(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/16 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
B65H9/16
(21)【出願番号】P 2020049729
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】川北 明広
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-096473(JP,A)
【文献】特開2003-081494(JP,A)
【文献】特開2014-073897(JP,A)
【文献】特開2011-026128(JP,A)
【文献】特開2018-027830(JP,A)
【文献】特開2019-023134(JP,A)
【文献】特開2006-208847(JP,A)
【文献】特開平11-189355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00-7/20
B65H 9/00-9/20
B65H 13/00-15/02
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を含む装置本体から外部に引き出された引き出し位置と、前記装置本体の内部に装着される装着位置と、に引き出し移動可能な引き出しユニットと、を備える画像形成装置において、
前記装置本体は、
シートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部に積載されたシートを給送する給送ローラと、
前記給送ローラのシート搬送方向の下流に設けられ、シートを搬送する第1の搬送ローラと、
前記シート積載部に積載されたシートの前記シート搬送方向の長さに関する情報を入力する操作部と、を備え、
前記引き出しユニットは、
前記シート搬送方向において前記第1の搬送ローラの下流に設けられた第2の搬送ローラ対であって、シートを挟持して搬送する第1状態と、シートを挟持しないようにローラ対同士が互いに離間した第2状態と、に変更可能な第2の搬送ローラ対と、
前記シート搬送方向において前記第2の搬送ローラの下流に設けられ、前記シート搬送方向に沿って延び、シートの側端部が当接させる基準面を有する突き当て部と、
前記シート搬送方向の下流に向かうにつれて、シートの前記シート搬送方向と直交するシートの幅方向において前記基準面に近づくように、前記シート搬送方向に対して傾斜した方向の力を挟持されたシートに付与することによって、シートを搬送する斜送ローラ対であって、シートを挟持して搬送する第3状態と、シートを挟持しないようにローラ対同士が互いに離間した第4状態と、に変更可能な斜送ローラ対と、
前記シート搬送方向において前記突き当て部の下流に設けられ、シートを搬送する第3の搬送ローラと、を備え、
前記装置本体は、前記操作部に入力されたシートの前記シート搬送方向の長さに関する情報に基づいて、前記第2の搬送ローラ対を前記第1状態と前記第2状態とに変更させ、
かつ、前記斜送ローラ対を前記第3状態と前記第4状態とに変更させるように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
シートの前記シート搬送方向の長さが第1のシートを搬送する場合、前記第2の搬送ローラ対を前記第2状態かつ前記斜送ローラ対を前記第4状態にした状態で、
シートの前記側端部を前記基準面に当接させることなく前記第1の搬送ローラによって
シートを前記第3の搬送ローラ
に搬送し、
シートの前記シート搬送方向の長さが前記第1のシートより短い第2のシートを搬送する場合、前記第2の搬送ローラ対を前記第1状態にした状態でシートを
前記第2搬送ローラ対によって搬送した後に、前記第2の搬送ローラ対を前記第2状態にした状態、かつ、前記斜送ローラ対を前記第3状態にした状態で、
シートの前記側端部を前記基準面に当接させながら前記斜送ローラ対によって
シートを前記第3の搬送ローラ
に搬送する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の搬送ローラ対および前記斜送ローラ対は、前記シート搬送方向に沿って複数の位置に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1のシートの前記シート搬送方向の長さが760mmより長いこと、を特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1のシートの前記シート搬送方向の長さよりも短く、かつ、前記第2のシートの前記シート搬送方向の長さよりも長い第3のシートを搬送する場合、複数配置される前記第2の搬送ローラ対の少なくとも1つが、前記第1状態にした状態でシートを搬送すること、を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1のシートの前記シート搬送方向の長さよりも長く、かつ、前記第1のシートの坪量が80gsmよりも小さい第4のシートを搬送する場合、複数配置される前記第2の搬送ローラ対の少なくとも1つが、前記第1状態にした状態でシートを搬送すること、を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1のシートの前記シート搬送方向の長さよりも長く、かつ、前