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特許7479911建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
E06B9/17 W
E06B9/17 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020077071
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021173042
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】浅利 啓太
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特許第3962682(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の左右に取付けられるガイドレールと、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンと、開口部上方の躯体に支持され、前記シャッターカーテンが巻装される巻取り体とを備えて構成される建築用シャッター装置において、
前記シャッターカーテンの上端縁部に設けられる吊元具を、巻取り体に係止するための上側の係止部とシャッターカーテンを横置き状に載置できる下側の載置部とを備えた吊り持ち具を用いて巻取り体に吊り込むための吊り込み方法であって、
吊り持ち具の係止部を巻取り体に係止する係止工程、
り持ちの載置部にシャッターカーテンを載置する載置工程、
係止部を巻取り体に係止し、載置部にシャッターカーテンを載置した状態で、該載置されたシャッターカーテンの吊元具を巻取り体まで引き上げる引き上げ程、
該引き上げられた吊元具を巻取り体に連結することで吊り込む吊り込み工程、
が実行されることを特徴とする建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法。
【請求項2】
載置部に載置されるシャッターカーテンは、開口部の開閉に必要な設計長さよりは短い上側部位であり、残りの下側部位は、吊り込み行程の後に実行される連結行程で上側部位に連結されることを特徴とする請求項記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法。
【請求項3】
載置部に載置されるシャッターカーテンは、吊元具が渦巻き芯となり、開口部の閉鎖状態において下側となる部位が引き出し端縁部となって巻取り体側に引き出せるよう予め渦巻き状に巻装されていることを特徴とする請求項1または2記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法。
【請求項4】
載置部に載置されるシャッターカーテンは、予め渦巻き状に巻装されたものであって、巻取り体が躯体に対して屋内側に配された正巻き仕様である場合には屋外側面が外周面となるよう巻装され、屋外側に配された逆巻き仕様である場合には、屋内側面が外周面となるよう巻装されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法。
【請求項5】
巻取り体は、開口部上方の躯体に対して前後方向間隙を存するようにして支持される一方、吊り持ち具の係止部は、載置部の開口先端縁部が巻取り体を挟んで躯体とは逆側に位置するように巻取り体に係止されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法。
【請求項6】
引き上げ行程は、巻取り体まで引き上げた引き出し端縁部を、該巻取り体の上側を前記躯体とは逆側から躯体側に向けて山越えする状態で引き回したものを、さらに躯体と巻取り体とのあいだの間隙を通して引き下ろすよう移動させることで、吊元具を巻取り体位置にまで引き上げることを特徴とする請求項記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法。
【請求項7】
巻取り体は、躯体側に取り付けられた左右ブラケット間に支架される巻取り軸と、該巻取り軸に設けられ、吊元具が吊り込まれる巻取りホイールとを備え、吊り持ち具の係止部は、巻取り軸に係止されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用シャッター装置を現場にて組み付ける際に、シャッターカーテンを開口部上方に設けた巻取り体に吊り込むために用いられるシャッターカーテンの吊り込み方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築用のシャッター装置のなかには、該シャッター装置を現場組み込みする場合に、シャッターカーテンを人力で持ち上げて巻取り体(巻取りホイールに連結できる軽量型のものがあり、このようなものとしては、例えば店舗の出入り口に建て付けられるシャッター装置が実在する。このような軽量型のシャッター装置において、シャッターカーテンは、シャッターカーテンの上端縁部に設けた吊元具(吊元、吊元金具、連結金具、連結体等)を、開口部上方の躯体と前後方向に間隙を存するよう配した巻取り体に連結し、これによってシャッターカーテンを巻取り体に対して巻き出し、巻き取り自在となるよう巻装した構成にしている。
