(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】光学部材、光走査装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G02B 3/00 20060101AFI20240430BHJP
B41J 2/47 20060101ALI20240430BHJP
G02B 26/12 20060101ALI20240430BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20240430BHJP
H04N 1/113 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G02B3/00 Z
B41J2/47 101D
G02B26/12
G03G15/04 111
H04N1/113
(21)【出願番号】P 2020083117
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 憲造
(72)【発明者】
【氏名】松尾 学
(72)【発明者】
【氏名】元山 貴晴
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-035249(JP,U)
【文献】特開2001-169168(JP,A)
【文献】特開平08-234123(JP,A)
【文献】特開2008-145939(JP,A)
【文献】特開平08-146327(JP,A)
【文献】特開2006-323157(JP,A)
【文献】特開2001-215429(JP,A)
【文献】特開2006-133605(JP,A)
【文献】特開2013-222035(JP,A)
【文献】米国特許第06169623(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0078542(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00- 3/14
G02B 7/02- 7/16
G02B 26/10- 26/12
G03G 15/04
B41J 2/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを屈折させて発散又は集束させるための光学部材であって、
前記光学部材は、透明材料からなる単一のレンズであり、
前記光ビームを入射する一方の面と、入射した前記光ビームを出射する他方の面との相対する1対の面を少なくとも3対備え、
前記3対の面には、何れもレンズ部が設けられており、
前記3対の面のそれぞれの対の一方側の面における前記レンズ部の曲率が何れも同じであり、
前記3対の面のそれぞれの対の他方側の面における前記レンズ部の曲率が何れも同じであり、
前記一方側の複数の面におけるレンズ部のうち何れか一つのレンズ部を前記光ビームの入射側に向け、前記他方側の面における前記レンズ部のうちの対応するレンズ部を前記光ビームの出射側に向けるように、前記光学部材を取り付ける筐体に選択的に配置可能とされており、
前記レンズ部は、前記光ビームの入射側で、凸状の球面を有し、かつ、前記光ビームの出射側で、一方向には曲率を持ち、かつ、前記一方向と直交する方向には曲率を持たない面である凹状のトロイダル面を有
し、
前記3対の面のそれぞれの対の一方側の面における前記レンズ部の光軸と該レンズ部を囲む各辺のうちの何れか1つの辺である基準辺とのそれぞれの最短距離が互いに異なっていることを特徴とする光学部材。
【請求項2】
請求項
1に記載の光学部材であって、
前記凸状の球面を有するレンズ部は、該凸状の球面を有するレンズ部が設けられる前記面から突出していないことを特徴とする光学部材。
【請求項3】
請求項1
又は請求項
2に記載の光学部材であって、
前記3対の面により立方体を構成していることを特徴とする光学部材。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までの何れか1つに記載の光学部材を備えていることを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の光走査装置であって、
前記光学部材を集光レンズとして用いることを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項
4又は請求項
5に記載の光走査装置であって、
前記光学部材は、光源から出射されて偏向走査部材により所定の主走査方向に偏向走査された光ビームを入射し、
前記偏向走査部材として、
前記主走査方向における互いに異なるサイズの反射面をそれぞれ有する複数種類の偏向走査部材が交換可能とされていることを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項
4から請求項
6までの何れか1つに記載の光走査装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材、光走査装置及び複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光走査装置は、一般的に、光源(例えばレーザーダイオード素子)からの光ビームを受光するビーム検知部と、光源とビーム検知部との間の光路上に配置されてビーム検知部に向けて光ビームを集光させる集光レンズとを備えている。このような光走査装置は、光源から出射されて偏向走査部材により所定の主走査方向に偏向走査された光ビームの主走査開始タイミングをビーム検知部により検知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光走査装置において光学部材(例えば集光レンズ)を光走査装置が備えられる各機種の電子機器(例えば各機種の画像形成装置)の画像形成装置或いは光走査装置で共用することが考えられるが、光学部材を各機種の画像形成装置或いは光走査装置で共用することができておらず、各機種の画像形成装置或いは光走査装置で専用のものを用いることがある。
【0005】
この点に関し、例えば、特許文献1には、電子スチルカメラにおいて、光学部材として凹レンズ及び凸レンズからなる一対のレンズ部を複数対備え、各レンズ部は、それぞれ異なった面形状を有し、従って各組み合わせにおける焦点距離は、例えば接写撮影可能な距離と、通常撮影可能な距離と、望遠撮影可能な距離などの如く、互いに異なっている点(段落[0037]参照)が記載されているものの、光学部材を各機種の画像形成装置或いは光走査装置で共用する点については記載されていない。
