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特許7479885搬送装置及び既設構造物内での新設構造物の組立方法
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  • 特許-搬送装置及び既設構造物内での新設構造物の組立方法 図1
  • 特許-搬送装置及び既設構造物内での新設構造物の組立方法 図2
  • 特許-搬送装置及び既設構造物内での新設構造物の組立方法 図3
  • 特許-搬送装置及び既設構造物内での新設構造物の組立方法 図4
  • 特許-搬送装置及び既設構造物内での新設構造物の組立方法 図5
  • 特許-搬送装置及び既設構造物内での新設構造物の組立方法 図6
  • 特許-搬送装置及び既設構造物内での新設構造物の組立方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】搬送装置及び既設構造物内での新設構造物の組立方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20240430BHJP
   E04H 12/10 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
E04G21/16
E04H12/10 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020048249
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021147861
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 鐵塔,第128号,一般社団法人日本鉄塔協会,JAPAN STEEL TOWER ASSIOCIATION,第43頁,第44頁,令和元年7月
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000153616
【氏名又は名称】株式会社巴コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】505272618
【氏名又は名称】株式会社タワーライン・ソリューション
(73)【特許権者】
【識別番号】000221546
【氏名又は名称】東電設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】飯島 久春
(72)【発明者】
【氏名】荒井 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】松浦 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】中野渡 譲
(72)【発明者】
【氏名】小池 智巳
(72)【発明者】
【氏名】土屋 大樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 広樹
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-188394(JP,A)
【文献】特開2009-121019(JP,A)
【文献】実開昭60-186070(JP,U)
【文献】特開2012-38832(JP,A)
【文献】特開平10-249416(JP,A)
【文献】特開昭51-20360(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132500(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D1/00-24/00
E04G1/24
21/14-21/22
E04H5/00-5/12
7/00-7/32
12/00-14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
資材を所望の場所に搬送する台車部と、
前記台車部上に設けられて前記資材を支持する架台部と、
を備え、
前記架台部は、前記台車部に対して相対的に移動自在であり、
少なくとも2つの前記架台部が互いに個別に移動自在に設けられている
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記資材は、長尺資材であり、
前記台車部は、前記長尺資材の長手方向に沿って延びており、
前記架台部は、前記長手方向に沿って前記台車部に対して相対的に移動自在である
ことを特徴とする請求項に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記台車部は、前記長手方向に沿って延びる一対の軌道を有し、