記第1のシートの種類がコート紙である第5のシートを搬送する場合、複数配置される前記第2の搬送ローラの少なくとも1つが、前記第1状態にした状態でシートを搬送すること、を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記複数配置される前記第2の搬送ローラ対の少なくとも1つは、前記シート搬送方向の最下流に配置されるローラであること、を特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、及びシート上にとトナー像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置は、オフセット印刷機と異なり版が必要ないというメリットを生かし、小部数で多品種のメディアに印刷を行う軽印刷市場に製品を展開している。このような軽印刷市場においては、装置の1分間あたりの成果物の枚数(生産性)と、印刷される画像において高い印字精度と、の両方を達成することが要求されている。
【0003】
特許文献1において、シートを搬送する搬送ローラと、シートの搬送方向に沿って設けられた基準面を有する突き当て部と、シート搬送方向に対して斜めに搬送しシートの側端部を基準面に突き当てる斜送ローラと、を備える斜行補正装置が開示されている。これにより、搬送されるシートを停止させることなく、シートの斜行を補正することが可能となり、装置の高い生産性と印字精度を達成している。
【0004】
このような斜行補正装置において、搬送ローラおよび斜送ローラは、駆動ローラと駆動ローラに加圧または従動される従動ローラとで構成されている。従動ローラは、加圧状態と離間状態を切り替え可能となっており、斜送ローラでシートを突き当て部に向けて搬送する際は、シートがねじれないように従動ローラは離間している。
【0005】
しかしながら、例えば長尺紙などのシート搬送方向に長いシートを搬送する場合、装置の小型化あるいは複雑化を考慮すると、斜送ローラで搬送する際に、シート搬送方向の上流側に設けられる搬送ローラのニップ部を全て離間することは困難である。そこで、このような長尺紙を搬送する場合、斜送ローラを離間し、シートの斜行補正を行うことなく搬送している。
【0006】
ところで、装置本体内で発生した紙詰まりを処理するために、搬送ローラと斜送ローラを備える斜行補正装置は、装置本体から移動(引き出し)可能となっており、移動後に従動ローラを駆動ローラから退避し、シートを取り除けるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
搬送されるシートの傾きの程度は、搬送するローラの装置本体に対するアライメントの精度に影響される。特に、装置本体内で発生した紙詰まりの処理を考慮し、搬送ローラを装置本体に対して移動(引き出し)可能に構成した場合、搬送ローラは複数の部品を介して装置本体に位置決めされるため、搬送ローラの装置本体に対するアライメントの精度が低下しやすい。搬送ローラのアライメントの精度が低下すると、シートにねじれを生じさせ、シートの傾きに大きな影響を与える。この状態で、シートが搬送された場合、シートが斜行する虞がある。
【0009】
そこで本発明は、上記の課題を鑑みて、紙詰まり処理性を低下させずに、シートの斜行
を低減する画像形成装置を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のシート搬送装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を含む装置本体から外部に引き出された引き出し位置と、前記装置本体の内部に装着される装着位置と、に引き出し移動可能な引き出しユニットと、備える画像形成装置において、前記装置本体は、シートを積載するシート積載部と、前記シート積載部に積載されたシートを給送する給送ローラと、前記給送ローラのシート搬送方向の下流に設けられ、シートを搬送する第1の搬送ローラと、前記シート積載部に積載されたシートの前記シート搬送方向の長さに関する情報を入力する操作部と、を備え、前記引き出しユニットは、前記シート搬送方向において前記第1の搬送ローラの下流に設けられた第2の搬送ローラ対であって、シートを挟持して搬送する第1状態と、シートを挟持しないようにローラ対同士が互いに離間した第2状態と、に変更可能な第2の搬送ローラ対と、前記シート搬送方向において前記第2の搬送ローラの下流に設けられ、前記シート搬送方向に沿って延び、シートの側端部が当接させる基準面を有する突き当て部と、前記シート搬送方向の下流に向かうにつれて、シートの前記シート搬送方向と直交するシートの幅方向において前記基準面に近づくように、前記シート搬送方向に対して傾斜した方向の力を挟持されたシートに付与することによって、シートを搬送する斜送ローラ対であって、シートを挟持して搬送する第3状態と、シートを挟持しないようにローラ対同士が互いに離間した第4状態と、に変更可能な斜送ローラ対と、前記シート搬送方向において前記突き当て部の下流に設けられ、シートを搬送する第3の搬送ローラと、を備え、前記装置本体は、前記操作部に入力されたシートの前記シート搬送方向の長さに関する情報に基づいて、前記第2の搬送ローラ対を前記第1状態と前記第2状態とに変更させ、かつ、前記斜送ローラ対を前記第3状態と前記第4状態とに変更させるように制御する制御部と、を備え、前記制御部は、シートの前記シート搬送方向の長さが第1のシートを搬