この場合にシャッターカーテンは、開口部の広さに対応して左右方向に幅広であり、そして吊元具の巻取り体への連結を、少なくとも左右両端側の二か所で行う必要があること等の理由から、従来は、最低でも二人の作業者がシャッターカーテンの左右両端部位をもって持ち上げ保持した状態で、左右対応する側において作業者がそれぞれ吊元具を巻取り体に連結するようにして組み付けていた。このため、最低でも二人作業が強いられ、しかもシャッターカーテンを持上げ保持したままの姿勢で、吊元具を巻取り体に連結する作業が必要になって作業性、操作性が悪い等の問題がある。
そこで、シャッターカーテンを、左右ブラケットに支持された巻取り体に巻装されたセット物とし、このセット物になったシャッターカーテンを、シート状の持上げ体で包んだ状態で持ち上げて躯体側に取り付けるようにしたもの、躯体側に取り付けられた左右ブラケットのコーナー部間等に支持ステーが設けられたものにし、そして該支持ステーの左右両端側に係止したS字形の吊り持ち具に巻装状態のシャッターカーテンを横置き状に保持せしめ、該保持されたシャッターカーテンの最先に引き上げられる吊元具を巻取り体に連結するようにしたものが知られている(何れも特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3962682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前者のものは、シャッターカーテンと共に持上げた左右ブラケットを躯体側に取り付ける作業が必要になるが、このような作業は一人ではできず、依然として二人以上での作業が強いられるという問題がある。
これに対して後者のものは、作業者が保持しないでもシャッターカーテンを吊り持ち状態に維持でき、そして吊元具を巻取り体まで持上げて連結することで、一人でも左右の吊元具を巻取り体に取付けることが可能とはなるが、このものは支持ステーに吊り持ち具を係止するものであるため、支持ステーがないものであったり支持ステーが強度不足であるような場合には採用できないことになる。
ところで吊元具を巻取り体に連結するには、吊元具を、巻取り体と開口部上側に配される壁等の躯体部材とのあいだの隙間を通す状態で持ち上げてから巻取り体との連結作業をする必要がある。
このため前記支持ステーに係止した吊り持ち具に横置きしたシャッターカーテンから吊り持ち具を持ち上げて巻取り体に連結しようとした場合、吊り持ち具は開口先端縁部が躯体側に位置する状態で支持ステーに取付けられるものであるため、シャッターカーテンは、躯体側から開口部の左右開口幅一杯の幅があるものを持ち上げて吊り持ち具に載置することになり、このためシャッターカーテンが開口部の左右端縁部に当接したりして吊り持ち具への載置作業がしづらいだけでなく、該載置されたシャッターカーテン先端部の吊元具を、巻取り体まで持ち上げる作業においても近接する躯体が邪魔になって作業性、操作性に劣るという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、開口部の左右に取付けられるガイドレールと、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンと、開口部上方の躯体に支持され、前記シャッターカーテンが巻装される巻取り体とを備えて構成される建築用シャッター装置において、前記シャッターカーテンの上端縁部に設けられる吊元具を、巻取り体に係止するための上側の係止部とシャッターカーテンを横置き状に載置できる下側の載置部とを備えた吊り持ち具を用いて巻取り体に吊り込むための吊り込み方法であって、吊り持ち具の係止部を巻取り体に係止する係止工程、り持ちの載置部にシャッターカーテンを載置する載置工程、係止部を巻取り体に係止し、載置部にシャッターカーテンを載置した状態で、該載置されたシャッターカーテンの吊元具を巻取り体まで引き上げる引き上げ程、該引き上げられた吊元具を巻取り体に連結することで吊り込む吊り込み工程、が実行されることを特徴とする建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法である。
