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特許7479828制御装置、方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】制御装置、方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/222 20060101AFI20240430BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20240430BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240430BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240430BHJP
   H04N 23/65 20230101ALI20240430BHJP
   G03B 17/00 20210101ALN20240430BHJP
【FI】
H04N5/222 100
G03B5/00 L
G03B15/00 F
G03B15/00 P
G03B15/00 U
G03B17/56 B
H04N23/65 100
G03B17/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019220768
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2021090171
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】井▲高▼ さゆり
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-121575(JP,A)
【文献】特開2011-155461(JP,A)
【文献】特開2004-289426(JP,A)
【文献】特開2019-161444(JP,A)
【文献】特開2007-065210(JP,A)
【文献】特開2017-224882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/60 -23/698
G03B 5/00
G03B 15/00
G03B 17/00
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部を支持する支持部と、
前記支持部を回動させる駆動部と、
前記支持部の回動に伴う変化量を検出する回転検出部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記撮像部が待機状態から通常状態に復帰する場合において、前記撮像部の待機中に前記回転検出部が検出した前記変化量の絶対値が所定値未満の場合には、前記支持部の回動を伴う前記駆動部の初期化動作を行うことなく、前記通常状態に復帰する場合における目標位置まで前記支持部を回動させるように前記駆動部を制御し、
前記回転検出部が検出する前記変化量のサンプリング周波数は、前記通常状態におけるサンプリング周波数よりも前記待機状態におけるサンプリング周波数の方が小さい
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置において、
前記制御部は、前記撮像部が前記待機状態から前記通常状態に復帰する場合において、前記撮像部の待機中に前記回転検出部が検出した前記変化量の絶対値が所定値以上の場合には、前記支持部を基準位置まで回動させる前記初期化動作を行った後に、前記支持部を目標位置まで回動させるように前記駆動部を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置において、
前記制御部は、前記撮像部が前記待機状態から前記通常状態に復帰する場合において、前記撮像部の待機中に前記回転検出部が検出した前記変化量の絶対値が所定値以上の場合には、前記変化量に応じた駆動量で前記支持部を前記目標位置まで回動させるように前記駆動部を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項に記載の制御装置において、
前記撮像部の待機中に前記回転検出部が検出した前記変化量が前記回転検出部の検出可能な上限値又は下限値となった場合には、前記支持部を基準位置まで回動させる前記初期化動作を行った後に、前記支持部を目標位置まで回動させるように前記駆動部を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項又はに記載の制御装置において、
前記撮像部の待機中に前記回転検出部が検出した前記変化量に応じた駆動量が、前記支持部の可動範囲を超えた場合には、前記支持部を基準位置まで回動させる前記初期化動作を行った後に、前記支持部を目標位置まで回動させるように前記駆動部を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載に記載の制御装置において、