送する場合、前記第2の搬送ローラ対を前記第2状態かつ前記斜送ローラ対を前記第4状態にした状態で、シートの前記側端部を前記基準面に当接させることなく前記第1の搬送ローラによってシートを前記第3の搬送ローラに搬送し、シートの前記シート搬送方向の長さが前記第1のシートより短い第2のシートを搬送する場合、前記第2の搬送ローラ対を前記第1状態にした状態でシートを前記第2搬送ローラ対によって搬送した後に、前記第2の搬送ローラ対を前記第2状態にした状態、かつ、前記斜送ローラ対を前記第3状態にした状態で、シートの前記側端部を前記基準面に当接させながら前記斜送ローラ対によってシートを前記第3の搬送ローラに搬送する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、紙詰まり処理性を低下させることなく、シートの斜行を低減する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図
【
図2】実施形態に係る搬送ローラ部を装置本体から引き出した時の斜視図
【
図4】実施形態に係るシートの斜行補正の動作を示す図
【
図10】実施形態に係るシート搬送装置のブロック図
【
図11】実施形態に係るシートの情報を設定するための操作部の画面の図
【
図12】実施形態に係るアライメント精度が悪い搬送ローラの説明図
【
図13】実施形態に係る斜送ローラと搬送ローラのニップの関係図
【
図14】実施形態に係る搬送ローラのニップ加圧を示す表
【
図15】実施形態に係る斜送ローラのニップ加圧を示す表
【
図16】実施形態に係る搬送されるシートの搬送制御を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態1]
以下、本発明に係るシート搬送装置を備える画像形成装置に関して、画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<画像形成装置>
本発明の実施形態であるシート搬送装置及びそれを備えた画像形成装置について、
図1を用いて説明する。以下の説明において、画像形成装置の正面(前面、手前側)とは、
図1の紙面において手前側、背面(後面、奥側)とはその反対側である。画像形成装置の側面である左右とは、画像形成装置100を正面から見て左側と右側である。上下とは、重力方向において上側と下側である。上流と下流は、シート搬送方向におけるシート搬送路の上流と下流である。
【0015】
図1は、本実施形態における画像形成装置の断面図を示している。一般的に、カラーの画像形成装置の画像形成の方式に関して、以下の4種類がある。複数の画像形成部を並べて配置したタンデム方式と、円筒状に配置したロータリー方式と、転写方式として感光体508から直接シート材にトナー像を転写する直接転写方式と、中間転写体に転写した後シート材に転写する中間転写方式と、である。本実施形態では、
図1に示すように、4色の画像形成部を中間転写ベルト506上に並べて配置した中間転写タンデム方式を採用した。中間転写方式は、直接転写方式のようにシート材を転写ドラムや転写ベルト上に保持する必要がないため、厚紙やコート紙等の多種多様なシートに対応できる。さらに、中間転写方式は、複数の像形成部における並列処理およびフルカラー画像の一括転写という特長から高生産性の実現に適している。
【0016】
画像形成装置のシートへ画像を印刷する手段は、シートを搬送する搬送プロセスと、画像を形成する画像形成プロセスとの2種類に分けることができる。以下、それぞれのプロセスに関して、詳細に説明する。
【0017】
まず、搬送プロセスについて説明する。画像形成装置の側面である右側には、画像形成部にシートSを搬送するシート給送部40が設けられている。シート給送部40は、シートSを積載するシート積載部である手差しトレイ41と、手差しトレイ41に積載されたシートSを画像形成部に搬送する手差し給送部42と、で構成される。ここで、手差し給送部42の給送手段において、給送ローラ等による摩擦分離を利用する方式やエアによる分離吸着を利用する方式等が挙げられる。本実施形態における画像形成装置100において、給送ローラによる摩擦分離によるシート給送方式を採用した。つまり、手差しトレイ41に積載されたシートは、シート給送部に備えられる給送ローラ46によって給送され、給送ローラ46に給送されたシートは第1の搬送ローラである引き抜きローラ49によって搬送され、シート搬送部50そして斜行補正部55へと搬送される。
【0018】
斜行補正部55において、搬送されるシートSの斜行補正や画像形成部に向けてのタイミング補正を行った後、二次転写部へと送られる。二次転写部とは、略対向する二次転写内ローラ503および二次転写外ローラ56により形成され、トナー像をシートSに転写する挟持部であり、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることでシートSにトナー像を転写させる。
【0019】