請求項2の発明は、載置部に載置されるシャッターカーテンは、開口部の開閉に必要な設計長さよりは短い上側部位であり、残りの下側部位は、吊り込み行程の後に実行される連結行程で上側部位に連結されることを特徴とする請求項記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法である。
請求項3の発明は、載置部に載置されるシャッターカーテンは、吊元具が渦巻き芯となり、開口部の閉鎖状態において下側となる部位が引き出し端縁部となって巻取り体側に引き出せるよう予め渦巻き状に巻装されていることを特徴とする請求項1または2記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法である。
請求項4の発明は、載置部に載置されるシャッターカーテンは、予め渦巻き状に巻装されたものであって、巻取り体が躯体に対して屋内側に配された正巻き仕様である場合には屋外側面が外周面となるよう巻装され、屋外側に配された逆巻き仕様である場合には、屋内側面が外周面となるよう巻装されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法である。
請求項5の発明は、巻取り体は、開口部上方の躯体に対して前後方向間隙を存するようにして支持される一方、吊り持ち具の係止部は、載置部の開口先端縁部が巻取り体を挟んで躯体とは逆側に位置するように巻取り体に係止されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法である。
請求項6の発明は、引き上げ行程は、巻取り体まで引き上げた引き出し端縁部を、該巻取り体の上側を前記躯体とは逆側から躯体側に向けて山越えする状態で引き回したものを、さらに躯体と巻取り体とのあいだの間隙を通して引き下ろすよう移動させることで、吊元具を巻取り体位置にまで引き上げることを特徴とする請求項記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法である。
請求項7の発明は、巻取り体は、躯体側に取り付けられた左右ブラケット間に支架される巻取り軸と、該巻取り軸に設けられ、吊元具が吊り込まれる巻取りホイールとを備え、吊り持ち具の係止部は、巻取り軸に係止されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるシャッターカーテンの吊り込み方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、シャッターカーテンの上端縁部に設けた吊元具を、吊り持ち具を用いて上方の巻取り体に連結するに際し、該吊り持ち具は、シャッターカーテンが巻装される充分な強度を持った巻取り体に係止されるものである結果、左右ブラケット間を連結する支持ステーがないものや強度不足のものであっても、問題なく採用することができる。
請求項の発明とすることにより、吊元具を巻取り体に連結する作業において、シャッターカーテンは、上側部位のみの短いもので良いため、シャッターカーテンの載置部への載置、そして該載置されたシャッターカーテンの先端部を巻取り体まで引き上げる作業の負担が軽減されることになって操作性、作業性が向上する。
請求項の発明とすることにより、シャッターカーテンを載置部に載置する際に、引き出し端縁部が載置部の開口先端側から引き上げられるように載置されることで、引き出し端縁部の引き出し作業が、躯体とは逆の広いスペース側からできることになって、操作性、作業性が向上する。
請求項の発明とすることにより、シャッター装置が正巻仕様、逆巻き仕様の何れの仕様においても吊り持ち具を用いて吊元具の巻取り体への連結作業が簡単にできることになって操作性、作業性が向上する。
請求項5の発明とすることにより、吊り持ち具は、載置部の開口先端縁部が躯体とは逆側が開口した状態になるため、シャッターカーテンの吊り持ち具への載置作業、該載置されたものを巻取り体まで持ち上げる作業が躯体側に邪魔されることなくできることになって一人作業でも容易にシャッターカーテンの巻取り体への連結ができ、操作性、作業性が向上する。
請求項の発明とすることにより、吊元具を巻取り体まで持ち上げる作業が躯体とは逆側の広いスペースでできながら、引き上げられたシャッターカーテンは、巻取り体を山越えして支持される凭れ状態で移動して吊元具を巻取り体位置まで引き上げることができるため、吊元具の巻取り体までの引き上げ作業が容易であるうえ、吊元具の巻取り体への連結作業が、シャッターカーテンが巻取り体に凭れた状態でできることになって操作性、作業性が向上する。
請求項7の発明とすることにより、巻取り体が、巻取り軸とシャッターカーテンが巻装される巻取りホイールとに構成され、そして吊り持ち具は巻取り軸に係止されることになるため、係止した吊り持ち具が巻取りホイールに吊元具を連結する際の作業を邪魔することがなく、操作性、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】建築用シャッター装置の正面図である。
