(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】把持装置、荷役装置、荷役制御装置、荷役制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/91 20060101AFI20240430BHJP
B65G 59/04 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B65G47/91 A
B65G59/04
(21)【出願番号】P 2020062214
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200218
【氏名又は名称】沼尾 吉照
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 清高
(72)【発明者】
【氏名】益子 淳也
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-218165(JP,A)
【文献】実開平03-031133(JP,U)
【文献】特開2019-005869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0291307(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
B65G 59/00 - 59/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部に載置された荷物の上面を吸着可能な上面吸着部と、
前記荷物の側面を吸着可能な側面吸着部と、
前記上面吸着部及び前記側面吸着部を前記荷物へ近接する方向及び前記荷物を前記載置部から取り出す方向に移動可能な第1移動部と、
前記上面吸着部は、第1の上面吸着部及び第2の上面吸着部を備え、
前記上面吸着部が前記荷物を吸着する吸着力の方向と交差する方向に前記第2の上面吸着部を前記第1の上面吸着部に対して独立して移動可能な第2移動部と、
前記荷物と他の荷物との連結状態を含む情報を取得する連結状態検出部と、
前記連結状態検出部で取得された情報に応じて、前記第1の上面吸着部は一方の荷物を吸着し、前記第2の上面吸着部は他方の荷物を吸着するように前記第2移動部を制御する制御部と、
を備える荷役装置。
【請求項2】
載置部に載置された荷物の上面を吸着可能な上面吸着部と、
前記荷物の側面を吸着可能な側面吸着部と、
前記上面吸着部及び前記側面吸着部を前記荷物へ近接する方向及び前記荷物を前記載置部から取り出す方向に移動可能な第1移動部と、
前記側面吸着部は、第1の側面吸着部及び第2の側面吸着部を備え、
前記側面吸着部が前記荷物を吸着する吸着力の方向と交差する方向に前記第2の側面吸着部を前記第1の側面吸着部に対して独立して移動可能な第3移動部と、
前記荷物と他の荷物との連結状態を含む情報を取得する連結状態検出部と、
前記連結状態検出部で取得された情報に応じて、前記第1の側面吸着部は一方の荷物を吸着し、前記第2の側面吸着部は他方の荷物を吸着するように前記第3移動部を制御する制御部と、
を備える荷役装置。
【請求項3】
荷物の高さを検出するセンサをさらに有し、
前記制御部は、前記センサによって検出された荷物の高さに基づいて、前記第2の側面吸着部は前記他方の荷物を吸着するように前記第3移動部を制御する、
請求項
2記載の荷役装置。
【請求項4】
前記連結状態検出部は、撮像された画像を画像処理することにより結束手段を検出する、
請求項
1乃至請求項
3のいずれか一項記載の荷役装置。
【請求項5】
前記連結状態検出部は、無線通信により前記荷物に設けられたタグから連結状態を含む情報を取得する、
請求項
1乃至請求項
3のいずれか一項記載の荷役装置。
【請求項6】
荷物と他の荷物との連結状態を含む情報を取得する連結状態検出部と、
前記連結状態検出部で取得された前記情報に応じて、載置部に載置された荷物の上面を吸着可能な第1の上面吸着部及び第2の上面吸着部並びに前記荷物の側面を吸着可能な側面吸着部を前記荷物へ近接する方向及び前記荷物を載置部から取り出す方向に移動可能な第1移動部と、前記第1の上面吸着部及び第2の上面吸着部が前記荷物を吸着する吸着力の方向と交差する方向に前記第2の上面吸着部を前記第1の上面吸着部に対して独立して移動可能な第2移動部とを制御する制御部と、
を有する荷役制御装置。
【請求項7】
荷物と他の荷物との連結状態を含む情報を取得する連結状態検出部と、
前記連結状態検出部で取得された前記情報に応じて、載置部に載置された荷物の上面を吸着可能な上面吸着部並びに前記荷物の側面を吸着可能な第1の側面吸着部及び第2の側面吸着部を前記荷物へ近接する方向及び前記荷物を載置部から取り出す方向に移動可能な第1移動部と、前記第1の側面吸着部及び第2の側面吸着部が前記荷物を吸着する吸着力の方向と交差する方向に前記第2の側面吸着部を前記第1の側面吸着部に対して独立して移動可能な第3移動部とを制御する制御部と、
を有する荷役制御装置。
【請求項8】
荷物と他の荷物との連結状態を含む情報を取得するステップと、
取得した前記情報に応じて、載置部に載置された荷物の上面を吸着可能な第1の上面吸着部及び第2の上面吸着部並びに前記荷物の側面を吸着可能な側面吸着部を前記荷物へ近接する方向及び前記荷物を載置部から取り出す方向に移動可能な第1移動部と、前記第1の上面吸着部及び第2の上面吸着部が前記荷物を吸着する吸着力の方向と交差する方向に前記第2の上面吸着部を前記第1の上面吸着部に対して独立して移動可能な第2移動部とを制御するステップと、
を有する荷役制御方法。
【請求項9】
荷物と他の荷物との連結状態を含む情報を取得するステップと、
取得した前記情報に応じて、載置部に載置された荷物の上面を吸着可能な上面吸着部並びに前記荷物の側面を吸着可能な第1の側面吸着部及び第2の側面吸着部を前記荷物へ近接する方向及び前記荷物を載置部から取り出す方向に移動可能な第1移動部と、前記第1の側面吸着部及び第2の側面吸着部が前記荷物を吸着する吸着力の方向と交差する方向に前記第2の側面吸着部を前記第1の側面吸着部に対して独立して移動可能な第3移動部とを制御するステップと、
を有する荷役制御方法。
【請求項10】
荷役装置のコンピュータに、
荷物と他の荷物との連結状態を含む情報を取得する機能と、
取得した前記情報に応じて、載置部に載置された荷物の上面を吸着可能な第1の上面吸着部及び第2の上面吸着部並びに前記荷物の側面を吸着可能な側面吸着部を前記荷物へ近接する方向及び前記荷物を載置部から取り出す方向に移動可能な第1移動部と、前記第1の上面吸着部及び第2の上面吸着部が前記荷物を吸着する吸着力の方向と交差する方向に前記第2の上面吸着部を前記第1の上面吸着部に対して独立して移動可能な第2移動部とを制御する機能と、
を実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
荷役装置のコンピュータに、
荷物と他の荷物との連結状態を含む情報を取得する機能と、
取得した前記情報に応じて、載置部に載置された荷物の上面を吸着可能な上面吸着部並びに前記荷物の側面を吸着可能な第1の側面吸着部及び第2の側面吸着部を前記荷物へ近接する方向及び前記荷物を載置部から取り出す方向に移動可能な第1移動部と、前記第1の側面吸着部及び第2の側面吸着部が前記荷物を吸着する吸着力の方向と交差する方向に前記第2の側面吸着部を前記第1の側面吸着部に対して独立して移動可能な第3移動部とを制御する機能と、
を実現させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、荷役装置、荷役制御装置、荷役制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の荷物が載置された台等の載置部から荷物を1つずつ取り出す荷役装置として、荷物の側面のいずれか1面、及び荷物の上面を吸着することで荷物を保持して取り出す構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の荷役装置では、取り出す荷物と他の荷物とが連結されている場合に、連結されている荷物を安定して取り出すことができないという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、連結された荷物を安定して移動可能な荷役装置、荷役制御装置、荷役制御方法及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態の荷役装置は、上面吸着部と、側面吸着部と、第1移動部と、第2移動部と、連結状態検出部と、制御部と、を有する。上面吸着部は、載置部に載置された荷物の上面を吸着する。側面吸着部は、荷物の側面を吸着する。第1移動部は、上面吸着部及び側面吸着部を荷物へ近接する方向及び荷物を載置部から取り出す方向に移動する。上面吸着部は、第1の上面吸着部及び第2の上面吸着部を備える。第2移動部は、上面吸着部が荷物を吸着する吸着力の方向と交差する方向に第2の上面吸着部を第1の上面吸着部に対して独立して移動する。連結状態検出部は、荷物と他の荷物との連結状態を含む情報を取得する。制御部は、連結状態検出部で取得された情報に応じて、第1の上面吸着部は一方の荷物を吸着し、第2の上面吸着部は他方の荷物を吸着するように第2移動部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る荷役装置の構成を示す斜視図。