以上、説明した二次転写部までのシートSの搬送プロセスに対して、同様のタイミングで二次転写部まで形成される画像形成プロセスについて説明する。画像形成部513は、主に感光体508、露光装置511、現像器510、一次転写装置507、および感光体クリーナ509等から構成される。あらかじめ、帯電手段により表面を一様に帯電された図中矢印Aの方向に回転する感光体508に対し、送られてきた画像情報の信号に基づいて露光装置511が発光し、回折手段512を経由して潜像が形成される。このようにして感光体508上に形成された静電潜像に対して、現像装置510によるトナー現像が行われ、感光体508上にトナー像が形成される。その後、一次転写装置507により所定の加圧力および静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト506上にトナー像が転写される。その後、感光体508上に残った転写残トナーは、感光体クリーナ509により回収され、再び次の画像形成に備える。以上、説明した画像形成部513は
図1の場合、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の4セット備えられている。
【0020】
次に、中間転写ベルト506について説明する。中間転写ベルト506は、駆動ローラ504、テンションローラ505および二次転写内ローラ503等のローラによって張架され、図中矢印Bの方向へと駆動回転される。従って、先述のY、M、CおよびBkの各画像形成装置513により並列処理される各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト506上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト506上に形成され、二次転写部へと搬送される。
【0021】
以上、上述したシートSの搬送プロセスと画像形成プロセスを以って、二次転写部においてシートS上にフルカラーのトナー像が二次転写される。その後、トナー像が印字されたシートSは、定着前搬送部57により定着部58へと搬送される。定着部58は、略対向するローラもしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えてシートS上にトナーを溶融固着させる。このようにして得られた定着画像を有するシートSは、分岐搬送部59により、そのまま排紙トレイ500上に排出されるか、もしくは両面画像形成を要する場合には反転搬送部501へと搬送されるかの経路選択が行われる。両面画像形成する場合には、反転搬送部501によってシートが反転された後、両面搬送部502をシートが通過し、シート搬送部50を通過し、斜行補正部55へと搬送される。画像形成されたシートの面と反対側の面に、画像を印刷する場合に関して、上述した搬送プロセスと画像形成プロセスと同様のため、省略する。
【0022】
以上、本実施形態における画像形成装置に関して、シートSの搬送プロセスと画像形成プロセスとが連動し、シートに画像を形成している。
【0023】
また、
図2は画像形成装置から斜行補正部を含む引き出しユニット200を引き出した状態を示す図である。装置本体の正面側には、外装カバーが備えられているが、
図2においては省略した。
図2より、引き出しユニット200は、画像形成装置の内部に設けられるシート搬送路において、シートが紙詰まりを発生した時に紙詰まりを処理する、あるいは、構成される部品を交換するために装置本体のメンテナンスを向上させるために設けられている。本実施形態において、引き出しユニット200には、シート搬送部50と斜行補正部70と第3の搬送ローラであるレジストレーションローラ部7と二次転写外ローラ56と定着前搬送部57とが、これらを支持する搬送筐体に設けられている。そして、搬送筐体は、装置本体側に設けられ装置本体の前側と後側の方向でスライド移動可能なガイドレールに装着されている。これにより、引き出しユニット200は装置本体に対して装着する装着位置と、装置本体に対して引き出した位置の引き出し位置と、に移動可能となっている。
【0024】
なお、画像形成装置の上側には、操作部600を備えており、画像形成装置の動作状態を示す表示やユーザから装置への入力操作を受け付ける。
【0025】
<シート搬送装置>
図1より、画像形成装置に用いられるシート搬送装置には、搬送されるシートの位置ズレを補正するための斜行補正部55が備えられている。この斜行補正部55に用いられる補正方式としては、搬送中のシートの側端を基準面を有する突き当て部31に突き当てて、シートの端部の位置ズレを補正するサイドレジストレーション手段によるものである。
【0026】
図3にシート搬送部50と、斜行補正部55と、レジストレーションローラ7とを備えるシート搬送装置の上視図を示す。シート搬送部50は、駆動ローラに対し従動ローラを圧接あるいは離間可能に複数のローラ34(341~344)で構成されており、シートを挟持する状態とシートを挟持解除する状態を切換え可能となっている。そして、シート搬送部50の最下流に配置される第2の搬送ローラである搬送ローラ344の近傍中央部には、シートSの先端を検知するプレレジセンサPが設けられている。プレレジセンサPは光学式センサを採用しており、発光部と受光部を有しシートSが通過した時、シートSに反射した光が受光部で検知することによってシートSの通過タイミングを検知している。
【0027】
さらに、シート搬送部50の下流には、シートの斜行を補正する斜行補正部55が配置されている。斜行補正部55は、シート搬送方向に延びる基準板を有する突き当て部31と、突き当て部に向けてシートを搬送する3つの斜送ローラ32と、で構成される。搬送ローラ34と同様に、斜送ローラ32は、シートを挟持する挟持状態とシートの挟持を解除する解除状態とに切換え可能である。また、斜送ローラ32は、シート搬送方向に対して角度αだけ傾斜しており、突き当て部31に向けて力を付与し、シートを搬送するように構成されている。
