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特許7479822火災報知システム、接点式感知器、およびアダプタ
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  • 特許-火災報知システム、接点式感知器、およびアダプタ 図1
  • 特許-火災報知システム、接点式感知器、およびアダプタ 図2
  • 特許-火災報知システム、接点式感知器、およびアダプタ 図3
  • 特許-火災報知システム、接点式感知器、およびアダプタ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】火災報知システム、接点式感知器、およびアダプタ
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G08B17/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019205109
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021077240
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】内田 真道
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴弘
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-192041(JP,A)
【文献】特開2001-266262(JP,A)
【文献】特開2019-003439(JP,A)
【文献】特開平9-237391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災検知結果に応じて、高感度レベルおよび低感度レベルによる2つの異なる感度レベルの火災信号をあらかじめ決められた電流値を有する信号として出力する2信号感知器と、
接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点出力機器と、
前記2信号感知器から出力される前記火災信号、および前記接点出力機器から出力される前記接点信号を受信する受信機と
を備え、
前記接点出力機器は、前記接点が閉じた際に、前記接点信号を、前記高感度レベルおよび前記低感度レベルのいずれかの感度レベルにおける前記火災信号と同レベルの前記電流値を有する電流信号に変換して出力する電流出力回路を有し、
前記2信号感知器と前記接点出力機器とは、前記受信機に対して同一回線を介して並列接続される
火災報知システム。
【請求項2】
火災検知結果に応じて、高感度レベルおよび低感度レベルによる2つの異なる感度レベルの火災信号をあらかじめ決められた電圧値を有する信号として出力する2信号感知器と、
接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点出力機器と、
前記2信号感知器から出力される前記火災信号、および前記接点出力機器から出力される前記接点信号を受信する受信機と
を備え、
前記接点出力機器は、前記接点が閉じた際に、前記接点信号を、前記高感度レベルおよび前記低感度レベルのいずれかの感度レベルにおける前記火災信号と同レベルの前記電圧値を有する電圧信号に変換して出力する電圧出力回路を有し、
前記2信号感知器と前記接点出力機器とは、前記受信機に対して同一回線を介して並列接続される
火災報知システム。
【請求項3】
あらかじめ決められた電流値を有する外部信号と同一回線を介して並列に接続される接点を有し、前記接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点式感知器であって、
前記接点が閉じた際に、前記接点信号を、前記電流値と同一レベルの電流信号に変換して出力する電流出力回路を有する
接点式感知器。
【請求項4】
あらかじめ決められた電圧値を有する外部信号と同一回線を介して並列に接続される接点を有し、前記接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点式感知器であって、
前記接点が閉じた際に、前記接点信号を前記電圧値と同一レベルの電圧信号に変換して出力する電圧出力回路を有する
接点式感知器。
【請求項5】
接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点出力機器に取り付けられ、前記接点信号、あらかじめ決められた電流値を有する外部信号と同一回線を介して並列に接続可能とするアダプタであって、
前記接点が閉じた際に、前記接点信号を前記電流値と同一レベルの電流信号に変換して前記同一回線に出力するための電流出力回路を有する
アダプタ。
【請求項6】
接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点出力機器に取り付けられ、前記接点信号、あらかじめ決められた電圧値を有する外部信号と同一回線を介して並列に接続可能とするアダプタであって、
前記接点が閉じた際に、前記接点信号を前記電圧値と同一レベルの電圧信号に変換して前記同一回線に出力するための電圧出力回路を有する
アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2信号感知器が繋がる火災報知システムと、その火災報知システムで用いられる接点式感知器およびアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
2信号感知器(あるいは2信号式感知器)とは、煙濃度が10%/m(2種)と、15%/m(3種)との2つの感度を持つ感知器のことである。このような2信号感知器からは、高感度レベルおよび低感度レベルによる2つの異なる感度レベルの火災信号が出力される。ここでは、2種の動作時に出力される火災信号が高感度レベルの火災信号による2種発報に相当し、3種の動作時に出力される火災信号が低感度レベルの火災信号による3種発報に相当する。
【0003】
