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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】シート支持装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/00 20060101AFI20240430BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240430BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B65H3/00 310E
G03G15/00 401
G03G21/16 147
G03G21/16 120
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020025569
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130527
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 邦博
(72)【発明者】
【氏名】布施 康彦
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-037470(JP,A)
【文献】特開2000-330351(JP,A)
【文献】特開2018-070279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/00
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
前記第1筐体に対して第1方向に引き出し可能に支持されると共にシートが支持されるシート支持部と、
前記第1筐体の上方に配置される第2筐体に係合する第1ロック位置と、前記第2筐体に係合しない第1非ロック位置と、の間で、第1回動軸を中心に前記第1筐体に対して回動可能に支持される第1ロック部材と、
前記第2筐体に係合する第2ロック位置と、前記第2筐体に係合しない第2非ロック位置と、の間で、第2回動軸を中心に前記第1筐体に対して回動可能に支持される第2ロック部材と、
前記第2筐体に係合する第3ロック位置と、前記第2筐体に係合しない第3非ロック位置と、の間で、第3回動軸を中心に前記第1筐体に対して回動可能に支持される第3ロック部材と、を備え、
前記第3ロック部材は、前記第1方向と、前記第1方向及び重力方向に直交する第2方向と、において、前記第1ロック部材及び前記第2ロック部材とは異なる位置に配置され、
前記第1筐体は、前記第1筐体の天面に配置されると共に前記第2筐体をそれぞれ支持する第1支持部、第2支持部、第3支持部及び第4支持部を有し、
前記第3ロック部材は、前記第2方向において、前記第3支持部と前記第4支持部の間に配置される、
ことを特徴とするシート支持装置。
【請求項2】
前記第1ロック部材、前記第2ロック部材及び前記第3ロック部材は、平面視において、これら前記第1ロック部材、前記第2ロック部材及び前記第3ロック部材を互いに線分で結んだ領域内に前記第2筐体の重心が位置するように配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート支持装置。
【請求項3】
前記第1ロック部材と前記第2ロック部材とを結んだ線分は、前記第2方向に平行に延び、
前記第1ロック部材と前記第3ロック部材とを結んだ線分並びに前記第2ロック部材と前記第3ロック部材とを結んだ線分は、前記第1方向及び前記第2方向に交差する方向にそれぞれ延びる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート支持装置。
【請求項4】
前記第1ロック部材及び前記第2ロック部材は、前記第2方向において互いに異なる位置に配置されると共に、前記第1筐体の前記第1方向における下流端部に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート支持装置。
【請求項5】
前記第1支持部、前記第2支持部、前記第3支持部及び前記第4支持部は、平面視において、仮想の台形の頂点上に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート支持装置。
【請求項6】
前記第1支持部は、前記第1ロック部材の近傍に配置され、
前記第2支持部は、前記第2ロック部材の近傍に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート支持装置。
【請求項7】
前記第1ロック部材、前記第2ロック部材及び前記第3ロック部材を連動させる連動部と、