前記回転検出部は、前記撮像部のブレを検出するブレ検出部としても機能することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
撮像部を支持する支持部を回動させる駆動部を制御するための方法であって、
前記支持部の回動に伴う変化量を検出する回転検出ステップと、
前記駆動部を制御する制御ステップと、
を有し、
記撮像部が待機状態から通常状態に復帰する場合において、前記撮像部の待機中に前記回転検出ステップで検出した前記変化量の絶対値が所定値未満の場合には、前記制御ステップにおいて、前記支持部の回動を伴う前記駆動部の初期化動作を行うことなく、前記通常状態に復帰する場合における目標位置まで前記支持部を回動させるように前記駆動部を制御し、
前記回転検出部が検出する前記変化量のサンプリング周波数は、前記通常状態におけるサンプリング周波数よりも前記待機状態におけるサンプリング周波数の方が小さい
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
コンピュータに、撮像部を支持する支持部を回動させる駆動部を制御するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記支持部の回動に伴う変化量を検出する回転検出ステップと、
前記駆動部を制御する制御ステップと、
を有し、
記撮像部が待機状態から通常状態に復帰する場合において、前記撮像部の待機中に前記回転検出ステップで検出した前記変化量の絶対値が所定値未満の場合には、前記制御ステップにおいて、前記支持部の回動を伴う前記駆動部の初期化動作を行うことなく、前記通常状態に復帰する場合における目標位置まで前記支持部を回動させるように前記駆動部を制御し、
前記回転検出部が検出する前記変化量のサンプリング周波数は、前記通常状態におけるサンプリング周波数よりも前記待機状態におけるサンプリング周波数の方が小さい
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項に記載のプログラムを記憶したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラをスタンバイ状態から復帰させる場合に、所定以上の衝撃を検知した場合のみ復帰動作を行うことにより復帰時間を短縮する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-123247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、迅速にスタンバイ状態からの復帰が可能な制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の通信装置は、撮像部を支持する支持部と、前記支持部を回動させる駆動部と、前記支持部の回動に伴う変化量を検出する回転検出部と、前記駆動部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記撮像部が待機状態から通常状態に復帰する場合において、前記撮像部の待機中に前記回転検出部が検出した前記変化量の絶対値が所定値未満の場合には、前記支持部の回動を伴う前記駆動部の初期化動作を行うことなく、前記通常状態に復帰する場合における目標位置まで前記支持部を回動させるように前記駆動部を制御し、前記回転検出部が検出する前記変化量のサンプリング周波数は、前記通常状態におけるサンプリング周波数よりも前記待機状態におけるサンプリング周波数の方が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態におけるネットワークカメラの機能ブロック図。
図2】第1の実施形態におけるネットワークカメラのメカ構成図。
図3】第1の実施形態におけるスタンバイコマンド受信時のパン・チルト制御部の処理を示すフローチャート。
図4】第1の実施形態におけるスタンバイ状態時のパン・チルト制御部の処理を示すフローチャート。
図5】第1の実施形態における復帰コマンド受信時のパン・チルト制御部の処理を示すフローチャート。
図6】第2の実施形態におけるスタンバイ状態時のパン・チルト制御部の処理を示すフローチャート。
図7】第2の実施形態における復帰コマンド受信時のパン・チルト制御部の処理を示すフローチャート。
図8】各実施形態におけるネットワークカメラ100のハードウェア構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態におけるネットワークカメラの機能ブロック図である。ネットワークカメラ100は、ネットワーク150を介して不図示のクライアント装置(情報処理装置)と相互に通信可能な状態に接続されている。ユーザはクライアント装置からネットワークカメラ100に様々なコマンドを送信することができる。
【0010】
撮像部101は、フォーカスレンズ、ズームレンズなどを含む撮像用レンズ、及び撮像素子から構成され、被写体の撮像及び電気信号への変換を行う。
【0011】
パン駆動部102は、パン動作を行うメカ駆動系、及び駆動源のモータにより構成され、パン・チルト制御部106より制御される。