2つの異なる感度レベルの火災信号は、受信機によって受信される。受信機は、2種発報と3種発報とを識別する必要がある。従来技術として、2信号感知器が、作動時において感度種別によって異なる電圧を出力し、受信機が、2信号感知器から出力された火災信号の電圧レベルに応じて感度種別を判断するシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1のようなシステムでは、異なる感度レベルの火災信号である、2種発報と3種発報とを、1つの回線により識別することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-192041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1に開示されたシステムでは、2信号感知器と同じ回線に、接点式として信号を出力する熱感知器、発信機等の接点出力機器を接続することができない。その理由は、接点出力機器が作動すると、回線が短絡してしまい、受信機は、3種の受信信号が作動したと誤判断してしまうためである。このような誤判断の結果、例えば、避難誘導よりも先に、防排煙設備を起動させてしまうといった問題が生じてしまう。また、接点出力機器用として受信機の回線を1回線多く使用することになるため、配線、工事等のコストが高くなったり、火災を監視できる場所が少なくなったりするといった問題も生じる。
【0007】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、2信号感知器と、接点出力機器とを同一回線に接続した上で、誤判断をなくすことができる火災報知システム、接点式感知器、およびアダプタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る火災報知システムは、火災検知結果に応じて、高感度レベルおよび低感度レベルによる2つの異なる感度レベルの火災信号をあらかじめ決められた電流値を有する信号として出力する2信号感知器と、接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点出力機器と、2信号感知器から出力される火災信号、および接点出力機器から出力される接点信号を受信する受信機とを備え、接点出力機器は、接点が閉じた際に、接点信号を、高感度レベルおよび低感度レベルのいずれかの感度レベルにおける火災信号と同レベルの電流値を有する電流信号に変換して出力する電流出力回路を有し、2信号感知器と接点出力機器とは、受信機に対して同一回線を介して並列接続されるものである。
また、本発明に係る火災報知システムは、火災検知結果に応じて、高感度レベルおよび低感度レベルによる2つの異なる感度レベルの火災信号をあらかじめ決められた電圧値を有する信号として出力する2信号感知器と、接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点出力機器と、2信号感知器から出力される火災信号、および接点出力機器から出力される接点信号を受信する受信機とを備え、接点出力機器は、接点が閉じた際に、接点信号を、高感度レベルおよび低感度レベルのいずれかの感度レベルにおける火災信号と同レベルの電圧値を有する電圧信号に変換して出力する電圧出力回路を有し、2信号感知器と接点出力機器とは、受信機に対して同一回線を介して並列接続されるものである。
【0009】
また、本発明に係る接点式感知器は、あらかじめ決められた電流値を有する外部信号と同一回線を介して並列に接続される接点を有し、接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点式感知器であって、接点が閉じた際に、接点信号を、電流値と同一レベルの電流信号に変換して出力する電流出力回路を有するものである。
また、本発明に係る接点式感知器は、あらかじめ決められた電圧値を有する外部信号と同一回線を介して並列に接続される接点を有し、接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点式感知器であって、接点が閉じた際に、接点信号を、電圧値と同一レベルの電圧信号に変換して出力する電圧出力回路を有するものである。
【0010】
また、本発明に係るアダプタは、接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点出力機器に取り付けられ、接点信号、あらかじめ決められた電流値を有する外部信号と同一回線を介して並列に接続可能とするアダプタであって、接点が閉じた際に、接点信号を電流値と同一レベルの電流信号に変換して同一回線に出力するための電流出力回路を有するものである。また、本発明に係るアダプタは、接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点出力機器に取り付けられ、接点信号、あらかじめ決められた電圧値を有する外部信号と同一回線を介して並列に接続可能とするアダプタであって、接点が閉じた際に、接点信号を電圧値と同一レベルの電圧信号に変換して同一回線に出力するための電圧出力回路を有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2信号感知器と、接点出力機器とを同一回線に接続した上で、誤判断をなくすことができる火災報知システム、接点式感知器、およびアダプタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る火災報知システムの全体構成図である。
図2】3線式2信号システムとして構成された従来の火災報知システムの全体構成図である。
図3】2線式2信号システムとして構成された従来の火災報知システムの全体構成図である。
図4】2線式2信号システムとして構成された従来の火災報知システムで使用される受信機において、2種発報と3種発報との識別処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の火災報知システム、接点式感知器、およびアダプタの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
本発明は、接点出力機器から出力される信号を、2信号感知器が作動した際の高感度レベルおよび低感度レベルのいずれかの感度レベルと同等の電流値あるいは電圧値を有するように変換できる機能を備えたことを技術的特徴とするものである。
【0014】
実施の形態1.