前記連動部を操作する操作部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート支持装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート支持装置と、
前記第2筐体に設けられ、シートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを支持するシート支持装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタ等の画像形成装置では、着脱可能な複数の給送ユニットを装着した状態で用いるものがある。例えば、第1の給送ユニットを備えた画像形成装置の装置本体に対して、装置本体とは別に設けられたオプションの第2の給送ユニットを装着する場合がある。また、複数の給送ユニットが、互いに連結された状態で装置本体に装着される場合もある。これにより、シートの積載容量が大容量化され、大量の印刷ジョブにも対応可能となる。
【0003】
従来、互いに隣接する給送ユニットを第1ロック部材及び第2ロック部材によってロックするロック機構を備えた給送ユニットが提案されている(特許文献1参照)。これら第1ロック部材及び第2ロック部材は、箱形状の給送ユニットの対角線上の2か所にそれぞれ配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-070279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、例えば給送ユニットを画像形成装置の装置本体に接続した際の、装置全体の堅牢性への要求が高まっており、ロック機構のロック性能の向上が望まれている。しかしながら、特許文献1に記載の第1ロック部材及び第2ロック部材は、上記対角線に直交する方向からの外力が作用した際には、画像形成装置と給送ユニットとの間のガタツキが大きくなってしまい、ロック性能を向上する余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、ロック性能を向上可能なシート支持装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シート支持装置において、第1筐体と、前記第1筐体に対して第1方向に引き出し可能に支持されると共にシートが支持されるシート支持部と、前記第1筐体の上方に配置される第2筐体に係合する第1ロック位置と、前記第2筐体に係合しない第1非ロック位置と、の間で、第1回動軸を中心に前記第1筐体に対して回動可能に支持される第1ロック部材と、前記第2筐体に係合する第2ロック位置と、前記第2筐体に係合しない第2非ロック位置と、の間で、第2回動軸を中心に前記第1筐体に対して回動可能に支持される第2ロック部材と、前記第2筐体に係合する第3ロック位置と、前記第2筐体に係合しない第3非ロック位置と、の間で、第3回動軸を中心に前記第1筐体に対して回動可能に支持される第3ロック部材と、を備え、前記第3ロック部材は、前記第1方向と、前記第1方向及び重力方向に直交する第2方向と、において、前記第1ロック部材及び前記第2ロック部材とは異なる位置に配置され、前記第1筐体は、前記第1筐体の天面に配置されると共に前記第2筐体をそれぞれ支持する第1支持部、第2支持部、第3支持部及び第4支持部を有し、前記第3ロック部材は、前記第2方向において、前記第3支持部と前記第4支持部の間に配置される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ロック性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図。
図2】(a)はプリンタ本体の本体フレームを示す斜視図、(b)は被係合部及び位置決め孔を示す拡大斜視図。
図3】給送ユニットを底面側から視た斜視図。
図4】給送ユニットを天面側から視た斜視図。
図5】ロック機構を示す斜視図。
図6】(a)は第1非ロック位置に位置するロック部材を示す側面図、(b)は第1ロック位置に位置するロック部材を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[全体構成]
以下、図面を参照しながら、本実施の形態に係る画像形成装置について説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式の画像形成部を備えたレーザビームプリンタである。このプリンタは、外部PCから入力された画像情報や原稿から読み取った画像情報に基づいてシートに画像を形成する。ただし、シートとは、用紙及び封筒等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート(OHT)等のプラスチックフィルム、並びに布を含む記録媒体を指す。
【0011】