【0012】
チルト駆動部103は、チルト動作を行うメカ駆動系、及び駆動源のモータにより構成され、パン・チルト制御部106により制御される。
【0013】
ブレ検出部104(回転検出部)は、ジャイロセンサ等の角速度センサやノイズ除去のための各種フィルタより構成され、撮像部101のYaw(パン)方向及びPitch(チルト)方向の角速度(変化量)を検出する。ジャイロセンサ等の角速度センサは、撮像部101のYaw方向及びPitch方向を検出するために、Yaw方向検出用とPitch方向検出用にそれぞれ1つずつ配置してもよいし、同時に2軸または3軸検出できるセンサを1つ配置してもよい。また、角速度センサと加速度センサが一体となり6軸検出できるセンサを1つ配置してもよい。検出した角速度情報はブレ補正部107で取得し、撮像部101の像ブレ補正に用いる。また、このブレ検出部104はスタンバイ時にはパン駆動部102とチルト駆動部103の回転検知にも用いられる。
【0014】
画像処理部105は撮像部101によって変換された電気信号にノイズ除去やガンマ補正などの画像処理を行い、画像データを生成し、システム制御部108へ伝達する。また、システム制御部108より受信したコマンドの処理も行う。例えば、システム制御部108からズーム位置の変更やフォーカス位置の変更指示を受信した場合は、撮像部101のフォーカスレンズやズームレンズを受信した位置になるよう駆動させ、画質調整の指示を受信した場合は、画質の調整を行う。また、画像処理部105内にはパン・チルト制御部106及びブレ補正部107も含まれる。
【0015】
パン・チルト制御部106は、システム制御部108から画像処理部105で受信したパン・チルトに関するコマンドの制御を行い、コマンドの指示に基づいて、パン駆動部102およびチルト駆動部103を制御する。
【0016】
ブレ補正部107は、ブレ検出部104より取得したブレ情報をもとに、撮像部101のブレ補正を行う。ブレ補正には、ブレ量を撮像センサの画素をずらすことで補正する電子式ブレ補正手段を用いてもよいし、撮像部101内に含まれる補正光学系のレンズを移動させることで補正を行う光学式ブレ補正手段を用いてもよい。本実施形態では電子式ブレ補正手段を用いる。
【0017】
システム制御部108は、ネットワークカメラ100全体を制御する。システム制御部208は通信部109を介して、生成された画像データを不図時のクライアント装置に配信する。また、通信部109より伝達されたカメラ制御コマンドを解析し、画像処理部105に関するコマンドを画像処理部105へ伝達する。例えば、スタンバイ状態(待機状態)のコマンドを受信した場合は、スタンバイ状態に入るための指示を画像処理部105へ行い、スタンバイからの復帰指示コマンドを受信した場合は、復帰するための指示を画像処理部105へ行う。
【0018】
通信部109は、クライアント装置から送信されるカメラ制御コマンドを受信し、システム制御部108へ伝達する。またカメラ制御コマンドに対するレスポンスをクライアント装置へ送信する。
【0019】
なお、本実施形態におけるネットワークカメラ100は、図1で示した構成に限られるものではない。例えば、SDIやHDMI(登録商標)などの映像出力端子や、音声入出力部や外部デバイス入出力部をネットワークカメラ100に設けても良い。また、通信部109は有線接続でも無線接続でもよい。
【0020】
続いて、本実施形態におけるネットワークカメラ100のメカ構成に関して、図2を用いて説明する。
【0021】
図2(a)は取り付けられているネットワークカメラ100を上面側から見た図であり、図2(b)は側面から見た図である。図2において、201はボトムケース、202はターンテーブル(支持部)、203はカメラヘッド支柱(支持部)、204はカメラヘッド(撮像部)である。
【0022】
図2を参照して、上下方向の軸を垂直軸とし、これに直交する軸を水平軸と定義して、パン・チルト可動部の動作について説明する。なお、図2(a)において、紙面に直交する垂直軸を中心として時計回り方向をパン角度の正方向、反時計回り方向をパン角度の負方向とする。また、図2(b)において、紙面に直交する軸を中心として時計回り方向をチルト角度の正方向、反時計回り方向をチルト角度の負方向とする。
【0023】
図2において、パン駆動部102はボトムケース201とターンテーブル202で構成され、ターンテーブル202は垂直軸を中心として水平方向に回転する。本実施形態のパン駆動部102はパン方向に―170度から+170度まで回転(回動)することができる。
【0024】
チルト駆動部103はターンテーブル202の上に備えられたカメラヘッド支柱203とカメラヘッド204で構成され、カメラヘッド204が水平軸を中心に垂直方向に回転する。本実施形態のチルト駆動部103は、水平方向を0度として斜め下方向の―20度から真上方向90°まで回転(回動)することができる。
【0025】
このように、カメラヘッド204(撮像部)は、ターンテーブル202及びカメラヘッド支柱203(支持部)によって支持されている。
【0026】