まず始めに、2信号感知器と接点出力機器とを備えた従来の火災報知システムの構成について説明する。2信号感知器と接点出力機器とを備えた従来の火災報知システムとしては、3線式2信号システムと、2線式2信号システムとの2種類に大別される。
【0015】
図2は、3線式2信号システムとして構成された従来の火災報知システムの全体構成図である。図2に示した3線式2信号システムは、受信機10、2信号感知器20、接点式熱感知器30、および発信機40を備えて構成されている。
【0016】
2信号感知器20は、煙濃度が10%/m(2種)と、15%/m(3種)との2つの感度を持ち、火災検知結果に応じて、高感度レベルおよび低感度レベルによる2つの異なる感度レベルの火災信号を出力する感知器に相当する。2信号感知器20は、2つの異なる感度レベルの火災信号を、あらかじめ決められた電流値を有する信号として出力する、あるいはあらかじめ決められた電圧値を有する信号として出力する。
【0017】
接点式熱感知器30および発信機40は、接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点出力機器に相当する。また、接点式熱感知器30は、接点式感知器の一例である。
【0018】
受信機10は、2信号感知器20から出力される火災信号、および接点出力機器である接点式熱感知器30および発信機40から出力される接点信号を受信する。
【0019】
図2のシステム構成において、受信機10と2信号感知器20との間は、コモン線C、第1配線L1、および第2配線L2の3線によって接続されている。受信機10は、2信号感知器20から2種発報として、高感度レベルの火災信号が出力された場合には、第1配線L1を介して、この高感度レベルの火災信号を受信する。また、受信機10は、2信号感知器20から3種発報として、低感度レベルの火災信号が出力された場合には、第2配線L2を介して、この低感度レベルの火災信号を受信する。
【0020】
また、接点式熱感知器30から出力される接点信号、および発信機40から出力される接点信号は、2信号感知器20に対して並列に接続されている。そして、2信号感知器20は、接点式熱感知器30から出力される接点信号あるいは発信機40から出力される接点信号の少なくともいずれかを受信した場合には、第1配線L1を介して、接点信号を受信したことを受信機10に知らせる。
【0021】
すなわち、図2に示した3線式2信号システムにおいて、受信機10は、2信号感知器20から出力される高感度レベルの火災信号と低感度レベルの火災信号とを、個別の配線L1、L2を介して受信することで識別している。また、受信機10は、接点出力機器である接点式熱感知器30および発信機40が出力した接点信号を、第1配線L1を介して受信することができる。受信機10は、接点出力機器によって第1配線L1が短絡することで高感度レベルの火災信号を受信したときと同様の処理を実行することができる。
【0022】
具体的には、受信機10は、高感度レベルの火災信号、あるいは、接点出力機器から出力された接点信号を、第1配線L1を介して受信することで、地区ベルを鳴動させ、避難誘導を促す処理を実行することができる。
【0023】
また、受信機10は、低感度レベルの火災信号を、第2配線L2を介して受信することで、防排煙設備を起動し、防火扉を閉じる等の延焼防止を施す処理を実行することができる。
【0024】
しかしながら、図2に示した3線式2信号システムとして構成された従来の火災報知システムでは、第1配線L1と第2配線L2とを利用するため、受信機10に対して2回線分の配線を施す必要があった。
【0025】
次に、図3は、2線式2信号システムとして構成された従来の火災報知システムの全体構成図である。図3に示した2線式2信号システムは、先の図2と同様に、受信機10、2信号感知器20、接点式熱感知器30、および発信機40を備えて構成されている。
【0026】
図3のシステム構成において、受信機10と2信号感知器20との間は、コモン線C、および第1配線L1の2線によって接続されている。受信機10は、2信号感知器20から、2種発報として、高感度レベルの火災信号が出力された場合、および3種発報として、低感度レベルの火災信号が出力された場合のいずれにおいても、第1配線L1を介して、高感度レベルあるいは低感度レベルの火災信号を受信する。
【0027】