プリンタ1の装置本体であるプリンタ本体1Aは、図1に示すように、画像形成部40と、プリンタ本体1Aに組付けられたシート支持ユニット2と、を備えている。シート支持ユニット2には、本体カセット34に収納されたシートSを画像形成部40に給送する給送部3が設けられている。画像形成部40は、シート支持ユニット2又は後述の給送ユニット100,200から給送されたシートSに画像を形成する。
【0012】
画像形成部40は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスカートリッジPY,PM,PC,PKと、スキャナユニット31と、を備えている。プロセスカートリッジPY,PM,PC,PKは、プリンタ本体1Aに対して着脱可能となっており、例えばトナーが切れた際に新しいものと交換される。
【0013】
なお、4つのプロセスカートリッジPY,PM,PC,PKは、形成する画像の色が異なること以外は同じ構成である。そのため、プロセスカートリッジPYの構成及び画像形成プロセスのみを説明し、プロセスカートリッジPM,PC,PKの説明は省略する。
【0014】
プロセスカートリッジPYは、感光ドラム41と、帯電ローラ42と、現像ローラ43と、クリーニングブレード45と、を有している。感光ドラム41は、アルミシリンダの外周に有機光導電層を塗布して構成され、不図示の駆動モータによって回転する。また、画像形成部40には、駆動ローラ32aに巻き掛けられた中間転写ベルト32が設けられ、中間転写ベルト32の内側には、一次転写ローラ47Y,47M,47C,47Kが設けられている。また、中間転写ベルト32を挟むように、駆動ローラ32aに対向して二次転写ローラ33が設けられており、中間転写ベルト32及び二次転写ローラ33は、搬送されるシートSに画像を転写する転写ニップN1を形成している。
【0015】
不図示のパソコン等から画像信号がスキャナユニット31に入力されると、スキャナユニット31から、画像信号に対応したレーザ光がプロセスカートリッジPYの感光ドラム41上に照射される。
【0016】
このとき感光ドラム41は、帯電ローラ42により表面が予め所定の極性・電位に一様に帯電されており、スキャナユニット31からレーザ光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。感光ドラム41に形成された静電潜像は、現像ローラ43により現像され、感光ドラム41上にイエロー(Y)のトナー像が形成される。
【0017】
同様にして、プロセスカートリッジPM,PC,PKの各感光ドラムにもスキャナユニット31からレーザ光が照射され、各感光ドラムにマゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成される。各感光ドラム上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ47Y,47M,47C,47Kにより中間転写ベルト32に転写され、駆動ローラ32aによって回転する中間転写ベルト32により転写ニップN1まで搬送される。なお、各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト32上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。なお、一次転写ローラ47Yによってトナー像が転写された後に感光ドラム41に残ったトナーは、クリーニングブレード45によって回収される。
【0018】
このような画像形成プロセスに並行して、シート支持ユニット2はシートSの給送動作を開始する。シート支持ユニット2の給送部3は、プリンタ本体1Aに配置された本体カセット34と、シートSを給送するピックアップローラ35と、分離ローラ対36と、を有している。本体カセット34は、ユーザによってプリンタ本体1Aの本体フレーム80に対して引出し可能に挿入されている。また、本体カセット34は、シートSが支持される中板37と、中板37を上方へ向けて付勢する不図示のバネと、を有し、中板37に積載されたシート束の最上位のシートSを所定の給送位置に保持する。
【0019】
中板37によって支持されている最上位のシートSは、ピックアップローラ35によって給送されると共に、分離ローラ対36によって1枚ずつに分離されながら搬送される。分離ローラ対36によって搬送されたシートSは、レジストレーションローラ対4によって斜行が補正されるとともに、プロセスカートリッジPY,PM,PC,PKにおける作像動作の進行に合わせて転写ニップN1へ向けて搬送される。
【0020】
転写ニップN1においてトナー像を転写されたシートSは、定着装置5へと搬送される。定着装置5は、セラミックヒータ等によって加熱される加熱ローラ51と、加熱ローラ51に対して所定のニップ圧で当接する加圧ローラ52と、を有している。定着装置5に搬送されたシートS上のトナー像は、これら加熱ローラ51及び加圧ローラ52によってシートSに定着される。定着装置5から排出されたシートSは排出ローラ対6へと搬送され、排出ローラ対6によってプリンタ本体1Aの上部に設けられた排出トレイ7に積載される。
