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特許7479815ソリッドステート光受信機ドライバシステム及びソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ソリッドステート光受信機ドライバシステム及びソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20240430BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240430BHJP
   G01S 17/93 20200101ALI20240430BHJP
【FI】
G01S7/497
G08G1/16 C
G01S17/93
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019186510
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2020098193
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】18200508.2
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19155904.6
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519099287
【氏名又は名称】インテグレイテッド・デヴァイス・テクノロジー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ・タヴァーノ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・グルーバー
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-129046(JP,A)
【文献】米国特許第06624405(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0080696(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの光受信機(3)に接続可能である少なくとも1つの光受信機チャネル(4)を備えるソリッドステート光受信機ドライバシステム(1)であって、
テスト信号を少なくとも1つの光受信機チャネル(4)に提供するための少なくとも1つのテスト信号生成部(5)をさらに備え、前記光受信機チャネル(4)は、トランスインピーダンスアンプ(7)と、A/D変換器(8)とを備え、前記テスト信号生成部(5)のゲインは、前記光受信機チャネル(4)の前記トランスインピーダンスアンプ(7)のゲインと一致しており、前記光受信機チャネル(4)の前記トランスインピーダンスアンプ(7)は帰還抵抗(9)を備え、前記テスト信号生成部(5)は前記トランスインピーダンスアンプ(7)と前記テスト信号生成部(5)とをゲイン整合させるための前記帰還抵抗(9)のレプリカ(11)を備えることを特徴とする、ソリッドステート光受信機ドライバシステム。
【請求項2】
前記光受信機チャネル(4)の各々は、別個のテスト信号生成部(5)を備えることを特徴とする、請求項1記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
【請求項3】
前記光受信機チャネル(4)は、入力おいて、対応する光受信機(3)の信号と前記少なくとも1つのテスト信号生成部(5)の信号とを切り替えるマルチプレクサ(6)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
【請求項4】
前記テスト信号生成部(5)は、電流ベースのD/A変換器(12)と電流生成部(13)とを備えることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
【請求項5】
前記テスト信号生成部(5)は、前記テスト信号生成部(5)のテスト信号を外部装置に供給するための出力部(14)をさらに備えることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム(1)のテスト方法であって、
ソリッドステート光受信機ドライバシステム(1)内でテスト信号を生成する第一のステップと、
生成されたテスト信号をソリッドステート光受信機ドライバシステム(1)の少なくとも1つの光受信機チャネル(4)に印加する第二のステップと、
印加されたテスト信号に応答して少なくとも1つの光受信機チャネル(4)の出力を監視する第三のステップと
少なくとも1つの光受信機チャネル(4)の出力を少なくとも1つの光受信機チャネル(4)の期待される出力と比較する第のステップと
を有することを特徴とするテスト方法。
【請求項7】
前記ソリッドステート光受信機ドライバシステムの各光受信機チャネル(4)に対して別個のテスト信号が生成されることを特徴とする、請求項に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム(1)のテスト方法。
【請求項8】
前記第一のステップと、前記第二のステップと、前記第三のステップと、第四のステップは、前記ソリッドステート光受信機ドライバシステム(1)の各光受信機チャネル(4)に対して並列に実行されることを特徴とする、請求項または請求項に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム(1)のテスト方法。
【請求項9】