【0006】
そこで、本発明は、光学部材を各機種の画像形成装置或いは光走査装置で共用することができる光走査装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、次の光学部材、光走査装置並びに画像形成装置を提供する。
【0008】
(1)光学部材
本発明に係る光学部材は、光ビームを屈折させて発散又は集束させるための光学部材であって、前記光学部材は、透明材料からなる単一のレンズであり、前記光ビームを入射する一方の面と、入射した前記光ビームを出射する他方の面との相対する1対の面を少なくとも3対備え、前記3対の面には、何れもレンズ部が設けられており、前記3対の面のそれぞれの対の一方側の面における前記レンズ部の曲率が何れも同じであり、前記3対の面のそれぞれの対の他方側の面における前記レンズ部の曲率が何れも同じであり、前記一方側の複数の面におけるレンズ部のうち何れか一つのレンズ部を前記光ビームの入射側に向け、前記他方側の面における前記レンズ部のうちの対応するレンズ部を前記光ビームの出射側に向けるように、前記光学部材を取り付ける筐体に選択的に配置可能とされており、前記レンズ部は、前記光ビームの入射側で、凸状の球面を有し、かつ、前記光ビームの出射側で、一方向には曲率を持ち、かつ、前記一方向と直交する方向には曲率を持たない面である凹状のトロイダル面を有し、前記3対の面のそれぞれの対の一方側の面における前記レンズ部の光軸と該レンズ部を囲む各辺のうちの何れか1つの辺である基準辺とのそれぞれの最短距離が互いに異なっていることを特徴とする。
【0010】
(3)光走査装置
本発明に係る光走査装置は、前記本発明に係る光学部材を備えていることを特徴とする。
【0011】
(4)画像形成装置
本発明に係る画像形成装置は、前記本発明に係る光走査装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、簡単な構成でありながら、光学部材を各機種の画像形成装置或いは光走査装置で共用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施の形態に係る画像形成装置を正面から視た概略断面図である。
【
図2】
図1に示す画像形成装置における光走査装置の正面側を右上方から視た斜視図である。
【
図3】
図2に示す光走査装置の背面側を左上方から視た斜視図である。
【
図4】
図2に示す光走査装置における上蓋を取り外した状態を正面側の上方から視た斜視図である。
【
図6】光走査装置における下蓋を取り外した状態を示す分解斜視図である。
【
図7】光走査装置における偏向走査ユニットの一例を示す斜視図である。
【
図8】光走査装置において記録用紙の通常サイズ(A3サイズ)の仕様の光学系の構成の一例を示す平面図である。
【
図9A】第1実施形態に係る光学部材の筐体における支持部への取り付け状態を光ビームの入射側の上方から視た斜視図である。
【
図9B】第1実施形態に係る光学部材の筐体における支持部への取り付け状態を光ビームの出射側の上方から視た斜視図である。
【
図10A】第1実施形態に係る光学部材を一方側の面から視た斜視図である。
【
図10B】第1実施形態に係る光学部材を他方側の面から視た斜視図である。
【
図11A】第1実施形態に係る光学部材の平面図である。
【
図11B】第1実施形態に係る光学部材の底面図である。
【
図11C】第1実施形態に係る光学部材の左側面図である。
【
図11D】第1実施形態に係る光学部材の右側面図である。
【
図11E】第1実施形態に係る光学部材の正面図である。
【
図11F】第1実施形態に係る光学部材の背面図である。
【
図12A】第2実施形態に係る光学部材を一方側の面及び他方側の面から視た斜視図である。
【
図12B】第2実施形態に係る光学部材を他方側の面から視た斜視図である。
【
図13A】裏面受光型のビーム検知構造を説明するための模式図である。
【
図13B】表面受光型のビーム検知構造を説明するための模式図である。
【
図14】光走査装置において記録用紙の通常サイズ(A3サイズ)の仕様の光学系の構成の他の例を示す平面図である。
【
図15】光走査装置における偏向走査ユニットの他の例を示す斜視図である。
【
図16】光走査装置において記録用紙の特殊サイズ(SRA3サイズ)の仕様の光学系の構成の一例を示す平面図である。
【
図17】光走査装置において記録用紙の特殊サイズ(SRA3サイズ)の仕様の光学系の構成の他の例を示す平面図である。
【
図19A】第3実施形態に係る光学部材を一方側の面から視た斜視図である。
【
図19B】第3実施形態に係る光学部材を他方側の面から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0015】
[画像形成装置]
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置100を正面から視た概略断面図である。図において、符号Xは奥行方向を、符号Yは左右方向を、符号Zは上下方向(鉛直方向)をそれぞれ表している。
【0016】
本実施の形態に係る画像形成装置100は、モノクロ画像形成装置である。画像形成装置100は、画像読取装置1により読み取られた画像データ、又は、外部から伝達された画像データに応じて、画像形成処理を行う。なお、画像形成装置100は、用紙Pに対して多色及び単色の画像を形成するカラー画像形成装置であってもよい。
【0017】
画像形成装置100は、原稿送り装置108と、画像形成装置本体110とを備えている。画像形成装置本体110には、画像形成部102と用紙搬送系103とが設けられている。
【0018】
画像形成部102は、光走査装置200(光走査ユニット)、現像ユニット2、静電潜像担持体として作用する感光体ドラム3、クリーニング部4、帯電装置5及び定着ユニット7を備えている。また、用紙搬送系103は、給紙トレイ81、手差し給紙トレイ82、排出ローラ31及び排出トレイ14を備えている。
【0019】
画像形成装置本体110の上部には、原稿Gの画像を読み取るための画像読取装置1が設けられている。画像読取装置1は、原稿Gが載置される原稿載置台107を備えている。また、原稿載置台107の上側には原稿送り装置108が設けられている。画像形成装置100では、画像読取装置1で読み取られた原稿Gの画像は、画像データとして画像形成装置本体110に送られ、用紙P上に画像が記録される。