【0021】
プリンタ1は、上記したプロセスカートリッジPY,PM,PC,PK、スキャナユニット31及び中間転写ベルト32等を支持するための本体フレーム80を有しており、本実施例では本体フレーム80は金属製の板で構成されている。
【0022】
本体フレーム80によって画像形成部40や各搬送部が支持されているため、本体フレーム80が歪むことで、各色のトナーの重ね合わせにずれが生じてしまったり、シートSが斜行して搬送されることによる画像不良が生じたりする場合がある。そのため、高い画像品質を維持するためには、本体フレーム80の剛性が重要となってくる。
【0023】
[給送ユニット]
次に、プリンタ本体1Aに対してオプションとして接続される給送ユニット100,200について説明する。シート支持装置としての給送ユニット100は、プリンタ本体1Aの本体フレーム80に対して下方から接続可能となっており、シートSが収納されるカセット134と、カセット134に収納されたシートSを給送する給送部130と、を有している。給送部130は、シートSを給送するピックアップローラ135と、ピックアップローラ135によって給送されたシートSを1枚ずつに分離する分離ローラ対136と、を有している。給送部130によって給送されたシートSは、プリンタ本体1A内に送られ、上述したように画像形成される。
【0024】
シート支持部としてのカセット134は、給送ユニット100の第1筐体としての筐体180に対して、引き出し方向D1(図4参照)に引き出し可能に支持されている。なお、以下では、第1方向としての引き出し方向D1における下流側を装置手前側、上流側を装置奥側と規定する。また、引き出し方向D1及び第3方向としての重力方向D3(図4参照)に直交する方向を幅方向D2(図4参照)とし、第2方向としての幅方向D2はプリンタ1の左右方向に平行な方向である。
【0025】
また、給送ユニット200は、給送ユニット100の筐体180に対して下方から接続可能となっており、シートSが収納されるカセット234と、カセット234に収納されたシートSを給送する給送部230と、を有している。給送部230は、シートSを給送するピックアップローラ235と、ピックアップローラ235によって給送されたシートSを1枚ずつに分離する分離ローラ対236と、を有している。給送部230によって給送されたシートSは、給送ユニット100内に送られた後にプリンタ本体1Aへと送られ、上述したように画像形成される。
【0026】
このように、給送ユニット100,200は、プリンタ本体1Aに積層される形で接続され、プリンタ内部に収容可能なシート量を増大させることができる。なお、オプションとしての給送ユニットは2段に限らず、3段以上の給送ユニットを積層し、さらにその上面にプリンタ本体1Aを載置してもよい。また、給送ユニット100,200は、同一構成であり、これら給送ユニット100,200がそれぞれ有する給送部130,230は、プリンタ本体1Aの給送部3と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0027】
[プリンタ本体の底部]
次に、図2(a)(b)を参照して、第2筐体としてのプリンタ本体1Aの底部について説明する。プリンタ本体1Aのシート支持ユニット2には、図2(a)に示すように、シート搬送エリア100aが設けられている。シート搬送エリア100aは、給送ユニット100をプリンタ本体1Aに接続した際に、給送ユニット100からプリンタ本体1Aへシートを受け渡すために設けられている。
【0028】
本体フレーム80の底板8には、4か所の接地部11a,11b,11c,11dが設けられている。接地部11aは、本体左前側の角部近傍に配置され、接地部11bは、本体右前側の角部近傍に配置されている。接地部11c,11dは、本体後方の中央部付近に近接して配置されている。また、各接地部11a,11b,11c,11dを線分で結ぶと、図2(a)の破線に示す仮想の台形15が形成される。すなわち、接地部11a,11b,11c,11dは、平面視において、仮想の台形15の頂点上に配置される。
【0029】
プリンタ本体1Aを設置する設置面の凹凸や平面度の影響を受けにくくするためには、プリンタ本体1Aは3点で設置面に接地できることが望ましい。しかしながら、ユーザ操作等によってプリンタ本体1Aに外力が作用した場合に、プリンタ本体1Aが設置面に対してガタついてしまう虞がある。このため、本実施の形態では、プリンタ本体1Aに4か所の接地部11a,11b,11c,11dを設けることで、プリンタ本体1Aに外力が作用した場合でもガタツキが少なくなるように構成されている。なお、プリンタ本体1Aの接地部が多くなりすぎると、逆に設置面の凹凸や平面度の影響を受けやすくなり、プリンタ本体1Aがガタついてしまう。
【0030】