このように、本実施形態のネットワークカメラ100は、カメラヘッドを水平方向及び垂直方向に回転することで撮影方向を変えて広範囲に撮影することができる。なお、本実施形態におけるネットワークカメラ100は、図2で示した構成に限られるものではない。例えば、パン方向に360度エンドレスに駆動可能としてもよい。また、チルト方向も180度駆動可能としてもよい。
【0027】
パン駆動部102及びチルト駆動部103の位置制御は、駆動源であるモータ(駆動部)の駆動ステップ数により行う。位置制御を行うためには、位置制御を開始する前に位置制御の基準となる基準位置を記憶しておく必要がある。この基準位置を記憶する動作は駆動部の初期化動作となり、装置の電源投入時など位置制御の基準位置初期化が必要な場合に行う。基準となる位置にはPI(PhotoInterrupter)センサが設置してあり、PIセンサの値を確認しながらパン駆動部102及びチルト駆動部103を駆動し、PIセンサの出力に変化があった位置を基準位置として記憶する。
【0028】
基準位置は、パン駆動部102及びチルト駆動部103の駆動範囲の中心位置としてもよいし、駆動範囲の端位置としてもよい。基準位置の決定後は、その基準位置から駆動ステップ数を駆動させることで正確な位置制御を行う事が可能となる。
【0029】
通信部108がスタンバイ状態のコマンドを受信した場合には、ネットワークカメラはスタンバイ状態へ移行する。スタンバイ状態では、撮像を行わないため、撮像部101への通電を遮断したり、パン・チルト駆動を行わないため、パン駆動部102やチルト駆動部103への通電を遮断したりする。
【0030】
スタンバイ状態への移行指示またはスタンバイ状態からの復帰指示は、本実施形態ではネットワーク150を介して不図示のクライアント装置から受信するものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、ネットワークカメラ100にシリアル通信部を設け、このシリアル通信部に直接PCやコントローラを接続し、シリアル通信部からコマンドの送受信をおこなってもよい。
【0031】
なお、本実施形態では、撮像部101のブレ補正に用いているブレ検出部104をスタンバイ状態時には、パン駆動部102とチルト駆動部103の回転検出用として使用する。ブレ検出部104のYaw方向の検出をパン回転用に、Pitch方向の検出をチルト回転用に用いる。
【0032】
以下、本実施形態におけるスタンバイコマンドを受信した時の、パン・チルト駆動部の初期化処理に関して、図3図4及び図5で示したフローチャートを用いて説明する。
【0033】
図3はスタンバイコマンドを受信したときのパン・チルト制御部106の処理を示すフローチャートである。
【0034】
ステップS301では、スタンバイ状態コマンド受信処理のシーケンスを開始する。
【0035】
次に、ステップS302では、現在のモータのパルスカウンタ値をスタンバイコマンド受信時の位置として記憶する。
【0036】
次に、ステップS303では、スタンバイ位置へ移動を行うか移動を行わないかのフラグを確認する。スタンバイ位置とは、パン駆動部102、及びチルト駆動部103の端位置付近のことである。このスタンバイ位置に移動させることで、その外観により、被撮影者に対して撮像していない事を明示することができる。
【0037】
スタンバイ時にスタンバイ位置へ移動するかどうかはユーザが設定を行うことができる。スタンバイ位置に移動するのを設定した場合はフラグがセットされ、スタンバイ位置へ移動しない(スタンバイコマンドを受信した位置のままスタンバイ状態に移行する)を設定した場合は、フラグはクリアされる。
【0038】
スタンバイ位置へ移動を行うフラグがセットされている場合には、ステップS304へ進み、フラグがセットされていない場合には、ステップS305へ進む。
【0039】
ステップS304ではパン駆動部102とチルト駆動部103を端位置へ駆動させる。本実施形態では、パン駆動部102は―170度へ駆動を行い、チルト駆動部103は-20度へ駆動を行う。
【0040】
ステップS305では、モータのパルスカウンタ値を現在位置として記憶する。
【0041】
ステップS306では、スタンバイ時の設定を行う。例えばパン駆動部102及びチルト駆動部103への通電を遮断する。すなわち、ネットワークカメラ100をスタンバイ状態に移行させる。ただし、駆動部への通電を遮断するとパン駆動部102及びチルト駆動部103は簡単に手で回転させる事ができてしまう。そのため、本実施形態では、撮像部101のブレ補正に用いているブレ検出部104をスタンバイ状態時には、パン駆動部102とチルト駆動部103の回転検出用として使用する。そのため、ブレ検出部104の設定をスタンバイ時に変更してもよい。例えば、ジャイロのレンジが変更できるものあればレンジの変更を行うことができる。スタンバイ状態では、パン駆動部102またはチルト駆動部103が手で回転させられることが想定されるため、通常時のブレ補正手段107で使用する範囲より、より低速度の範囲で検知が可能となる。例えば通常状態においてジャイロレンジの設定が±250度/secとなっている場合、スタンバイ状態時は、それよりも角速度が小さい±125度/secと変更を行ってもよい。