さらに、前記テスト信号と光受信機(3)の信号との間を切り替える第のステップを含むことを特徴とする、請求項乃至のいずれか1項に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム(1)のテスト方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光受信機チャネル(4)は、前記入力信号を増幅し、前記アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換することを特徴とする、請求項乃至のいずれか1項に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法。
【請求項11】
さらに、テスト信号生成部(5)のゲインを少なくとも1つの光受信機チャネル(4)のトランスインピーダンスアンプ(7)のゲインに整合させる第のステップを含むことを特徴とする、請求項10に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法。
【請求項12】
さらに、前記テスト信号を外部装置に供給する第のステップを含むことを特徴とする、請求項乃至11のいずれか1項に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車用途のためのソリッドステート光受信機ドライバシステムに関する。本発明はさらに、特に自動車用途のための、ソリッドステート光受信機ドライバシステムをテストするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光受信機システムは、例えば、光検出及び測距(LIDAR:Light Detection and Ranging)システム、あるいはレーザー検出及び測距(LADAR:Laser Detection and Ranging)システムに使用される。このようなシステムは、パルスレーザ光でターゲットを照射し、光学センサで反射パルスを測定することによって、ターゲットまでの距離を測定する。次いで、レーザー戻り時間及び波長の差を使用して、対象の3D表現を作成することができる。LIDARシステムは、自動車用途、例えば高度な安全システムにおいて普及している。LIDARシステムは、例えば、自動車と衝突する可能性のあるコース上の障害物を検出し、運転者に警告を発し、及び/又は緊急ブレーキを開始するために、自動車の周囲をスキャンするために使用される。LIDARシステムは、制御及びナビゲーション目的のために自動運転車においてしばしば使用される。このような自動車用途において、LIDARシステムは、検出エラーを最小限に抑えて、高度に利用可能であり、精密であることが不可欠である。
【0003】
光受信機システムは、通常、例えば自動車の前方部に配置された一連の光受信機(以下、光受信機ストリングと称する)を備える。光受信機ストリングは、光受信機の信号を処理するために、ソリッドステート光受信機ドライバシステムに接続される。例えば、ソリッドステート光受信機ドライバシステムは、自動車の内部に配置され、ケーブルを介して光受信機ストリングに接続される。ソリッドステート光受信機ドライバシステムは、それぞれの光受信機に接続可能な少なくとも1つの光受信機チャネルを備える。通常、ソリッドステート光受信機ドライバシステムは、光受信機システムの各光受信機のための別個の光受信機チャネルを備える。
【0004】
図1は、光検出及び測距システムのための従来技術による光受信機システム10のブロック図を示す。光受信機システム10は、光受信機3が一続きとなった光受信機ストリング2を含む。光受信機ストリング2は、通常、車両の前方部に配置される。光受信機3は、光検出及び測距システムの周囲において対象から反射及び/又は後方散乱された光信号を受信し、これらの光信号をアナログ電気信号に変換する。
【0005】
光受信機システム10は、光受信機ストリング2のアナログ電気信号を受信し、処理するためのソリッドステート光受信機ドライバシステム1をさらに備える。有利には、ソリッドステート光受信機ドライバシステム1は、車両の前方部に生じる環境応力のために、車両の前方部には配置されず、より離れた位置に配置される。従って、光受信機ストリング2は、ケーブル15によってソリッドステート光受信機ドライバシステム1に接続される。
【0006】
ソリッドステート光受信機ドライバシステム1は、光受信機ストリング2の各光受信機3のための別個の光受信機チャネル4を備える。別々の光受信機チャネル4は、図1に破線で示されている。各光受信機チャネル4は、ケーブル15によって光受信機ストリング2の1つの光受信機3に接続されている。
【0007】
各光受信機チャネル4は、例えば、光受信機3のアナログ電気信号を変換及び増幅するトランスインピーダンスアンプ7と、光受信機3の増幅されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器8とを備える。
【0008】
デジタル信号は、ソリッドステート光受信機ドライバシステム1の内部制御部(図示せず)によってさらに処理されるか、または外部制御部(図示せず)に送信され得る。受信されたレーザー戻り時間及び波長の差は、光検出及び測距システムの周囲における対象の3D表現を計算するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、検出エラーを最小限に抑えつつ、高度に入手可能であり、精密であるソリッドステート光受信機ドライバシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