また、本体フレーム80の底板8には、3つの位置決め孔12a,12b,12cが設けられている。位置決め孔12aは、本体右奥の角部に設けられた丸孔である。位置決め孔12bは、図2(b)に示すように、本体左奥の角部に設けられた長丸孔であり、位置決め孔12cは、図2(a)に示すように、本体右前の角部に設けられた長丸孔である。
【0031】
[給送ユニットの底部]
次に、図3を参照して、給送ユニット100の底部について説明する。なお、給送ユニット200は、給送ユニット100と同一構成であるので、以後、給送ユニット200の説明は省略する。
【0032】
図3に示すように、給送ユニット100の底部には、底板108が設けられており、底板108は、給送ユニット100の後側板109に接続されている。また、給送ユニット100の底部には、給送ユニット200に接地する4か所の接地部151,152,153,154が設けられている。接地部154は、給送ユニット100の左前側の角部近傍に配置され、接地部153は、給送ユニット100の右前側の角部近傍に配置されている。接地部151,152は、底板108に設けられると共に、底板108と後側板109の結合部分の近傍に配置されている。これにより、上下方向の圧縮に強い位置で給送ユニット100が設置面に接地することが可能となり、給送ユニット100のフレームの変形を抑制できる。
【0033】
[給送ユニットの天面部]
次に、図4を参照して、給送ユニット100の天面部について説明する。図4に示すように、給送ユニット100の天面部において、右奥、左奥、右前には位置決めピン161,162,163が設けられている。また、給送ユニット100の天面部において、左前角部及び右前角部には、それぞれ支持部181,182が設けられ、後方の中央部付近には、支持部183,184が設けられている。第1支持部、第2支持部、第3支持部及び第4支持部としての支持部181,182,183,184は、天面197から僅かに上方に突出している。
【0034】
[ロック機構]
次に、図5及び図6を参照して、給送ユニット100に設けられたロック機構170について説明する。図5に示すように、ロック機構170は、ロック部材171,172,173と、連動部175と、を有している。連動部175は、スライド部材174と、一端がロック部材173に固定される第3回動軸143と、ロック部材171,172及び第3回動軸143の他端にそれぞれ固定されるピニオンギヤ191,196,193と、を有している。
【0035】
スライド部材174は、給送ユニット100の筐体180に対して、幅方向D2にスライド可能に支持されている。また、スライド部材174は、ピニオンギヤ191,196,193にそれぞれ噛合可能なラック部192,195,194と、把持部174aと、を有しており、ラック部192,195,194は、幅方向D2に延びている。
【0036】
ロック部材171及びピニオンギヤ191は、第1回動軸141を中心に回動可能であり、ロック部材172及びピニオンギヤ196は、第2回動軸142を中心に回動可能である。ロック部材173及びピニオンギヤ193は、第3回動軸143を中心に回動可能である。ユーザは、スライド部材174の把持部174aを操作することで、ロック部材171,172,173を連動させる連動部175を操作することができる。
【0037】
第1回動軸141、第2回動軸142及び第3回動軸143は、互いに平行に延びているが、これに限定されない。例えば、これら第1回動軸141、第2回動軸142及び第3回動軸143の任意の2つ若しくは3つが平行でなくてもよい。
【0038】
すなわち、ユーザが操作部としての把持部174aを幅方向D2における一方側に操作すると、スライド部材174が移動し、ピニオンギヤ191,196,193が回転することでロック部材171,172,173が回動する。
【0039】
ロック部材171,172,173は、図4に示すように、給送ユニット100の天面197に設けられた3つの孔からそれぞれ上方に突出している。ロック部材173は、引き出し方向D1及び幅方向D2において、ロック部材171,172とは異なる位置に配置されている。ロック部材171,172,173は、給送ユニット100がプリンタ本体1Aに接続された状態において、プリンタ本体1Aの本体フレーム80に設けられた被係合部21,22,23にそれぞれ係合する。
【0040】
例えば、図6(a)(b)に示すように、第1ロック部材としてのロック部材171は、被係合部21に係合可能な溝形状を有する爪部171aを有している。爪部171aは、ロック部材171が第1回動軸141を中心に矢印R方向に回動することで、本体フレーム80の被係合部21に係合する。すなわち、ロック部材171は、本体フレーム80の被係合部21に係合する第1ロック位置と、プリンタ本体1Aの被係合部21に係合しない第1非ロック位置と、の間で、第1回動軸141を中心に筐体180に対して回動可能に支持される。
【0041】