【0042】
また、ジャイロの値を取得するサンプリング周波数を変更してもよい。通常時はジャイロの出力値を積分してブレ量を算出する必要があるため、ジャイロのサンプリング周波数は高周波なほうが精度よく制御できる。一方、スタンバイ状態ではブレ量の算出は行わないため、低周波にしてもよい。例えば、通常時では4kHz、スタンバイ状態では1kHzとすることができる。
【0043】
ステップS307では、スタンバイコマンドを受信した場合の処理を終了する。
【0044】
図4は、スタンバイ状態におけるパン・チルト制御部106の処理を示すフローチャートである。図3のシーケンス後、ネットワークカメラ100はスタンバイ状態へと移行する。図4のフローチャートは、スタンバイ状態へ移行後の処理である。なお、このシーケンスは、タイマー等により例えば1kHzの周期的に呼び出されることとする。
【0045】
ステップS401では、スタンバイ状態時のシーケンスを開始する。
【0046】
次に、ステップS402では、ブレ検出部104のジャイロ値を取得し、取得した絶対値が所定値以上かどうかの判断を行う。ジャイロ信号の出力(変化量)は静止時でも多少ばらつきがあるため、そのばらつき以上の値を設定する。例えば、静止時のばらつきが±30LSB(Least Significant Bit)程度であった場合、所定値には±50LSBを設定する。ジャイロ信号の出力が、-50LSB以下、もしくは50LSB以上の場合に、ステップS403へ進む。一方、ジャイロ信号の出力が-49LSBから49LSBの間だった場合には、ステップS404へ進む。本実施形態では、パン用の所定値とチルト用の所定値を同一の値としているが、別々にしてもよい。また、パン用の所定値とチルト用の所定値をそれぞれ持っているが、パン用の所定値とチルト用の所定値を共通にしてもよい。
【0047】
ステップS403では、ジャイロ信号の出力の絶対値が所定値以上のため、パン駆動部102またはチルト駆動部103が回転したと判断し、初期化フラグをセットする。
【0048】
ステップS404では、スタンバイ状態における処理を終了する。
【0049】
図5は、スタンバイ状態において、復帰コマンドを受信した場合のパン・チルト制御部106の処理を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS501では、復帰コマンド受信処理のシーケンスを開始する。
【0051】
ステップS502では、初期化フラグがセットされているかの判断を行う。初期化フラグがセットされていると判断した場合には、S503へ進む。初期化フラグがセットされていないと判断した場合には、S506へ進む。
【0052】
ステップS503では、セットされている初期化フラグをクリアする。
【0053】
ステップS504では、パン駆動部102及びチルト駆動部103の初期化を行う。初期化は、パン駆動部102及びチルト駆動部103を駆動させ、PIセンサの出力の変化位置を検出する。そして、その位置を基準位置としてパルスカウンタ値を0に設定する動作である。
【0054】
なお、本実施形態では、パン駆動部102及びチルト駆動部103の初期化処理を同時に行っているが、パン駆動用の初期化フラグのみがセットされている場合はパン駆動部102のみ初期化を行ってもいい。また、チルト駆動用の初期化フラグのみがセットされている場合は、チルト駆動部103のみ初期化を行ってもよい。
【0055】
ステップS505では、現在値としてパルスカウンタ値を取得する。この場合は、初期化をおこなっているので、0となる。
【0056】
ステップS506では、復帰時に駆動する駆動量を求める。駆動量は、目標位置と現在位置の差分で求める。復帰時にどの位置に復帰させるかはユーザが設定できる。例えばスタンバイコマンドを受信した時の位置や、原点位置、プリセット位置などである。
【0057】
復帰時の目標位置がスタンバイコマンドを受信した時の位置の場合で、スタンバイ状態において、ジャイロ信号の出力の値が所定値未満の場合は、目標位置と現在位置が同じとなるので、駆動量は0となる。一方、スタンバイ状態において、ジャイロ信号の出力の値が所定値以上の場合には、ステップS503で初期化されているので、目標位置と基準位置(現在位置)との差分が駆動量となる。
【0058】
ステップS507では、スタンバイ状態から通常状態の復帰設定を行う。すなわち、ネットワークカメラ100をスタンバイ状態から通常状態に移行させる。つまり、ステップS306で行った設定をもとの通常状態の設定に戻す。例えば、パン駆動部102及びチルト駆動部103へ電源が遮断されていれば、通電を再開する。また、ブレ検出部104のジャイロのレンジやジャイロのサンプリングタイミングが変更されていれば元の設定へ戻す。
【0059】
ステップS508では、ステップS506で算出された値に基づいてパン駆動102とチルト駆動部103の駆動を行う。S506で算出された値が0の場合は、駆動量が0なので、結果的に駆動は行わない。
【0060】
ステップS509では、復帰コマンド受信時の処理を終了する。