少なくとも1つの光受信機チャネルを備え、光受信機チャネルがそれぞれの光受信機に接続可能である、特に自動車用途のためのソリッドステート光受信機ドライバシステムによって解決され、ソリッドステート光受信機ドライバシステムは、少なくとも1つの光受信機チャネルにテスト信号を提供するための少なくとも1つのテスト信号生成部をさらに備える。
【0011】
本発明における光受信システム10は、例えば、レーザー検出及び測距(LADER)システムとも呼ばれる光検出及び測距(LIDAR)システムに使用される。光検出及び測距システムは、パルスレーザ光でターゲットを照射し、光受信機システム10で反射パルスを測定することによって、ターゲットまでの距離を測定する。次いで、レーザー戻り時間及び波長の差を使用して、対象の3D表現を作成することができる。近年、このような光検出及び測距システムは、車両の周囲の障害物を検出するために、自律車両で使用されている。このような用途では、光検出及び測距システムの正確さ及び利用可能性が不可欠である。
【0012】
本発明における光検出及び測距システムは、通常、光検出及び測距システムの周囲に光を放射するための少なくとも1つの光源と、光検出及び測距システムの周囲のターゲットから反射及び/又は後方散乱された任意の光信号を検出するための光受信機システム10とを備える。
【発明の効果】
【0013】
内部テスト信号生成部を使用して、ソリッドステート光受信機ドライバシステムは、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの光受信機チャネルにテスト信号を提供することができる。テスト信号に応答する光受信機チャネルの出力信号は、期待される応答と比較され、それによって光受信機チャネルの機能を検証することができる。内部テスト信号生成部は、実施が容易であり、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの信頼性のあるテストを提供する。ソリッドステート光受信機ドライバシステムのテストは、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの設置前及び/又は使用中に行うことができる。入手性が高く、精密なソリッドステート光ドライバー受信システムを提供することができる。
【0014】
一般に、ソリッドステート光受信機ドライバシステムは、1つまたは複数の光受信機チャネルを備えることができる。通常、ソリッドステート光受信機ドライバシステムは、光受信機システムの各光受信機のための別個の光受信機チャネルを備える。本発明の変形では、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの各光受信機チャネルは、別個のテスト信号生成部を備える。このようにして、ソリッドステート光受信機ドライバシステムのすべての光受信機チャネルを並列にテストすることができ、これは、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの使用中のテストに特に有利である。あるいは、1つのテスト信号生成部は、いくつかの光受信機チャネル間の干渉を最小限に抑えるために、並列に、またはその後に、いくつかの光受信機チャネルにテスト信号を提供することができる。
【0015】
本発明の変形例によれば、テスト信号生成部は、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの光受信機チャネルをテストするために、矩形または三角形のパルスまたはDC電流を生成する。
【0016】
本発明の好ましい変形例によれば、光受信機チャネルは、対応する光受信機の信号と少なくとも1つのテスト信号生成部の信号との間を多重化するマルチプレクサを入力に備える。マルチプレクサは、光受信機及び少なくとも1つのテスト信号生成部の信号を分離し、これにより、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの精度が改善される。
【0017】
本発明の変形によれば、光受信機チャネルは、トランスインピーダンスアンプ及びA/D変換器を備える。トランスインピーダンスアンプは、まず、光受信機の電流信号を、テスト信号生成部のテスト信号を電圧に変換し、増幅する。増幅された電圧アナログ信号は、制御部によるさらなる処理のためにデジタル信号に変換され、制御部は、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの内部にあっても、外部にあってもよい。
本発明の有利な変形例によれば、テスト信号生成部のゲインは、光受信機チャネルのトランスインピーダンスアンプのゲインと一致する。これは、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの精度をさらに向上させる。
【0018】
特に好ましい変形例では、光受信機チャネルのトランスインピーダンスアンプは、フィードバック抵抗器を含み、テスト信号生成部は、増幅器とテスト信号生成部とをゲイン整合させるためのこのフィードバック抵抗器のレプリカを含む。このようにして、抵抗器自体によるプロセス変動を相殺するだけでなく、増幅器の任意のゲイン変化を整合させることが可能である。
【0019】
本発明の変形例によれば、テスト信号生成部は、電流ベースのD/A変換器と、電流生成部とを備える。電流発生ユニットは、所望の電流振幅を有する電流を供給する。この電流は、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの光受信機チャネルに直接供給することができ、または電流をパルス化して矩形パルスを生成するか、またはキャパシタによって積分して三角形を生成することができる。
【0020】