【0020】
画像形成装置本体110には用紙搬送路S1が設けられている。給紙トレイ81又は手差し給紙トレイ82は、用紙Pを用紙搬送路S1に供給する。用紙搬送路S1は、用紙Pを転写ローラ10及び定着ユニット7を経て排出トレイ14に導く。定着ユニット7は、用紙P上に形成されたトナー像を用紙Pに加熱定着する。用紙搬送路S1の近傍には、ピックアップローラ11a,11b、搬送ローラ12a、レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7におけるヒートローラ71及び加圧ローラ72、排出ローラ31が配設されている。
【0021】
画像形成装置100では、給紙トレイ81又は手差し給紙トレイ82にて供給された用紙Pはレジストローラ13まで搬送される。次に、用紙Pはレジストローラ13により用紙Pと感光体ドラム3上のトナー像とを整合するタイミングで転写ローラ10に搬送される。感光体ドラム3上のトナー像は転写ローラ10により用紙P上に転写される。その後、用紙Pは定着ユニット7におけるヒートローラ71及び加圧ローラ72に通過し、搬送ローラ12a及び排出ローラ31を経て排出トレイ14上に排出される。用紙Pの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、用紙Pは排出ローラ31から反転用紙搬送路S2へ逆方向に搬送される。用紙Pは反転搬送ローラ12b~12bを経て用紙Pの表裏を反転してレジストローラ13へ再度導かれる。そして、用紙Pは、表面と同様にして、裏面にトナー像が形成されて定着された後、排出トレイ14へ向けて排出される。
【0022】
[光走査装置]
図2は、
図1に示す画像形成装置100における光走査装置200の正面側を右上方から視た斜視図である。
図3は、
図2に示す光走査装置200の背面側を左上方から視た斜視図である。
図4は、
図2に示す光走査装置200における上蓋202を取り外した状態を正面側の上方から視た斜視図である。
図5は、
図4に示す光走査装置200を示す平面図である。
図6は、光走査装置200における下蓋204を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図7は、光走査装置200における偏向走査ユニット220の一例を示す斜視図である。
図8は、光走査装置200において記録用紙(用紙P)の通常サイズ(A3サイズ)の仕様の光学系の構成の一例を示す平面図である。
【0023】
光走査装置200は、筐体201と、入射光学系210と、偏向走査ユニット220(偏向走査部)と、出射光学系230とを備えている。
【0024】
入射光学系210は、光源211(レーザーダイオード素子)と、コリメータレンズ212と、アパーチャー部材213と、シリンドリカルレンズ214と、光源用反射ミラー215とを備えている。光源211は、光ビームL(レーザービーム)を出射する。コリメータレンズ212は、光源211からの光ビームLを略平行光にしてアパーチャー部材213に照射する。アパーチャー部材213は、コリメータレンズ212からの光ビームLを絞ってシリンドリカルレンズ214に照射する。シリンドリカルレンズ214は、アパーチャー部材213からの光ビームLを副走査方向のみに収束して光源用反射ミラー215を介して偏向走査部材223(ポリゴンミラー)の反射面223aに集光する。光源用反射ミラー215は、シリンドリカルレンズ214からの光ビームLを偏向走査部材223(ポリゴンミラー)の反射面223aに導く。
【0025】
偏向走査ユニット220は、偏向走査基板221と、偏向走査モータ222(ポリゴンモータ)、偏向走査部材223〔回転多面鏡(ポリゴンミラー)〕とを備えている。偏向走査基板221は、複数の固定部材(ビス)SC~SCにて下蓋204の平面(上面)側に固定されている。偏向走査基板221上には、偏向走査モータ222が設けられている。偏向走査モータ222の回転軸222aには、偏向走査部材223が固定されている。偏向走査部材223は、光源用反射ミラー215からの光ビームLを所定の主走査方向X1に偏向走査する。
【0026】
出射光学系230は、fθレンズ231と、ビーム検知用反射ミラー232と、集光レンズ233(ビーム検知用レンズ)と、ビーム検知部234〔Beam Detectセンサ(BDセンサ)〕とを備えている。
【0027】
fθレンズ231は、主走査方向X1に長尺な形状とされている。fθレンズ231は、偏向走査部材223にて主走査方向X1(長手方向W)に偏向走査された光ビームLを入射する。ビーム検知用反射ミラー232は、偏向走査部材223の反射面223aにて偏向走査された光ビームLを集光レンズ233に導く。ビーム検知部234は、光ビームLの主走査開始タイミング(画像書込開始タイミング)を検知する。
【0028】
ところで、ビーム検知部234の検知精度を考慮すると、偏向走査部材223から被走査体(感光体ドラム3)までの第1光路長と、偏向走査部材223からビーム検知部234までの第2光路長とは等しくする或いは略等しくして感光体ドラム3で照射される光ビームLのビーム径とビーム検知部234で照射される光ビームLのビーム径とを等しくする或いは略等しくする必要がある。しかし、この例では、第1光路長が第2光路長よりも長くなっている。このため、集光レンズ233を用いてビーム検知用反射ミラー232からの光ビームLをビーム検知部234に集光する。これにより、第1光路長が第2光路長よりも長くなっていても感光体ドラム3での光ビームLのビーム径とビーム検知部234での光ビームLのビーム径とを等しくする或いは略等しくすることができる。ここで、集光レンズ233は、光ビームLのある程度の光軸のズレを許容することができる。
【0029】
筐体201は、矩形状の底板201aと、底板201aを囲む4つの側板201b~201eを有している。筐体201には、偏向走査ユニット220を覆う偏向走査室203(
図4から
図6参照)が設けられている。底板201aの偏向走査室203部分には、開口203a(
図6参照)が設けられている。開口203aは、下蓋204により閉じられており、下蓋204は複数の固定部材(ビス)SC~SCにて底板201aの底面(下面)側に固定されている。下蓋204上には、偏向走査ユニット220が配設されており、下蓋204が底板201aに固定されることで、偏向走査ユニット220が偏向走査室203内に収容される。これにより、後述するように、偏向走査ユニット220を設けた下蓋204を他の偏向走査ユニット220を設けた下蓋204に取り替えることで、偏向走査ユニット220を交換することができる。