【0028】
さらに、斜行補正部55の下流には、シートを突き当て後に、シートSの先端位置を検知する斜送センサRおよびレジローラ前センサQが配置されている。そして、シート先端をニップ加圧した状態で、画像位置とシート位置を一致させるためにシート搬送方向と直行する幅方向にスライド可能に構成されたレジストレーションローラ7が配置されている。
【0029】
次に、本実施形態のシート搬送装置における斜行補正に関して、シートの搬送挙動に関して説明する。
図4は、
図3と同様のシート搬送装置の図である。
【0030】
図4において、
図4(a)は、シートSがシート搬送方向に対して斜行角度βを有した状態で、搬送ローラ34により搬送している時を示す。
図4(b)は、シートSを斜行補正部55に設けられた斜送ローラ32a、32b、32cで搬送している時を示す。
図4(c)は、斜行補正部55で斜行補正されたシートSが、レジストレーションローラ7で搬送している時を示す。
図4(d)は、レジストレーションローラ7で搬送しているシートSを軸方向に移動している時を示す。
【0031】
図4(a)に示すように、シートSが斜行角度βを有した状態で、複数の搬送ローラ34によって斜行補正部55に搬送される。斜行補正部55の斜送ローラ32に送られたシートSは、
図4(b)に示すように、突き当て部31に向かって斜めに搬送される。なお、斜送ローラ32によりシートSが搬送され始めた時点で、複数の搬送ローラ34対のニップは離間される。
【0032】
図4(b)および
図4(c)に示すように、シートSの側端部が突き当て基準部31に倣いながら搬送されることで、シートSの斜行が補正される。その状態で、斜行補正されたシートSはレジストレーションローラ7に挟持される。レジストレーションローラ7にシートSが挟持されると、斜送ローラ32対のニップは離間される。その後、
図4(d)に示すように、レジストレーションローラ7をシート搬送方向に直交する幅方向(W)に一定量スライドし、中間転写ベルト40上に形成される画像の位置に合わせられる。上記の各ローラの回転あるいは停止および各ローラ対の当接あるいは離間の動作に関する制御は、不図示の本体内のコントローラによって実行される。以上、
図4(a)から
図4(d)に示す一連の動作により、シートSを停止させることなく、シートSの斜行を補正しつつ生産性の高い装置を実現している。なお、本実施形態における引き抜きローラ49は、ローラのニップを解除する機構は有しない。
【0033】
<斜送ローラと搬送ローラのニップの着脱構成>
次に、上記で説明した搬送ローラ34(341~344)および斜送ローラ32のニップの着脱構成に関して、詳細に説明する。
図5は、シート搬送部50のある搬送ローラの断面図を示している。
図5(a)は、搬送ローラ34のニップ加圧時を示し、
図5(b)は、搬送ローラ34のニップ解除時を示す。
図5(a)の搬送ローラ34の位置は、シートを挟持して搬送する第1の位置であり、
図5(b)の搬送ローラ34の位置は、シートから離間した第2の位置である。
【0034】
図において、従動ローラ14は、従動軸20を支持するアーム部材101を介して支持され、アーム部材101は揺動可能に揺動軸102を介して、ステー部材18に配置されている。ニップを解除する際は、偏芯コロ103を回転させることでアーム部材101の端部を押圧し、揺動軸102を中心にニップを解除方向に回転させる。
図5(b)にニップ解除時の断面図を示す。搬送ローラ部には、アーム部材101を押圧するための押圧手段があり、ステッピングモータ104を回転させ、ギア列(105、106)を介して偏芯コロ103を回転させることでアーム部材101を押圧している。この押圧手段により、解除タイミングに応じて従動ローラ14のニップを解除している。後述するデバイス制御部914が、プレレジセンサPの検知タイミングに基づいて、ステッピングモータ104を駆動させることでニップ解除のタイミングを可変可能にしている。
【0035】
図6は、シート搬送部50の搬送ローラの駆動部の斜視図である。駆動ローラはゴムローラ13と一体で構成される軸にプーリーとベルト302を介してプレレジモータMpから駆動伝達される。プレレジモータMpはステッピングモータであり、停止タイミングや搬送速度はプレレジセンサPのタイミングに合わせて可変になっている。なお、それぞれの搬送ローラに対して、モータが備えられている。
【0036】
図7は、斜行補正部55を示す図である。
図7(a)は、斜行補正部55の全体を示す上視図である。斜送ローラ32は、突き当て部31に対し、角度αで配置されており、ユニバーサルジョイント321とプーリー、搬送ベルト323を介して、斜送駆動モータMsによって駆動伝達される。
図7(b)は、斜送ローラ32と対向にある従動ローラ331の圧接機構あるいは離間機構の斜視図である。また、
図7(c)は
図7(b)の側面図である。従動ローラ331は、従動ローラ331を回転可能に支持するリンク332と加圧バネ335、加圧ギア334を介し斜送加圧モータMkの回動角度により挟持圧(シートSの挟持圧)が設定される。加圧ギア334が図中反時計回りに回動し、加圧バネ333を引っ張ることでリンク332が軸を中心に回動し、ニップ加圧する(第3の位置)。加圧ギア334がさらに図中反時計回りに回動し、リンク333を押し込むことで従動ローラ331を支持するリンク332と従動ローラ331はニップ解除する方向(上方向)に回動し、ニップ解除される(第4の位置)。斜送加圧モータMkは、ステッピングモータであるためステップ角を設定する事で従動ローラ331を斜送ローラ32から独立に離間させることが可能である。