【
図2】第1の実施形態に係る荷役装置における吸着装置の構成を示す斜視図。
【
図3】第1の実施形態に係る荷役装置における吸着装置の構成を示す斜視図。
【
図4】第1の実施形態に係る荷役装置における吸着装置の構成を示す斜視図。
【
図5】第1の実施形態に係る荷役装置における吸着装置の構成を示す斜視図。
【
図6】第1の実施形態に係る荷役装置の機能構成を示す図。
【
図7】第1の実施形態に係る荷役装置の動作を示す図。
【
図8】第1の実施形態に係る荷役装置の初期状態を示す図。
【
図9】第1の実施形態に係る荷役装置における第1の上面吸着部が荷物の上面に対向する状態を示す図。
【
図10】第1の実施形態に係る荷役装置における第2の上面吸着部が荷物の上面に対向する状態を示す図。
【
図11】第1の実施形態に係る荷役装置における上面吸着部が荷物と接する状態を示す図。
【
図12】第1の実施形態に係る荷役装置における側面吸着部が荷物と接する状態を示す図。
【
図13】第1の実施形態に係る荷役装置における吸着装置が荷物を持ち上げた状態を示す図。
【
図14】第1の実施形態に係る荷役装置における吸着装置が荷物を引きずり出す状態を示す図。
【
図15】第1の実施形態に係る荷役装置の初期状態を示す図。
【
図16】第1の実施形態に係る荷役装置における上面吸着部が荷物の上面に対向する状態を示す図。
【
図17】第1の実施形態に係る荷役装置における上面吸着部が荷物と接する状態を示す図。
【
図18】第1の実施形態に係る荷役装置における第1及び第2の側面吸着部が荷物の側面に対向する状態を示す図。
【
図19】第1の実施形態に係る荷役装置における側面吸着部が荷物と接する状態を示す図。
【
図20】第1の実施形態に係る荷役装置における吸着装置が荷物を持ち上げた状態を示す図。
【
図21】第1の実施形態に係る荷役装置における吸着装置が荷物を引きずり出す状態を示す図。
【
図22】第1の実施形態に係る荷役装置における吸着装置の変形例の斜視図。
【
図23】第2の実施形態に係る荷役装置の構成を示す斜視図。
【
図24】第2の実施形態に係る荷役装置の動作を示す図。
【
図25】第2の実施形態に係る荷役装置の初期状態を示す図。
【
図26】第2の実施形態に係る荷役装置における第1の上面吸着部が荷物の上面に対向する状態を示す図。
【
図27】第2の実施形態に係る荷役装置における第1及び第2の上面吸着部が荷物の上面に対向する状態を示す図。
【
図28】第2の実施形態に係る荷役装置における上面吸着部が荷物と接する状態を示す図。
【
図29】第2の実施形態に係る荷役装置における第1及び第2の側面吸着部が荷物の側面に対向する状態を示す図。
【
図30】第2の実施形態に係る荷役装置における側面吸着部が荷物と接する状態を示す図。
【
図31】第2の実施形態に係る荷役装置における吸着装置が荷物を持ち上げた状態を示す図。
【
図32】第2の実施形態に係る荷役装置における吸着装置が荷物を引きずり出す状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。以下の実施形態では、把持装置として吸着による把持を例に説明しているが、これに限定されず、荷物を把持可能な装置であれば吸着以外の手段による把持装置であってもよい。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る荷役装置10を、
図1乃至
図21を用いて説明する。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る荷役装置10の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、荷役装置10は、倉庫等の荷役作業が行われる現場1にて用いられる。現場1には、本実施形態では、荷物5を他の搬送先に搬送する第1のベルトコンベア6が設置されている。
【0011】
荷役装置10は、複数の荷物5が載置された台等の載置部7から荷物5を1つずつ、若しくは同時に複数取り出して第1のベルトコンベア6に移動する。荷役装置10は、第1のベルトコンベア6の搬送方向に沿う一方の縁の近傍に配置されている。
【0012】
載置部7は、荷役装置10を間に挟んで第1のベルトコンベア6に相対する位置に配置される。
【0013】
ここで、載置部7から第1のベルトコンベア6へ向かう方向に平行な方向を前後方向とする。上下方向に直交し、かつ、前後方向に直交する方向を、幅方向とする。
【0014】
荷役装置10は、
図1に示すように、筐体20と、筐体20に設けられ、載置部7上の荷物5を検出する第1のセンサ部30(連結状態検出部)と、筐体20内に設けられ、荷物5を第1のベルトコンベア6に移動する第2のベルトコンベア40と、筐体20に設けられ、第2のベルトコンベア40を筐体20内で昇降する第1の昇降装置50と、を有している。また荷役装置10は、荷物5を吸着し把持する把持装置60(以下、吸着装置とする)と、吸着装置60に負圧を生じさせる負圧発生装置65と、を有している。また荷役装置10は、筐体20に設けられ、吸着装置60を載置部7と第2のベルトコンベア40との間で移動する第1移動部70と、吸着装置60と荷物5との間の距離が所定距離以下となったことを検出する図示しない第2のセンサ部90と、吸着装置60に吸着された荷物5の下面の高さを検出する第3のセンサ部95と、制御部100と、を有している。
【0015】
荷役装置10は、第1移動部70で吸着装置60を載置部7まで移動し、吸着装置60で荷物5を吸着する。そして、荷役装置10は、第1移動部70で吸着装置60を第2のベルトコンベア40上に移動して吸着を解除することで荷物5を第2のベルトコンベア40に載置する。そして、荷役装置10は、第2のベルトコンベア40によって荷物5を第1のベルトコンベア6に移動する。
【0016】
第1のベルトコンベア6は、荷役装置10によって荷物5が移動される搬送先の一例である。換言すると、第1のベルトコンベア6は、第2のベルトコンベア40によって荷物5が移動される搬送先の一例である。
【0017】
筐体20は、第1のベルトコンベア6及び載置部7の間に位置しており、現場1の床面に例えば固定されている。筐体20は、例えば、筐体本体21と、庇部22と、を有する。
【0018】
筐体本体21は、載置部7と対向する領域に、前後方向に内外を連通する開口23を有する。開口23は、載置部7側から筐体本体21内に、荷物5、吸着装置60及び第1移動部70の一部が移動可能な大きさを有している。開口23の幅は、載置部7の幅と同じ、または、載置部7の幅よりも大きい。開口23の幅方向両端のそれぞれは、載置部7の幅方向両端と前後方向に対向し、または、幅方向の外側に位置する。また、筐体本体21は、第1のベルトコンベア6と対向する領域に、前後方向に内外を連通する開口24を有している。開口24は、荷物5が移動可能な大きさを有している。
【0019】
筐体本体21の内部は、第1移動部70によって、吸着装置60及び吸着装置60に吸着された荷物5が、開口23を通って第2のベルトコンベア40まで移動可能に、かつ、第2のベルトコンベア40によって荷物5が開口24まで移動可能に構成される。このような筐体本体21は、例えば、4つの柱部21aと、これら4つの柱部21aの上端及び下端に設けられた複数の梁部21bと、を有する形状に構成される。載置部7側の2つの柱部21a、及び2つの梁部21bによって、開口23が構成される。第1のベルトコンベア6側の2つの柱部21a、及び2つの梁部21bによって、開口24が構成される。
【0020】
庇部22は、載置部7側の2本の柱部21aの上端から前方に突出する例えば枠状に構成される。庇部22は、載置部7の上方に位置する。庇部22は、第1のセンサ部30が固定される固定部26を有している。
【0021】
第1のセンサ部30は、固定部26に固定される。第1のセンサ部30は、例えばカメラである。このカメラは、例えば、被写体までの距離を画素毎に取得可能な3Dカメラである。第1のセンサ部30は、好ましくは、3Dカメラと、カラー画像を取得するRGBカメラとの両方で構成される。第1のセンサ部30は、載置部7に載置された複数の荷物5の上面を撮像する。第1のセンサ部30は、撮像された画像を、制御部100に送信する。
【0022】