【0030】
光源用反射ミラー215で反射された光ビームLは、偏向走査室203に形成された第1窓部203b(
図5参照)を通じて偏向走査室203の内側に入射される。また、偏向走査部材223にて走査された光ビームLは、第1窓部203bを通じて偏向走査室203の外側に出射される。第1窓部203bには、第1防塵ガラス板235(透明体)が設けられている。これにより、偏向走査室203内への埃等の不要物の進入を効果的に防止することができる。また、fθレンズ231を通過した光ビームLは、筐体201のfθレンズ231側の側板201eに形成された第2窓部201fを通じて筐体201の外側に出射される。第2窓部201fには、第2防塵ガラス板236(透明体)が設けられている。これにより、筐体201内への埃等の不要物の進入を効果的に防止することができる。
【0031】
光走査装置200は、基板240(光源及びビーム検知部用基板)をさらに備えている。基板240上には、光源211及びビーム検知部234が設けられている。基板240は、平板状のプリント基板であって、光源211を駆動する回路を有している。基板240は、光源211の出射部及びビーム検知部234の受光部が筐体201内の向くように、筐体201のfθレンズ231とは反対側の側板201dの外側に固定されている。光源211の出射部及びビーム検知部234の受光部は、側板201dに形成されたそれぞれの開口(図示せず)を通じて筐体201の内側に臨んでいる。これにより、光源211は、筐体201内のコリメータレンズ212に向けて出射部から光ビームLを出射することができる。ビーム検知部234は、筐体201内の集光レンズ233からの光ビームLを受光部で受光することができる。
【0032】
また、偏向走査基板221は、平板状のプリント基板であって、偏向走査モータ222を駆動する回路を有している。偏向走査基板221上には偏向走査モータ222が固定され、偏向走査モータ222の回転軸222aに偏向走査部材223の中心部が接続固定されている。偏向走査部材223は、偏向走査モータ222により回転駆動される。
【0033】
次に、光源211からの光ビームLが感光体ドラム3に入射するまでの光路について説明する。
【0034】
光源211の光ビームLは、コリメータレンズ212を透過して略平行光にされ、アパーチャー部材213で絞られて、シリンドリカルレンズ214を透過して、光源用反射ミラー215に入射して反射され、偏向走査部材223の反射面223aに入射する。偏向走査部材223は、偏向走査モータ222により等角速度で所定の回転方向Rに回転されて、各反射面223aで光ビームLを逐次反射し、光ビームLを主走査方向X1に繰り返し等角速度で偏向させる。fθレンズ231は、主走査方向X1及び副走査方向の何れにおいても光ビームLを感光体ドラム3の表面で所定のビーム径となるように集光する。また、fθレンズ231は、偏向走査部材223により主走査方向X1に等角速度で偏向されている光ビームLを感光体ドラム3上で等線速度に移動するように変換する。これにより、光ビームLが感光体ドラム3の表面を主走査方向X1に繰り返し走査することができる。
【0035】
また、光走査装置200は、光源211から出射されて偏向走査部材223により主走査方向X1に偏向走査された光ビームLの主走査開始タイミングをビーム検知部234により検知する。ビーム検知部234は、感光体ドラム3の主走査(書き込み)が開始される直前に、ビーム検知用反射ミラー232で反射された光ビームLを入射する。ビーム検知部234は、感光体ドラム3の表面の主走査が開始される直前のタイミングで光ビームLを受光して、この主走査開始直前のタイミングを示すBD信号を出力する。このBD信号に応じてトナー像が形成される感光体ドラム3の主走査の開始タイミングが設定され、画像データに応じた光ビームLの書き込みが開始される。そして、回転駆動されて帯電された感光体ドラム3の2次元表面(周面)が光ビームLにより走査され、感光体ドラム3の表面にそれぞれの静電潜像が形成される。
【0036】
ところで、第1防塵ガラス板235に入射する光ビームLの入射角度は、直角に近い程、光透過性を向上させることができる。この点に関し、光ビームLは、主走査方向X1に走査されることから、例えば、第1防塵ガラス板235がfθレンズ231の長手方向Wに沿って設けられていると、次のような不都合がある。すなわち、第1防塵ガラス板235において偏向走査部材223による光ビームLの走査開始位置から走査終了位置までの走査領域α(
図8参照)の外側にある光ビームL(偏向走査部材223からビーム検知部234に向かう光ビームL)は、第1防塵ガラス板235に対して傾斜が付き過ぎるため、光透過性が悪化する。
【0037】
この点、本実施の形態では、第1防塵ガラス板235は、fθレンズ231の長手方向Wに対してビーム検知部234側に向くように傾斜している。こうすることで、走査領域αでの光ビームLの第1防塵ガラス板235に対する光透過性の悪化を回避することができるだけでなく、偏向走査部材223からビーム検知部234に向かう光ビームLの第1防塵ガラス板235に対する光透過性の悪化を回避することができる。また、偏向走査基板221は、第1防塵ガラス板235と平行又は略平行に配設されている。
【0038】
[本実施の形態について]
本実施の形態に係る光走査装置200は、光ビームLを屈折させて発散又は集束させるための光学部材を備えている。光学部材に用いることができる材料としては、ガラス材料や、透明樹脂材料、例えば、それには限定されないが、アクリル樹脂、ポリカーボネートを挙げることができる。この例では、光学部材は、光ビームLを屈折させて集束させる集光レンズ233である。
【0039】
〔第1実施形態〕
図9A及び
図9Bは、それぞれ、第1実施形態に係る光学部材(233)の筐体201における支持部250への取り付け状態を光ビームLの入射側及び出射側の上方から視た斜視図である。
図9Cは、
図9A及び
図9Bに示す光学部材(233)の平面図である。
図10A及び
図10Bは、それぞれ、第1実施形態に係る光学部材(233)を一方側の面233A,233B,233C及び他方側の面233a,233b,233cから視た斜視図である。また、
図11Aから
図11Fは、第1実施形態に係る光学部材(233)の6面図である。
【0040】