【0061】
以上、本実施形態では、スタンバイ状態において、ブレ検出部104が出力する値が所定値以上の場合にパン駆動部102またはチルト駆動部103の初期化処理を行い、ブレ検出部104が出力する値が所定値未満の場合には、初期化を行わない構成とした。
【0062】
これにより、スタンバイ中(待機中)にパン駆動部102またはチルト駆動部103が動かされた場合には、復帰時に初期化動作を行うことで、パルスカウンタ値と実際の位置とのズレを解消することができる。
【0063】
また、スタンバイ中にパン駆動部102またはチルト駆動部103が動かされなかった場合には、パン駆動部102またはチルト駆動部103の初期化を行わないので、スタンバイ動作からの復帰時間を短縮することができる。
【0064】
また、本実施形態においては、ブレ検出用のセンサであるブレ検出部104をスタンバイ状態における回転検出用として兼用したので、ネットワークカメラ100の構成を簡素化できる。これにより、ネットワークカメラ100を小型化することが可能となる。
【0065】
(第2の実施形態)
以下、図6及び図7を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態の場合と同様の構成要素については、すでに使用した符号を用いることで、それらの詳細な説明を省略し、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0066】
第1の実施形態では、ブレ検出部104が出力する値が所定値以上の場合にパン駆動部102またはチルト駆動部103の初期化を行ったが、本実施形態では、パン駆動部102またはチルト駆動部103の初期化は行わず、回転した回転量の算出を行う。スタンバイコマンド受信時の処理は第1の実施形態と同じため省略する。
【0067】
図6は、本実施形態のパン・チルト制御部106のスタンバイ状態時のシーケンスを示す図である。第1の実施形態では、S306のスタンバイ設定時にブレ検出部104のサンプリング周波数を1kHzに変更したが、本実施形態では、回転量の算出を行うため、サンプリング周波数は通常時と同じ4kHzに設定を行う。そのため、このシーケンスは、タイマー等により4kHzで周期的に呼び出される。
【0068】
ジャイロ信号のレンジに関しては、第1の実施形態と同じくレンジを低速度の範囲設定にしてもよい。なおサンプリングタイミングは4kHz以外でもよく、処理時間に余裕があるのであればさらに周波数を高くしてもよい。図4と同じステップに関しては、図4と同じステップ数を付し、説明を省略する。
【0069】
ステップS601では、ブレ検出部104のジャイロから得られた角速度を積分することで角度に変換し、ステップS305で取得した現在値の値に加算していく。加算した値は、現在位置として記憶する。積分の方法は、デジタルフィルタでローパスフィルタを構成してもよいし、単純にジャイロの出力値を検出周期(例えば4kHzなら250μsec)で積算して加算する方法でもよい。また、ハイパスフィルタや位相進みフィルタ、位相遅れフィルタ等を加えてもよい。このように、周期的にジャイロの値を積分して現在値に加算していくことでパン駆動部102またはチルト駆動部103が意図せず回転している場合も、現在値の値を取得することが可能となる。ステップS601の処理後は、ステップS404へ進みスタンバイ状態時の処理を終了する。
【0070】
次に、スタンバイ状態において、復帰コマンドを受信した場合のパン・チルト制御部106の処理について図7のフローチャートを用いて説明する。なお、図5と同じステップに関しては、図5と同じステップ数を付し、説明を省略する。
【0071】
図7は、図5におけるステップS502からステップS505が省略されたものとなっている。本実施形態では、スタンバイ中にジャイロの出力値を積分することで、現在位置の更新を行っている。そのため、スタンバイ状態から復帰時に、現在位置がスタンバイ状態コマンドを受信した時から変更となっていても、ステップS506において、目標位置との現在位置の差分を計算することで駆動量を求めることができる。
【0072】
すなわち、パン駆動部102またはチルト駆動部103の初期化が不要となり、初期化して基準位置から目標位置に駆動させる場合に比べて復帰時間を短縮することができる。
【0073】
また、第1の実施形態と同じく、目標位置がスタンバイ状態コマンドを受信した位置で、スタンバイ中にパン駆動部102またはチルト駆動部103の回転が検出されなかった場合は、目標位置と現在位置の差分が0となるため、駆動量は0となる。これにより、初期化が不要となり、初期化する場合と比べて、復帰時間を短縮することができる。
【0074】
以上、本実施形態では、スタンバイ状態において、ブレ検出部104の値が所定値以上の場合には、ブレ検出部104の値を積分することで回転角度を算出し、所定値未満の場合には、ブレ検出部104の値の積分を行わない構成とした。そのため、スタンバイ中にパン駆動部102またはチルト駆動部103が回転していても、現在位置を示すパルスカウンタ値と実際のパン駆動部102またはチルト駆動部103の位置ずれが生じない。これにより、パン駆動部102またはチルト駆動部103の初期化を省略することができる。すなわち、復帰時間の短縮をすることができる。