2信号感知器から、2つの異なる感度レベルの火災信号が、それぞれ、あらかじめ決められた電圧値を有する信号として出力される場合には、受信機10は、高感度レベルの火災信号に相当する2種発報と、低感度レベルの火災信号に相当する3種発報とを、火災信号の電圧値によって識別することができる。
【0028】
図4は、2線式2信号システムとして構成された従来の火災報知システムで使用される受信機10において、2種発報と3種発報との識別処理を説明するための図である。一例として、2信号感知器20が、2種発報に相当する火災信号を約20Vの電圧レベルを有する信号として出力し、3種発報に相当する火災信号を約10Vの電圧レベルを有する信号として出力する場合を考える。
【0029】
図4に示した2種閾値は、
10V<2種閾値<20V
の値としてあらかじめ設定され、図4に示した3種閾値は、
0V<3種閾値<10V
の値としてあらかじめ設定される。
【0030】
受信機10は、受信信号の電圧値が、2種閾値よりも小さく、かつ3種閾値よりも大きい場合には、受信信号として2種発報を受信したと判断する。また、受信機10は、受信信号の電圧値が、3種閾値よりも小さい場合には、受信信号として3種発報を受信したと判断する。
【0031】
また、接点式熱感知器30から出力される接点信号、および発信機40から出力される接点信号は、受信機10に対して並列に接続されている。そして、受信機10は、接点式熱感知器30から出力される接点信号あるいは発信機40から出力される接点信号の少なくともいずれかが生成された場合には、第2配線L3を介して、閉状態となった接点信号を受信する。
【0032】
すなわち、図3に示した2線式2信号システムにおいて、受信機10は、2信号感知器20から出力される低感度レベルの火災信号と高感度レベルの火災信号とを、同一の第1配線L1を介して受信し、電圧レベルによって識別している。また、受信機10は、接点出力機器である接点式熱感知器30および発信機40から閉状態となった接点信号を、第2配線L2を介して直接受信することができ、高感度レベルの火災信号を受信したときと同様の処理、つまり地区ベルを鳴動させ、避難誘導を促す処理を実行することができる。
【0033】
なお、ここでは、2信号感知器20が、2つの異なる感度レベルの火災信号をあらかじめ決められた電圧値を有する信号として出力する場合を例示したが、2つの異なる感度レベルの火災信号をあらかじめ決められた電流値を有する信号として出力することも可能である。この場合には、受信機10は、2種閾値および3種閾値を、電流レベルを識別するための閾値として利用することで、2種発報と3種発報とを識別することができる。
【0034】
しかしながら、図3に示した2線式2信号システムとして構成された従来の火災報知システムでも、接点出力機器を接続する場合には、先の図2に示した3線式2信号システムとして構成された従来の火災報知システムと同様に、第1配線L1と第2配線L3とを利用するため、受信機10に対して2回線分の配線を施す必要があった。配線は、配線距離が長くなると工事費用等が嵩み、コストが高くなる。また、1監視領域につき2回線分の配線が必要となり、多くの場所の火災を監視できないといった問題点がある。
【0035】
これに対して、本発明の実施の形態1に係る火災報知システムでは、第2配線L2/L3を不要とした上で、2信号感知器20から出力される2つの異なる感度レベルの火災信号と、接点出力機器である接点式熱感知器30および発信機40から出力される接点信号とを受信した受信機10により、受信内容に応じて適切な処理を実行できるシステム構成を実現している。そこで、図1を用いて、このシステム構成を詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施の形態1に係る火災報知システムの全体構成図である。図1に示した本実施の形態1に係る火災報知システムは、図2あるいは図3で示した従来の火災報知システムと同様に、受信機10、2信号感知器20、接点式熱感知器30、および発信機40を備えて構成されている。
【0037】
ただし、本実施の形態1に係る火災報知システムでは、接点出力機器である接点式熱感知器30および発信機40のそれぞれが、アダプタ50を介して2信号感知器20に並列接続されているとともに、第2配線L2/L3を不要としている点が、従来の火災報知システムと異なっている。そこで、これらの相違点を中心に、本実施の形態1に係る火災報知システムの技術的特徴を詳細に説明する。
【0038】