図2】建築用シャッター装置の側面断面図である。
図3】建築用シャッター装置の巻取りホイール部位の側面断面図である。
図4】シャッターカーテンの正面図である。
図5】(A)(B)は正巻き仕様、逆巻き仕様の建築用シャッター装置の巻取りホイール部位の側面図である。
図6】正巻き仕様の場合において巻取り軸に係止した吊り持ち具にシャッターカーテンを載置した状態を示す正面図である。
図7】吊り持ち具の側面図である。
図8】巻取り軸に係止した吊り持ち具にシャッターカーテンを載置した状態を示す側面図である。
図9】(A)(B)(C)(D)はシャッターカーテンの吊元具を巻取りホイールに連結するまで手順を示す説明図である。
図10】逆巻き仕様の場合において巻取り軸に係止した吊り持ち具にシャッターカーテンを載置した状態を示す側面図である。
図11】他例の吊り持ち具にシャッターカーテンを載置した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は軽量型のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、窓や出入り口等の開口部Eの屋内外を前後に仕切るべく開閉移動するシャッターカーテン2、該シャッターカーテン2の左右両端縁部を案内するべく開口部Eの左右両端部に取り付けられるガイドレール3、躯体Wの開口部E上方の屋内側壁面(躯体側部材)Wに取り付けられる左右ブラケット4、該左右ブラケット4に支架(固定)される巻取り軸(固定軸)5、該巻取り軸5に左右方向に間隙を存する状態で回転自在に軸支されていて、前記シャッターカーテン2が巻装される巻取りホイール6、巻取り軸5に外嵌する状態で巻取り軸5と巻取りホイール6とのあいだ介装され、シャッターカーテン2が開閉作動する際のシャッターカーテン2の自重変化をバランス化させるため巻取り軸5と巻取りホイール6とのあいだを弾装するバランス弾機7等の各種の部材装置を用いて構成されていること等は、何れも従来通りである。
因みに、固定軸となる巻取り軸5と、該巻取り軸に回転自在に支持される巻取りホイール6とでシャッターカーテン2を巻装する巻取り体が構成されるが、巻取り体としては、巻取り軸と巻取りホイールとが一体となって左右ブラケット4に対して回動自在に支持されたものとすることもできる。
【0009】
尚、本実施の形態のシャッター装置1は、シャッターカーテン2の自重変化をバランス弾機7によりバランス化させる構造になっているため、一般的には手動式のものとして提供されるが、電動機(電動開閉機)からの駆動力を受けた電動式にして巻取りホイール6を動力駆動させる構成にしてもよく、この場合には、バランス弾機7は必要において設けられたものとすることができる。
さらにシャッターカーテン2は、隣接するスラット2aの上下両端縁部同士をインターロック結合することで一連状に形成されたものであり、最下端部に座板2bが連結され、最上端部に吊元具8が連結されている。そして該吊元具8が前記巻取りホイール6にビス6a等の適宜の連結手段を介して連結されており、このようにしてシャッターカーテン2を巻取りホイール6に連結することにより、シャッターカーテン2は、巻取りホイール6に対して巻き出し、巻き取り自在に巻装させたものになっている。
また本実施の形態のものでは、左右ブラケット4間を囲繞する状態でシャッターケース9が設けられ、そして左右ブラケット4の四隅のコーナー部間に支持ステー4aが設けられた補強構造になっているが、シャッターカーテン2が開口部Eに繰り出されるマグサ部位Mに設けられる支持ステー4aは、ガイドレール2に対して屋内側に隣接する部位に配されたものとなっているが、支持ステー4aは、必要において設けられるものであって、あってもなくてもよいものである。さらにまた、巻取りホイール6間には連結ステー6bが設けられていて、各巻取りホイール6同士を、補強を兼ねた状態で一体回動させる構成になっている。
【0010】
10はシャッターカーテン2を巻取りホイール6に連結する際に、該シャッターカーテン2を持上げた吊り上げ状態で保持することができる吊り持ち具であって、該吊り持ち具10は、上方が開口していて、渦巻き状に巻装されたシャッターカーテン2を横向き(横置き)姿勢で載置できる載置部10aと、該載置部10aの一方側の上端部が上方に延長され、その延長端縁部が載置部10a側に向けて折り返し状に湾曲された係止部10bとを備えているが、これら載置部10a、係止部10bは何れも同じ側が開口(載置部10aは上側が開口し、係止部10bは下側が開口している。)していることによりJ字形に形成されたものになっている。さらにこのものには、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の素材からなる軟質樹脂製の被覆材11で被覆されているが、該被覆材11は、筒状をし、載置部10aの開口先端縁部10cよりも僅かに(例えば10mm)突出する状態で設けられており、これによって後述するように載置されるシャッターカーテン2や係止される巻取り軸5が傷いたりしないよう保護する配慮がなされている。
