(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像システム
(51)【国際特許分類】
H04N 25/628 20230101AFI20240430BHJP
H04N 25/57 20230101ALI20240430BHJP
H04N 25/78 20230101ALI20240430BHJP
【FI】
H04N25/628
H04N25/57
H04N25/78
(21)【出願番号】P 2020020641
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】秋山 健史
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝教
(72)【発明者】
【氏名】福原 隆
(72)【発明者】
【氏名】小布施 武範
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-067344(JP,A)
【文献】特開2009-296122(JP,A)
【文献】特開2016-163234(JP,A)
【文献】特開2019-068318(JP,A)
【文献】国際公開第2010/023903(WO,A1)
【文献】特開2009-177749(JP,A)
【文献】特開2008-042679(JP,A)
【文献】特開2013-009207(JP,A)
【文献】特開2018-046484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222- 5/257
H04N 5/30 - 5/33
H04N 23/00
H04N 23/11
H04N 23/20 -23/76
H04N 23/90 -23/959
H04N 25/00
H04N 25/20 -25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換により電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部から転送される電荷を保持する保持部と、前記保持部が保持する電荷に基づく画素信号を出力する出力部と、を各々が有する複数の画素と、
前記複数の画素に接続され、前記複数の画素から信号が出力される出力線と、
所定のクリップレベルを上限又は下限とする範囲に、前記出力線の信号レベルを制限するクリップ回路と、
前記出力線の信号を増幅する増幅部と、を有し、
前記増幅部は、前記画素から出力される同一の画素信号に対して、第1の増幅率で増幅した第1の信号と、前記第1の増幅率とは異なる第2の増幅率で増幅した第2の信号と、を出力し、
前記クリップ回路は、前記画素信号を前記第1の増幅率で増幅する第1の期間に、前記出力線の信号レベルを第1のクリップレベルで制限し、前記画素信号を前記第2の増幅率で増幅する第2の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルと異なる第2のクリップレベルで制限
し、
前記増幅部は、
増幅器と、前記増幅器の入力ノードと出力ノードとの間に第1のスイッチを介して接続された第1の容量と、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に第2のスイッチを介して接続された第2の容量と、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に接続された第3のスイッチと、
前記出力線と前記入力ノードとの間に第4のスイッチを介して接続された第3の容量と、
前記出力線と前記入力ノードとの間に第5のスイッチを介して接続された第4の容量と、
前記第4の容量の第1の電極と第2の電極との間に接続された第6のスイッチと、を有する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記複数の画素の各々は、前記保持部のリセット電位に基づくノイズ信号を更に出力し、
前記増幅部は、前記画素から出力されるノイズ信号に対して、前記第1の増幅率で増幅した第3の信号と、前記第2の増幅率で増幅した第4の信号と、を更に出力し、
前記クリップ回路は、前記ノイズ信号を前記第1の増幅率で増幅する第3の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルで制限し、前記ノイズ信号を前記第2の増幅率で増幅する第4の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第2のクリップレベルで制限する
ことを特徴とする請求項
1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記増幅部は、前記第3の信号、前記第1の信号、前記第2の信号、前記第4の信号の順序で信号を出力する
ことを特徴とする請求項
2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記増幅部は、前記第3の信号、前記第4の信号、前記第1の信号、前記第2の信号の順序で信号を出力する
ことを特徴とする請求項
2記載の撮像装置。
【請求項5】
前記増幅部は、前記第3の信号、前記第1の信号、前記第4の信号、前記第2の信号の順序で信号を出力する
ことを特徴とする請求項
2記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第3の信号及び前記第4の信号は、前記出力線に出力された同一の前記ノイズ信号を増幅することにより生成される
ことを特徴とする請求項
4又は
5記載の撮像装置。
【請求項7】
光電変換により電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部から転送される電荷を保持する保持部と、前記保持部が保持する電荷に基づく画素信号を出力する出力部と、を各々が有する複数の画素と、
前記複数の画素に接続され、前記複数の画素から信号が出力される出力線と、
所定のクリップレベルを上限又は下限とする範囲に、前記出力線の信号レベルを制限するクリップ回路と、
前記出力線の信号を増幅する増幅部と、を有し、
前記増幅部は、前記画素から出力される同一の画素信号に対して、第1の増幅率で増幅した第1の信号と、前記第1の増幅率とは異なる第2の増幅率で増幅した第2の信号と、を出力し、
前記クリップ回路は、前記画素信号を前記第1の増幅率で増幅する第1の期間に、前記出力線の信号レベルを第1のクリップレベルで制限し、前記画素信号を前記第2の増幅率で増幅する第2の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルと異なる第2のクリップレベルで制限し、
前記複数の画素の各々は、前記保持部のリセット電位に基づくノイズ信号を更に出力し、
前記増幅部は、前記画素から出力されるノイズ信号に対して、前記第1の増幅率で増幅した第3の信号と、前記第2の増幅率で増幅した第4の信号と、を更に出力し、
前記クリップ回路は、前記ノイズ信号を前記第1の増幅率で増幅する第3の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルで制限し、前記ノイズ信号を前記第2の増幅率で増幅する第4の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第2のクリップレベルで制限し、
前記増幅部は、前記第3の信号、前記第1の信号、前記第2の信号、前記第4の信号の順序で信号を出力する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記複数の画素の各々は、前記保持部の電位をリセットするリセットトランジスタを更に有し、
前記リセットトランジスタをオフに制御する制御信号の信号レベルが、前記第1の期間と前記第2の期間とにおいて同じである
ことを特徴とする請求項1
乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1の増幅率は、前記第2の増幅率よりも大きく、
前記第1のクリップレベルで制限される前記出力線の信号レベルの範囲は、前記第2のクリップレベルで制限される前記出力線の信号レベルの範囲よりも狭い
ことを特徴とする請求項1
乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
光電変換により電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部から転送される電荷を保持する保持部と、前記保持部が保持する電荷に基づく画素信号を出力する出力部と、を各々が有する複数の画素と、
前記複数の画素に接続され、前記複数の画素から信号が出力される出力線と、
所定のクリップレベルを上限又は下限とする範囲に、前記出力線の信号レベルを制限するクリップ回路と、
前記出力線の信号をアナログデジタル変換するAD変換部と、を有し、
前記AD変換部は、前記画素から出力される同一の画素信号に対して、第1の変換ゲインでAD変換した第1の信号と、前記第1の変換ゲインとは異なる第2の変換ゲインでAD変換した第2の信号と、を出力し、
前記クリップ回路は、前記画素信号を前記第1の信号にAD変換する第1の期間に、前記出力線の信号レベルを第1のクリップレベルで制限し、前記画素信号を前記第2の信号にAD変換する第2の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルと異なる第2のクリップレベルで制限
し、
前記複数の画素の各々は、前記保持部のリセット電位に基づくノイズ信号を更に出力し、
前記AD変換部は、前記画素から出力されるノイズ信号に対して、前記第1の変換ゲインでAD変換した第3の信号と、前記第2の変換ゲインでAD変換した第4の信号と、を出力し、
前記クリップ回路は、前記ノイズ信号を前記第3の信号にAD変換する第3の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルで制限し、前記ノイズ信号を前記第4の信号にAD変換する第4の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第2のクリップレベルで制限し、
前記AD変換部は、前記第3の信号、前記第1の信号、前記第2の信号、前記第4の信号の順序で信号を出力する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記複数の画素の各々は、前記保持部の電位をリセットするリセットトランジスタを更に有し、
前記リセットトランジスタをオフに制御する制御信号の信号レベルが、前記第1の期間と前記第2の期間とにおいて同じである
ことを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1の変換ゲインは、前記第2の変換ゲインよりも大きく、
前記第1のクリップレベルで制限される前記出力線の信号レベルの範囲は、前記第2のクリップレベルで制限される前記出力線の信号レベルの範囲よりも狭い
ことを特徴とする請求項10又は11記載の撮像装置。
【請求項13】
請求項1乃至
12のいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置から出力される信号を処理する信号処理部と
を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項14】
移動体であって、
請求項1乃至
12のいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置からの信号に基づく視差画像から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段と
を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSイメージセンサ等の撮像装置において、高輝度光の入射時に横筋状のノイズが発生し画質が悪化する現象が知られている。横筋状のノイズの対策として、特許文献1には、複数の画素に接続される出力線の電位を制限する技術が開示されている。また、特許文献2には、列増幅部に設定される増幅率の設定に応じて複数画素に接続される出力線の電位を制限する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-136239号公報
【文献】特開2009-296122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の撮像装置において、同一の画素信号を異なるゲインで増幅した2つの画像を合成することで、同時性を保ちつつ高ダイナミックレンジを実現する技術が知られている。この方式は、蓄積タイミングの異なる2つの画像を合成して高ダイナミックレンジ画像を生成する方式と比較して像ずれが発生し難い利点がある。しかしながら、高輝度光の入射によって横筋状のノイズが発生すると、増幅率の異なる画像間で横筋状のノイズのレベルが異なってしまう。その結果、合成した画像には2種類の横筋が見えてしまい、却って画質が悪化することがあった。
【0005】
本発明の目的は、高輝度光の入射時にも横筋状のノイズの影響を抑制して良質な画像を取得しうる撮像装置及び撮像システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、光電変換により電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部から転送される電荷を保持する保持部と、前記保持部が保持する電荷に基づく画素信号を出力する出力部と、を各々が有する複数の画素と、前記複数の画素に接続され、前記複数の画素から信号が出力される出力線と、所定のクリップレベルを上限又は下限とする範囲に、前記出力線の信号レベルを制限するクリップ回路と、前記出力線の信号を増幅する増幅部と、を有し、前記増幅部は、前記画素から出力される同一の画素信号に対して、第1の増幅率で増幅した第1の信号と、前記第1の増幅率とは異なる第2の増幅率で増幅した第2の信号と、を出力し、前記クリップ回路は、前記画素信号を前記第1の増幅率で増幅する第1の期間に、前記出力線の信号レベルを第1のクリップレベルで制限し、前記画素信号を前記第2の増幅率で増幅する第2の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルと異なる第2のクリップレベルで制限し、前記増幅部は、増幅器と、前記増幅器の入力ノードと出力ノードとの間に第1のスイッチを介して接続された第1の容量と、前記入力ノードと前記出力ノードとの間に第2のスイッチを介して接続された第2の容量と、前記入力ノードと前記出力ノードとの間に接続された第3のスイッチと、前記出力線と前記入力ノードとの間に第4のスイッチを介して接続された第3の容量と、前記出力線と前記入力ノードとの間に第5のスイッチを介して接続された第4の容量と、前記第4の容量の第1の電極と第2の電極との間に接続された第6のスイッチと、を有する撮像装置が提供される。