光学部材(233)は、相対する1対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)を少なくとも3対備えている。
【0041】
3対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)には、何れもレンズ部(2331A,2331a),(2331B,2331b),(2331C,2331c)が設けられている。
【0042】
そして、第1実施形態では、光学部材(233)は、
図10Aに示すように、3対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)のそれぞれの対の一方側の面233A,233B,233Cにおけるレンズ部2331A,2331B,2331Cの曲率(レンズ形状)が何れも同じである。この例では、一方側の面233A,233B,233Cにおけるレンズ部2331A,2331B,2331Cは、何れも球面形状のレンズである。具体的には、レンズ部2331A,2331B,2331Cの曲率は、何れも0.0446[1/mm](曲率半径22.4[mm])である。なお、レンズ部2331A,2331B,2331Cは、非球面レンズであってもよい。この場合、曲率は、例えば、光軸の位置を基準点にした曲率とすることができる。
【0043】
第1実施形態では、光学部材(233)は、例えば、
図9Aから
図9Cに示すように、光ビームLの入射側を一方側の面233Aにおけるレンズ部2331Aとし、光ビームLの出射側を他方側の面233aにおけるレンズ部2331aとすることができる。
【0044】
また、光学部材(233)は、例えば、図示を省略したが、光ビームLの入射側を一方側の面233Bにおけるレンズ部2331B、又は、一方側の面233Cにおけるレンズ部2331Cとし、光ビームLの出射側を他方側の面233bにおけるレンズ部2331b、又は、他方側の面233cにおけるレンズ部2331cとすることができる。
【0045】
このように、第1実施形態によれば、光学部材(233)は、相対する1対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)を少なくとも3対備えるだけなので、構成が簡単である。しかも光学部材(233)を配置する作業を行うだけなので、調整作業を特に行わなくてもよい。そして、一方側の複数の面233A,233B,233Cにおけるレンズ部2331A,2331B,2331Bのうち何れか一つのレンズ部を光ビームLの入射側に向けることで、他方側の面233a,233b,233cにおけるレンズ部2331a,2331b,2331cのうちの対応するレンズ部を光ビームLの出射側に向けることができる。従って、光学部材を各機種の画像形成装置或いは光走査装置で共用することができる。
【0046】
この例では、光学部材(233)は、
図10Aに示すように、3対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)のそれぞれの対の一方側の面233A,233B,233Cにおけるレンズ部2331A,2331B,2331Cの曲率(レンズ形状)が何れも同じであるが、他方側の面233a,233b,233cにおけるレンズ部2331a,2331b,2331c(
図10B参照)とはレンズ形状が異なっている。この例では、他方側のレンズ部2331c,2331c,2331cは、何れも同じレンズ形状であって、トロイダル面形状のレンズである。トロイダル面は、一方向(この例では幅方向T)には曲率を持つが、それと直交する方向(この例では高さ方向H)には曲率を持たない面である。ここで、幅方向Tは、筐体201への設置側及び設置側とは反対側の方向である高さ方向Hと光軸方向Sとの双方に直交する方向である。光学部材(233)は、他方側の面233
a,233
b,233cにおけるレンズ部2331
a,2331
b,2331cの曲率が何れも同じである。具体的には、レンズ部2331a,2331b,2331cの曲率は、何れも0.0190[1/mm](曲率半径52.6[mm])である。
【0047】
こうすることで、光ビームLを一方向(この例では幅方向T)に集光させることができる。
【0048】
本実施の形態において、光学部材(233)は、3対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)におけるレンズ部(2331A,2331a),(2331B,2331b),(2331C,2331c)のうちの少なくとも1つのレンズ部が凸状のレンズ部である。この例では、一方側の面233A,233B,233Cにおけるレンズ部2331A,2331B,2331Cは、何れも凸状のレンズである。そして、凸状のレンズ部(2331A,2331B,2331C)は、該凸状のレンズ部(2331A,2331B,2331C)が設けられる面(233A,233B,233C)から突出していない。詳しくは、凸状のレンズ部(2331A,2331B,2331C)は、頂部が該面(233A,233B,233C)と面一又は該面(233A,233B,233C)よりも内側に設けられている。
【0049】
こうすることで、凸状のレンズ部(2331A,2331B,2331C)の面(233A,233B,233C)を凸状のレンズ部(2331A,2331B,2331C)が邪魔することなく、設置面(この例では筐体201の底面201g)に確実に接触させることができる。これにより、光学部材(233)のコンパクト化を実現させつつ光学部材(233)を確実に筐体201に設けることができる。
【0050】
詳しくは、光学部材(233)は、レンズ部(2331A,2331a),(2331B,2331b),(2331C,2331c)の外周に設けられた外枠部2333(外形部)を備えている。
【0051】
本実施の形態において、3対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)により立方体を構成している。
【0052】
こうすることで、光学部材(233)のコンパクト化を実現させることができ、ひいては光走査装置200の小型化を実現させることができる。
【0053】
詳しくは、光学部材(233)の外枠部2333が立方体形状となっている。具体的には、外枠部2333の寸法である光軸方向S、幅方向T、高さ方向Hの辺の寸法e1,e2,e3(
図10A参照)は何れも12mmである。
【0054】
図5、
図9Aから