【0037】
以上、搬送ローラおよび斜送ローラは、それぞれローラのニップを当接状態あるいは解除状態と、にする機構を備えている。これにより、搬送されるシートを斜行補正する際に、シートの搬送タイミングに合わせて、当接状態あるいは解除状態と、に切り替えることができる。
【0038】
<シート積載部>
次に、シート積載部41の構成を詳細に説明する。
図8は、シート積載部である手差しトレイ41の説明図である。手差しトレイ41は、装置本体の側面である右側の装置本体に取り付けられている。
【0039】
手差しトレイ41には、シート搬送方向と直交する幅方向の位置を規制するサイド規制板が設けられている。手差しトレイ41上において、サイド規制板は2箇所設けられており、シート搬送方向の下流に配置される第1のサイド規制板48と、シート搬送方向の上流側に配置される第2のサイド規制板43である。2つのサイド規制板43および48は、シートが搬送される時のシートが斜行するのを規制する機能があり、積載されたシートサイズに合わせて幅方向にスライド可能である。第2のサイド規制板43は、固定ねじ44により位置を固定するように構成されている。この結果、積載されたシートSのシート搬送方向の長さ対して、第1のサイド規制板48と第2のサイド規制板43と、でシートの幅方向を規制しているため、十分な斜行規制の機能が得られる。
【0040】
図9は、シート給送部40の断面図である。手差しトレイ41上に積載されたシートは、手差し給送部42に設けられた給送ローラ46および引き抜きローラ49によって、シート搬送部50へと搬送される。なお、シート給送部40もまた、装置本体に取り付けられている。
【0041】
<制御部>
図10は、実施形態に係る画像形成装置の制御部を示す例示的なブロック図である。制御部であるコントローラ部800において、CPU901は、制御プログラムが書き込まれたROM903と、処理を行なうためのデータを格納するRAM902とに、アドレスバスおよびデータバスを介して接続されている。また、CPU901には、PDL制御部904、内部I/F部905が接続されている。PDL制御部904は、印刷データの加工、蓄積、画像処理を行なうための処理回路である。内部I/F部905は、プリンタ制御部801と通信するための通信回路である。また、CPU901には操作部600が接続されている。CPU901は、操作部600に含まれる表示装置(例:液晶表示装置など)およびキー入力装置(例:タッチパネルなど)を制御する。CPU901は、キー入力装置を通して、操作者から表示切り替えの指示を受け付ける。また、CPU901は、操作部600表示装置に対して、表示やユーザの操作を受け付ける。
【0042】
一方、プリンタ制御部801のCPU911は、画像形成動作の基本制御を行なう。CPU911には、ROM913及びRAM912がアドレスバス及びデータバスを介して接続されている。ROM913には、後述する制御手順等を含む制御プログラムが記憶されているものとする。RAM912には、画像形成処理を行なうために必要となるデータが記憶されるものとする。デバイス制御部914は、プリンタ部の各構成部品を制御するための入出力ポート等を含む電気回路である。内部I/F部915は、コントローラ部800と画像信号やタイミング信号の送受信を行なうための通信回路である。CPU911は、制御プログラムの内容に従って、コントローラ部800から画像信号を受信し、デバイス制御部914を制御することで、シートの搬送や画像形成を行う。
【0043】
図11に、操作部600に表示されるユーザにシートの設定を促す設定画面を示す。ユーザは、この設定画面を用いて、プリント開始前にシートの設定を行う。ユーザへの設定画面の促す順番は、
図11(a)のシートの長さを設定し、
図11(b)のシートの坪量を設定し、その後
図11(c)のシートの種類の設定を実行する。操作部600に表示された設定画面により、ユーザは適切なボタンを押下することでシートの長さ(L)・シートの坪量(G)・シートの種類(T)を設定することができる。ユーザによって設定されたシートの設定は、CPU911によってRAM912に保存される。
【0044】
<ローラのアライメント精度とシートの斜行>
図12は、本実施形態のシート搬送装置において、アライメント精度が悪い搬送ローラ34を示す。シート搬送部50と斜行補正部55とレジストレーションローラ7は、引き出しユニット200として装置本体から引き出し可能であるため、これらのローラのアライメント精度が装置本体に対して悪くなる場合がある。アライメント精度が悪くなる原因としては、装置本体に対して引き出しユニットとして引き出し可能な構成を採用しているため、シートを搬送する搬送ローラ34から装置本体(基準位置)までに介する部品が多いことである。本実施形態において、搬送ローラ34は、少なくとも4つの部品を介して支持されている。それは、搬送ローラ34を回転可能に軸支する軸受けと、軸受けを保持するシート搬送部50の搬送筐体と、搬送筐体を引き出しユニットに支持する引き出し部と、引き出し部と装置本体とを引き出し可能にするガイドレール部と、である。
【0045】