また、本発明の他の一観点によれば、光電変換により電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部から転送される電荷を保持する保持部と、前記保持部が保持する電荷に基づく画素信号を出力する出力部と、を各々が有する複数の画素と、前記複数の画素に接続され、前記複数の画素から信号が出力される出力線と、所定のクリップレベルを上限又は下限とする範囲に、前記出力線の信号レベルを制限するクリップ回路と、前記出力線の信号を増幅する増幅部と、を有し、前記増幅部は、前記画素から出力される同一の画素信号に対して、第1の増幅率で増幅した第1の信号と、前記第1の増幅率とは異なる第2の増幅率で増幅した第2の信号と、を出力し、前記クリップ回路は、前記画素信号を前記第1の増幅率で増幅する第1の期間に、前記出力線の信号レベルを第1のクリップレベルで制限し、前記画素信号を前記第2の増幅率で増幅する第2の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルと異なる第2のクリップレベルで制限し、前記複数の画素の各々は、前記保持部のリセット電位に基づくノイズ信号を更に出力し、前記増幅部は、前記画素から出力されるノイズ信号に対して、前記第1の増幅率で増幅した第3の信号と、前記第2の増幅率で増幅した第4の信号と、を更に出力し、前記クリップ回路は、前記ノイズ信号を前記第1の増幅率で増幅する第3の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルで制限し、前記ノイズ信号を前記第2の増幅率で増幅する第4の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第2のクリップレベルで制限し、前記増幅部は、前記第3の信号、前記第1の信号、前記第2の信号、前記第4の信号の順序で信号を出力する撮像装置が提供される。
【0007】
また、本発明の更に他の一観点によれば、光電変換により電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部から転送される電荷を保持する保持部と、前記保持部が保持する電荷に基づく画素信号を出力する出力部と、を各々が有する複数の画素と、前記複数の画素に接続され、前記複数の画素から信号が出力される出力線と、所定のクリップレベルを上限又は下限とする範囲に、前記出力線の信号レベルを制限するクリップ回路と、前記出力線の信号をアナログデジタル変換するAD変換部と、を有し、前記AD変換部は、前記画素から出力される同一の画素信号に対して、第1の変換ゲインでAD変換した第1の信号と、前記第1の変換ゲインとは異なる第2の変換ゲインでAD変換した第2の信号と、を出力し、前記クリップ回路は、前記画素信号を前記第1の信号にAD変換する第1の期間に、前記出力線の信号レベルを第1のクリップレベルで制限し、前記画素信号を前記第2の信号にAD変換する第2の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルと異なる第2のクリップレベルで制限し、前記複数の画素の各々は、前記保持部のリセット電位に基づくノイズ信号を更に出力し、前記AD変換部は、前記画素から出力されるノイズ信号に対して、前記第1の変換ゲインでAD変換した第3の信号と、前記第2の変換ゲインでAD変換した第4の信号と、を出力し、前記クリップ回路は、前記ノイズ信号を前記第3の信号にAD変換する第3の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第1のクリップレベルで制限し、前記ノイズ信号を前記第4の信号にAD変換する第4の期間に、前記出力線の信号レベルを前記第2のクリップレベルで制限し、前記AD変換部は、前記第3の信号、前記第1の信号、前記第2の信号、前記第4の信号の順序で信号を出力する撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高輝度光の入射時にも横筋状のノイズの影響を抑制して良質な画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態による撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による撮像装置における画素の構成例を示す回路図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による撮像装置におけるクリップ回路の構成例を示す回路図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による撮像装置における列読み出し回路及びメモリの構成例を示す回路図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図6】本発明の第2実施形態による撮像装置における列読み出し回路の構成例を示す回路図である。
【
図7】本発明の第2実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図8】本発明の第3実施形態による撮像装置における列読み出し回路の構成例を示す回路図である。
【
図9】本発明の第3実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図10】本発明の第4実施形態による撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第4実施形態による撮像装置における列読み出し回路及びメモリの構成例を示す回路図である。
【
図12】本発明の第4実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図13】本発明の第5実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図14】本発明の第6実施形態による撮像システム及び移動体の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本実施形態による撮像装置の概略構成について、
図1乃至
図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態による撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態による撮像装置における画素の構成例を示す回路図である。
図3は、本実施形態による撮像装置におけるクリップ回路の構成例を示す回路図である。
図4は、本実施形態による撮像装置における列読み出し回路及びメモリの構成例を示す回路図である。
【0011】
本実施形態による撮像装置100は、
図1に示すように、画素アレイ部10と、垂直走査回路20と、クリップ回路部30と、読み出し回路部40と、メモリ部50と、水平走査回路60と、出力回路70と、制御回路80と、を有する。
【0012】
画素アレイ部10には、複数の行及び複数の列に渡ってマトリクス状に配された複数の画素12が設けられている。
図1には、画素アレイ部10を構成する画素12のうち、4行×4列に配列された16個の画素12を示しているが、画素アレイ部10を構成する画素12の数は、特に限定されるものではない。
【0013】
画素アレイ部10の各行には、第1の方向(
図1において横方向)に延在して、制御線14が配されている。制御線14の各々は、第1の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。制御線14の延在する第1の方向は、行方向或いは水平方向と呼ぶことがある。制御線14は、垂直走査回路20に接続されている。
【0014】
画素アレイ部10の各列には、第1の方向と交差する第2の方向(
図1において縦方向)に延在して、出力線16が配されている。出力線16の各々は、第2の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。出力線16の延在する第2の方向は、列方向或いは垂直方向と呼ぶことがある。出力線16は、読み出し回路部40に接続されている。出力線16には、画素12内の読み出し回路にバイアス電流を供給するための電流源18が接続されている。
【0015】
垂直走査回路20は、画素12から信号を読み出す際に画素12内の読み出し回路を駆動するための制御信号を、画素アレイ部10の各行に設けられた制御線14を介して画素12に供給する制御回路部である。垂直走査回路20は、シフトレジスタやアドレスデコーダを用いて構成されうる。
【0016】
クリップ回路部30は、画素アレイ部10の各列に対応する複数のクリップ回路32を有している。各列のクリップ回路32は、対応する列の出力線16に接続されている。なお、クリップ回路32の具体的な構成については、後述する。
【0017】
読み出し回路部40は、画素アレイ部10から読み出された信号に対して所定の処理を行う機能ブロックである。読み出し回路部40は、画素アレイ部10の各列に対応する複数の列読み出し回路42を有している。各列の列読み出し回路42は、対応する列の出力線16に接続されている。なお、読み出し回路部40の具体的な構成については、後述する。
【0018】
メモリ部50は、画素アレイ部10の各列に対応する複数のメモリ52を有する。各列のメモリ52は、対応する列の画素12から読み出し回路部40を介して読み出された信号を保持する。各列のメモリ52が保持する画素信号は、アナログ画素信号であってもよいし、列読み出し回路42がAD変換回路を含む場合にあってはアナログ画素信号をアナログデジタル変換したデジタルデータであってもよい。
【0019】
水平走査回路60は、各列のメモリ52に記憶された画素信号を出力するための制御信号を、各列のメモリ52に列毎に順次供給する回路部である。画素アレイ部10の各列に対応して設けられた水平走査回路60の制御線は、対応する列のメモリ52に接続されている。各列のメモリ52は、水平走査回路60の対応する列の制御線を介して制御信号を受信すると、保持する画素信号を、水平出力線56を介して出力回路70に出力する。
【0020】
出力回路70は、各列のメモリ52から読み出された画素信号に対して相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)等の処理を行う信号処理部を含みうる。また、出力回路70は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)等の外部インターフェースを更に含みうる。
【0021】
制御回路80は、垂直走査回路20、クリップ回路部30、読み出し回路部40、メモリ部50、水平走査回路60に、それらの動作やそのタイミングを制御する制御信号を供給するための回路部である。これら制御信号の少なくとも一部は、撮像装置100の外部から供給するようにしてもよい。
【0022】
画素12の各々は、例えば
図2に示すように、光電変換部PDと、転送トランジスタM1と、リセットトランジスタM2と、増幅トランジスタM3と、選択トランジスタM4とにより構成されうる。
【0023】
光電変換部PDは、例えばフォトダイオードであり、アノードが接地ノードに接続され、カソードが転送トランジスタM1のソースに接続されている。転送トランジスタM1のドレインは、リセットトランジスタM2のソース及び増幅トランジスタM3のゲートに接続されている。転送トランジスタM1のドレイン、リセットトランジスタM2のソース及び増幅トランジスタM3のゲートの接続ノードは、いわゆる浮遊拡散(フローティングディフュージョン)部FDである。浮遊拡散部FDは、容量成分(浮遊拡散容量)を含み、電荷保持部としての機能を備える。
【0024】
リセットトランジスタM2のドレイン及び増幅トランジスタM3のドレインは、電圧Vddが供給される電源ノードに接続されている。増幅トランジスタM3のソースは、選択トランジスタM4のドレインに接続されている。選択トランジスタM4のソースは、出力線16に接続されている。出力線16は、電流源18に接続されている。
【0025】
なお、画素12は、必ずしも選択トランジスタM4を有する必要はなく、選択トランジスタM4を含まない画素構成であってもよい。この場合、増幅トランジスタM3のソースが出力線16に接続される。
【0026】
図2の画素構成の場合、画素アレイ部10に配された各行の制御線14は、信号線TX,RES,SELを含む。信号線TXは、対応する行に属する画素12の転送トランジスタM1のゲートにそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。信号線RESは、対応する行に属する画素12のリセットトランジスタM2のゲートにそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。信号線SELは、対応する行に属する画素12の選択トランジスタM4のゲートにそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。
【0027】