図9Cに示すように、筐体201には、光学部材(233)を支持する支持部250が設けられている。支持部250には、光軸方向S〔光ビームLの光学部材(233)への入射方向M1〕及び幅方向T(入射方向M1と直交する直交方向M2)において位置決めする複数の位置決め部251~256が設けられている。
【0055】
こうすることで、光学部材(233)を筐体201の同一位置〔光学部材(233)の何れの面で設置されても共通位置〕に位置決めした状態で確実に固定することができる。
【0056】
詳しくは、支持部250は、光学部材(233)の各面のうち設置すべき面を設置面(この例では筐体201の底面201g)に接触させた状態で支持する。複数の位置決め部251~256は、光軸方向S(この例では入射方向M1とは反対方向)及び幅方向Tにおける位置を規定する。
【0057】
本実施の形態において、3対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)のそれぞれの対の一方側の面233A,233B,233Cにおけるレンズ部2331A,2331B,2331Cの光軸NA,NB,NC(曲率の中心)と該レンズ部2331A,2331B,2331Cを囲む各辺のうちの何れか1つの辺である基準辺TA,TB,TCとのそれぞれの最短距離DA,DB,DC(
図10A参照)が何れも同じである。また、他方側の面233a,233b,233cにおけるレンズ部2331a,2331b,2331cの光軸Na,Nb,Nc(曲率の中心)と該レンズ部2331a,2331b,2331cを囲む各辺のうちの何れか1つの辺である基準辺Ta,Tb,Tcとのそれぞれの最短距離Da,Db,Dc(
図10B参照)が何れも同じである。
【0058】
この例では、基準辺TA,TB,TCは、光学部材(233)の各面のうち設置すべき面を筐体201に設置したときの幅方向Tにおける一方側の辺である。具体的には、最短距離(DA,DB,DC),(Da,Db,Dc)は何れも6mmである。
【0059】
こうすることで、光学部材(233)の各面のうち設置すべき面を筐体201に設置したときに、光軸NA,NB,NCと基準辺TA,TB,TCとの間の距離を同一にすることができる。これにより、各機種の光走査装置において光ビームLの入射位置が等しい場合に好適に用いることができる。
【0060】
なお、本実施の形態において、最短距離(DA,DB,DC),(Da,Db,Dc)が互いに異なっていてもよい。例えば、最短距離(DA,DB,DC),(Da,Db,Dc)をそれぞれ6mm、5mm、4mmとすることができる。
【0061】
こうすることで、光学部材(233)の各面のうち設置すべき面を筐体201に設置したときに、光軸NA,NB,NCと基準辺TA,TB,TCとの間の距離を互いに異ならせることができる。これにより、各機種の光走査装置において光ビームLの入射位置が互いに異なる場合に好適に用いることができる。
【0062】
また、本実施の形態では、光学部材(233)を集光レンズとして用いている。
【0063】
こうすることで、光学部材(233)を、例えば、偏向走査部材223からの光ビームLをビーム検知部234に向けて集光させる集光レンズとして機能させることができる。
【0064】
〔第2実施形態〕
図12A及び
図12Bは、それぞれ、第2実施形態に係る光学部材(233)を一方側の面233A,233B,233C及び他方側の面233a,233b,233cから視た斜視図である。
【0065】
第2実施形態に係る光走査装置200は、第1実施形態に係る光走査装置200に対して、3対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)のうちの少なくとも2対(この例では3対)の面のそれぞれの対の一方側の面233A,233B,233Cにおけるレンズ部2331A,2331B,2331Cの曲率が互いに異なっている点で相違する。この例では、他方側の面233a,233b,233cにおけるレンズ部2331a,2331b,2331cの曲率が互いに異なっている。具体的には、レンズ部2331A,2331B,2331Cの曲率は、それぞれ、0.0446[1/mm](曲率半径22.4[mm])、0.0394[1/mm](曲率半径25.4[mm])、0.0515[1/mm](曲率半径19.4[mm])である。また、レンズ部2331a,2331b,2331cの曲率は、それぞれ、0.0190[1/mm](曲率半径52.6[mm])、0.0202[1/mm](曲率半径49.6[mm])、0.01799[1/mm](曲率半径55.6[mm])である。なお、レンズ部2331A,2331B,2331Cの曲率が互いに異なり、レンズ部2331a,2331b,2331cの曲率が何れも同じであってもよい。
【0066】
こうすることで、レンズ部2331A,2331B,2331Cの焦点距離を互いに異ならせることができる。
【0067】
しかも、第2実施形態に係る光学部材(233)は、少なくとも2対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)のそれぞれの対の一方側の面233A,233B,233Cにおけるレンズ部2331A,2331B,2331Cの光軸NA,NB,NCと該レンズ部を含む面を囲む各辺のうちの何れか1つの辺である基準辺TA,TB,TCとのそれぞれの最短距離DA,DB,DC(
図12A参照)が互いに異なっている。また、他方側の面233a,233b,233cにおけるレンズ部2331a,2331b,2331cの光軸Na,Nb,Ncと該レンズ部2331a,2331b,2331cを囲む各辺のうちの何れか1つの辺である基準辺Ta,Tb,Tcとのそれぞれの最短距離Da,Db,Dc(
図12B参照)が互いに異なっている。具体的には、最短距離(DA,DB,DC),(Da,Db,Dc)は、それぞれ6mm、5mm、4mmである。
【0068】
こうすることで、光学部材(233)の各面のうち設置すべき面を筐体201に設置したときに、光軸NA,NB,NCと基準辺TA,TB,TCとの間の距離を互いに異ならせることができる。これにより、各機種の光走査装置において光ビームLの入射位置が互いに異なる場合に好適に用いることができる。
【0069】
次に、レンズ部2331A,2331B,2331Cの曲率が互いに異なっている構成例について、
図8、
図13A、
図13B及び
図14を参照しながら以下に説明する。
【0070】
図13Aは、裏面受光型のビーム検知構造を説明するための模式図であり、
図13Bは、表面受光型のビーム検知構造を説明するための模式図である。