【0011】
次に、シャッターカーテン2を巻取りホイール6に連結する手順について説明するが、シャッターカーテン2としては、例えば設計長さのものに対して上下に二分割し、上半部側のシャッターカーテン2を巻取りホイール6に連結した後、該上半部側のシャッターカーテン2に下半部側のシャッターカーテン2を左右方向にスライド移動(インターロック結合部同士のスライド移動)して連結することで、シャッターカーテン2の現場での組み込み作業を行う際に、減量化(軽量化)を図る状態での組み込みができるが、本実施の形態では、この形態を実施したものとして説明する。このため本実施の形態において巻取りホイール6に連結されるシャッターカーテン2は、座板2bを含めて下半部側がない途中まで(上半部)のものとなっている。勿論、吊り持ち具10に載置するシャッターカーテン2の分割位置については正確に二分割する必要はなく、作業性を考慮して、巻取りホイール6に連結されるシャッターカーテン2としては、例えば上側スラット2aの10枚程度が連結されたものとすることができる。
【0012】
さらに本実施の形態においては、左右ブラケット6を開口部上方の躯体(例えば天井部位の正面垂れ壁)Wに取り付けることになるが、このようなもののなかには、巻取りホイール6、バランス弾機7が組み込まれた巻取り軸5、シャッターカーテン2、ガイドレール3、左右ブラケット6、支持ステー4a等の各種の部材装置が現場搬入され、そして組み立てられる。この場合に、上半側のシャッターカーテン2を巻取りホイール6に連結するには、躯体W側に取り付けられた左右ブラケット6に、前記巻取りホイール6が組み込まれた巻取り軸5を取り付けた状態で、
・吊り持ち具10の巻取り軸5への係止工程、
・該係止された吊り持ち具10にシャッターカーテン6を載置する載置工程、
・該載置されたシャッターカーテン2に設けられた吊元具8を巻取りホイール6まで引き上げる引き上げ行程、
・該引き上げられた吊元具8を巻取りホイール6に連結することで吊り込む吊り込み工程、
が順次実行され、これによってシャッターカーテン2を巻取りホイールに連結できることになる。そしてその後、前述したように下半部側のシャッターカーテン2を巻取りホイール6に連結された上半側のシャッターカーテンに連結する連結行程が実行され、このようにして設計長さになったシャッターカーテン2を巻取りホイール6に巻き取って開口部Eにシャッターカーテン2がない開口(開放)状態にした後、開口部左右の躯体Wにガイドレール3を取り付け、しかる後、シャッターカーテン2をガイドレール3にガイドさせるべくセットする等、必要な作業をすることでシャッター装置1の現場組み込みができるようになっている。
【0013】
次に前記シャッターカーテン2を巻取りホイール6に連結するまでの前記各工程について詳述する。
まず吊り持ち具10を巻取り軸5に係止する係止工程であるが、吊り持ち具10としては必要において2本以上(複数本)を採用することができるが、ここでは左右2本を用いた場合について説明する。そして該2本の吊り持ち具10の係止部10bを巻取り軸5の左右両端縁部に係止することになるが、その場合に、係止部10bを、躯体Wと巻取り軸5とのあいだの間隙Xを通して躯体W側から該巻取り軸5の左右両端縁部に係止する。
そしてこのように係止部10bを巻取り軸5に係止することで、吊り持ち具10は、載置部10aと係止部10bとが躯体W側で上下に連結し、巻取り軸5をあいだに挟む状態で躯体Wとは逆の広いスペースが確保できる側、つまり巻取り軸5、巻取りホイール6よりも屋内側スペースS側に載置部10aの開口先端縁部10cが位置する(向く)ように配される。
【0014】
次に、前記巻取り軸5に係止された吊り持ち具10にシャッターカーテン6を載置する載置工程について説明する。前記巻取り軸5に係止された吊り持ち具10は、シャッターカーテン2が載置されていない状態では、その重心が載置部10aの円弧中心部位に凡そあり、この結果、該吊り持ち具10は、開口先端縁部10cが巻取り軸5よりも手前側、つまり巻取り軸5をあいだに挟んで躯体Wとは逆の屋内側スペースS側に位置する状態で垂下している(図9(C)(D)参照)。この結果、後述するように渦巻き状に巻装されたシャッターカーテン2を載置部10aに載置する作業が、前記躯体Wとは逆側の広い屋内側のスペースS側からできることになって載置作業が容易になる。