前記架台部は、前記一対の軌道上において移動自在に設けられている
ことを特徴とする請求項に記載の搬送装置。
【請求項4】
搬送装置の資材を所望の場所に搬送する台車部上に設けられて前記資材を支持する架台部に、前記資材を支持させた状態において前記台車部を既設構造物内に移動させて前記資材を搬入する搬入工程と、
搬入した前記資材を用いて既設構造物内に新設構造物を組み立てる組立工程と、
を含み、
前記架台部は、前記台車部に対して相対的に移動自在であり、
少なくとも2つの前記架台部が互いに個別に移動自在に設けられている
ことを特徴とする既設構造物内での新設構造物の組立方法。
【請求項5】
前記組立工程前に、搬入した前記資材を前記既設構造物内で前記搬送装置から吊り上げる吊上工程をさらに含み、
前記吊上工程において、前記資材を一端側で吊り上げつつ、前記資材の他端を支持した状態において前記資材の動きに伴い前記台車部に対して相対的に前記架台部が移動することにより前記搬送装置からの前記資材の吊り上げを補助する
ことを特徴とする請求項に記載の組立方法。
【請求項6】
前記資材は、長尺資材であり、
前記台車部は、前記長尺資材の長手方向に沿って延びており、
前記架台部は、前記長手方向に沿って前記台車部に対して相対的に移動自在であり、
前記組立工程前に、搬入した前記資材を前記既設構造物内で前記搬送装置から吊り上げる吊上工程をさらに含み、
前記吊上工程において、搬入方向において前記長尺資材を先端側で吊り上げつつ、前記長尺資材を後端側で支持した状態において前記長尺資材の動きに伴い前記台車部に対して相対的に前記架台部が移動することにより前記長尺資材の起立を補助する
ことを特徴とする請求項に記載の組立方法。
【請求項7】
前記吊上工程において、前記既設構造物に取り付けられた吊上装置により、前記資材を吊り上げることを特徴とする請求項又はに記載の組立方法。
【請求項8】
前記既設構造物及び前記新設構造物は鉄塔であることを特徴とする請求項からまでのいずれか一項に記載の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び既設構造物内での新設構造物の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電用の鉄塔を建て替える工法として、包込工法が知られている。包込工法においては、既設の送電線鉄塔の基礎の外側に、新設の鉄塔の基礎を建設して組み立てるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、近年、大型鉄塔周辺において宅地化が進み、住宅地において鉄塔を建て替える場合、既設鉄塔より外側に新設鉄塔を組み立てるための用地を確保することができない場合がある。
【0004】
これに対して、既設鉄塔内に新設の鉄塔を組み立てるTIT(Tower in Tower)工法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平09-137633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、既設鉄塔の中に新設鉄塔の資材を搬入する場合、クレーンを用いて資材を既設鉄塔の内側に吊り込む必要がある。クレーンにより資材を既設鉄塔内に吊り込む場合、資材及びクレーンが既設鉄塔及び組立中の新設鉄塔に接触しないように慎重なクレーン操作が求められる。
【0007】
また、周辺に住宅がある場合、資材を吊り込む位置にクレーンを設置することができないこともある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、既設構造物内へ新設構造物用の組立部材を容易に効率よく搬入することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る搬送装置によれば、資材を所望の場所に搬送する台車部と、前記台車部上に設けられて前記資材を支持する架台部と、を備え、前記架台部は、前記台車部に対して相対的に移動自在であることを特徴とする。
【0010】
また、少なくとも2つの前記架台部が互いに個別に移動自在に設けられており、前記架台部はそれぞれ前記資材を支持してもよい。
【0011】
また、前記資材は、長尺資材であり、前記台車部は、前記長尺資材の長手方向に沿って延びており、前記架台部は、前記長手方向に沿って前記台車部に対して相対的に移動自在であってもよい。
【0012】
また、前記台車部は、前記長手方向に沿って延びる一対の軌道を有し、前記架台部は、前記一対の軌道上において移動自在に設けられていてもよい。
【0013】