信号線TXには、垂直走査回路20から、転送トランジスタM1を制御するための駆動パルスである制御信号ΦTXが供給される。信号線RESには、垂直走査回路20から、リセットトランジスタM2を制御するための駆動パルスである制御信号ΦRESが供給される。信号線SELには、垂直走査回路20から、選択トランジスタM4を制御するための駆動パルスである制御信号ΦSELが供給される。各トランジスタがN型トランジスタで構成される場合、垂直走査回路20からHighレベル(以下、「Hレベル」と表記する)の制御信号が供給されると対応するトランジスタがオンとなる。また、垂直走査回路20からLowレベル(以下、「Lレベル」と表記する)の制御信号が供給されると対応するトランジスタがオフとなる。
【0028】
光電変換部PDは、入射光をその光量に応じた量の電荷に変換(光電変換)するとともに、生じた電荷を蓄積する。転送トランジスタM1は、オンになることにより光電変換部PDが保持する電荷を浮遊拡散部FDに転送する。浮遊拡散部FDは、光電変換部PDから転送された電荷を保持するとともに、その容量による電荷電圧変換によって、光電変換部PDから転送された電荷の量に応じた電圧となる。増幅トランジスタM3は、ドレインに電圧Vddが供給され、ソースに選択トランジスタM4を介して電流源18からバイアス電流が供給される構成となっており、ゲートを入力ノードとする増幅部(ソースフォロワ回路)を構成する。これにより増幅トランジスタM3は、浮遊拡散部FDの電圧に基づく信号を、選択トランジスタM4を介して出力線16に出力する。この意味で、増幅トランジスタM3は、浮遊拡散部FDが保持する電荷に基づく画素信号を出力する出力部でもある。リセットトランジスタM2は、オンになることにより浮遊拡散部FDを電圧Vddに応じた電圧にリセットする。
【0029】
画素12の転送トランジスタM1、リセットトランジスタM2及び選択トランジスタM4は、前述のように、垂直走査回路20から供給される制御信号ΦTX,ΦRES,ΦSELにより、行単位で制御される。制御信号ΦSELにより選択された行に属する画素12の画素信号は、それぞれの画素12の対応する出力線16に、同時に出力される。
【0030】
クリップ回路32は、出力線16の電位を制限(クリップ)する回路である。すなわち、クリップ回路32は、所定のクリップレベルを上限又は下限とする範囲に、出力線16のレベルを制限する。クリップ回路32の各々は、例えば
図3に示すように、差動増幅回路34と、VCLIP制御回路36と、N型トランジスタMN4と、により構成されうる。差動増幅回路34は、P型トランジスタMP1,MP2と、N型トランジスタMN1,MN2,MN3と、により構成されうる。
【0031】
P型トランジスタMP1のソース及びP型トランジスタMP2のソースは、電源ノードに接続されている。P型トランジスタMP1のドレインは、N型トランジスタMN1のドレインに接続されている。P型トランジスタMP2のドレインは、N型トランジスタMN2のドレインに接続されている。P型トランジスタMP1のゲート及びP型トランジスタMP2のゲートは、P型トランジスタMP2のドレインとN型トランジスタMN2のドレインとの間の接続ノードに接続されている。N型トランジスタMN1のソース及びN型トランジスタMN2のソースは、N型トランジスタMN3のドレインに接続されている。N型トランジスタMN3のソースは、接地ノードに接続されている。
【0032】
N型トランジスタMN1のゲートが差動増幅回路34の非反転入力ノードを構成し、N型トランジスタMN2のゲートが差動増幅回路34の反転入力ノードを構成している。また、P型トランジスタMP1のドレインとN型トランジスタMN1のドレインとの間の接続ノードが差動増幅回路34の出力ノードを構成している。
【0033】
差動増幅回路34の非反転入力ノードには、VCLIP制御回路36が接続されている。VCLIP制御回路36は、電圧V1及び電圧V2から選択される一方の電圧を差動増幅回路34の非反転入力ノードに供給するように構成されている。ここでは、電圧V1は電圧V2よりも高い電圧であるものとする。
【0034】
N型トランジスタMN4のドレインは、電源ノードに接続されている。N型トランジスタMN4のソースは、出力線16及び差動増幅回路34の反転入力ノードに接続されている。N型トランジスタMN4のゲートは、差動増幅回路34の出力ノードに接続されている。
【0035】
VCLIP制御回路36は、制御線32aを介して制御回路80から供給される制御信号に応じて、電圧V1及び電圧V2のいずれかを選択的に出力し、差動増幅回路34の非反転入力端子に供給する。差動増幅回路34の反転入力端子には、出力線16の電位が供給される。差動増幅回路34の出力は、N型トランジスタMN4のゲートに入力される。これにより、クリップ回路32は、出力線16の電位を、電圧V1又は電圧V2に応じた電位に制限(クリップ)することができる。
【0036】
例えば、VCLIP制御回路36により電圧V1が選択され、差動増幅回路34の非反転入力ノードに電圧V1が供給されているものとする。このとき、出力線16の電位が電圧V1よりも高い状態では、差動増幅回路34の出力ノードの電位が低い値(Lレベル)となり、N型トランジスタMN4が強くオフされた状態で安定する。このため、N型トランジスタMN4のサブスレショルド電流が低く抑えられる。出力線16の電位が電圧V1よりも低くなると、差動増幅回路34の出力ノードの電位が差動増幅回路34のゲインに応じて急激に上昇する。これにより、N型トランジスタMN4を流れる電流が増大し、電圧V1と出力線16の電位(クリップ回路32の出力電位)、すなわち非反転入力端子の電位と反転入力端子との電位とが等しくなるところで安定する。これにより、出力線16の電位の下限値が電圧V1に制限される。VCLIP制御回路36により電圧V2が選択され、差動増幅回路34の非反転入力ノードに電圧V2が供給されている場合は、同様の動作により、出力線16の電位が電圧V2に制限される。
【0037】
なお、クリップ回路32は、出力線16のクリップ電位の切り替えが可能な構成であれば、
図3に示す構成に限定されるものではない。
【0038】
列読み出し回路42の各々は、例えば
図4に示すように、増幅器44と、容量CIN,CFa,CFbと、スイッチSW1,SW2,SW3と、により構成されうる。本実施形態において、列読み出し回路42は列増幅部を構成している。増幅器44は、反転入力端子(-)と、非反転入力端子(+)と、出力端子と、を有する差動増幅回路により構成されうる。画素信号の出力により出力線16の電位は低下するため、列読み出し回路42の増幅回路には反転増幅回路を用いることが多い。本明細書において、容量CIN,CFa,CFbの符号は、それらの容量値を表すこともある。
【0039】
容量CINは、出力線16と増幅器44の反転入力端子との間に設けられている。また、増幅器44の反転入力端子には、容量CFaの一方の電極と、容量CFbの一方の電極と、スイッチSW3の一方の端子と、が接続されている。容量CFaの他方の電極には、スイッチSW1の一方の端子が接続されている。容量CFbの他方の電極には、スイッチSW2の一方の端子が接続されている。スイッチSW1の他方の端子、スイッチSW2の他方の端子及びスイッチSW3の他方の端子は、増幅器44の出力端子に接続されている。増幅器44の非反転入力端子には、電圧Vrefが供給される。
【0040】
スイッチSW1,SW2,SW3は、制御回路80から供給される制御信号ΦSW1,ΦSW2,ΦSW3によってそれぞれ接続状態(導通・非導通)が制御される。例えば、制御信号ΦSWnがHレベルのときに対応するスイッチSWnがオン(導通状態)となり、制御信号ΦSWnがLレベルのときに対応するスイッチSWnがオフ(非導通状態)となる。
【0041】
スイッチSW1は、オンになることにより、増幅器44の反転入力端子と出力端子との間を、容量CFaを介して接続する。また、スイッチSW2は、オンになることにより、増幅器44の反転入力端子と出力端子との間を、容量CFbを介して接続する。すなわち、容量CFa,CFbは、増幅器44の負帰還容量である。スイッチSW3は、オンになることにより、増幅器44の反転入力端子と出力端子とを短絡し、増幅器44をリセットする。容量CINは、増幅器44の入力容量である。
【0042】
増幅器44の増幅率は、入力容量CINと負帰還容量CFとの比(CIN/CF)によって表される。ここで、負帰還容量CFは、スイッチSW1,SW2がともにオンのときはCFa+CFbとなり、スイッチSW1がオンでスイッチSW2がオフのときはCFaとなり、スイッチSW1がオフでスイッチSW2がオンのときはCFbとなる。
【0043】
容量CIN,CFa,CFbの容量値は、列読み出し回路42の増幅回路に求められる増幅率に応じて適宜設定することができる。ここでは、説明の簡略化のため、CFa<CFbであり、CIN=CFa+CFbであるものとする。この場合、増幅器44の増幅率は、スイッチSW1,SW2がともにオンのときに1倍となる。スイッチSW1がオンでSW2がオフのときには、増幅器44の増幅率は、1より大きい第1の増幅率(CIN/CFa)となる。スイッチSW1がオフでSW2がオンのときには、増幅器44の増幅率は、1より大きく第1の増幅率より低い第2の増幅率(CIN/CFb)となる。
【0044】
例えば、増幅器44を高い増幅率に設定する場合は、スイッチSW1をオンにし、スイッチSW2をオフにして、増幅率をCIN/CFaに設定する。増幅器44を低い増幅率に設定する場合は、スイッチSW1,SW2をともにオンにして、増幅率をCIN/(CFa+CFb)に設定する。容量CFaと容量CFbとの容量差が大きいほど、増幅率差も大きくなる。
【0045】
このようにして、各列の出力線16から出力される各々の画素信号は、列読み出し回路42において、互いに異なる2以上の増幅率で増幅される。すなわち、列読み出し回路42は、1つの画素信号に対して、互いに異なる増幅率で増幅された2以上の信号を出力する。
【0046】
なお、列読み出し回路42は、少なくとも増幅率を切り替え可能な増幅回路を含むものであれば、
図4に示す構成に限定されるものではない。また、容量CIN,CFa,CFbの容量値は、所望の増幅率が得られるように適宜設定可能である。また、列読み出し回路42は、増幅回路で増幅した信号をAD変換するAD変換回路を更に有していてもよい。
【0047】
メモリ52の各々は、例えば
図4に示すように、N型トランジスタMN5,MN6,MN7,MN8と、容量Cshs,Cshnと、により構成されうる。
【0048】
N型トランジスタMN5のドレイン及びN型トランジスタMN6のドレインは、増幅器44の出力端子に接続されている。N型トランジスタMN5のソースは、N型トランジスタMN7のドレインと、容量Cshsの一方の電極と、に接続されている。N型トランジスタMN7のソースは、水平出力線56aに接続されている。N型トランジスタMN6のソースは、N型トランジスタMN8のドレインと、容量Cshnの一方の電極と、に接続されている。N型トランジスタMN8のソースは、水平出力線56bに接続されている。N型トランジスタMN5のゲート及びN型トランジスタMN6のゲートは、制御回路80に接続されている。N型トランジスタMN5,MN6は、制御回路80から供給される制御信号によって接続状態(導通・非導通)が制御される。N型トランジスタMN7のゲート及びN型トランジスタMN8は、水平走査回路60に接続されており、水平走査回路60から供給される制御信号によって接続状態(導通・非導通)が制御される。水平出力線56a,56bは、差動増幅回路72に接続されている。
【0049】
N型トランジスタMN5は、オンになることにより、増幅器44の出力信号を容量Cshsに保持する。N型トランジスタMN7は、オンになることにより、容量Cshsが保持する画素信号を水平出力線56aに出力する。同様に、N型トランジスタMN6は、オンになることにより、増幅器44の出力信号を容量Cshnに保持する。N型トランジスタMN8は、オンになることにより、容量Cshnが保持する画素信号を水平出力線56bに出力する。
【0050】
水平走査回路60は、メモリ52に、列ごとに順次、制御信号を供給する。水平走査回路60から制御信号を受信した列のメモリ52は、容量Cshs,Cshnが保持する画素信号を、水平出力線56a,56bへと出力する。差動増幅回路72は、容量Cshsから水平出力線56aを介して出力された画素信号(光信号)と容量Cshnから水平出力線56bを介して出力された画素信号(ノイズ信号)との差分を出力する。
【0051】
なお、読み出し回路部40よりも後段の構成は、
図4に示す構成に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0052】
2次元アレイ状に配列された複数の画素12のうちの一部の画素12にだけ高輝度の光が入射すると、高輝度の光が入射した画素12に接続された出力線16の電位は、高輝度の光が入射していない画素12に接続された出力線16の電位よりも低くなる。出力線16の電位が、電流源18が動作可能な電位よりも低くなると、出力線16に流れる電流量も低下する。その結果、高輝度の光が入射した画素12に接続された出力線16と、高輝度の光が入射していない画素12に接続された出力線16とでは、電流量が異なることになる。
【0053】
各列の電流源18は、大元の電流源(図示せず)とカレントミラーを構成しており、電流源18の電流量は大元の電流源の電流量によって規定されているため、一部の出力線16の電流量が変わると他の出力線16の電流量まで変化する。つまり、高輝度の光が入射した画素12に接続された出力線16の電位が低下することに起因して、高輝度の光が入射していない画素12に接続された出力線16の電流源18の電流量が変化することになる。そのため、高輝度の光が一部の画素12に入射している行から信号を読み出すときと、高輝度の光が入射している画素12を含まない行から信号を読み出すときとを比較すると、出力線16に流れる電流量に差が生じ、出力が変化する。この出力変化は、画像としてみると横筋状のノイズとなり、画質が低下する原因となっている。また、画素12や読み出し回路部40に電源電圧を供給するバイアス配線も複数列で共通に使用されるため、同様のメカニズムによって電源電圧が変動する原因になることもある。
【0054】