第2のベルトコンベア40は、荷物5が載置可能なベルト41と、ベルト41を駆動するモータ42と、を有する。ベルト41は、無端ベルトである。モータ42は扁平な環状に構成されたベルト41の一端に配置されている。モータ42は、上面41aをモータ42側に引っ張ることで、ベルト41を駆動する。このように構成された第2のベルトコンベア40は、モータ42が第1のベルトコンベア6側に位置し、かつ、ベルト41の上面41aの移動方向が前後方向と平行となる姿勢で、筐体本体21内に設置される。ベルト41の開口23側の一端は、開口23の近傍に位置する。ベルト41の開口24側の一端は、開口24の近傍に位置する。ベルト41の第1のベルトコンベア6側の一端から第1のベルトコンベア6のベルト6aまでの距離は、荷物5の前後方向の長さよりも小さく、ベルト41からベルト6aまで荷物5が移動可能となる距離に設定されている。換言すると、ベルト41とベルト6aとの間の隙間は、荷物5が当該隙間を通して落下することがない隙間に設定されている。
【0023】
第1の昇降装置50は、例えば、筐体本体21の上端の梁部21bに設けられた第1の駆動部51と、第1の駆動部51に設けられた第1のシャフト52と、第1のシャフト52に巻回された第1のワイヤ53と、を有している。第1の駆動部51が駆動されることで第1のシャフト52が回転される。第1のシャフトが回転されることで第1のワイヤ53を介して第2のベルトコンベア40が昇降される。なお、第1の昇降装置50は、第2のベルトコンベア40を昇降可能に構成されればよい。第1の昇降装置50の、上述の構成は、一例であり、限定されるものではない。
【0024】
また、第1移動部70は、吸着装置60を、前後、左右方向及び上下方向に移動させるものである。第1移動部70は、先端に吸着装置60が取り付けられている伸縮可能なアーム72を水平移動させるための水平移動装置71と、水平移動装置71を昇降させる第2の昇降装置80とを有する。水平移動装置71及び第2の昇降装置80についての詳細は後述する。
【0025】
図2は、第1の実施形態に係る荷役装置10における吸着装置60の構成を示す斜視図である。
【0026】
吸着装置60は、荷物5の上面を吸着する第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cと、荷物5の側面5bを吸着する第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cと、を有している。
【0027】
吸着装置60は、第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cが荷物5を吸着する吸着力の方向と交差する方向に第2の上面吸着部62cを第1の上面吸着部62aに対して独立して前後に移動する第2移動部68を有する。また、吸着装置60は、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが荷物を吸着する吸着力の方向と交差する方向に第2の側面吸着部63cを第1の側面吸着部63aに対して独立して上下に移動する第3移動部69を有する。また、吸着装置60は、第1移動部70に支持される基部61と、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cを前後方向に移動する第4移動部64と、を有する。なお、
図2における矢印は、第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cが荷物を吸着する吸着力の方向、並びに第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが荷物を吸着する吸着力の方向である。
【0028】
第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cはまとめて上面吸着部62と表す。また、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cはまとめて側面吸着部63と表す。
【0029】
吸着装置60は、上面吸着部62で荷物5の上面を吸着し、かつ側面吸着部63で荷物5の側面(前面)を吸着することで、荷物5を保持する。
【0030】
基部61は、一方向(前後方向)に延びる棒状に構成された基部本体61aと、基部本体61aの長手方向の一端から、基部本体61aの長手方向に直交する方向(下方)に延出した延出部61bと、を有する。このように構成された基部61は、幅方向に平行な回転軸67によりアーム72に回動可能に取り付けられることにより、第1移動部70に連結される。基部本体61a、及び延出部61bは、基部本体61aが前後方向に平行となり延出部61bが下方に延出する姿勢となることが可能な位置関係を有している。基部本体61aの回転軸67側の一端面は、例えば基部本体61aを回動可能とする曲面に構成されている。
【0031】
また、基部61は、上面吸着部62及び側面吸着部63が荷物5を吸着していない状態で位置する初期位置から、所定角度回動可能に構成される。この所定角度は、上面吸着部62及び側面吸着部63が荷物5を吸着した状態で荷物5の重さにより回動する方向への回動角度である。この所定角度は、基部61が荷物5の重さによって回転軸67回りに回動したときに、吸着装置60がアーム72に接触しない角度である。本実施形態では、所定角度は、例えば、10度~15度である。このように構成された基部61は、本実施形態では、上面吸着部62の重さ、側面吸着部63の重さ、及び第4移動部64の重さにより、上面吸着部62及び側面吸着部63が荷物5を吸着していない状態では、基部61が前後方向に平行となる初期位置に維持される。
【0032】
第1の上面吸着部62aは、基部本体61aの例えば延出部61bと反対の先端部に第1の支持部62bを介して固定される。第1の上面吸着部62aには複数の開口62a1を有する。
【0033】
第1の上面吸着部62aの複数の開口62a1のそれぞれは、負圧発生装置65により空気が吸引されている状態で開口62a1が荷物5の上面5aで閉塞されることで真空引きされて内部に負圧が生じ、この負圧により、荷物5の上面を吸着可能となる。第1の上面吸着部62aの複数の開口62a1のそれぞれは、負圧発生装置65に接続された管66に直接的、または間接的に接続される。本実施形態では、第1の上面吸着部62aの複数の開口62a1は、間接的に接続される。その一例として、第1の上面吸着部62aの複数の開口62a1は、第1の支持部62bを介して、管66に接続される。
【0034】
第1の支持部62bは、内部に、複数の開口62a1に連通する空間を有する。第1の支持部62bには、管66が連結される。第1の支持部62bの外観は、例えば直方体状に構成される。第1の支持部62bを介して、管66及び複数の開口62a1が、流体的に連結される。
【0035】
このように構成された第1の上面吸着部62aは、基部61が初期位置にあるときにそれぞれの開口62a1が上下方向に直交する平面に位置する姿勢で、基部本体61aに固定される。
【0036】
第2の上面吸着部62cは、第2移動部68に固定される。
【0037】
第2の上面吸着部62cには、複数の開口62c1を有する。複数の開口62c1のそれぞれは、第1の上面吸着部62aと同様に、負圧発生装置65により空気が吸引されている状態で荷物5の上面で閉塞されることで真空引きされて内部に負圧が生じ、この負圧により、荷物5の上面を吸着可能となる。複数の開口62c1のそれぞれは、負圧発生装置65に接続された管66に直接的、または間接的に接続される。第2の支持部62dの外観は、例えば直方体状に構成される。第2の支持部62dを介して、管66及び複数の開口62c1が、流体的に連結される。
【0038】
このように構成された第2の上面吸着部62cは、基部61が初期位置にあるときに複数の開口62c1が上下方向に直交する平面に位置する姿勢で、移動部68bに固定される。
【0039】
第2移動部68は、基部61に直線方向(前後方向)に移動可能に連結された移動部68bと、駆動部68aと、を有している。移動部68bの、例えば基部61に対して反対側の先端に、第2の上面吸着部62cが第2の支持部62dを介して固定されている。第2の上面吸着部62cが、第1の上面吸着部62aと前後方向に最も近づいた位置を初期位置とする。
【0040】
移動部68bは駆動部68aを駆動することで、第2の上面吸着部62cを移動させる。駆動部68aは、例えば、モータである。このように構成された第2移動部68は、移動部68bの移動方向が、基部61が初期位置にあるときに前後方向に平行となる姿勢で、基部61に固定される。
【0041】
図3は、第1の実施形態に係る荷役装置10における吸着装置60の構成を示す斜視図であり、第2の上面吸着部62cを初期位置から移動した状態を示している。なお、