一方で、上述したように引き抜きローラ49は、手差し給送部42に設けられており、手差し給送部は装置本体に直接取り付けられている。そのため、引き抜きローラ49は、装置本体(基準位置)に対するアライメント精度は低下しにくい。
【0046】
このような理由により、
図12に示すように、搬送ローラ34とレジストレーションローラ7と斜送ローラ32が、引き抜きローラ49に対してγの角度で斜めの状態となる。この状態で搬送ローラ34をニップ加圧してシート60の搬送を行うと、シートSは斜行する。特に、シート搬送方向に長いシートを搬送する場合、シートの先端が斜行補正部55に搬送された時に、シートの後端がシート積載部である手差しトレイ41上にある。つまり、シートの後端は、調整され固定されたサイド規制板48によってシートは規制されたままである。そのため、シート搬送方向に長いシートを搬送する場合、斜送ローラ32が従来のように突き当て基準部材31に対する突き当て搬送を行っても、サイド規制板43が突き当て搬送を妨げ、斜行をより悪化させてしまう。これを防止するために、本実施形態において、搬送ローラ34をニップ解除し、アライメント精度が良い引き抜きローラ49のみで搬送を行う。
【0047】
次に、シートの長さ(L)やシートの坪量(G)によって、各ローラのニップを加圧状態にするか、あるいは解除状態にするかを選択的に選択する必要があり、以下に詳細に説明する。
図13は、シート搬送方向の上流から下流に向けて、引き抜きローラ49からレジストレーションローラ7までの搬送路でシートSを搬送する断面図である。
【0048】
本実施形態のシート搬送装置において、引き抜きローラ49からレジストレーションローラ7までの搬送路の長さは、900mmである。また、引き抜きローラ49から最上流に設けられた斜送ローラ32までの長さは770mmである。
【0049】
図13(A)は、長さが760mm以下のシートを搬送中のニップ加圧と減圧を示している。シートSの長さにマージン10mmを加算した長さが、斜送ローラ32の最上流のローラから引き抜きローラ49までの長さの770mm以下の時である。そのため、シートを斜送ローラ32によって斜行補正する時に、シートの後端は引き抜きローラ49でニップされない。この場合、斜送ローラ32を用いた突き当てによる斜行補正中に、搬送ローラ34のニップは全て解除状態とし、斜行補正ローラ32以外のローラはニップしていない状態となるため、
図2で示すようにシートが斜行補正される。よって、斜送ローラにシートの先端を搬送する際に、斜送ローラ32と搬送ローラ34は、すべてニップ加圧状態で搬送を行う。
【0050】
図13(B)は、長さが910mm以上のシートを搬送中のニップ加圧と減圧を示している。シートSの長さにマージン10mmを加算した長さは、斜送ローラ32の最上流のローラから引き抜きローラ49までの長さの770mmより長い。そのため、斜送ローラ32にシート先端を搬送する際に、シートの後端は、引き抜きローラ39でニップされている。その結果、シートが斜行補正中によじれてしまうため、斜送ローラ32を用いた斜行補正は不可能である。そこで、斜行補正を行わないため搬送するローラのアライメント精度の影響で斜行して搬送されることを防ぐ必要があるため、搬送ローラ34を使用せずにシートを搬送する。搬送されるシートは、レジストレーションローラ7から引き抜きローラ49までの長さである900mm以上のため、シートは搬送ローラ34を使用せず搬送が可能である。よって、この場合、斜行補正ローラ32と搬送ローラ34は、すべてニップ解除状態でシートの搬送を行う。
【0051】
図13(C)は、長さが760mmより大きく910mmより短いシートを搬送中の搬送ローラのニップ加圧と減圧を示している。シート60の長さにマージン10mmを加算した長さが、斜行補正ローラ32の最上流のローラから引き抜きローラ49までの長さの770mmより長い。そのため、斜行補正ローラ32を用いた斜行補正中に引き抜きローラ39でシート60の後端をニップしてしまうため、斜行補正ローラ32を用いた斜行補正は不可能である。一方で、
図13(B)のように、アライメント精度の影響で斜行して搬送することを防ぐ必要がある。斜送ローラ32と搬送ローラ34のすべてニップ部を解除した時、シート搬送中にニップするローラが無くなるため、搬送ローラ34で最下流のローラをニップ加圧する。これにより、斜送ローラ32はすべてニップ解除し、搬送ローラ34は搬送ローラ344のみニップ加圧し、他はすべてニップ解除状態で搬送を行う。
【0052】
図13(D)は、910mm以上かつ坪量80gsm以下のシートを搬送中の搬送ローラのニップ加圧と減圧を示している。(B)と同様に斜行補正ローラ32と搬送ローラ34をすべてニップ解除状態で搬送を行うと、坪量が低いシートの場合はコシが弱く、引き抜きローラ39のみでの搬送中に先端がカールしてしまうことがある。カールを防ぐために、搬送ローラ34で最上流のローラをニップ加圧し、シート60を抑える。よって、斜行補正ローラ32はすべてニップ解除し、搬送ローラ34は搬送ローラ344のみニップ加圧し、他はすべてニップ解除状態で搬送を行う。
【0053】
図13(E)は、910mm以上かつ片面コート紙または両面コート紙のシートを搬送中の搬送ローラのニップ加圧と減圧を示している。(B)と同様に斜行補正ローラ32と搬送ローラ34はすべてニップ解除状態で搬送を行うと、シートの表面性が片面コート紙または両面コート紙は摩擦係数が低く、引き抜きローラ39のみでの搬送中にシート60がスリップしてしまう場合がある。スリップを防ぐために、搬送ローラ34で最上流のローラをニップ加圧し、搬送力を向上させる。よって、斜行補正ローラ32はすべてニップ解除し、搬送ローラ34は搬送ローラ344と343をニップ加圧し、他はすべてニップ解除状態で搬送を行う。