【0075】
また、スタンバイ中にパン駆動部102またはチルト駆動部103が動かされなかった場合には、第1の実施形態と同じくパン駆動部102またはチルト駆動部103の初期化を行わないので、スタンバイ動作からの復帰時間を短縮することができる。
【0076】
また、本実施形態では、ステップS601において現在値にジャイロの積分値を加算していく手法を提案したが、これに限定されない。例えば、加算中にパン駆動部102またはチルト駆動部103の可動範囲(パン駆動部:-170度から170度、チルト駆動部―20度から90度)を超えた場合は、初期化フラグをセットする構成としてもよい。手でパン駆動部102またはチルト駆動部103を回転させていれば現在値が可動範囲を超えることはないが、スタンバイ状態において、ネットワークカメラ100自体の場所が移動した場合は、超えてしまうことがある。その場合は、ジャイロ信号の出力値を積分して求めた現在位置と実際の位置とにずれが生じてしまうが、初期化フラグをセットし、スタンバイ状態からの復帰時に初期化の実行を行えば、復帰後は正確な位置制御を行うことができる。
【0077】
また、本実施形態ではジャイロ信号の出力値の上限値と下限値について言及していないが、ジャイロ信号の出力値が検出可能な上限値または下限値以下となった場合に、初期化フラグをセットする構成としてもよい。これにより、ステップS601で求めた現在位置の信頼性が低い場合は、スタンバイ状態からの復帰時にパン駆動部102またはチルト駆動部103の初期化を行い、復帰後は正確な位置制御を行うことができる。
【0078】
(その他の実施形態)
本発明における制御の一部または全部を上述した実施形態の機能を実現するプログラム(ソフトウェア)をネットワーク又は各種記憶媒体を介して撮像装置や情報処理装置に供給するようにしてもよい。そしてその撮像装置や情報処理装置におけるコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。その場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することとなる。
【0079】
図8は、上記各実施形態に係る処理をプログラムとして実行するネットワークカメラ100のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0080】
CPU801は、RAM802やROM803に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いてネットワークカメラ100全体の制御を行うと共に、上記各実施形態に係る処理を実行する。CPU801は、撮像部805、パン駆動部806、チルト駆動部807、ブレ検出部808を制御する。
【0081】
RAM802は、外部記憶装置804からロードされたコンピュータプログラムやデータ、I/F(インターフェース)809を介して外部から取得したデータなどを一時的に記憶するためのエリアを有する。更に、RAM802は、CPU801が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。即ち、RAM802は、例えば、フレームメモリとして割当てたり、その他の各種のエリアを適宜提供したりすることができる。
【0082】
ROM803には、ネットワークカメラ100の設定データや、ブートプログラムなどが格納されている。
【0083】
撮像部805は、CCDやCMOS等の撮像素子から構成することができる。不図示の撮像光学系による被写体像を光電変換して画像信号を生成する。
【0084】
外部記憶装置804は、USBメモリ、SDカード等の外部記憶装置である。外部記憶装置804には、上記各実施形態に係る処理をCPU801に実現させるためのコンピュータプログラムが保存されている。更には、外部記憶装置804には、処理対象としての各画像が保存されていても良い。
【0085】
外部記憶装置804に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU8001による制御に従って適宜RAM802にロードされ、CPU801による処理対象となる。I/F809には、LANやインターネット等のネットワーク、投影装置や表示装置などの他の機器を接続することができ、本コンピュータはこのI/F809を介して様々な情報を取得したり、送出したりすることができる。810は上述の各部を繋ぐバスである。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
100 ネットワークカメラ
101 撮像部
102 パン駆動部
103 チルト駆動部
104 ブレ検出部
105 画像処理部
106 パン・チルト制御部
107 ブレ補正部
108 システム制御部
109 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8