図3における矢印は、第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cが荷物を吸着する吸着力の方向、並びに第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが荷物を吸着する吸着力の方向である。
【0042】
第2移動部68は、例えば、第1の上面吸着部62aに対して第2の上面吸着部62cを、
図2に示すように第1の上面吸着部62aと前後方向に最も近づいた位置から、
図3に示すように荷物5の前後方向の長さと同距離となる位置の間で移動可能に構成される。つまり、
図3に示すように、第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cが荷物5を吸着する吸着力の方向と交差する方向に第2の上面吸着部62cを第1の上面吸着部62aに対して独立して移動可能に構成される。
【0043】
第1の側面吸着部63aは、第4移動部64に固定される。第1の側面吸着部63aには、複数の開口63a1を有する。
【0044】
複数の開口63a1のそれぞれは、負圧発生装置65によって空気が吸引されている状態で荷物5の側面で閉塞されることで真空引きされて内部に負圧が生じ、この負圧によって荷物5の側面を吸着可能となる。複数の開口63a1のそれぞれは、負圧発生装置65に接続された管66に直接的、または間接的に接続される。本実施形態では、複数の開口63a1は、間接的に接続される。
【0045】
その一例として、開口63a1は、第3の支持部63bを介して、管66に接続される。第3の支持部63bは、内部に、複数の開口63a1のそれぞれに連通する空間を有する。第3の支持部63bは、管66が連結される。第3の支持部63bの外観は、例えば直方体状に構成される。第3の支持部63bを介して、管66及び複数の開口63a1が、流体的に連結される。
【0046】
このように構成された第1の側面吸着部63aは、基部61が初期位置にあるときにそれぞれの開口63a1が、前後方向に載置部7側に向き、かつ、それぞれの開口63a1が前後方向に直交する平面に位置する姿勢で、第4移動部64に固定される。
【0047】
第4移動部64は、基部61の例えば延出部61bに対して前後方向に移動可能に連結された移動部64bと、駆動部64aと、を有している。移動部64bの、例えば移動方向の先端に、第1の側面吸着部63aが第3の支持部63bを介して固定されている。移動部64bが、例えば、上面吸着部62から前後方向に最も離れた位置を初期位置とする。
【0048】
移動部64bは駆動部64aを駆動することで、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cを移動させる。駆動部64aは、例えば、モータである。このように構成された第4移動部64は、移動部64bの移動方向が、基部61が初期位置にあるときに前後方向に平行となる姿勢で、基部61に固定される。
【0049】
図4は、第1の実施形態に係る荷役装置10における吸着装置60の構成を示す斜視図であり、側面吸着部63を初期位置から移動した状態を示している。なお、
図4における矢印は、第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cが荷物を吸着する吸着力の方向、並びに第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが荷物を吸着する吸着力の方向である。
【0050】
また、第4移動部64は、例えば、上面吸着部62に対して側面吸着部63を、
図2に示すように上面吸着部62から前後方向に最も離れた位置から、
図4に示すように上面吸着部62と前後方向に最も近づく位置の間で移動可能に構成される。
【0051】
第2の側面吸着部63cは、第3移動部69に固定される。第2の側面吸着部63cには、複数の開口63c1を有する。
【0052】
複数の開口63c1のそれぞれは、負圧発生装置65により空気が吸引されている状態で荷物5の側面で閉塞されることで真空引きされて内部に負圧が生じ、この負圧により、荷物5の側面を吸着可能となる。複数の開口63c1のそれぞれは、負圧発生装置65に接続された管66に直接的、または間接的に接続される。
【0053】
第4の支持部63dの外観は、例えば直方体状に構成される。第4の支持部63dを介して、管66及び複数の開口63c1が、流体的に連結される。
【0054】
このように構成された第2の側面吸着部63cは、基部61が初期位置にあるときにそれぞれの開口63c1が前後方向に載置部7側に向き、かつ、それぞれの開口63c1が前後方向に直交する平面に位置する姿勢で、第3移動部69に固定される。
【0055】
第3移動部69は、移動部64bに対して直線方向に移動可能に連結された移動部69bと、駆動部69aと、を有している。移動部69bの、例えば駆動部69aに対して反対側の先端に、第4の支持部63dが固定されている。第2の側面吸着部63cが、第1の側面吸着部63aと上下方向に最も近づいた位置を初期位置とする。
【0056】
移動部69bは駆動部69aを駆動することで、第2の側面吸着部63cを上下方向に移動させる。駆動部69aは、一例として、伸縮可能に構成される。駆動部69aは、伸縮することで、第2の側面吸着部63cを一方向に移動させる。
【0057】
移動部69bは、例えば重なり合った筒が伸び縮みする構造により、伸縮自在に構成される。駆動部69aは、例えば、モータやエアシリンダ等である。このように構成された第3移動部69は、基部61が初期位置にあるときに移動部69bの移動方向が上下方向となるように、移動部64bに固定される。
【0058】
図5は、第1の実施形態に係る荷役装置10における吸着装置60の構成を示す斜視図であり、第2の側面吸着部63cを初期位置から移動した状態を示している。なお、
図5における矢印は、第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cが荷物を吸着する吸着力の方向、並びに第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが荷物を吸着する吸着力の方向である。
【0059】
第3移動部69は、例えば、第1の側面吸着部63aに対して第2の側面吸着部63cを、
図2に示すように第1の側面吸着部63aと前後方向に最も近づいた位置から、
図5に示すように荷物5の上下方向の長さと同距離となる位置の間で移動可能に構成される。このように、第3移動部69は、第2の側面吸着部63cを第1の側面吸着部63aに対して独立して移動可能なものである。
【0060】
負圧発生装置65は、複数の第1の上面吸着部62a、複数の第2の上面吸着部62c、複数の第1の側面吸着部63a、及び複数の第2の側面吸着部63cのそれぞれに、負圧を生じさせる。負圧発生装置65は、例えば、駆動することで負圧を生じさせ、停止することで空気の吸引を解除してもよい。または、負圧発生装置65は、バルブを有し、このバルブを開閉することで、空気の吸引状態及び吸引解除状態を切り替える構成であってもよい。このバルブは、荷物の吸着を解除する際に使用されてもよい。具体的には、真空系の負圧発生装置65側のバルブを閉じ、吸着部側のバルブを開くことで、荷物の吸着を解除することが可能となる。要するに、負圧発生装置65は、複数の第1の上面吸着部62a、複数の第2の上面吸着部62c、複数の第1の側面吸着部63a、及び複数の第2の側面吸着部63cのそれぞれに負圧を生じさせる構成を有していればよい。負圧発生装置65は、例えば、ポンプとタンクを含んでいる。
【0061】
なお、第1移動部70は、第1の上面吸着部62a、第2の上面吸着部62c、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cを同時に移動させる構成である。しかしながら、荷役装置10が第2移動部68、第3移動部69及び第4移動部64を有する構成であることから、第1の上面吸着部62a、第2の上面吸着部62c、第1の側面吸着部63a、及び第2の側面吸着部63cを一体に移動可能な構成に限定されない。つまり、第2移動部68、第3移動部69、及び第4移動部64が停止している状態では、第1移動部70は、第1の上面吸着部62a、第2の上面吸着部62c、第1の側面吸着部63a、及び第2の側面吸着部63cを一体に移動させる。
【0062】
図1に戻って説明すると、第1移動部70は、例えば、アーム72が連結され、アーム72を水平方向に移動させる水平移動装置71と、水平移動装置71を昇降することでアーム72を昇降する第2の昇降装置80と、を有する。
【0063】
水平移動装置71は、回転軸67によって基部61が連結されるアーム72と、アーム72を移動可能に支持する支持部73と、を有する。
【0064】