【0015】
一方、前記吊り持ち具10の載置部10aに載置されるシャッターカーテン2は、吊元具8側が渦巻き芯となり、開口部Eの閉鎖状態において下側となる端縁部位が渦巻き外端となって引き出し端縁部2dとなり、巻取りホイール6側に引き出せるよう予め渦巻き状に巻装されたものであり、本実施の形態のものは、図5(A)に示す如く、巻取りホイール6が屋内側に配される正巻き仕様のシャッター装置1であるため、該シャッターカーテン2は、図8に示す如く、屋外側面(正面)2cが渦の外周面(外側面)となるよう巻装されている。
このように渦巻き状に巻装されたシャッターカーテン2を載置部10aに横置き状に載置する載置工程になるが、この場合に、シャッターカーテン2は、前記引き出し端縁部2dが載置部10aの開口先端縁部10c側に位置するよう載置される。
そしてこのようにシャッターカーテン2が載置された吊り持ち具10は、載置されたシャッターカーテン2の荷重が加わることになって、その重心は載置部10aの凡そ円弧中心部位になり、この結果、載置部10aは躯体W側(屋外側)に移動(揺動)して開口先端縁部10cが巻取りホイール6に前記逆側において近接する。
【0016】
次に、このように載置部10aに載置された状態のシャッターカーテン2の吊元具8を巻取りホイール6まで引き上げる引き上げ工程になるが、これは、シャッターカーテン2の前記引き出し側端部2dを、前記屋内側スペースSにおいて、作業者が把持して持ち上げて巻取りホイール6にまで至らしめたものを、さらに該スペースS側から巻取りホイール6の上側を山越えするようにして躯体W側に引き回し、そして該引き回した引き出し端縁部2dを躯体Wと巻取りホイール5との間隙Xを通すようにして下降移動させると、吊元具8が上動して巻取りホイール6にまで至ることになり、該至った吊元具8を巻取りホイール6にビス6aを介して連結することでシャッターカーテン2の巻取りホイール6に対する吊り込みがなされ、これによってシャッターカーテン2の引き上げ工程、吊り込み工程が実行されることになる。
この場合に、吊り持ち具10は、シャッターカーテン2の荷重を受けて躯体W側(屋外側)に偏倚していたものが、シャッターカーテン2が引き上げられることにより次第に軽くなり、そして吊元具8が完全に引き上げられた段階でシャッターカーテン2からの荷重を受けることがなくなるため、吊り持ち具10は、シャッターカーテン2を載置する前の吊り持ち具10の自重を受けた垂下姿勢に復帰する、つまりシャッターカーテン2の荷重を受けて屋外側に揺動していた姿勢(図8参照)から屋内側に揺動することになって(図9(C)参照)、前記躯体Wと巻取りホイール5との間隙Xが広くなり、これによってシャッターカーテン2を該間隙Xを通す際に吊り持ち具10が邪魔になることが低減するよう配慮されている。
尚、シャッターカーテン2が持ち上げられて載置のなくなった吊り持ち具10は、既に用済みであるため必要において巻取り軸5から取り外したもの(図9(D)参照)として次の作業ができることになる。
【0017】
叙述の如く構成された本実施の形態において、シャッターカーテン2の上端縁部に設けられる吊元具8を巻取りホイール6に連結する際に、吊り持ち具10を用いてシャッターカーテン2を吊り上げた状態で保持することになるが、この場合に、吊り持ち具10は、上側の係止部10bを巻取り軸5に係止した吊り状態としたときに、下側に配される載置部10aの開口先端縁部10cが巻取りホイール6をあいだに挟んだ状態で躯体W側とは逆側において広く確保できる屋内側スペースSに配されたものになる結果、該屋内側スペースSからシャッターカーテン2を横置き状に載置できることになって、シャッターカーテン2の吊り持ち具への載置作業や巻取りホイール6への連結作業が一人でも容易にできることになり操作性、作業性が向上する。
【0018】
しかも吊り持ち具10は、載置部10aと係止部10bとが巻取りホイール6をあいだに挟んで躯体W側において上下に連結されたJ字形をし、前記屋内側スペースS側が開口しているため、前述したように、シャッターカーテン2の載置部10aへの載置作業が容易になるだけでなく、該載置されたシャッターカーテン2を引き上げる際に、該吊り持ち具10が邪魔になってしまうことがない。
そして係止部10bは、左右ブラケット4間に支架され、シャッターカーテン2が連結される巻取りホイール6が支持される小径の巻取り軸5に係止されるため、該係止部10bが巻取りホイール6に吊元具8を連結する際の一連の作業を邪魔することがなく、操作性、作業性が向上する。
【0019】