さらに、上記課題を解決するために、本発明に係る組立方法によれば、資材を所望の場所に搬送する台車部と、前記台車部上に設けられて前記資材を支持する架台部と、を備える搬送装置を使用し、前記架台部に前記資材を支持させた状態において前記台車部を既設構造物内に移動させて前記資材を搬入する搬入工程と、搬入した前記資材を用いて既設構造物内に新設構造物を組み立てる組立工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記組立工程前に、搬入した前記資材を前記既設構造物内で前記搬送装置から吊り上げる吊上工程をさらに含み、前記吊上工程において、前記資材を一端側で吊り上げつつ、前記資材の他端を支持した状態において前記資材の動きに伴い前記台車部に対して相対的に前記架台部が移動することにより前記搬送装置からの前記資材の吊り上げを補助してもよい。
【0015】
また、前記資材は、長尺資材であり、前記台車部は、前記長尺資材の長手方向に沿って延びており、前記架台部は、前記長手方向に沿って前記台車部に対して相対的に移動自在であり、前記組立工程前に、搬入した前記資材を前記既設構造物内で前記搬送装置から吊り上げる吊上工程をさらに含み、前記吊上工程において、搬入方向において前記長尺資材を先端側で吊り上げつつ、前記長尺資材を後端側で支持した状態において前記長尺資材の動きに伴い前記台車部に対して相対的に前記架台部が移動することにより前記長尺資材の起立を補助してもよい。
【0016】
また、前記吊上工程において、前記既設構造物に取り付けられた吊上装置により、前記資材を吊り上げてもよい。
【0017】
また、前記既設構造物及び前記新設構造物は鉄塔であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、既設構造物内へ新設構造物用の組立部材を容易に効率よく搬入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係る搬送装置の構成を説明するための図である。
図2】架台部の構成を説明するための図であり、図2(a)は、架台部の正面図であり、図2(b)は、架台部の側面図である。
図3】搬送装置に鉄塔柱材が載置された状態を示す図である。
図4】搬送装置による鉄塔柱材の搬入工程を示す図である。
図5】搬送装置上の鉄塔柱材を吊り上げる吊上工程を示す図である。
図6】搬送装置から鉄塔柱材が吊り上げられた状態を示す図である。
図7】搬送装置により既設鉄塔内に搬入された鉄塔柱材を用いて新設鉄塔が組み立てられる組立工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
本発明に係る搬送装置は、新設鉄塔用の組立資材を既設鉄塔の外側から既設鉄塔内に搬入すると共に、搬入された組立資材を既設鉄内部での新設鉄塔の構築を補助するものであり、既設鉄塔の元の位置に新設鉄塔を建て替える工法(Tower in Tower工法)において使用される。図1は、本実施の形態に係る搬送装置1の構成を説明するための図である。
【0022】
<搬送装置>
搬送装置1は、組立資材である鉄塔柱材(以下、「資材」ともいう)100(図3参照)を横たえた状態において既設鉄塔の基礎側の脚部の間から既設鉄塔内に搬入する。搬送装置1は、資材100を所望の場所に搬送する台車部10と、台車部10上に設けられて資材100を支持する架台部20と、を備え、架台部20は、資材100を一端側で吊り上げる場合、資材100の他端を支持した状態において台車部10に対して相対的に移動自在である。以下、搬送装置1の構成について具体的に説明する。
【0023】
なお、本実施の形態において搬送装置1が搬送する資材100は、新設鉄塔用の鉄塔柱材(長尺部材)であるが、これに限定されない。説明の便宜上、鉄塔柱材100を載せた状態において鉄塔柱材100の延在方向を搬送装置1の「長手方向L」とし、鉄塔柱材100の延在方向に水平に交差する方向を搬送装置1の「短手方向(幅方向)W」とする。
【0024】
(台車部)
搬送装置1の台車部10は、平面視矩形状である。台車部10は、2本の長手枠材11と、7本の短手枠材12と、を有する。各枠材11,12は、鋼材により形成されている。なお、各枠材11,12の本数は、上記実施の形態における本数に限定されず、適宜変更することができる。
【0025】
長手枠材11は、長手方向Lに沿って延びている。2本の長手枠材11は、互いに短手方向Wにおいて短手枠材12の長さだけ間隔をあけて互いに並行に延びている。短手枠材12は、長手方向Lにおいて長手枠材11の一端から他端にわたって等間隔に設けられている。長手枠材11及び短手枠材12は、互いに溶接により連結されている。
【0026】