アーム72は、基部61を、前後方向に移動可能に構成される。アーム72は、一例として、伸縮可能に構成される。アーム72は、伸縮することで、基部61を一方向(前後方向)に移動させる。アーム72は、例えば重なり合った筒が伸び縮みする構造により、伸縮自在に構成される。支持部73は、アーム72を、アーム72の伸縮方向と直交する方向、すなわち、左右方向に移動可能に支持する。アーム72の伸縮は、モータやエアシリンダ等の駆動部により行われる。支持部73に対するアーム72の、伸縮方向に直交する方向の移動は、モータやエアシリンダ等の駆動部により行われる。このように構成された水平移動装置71は、アーム72の伸縮方向が前後方向に平行となり、かつ、支持部73に対するアーム72の、伸縮方向に直交する移動方向が幅方向と平行となる姿勢で、支持部73、及びアーム72の一部が筐体本体21内に収容される。
【0065】
第2の昇降装置80は、例えば、筐体本体21の上端の梁部21bに設けられた第2の駆動部81と、第2の駆動部81に設けられた第2のシャフト82と、第2のシャフト82に巻回された第2のワイヤ83と、を有している。第2の駆動部81が駆動されることで第2のシャフト82が回転される。第2のシャフト82が回転されることで第2のワイヤ83を介して水平移動装置71が昇降される。なお、第2の昇降装置80は、水平移動装置71を昇降可能に構成されればよく、上述の構成に限定されるものではない。第1移動部70は、このような構成により、吸着装置60を荷物5の載置方向又は取出し方向に移動させることが可能となる。
【0066】
吸着装置60に設けられた第2のセンサ部90(図示省略)は、上面吸着部62が荷物5の上面に、第1の所定距離より近づいたことを検出する第1の近接センサ91(図示省略)と、側面吸着部63が荷物5の側面に、第2の所定距離より近づいたことを検出する第2の近接センサ92(図示省略)と、を有する。第1の近接センサ91は、一例として複数設けられる。なお、この第1の所定距離とは、上面吸着部62が荷物5の上面を吸着可能な距離である。上面吸着部62が荷物5の上面を吸着可能な距離とは、第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cが荷物5の上面に接触して開口62a1及び開口62c1が荷物5の上面により閉塞される距離である。
【0067】
第2の近接センサ92は、一例として複数設けられる。第2の近接センサ92は、側面吸着部63が荷物5の側面に対して、第2の所定距離より近づいたことを検出する。なお、この第2の所定距離とは、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが荷物5の側面を吸着可能な距離である。第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが荷物5の側面を吸着可能な距離とは、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが荷物5の側面に接触して開口63a1及び開口63c1が荷物5の側面により閉塞される距離である。
【0068】
第3のセンサ部95は、
図1に示すように、例えば、筐体本体21と載置部7の間に設置されたレーザーレンジファインダである。第3のセンサ部95は、上方を通過する荷物5の下面の高さ位置を検出可能に構成される。第3のセンサ部95は、検出結果を制御部100に送信する。第3のセンサ部95による検出結果は、第2のベルトコンベア40の高さを制御するために使用されてもよい。また、荷物の高さを算出するために使用されても良い。第1のセンサ部30、第2のセンサ部90、及び第3のセンサ部95をまとめてセンサ部110とする。
【0069】
図6は、第1の実施形態に係る荷役装置10の機能構成を示す図である。荷役制御装置120は、センサ部110と、制御部100と、を有する。制御部100は、センサ部110と、第1移動部70と、第2移動部68と、第3移動部69と、第4移動部64と、負圧発生装置65と、第1の昇降装置50と、第2のベルトコンベア40と、に電気的に接続される。制御部100は、第1のセンサ部30によって取得された情報、第2のセンサ部90の検出結果、及び第3のセンサ部95の検出結果に基づいて、第1移動部70と、第2移動部68と、第3移動部69と、第4移動部64と、負圧発生装置65と、第1の昇降装置50と、第2のベルトコンベア40と、を制御する。
【0070】
制御部100は、機能1乃至機能6を有する。
【0071】
機能1は、第1のセンサ部30によって取得された情報に応じて、移動させる荷物5Aを決定する機能である。第1のセンサ部30は、載置部7上の複数の荷物5のそれぞれの上面の水平方向の位置を検出可能に構成される。機能1は、第1のセンサ部30により撮像された荷物5のうち、前後方向で筐体本体21に最も近い荷物5を、移動させる荷物5Aとして決定する。なお、筐体本体21に最も近い荷物5が複数ある場合は、例えば、幅方向に端に位置する荷物5を、移動させる荷物5Aに決定する。
【0072】
機能2は、第1のセンサ部30が取得した情報に応じて、決定された荷物5Aと他の荷物との連結状態を検知し、第1の上面吸着部62a、第2の上面吸着部62c、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが移動する荷物5A及び連結されている荷物を把持する位置をそれぞれ算出する機能である。本実施形態における「連結状態」とは、決定された荷物5AがPPバンド、結束バンド及び紐等の手段によって他の荷物と連結されている状態のことである。機能2は、第1のセンサ部30により取得された情報に応じて、荷物5AがPPバンド、結束バンド及び紐等の手段により他の荷物と連結されているか否かを検知する。第1のセンサ部30は、例えばカメラであり、撮像された画像から結束バンド及び紐等を検出し連結状態を取得てもよい。また第1のセンサ部30は、撮像された画像から荷物の連結状態の情報と紐付け可能なコードを読み取り、連結状態を取得してもよい。第1のセンサ部30(連結状態検出部)は、連結状態を取得可能な手段であれば、カメラに加えて別のセンサを備えてもよい。例えば、第1のセンサ部30は、ICリーダ等の電子情報読取装置をさらに備えてもよい。この場合、第1のセンサ部30は、PPバンド、結束バンド及び紐等の手段に設けられたタグや、荷物5に設けられたタグより情報を無線通信により読み取り、連結状態を取得してもよい。そして機能2は、荷物5Aの連結状態に基づいて、荷物5A及び連結されている荷物を把持する位置を算出する。
【0073】
移動する荷物5Aが他の荷物と前後方向に連結されている場合、第1の上面吸着部62a、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cは一方(筐体本体21に最も近い荷物)の荷物5Aを吸着し、第2の上面吸着部62cは他方(5Aの奥側)の荷物を吸着するようにそれぞれの吸着部が荷物を把持する位置を算出する。移動させる荷物5Aが他の荷物と上下方向に連結されている場合、第1の上面吸着部62a、第2の上面吸着部62c及び第1の側面吸着部63aは一方の荷物5A(上側)を吸着し、第2の側面吸着部63cは他方(下側)の荷物を吸着するようにそれぞれの吸着部が荷物を把持する位置を算出する。
【0074】
機能3は、第1の上面吸着部62a、第2の上面吸着部62c、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが決定された荷物5を吸着する位置への移動を制御する機能である。機能3は、第1のセンサ部30で取得された情報に応じて、第1移動部70と、第2移動部68と、第3移動部69と、第4移動部64を制御する機能である。そうすることにより、第1の上面吸着部62a、第2の上面吸着部62c、第1の側面吸着部63a、及び第2の側面吸着部63cが決定された荷物5Aを吸着する位置への移動を制御する。
【0075】
機能4は、第2のセンサ部90の検出結果に応じて、負圧発生装置65を制御して吸着装置60により荷物5Aを吸着する機能である。機能4は、第2のセンサ部90の検出結果に応じて、荷物5Aを吸着可能と判断し、荷物5Aを第1の上面吸着部62a、第2の上面吸着部62c、第1の側面吸着部63a、及び第2の側面吸着部63cにより吸着する。
【0076】
機能5は、第1移動部70を制御し、荷物5Aを吸着した吸着装置60を第2のベルトコンベア40のベルト41に移動する機能である。
【0077】
機能6は、第1移動部70により荷物5Aをベルト41に移動すると、負圧発生装置65を制御して吸着装置60による荷物5Aの吸着を解除する機能である。
【0078】
次に、荷役装置10の動作の一例を、
図7乃至
図21を用いて説明する。
【0079】
図7は、第1の実施形態に係る荷役装置10の動作を示す図である。
図7の説明については後述する。
【0080】
まず制御部100は、荷役装置10を初期状態にする。
【0081】
図8は、第1の実施形態に係る荷役装置10の初期状態を示す図である。
【0082】