ところで、近年の撮像装置においては、同一の画素信号を異なるゲインで増幅することにより得た2つの画像を合成することにより、同時性を保ちつつ高ダイナミックレンジの画像を生成する技術が知られている。この方式は、蓄積タイミングの異なる2つの画像を合成して高ダイナミックレンジ画像を生成する方式と比較して像ずれが発生し難い利点があり、画質の面で有利である。その一方、高輝度光が入射した場合には、増幅率の異なる画像間において横筋状のノイズのレベルが異なってしまい、これら画像を合成すると2種類の横筋が見え、却って画質が悪化することがあった。
【0055】
横筋状のノイズに対する対策としては、出力線にクリップレベルを設定し、出力線の電位を制限する技術が知られている。この場合に、増幅率の高い画像における横筋状ノイズを増幅率の低い画像における横筋状ノイズと同等にするためには、増幅率の高い画像の取得時におけるクリップレベルを増幅率の低い画像の取得時におけるクリップレベルよりも高く設定しなければならない。しかしながら、増幅率の高い画像の取得時におけるクリップレベルの設定値のまま増幅率の低い画像を出力すると、ダイナミックレンジが大きく制限されることになる。
【0056】
以下に示す本実施形態の駆動方法を用いることにより、高輝度光の入射時にも横筋状のノイズの影響を抑制して良質な高ダイナミックレンジ画像を取得することが可能となる。
【0057】
次に、本実施形態による撮像装置の駆動方法について
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【0058】
図5には、制御信号のうち、垂直走査回路20から制御線14を介して特定の行の画素12に供給される制御信号ΦRES,ΦTXと、読み出し回路部40の各列の列読み出し回路42に供給される制御信号ΦSW1,ΦSW2,ΦSW3を示している。また、
図5には、クリップ回路32によって制限される出力線16のクリップレベルVCLIPを示している。
【0059】
図5において、期間T11(時刻t11から時刻t16)は、第1の増幅率で増幅されたノイズ信号(第1のノイズ信号)の読み出し期間である。期間T12(時刻t16から時刻t18)は、第1の増幅率で増幅された光信号(第1の光信号)の読み出し期間である。期間T13(時刻t18から時刻t19)は、第1の増幅率と異なる第2の増幅率で増幅された光信号(第2の光信号)の読み出し期間である。時刻T14(時刻t19から時刻t23)は、第2の増幅率で増幅されたノイズ信号(第2のノイズ信号)の読み出し期間である。本実施形態では、第1のノイズ信号、第1の光信号、第2の光信号、第2のノイズ信号の順序で、信号の読み出しを行う。
【0060】
ここで、第1の光信号及び第2の光信号は、同じ露光期間に同じ画素12の光電変換部PDで生じた電荷に基づく光信号を異なる増幅率(第1の増幅率及び第2の増幅率)で増幅した信号である。また、第1のノイズ信号及び第2のノイズ信号は、浮遊拡散部FDのリセット電位に応じたノイズ信号を異なる増幅率(第1の増幅率及び第2の増幅率)で増幅した信号である。
【0061】
差動増幅回路72は、第1の光信号から第1のノイズ信号を差し引いた第1の信号と、第2の光信号から第2のノイズ信号を差し引いた第2の信号と、を生成し、撮像装置100の外部へと出力する。撮像装置100の外部の信号処理部(図示せず)では、第1の信号から生成される増幅率の高い画像と第2の信号から生成される増幅率の低い画像とを合成し、高ダイナミックレンジ画像を生成する。ここで、第1の信号と第2の信号とは、前述のように、同じ露光期間に同じ画素12の光電変換部PDで生じた電荷に基づく信号を異なる増幅率で増幅した信号である。したがって、第1の信号から生成される増幅率の高い画像と第2の信号から生成される増幅率の低い画像とを合成することで、像ずれの少ない良好な高ダイナミックレンジ画像を得ることができる。
【0062】
時刻t11よりも前の期間において、読み出し対象の行の制御信号ΦRES,ΦTX及び制御信号ΦSW1,ΦSW2,ΦSW3は、Lレベルであるものとする。また、
図5には示していないが、期間T11から期間T14において、読み出し対象の行の制御信号ΦSELは、Hレベルであるものとする。
【0063】
時刻t11において、制御回路80は、制御信号ΦSW1をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW1がオンになり、増幅器44の負帰還容量CFの容量値はCFaとなる。また、増幅器44の増幅率は、CIN/CFaとして表される第1の増幅率に設定される。
【0064】
同じく時刻t11において、制御回路80は、各列のクリップ回路32のVCLIP制御回路36を制御し、差動増幅回路34の非反転入力端子に電圧V1を供給する。これにより、出力線16の電位の下限値は、電圧V1に制限される。
【0065】
次いで、時刻t12から時刻t15の期間において、制御回路80は、制御信号ΦSW3をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW3がオンになり、増幅器44がリセットされる。
【0066】
次いで、時刻t13から時刻t14の期間において、垂直走査回路20は、制御信号ΦRESをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、リセットトランジスタM2がオンになり、浮遊拡散部FDは電圧Vddに応じた所定の電位にリセットされる。出力線16には、浮遊拡散部FDのリセット電位に応じた画素信号(ノイズ信号)が出力される。
【0067】
時刻t15においてスイッチSW3がオフになることにより、増幅器44のリセットが解除される。出力線16に出力されたノイズ信号は、第1の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0068】
次いで、時刻t15から時刻t16の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN6にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN6をオンにする。これにより、容量Cshnには、第1の増幅率で増幅されたノイズ信号(第1のノイズ信号)が保持される。
【0069】
次いで、時刻t16から時刻t17の期間において、垂直走査回路20は、制御信号ΦTXをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、転送トランジスタM1がオンになり、所定の露光期間の間に光電変換部PDに蓄積された信号電荷が浮遊拡散部FDへと転送され、浮遊拡散部FDの電位が低下する。これにより、出力線16の電位は、浮遊拡散部FDに転送された信号電荷の量に応じた電位まで低下する。このように低下した出力線16の電位が、信号電荷の量に応じた画素信号(光信号)に対応する。
【0070】
このとき、出力線16にはクリップ回路32が接続されているため、一部の画素12に高輝度の光が入射した場合であっても、その画素12に接続される出力線16の電位の下限値は、電圧V1に制限される。これにより、出力線16の電位が電流源18の動作可能な電位よりも低下することを防止することができ、横筋状のノイズの発生を抑制することができる。出力線16に出力された光信号は、第1の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0071】
次いで、時刻t17から時刻t18の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN5にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN5をオンにする。これにより、容量Cshsには、第1の増幅率で増幅された光信号(第1の光信号)が保持される。
【0072】
この後、水平走査回路60は、N型トランジスタMN7,MN8にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN7,MN8をオンにする。これにより、水平出力線56aには第1の光信号が出力され、水平出力線56bには第1のノイズ信号が出力される。差動増幅回路72は、第1の光信号と第1のノイズ信号との差分を、第1の信号として出力する。
【0073】
次いで、時刻t18において、制御回路80は、制御信号ΦSW2をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW2がオンになり、増幅器44の負帰還容量CFの容量値は(CFa+CFb)となる。また、増幅器44の増幅率は、CINa/(CFa+CFb)として表される第2の増幅率となる。
【0074】
同じく時刻t18において、制御回路80は、各列のクリップ回路32のVCLIP制御回路36を制御し、差動増幅回路34の非反転入力端子に供給する電圧を電圧V1から電圧V2に切り替える。これにより、出力線16の電位の下限値は、電圧V2に制限される。出力線16に出力されている光信号は、第2の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0075】
このとき、出力線16にはクリップ回路32が接続されているため、一部の画素12に高輝度の光が入射した場合であっても、その画素12に接続される出力線16の電位の下限値は、電圧V2に制限される。これにより、出力線16の電位が電流源18の動作可能な電位よりも低下することを防止することができ、横筋状のノイズの発生を抑制することができる。
【0076】
次いで、時刻t18から時刻t19の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN5にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN5をオンにする。これにより、容量Cshsには、第2の増幅率で増幅された光信号(第2の光信号)が保持される。
【0077】
次いで、時刻t19から時刻t22の期間において、制御回路80は、制御信号ΦSW3をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW3がオンになり、差動増幅回路34がリセットされる。
【0078】
次いで、時刻t20から時刻t21の期間において、垂直走査回路20は、制御信号ΦRESをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、リセットトランジスタM2がオンになり、出力線16に出力されたノイズ信号は、第2の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0079】
次いで、時刻t22から時刻t23の期間において、制御回路80は、N型トランジスタMN6にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN6をオンにする。これにより、容量Cshnには、第2の増幅率で増幅されたノイズ信号(第2のノイズ信号)が保持される。
【0080】
この後、水平走査回路60は、N型トランジスタMN7,MN8にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN7,MN8をオンにする。これにより、水平出力線56aには第2の光信号が出力され、水平出力線56bには第2のノイズ信号が出力される。差動増幅回路72は、第2の光信号と第2のノイズ信号との差分を、第2の信号として出力する。
【0081】
なお、光信号を第2の増幅率で増幅した第2の光信号に重畳するノイズ信号と、第2のノイズ信号とは異なるものである。しかしながら、第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で増幅した信号は、画像合成後、主に高輝度側で使用されるため、これらノイズ信号が異なったとしても光ショットノイズに支配され、画像合成後の画質への影響は小さい。
【0082】
撮像装置をこのように駆動することで、横筋状のノイズの発生を抑制しつつ、像ずれが少ない良質な合成画像を実現することができる。
【0083】
横筋状のノイズを低減する手段としては、列読み出し回路42における増幅回路の増幅率を切り替える際に、リセットトランジスタM2のゲートに供給する制御信号ΦRESのLレベルを、増幅回路の増幅率に応じた所定のLレベルに設定することも考えられる。
【0084】
すなわち、リセットトランジスタM2は、ゲートにHレベルの制御信号が供給されている場合だけでなく、ゲートにLレベルの制御信号が供給されている場合でも、浮遊拡散部FDの電位が低下してゲート-ソース間電圧が閾値電圧を超えたときにはオンになる。したがって、制御信号ΦRESのLレベルをこのように設定することで、高輝度光の入射によって浮遊拡散部FDの電位が一定の電位を下回るとリセットトランジスタM2をオンにすることができ、浮遊拡散部FDの電位が下がりすぎるのを抑制することができる。浮遊拡散部FDの電位に応じた信号は増幅トランジスタM3を介して出力線16に出力されるため、浮遊拡散部FDの電位の下限値を制限することで、出力線16の電位の下限値をも連動して制限することができる。出力線16の電位をクリップ回路部30よりも前段に位置するリセットトランジスタM2を用いて制限することは、電流源18の電流量の変化による横筋状のノイズの発生確率を下げる効果もあり、有効な手段ではある。
【0085】
この手法を用いる場合、例えば
図5に点線で示すように、期間T11及び期間T12における制御信号ΦRESのLレベルを、期間T13及び期間T14における制御信号ΦRESのLレベルよりも高く設定することが考えられる。
【0086】
しかしながら、像ずれが少ない良質な合成画像を実現する観点からは、制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うことは好ましくない。前述のように、第1の光信号と第2の光信号とは、出力線16に出力された同一の信号に基づいて生成することが望ましい。例えば
図5に示すように、時刻t18において制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うと、リセットトランジスタM2のゲート電位の変動に伴って浮遊拡散部FDの電位が変動し、ひいては出力線16の電位が変動してしまう。その結果、同一の信号に基づいて第1の光信号と第2の光信号とを生成することができなくなり、画像合成後の画質悪化に繋がってしまう。良質な合成画像を得るためには、制御信号ΦRESのLレベルを一定に維持することが望ましい。