ロック部材172,173も、ロック部材171と同様の形状を有しており、第2回動軸142,143を中心にそれぞれ回動することで、被係合部22,23に対してそれぞれ係合する。言い換えれば、第2ロック部材としてのロック部材172は、被係合部22に係合する第2ロック位置と、被係合部22に係合しない第2非ロック位置と、の間で、第2回動軸142を中心に筐体180に対して回動可能に支持される。第3ロック部材としてのロック部材173は、被係合部23に係合する第3ロック位置と、被係合部23に係合しない第3非ロック位置と、の間で、第3回動軸143を中心に筐体180に対して回動可能に支持される。
【0042】
そして、これらロック部材171,172,173の全ては、スライド部材174が幅方向D2における一方に操作されることで、ロック位置及び非ロック位置のいずれか一方に回動する。また、ロック部材171,172,173の全ては、スライド部材174が幅方向D2における他方に操作されることで、ロック位置及び非ロック位置のいずれか他方に回動する。
【0043】
このように、スライド部材174を操作することで、3つのロック部材171,172,173を一度にロック位置又は非ロック位置に回動させることができるので、操作性を向上できる。
【0044】
[給送ユニットとプリンタ本体との接続]
次に、給送ユニット100とプリンタ本体1Aとの接続方法について説明する。図2(a)及び図4に示すように、給送ユニット100上にプリンタ本体1Aを載置して接続する際には、ユーザは、給送ユニット100の位置決めピン161,162,163と、プリンタ本体1Aの位置決め孔12a,12b,12cと、を位置合わせする。
【0045】
そして、ユーザは、位置決めピン161,162,163と位置決め孔12a,12b,12cとが嵌合するように、給送ユニット100上にプリンタ本体1Aを載置する。位置決めピン161,162及び位置決め孔12a,12bは、シート搬送エリア100aの長手方向における両端部付近に配置されているため、シート搬送エリア100aの位置決め精度を向上することができる。これにより、シート搬送中の斜行による画像品質の低下等を低減することができ、高品位の印刷物を提供することができる。
【0046】
また、位置決めピン161,163及び位置決め孔12a,12cは、給送ユニット100及びプリンタ本体1Aの幅方向D2における両端部に配置されているので、給送ユニット100とプリンタ本体1Aとの位置ずれを効果的に抑制できる。これにより、給送ユニット100とプリンタ本体1Aとの接続部分における外装の隙間や段差を低減できる。
【0047】
そして、プリンタ本体1Aの底部における4か所の接地部11a,11b,11c,11dは、給送ユニット100の天面部における支持部181,182,183,184によって支持される。ここで、支持部181,182,183,184を線分で結ぶと、図4の破線に示す仮想の台形185が形成される。すなわち、支持部181,182,183,184は、平面視において、仮想の台形185の頂点上に配置される。
【0048】
このように、給送ユニット100は、4か所の支持部181,182,183,184によってプリンタ本体1Aを支持する。これにより、例えば支持部181,182,183,184の高さが異なり、給送ユニット100の筐体180が歪んだ場合であっても、プリンタ本体1Aにはその歪みが伝わりにくく、画像不良が発生し難い構成となっている。
【0049】
また、給送ユニット100にプリンタ本体1Aが載置された状態で、ユーザは、スライド部材174の把持部174aを操作することでスライド部材174を幅方向D2に移動させ、ロック部材171,172,173を各ロック位置に位置させる。これにより、給送ユニット100とプリンタ本体1Aとがロックされる。
【0050】
図4に示すように、ロック部材171,172,173を互いに線分で結ぶと、図4の2点鎖線に示す仮想の三角形186が形成される。ロック部材171,172,173は、平面視において、この仮想の三角形186の領域内にプリンタ本体1Aの重心が位置するように配置される。これにより、給送ユニット100を多段に積み上げてプリンタ1の高さが高くなることによって、プリンタ1の重心位置が高くなったとしても、プリンタ本体1Aと給送ユニット100との間のガタツキを抑制することができる。
【0051】
なお、プリンタ本体1Aに設けられる駆動ユニットや電源ユニットは装置奥側に配置され、シートの搬送に関するユニットは装置右側に配置される。このため、プリンタ本体1Aの重心は、平面視において、プリンタ本体1Aの中心よりも右奥側に位置する。このようなプリンタ本体1Aの重心に鑑み、支持部183,184は、装置のやや右奥側寄りに配置され、かつ位置決めピン161及び位置決め孔12aが装置右奥の角部に配置されている。
【0052】