初期状態は、少なくとも荷役装置10における吸着装置60の基部61、移動部64b、移動部68b及び移動部69bが初期位置に位置した状態である。
【0083】
次に、第1のセンサ部30は、載置部7に載置された複数の荷物5を撮像し、撮像された画像を制御部100に送信する。
【0084】
次に、制御部100は、第1のセンサ部30によって取得された画像に基づいて、複数の荷物5のうち、第1のベルトコンベア6に移動する荷物5Aを決定する。
【0085】
制御部100は、本実施形態では、最上段に配置された荷物5のうち、前後方向に沿って最も筐体本体21側に位置する荷物5を、移動する荷物5Aとして決定する。
【0086】
次に、制御部100は、移動する荷物5Aが結束されているか否かを判定する。移動する荷物5Aが結束されているか否かの判定は、制御部100が、例えば撮像された画像からPPバンド、結束バンド及び紐等の結束手段を検知することにより行う。制御部100は、撮像された画像からPPバンド、結束バンド及び紐等の結束手段を検知した場合、荷物5Aは他の荷物と結束されていると判定する。制御部100は、撮像された画像からPPバンド、結束バンド及び紐等の結束手段を検知しなかった場合、荷物5Aは他の荷物と結束されていないと判定する。
【0087】
荷物5Aは他の荷物と結束されていると判定された場合、制御部100は、他の荷物と結束されている荷物5Aが前後方向に結束されているか否かを判定する。荷物5Aが他の荷物と前後方向に結束されているか否かの判定は、制御部100が、例えば撮像された画像から判定する。制御部100は、撮像された画像において、結束手段が、荷物5Aと前後方向に隣接する荷物とを横切っている場合、荷物5Aは結束手段により前後方向に連結されていると判定し、後述する
図7(a)に示すフローを開始する。制御部100は、撮像された画像において、結束手段で結束はされているが、結束手段が、荷物5Aと前後方向及び左右方向に隣接する荷物とを横切っていない場合、荷物5Aは結束手段により前後方向に連結されておらず上下方向に連結されていると判定し、後述する
図7(b)に示すフローを開始する。
【0088】
図7(a)に示すステップS101において、制御部100は、第1の上面吸着部62a、第2の上面吸着部62c、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが荷物5Aと前後方向に連結されている荷物5Bとを把持する把持位置を決定する。制御部100は、第1の上面吸着部62a、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cは一方の荷物5Aを吸着し、第2の上面吸着部62cは他方の荷物5Bを吸着するようにそれぞれの吸着部が荷物を把持する位置を決定する。
【0089】
ステップS102において、制御部100は、吸着装置60を荷物5Aの載置方向に移動する。
【0090】
図9は、第1の実施形態に係る荷役装置10における第1の上面吸着部62aが荷物5Aの上面に対向する状態を示す図である。ステップS102において、制御部100は、吸着装置60の第1の上面吸着部62aが荷物5Aの上面の凡そ面重心に対向する位置に移動する。
【0091】
ステップS103において、制御部100は、第2の上面吸着部62cを荷物5Bの上面の凡そ面重心に対向するように移動する。
【0092】
図10は、第1の実施形態に係る荷役装置10における第2の上面吸着部62cが荷物5Bの上面に対向する状態を示す図である。
【0093】
ステップS104において、制御部100は、上面吸着部62が荷物5A及び荷物5Bと接する位置に吸着装置60を移動する。制御部100は、第1の近接センサ91の検出結果に基づいて上面吸着部62が荷物5A及び荷物5Bと接する位置にあることを検出するまで、第2の昇降装置80を駆動して吸着装置60を移動する。
【0094】
図11は、第1の実施形態に係る荷役装置10における上面吸着部62が荷物5A及び荷物5Bと接する状態を示す図である。
【0095】
ステップS105において、制御部100は、負圧発生装置65を制御して手前荷物5A及び奥荷物5Bの上面を吸着する。負圧発生装置65は、第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cのそれぞれの内部に負圧を発生させる。具体的には、負圧発生装置65は、第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cが荷物と接する前から吸引を開始する。第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cは、荷物と接し閉塞されることで内部に負圧が発生する。第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cのそれぞれは、この負圧により、手前荷物5A及び奥荷物5Bの上面を吸着する。
【0096】
ステップS106において、制御部100は、側面吸着部63が荷物5Aと接する位置に側面吸着部63を移動する。制御部100は、第2の近接センサ92の検出結果に基づいて側面吸着部63が荷物5Aと接する位置にあることを検出するまで、側面吸着部63を移動する。
【0097】
図12は、第1の実施形態に係る荷役装置10における側面吸着部63が荷物5Aと接する状態を示す図である。
【0098】
ステップS107において、制御部100は、負圧発生装置65を制御して手前荷物5Aの側面を吸着する。負圧発生装置65は、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cのそれぞれの内部に負圧を発生させる。第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cのそれぞれは、この負圧により、手前荷物5Aの側面を吸着する。
【0099】
その後、ステップS108において、制御部100は、第1移動装置70及び第2の昇降装置80を駆動して手前の荷物5A及び奥の荷物5Bを持ち上げ、引きずり出す。
【0100】
図13は、第1の実施形態に係る荷役装置10における吸着装置60が手前の荷物5A及び奥の荷物5Bを持ち上げた状態を示す図である。
【0101】
図14は、第1の実施形態に係る荷役装置10における吸着装置60が手前の荷物5A及び奥の荷物5Bを引きずり出す状態を示す図である。第1移動装置70によって、荷物5A及び荷物5Bを第2のベルトコンベア40の上まで引きずり出す。
【0102】
ステップS109において、制御部100は、負圧発生装置65を制御して吸着装置60による手前の荷物5A及び奥の荷物5Bの吸着を解除する。
【0103】
そして、吸着装置60を初期位置に戻して、制御部100は、荷役装置10による荷役作業を繰り返し実施する。なお、図示していないが、吸着装置60を初期位置に戻した後、第2のベルトコンベア40を駆動して、第2のベルトコンベア40上の荷物5A及び荷物5Bを第1のベルトコンベア6に移動させ、第1のベルトコンベア6によって荷物5A及び荷物5Bを搬送先に搬送する。また、吸着装置60を初期位置に戻すことなく、荷物の撮像を行い、次の荷物の吸着に進んでもよい。
【0104】
次に
図7(b)のフローを開始する場合の説明をする。
【0105】
図7(b)のフローを開始する場合というのは、移動する荷物5Aが上下方向に隣接する他の荷物と連結されている場合である。
【0106】
図7(b)のステップS201において、制御部100は、第1の上面吸着部62a、第2の上面吸着部62c、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cが荷物5Aと上下方向に連結されている荷物5Cとを把持する把持位置を決定する。
【0107】
図15は、第1の実施形態に係る荷役装置10の初期状態を示す図である。
【0108】
ステップS202において、制御部100は、吸着装置60を荷物5Aの載置方向に移動する。
【0109】
図16は、第1の実施形態に係る荷役装置10における上面吸着部60が荷物5Aの上面に対向する状態を示す図である。ステップS202において、制御部100は、吸着装置60の上面吸着部60が荷物5Aの上面の凡そ面重心に対向する位置に移動する。
【0110】
ステップS203において、制御部100は、上面吸着部62が荷物5Aと接する位置に吸着装置60を移動する。制御部100は、第1の近接センサ91の検出結果に基づいて上面吸着部62が荷物5Aと接する位置にあることを検出するまで、吸着装置60を移動する。
【0111】
図17は、第1の実施形態に係る荷役装置10における上面吸着部62が荷物5Aと接する状態を示す図である。
【0112】
ステップS204において、制御部100は、負圧発生装置65を制御して上の荷物5Aの上面を吸着する。負圧発生装置65は、第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cのそれぞれの内部に負圧を発生させる。第1の上面吸着部62a及び第2の上面吸着部62cのそれぞれは、この負圧により、上の荷物5Aの上面を吸着する。