【0087】
このような観点から、本実施形態においては、制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うのではなく、出力線16のクリップレベルを切り替える駆動を行っている。すなわち、第1の増幅率及び第2の増幅率の各々に対応して、高輝度光の入射時にも出力線16の電位が電流源18の動作可能な電位を下回らないように適切なクリップレベルを設定することで、横筋状のノイズの発生を抑制している。これにより、横筋状のノイズの発生を抑制しつつ、像ずれが少ない良質な合成画像を実現することができる。
【0088】
このように、本実施形態によれば、高輝度光の入射時にも横筋状のノイズの影響を抑制して良質な画像を取得することができる。
【0089】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による撮像装置及びその駆動方法について、
図6及び
図7を用いて説明する。第1実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図6は、本実施形態による撮像装置における読み出し回路の構成例を示す回路図である。
図7は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【0090】
本実施形態による撮像装置は、列読み出し回路42の構成が異なるほかは第1実施形態による撮像装置と同様である。本実施形態による撮像装置の列読み出し回路42は、
図6に示すように、容量CINが、容量CINa,CINb及びスイッチSW4,SW5により構成される回路に置き換えられている。列読み出し回路42のその他の構成は、
図4に示す第1実施形態の列読み出し回路42と同様である。
【0091】
容量CINaの一方の電極及び容量CINbの一方の電極は、増幅器44の反転入力端子に接続されている。容量CINaの他方の電極は、スイッチSW4の一方の端子に接続されている。容量CINbの他方の電極は、スイッチSW5の一方の端子に接続されている。スイッチSW4の他方の端子及びスイッチSW5の他方の端子は、出力線16に接続されている。
【0092】
スイッチSW4,SW5は、制御回路80から供給される制御信号ΦSW4,ΦSW5によってそれぞれ接続状態(導通・非導通)が制御される。例えば、制御信号ΦSWnがHレベルのときに対応するスイッチSWnがオン(導通状態)となり、制御信号ΦSWnがLレベルのときに対応するスイッチSWnがオフ(非導通状態)となる。
【0093】
スイッチSW4は、オンになることにより、出力線16と増幅器44の反転入力端子との間を、容量CINaを介して接続する。また、スイッチSW5は、オンになることにより、出力線16と増幅器44の反転入力端子との間を、容量CINbを介して接続する。すなわち、スイッチSW4,SW5は、出力線16と増幅器44の反転入力端子とを接続する入力容量CINとして、容量CINa、容量CINb及び容量CINa,CINbの合成容量のうちのいずれかを選択するスイッチである。
【0094】
増幅器44の増幅率は、入力容量CINと負帰還容量CFとの比(CIN/CF)によって表される。ここで、入力容量CINは、スイッチSW4,SW5がともにオンのときはCINa+CINbとなり、スイッチSW4がオンでスイッチSW5がオフのときはCINaとなり、スイッチSW4がオフでスイッチSW5がオンのときはCINbとなる。
【0095】
容量CINa,CINbの容量値は、列読み出し回路42の増幅回路に求められる増幅率に応じて適宜設定することができる。ここでは、説明の簡略化のため、CINa<CINbであり、CFa<CFbであり、CINa=CFaであり、CINa+CINb=CFa+CFbであるものとする。増幅器44の増幅率を、増幅率の高い第1の増幅率に設定する場合には、例えば、スイッチSW1,SW4,SW5をオン、スイッチSW2をオフにする。このときの増幅器44の増幅率は、(CINa+CINb)/CFaとなる。増幅器44の増幅率を、増幅率の低い第2の増幅率に設定する場合には、例えば、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5をオンにする。このときの増幅器44の増幅率は、(CINa+CINb)/(CFa+CFb)となる。或いは、スイッチSW1,SW4をオン、スイッチSW2,SW5をオフにする。このときの増幅器44の増幅率は、CINa/CFaとなる。或いは、スイッチSW1,SW4をオフ、スイッチSW2,SW5をオンにする。このときの増幅器44の増幅率は、CINb/CFbとなる。容量CINaの容量値と容量CINbの容量値との差、或いは、容量CFaの容量値と容量CFbの容量値との差が大きいほど、第1の増幅率と第2の増幅率との増幅率差も大きくなる。
【0096】
次に、本実施形態による撮像装置の駆動方法について、
図7を用いて説明する。
図7には、
図5に示した制御信号ΦRES,ΦTX,ΦSW1,ΦSW2,ΦSW3及びクリップレベルVCLIPに加え、読み出し回路部40の各列の列読み出し回路42に供給される制御信号ΦSW4,ΦSW5を更に示している。
【0097】
図7において、期間T21(時刻t31から時刻t36)は、第2の増幅率で増幅されたノイズ信号(第2のノイズ信号)の読み出し期間である。期間T22(時刻t36から時刻t37)は、第1の増幅率で増幅されたノイズ信号(第1のノイズ信号)の読み出し期間である。期間T23(時刻t37から時刻t39)は、第1の増幅率で増幅された光信号(第1の光信号)の読み出し期間である。時刻T24(時刻t39から時刻t40)は、第2の増幅率で増幅された光信号(第2の光信号)の読み出し期間である。本実施形態では、第2のノイズ信号、第1のノイズ信号、第1の光信号、第2の光信号の順序で、信号の読み出しを行う。なお、本実施形態においても、第1の増幅率は第2の増幅率よりも高いものとする。
【0098】
時刻t31よりも前の期間において、読み出し対象の行の制御信号ΦRES,ΦTX及び制御信号ΦSW1,ΦSW2,ΦSW3,ΦSW4,ΦSW5は、Lレベルであるものとする。また、各列のクリップ回路32のVCLIP制御回路36から差動増幅回路34の非反転入力端子に供給されている電圧は、電圧V2であるものとする。また、
図7には示していないが、期間T21から期間T24において、読み出し対象の行の制御信号ΦSELは、Hレベルであるものとする。
【0099】
時刻t31において、制御回路80は、制御信号ΦSW1,ΦSW4をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW1がオンになり、増幅器44の負帰還容量CFの容量値はCFaとなる。また、スイッチSW4がオンになり、増幅器44の入力容量CINの容量値はCINaとなる。これにより、増幅器44の増幅率は、CINa/CFaとして表される第2の増幅率に設定される。
【0100】
次いで、時刻t32から時刻t35の期間において、制御回路80は、制御信号ΦSW3をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW3がオンになり、増幅器44がリセットされる。
【0101】
次いで、時刻t33から時刻t34の期間において、垂直走査回路20は、制御信号ΦRESをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、リセットトランジスタM2がオンになり、浮遊拡散部FDは電圧Vddに応じた所定の電位にリセットされる。出力線16には、浮遊拡散部FDのリセット電位に応じた画素信号(ノイズ信号)が出力される。
【0102】
時刻t35においてスイッチSW3がオフになることにより、増幅器44のリセットが解除される。出力線16に出力されたノイズ信号は、第2の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0103】
次いで、時刻t35から時刻t36の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN6にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN6をオンにする。これにより、容量Cshnには、第2の増幅率で増幅されたノイズ信号(第2のノイズ信号)が保持される。
【0104】
次いで、時刻t36において、制御回路80は、制御信号ΦSW5をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW5がオンになり、増幅器44の入力容量CINの容量値は(CINa+CINb)となる。
【0105】
同じく時刻t36において、制御回路80は、各列のクリップ回路32のVCLIP制御回路36を制御し、差動増幅回路34の非反転入力端子に供給する電圧を電圧V2から電圧V1に切り替える。これにより、出力線16の電位の下限値は、電圧V1に制限される。
【0106】
時刻t36においてスイッチSW5がオンになることにより、増幅器44の増幅率は、(CINa+CINb)/CFaとして表される第1の増幅率となる。出力線16に出力されているノイズ信号は、第1の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0107】
次いで、時刻t36から時刻t37の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN6にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN6をオンにする。これにより、容量Cshnには、第1の増幅率で増幅されたノイズ信号(第1のノイズ信号)が保持される。
【0108】
なお、撮像装置は、第1実施形態において説明したように、通常はノイズ信号用のラインメモリ(容量Cshn)と光信号用のラインメモリ(容量Cshs)とを各列に1つずつ備えている。しかしながら、本実施形態の駆動では、第2のノイズ信号と第1のノイズ信号とを続けて読み出すため、既に第2のノイズ信号が保持されている容量Cshnに第1のノイズ信号を保持することはできない。そこで、本実施形態の駆動を行う場合は、メモリ部50の各列に、第1のノイズ信号と第1の光信号とを保持するためのメモリ52と、第2のノイズ信号と第2の光信号とを保持するためのメモリ52と、を別々に設けておく。
【0109】
次いで、時刻t37から時刻t38の期間において、垂直走査回路20は、制御信号ΦTXをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、転送トランジスタM1がオンになり、所定の露光期間の間に光電変換部PDに蓄積された信号電荷が浮遊拡散部FDへと転送され、浮遊拡散部FDの電位が低下する。これにより、出力線16の電位は、浮遊拡散部FDに転送された信号電荷の量に応じた電位まで低下する。このように低下した出力線16の電位が、信号電荷の量に応じた画素信号(光信号)に対応する。
【0110】
このとき、出力線16にはクリップ回路32が接続されているため、一部の画素12に高輝度の光が入射した場合であっても、その画素12に接続される出力線16の電位の下限値は、電圧V1に制限される。これにより、出力線16の電位が電流源18の動作可能な電位よりも低下することを防止することができ、横筋状のノイズの発生を抑制することができる。出力線16に出力された光信号は、第1の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0111】
次いで、時刻t38から時刻t39の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN5にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN5をオンにする。これにより、容量Cshsには、第1の増幅率で増幅された光信号(第1の光信号)が保持される。
【0112】
次いで、時刻t39において、制御回路80は、制御信号ΦSW2をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW2がオンになり、増幅器44の負帰還容量CFの容量値は(CFa+CFb)となる。これにより、増幅器44の増幅率は、(CINa+CINb)/(CFa+CFb)として表される第2の増幅率となる。
【0113】
同じく時刻t39において、制御回路80は、各列のクリップ回路32のVCLIP制御回路36を制御し、差動増幅回路34の非反転入力端子に供給する電圧を電圧V1から電圧V2に切り替える。これにより、出力線16の電位の下限値は、電圧V2に制限される。出力線16に出力されている光信号は、第2の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0114】
このとき、出力線16にはクリップ回路32が接続されているため、一部の画素12に高輝度の光が入射した場合であっても、その画素12に接続される出力線16の電位の下限値は、電圧V2に制限される。これにより、出力線16の電位が電流源18の動作可能な電位よりも低下することを防止することができ、横筋状のノイズの発生を抑制することができる。
【0115】
次いで、時刻t39から時刻t40の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN5にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN5をオンにする。これにより、容量Cshsには、第2の増幅率で増幅された光信号(第2の光信号)が保持される。
【0116】
この後、水平走査回路60は、第1の光信号及び第1のノイズ信号を保持するメモリ52のN型トランジスタMN7,MN8にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN7,MN8をオンにする。これにより、水平出力線56aには第1の光信号が出力され、水平出力線56bには第1のノイズ信号が出力される。差動増幅回路72は、第1の光信号と第1のノイズ信号との差分を、第1の信号として出力する。
【0117】