このように本実施の形態において、シャッターカーテン2を巻取りホイール6に連結して吊り込む作業において、前述したように吊り持ち具10を用いて行うことで操作性、作業性が向上したものになるが、この場合の手順としては、前述したように、吊り持ち具10を巻取り軸5に係止する係止工程、該係止された吊り持ち具10の載置部10aにシャッターカーテン2を載置する載置工程、該載置されたシャッターカーテン2の吊元具8を巻取りホイール6まで引き上げる引き上げ行程、そして引き上げられた吊元具8を巻取りホイール6に連結することで吊り込む吊り込み工程、が順次実行されることになるが、これら工程を実行するための作業が、前述したように、躯体W側に邪魔されることがなく、広い屋内側スペースS側において行うことができるため、操作性、作業性が向上する。
【0020】
しかもこのものでは、前記載置部10aに載置されるシャッターカーテン2は、開口部の開閉に必要な設計長さよりは短い上半部のものであって、残りの下半部は、前記吊り込み行程の後に実行される連結行程で上側部位に連結されることになるため、シャッターカーテン2の載置部10aへの載置作業、そして該載置されたシャッターカーテン2の吊元具8を巻取りホイール6まで引き上げる作業の負担が軽減されることになって操作性、作業性が向上する。
そしてこの場合に、載置部10aに載置されるシャッターカーテン2は、吊元具8が渦巻き芯となり、開口部の閉鎖状態において下側となる下側部位が引き出し側端部2dとなって巻取りホイール6側に引き出せるよう予め渦巻き状に巻装されたものであり、そして該巻装されたシャッターカーテン2は、引き出し端縁部2dが載置部10aの開口先端縁部側10c側から引き上げられる向きになるよう載置することになり、この結果、引き出し端縁部2dの引き出し作業が、躯体W側とは逆の広い屋内側スペースS側からできることになって、操作性、作業性が向上する。
【0021】
また本実施の形態のものは、巻取りホイール6が躯体Wに対して屋内側に配された正巻き仕様であるため、シャッターカーテン2を、屋外側面2cが外周面となるよう渦巻き状に巻装したものとしているため、前述した載置工程において引き出し側端部2dが載置部10aの開口先端縁部10c側から引き出せるよう載置し、そして該載置されたシャッターカーテン2の引き出し端縁部2dを、巻取りホイール6まで持ち上げ、該巻取りホイール6の上側を前記躯体Wとは逆側から躯体W側に向けて山越えする状態で引き回したものを、さらに躯体Wと巻取りホイール6とのあいだの間隙Xを通して引き下ろすよう移動させることで、吊元具8を巻取りホイール6の高さまで引き上げ、そして該引き上げられた吊元具8を巻取りホイール6にビス6aを介して連結することでシャッターカーテン2の巻取りホイール6への吊り込みができることになる。この結果、吊元具8の巻取りホイール6までの引き上げ作業が前記屋内側スペースSにおいて、巻取りホイール6に掛け回したシャッターカーテン2を、躯体W側に先送りする作業でできることになって容易であるうえ、吊元具の巻取り体への連結作業が、シャッターカーテンが巻取り体に凭れた状態でできることになって一人作業であっても容易にでき、操作性、作業性が向上する。
【0022】
なお、本発明は前記実施の形態のようにシャッター装置1が正巻き仕様の場合だけでなく、巻取りホイール6が屋外側に配された逆巻き仕様(図5(B)参照))のものにおいても実施することができる。この場合に載置部10aに載置されるシャッターカーテン2は、吊元具8が渦巻き中心に位置するよう渦巻き状に巻装されることは前記のものと同様であるが、シャッターカーテン2の吊り持ち具10への載置作業が、巻取りホイール6をあいだに挟んで躯体Wとは逆側、つまり屋外側スペースPで実行するものであるため、シャッターカーテン2は、屋外側面2cが内周面(屋内側面2eが外周面)となるよう渦巻き状に巻装されたものとなる。
【0023】
さらに前記実施の形態において用いられる吊り持ち具10は、J字形をしたものであるが、本発明は、図11に示す第二の実施の形態のようにS字形をしたものであっても実施できるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、建築用シャッター装置を現場にて組み付ける際に、シャッターカーテンを天井部に設けた巻取りホイールに吊り込むために用いられる吊り持ち具及び吊り込み方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 建築用シャッター装置
2 シャッターカーテン
2c 屋外側面
2d 引き出し側端部
3 ガイドレール
4 左右ブラケット
5 巻取り軸
6 巻取りホイール
8 吊元具
10 吊り持ち具
10a 載置部
10b 係止部
10c 開口先端縁部
E 開口部
S 室内側スペース
X 間隙
W 躯体
図1
図2
図3
図4
図5
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図11