。このため、例えば製品メーカごとに、そのCAD設計システム等に部品製造情報の生成機能や部品の発注先を選定して発注を行う機能を搭載する必要がなくなり、これによりCAD設計システムの処理負荷の増大やコストアップを防止することが可能となる。さらに、各製品メーカの担当者はそれぞれ、発注先となり得る複数の部品メーカから事前に製造能力に関する情報を取得して、設計システムの機能を初期設定したり、定期的に更新する作業を行う必要がなくなり、これにより製品メーカの人的な作業負担を軽減することが可能となり、業務効率を高めることが可能となる。
【0068】
[他の実施形態]
(1)部品製造情報の生成処理において、認識された部品のソリッド形状と仕様情報を入力して部品図および部品表を生成する処理を、学習モデルを用いて実現してもよい。また、上記部品図、補足情報および加工技術情報を入力して部品の製作図および加工工程の設計データを生成する処理についても、学習モデルを使用して実現してもよい。
【0069】
(2)見積提示・交渉処理では、製品メーカが提示した価格および納期の希望と、発注候補リストの各部品メーカがそれぞれ提示した価格および納期の希望とをそれぞれ比較し、その差が最も小さい部品メーカを選択して製品メーカに提示したり、上記差を製品メーカおよび各部品メーカに提示して修正値の入力を促し、その結果差が最小となった部品メーカを製品メーカに提示する処理を行うようにしてもよい。
【0070】
(3)前記一実施形態では、発注先となる部品メーカの選定を、製品メーカと各部品メーカとの間の交渉に委ねる場合を例にとって説明した。しかし、例えばサーバ装置SVが、見積情報の提示に対し製品メーカの第1の端末から送られる発注の許容条件と、部品メーカの第2の端末から送られる受注の許容条件と比較し、上記発注の許容条件と上記受注の許容条件とが予め設定された差の範囲で一致するか否かを判定する。そして、その判定の結果に基づいて、上記各条件が一致した部品メーカを発注先となる部品メーカとして選定し、製品メーカの第1の端末へ通知するようにしてもよい。
【0071】
(4)前記一実施形態では、部品の製作図、加工工程の設計情報、発注量、価格および納期を表す情報を含む発注書情報を生成し、第2の端末へ送信する場合を例にとって説明したが、発注書情報には、少なくとも部品の製作図および加工工程の設計情報を含めるようにし、発注量、価格および納期を表す情報は別の通知手段により部品メーカに通知されるようにしてもよい。
【0072】
(5)その他、製造発注支援装置の構成や設置場所、部品製造情報生成処理、マッチング処理および見積・発注処理の処理手順と処理内容については、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0073】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0074】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0075】
SV…サーバ装置
MA1~MAn…製品メーカの第1の端末
MB1~MBm…部品メーカの第2の端末
NW…ネットワーク
1…制御部
2…プログラム記憶部
3…データ記憶部
4…通信I/F
5…バス
11…設計情報取得処理部
12…部品製造情報生成処理部
13…発注情報取得処理部
14…製造リソース情報取得処理部
15…マッチング処理部
16…見積提示・交渉処理部
17…発注処理部
31…設計情報記憶部
32…部品製造情報記憶部
33…発注情報記憶部
34…製造リソース情報記憶部
35…発注履歴情報記憶部