また、水平走査回路60は、第2の光信号及び第2のノイズ信号を保持するメモリ52のN型トランジスタMN7,MN8にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN7,MN8をオンにする。これにより、水平出力線56aには第2の光信号が出力され、水平出力線56bには第2のノイズ信号が出力される。差動増幅回路72は、第2の光信号と第2のノイズ信号との差分を、第2の信号として出力する。
【0118】
撮像装置をこのように駆動することで、横筋状のノイズの発生を抑制しつつ、像ずれが少ない良質な合成画像を実現することができる。
【0119】
本実施形態の駆動方法では、出力線16に出力された同一の信号に基づいて第1のノイズ信号及び第2のノイズ信号を取得するため、第1実施形態の駆動方法と比較して、光信号からのノイズ除去性能を向上することができる。ただし、本実施形態の駆動を実現するためには各列に2つのメモリ52が必要であるため、撮像装置が大型化する可能性はある。
【0120】
また、横筋状のノイズを低減する手段としては、増幅器44の増幅率を切り替える際に、制御信号ΦRESのLレベルを、増幅回路の増幅率に応じた所定のLレベルに設定することも考えられる。この手法を用いる場合、例えば
図7に点線で示すように、期間T22及び期間T23における制御信号ΦRESのLレベルを、期間T21及び期間T24における制御信号ΦRESのLレベルよりも高く設定することが考えられる。
【0121】
しかしながら、像ずれが少ない良質な合成画像を実現する観点からは、制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うことは好ましくない。前述のように、第1の光信号と第2の光信号とは、出力線16に出力された同一の信号に基づいて生成することが望ましい。例えば
図7に示すように、時刻t39において制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うと、リセットトランジスタM2のゲート電位の変動に伴って浮遊拡散部FDの電位が変動し、ひいては出力線16の電位が変動してしまう。その結果、同一の信号に基づいて第1の光信号と第2の光信号とを生成することができなくなり、画像合成後の画質悪化に繋がってしまう。良質な合成画像を得るためには、制御信号ΦRESのLレベルを一定に維持することが望ましい。
【0122】
このような観点から、本実施形態においても、制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うのではなく、出力線16のクリップレベルを切り替える駆動を行っている。すなわち、第1の増幅率及び第2の増幅率の各々に対応して、高輝度光の入射時にも出力線16の電位が電流源18の動作可能な電位を下回らないように適切なクリップレベルを設定することで、横筋状のノイズの発生を抑制している。これにより、横筋状のノイズの発生を抑制しつつ、像ずれが少ない良質な合成画像を実現することができる。
【0123】
このように、本実施形態によれば、高輝度光の入射時にも横筋状のノイズの影響を抑制して良質な画像を取得することができる。
【0124】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による撮像装置及びその駆動方法について、
図8及び
図9を用いて説明する。第1及び第2実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図8は、本実施形態による撮像装置における読み出し回路の構成例を示す回路図である。
図9は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【0125】
本実施形態による撮像装置は、列読み出し回路42の構成が異なるほかは第1及び第2実施形態による撮像装置と同様である。本実施形態による撮像装置の列読み出し回路42は、
図8に示すように、第2実施形態の列読み出し回路42に対し、容量CINaに並列に接続されたスイッチSW6を更に有している。列読み出し回路42のその他の構成は、
図6に示す第2実施形態の列読み出し回路42と同様である。
【0126】
スイッチSW6は、制御回路80から供給される制御信号ΦSW6によってそれぞれ接続状態(導通・非導通)が制御される。例えば、制御信号ΦSW6がHレベルのときにスイッチSW6がオン(導通状態)となり、制御信号ΦSW6がLレベルのときにスイッチSW6がオフ(非導通状態)となる。スイッチSW6は、オンになることにより容量CINaの電極間を短絡し、容量CINaをリセットする。
【0127】
増幅器44の増幅率は、入力容量CINと負帰還容量CFとの比(CIN/CF)によって表される。ここで、入力容量CINは、スイッチSW4,SW5がともにオンのときはCINa+CINbとなり、スイッチSW4がオンでスイッチSW5がオフのときはCINaとなり、スイッチSW4がオフでスイッチSW5がオンのときはCINbとなる。
【0128】
容量CINa,CINbの容量値は、列読み出し回路42の増幅回路に求められる増幅率に応じて適宜設定することができる。ここでは、説明の簡略化のため、CINa=CINbであり、CFa<CFbであり、CINa=CFa+CFb又はCINb=CFa+CFbであるものとする。増幅器44の増幅率を、増幅率の高い第1の増幅率に設定する場合には、例えば、スイッチSW1をオン、スイッチSW2をオフにし、スイッチSW4及びスイッチSW5のうちの一方をオン、他方をオフにする。このときの増幅器44の増幅率は、CINa/CFa又はCINb/CFaとなる。増幅器44の増幅率を、増幅率の低い第2の増幅率に設定する場合には、例えば、スイッチSW1,SW2をオンにし、スイッチSW4及びスイッチSW5のうちの一方をオン、他方をオフにする。このときの増幅器44の増幅率は、CINa/(CFa+CFb)又はCINb/(CFa+CFb)となる。容量CFaの容量値と容量CFbの容量値との差が大きいほど、第1の増幅率と第2の増幅率との増幅率差も大きくなる。
【0129】
次に、本実施形態による撮像装置の駆動方法について、
図9を用いて説明する。
図9には、
図7に示した制御信号ΦRES,ΦTX,ΦSW1,ΦSW2,ΦSW3,ΦSW4,ΦSW5及びクリップレベルVCLIPに加え、読み出し回路部40の各列の列読み出し回路42に供給される制御信号ΦSW6を更に示している。
【0130】
図9において、期間T31(時刻t51から時刻t57)は、第1の増幅率で増幅されたノイズ信号(第1のノイズ信号)の読み出し期間である。期間T32(時刻t57から時刻t59)は、第1の増幅率で増幅された光信号(第1の光信号)の読み出し期間である。期間T33(時刻t59から時刻t62)は、第2の増幅率で増幅されたノイズ信号(第2のノイズ信号)の読み出し期間である。時刻T34(時刻t62から時刻t63)は、第2の増幅率で増幅された光信号(第2の光信号)の読み出し期間である。本実施形態では、第1のノイズ信号、第1の光信号、第2のノイズ信号、第2の光信号の順序で、信号の読み出しを行う。なお、本実施形態においても、第1の増幅率は第2の増幅率よりも高いものとする。
【0131】
時刻t51よりも前の期間において、読み出し対象の行の制御信号ΦRES,ΦTX及び制御信号ΦSW1,ΦSW2,ΦSW3,ΦSW4,ΦSW5,ΦSW6は、Lレベルであるものとする。また、
図9には示していないが、期間T31から期間T34において、読み出し対象の行の制御信号ΦSELは、Hレベルであるものとする。
【0132】
時刻t51において、制御回路80は、制御信号ΦSW1,ΦSW4,ΦSW5をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW1がオンになり、増幅器44の負帰還容量CFの容量値はCFaとなる。
【0133】
同じく時刻t51において、制御回路80は、各列のクリップ回路32のVCLIP制御回路36を制御し、差動増幅回路34の非反転入力端子に電圧V1を供給する。これにより、出力線16の電位の下限値は、電圧V1に制限される。
【0134】
次いで、時刻t52から時刻t55の期間において、制御回路80は、制御信号ΦSW3をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW3がオンになり、増幅器44がリセットされる。
【0135】
次いで、時刻t53から時刻t54の期間において、垂直走査回路20は、制御信号ΦRESをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、リセットトランジスタM2がオンになり、浮遊拡散部FDは電圧Vddに応じた所定の電位にリセットされる。出力線16には、浮遊拡散部FDのリセット電位に応じた画素信号(ノイズ信号)が出力される。
【0136】
時刻t55においてスイッチSW3がオフになることにより、増幅器44のリセットが解除される。この後、時刻t56においてスイッチSW5がオフになることで、スイッチSW5と容量CINbとの間のノードには、出力線16に出力されたノイズ信号の電位が保持される。
【0137】
また、スイッチSW5がオフになることにより、増幅器44の入力容量CINの容量値はCINaとなる。これにより、増幅器44の増幅率は、CINa/CFaとして表される第1の増幅率に設定される。出力線16に出力されたノイズ信号は、第1の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0138】
次いで、時刻t56から時刻t57の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN6にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN6をオンにする。これにより、容量Cshnには、第1の増幅率で増幅されたノイズ信号(第1のノイズ信号)が保持される。
【0139】
次いで、時刻t57から時刻t58の期間において、垂直走査回路20は、制御信号ΦTXをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、転送トランジスタM1がオンになり、所定の露光期間の間に光電変換部PDに蓄積された信号電荷が浮遊拡散部FDへと転送され、浮遊拡散部FDの電位が低下する。これにより、出力線16の電位は、浮遊拡散部FDに転送された信号電荷の量に応じた電位まで低下する。このように低下した出力線16の電位が、信号電荷の量に応じた画素信号(光信号)に対応する。
【0140】
このとき、出力線16にはクリップ回路32が接続されているため、一部の画素12に高輝度の光が入射した場合であっても、その画素12に接続される出力線16の電位の下限値は、電圧V1に制限される。これにより、出力線16の電位が電流源18の動作可能な電位よりも低下することを防止することができ、横筋状のノイズの発生を抑制することができる。出力線16に出力された光信号は、第1の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0141】
次いで、時刻t58から時刻t59の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN5にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN5をオンにする。これにより、容量Cshsには、第1の増幅率で増幅された光信号(第1の光信号)が保持される。
【0142】
この後、水平走査回路60は、N型トランジスタMN7,MN8にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN7,MN8をオンにする。これにより、水平出力線56aには第1の光信号が出力され、水平出力線56bには第1のノイズ信号が出力される。差動増幅回路72は、第1の光信号と第1のノイズ信号との差分を、第1の信号として出力する。
【0143】
次いで、時刻t59において、制御回路80は、制御信号ΦSW2,ΦSW6をLレベルからHレベルへと制御し、制御信号ΦSW4をHレベルからLレベルへと制御する。これにより、スイッチSW1,SW2がオンになり、増幅器44の負帰還容量CFの容量値は(CFa+CFb)となる。また、スイッチSW6がオンになることで、増幅器44の入力容量CINの容量値はCINbとなる。また、増幅器44の増幅率は、CINb/(CFa+CFb)として表される第2の増幅率となる。
【0144】
同じく時刻t59において、制御回路80は、各列のクリップ回路32のVCLIP制御回路36を制御し、差動増幅回路34の非反転入力端子に供給する電圧を電圧V1から電圧V2に切り替える。これにより、出力線16の電位の下限値は、電圧V2に制限される。
【0145】
次いで、時刻t60から時刻t61の期間において、制御回路80は、制御信号ΦSW3をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW3がオンになり、増幅器44がリセットされる。
【0146】
時刻t61において、スイッチSW5と容量CINbとの間のノードには増幅前のノイズ信号の電位が保持されているため、増幅器44はこのノイズ信号を第2の増幅率で増幅し、第2のノイズ信号として出力する。
【0147】
次いで、時刻t61から時刻t62の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN6にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN6をオンにする。これにより、容量Cshnには、第2の増幅率で増幅されたノイズ信号(第2のノイズ信号)が保持される。
【0148】
次いで、時刻t62において、制御回路80は、制御信号ΦSW5をLレベルからHレベルへと制御する。これにより、スイッチSW5がオンになり、信号電荷の量に応じた画素信号(光信号)が出力されている出力線が、スイッチSW5及び容量CINbを介して再び増幅器44に入力される。これにより、光信号が第2の増幅率で増幅され、増幅器44から出力される。
【0149】