図14は、光走査装置200において記録用紙(用紙P)の通常サイズ(A3サイズ)の仕様の光学系の構成の他の例を示す平面図である。
【0071】
ところで、ビーム検知部234の種類によっては、光軸Nの方向である光軸方向S(光ビームLが入射される入射方向M1)における入射位置が異なる場合がある。例えば、ビーム検知部234には、表面受光型のビーム検知構造と、裏面受光型のビーム検知構造とがある。本実施の形態において、光ビームLが入射される入射方向M1における入射位置が互いに異なる複数種類のビーム検知部234を取り付け可能である。
【0072】
光走査装置200には、基板240として、画像形成装置100の機種に応じて、裏面受光用基板241(両面基板又は多層基板)又は表面受光用基板242(片面基板)が搭載される。
【0073】
裏面受光用基板241(基板240)は、両面(表面及び裏面)に導体パターンが形成されている。
図13Aに示すように、裏面受光用基板241(基板240)に設けられるビーム検知部234は、例えば、裏面受光用基板241〔両面基板又は多層基板(4層板)〕の裏面240bに受光部234aが裏面240bとは反対側を向くように搭載されることがある。また、表面受光用基板242(基板240)は、片面(表面)のみに導体パターンが形成されている。
図13Bに示すように、表面受光用基板242(基板240)に設けられるビーム検知部234は、例えば、表面受光用基板242(片面基板)に設けられた貫通孔240cに受光部234a(受光面)が臨むように表面受光用基板242(片面基板)の表面240aに搭載されることがある。この場合、裏面受光用基板241(両面基板又は多層基板)と、表面受光用基板242(片面基板)とが入射方向M1において同じ位置に取り付けられると、裏面受光用基板241に設けられるビーム検知部234と、表面受光用基板242に設けられるビーム検知部234とでは、受光部234aの入射方向M1における位置が異なってしまう。このため、
図13Aに示す裏面受光型のビーム検知構造での光学部材(233)による光ビームLのビーム検知部234の受光部234aへの焦点距離d1と
図13Bに示す表面受光型のビーム検知構造での光学部材(233)による光ビームLのビーム検知部234の受光部234aへの焦点距離d2とが異なってしまう(d1<d2)。そうすると、裏面受光型のビーム検知構造及び表面受光型のビーム検知構造のうち、何れか一方のビーム検知構造でのビーム検知部234への焦点距離d1又は焦点距離d2に光学部材(233)の焦点位置を合わせると、何れか他方のビーム検知構造での光学部材(233)の焦点位置が合わず、ビーム検知部234のビーム検知精度が悪化する。
【0074】
この点、本実施の形態に係る光走査装置200において、レンズ部2331A,2331B,2331Cの曲率が互いに異なっているので、レンズ部2331A,2331B,2331Cの焦点距離を互いに異ならせることができる。すなわち、
図13Aに示す焦点距離d1と
図13Bに示す焦点距離d2とを異ならせることができ、これにより、ビーム検知構造のビーム検知精度の悪化を効果的に防止することができる。
【0075】
次に、最短距離(DA,DB,DC),(Da,Db,Dc)が互いに異なっている構成例について、
図7、
図8及び
図14から
図18を参照しながら以下に説明する。
【0076】
図15は、光走査装置200における偏向走査ユニット220の他の例を示す斜視図である。
図16及び
図17は、それぞれ、光走査装置200において記録用紙(用紙P)の特殊サイズ(SRA3サイズ)の仕様の光学系の構成の一例及び他の例を示す平面図である。また、
図18は、
図8、
図14、
図16及び
図17に示す光走査装置200における光学系の構成を一つの図にした平面図である。
【0077】
偏向走査基板221上には、偏向走査モータ222(第1偏向走査モータ2221、第2偏向走査モータ2222)が設けられている。偏向走査モータ222(2221,2222)の回転軸222aには、偏向走査部材223(第1偏向走査部材2231,第2偏向走査部材2232)が固定されている。偏向走査部材223(2231,2232)は、光源用反射ミラー215からの光ビームLを所定の主走査方向X1に偏向走査する。
【0078】
光走査装置200において、
図15から
図18に示す偏向走査ユニット220(2202)の偏向走査部材223(第2偏向走査部材2232)の反射面223aの主走査方向X1におけるサイズは、
図7、
図8、
図14及び
図18に示す偏向走査ユニット220(2201)の偏向走査部材223(第1偏向走査部材2231)の反射面223aの主走査方向X1におけるサイズよりも大きくなっている。光走査装置200は、
図7、
図8、
図14及び
図18に示す偏向走査ユニット220(2201)と
図15から
図18に示す偏向走査ユニット220(2202)とで偏向走査ユニット220(2201,2202)を設けた下蓋204,204を取り替えることで、偏向走査ユニット220(2201,2202)を交換可能とされている。
【0079】
この点に関し、本実施の形態に係る光走査装置200において、偏向走査部材223として、主走査方向X1における互いに異なるサイズの反射面223a~223aをそれぞれ有する複数種類の偏向走査部材223~223が交換可能とされている。こうすることで、主走査方向X1における互いに異なるサイズの反射面223a~223aをそれぞれ有する複数種類の偏向走査部材223~223をそれぞれ光走査装置200に設けることができる。この例では、
図7に示す第1偏向走査部材2231は、主走査方向X1における所定の第1サイズの反射面223aを有する。
図15に示す第2偏向走査部材2232は、
図7に示す第1偏向走査部材2231と主走査方向X1における第1サイズよりも大きい所定の第2サイズの反射面223aを有する。
【0080】
また、偏向走査部材223により偏向走査される光ビームLの走査開始位置から走査終了位置までの走査領域α(α1,α2)(
図8、
図14、
図16から
図18参照)の大きさが異なる各機種の画像形成装置に光走査装置200を共用する場合、例えば、記録用紙(用紙P)のサイズの仕様〔A3サイズ(297mm×420mm)とSRA3サイズ(320mm×450mm)とで仕様〕が異なる各機種の画像形成装置に光走査装置200を共用する場合、光走査装置200において、主走査方向X1における互いに異なるサイズの反射面223aをそれぞれ有する複数種類の偏向走査部材223を設ける必要がある。