また、ロック部材171,172を結んだ線分186aは、幅方向D2に平行に延びると共に、給送ユニット100の幅方向D2における全幅と略同一の長さを有している。また、ロック部材171,173を結んだ線分186b並びにロック部材172,173を結んだ線分186cは、引き出し方向D1及び幅方向D2に交差する方向にそれぞれ延びる。
【0053】
通常、プリンタ本体1Aにユーザ操作等によって加えられる外力は、手前奥方向又は左右方向、すなわち、引き出し方向D1に平行な方向又は幅方向D2に平行な方向である。本実施の形態では、上述した仮想の三角形186を構成する3つの線分186a,186b,186cの内、1つの線分186aのみが引き出し方向D1又は幅方向D2に平行な方向に延びている。このようにロック部材171,172,173を配置することで、給送ユニット100とプリンタ本体1Aとのロック性能を向上し、プリンタ1の堅牢性を向上することができる。
【0054】
例えば、引き出し方向D1又は幅方向D2に平行な方向からプリンタ本体1Aに対して外力が作用しても、プリンタ本体1Aと給送ユニット100との間のガタツキは少ない。このため、プリンタ1の振動等に起因する騒音を低減すると共に、画像不良を低減することができる。また、ユーザに、製品に高価なイメージを与えたり、使用上の信頼感を与えたりすることができる。
【0055】
また、ロック部材171,172は、幅方向D2において互いに異なる位置に配置されると共に、それぞれ支持部181,182の近傍かつ筐体180の引き出し方向D1における下流端部に配置されている。ロック部材173は、幅方向D2において、支持部183,184の間に配置されている。
【0056】
例えば、理想的な設置状態においては、給送ユニット100の筐体180には歪みが無く、その上に載置されるプリンタ本体1Aの本体フレームにも歪みが発生しない。ロック部材171,172,173及び被係合部21,22,23は、この理想的な設置状態においては、ロック部材171,172,173がロック位置に位置する際に0.5mm程度の隙間を有している。そのため、ロック部材171,172,173での固定によってプリンタ本体1Aの本体フレーム80にロック部材171,172,173から被係合部21,22,23を介して力が加わることはない。
【0057】
実際のプリンタ本体1A及び給送ユニット100の載置環境においては、給送ユニット100が載置される床面などの平面度が低く、給送ユニット100の筐体180が多少なりとも歪んでしまうことが想定される。給送ユニット100の筐体180が歪むことによって、ロック部材171,172,173と被係合部21,22,23との間のクリアランスが無くなり、ロック部材171,172,173によって筐体180に力が加わってしまうことがある。これにより、給送ユニット100の筐体180が歪んでしまうことが考えられる。
【0058】
しかしながら、本実施の形態では、ロック部材171,172,173が、支持部181,182,183,184の近傍に設けられている為、ロック部材171,172,173から受ける力による筐体180の変形を抑えることができる。よって、画像品質の劣化を低減できる。
【0059】
また、ロック部材171,172,173は、各回動軸を中心に回動するフック状の部材であるため、ビス等による締結に比して、部品の紛失が防げると共に、容易に給送ユニット100の着脱を行うことができる。
【0060】
<その他の実施形態>
なお、本実施の形態では、ロック部材173が、引き出し方向D1及び幅方向D2において、ロック部材171,172とは異なる位置に配置されているが、これに限定されない。すなわち、ロック部材171,172,173の内の1つが、引き出し方向D1及び幅方向D2において、ロック部材171,172,173の内の他の2つとは異なる位置に配置されればよい。なお、ロック部材は、3つではなく4つ以上設けてもよい。
【0061】
また、既述のいずれの形態においても、電子写真方式のプリンタ1を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1:画像形成装置(プリンタ)/1A:第2筐体(プリンタ本体)/40:画像形成部/100:シート支持装置(給送ユニット)/134:シート支持部(カセット)/141:第1回動軸/142:第2回動軸/143:第3回動軸/171:第1ロック部材(ロック部材)/172:第2ロック部材(ロック部材)/173:第3ロック部材(ロック部材)/174a:操作部(把持部)/175:連動部/180:第1筐体(筐体)/181:第1支持部(支持部)/182:第2支持部(支持部)/183:第3支持部(支持部)/184:第4支持部(支持部)/185:台形/186a,186b,186c:線分/197:天面/D1:第1方向(引き出し方向)/D2:第2方向(幅方向)/D3:第3方向(重力方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6