次いで、時刻t62から時刻t63の期間において、制御回路80は、各列のメモリ52のN型トランジスタMN5にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN5をオンにする。これにより、容量Cshsには、第2の増幅率で増幅された光信号(第2の光信号)が保持される。
【0150】
この後、水平走査回路60は、N型トランジスタMN7,MN8にHレベルの制御信号を供給し、N型トランジスタMN7,MN8をオンにする。これにより、水平出力線56aには第2の光信号が出力され、水平出力線56bには第2のノイズ信号が出力される。差動増幅回路72は、第2の光信号と第2のノイズ信号との差分を、第2の信号として出力する。
【0151】
撮像装置をこのように駆動することで、横筋状のノイズの発生を抑制しつつ、像ずれが少ない良質な合成画像を実現することができる。
【0152】
本実施形態の駆動方法では、出力線16に出力された同一の信号に基づいて第1のノイズ信号及び第2のノイズ信号を取得するため、第1実施形態の駆動方法と比較して、光信号からのノイズ除去性能を向上することができる。特に、本実施形態では、各列に複数のメモリ52を設けることは不要であり、撮像装置の大型化を防止することができる。
【0153】
また、横筋状のノイズを低減する手段としては、増幅器44の増幅率を切り替える際に、制御信号ΦRESのLレベルを、増幅回路の増幅率に応じた所定のLレベルに設定することも考えられる。この手法を用いる場合、例えば
図9に点線で示すように、期間T31及び期間T32における制御信号ΦRESのLレベルを、期間T33及び期間T34における制御信号ΦRESのLレベルよりも高く設定することが考えられる。
【0154】
しかしながら、像ずれが少ない良質な合成画像を実現する観点からは、制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うことは好ましくない。前述のように、第1の光信号と第2の光信号とは、出力線16に出力された同一の信号に基づいて生成することが望ましい。例えば
図9に示すように、時刻t59において制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うと、リセットトランジスタM2のゲート電位の変動に伴って浮遊拡散部FDの電位が変動し、ひいては出力線16の電位が変動してしまう。その結果、同一の信号に基づいて第1の光信号と第2の光信号とを生成することができなくなり、画像合成後の画質悪化に繋がってしまう。良質な合成画像を得るためには、制御信号ΦRESのLレベルを一定に維持することが望ましい。
【0155】
このような観点から、本実施形態においても、制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うのではなく、出力線16のクリップレベルを切り替える駆動を行っている。すなわち、第1の増幅率及び第2の増幅率の各々に対応して、高輝度光の入射時にも出力線16の電位が電流源18の動作可能な電位を下回らないように適切なクリップレベルを設定することで、横筋状のノイズの発生を抑制している。これにより、横筋状のノイズの発生を抑制しつつ、像ずれが少ない良質な合成画像を実現することができる。
【0156】
このように、本実施形態によれば、高輝度光の入射時にも横筋状のノイズの影響を抑制して良質な画像を取得することができる。
【0157】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による撮像装置及びその駆動方法について、
図10乃至
図12を用いて説明する。第1乃至第3実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図10は、本実施形態による撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
図11は、本実施形態による撮像装置における列読み出し回路及びメモリの構成例を示す回路図である。
図12は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【0158】
第1乃至第3実施形態では、異なる増幅率で増幅した第1の信号及び第2の信号を用いて高ダイナミックレンジ画像を合成する例を示した。本実施形態では、異なる変換ゲインでAD変換を行った第1の信号及び第2の信号を用いて高ダイナミックレンジ画像を合成する例を示す。
【0159】
本実施形態による撮像装置100は、
図10に示すように、
図1に示した構成に加え、参照信号生成回路48と、カウンタ回路58と、を更に有している。また、列読み出し回路42は、
図11に示すように、容量C0と、比較器46とを含んで構成されうる。メモリ52は、AD変換された画素信号のデジタルデータをビット毎に保持する。本実施形態において、列読み出し回路42は列AD変換部を構成している。
【0160】
比較器46は、2つの入力ノードと1つの出力ノードとを有する。比較器46の一方の入力ノードは、容量C0を介して対応する列の出力線16に接続されている。比較器46の他方の入力ノードは、各列に共通の参照信号線48aを介して参照信号生成回路48に接続されている。
【0161】
メモリ52は、ノイズ信号のデジタルデータを保持するNメモリ(図示せず)と、光信号のデジタルデータを保持するSメモリ(図示せず)と、を含む。また、メモリ52は、2つの入力ノードと、1つの出力ノードと、1つの制御ノードと、を有する。メモリ52の一方の入力ノードは、比較器46の出力ノードに接続されている。メモリ52の他方の入力ノードは、各列に共通のカウント信号線58aを介してカウンタ回路58に接続されている。メモリ52の出力ノードは、水平出力線56に接続されている。メモリ52の制御ノードは水平走査回路60に接続されている。
【0162】
参照信号生成回路48は、参照信号線48aを介して各列の比較器46に所定の振幅を有する参照信号を供給する。参照信号は、例えば時間の経過にともなって信号レベル(信号の大きさ)が変化する信号でありうる。参照信号は、典型的にはランプ信号である。ランプ信号とは、時間の経過にともなって信号レベルが単調に変化する信号であり、例えば出力電圧が時間の経過とともに単調減少し或いは単調増加する信号である。なお、参照信号は、AD変換に適用可能な振幅を有するものであれば、特に限定されるものではない。参照信号生成回路48の動作は、制御回路80によって制御される。
【0163】
各列の比較器46は、対応する列の画素12から出力線16を介して読み出された画素信号のレベルと参照信号生成回路48から供給される参照信号とを比較し、比較の結果に応じた信号をメモリ52に出力する。具体的には、比較器46は、画素信号の大きさと参照信号の大きさとを比較し、これら信号の大小関係が反転したときに出力信号をハイレベルからローレベル或いはローレベルからハイレベルへと遷移する。
【0164】
カウンタ回路58は、参照信号生成回路48から出力される参照信号の信号レベルの変化が開始するタイミングに同期してカウント動作を開始し、そのカウント値示すカウント信号を各列のメモリ52へと出力する。
【0165】
各列のメモリ52は、対応する列の比較器46の出力信号の信号レベルが反転したタイミングにおいてカウンタ回路58から出力されているカウント信号で示されるカウント値をデジタルデータとして記憶する。各列のメモリ52は、ノイズ信号のデジタルデータを保持するNメモリ(図示せず)と、光信号のデジタルデータを保持するSメモリ(図示せず)と、を含む。
【0166】
このように、各列に配された列読み出し回路42及びメモリ52は、画素12から出力される画素信号をアナログ信号からデジタル信号へとアナログデジタル変換するAD変換回路を構成する。
【0167】
水平走査回路60は、メモリ52に記憶されたデジタルデータを列毎に順次、出力回路70へと転送するための制御信号をメモリ52に供給する。
【0168】
次に、本実施形態による撮像装置の駆動方法について、
図12を用いて説明する。
図12には、
図5等に示した制御信号ΦRES,ΦTX及びクリップレベルVCLIPに加え、参照信号の信号波形(VRAMP)と、カウンタ回路58のカウント期間(COUNT)と、を更に示している。ここでは、参照信号として電源電圧から徐々に電圧が下がるダウンスロープ型のランプ信号を適用した例を示す。
【0169】
ランプ信号の傾きが小さい場合には、カウンタ1クロック分のランプ信号変化量が小さくなるため、AD変換の分解能が向上する。これにより、出力線16の電位の変動を細かく検出することができるため、増幅率(AD変換ゲイン)は高くなる。一方、ランプ信号の傾きが大きい場合には、カウンタ1クロック分のランプ信号変化量が大きくなるため、AD変換の分解能が低下する。これにより、出力線16の電位の変動の検出が粗くなるため、増幅率(AD変換ゲイン)は低くなる。
【0170】
図12において、期間T41(時刻t71から時刻t75)は、第1の増幅率で増幅されたノイズ信号(第1のノイズ信号)の読み出し期間である。期間T42(時刻t75から時刻t78)は、第1の増幅率で増幅された光信号(第1の光信号)の読み出し期間である。期間T43(時刻t78から時刻t80)は、第1の増幅率と異なる第2の増幅率で増幅された光信号(第2の光信号)の読み出し期間である。時刻T44(時刻t80から時刻t84)は、第2の増幅率で増幅されたノイズ信号(第2のノイズ信号)の読み出し期間である。本実施形態では、第1のノイズ信号、第1の光信号、第2の光信号、第2のノイズ信号の順序で、信号の読み出しを行う。
【0171】
時刻t71よりも前の期間において、読み出し対象の行の制御信号ΦRES,ΦTXは、Lレベルであるものとする。また、
図12には示していないが、期間T71から期間T84において、読み出し対象の行の制御信号ΦSELは、Hレベルであるものとする。
【0172】
時刻t71において、制御回路80は、各列のクリップ回路32のVCLIP制御回路36を制御し、差動増幅回路34の非反転入力端子に電圧V1を供給する。これにより、出力線16の電位の下限値は、電圧V1に制限される。
【0173】
次いで、時刻t72から時刻t73の期間において、垂直走査回路20は、制御信号ΦRESをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、リセットトランジスタM2がオンになり、浮遊拡散部FDは電圧Vddに応じた所定の電位にリセットされる。出力線16には、浮遊拡散部FDのリセット電位に応じた画素信号(ノイズ信号)が出力される。
【0174】
次いで、時刻t74において、参照信号生成回路48は、参照信号線48aに出力している参照信号の電位レベルの変化を開始する。このときの参照信号の傾きは相対的に小さい第1の傾きであり、第1乃至第3実施形態における第1の増幅率に対応する。カウンタ回路58は、参照信号の電位レベルの変化の開始に同期してカウントを開始し、カウント値を示すカウント信号をカウント信号線58aに出力する。
【0175】
比較器46は、出力線16に出力されているノイズ信号のレベルと参照信号線48aに出力されている参照信号のレベルとの大小関係が反転したタイミングで、出力信号をハイレベルからローレベル或いはローレベルからハイレベルへと遷移する。メモリ52は、比較器46の出力信号のレベルの変化に応じて、そのときにカウント信号線58aに出力されているカウント値を、ノイズ信号のデジタルデータとして保持する。このデジタルデータが、第1の増幅率で増幅されたノイズ信号(第1のノイズ信号)に対応する。
【0176】
次いで、時刻t75から時刻t76の期間において、垂直走査回路20は、制御信号ΦTXをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、転送トランジスタM1がオンになり、所定の露光期間の間に光電変換部PDに蓄積された信号電荷が浮遊拡散部FDへと転送され、浮遊拡散部FDの電位が低下する。これにより、出力線16の電位は、浮遊拡散部FDに転送された信号電荷の量に応じた電位まで低下する。このように低下した出力線16の電位が、信号電荷の量に応じた画素信号(光信号)に対応する。
【0177】
このとき、出力線16にはクリップ回路32が接続されているため、一部の画素12に高輝度の光が入射した場合であっても、その画素12に接続される出力線16の電位の下限値は、電圧V1に制限される。これにより、出力線16の電位が電流源18の動作可能な電位よりも低下することを防止することができ、横筋状のノイズの発生を抑制することができる。
【0178】
次いで、時刻t77において、参照信号生成回路48は、参照信号線48aに出力している参照信号の電位レベルの変化を開始する。このときの参照信号の傾きは相対的に小さい第1の傾きであり、第1乃至第3実施形態における第1の増幅率に対応する。カウンタ回路58は、参照信号の電位レベルの変化の開始に同期してカウントを開始し、カウント値を示すカウント信号をカウント信号線58aに出力する。
【0179】
比較器46は、出力線16に出力されている光信号のレベルと参照信号線48aに出力されている参照信号のレベルとの大小関係が反転したタイミングで、出力信号をハイレベルからローレベル或いはローレベルからハイレベルへと遷移する。メモリ52は、比較器46の出力信号のレベルの変化に応じて、そのときにカウント信号線58aに出力されているカウント値を、光信号のデジタルデータとして保持する。このデジタルデータが、第1の増幅率で増幅された光信号(第1の光信号)に対応する。
【0180】
次いで、時刻t78において、制御回路80は、各列のクリップ回路32のVCLIP制御回路36を制御し、差動増幅回路34の非反転入力端子に供給する電圧を電圧V1から電圧V2に切り替える。これにより、出力線16の電位の下限値は、電圧V2に制限される。
【0181】
次いで、時刻t79において、参照信号生成回路48は、参照信号線48aに出力している参照信号の電位レベルの変化を開始する。このときの参照信号の傾きは相対的に大きい第2の傾きであり、第1乃至第3実施形態における第2の増幅率に対応する。カウンタ回路58は、参照信号の電位レベルの変化の開始に同期してカウントを開始し、カウント値を示すカウント信号をカウント信号線58aに出力する。
【0182】