【0054】
以上の条件に関して、整理する。
図14に、搬送ローラ34をニップ加圧する条件とニップするローラを示す。条件番号1は、
図13の(A)に該当する。条件は、シート長さが760mm以下の場合で、ニップ加圧する搬送ローラ34は搬送ローラ344、343、342、341である。条件番号2は、
図13の(C)に該当する。条件は、シート長さが910mm未満で、ニップ加圧する搬送ローラ34は搬送ローラ344である。条件番号3は、
図13の(D)に該当する。条件は、シート長さが910mm以上かつ坪量80gsm以下で、ニップ加圧する搬送ローラ34は搬送ローラ344である。条件番号4は、
図13の(E)に該当する。条件は、シート長さが910mm以上かつ片面コート紙と両面コート紙で、ニップ加圧する搬送ローラ34は搬送ローラ344である。条件番号5は、
図13の(B)に該当する。条件は、シート長さが910mm以上の場合で、ニップする搬送ローラ34は無しである。
【0055】
さらに、
図15に、斜行補正ローラ32をニップ加圧する条件を示す。条件番号1は、
図13の(A)に該当する。条件は、シート長さが760mm以下の場合であり、斜行補正ローラ32をニップ加圧する。条件番号2は、
図13の(B)(C)(D)(E)に該当する。条件は、シート長さが760mmより大きい場合であり、斜行補正ローラ32をニップ加圧しない。
【0056】
以上、本実施形態において、シートの長さに基づいて斜送ローラと搬送ローラの当接状態あるいは解除状態を切り替えることによって、シートの長い用紙を搬送する際に、搬送ローラのアライメントのずれの影響を受けることなく、搬送することが可能となる。
【0057】
<シート搬送における制御フロー>
図16は、実施形態に係るシートを給送する動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、CPU911がROM903等に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。本フローチャートは、シートを給送する時(給送タイミング)に開始される。
【0058】
給送タイミングでは、搬送に用いるローラは、すべて回転している。シートの給送前には、シート設定に基づいて斜行補正ローラ32と搬送ローラ34のニップ加圧及び解除を行う必要がある。実行されたフローチャートは、初めにステップS4000を実行する。
【0059】
ステップS4000では、RAM912に保存されている給送するシートのシート設定情報を読み出す。
【0060】
ステップS4001では、給送するシートが斜行補正ローラ32をニップ加圧して斜行補正が行える長さかどうかを判断する。判断には、RAM912に保存されているシート設定情報と
図16に示す条件との比較を行う。例えば、ステップS4000で読み出されたシート長さが700mmである場合、
図15の条件番号1に該当し、斜行補正ローラ32を用いて斜行補正を行えるため、斜行補正ローラ32をニップ加圧する。RAM912に保存されているシート長さが900mmである場合、
図15の条件番号2に該当し、斜行補正ローラ32を用いて斜行補正は行えないため、斜行補正ローラ32はニップ解除する。斜行補正ローラ32をニップ加圧すると判断された場合はステップS4002を実行し、斜行補正ローラ32をニップ解除すると判断された場合はステップS4003を実行する。
【0061】
ステップS4002では、RAM912に斜行補正ローラ32をニップ加圧する情報を保存する。
【0062】
ステップS4003では、給送するシートの坪量(G)、シートの種類(T)、シートの長さ(L)によって搬送ローラ34(341~344)をニップ加圧するかどうかを判断する。判断には、RAM912に保存されているシート設定と、
図14の条件を比較する。例えば、ステップS4000で読み出されたシート設定のシートの長さが850mmの場合、条件番号2の条件を満たしている。そのため、搬送ローラ344をニップ加圧する。ニップ加圧を行う搬送ローラ34があればステップS4004を実行し、なければステップS4005を実行する。
【0063】
ステップS4004では、ステップS4003で判断されたニップ加圧する搬送ローラ34をRAM912に保存する。
【0064】
ステップS4005では、搬送ローラ34と斜行補正ローラ32をニップ加圧またはニップ解除する。ニップ加圧または解除には、RAM912から搬送ローラ34と斜行補正ローラ32のニップ加圧の情報を読み出し、搬送ローラ34と斜行補正ローラ32をニップ加圧またはニップ解除する。
【0065】
ステップS4006では、給送を行う。
【0066】
以上、本実施形態のような制御を実施することで、シートが斜行してしまいシートに対して画像がずれた状態で画像形成されてしまうという課題を解決できる。
【符号の説明】
【0067】
41 シート積載部(手差しトレイ)
46 給送ローラ
49 第1の搬送ローラ(引き抜きローラ)
34 第2の搬送ローラ(搬送ローラ)
7 第3の搬送ローラ(レジストレーションローラ)
31 突き当て部
32 斜送ローラ
600 操作部
800 制御部