本発明の更なる変形例によれば、テスト信号生成部は、テスト信号生成部のテスト信号を、例えば制御部のような外部装置に供給するための出力を有する。これにより、制御部は、生成されたテスト信号の知識を有し、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの光受信機チャネルの結果を、生成されたテスト信号に基づく期待される結果と比較することができる。
【0021】
この目的は、さらに、以下のステップを含む、特に自動車用途のための、ソリッドステート光受信機ドライバシステムをテストするための方法によって解決される。
【0022】
ソリッドステート光受信機ドライバシステム内でテスト信号を生成し、生成されたテスト信号をソリッドステート光受信機ドライバシステムの少なくとも1つの光受信機チャネルに印加し、印加されたテスト信号に応答して少なくとも1つの光受信機チャネルの出力を監視し、少なくとも1つの光受信機チャネルの出力を少なくとも1つの光受信機チャネルの予想出力と比較する。
【0023】
テスト信号は、例えば、ソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト信号生成部によって生成される。少なくとも1つの光受信機チャネルの出力は、例えば、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの内部または外部の制御部によって、少なくとも1つの光受信機チャネルの期待される出力と比較される。少なくとも1つの光受信機チャネルの期待される出力は、印加されたテスト信号に基づく。
【0024】
本発明の変形例によれば、個別のテスト信号が、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの各光受信機チャネルに対して生成される。従って、異なるテスト信号を異なる光受信機チャネルに印加することができる。
【0025】
本発明の変形例によれば、生成、適用、監視、及び比較のステップは、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの各光受信機チャネルに対して並列に実行される。従って、すべての光受信機チャネルが同時にテストされる。
【0026】
本発明の代替的な変形例では、生成、適用、監視、及び比較のステップは、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの各光受信機チャネルに対して連続的に繰り返される。
【0027】
本発明の好ましい変形例によれば、ソリッドステート光受信機ドライバシステムをテストする方法は、テスト信号と光受信機の信号との間を多重化するステップを含む。このようにして、テストは、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの使用中に行うことができ、同時に、テスト信号及び光受信機の信号が切り離され、それによって、方法の精度が向上する。
【0028】
本発明の変形例によれば、少なくとも1つの光受信機チャネルは、入力信号を増幅し、アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換する。デジタル出力信号は、例えば、制御部によって、すなわち、印加されたテスト信号に基づいて、受信された出力信号を予想される結果信号と比較することによって処理される。
【0029】
本発明の特に有利な変形例によれば、ソリッドステート光受信機ドライバシステムをテストする方法は、テスト信号生成部のゲインを少なくとも1つの光受信機チャネルのトランスインピーダンスアンプのゲインに整合させるステップを含む。このゲイン整合は、本発明の方法の精度を高める。
【0030】
本発明の変形例では、ソリッドステート光受信機ドライバシステムをテストする方法は、例えば制御部のような外部装置にテスト信号を供給するステップを含む。外部装置は、テスト信号をソリッドステート光受信機ドライバシステムの光受信機チャネルの出力と比較し、システムが適切に機能しているかどうかを判定することができる。好ましくは、この方法は、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの設置前及び/又は使用中に実行される。従って、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの機能は、設置前にテストされ、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの全ライフサイクル中にさらにテストすることができ、特に自動車用途のための高度に利用可能なシステムを提供する。
【0031】
本発明の変形例によれば、ソリッドステート光受信機ドライバシステムをテストするための方法は、周期的に、好ましくは光入力が予想されないときに実行される。通常、LIDARシステムまたは同様のシステムは、光信号を周期的に送出し、その後、受信された、すなわち反射された光信号を検出し、処理する。光信号が送出されない時には、それぞれ反射光信号は予想されず、テスト信号は、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの光受信機チャネルに印加することができる。
【0032】
本発明の別の変形例によれば、ソリッドステート光受信機ドライバシステムの光受信機チャネルに入力信号を供給する光受信機は、ソリッドステート光受信機ドライバシステムをテストするための方法の実行中にディスエーブルされる。このようにして、光受信機の信号は光受信機チャネルに転送されず、これにより、光受信機チャネルに印加されるテスト信号との干渉が最小限に抑えられる