各長手枠材11には4つの車輪13が設けられている。長手枠材11の各端部にそれぞれ車輪13が設けられており、中央に2つの車輪が設けられている。車輪13にはロック機構が設けられており、ロック機構により搬送装置1が所望の場所に到達した際には搬送装置1の移動を止めることができる。ロック機構は全ての車輪13に設けられていても、搬送方向において前後2つの車輪13に設けられているだけでもよい。なお、車輪13の数は4つに限られず、適宜変更することができ、配置位置も適宜変更することができる。
【0027】
台車部10は、一対のレール(軌道)14を有している。レール14は、車輪13とは反対の側に設けられている。一対のレール14は、長手方向Lに沿って、長手方向Lにおいて両端に位置する短手枠材12の間を延びている。一対のレール14は、短手方向Wに間隔をあけて互いに並行に延びている。
【0028】
各レール14は、台車部10とは反対の側に収容部15を有する。収容部15は、架台部20を可動に収容する。収容部15は、レール14の一端から他端にわたって長手方向Lに沿って延びている。収容部15は、台車部10とは反対側に開放しており、短手方向Wに沿った断面がU字状になっている。長手方向Lにおいて収容部15の両端部は閉鎖されている。
【0029】
(架台部)
図2は、架台部20の構成を説明するための図であり、図2(a)は、架台部20の正面図であり、図2(b)は、架台部20の側面図である。各架台部20は、レール14の収容部15に互いに移動自在に支持されている。
【0030】
架台部20は、支持部材21と、4つの車輪22と、を有する。支持部材21は、鋼板により形成されている。支持部材21は、短手方向Wに沿った断面形状がU字状である。支持部材21は、載置部位21aと、2つの立設部位21bと、を有する。載置部位21aに鉄塔柱材100が載置される。載置部位21aは、平面視略矩形状であり平坦に形成されている。
【0031】
立設部位21bは、載置部位21aの短手方向Wの側の両端部に設けられている。立設部位21bは、載置部位21aに対して垂直に台車部10とは反対の側に延びている。
【0032】
載置部位21aの鉄塔柱材100が載置される面には、ゴム製のストッパ部材21cが貼り付けられている。ストッパ部材21cは、載置部位21a全体に貼り付けられている。ストッパ部材21cは、鉄塔柱材100に直接的に接触して、載置部位21a上での鉄塔柱材100の長手方向Lでの移動を防止すると共に、短手方向Wでの転動を抑制する。短手方向Wにおける載置部位21aの長さは、少なくとも一対のレール14の間の長さ以上である。
【0033】
なお、載置部位21aの形状は、鉄塔柱材100が載置されるのであれば特に限定されず、例えば、短手方向Wにおける形状が円弧状に形成されていてもよい。
【0034】
2つの車輪22は、短手方向Wにおける載置部位21aの両端において、鉄塔柱材100が載置される面とは反対側の面に設けられている。各レール14の収容部15にそれぞれ2つの車輪22が収容されている。これにより、各架台部20は、長手方向Lに沿って前後方向に移動自在である。
【0035】
<新設鉄塔の組立方法>
図3は、搬送装置1に鉄塔柱材100が載置された状態を示す図である。搬送装置1の長手方向Lに沿った移動方向において前方に設けられている架台部20は、鉄塔柱材100の中心より前方部分を支持している。搬送装置1の長手方向Lに沿った移動方向において後側に設けられている架台部20は、鉄塔柱材100の後端を含む部分を支持している。
【0036】
次に、図4~7を用いて搬送装置1を用いた既設鉄塔内での新設鉄塔の組立方法について説明する。本実施の形態に係る組立方法は、鉄塔柱材100を既設鉄塔内(所望の場所)に搬送する台車部10と、台車部10上に設けられて鉄塔柱材100を支持する架台部20と、を備える搬送装置1を用いて、架台部20に鉄塔柱材100を支持させた状態において台車部10を既設構造物内に移動させて鉄塔柱材100を搬入する搬入工程S1と、搬入した鉄塔柱材100を用いて既設構造物内に新設構造物を組み立てる吊上工程S2と、を含む。以下、組立方法について具体的に説明する。
【0037】
図4は、搬送装置1による鉄塔柱材100の搬入工程S1を示す図である。鉄塔柱材100が横たえられて搬送装置1の2つの架台部20にそれぞれ支持された状態において、台車部10を長手方向Lに沿って既設鉄塔(2点鎖線により示す)200内に移動させる(搬入工程S1)。
【0038】
次いで、搬入した鉄塔柱材100を既設構造物200内で搬送装置1の架台部20から吊り上げる吊上工程S2を実施する。図5は、搬送装置1上の鉄塔柱材100を吊り上げる吊上工程S2を示す図である。吊上工程S2において、鉄塔柱材100を搬入方向において先端側で吊り上げつつ、鉄塔柱材100を後端側で支持した状態において台車部10に対して相対的に架台部20を移動させることにより鉄塔柱材100の起立を補助する。