【0081】
この場合、筐体201の小型化の観点から、反射ミラー(232)は走査領域α(α1,α2)の外側の近傍に設けることから、第1走査領域α1と第2走査領域α2とで反射ミラー(232)の配置位置が変更される。そうすると、光ビームLの反射ミラー(232)への入射角度が変わるので、ミラー配置角度θ(θ1,θ2)を変更する必要がある。この例では、第2走査領域α2は、第1走査領域α1よりも大きい。具体的には、第1走査領域α1は、第1偏向走査部材2231による走査領域であり、被走査体(感光体ドラム3)の走査面での幅(画像領域の幅)が310mmである。また、第2走査領域α2は、第2偏向走査部材2232による走査領域であり、被走査体(感光体ドラム3)の走査面での幅(画像領域の幅)が330mmである。従って、第2走査領域α2での反射ミラー(232)の配置位置(第2配置位置)は、第1走査領域α1での反射ミラー(232)の配置位置(第1配置位置)よりも外側に位置する。そうすると、第1走査領域α1と第2走査領域α2とで反射ミラー(232)の配置位置及びミラー配置角度θ(θ1,θ2)が変わる。
【0082】
ところで、光源211からビーム検知部234までの光路長が反射ミラー(232)の第1配置位置と第2配置位置とで光学部材(特に集光レンズ233)の性能許容レベル(特に光軸のズレの許容レベル)を超える程度に異なる場合には、光学部材(233)の光軸の位置を変更しなければ、光走査装置200の性能を維持することが困難である。
【0083】
この点、本実施の形態に係る光走査装置200において、最短距離(DA,DB,DC),(Da,Db,Dc)が互いに異なっている。こうすることで、光学部材(233)の幅方向Tにおける光軸の位置を変更することができ、これにより、光走査装置200の性能を維持することができる。
【0084】
〔第3実施形態〕
図19A及び
図19Bは、それぞれ、第3実施形態に係る光学部材(233)を一方側の面233A,233B,233C及び他方側の面233a,233b,233cから視た斜視図である。
【0085】
第3実施形態に係る光走査装置200は、第1実施形態に係る光走査装置200に対して、3対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)における全てのレンズ部(2331A,2331a),(2331B,2331b),(2331C,2331c)の曲率が何れも同じである点で相違する。また、第3実施形態では、光学部材を集光レンズ233に代えて他のレンズとして用いている。集光レンズの他のレンズとしては、代表的には、コリメータレンズ、シリンドリカルレンズを挙げることができる。
【0086】
この例では、
図19A及び
図19Bに示すように、レンズ部(2331A,2331a),(2331B,2331b),(2331C,2331c)は、何れも同じレンズ形状であって、球面形状のレンズである。具体的には、レンズ部(2331A,2331a),(2331B,2331b),(2331C,2331c)の曲率は、何れも0.0446[1/mm](曲率半径22.4[mm])である。
【0087】
このように、3対の面(233A,233a),(233B,233b),(233C,233c)における全てのレンズ部(2331A,2331a),(2331B,2331b),(2331C,2331c)の曲率を何れも同じとすることで、画像形成装置(特に光走査装置)における各種のレンズに好適に用いることができる。
【0088】
第3実施形態において、レンズ部(2331A,2331a),(2331B,2331b),(2331C,2331c)の曲率が違いに異なっていてもよい。レンズ部(2331A,2331a),(2331B,2331b),(2331C,2331c)は、非球面レンズであってもよいし、トロイダルレンズであってもよい。また、最短距離(DA,DB,DC),(Da,Db,Dc)が何れも同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0089】
(その他の実施形態)
なお、第1実施形態から第3実施形態において、基準辺TA,TB,TCを光学部材(233)の各面のうち設置すべき面を筐体201に設置したときの幅方向Tにおける一方側の辺としたが、高さ方向Hにおける一方向側の辺としもよい。また、光学部材(233)は、集光させるものとして用いたが、発散させるものとして用いてもよい。
【0090】
また、第1実施形態から第3実施形態において、例えば、光学部材をコリメータレンズとして用いてもよい。この場合、光学部材を、入射した光ビームLを略平行光にするコリメータレンズとして機能させることができる。また、光学部材をシリンドリカルレンズとして用いてもよい。この場合、光学部材を、入射した光ビームLを副走査方向のみに収束するシリンドリカルレンズとして機能させることができる。これらの他、例えば、光走査装置や光走査装置の以外画像形成装置における光学部材で各種のレンズ間に設けられて各種のレンズの光学特性を補助する補助レンズと共に用いることもできる。また、光学部材自身を走査装置や光走査装置の以外画像形成装置における光学部材の補助レンズとして用いてもよい。
【0091】
何れにしても、第1実施形態から第3実施形態の構成のうち少なくとも2つの構成を組み合わせてもよい。
【0092】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0093】
100 画像形成装置
200 光走査装置
211 光源
212 コリメータレンズ
214 シリンドリカルレンズ
215 光源用反射ミラー
223 偏向走査部材
231 fθレンズ
232 ビーム検知用反射ミラー
233 集光レンズ(光学部材)
2331A~C 一方側のレンズ部
2331a~c 他方側のレンズ部
2333 外枠部
233A~C 一方側の面
233a~c 他方側の面
234 ビーム検知部
240 基板
241 裏面受光用基板
242 表面受光用基板
250 支持部
251~256 位置決め部
DA~DC 最短距離
Da~Dc 最短距離
H 高さ方向
L 光ビーム
M1 入射方向
M2 直交方向
N 光軸
NA~NC 光軸
Na~Nc 光軸
R 回転方向
S 光軸方向
TA~TC 基準辺
Ta~Tc 基準辺
T 幅方向
W 長手方向
X1 主走査方向
d1,d2 焦点距離
e1~e3 寸法
α 走査領域
α1 第1走査領域
α2 第2走査領域
θ,θ1,θ2 ミラー配置角度