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、従来技術における光受信機システムのブロック図である。
図2図2は、第一の実施形態におけるソリッドステート光受信機ドライバシステムを含む光受信機システムのブロック図である。
図3図3は、第二の実施形態におけるソリッドステート光受信機ドライバシステムを含む光受信機システムのブロック図である。
図4図4は、第三の実施形態におけるソリッドステート光受信機ドライバシステムを含む光受信機システムのブロック図である。
図5図5は、第四の実施形態におけるソリッドステート光受信機ドライバシステムを含む光受信機システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第一の実施形態)
以下、第一の実施形態に係るソリッドステート光受信機ドライブシステムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書及び図面において、同一の構成要件または対応する構成要件には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0035】
図2は、第一の実施形態に係るソリッドステート光受信機ドライブシステム1を含む光受信機システム10の構成図を示している。図2に示す光受信機システム10は、ソリッドステート光受信機ドライバシステム1が、光受信機チャネル4にテスト信号を供給するためのテスト信号生成部5をさらに備える点で、図1に示す従来の光受信機システム10と異なっている。テスト信号は、例えば、矩形パルス、三角形パルス、またはDC電流とすることができる。
【0036】
テスト信号生成部5は、ソリッドステート光受信機ドライバシステム1内でテスト信号を生成する。このテスト信号は、ソリッドステート光受信機ドライバシステム1の光受信機チャネル4に印加される。テスト信号は、全ての光受信機チャネル4に同時に、または順次に印加することができる。印加されたテスト信号に応答する光受信機チャネル4の出力は、監視され、印加されたテスト信号に基づいて光受信機チャネル4の期待される出力と比較される。この比較は、内部または外部の制御部によって実行することができる。
【0037】
(第二の実施形態)
図3は、第二の実施形態に係るソリッドステート光受信機ドライバシステム1の構成図が示されている。第二の実施形態では、ソリッドステート光受信機ドライバシステム1が、光受信機チャンネル4毎に別個のテスト信号生成部5を備える点で、第一の実施形態と異なっている。従って、光受信機チャネル4は、互いに完全に分離され、それによって、干渉を低減し、ソリッドステート光受信機ドライバシステム1の精度を向上させることができる。
【0038】
各光受信機チャネル4に対して別個のテスト信号生成部5を使用することにより、干渉を生じさせることなく、同じ各光受信機チャネル4にテスト信号を印加することができる。
【0039】
(第三の実施形態)
図4は、第三の実施形態に係るソリッドステート光受信機ドライバシステム1の構成図を示している。第三の実施形態では、対応するテスト信号生成部5を有する1つの光受信機チャネル4のみが示されているが、ソリッドステート光受信機ドライバシステム1は、例えば図3に示されるように、より多くの光受信機チャネル4及び関連するテスト信号生成部5を備えることができる。
【0040】
図4に示されるソリッドステート光受信機ドライバシステム1の光受信機チャネル4は、入力にマルチプレクサ6を備え、対応する光受信機3の信号とテスト信号生成部5のテスト信号との間を多重化する。マルチプレクサ6は、テスト信号を光受信機3の信号から切り離し、これにより、これらの信号間の干渉を低減し、ソリッドステート光受信機ドライバシステム1の精度を高める。
【0041】
さらに、第三の実施形態によれば、光受信機チャネル4のトランスインピーダンスアンプ7は帰還抵抗9を含む。図4に示されるソリッドステート光受信機ドライバシステム1は、テスト信号生成部5に関してさらに詳しく示している。テスト信号生成部5は、例えば、D/A変換器 12及び電流発生部13を含む。
【0042】
有利には、テスト信号生成部5のゲインは、光受信機チャネル4のトランスインピーダンスアンプ7のゲインと整合する。これは、例えば、光受信機チャネル4のトランスインピーダンスアンプ7の帰還抵抗9のレプリカである電流発生部13の抵抗11によって達成される。
【0043】
電流発生部13は、好ましくは光受信機チャネル4のトランスインピーダンスアンプ7をゲイン整合させるために、規定された振幅を有する電流を供給する。この電流は、D/A変換器12に供給され、D/A変換器12は、この生成された電流をそのまま光受信機チャネル4のマルチプレクサ6に単に転送するか、またはデジタル入力コードに従ってスケーリングすることができる。あるいは、D/A変換器12は、光受信機チャネル4のマルチプレクサ6に矩形パルスを供給するために電流発生部13の電流をパルス化することができ、またはD/A変換器12は、光受信機チャネル4のマルチプレクサ6に三角パルスを供給するために、コンデンサを介して電流発生部13によって供給される電流を積分することができる。従って、好ましくは、D/A変換器12は電流ベースである。
【0044】
(第四の実施形態)
図5には、第四の実施形態に係るソリッドステート光受信機ドライバシステム1のブロック図が示されている。なお、テスト信号生成部5の電流生成部13の詳細は、図4に示される第三の実施形態に比べて、ブラックボックスでマスクされている。
【0045】