【0113】
ステップS205において、制御部100は、第2の側面吸着部63cを下の荷物5Cの側面に対向するように移動する。
【0114】
図18は、第1の実施形態に係る荷役装置10における第2の側面吸着部63cが下の荷物5Cの側面に対向する状態を示す図である。制御部100は、第3のセンサ部95による検出結果に基いて算出された荷物5の高さから、第2の側面吸着部63cを下の荷物5Cの側面の凡そ面重心に対向するように制御してもよい。また制御部100は、第2の側面吸着部63cを所定の距離を移動させ、第2の側面吸着部63cが下の荷物5Cの側面の凡そ面重心に対向するように制御してもよい。
【0115】
ステップS206において、制御部100は、側面吸着部63が上の荷物5A及び下の荷物5Cと接する位置に側面吸着部63を移動する。制御部100は、第2の近接センサ92の検出結果に基づいて側面吸着部63が上の荷物5A及び下の荷物5Cと接する位置にあることを検出するまで、側面吸着部63を移動する。
【0116】
図19は、第1の実施形態に係る荷役装置10における側面吸着部63が荷物5A及び荷物5Cと接する状態を示す図である。
【0117】
ステップS207において、制御部100は、負圧発生装置65を制御して上の荷物5A及び下の荷物5Cの側面を吸着する。負圧発生装置65は、第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cのそれぞれの内部に負圧を発生させる。第1の側面吸着部63a及び第2の側面吸着部63cのそれぞれは、この負圧により、上の荷物5A及び下の荷物5Cの側面を吸着する。
【0118】
ステップS208において、制御部100は、上の荷物5A及び下の荷物5Cを持ち上げ、引きずり出す。
【0119】
図20は、第1の実施形態に係る荷役装置10における吸着装置60が上の荷物5A及び下の荷物5Cを持ち上げた状態を示す図である。
【0120】
図21は、第1の実施形態に係る荷役装置10における吸着装置60が上の荷物5A及び下の荷物5Cを引きずり出す状態を示す図である。
【0121】
吸着装置60が上の荷物5A及び下の荷物5Cを第2のベルトコンベア40まで引きずり出すと、ステップS209において、制御部100は、負圧発生装置65を制御して吸着装置60による上の荷物5A及び下の荷物5Cの吸着を解除する。吸着が解除された荷物5A及び荷物5Cは第2のベルトコンベア40によって第1のベルトコンベア6に移動される。その後、第1のベルトコンベア6によって、荷物5A及び荷物5Cは搬送先に搬送される。
【0122】
そして、制御部100は、荷役装置10による荷役作業を繰り返し実施する。
【0123】
このように構成された荷役装置10は、第1の上面吸着部62aに対する第2の上面吸着部62cの位置を独立して移動することが可能となる。このため、第2の上面吸着部62cによる荷物5の上面の吸着位置を、第1の上面吸着部62aに対する第2の上面吸着部62cの移動可能な範囲内で、任意に設定することが可能となる。このため、第1の上面吸着部62aは手前の荷物5Aの上面、第2の上面吸着部62cは奥の荷物5Bの上面、側面吸着部63は手前の荷物5Aの側面をそれぞれ吸着可能となるので、手前の荷物5A及び奥の荷物5Bが連結された荷物を安定して取り出すことが可能となる。
【0124】
また、第1の側面吸着部63aに対する第2の側面吸着部63cの位置を独立して移動することが可能となる。このため、第2の側面吸着部63cによる荷物5の側面の吸着位置を、第1の側面吸着部63aに対する第2の側面吸着部63cの移動可能な範囲内で、任意に設定することが可能となる。このため、上面吸着部62は上の荷物5Aの上面、第1の側面吸着部63aは上の荷物5Aの側面、第2の側面吸着部63cは下の荷物5Cの側面をそれぞれ吸着可能となるので、上の荷物5A及び下の荷物5Cが連結された荷物を安定して取り出すことが可能となる。
【0125】
さらに、荷役装置10が第1のセンサ部30を有することで、荷物5Aと他の荷物との連結状態を取得可能となる。
【0126】
さらに、荷役装置10が制御部100を有することで、第1のセンサ部30で取得された連結状態を含む情報に応じて、第1の上面吸着部62aは一方の荷物を吸着し、第2の上面吸着部62cは他方の荷物を吸着するように第2移動部68を制御することが可能となる。また、荷役装置10が制御部100を有することで、第1のセンサ部30で取得された連結状態を含む情報に応じて、第1の側面吸着部63aは一方の荷物を吸着し、第2の側面吸着部63cは他方の荷物を吸着するように第3移動部69を制御することが可能となる。
【0127】
図22は、第1の実施形態に係る荷役装置10における吸着装置60の変形例の斜視図である。
図22に示すように、吸着装置60の変形例である吸着装置260は、基部261に対して第1の上面吸着部262a及び第2の上面吸着部262cが対称に位置する構造であってもよい。また、吸着装置260は、基部261に対して第1の側面吸着部263a及び第2の側面吸着部263cが対称に位置する構造であってもよい。
【0128】
吸着装置260は、第1の実施形態に係る吸着装置60と同様に、第1の上面吸着部262a、第2の上面吸着部262c、第1の側面吸着部263a及び第2の側面吸着部263cを有する。また、吸着装置260は、第1の上面吸着部262aを移動させる第5移動部270、第2の上面吸着部262cを移動させる第6移動部268、第1の側面吸着部263aを移動させる第7移動部264及び第2の側面吸着部263cを移動させる第8移動部269を有する。
【0129】
第5移動部270は、駆動部270a及び移動部270bを有する。駆動部270aは、移動部270bを駆動することで、第1の上面吸着部262aを移動させる。移動部270bは、一例として、伸縮可能に構成される。移動部270bは、伸縮することで、第1の上面吸着部262aを一方向に移動させる。駆動部270aは、例えば、モータやエアシリンダ等である。このように構成された第5移動部270は、移動部270bの移動方向が、基部261が初期位置にあるときに水平方向となるように、基部261に固定される。
【0130】
第6移動部268は、第5移動部と同様の構成にしてもよい。
【0131】
第7移動部264は、駆動部264a、駆動部264c、移動部264b及び移動部264dを有する。駆動部264aは、移動部264bを駆動することで、第1の側面吸着部263aを移動させる。また、駆動部264cは、移動部264dを駆動することで、第1の側面吸着部263aを移動させる。移動部264b及び移動部264dは、一例として、伸縮可能に構成される。移動部264bは、伸縮することで、第1の側面吸着部263aを一方向に移動させる。また、移動部264dは、伸縮することで、第1の側面吸着部263aを一方向に移動させる。駆動部264a及び駆動部264cは、例えば、モータやエアシリンダ等である。このように構成された第7移動部264は、移動部264bの移動方向が、基部261が初期位置にあるときに水平方向となるように、基部261に固定される。また、第7移動部264は、移動部264dの移動方向が、基部261が初期位置にあるときに上下方向となるように、基部261に固定される。
【0132】
第8移動部269は、第4移動部264と同様の構成にしてもよい。
【0133】
吸着装置260の構造にすることにより、荷物5の上面を第1の上面吸着部262a及び第2の上面吸着部262cで吸着し持ち上げた際に、基部261aに負荷されるねじり応力は吸着装置60の構造と比較して減少する。
【0134】
また、荷物5の側面を第1の側面吸着部263a及び第2の側面吸着部263cで吸着し持ち上げた際に、基部261及び移動部264bに負荷されるねじり応力は吸着装置60の構造と比較して減少する。
【0135】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、複数の荷物5の上面を撮像する第1のセンサ部30によって取得された情報に基づき、荷物5の連結状態が取得された。第2の実施形態は、複数の荷物5の上面及び側面を撮像する第4のセンサ部330(連結状態検出部)によって取得された情報に基づき、荷物5の連結状態を取得するものである。
【0136】
第2の実施形態に係る荷役装置310を、
図23乃至
図32を用いて説明する。なお、荷役装置310の、第1の実施形態の荷役装置10と同様の機能を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0137】
図23は、第2の実施形態に係る荷役装置310の構成を示す斜視図である。
【0138】
第1の実施形態に係る荷役装置10との構成の違いは、荷役装置310は第4のセンサ部330を有することである。