【0039】
鉄塔柱材100の吊り上げは吊上装置を介して行う。吊上装置は、ウインチ310と、ワイヤ320と、を有する。ウインチ310は、施工現場の地上に設けられている。ウインチ310は、一端をウインチ310に固定されたワイヤ320を地上側から既設鉄塔200内の頂部に引き上げて、金車330を介して他端が地上に垂らされている。
【0040】
ワイヤ320の他端には所定の金具が取り付けられており、金具を鉄塔柱材100の一端に取り付ける。この状態において、ウインチ310を稼働させると、ワイヤ320がウインチ310に巻き取られる。ワイヤ320が巻き取られるに連れて、鉄塔柱材100はその一端側で吊り上げられる。
【0041】
図6は、搬送装置1から鉄塔柱材100が吊り上げられた状態を示す図である。鉄塔柱材100は、前方の架台部20から持ち上げられるが、後方の架台部20においてはその他端が支持されたままである。後方の架台部20は、鉄塔柱材100の他端を支持した状態において、鉄塔柱材100の動きに伴い、つまり、鉄塔柱材100が起立するに連れて台車部10に対して相対的にレール14上を前方の架台部20に向かって移動する。後方の架台部20は、鉄塔柱材100が架台部20から離れる(地切りする)まで移動する。つまり、搬送装置1は、鉄塔柱材100が架台部20から離れるまで鉄塔柱材100を少なくとも部分的に支持している。
【0042】
図7は、搬送装置1により既設鉄塔200内に搬入された鉄塔柱材100を用いて新設鉄塔400が組み立てられる組立工程S3を示す図である。上述の搬入工程S1及び吊上工程S2により既設鉄塔200内に搬入されて吊り上げられた鉄塔柱材100は、既設鉄塔200内で組み立てられていく。
【0043】
上記の工程S1~S3を必要な回数繰り返すことにより新設鉄塔400が組み立てられる。
【0044】
以上のような搬送装置1によれば、クレーンを用いずに新設鉄塔400を組み立てるための鉄塔柱材100を既設鉄塔200内に搬入することができる。例えば作業員が台車部10を既設鉄塔200内に押し込むだけでよいので、既設鉄塔200内へ新設鉄塔400用の鉄塔柱材100を容易にかつ効率よく搬入することができる。
【0045】
さらに、搬送装置1は、互いに相対的に移動自在な架台部20を有しているので、鉄塔柱材100を吊り上げる(起立する)場合、搬送方向において後方の架台部20は鉄塔柱材100が後方の架台部20を離れるまで鉄塔柱材100の他端を支持し続ける。これにより、鉄塔柱材100の他端が地面等において引きずられて損傷することはない。
【0046】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。上記実施の形態において搬送装置1は、既設鉄塔200内への新設鉄塔400の鉄塔柱材100の搬入用に用いられたが、例えば、既設鉄塔200の解体時に出た既設鉄塔200の鉄柱などを搬出する際に使用してもよい。
【0047】
この場合、ワイヤ320によって一端を吊り下げられた状態の鉄柱の一端を後方の架台部20において受ける。鉄柱をさらに降ろすことにより、後方の架台部20は、前方の架台部20から離れるようにレール14上を移動する。後方の架台部20は、鉄柱の先端側の部分が前方の架台部20に横たえられるまで移動する。次いで、台車部10を移動させることにより容易に鉄柱を搬出することができる。
【0048】
また、上記の実施の形態において2つの架台部20が設けられていたが、架台部20の数は特に限定されず、3つ以上であってもよい。さらに、複数の架台部20は、公知の連結部材により互いに連結自在であり、載置する資材に応じて架台部20同士を連結してもよい。
【0049】
また、上記の実施の形態において搬送装置1は、長尺の資材である鉄塔柱材100を搬送していたが、架台部20に載る寸法の資材であれば特に限定されない。
【0050】
また、上記の実施の形態において搬送装置1は、既設鉄塔200内に新設鉄塔400を組み立てるために用いられていたが、搬送装置1が用いられる構造物はこれに限定されず、例えば、ビル等の高層構造物において使用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 搬送装置
10 台車部
14 レール(軌道)
20 架台部
100 鉄塔柱材(資材、長尺部材)
200 既設鉄塔(既設構造物)
400 新設鉄塔(新設構造物)
L 長手方向
S1 搬入工程
S2 吊上工程
S3 組立工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7