比較器46は、出力線16に出力されている光信号のレベルと参照信号線48aに出力されている参照信号のレベルとの大小関係が反転したタイミングで、出力信号をハイレベルからローレベル或いはローレベルからハイレベルへと遷移する。メモリ52は、比較器46の出力信号のレベルの変化に応じて、そのときにカウント信号線58aに出力されているカウント値を、光信号のデジタルデータとして保持する。このデジタルデータが、第2の増幅率で増幅された光信号(第2の光信号)に対応する。
【0183】
次いで、時刻t81から時刻t82の期間において、垂直走査回路20は、制御信号ΦRESをLレベルからHレベルへと制御する。これにより、リセットトランジスタM2がオンになり、浮遊拡散部FDは電圧Vddに応じた所定の電位にリセットされる。出力線16には、浮遊拡散部FDのリセット電位に応じた画素信号(ノイズ信号)が出力される。
【0184】
次いで、時刻t83において、参照信号生成回路48は、参照信号線48aに出力している参照信号の電位レベルの変化を開始する。このときの参照信号の傾きは相対的に大きい第2の傾きであり、第1乃至第3実施形態における第2の増幅率に対応する。カウンタ回路58は、参照信号の電位レベルの変化の開始に同期してカウントを開始し、カウント値を示すカウント信号をカウント信号線58aに出力する。
【0185】
比較器46は、出力線16に出力されているノイズ信号のレベルと参照信号線48aに出力されている参照信号のレベルとの大小関係が反転したタイミングで、出力信号をハイレベルからローレベル或いはローレベルからハイレベルへと遷移する。メモリ52は、比較器46の出力信号のレベルの変化に応じて、そのときにカウント信号線58aに出力されているカウント値を、ノイズ信号のデジタルデータとして保持する。このデジタルデータが、第2の増幅率で増幅されたノイズ信号(第2のノイズ信号)に対応する。
【0186】
この後、水平走査回路60は、メモリ52に制御信号を供給し、列毎に、第1のノイズ信号、第2のノイズ信号、第1の光信号及び第2の光信号を、水平出力線56を介して出力回路70へと転送する。出力回路70は、第1の光信号のデジタル値から第1のノイズ信号のデジタル値を減算する処理を行い、第1の信号のデジタルデータとして出力する。また、出力回路70は、第2の光信号のデジタル値から第2のノイズ信号のデジタル値を減算する処理を行い、第2の信号のデジタルデータとして出力する。
【0187】
なお、光信号を第2の増幅率で増幅した第2の光信号に重畳するノイズ信号と、第2のノイズ信号とは異なるものである。しかしながら、第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で増幅した信号は、画像合成後、主に高輝度側で使用されるため、これらノイズ信号が異なったとしても光ショットノイズに支配され、画像合成後の画質への影響は小さい。
【0188】
撮像装置をこのように駆動することで、横筋状のノイズの発生を抑制しつつ、像ずれが少ない良質な合成画像を実現することができる。
【0189】
横筋状のノイズを低減する手段としては、列読み出し回路42におけるAD変換ゲインを切り替える際に、制御信号ΦRESのLレベルを、AD変換ゲインに応じた所定のLレベルに設定することも考えられる。この手法を用いる場合、例えば
図12に点線で示すように、期間T41及び期間T42における制御信号ΦRESのLレベルを、期間T43及び期間T44における制御信号ΦRESのLレベルよりも高く設定することが考えられる。
【0190】
しかしながら、像ずれが少ない良質な合成画像を実現する観点からは、制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うことは好ましくない。前述のように、第1の光信号と第2の光信号とは、出力線16に出力された同一の信号に基づいて生成することが望ましい。例えば
図12に示すように、時刻t78において制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うと、リセットトランジスタM2のゲート電位の変動に伴って浮遊拡散部FDの電位が変動し、ひいては出力線16の電位が変動してしまう。その結果、同一の信号に基づいて第1の光信号と第2の光信号とを生成することができなくなり、画像合成後の画質悪化に繋がってしまう。良質な合成画像を得るためには、制御信号ΦRESのLレベルを一定に維持することが望ましい。
【0191】
このような観点から、本実施形態においても、制御信号ΦRESのLレベルを切り替える駆動を行うのではなく、出力線16のクリップレベルを切り替える駆動を行っている。すなわち、第1の増幅率及び第2の増幅率の各々に対応して、高輝度光の入射時にも出力線16の電位が電流源18の動作可能な電位を下回らないように適切なクリップレベルを設定することで、横筋状のノイズの発生を抑制している。これにより、横筋状のノイズの発生を抑制しつつ、像ずれが少ない良質な合成画像を実現することができる。
【0192】
このように、本実施形態によれば、高輝度光の入射時にも横筋状のノイズの影響を抑制して良質な画像を取得することができる。
【0193】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による撮像システムについて、
図13を用いて説明する。
図13は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
【0194】
上記第1乃至第4実施形態で述べた撮像装置100は、種々の撮像システムに適用可能である。適用可能な撮像システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、撮像システムに含まれる。
図13には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0195】
図13に例示した撮像システム200は、撮像装置201、被写体の光学像を撮像装置201に結像させるレンズ202、レンズ202を通過する光量を可変にするための絞り204、レンズ202の保護のためのバリア206を有する。レンズ202及び絞り204は、撮像装置201に光を集光する光学系である。撮像装置201は、第1乃至第4実施形態のいずれかで説明した撮像装置100であって、レンズ202により結像された光学像を画像データに変換する。
【0196】
撮像システム200は、また、撮像装置201より出力される出力信号の処理を行う信号処理部208を有する。信号処理部208は、撮像装置201が出力するデジタル信号から画像データの生成を行う。また、信号処理部208は必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。撮像装置100が画素信号としてのアナログ信号を出力する場合には、信号処理部208がAD変換部を備えていてもよい。信号処理部208が実行する処理には、前述の第1の信号に基づく画像と第2の信号に基づく画像から高ダイナミックレンジ画像を生成する処理を含み得る。
【0197】
撮像システム200は、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部210、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)212を有する。更に撮像システム200は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体214、記録媒体214に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)216を有する。なお、記録媒体214は、撮像システム200に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0198】
更に撮像システム200は、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部218、撮像装置201と信号処理部208に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部220を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、撮像システム200は少なくとも撮像装置201と、撮像装置201から出力された出力信号を処理する信号処理部208とを有すればよい。
【0199】
撮像装置201は、撮像信号を信号処理部208に出力する。信号処理部208は、撮像装置201から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部208は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
【0200】
このように、本実施形態によれば、第1乃至第4実施形態による撮像装置100を適用した撮像システムを実現することができる。
【0201】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による撮像システム及び移動体について、
図14を用いて説明する。
図14は、本実施形態による撮像システム及び移動体の構成を示す図である。
【0202】
図14(a)は、車載カメラに関する撮像システムの一例を示したものである。撮像システム300は、撮像装置310を有する。撮像装置310は、上記第1乃至第4実施形態のいずれかに記載の撮像装置100である。撮像システム300は、撮像装置310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部312と、撮像システム300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部314を有する。また、撮像システム300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部318と、を有する。ここで、視差取得部314や距離取得部316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0203】
撮像システム300は車両情報取得装置320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU330が接続されている。また、撮像システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置340とも接続されている。例えば、衝突判定部318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0204】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム300で撮像する。
図14(b)に、車両前方(撮像範囲350)を撮像する場合の撮像システムを示した。車両情報取得装置320が、撮像システム300ないしは撮像装置310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0205】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0206】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0207】
また、上記実施形態では、クリップ回路32により設定されるクリップレベルを下限とする範囲に出力線16の信号レベルを制限したが、クリップ回路32により設定されるクリップレベルを上限とする範囲に出力線16の信号レベルを制限してもよい。例えば、信号電荷が正電荷である場合、浮遊拡散部FDへの信号電荷の転送によって浮遊拡散部FDの電位が増加し、出力線16の電位が増加する。このような場合には、クリップ回路32により設定されるクリップレベルを上限とする範囲に出力線16の信号レベルを制限することが有効である。
【0208】
また、上記第1実施形態に示した駆動方法は、第2又は第3実施形態の構成に適用することも可能である。同様に、上記第2実施形態に示した駆動方法は、第3実施形態の構成に適用することも可能である。
【0209】
また、上記第4実施形態では、第1実施形態と同様に、第1のノイズ信号、第1の光信号、第2の光信号、第2のノイズ信号の順序で、信号の読み出しを行う例を示したが、第2又は第3実施形態と同様の順序で信号の読み出しを行ってもよい。この場合、必要に応じて、列読み出し回路部の前段に出力線16から出力される信号を保持するサンプルホールド容量を配置することができる。
【0210】
また、
図2に示す画素回路は一例であり、画素12の回路構成はこれに限定されるものではない。例えば、1つの画素12が複数の光電変換部PDを含んでもよいし、光電変換部PD及び浮遊拡散部FDのほかに電荷を保持可能な保持部を更に含んでもよい。
【0211】
また、上記第1乃至第4実施形態では、画像の取得を目的とした装置、すなわち撮像装置を例示したが、本発明の適用例は必ずしも撮像装置に限定されるものではない。例えば、上記第6実施形態で説明したような測距を主たる目的とする装置に適用する場合にあっては、必ずしも画像を出力する必要はない。このような場合、当該装置は、光情報を所定の電気信号に変換する光電変換装置と言うことができる。撮像装置は、光電変換装置の1つである。
【0212】
また、上記第5又は第6実施形態に示した撮像システムは、本発明の撮像装置を適用しうる撮像システム例を示したものであり、本発明の撮像装置を適用可能な撮像システムは
図13及び
図14に示した構成に限定されるものではない。
【0213】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0214】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0215】
10…画素部
12…画素
16…出力線
20…垂直走査回路
30…クリップ回路部
32…クリップ回路
40…読み出し回路部
42…列読み出し回路
44…差動増幅回路
46…比較器
50…メモリ部
52…メモリ
60…水平走査回路
70…出力回路
80…制御回路
100…撮像装置