【0139】
第4のセンサ部330は、筐体本体21の開口23側の柱部21aに固定される。第4のセンサ部330は、第1の実施形態に係る荷役装置10の第1のセンサ部30と同様の機能を有する。第4のセンサ部330は、荷物5の上面及び側面を撮像可能なため、荷物5と他の荷物との前後方向及び上下方向における連結状態を検知可能となる。
【0140】
本実施形態では、第4のセンサ部330二つが、筐体本体21の開口23側の二つの柱部21aにそれぞれ固定されるが、第4のセンサ部330は必ずしも二つ有する必要はなく、どちらか片方であってもよい。また、第4のセンサ部330は、荷物5の上面及び側面を撮像可能な位置であればどこに固定されてもよい。
【0141】
図24は、第2の実施形態に係る荷役装置310の動作を示す図である。
図24の説明については後述する。
【0142】
まず、制御部300は、荷役装置310を初期状態にする。
【0143】
図25は、第2の実施形態に係る荷役装置10の初期状態を示す図である。初期状態は、第1の実施形態と同様に、荷役装置310の基部361、移動部364b、移動部368b及び移動部369bが初期位置に位置した状態である。
【0144】
次に、第4のセンサ部330は、載置部7に載置された複数の荷物5を撮像し、撮像された画像を制御部100に送信する。
【0145】
次に、制御部100は、第4のセンサ部330が取得した画像に基づいて、複数の荷物5のうち、第1のベルトコンベア6に移動する荷物5Aを決定する。移動する荷物5Aを決定する方法は、第1の実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0146】
次に、制御部100は、荷物5Aが前後方向に結束されているか否かを判定する。荷物5Aが前後方向に結束されているか否かの判定は、制御部100が、例えば撮像された画像から判定する。移動する荷物5Aが結束されているか否かの判定は、制御部100が、例えば撮像された画像からPPバンド、結束バンド及び紐等の結束手段を検知することにより行う。制御部100は、撮像された画像において結束手段が前後方向に隣接する複数の荷物を横切っている場合、複数の荷物は結束手段により前後方向に連結されていると判定する。制御部100は、撮像された画像において結束手段が前後方向に隣接する複数の荷物を横切っていない場合、複数の荷物は結束手段により前後方向に連結されていないと判定する。
【0147】
次に、制御部100は、荷物5Aが上下方向に結束されているか否かを判定する。制御部100は、撮像された画像において結束手段が上下方向に隣接する複数の荷物を横切っている場合、複数の荷物は結束手段により上下方向に連結されていると判定する。制御部100は、撮像された画像において結束手段が上下方向に隣接する複数の荷物を横切っていない場合、複数の荷物は結束手段により上下方向に連結されていないと判定する。複数の荷物は結束手段により前後方向に連結されており、かつ上下方向に連結されていると判定された場合、
図24(a)に示すフローを開始する。
【0148】
図24(a)に示すフローを開始した場合、ステップS401において、制御部100は、第1の上面吸着部362a、第2の上面吸着部362c、第1の側面吸着部363a及び第2の側面吸着部363cが荷物5Aと前後方向に連結されている荷物5Bと上下方向に連結されている荷物5Cとを把持する把持位置を決定する。制御部100は、第1の上面吸着部362a及び第1の側面吸着部363aは一方の荷物5Aを吸着し、第2の上面吸着部362cは荷物5Bを吸着し、第2の側面吸着部363cは荷物5Cを吸着するようにそれぞれの吸着部が荷物を把持する位置を決定する。
【0149】
ステップS402において、制御部100は、吸着装置360を荷物5Aの載置方向に移動する。
【0150】
図26は、第2の実施形態に係る荷役装置310における第1の上面吸着部362aが荷物5Aの上面に対向する状態を示す図である。ステップS402において、制御部100は、吸着装置360の第1の上面吸着部362aを荷物5Aの上面の凡そ面重心に対向する位置に移動する。
【0151】
ステップS403において、制御部100は、第2の上面吸着部362cを荷物5Bの上面に対向するように移動する。
【0152】
図27は、第2の実施形態に係る荷役装置310における第2の上面吸着部362cが荷物5Bの上面に凡そ面重心に対向する状態を示す図である。
【0153】
ステップS404において、制御部100は、上面吸着部362が荷物5A及び荷物5Bと接する位置に吸着装置360を移動する。
【0154】
ステップS404における吸着装置360の移動は、第1の実施形態におけるステップS104と同様のため、説明を省略する。
【0155】
図28は、第2の実施形態に係る荷役装置310における上面吸着部362が荷物5A及び荷物5Bと接する状態を示す図である。
【0156】
ステップS405において、制御部100は、負圧発生装置65を制御して手前荷物5A及び奥荷物5Bの上面を吸着する。手前荷物5A及び奥荷物5Bの上面の吸着は、第1の実施形態におけるステップS105と同様のため、説明を省略する。
【0157】
ステップS406において、制御部100は、第2の側面吸着部363cを荷物5Cの側面に対向するように移動する。
【0158】
図29は、第2の実施形態に係る荷役装置310における第2の側面吸着部363cが荷物5Cの側面に凡そ面重心に対向する状態を示す図である。
【0159】
ステップS407において、制御部100は、側面吸着部363が荷物5A及び荷物5Cと接する位置に側面吸着部63を移動する。
【0160】
図30は、第2の実施形態に係る荷役装置310における側面吸着部363が荷物5A及び荷物5Cと接する状態を示す図である。
【0161】
ステップS408において、制御部100は、負圧発生装置365を制御して荷物5A及び荷物5Cの側面を吸着する。
【0162】
ステップS409において、制御部100は、荷物5A、荷物5B、荷物5C及び荷物5Dを持ち上げ、引きずり出す。
【0163】
図31は、第2の実施形態に係る荷役装置310における吸着装置360が荷物5A、荷物5B、荷物5C及び荷物5Dを持ち上げた状態を示す図である。
【0164】
図32は、第2の実施形態に係る荷役装置310における吸着装置360が荷物5A、荷物5B、荷物5C及び荷物5Dを引きずり出す状態を示す図である。
【0165】
ステップS410において、制御部100は、負圧発生装置365を制御して吸着装置360による荷物5A、荷物5B、荷物5C及び荷物5Dの吸着を解除する。
【0166】
そして、制御部100は、荷役装置310による荷役作業を繰り返し実施する。
【0167】
複数の荷物は結束手段により前後方向に連結されており、かつ上下方向には連結されていないと判定された場合、荷役装置310は、第1の実施形態におけるステップS101乃至ステップS109と同様の動作を行うため、説明を省略する。
【0168】
複数の荷物は結束手段により前後方向には連結されておらず、かつ上下方向に連結されていると判定された場合、荷役装置310は、第1の実施形態におけるステップS201乃至ステップS209と同様の動作を行うため、説明を省略する。
【0169】
本実施形態は、第4のセンサ部330を吸着装置360に設置することで、移動する荷物5Aが前後方向及び上下方向に連結されていることを検知可能となる。このため、第4のセンサ部330で取得された連結状態を含む情報に応じて、第1の上面吸着部362a及び第1の側面吸着部363aは手前上側の荷物を吸着し、第2の上面吸着部362cは奥上側の荷物を吸着し、第2の側面吸着部363cは手前下側の荷物を吸着するように制御することが可能となる。
【0170】
なお、第4のセンサ部330は、吸着装置360に設置することに限定されず、荷物5の上面及び側面を撮像可能な場所であれば、どこに設置してもよい。
【0171】
このように、第1の実施形態乃至第2の実施形態によれば、連結された荷物を安定して移動可能な荷役装置を提供することができる。
【0172】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0173】
7・・・載置部
10、310・・・荷役装置
30・・・第1のセンサ部
60、260、360・・・吸着装置
62、362・・・上面吸着部
62a、262a、362a・・・第1の上面吸着部
62c、262c、362c・・・第2の上面吸着部
63、363・・・側面吸着部
63a、263a、363a・・・第1の側面吸着部
63a、263c、363c・・・第2の側面吸着部
63c・・・第2の側面吸着部
64、264・・・第4移動部
68・・・第2移動部
69・・・第3移動部
70・・・第1移動部
90・・・第2のセンサ部
95・・・第3のセンサ部
100、300・・・制御部
110・・・センサ部
120・・・荷役制御装置
330・・・第4のセンサ部