アダプタ50は、接点が閉じることで生成される接点信号を出力する接点出力機器に取り付けられ、接点出力機器を回線に接続可能とするものである。さらに、アダプタ50は、接点が閉じた際に、接点信号を所望の電流レベルを有する電流信号に変換して回線に出力するための電流出力回路、あるいは接点が閉じた際に、接点信号を所望の電圧レベルを有する電圧信号に変換して回線に出力するための電圧出力回路のいずれかを備えて構成されている。以下の説明では、アダプタ50が電圧出力回路を備えている場合を例にして説明する。
【0039】
従来の火災報知システムでは、接点出力機器である接点式熱感知器30および発信機40から出力される接点信号が、そのまま回線に接続されていた。すなわち、接点出力機器は、接点信号が生成されたことを、閉状態となった接点により回線を短絡することによって、接続先の機器に伝達していた。
【0040】
これに対して、本実施の形態1に係る火災報知システムでは、接点出力機器において閉状態となった接点信号が生成された際に、電圧出力回路を備えたアダプタ50を介在させることで、接点信号を所望の電圧レベルを有する電圧信号に変換して回線に出力させることができる。
【0041】
このような構成を備えることで、接点出力機器から接点信号が出力された場合には、高感度レベルの火災信号と同レベルの電圧値を有する信号として電圧信号を受信機10に対して、第1配線L1を介して送信することができる。
【0042】
換言すると、2信号感知器20と、接点出力機器である接点式熱感知器30および発信機40とは、受信機10に対して同一回線を介して並列接続されていると見なすことができる。
【0043】
また、図1における受信機10と2信号感知器20との間は、先の図3で示した2線式2信号システムとして構成された従来の火災報知システムと同様に、コモン線Cおよび第1配線L1の2線のみによって接続されている。従って、受信機10は、第1配線L1を介して受信した信号の電圧レベルに応じて、2種発報であるか3種発報であるかを識別することで、受信結果に基づく適切な処理を実行することができる。
【0044】
すなわち、アダプタ50を適用することで、接点出力機器から接点信号が出力された場合に、受信機10は、第1配線L1を介して2種発報に相当する信号として受信することができる。この結果、2信号感知器20と、接点出力機器である接点式熱感知器30および発信機40とを、同一回線に接続した上で、誤判断をなくすことができる火災報知システムを実現できる。
【0045】
なお、上述した実施の形態1では、接点式熱感知器30および発信機40に相当する接点出力機器と、アダプタ50とを別構成とし、アダプタ50を介して接点出力機器を回線に接続する場合について説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されるものではない。接点出力機器自体が、電圧出力回路を内蔵するように構成することも可能である。
【0046】
また、上述した実施の形態1では、アダプタ50が有する電圧出力回路が、高感度レベルの火災信号と同レベルの電圧値を有する信号に変換する場合について説明した。しかしながら、接点出力機器から接点信号が出力された際に、低感度レベルの火災信号と同レベルの信号として扱いたい接点出力機器を使用したい場合には、低感度レベルの火災信号と同レベルの電圧値を有する信号に変換する電圧出力回路を採用することができる。
【0047】
また、実施の形態1の中でも説明したが、2信号感知器20が、2つの異なる感度レベルの火災信号をあらかじめ決められた電流値を有する信号として出力する場合には、電圧出力回路の代わりに電流出力回路を適用することとなる。
【0048】
以上のように、実施の形態1によれば、接点出力機器から出力される信号を、2信号感知器が作動した際の高感度レベルおよび低感度レベルのいずれかの感度レベルと同等の電流値あるいは電圧値を有するように変換できる構成を実現できる。この結果、2信号感知器と、接点出力機器とを同一回線に接続した上で、誤判断をなくすことができる火災報知システム、接点式感知器、およびアダプタを得ることができる。これにより、コストを削減でき、さらに火災を監視する場所を増加させることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 受信機、20 2信号感知器、30 接点式熱感知器、40 発信機、50 アダプタ。
図1
図2
図3
図4