第四の実施形態では、テスト信号生成部5が、生成されたテスト信号のためのテスト信号出力14をさらに備える点で、図4に示される第三の実施形態と異なっている。テスト信号出力14は、生成されたテスト信号を外部装置に提供し、例えば、テスト信号を光受信機チャネル4によるテスト信号のステップの結果と比較することができる。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.少なくとも1つの光受信機チャネルを備え、光受信機チャネルがそれぞれの光受信機に接続可能である、特に自動車用途のためのソリッドステート光受信機ドライバシステムであって、
テスト信号を少なくとも1つの光受信機チャネルに提供するための少なくとも1つのテスト信号生成部をさらに備えることを特徴とする、ソリッドステート光受信機ドライバシステム。
2.前記光受信機チャネルの各々は、別個のテスト信号生成部を備えることを特徴とする、上記1.記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
3.前記光受信機チャネルは、入力に対応する光受信機の信号と前記少なくとも1つのテスト信号生成部の信号とを多重化するマルチプレクサを備えることを特徴とする、上記1.または2.に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
4.前記光受信機チャネルは、トランスインピーダンスアンプと、A/D変換器とを備えることを特徴とする、上記1.乃至3.のいずれか1つに記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
5.前記テスト信号生成部のゲインは、前記光受信機チャネルの前記トランスインピーダンスアンプのゲインと一致することを特徴とする、上記4.に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
6.前記光受信機チャネルの前記トランスインピーダンスアンプは、帰還抵抗を備え、
前記テスト信号生成部は、前記トランスインピーダンスアンプと前記テスト信号生成部とをゲイン整合させるための前記帰還抵抗のレプリカを備えることを特徴とする、上記6.に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
7.前記テスト信号生成部は、電流ベースのD/A変換器と電流生成部とを備えることを特徴とする、上記1.乃至6.のいずれか1つに記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
8.前記テスト信号生成部は、前記テスト信号生成部のテスト信号を外部装置に供給するための出力部をさらに備えることを特徴とする、上記1.乃至7.のいずれか1つに記載のソリッドステート光受信機ドライバシステム。
9.ソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法であって、
ソリッドステート光受信機ドライバシステム内でテスト信号を生成する第一のステップと、
生成されたテスト信号をソリッドステート光受信機ドライバシステムの少なくとも1つの光受信機チャネルに印加する第二のステップと、
印加されたテスト信号に応答して少なくとも1つの光受信機チャネルの出力を監視し、少なくとも1つの光受信機チャネルの出力を少なくとも1つの光受信機チャネルの期待される出力と比較する第三のステップとを有することを特徴とするテスト方法。
10.前記ソリッドステート光受信機ドライバシステムの各光受信機チャネルに対して別個のテスト信号が生成されることを特徴とする、上記9.に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法。
11.前記第一のステップと、前記第二のステップと、前記第三のステップは、前記ソリッドステート光受信機ドライバシステムの各光受信機チャネルに対して並列に実行されることを特徴とする、上記9.または上記10.に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法。
12.さらに、前記テスト信号と光受信機の信号との間を多重化する第四のステップを含むことを特徴とする、上記9.乃至11.のいずれか1つに記載のソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法。
13.前記少なくとも1つの光受信機チャネルは、前記入力信号を増幅し、前記アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換することを特徴とする、上記9.乃至12.のいずれか1つに記載のソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法。
14.さらに、テスト信号生成部のゲインを少なくとも1つの光受信機チャネルのトランスインピーダンスアンプのゲインに整合させる第五のステップを含むことを特徴とする、上記13.に記載のソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法。
15.さらに、前記テスト信号を外部装置に供給する第六のステップを含むことを特徴とする、上記9.乃至14.のいずれか1つに記載のソリッドステート光受信機ドライバシステムのテスト方法。
【符号の説明】
【0046】
1 ソリッドステート光受信機ドライブシステム1
2 光受信機ストリング
3 光受信機
4 光受信機チャネル
5 テスト信号生成部
6 マルチプレクサ
7 トランスインピーダンスアンプ
8 A/D変換器
9 帰還抵抗
10 光受信機システム
11 抵抗
12 D/A変換器
13 電流発生部
14 テスト信号出力
15 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5