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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】画像形成装置の枠体及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240430BHJP
   B41J 29/06 20060101ALI20240430BHJP
   B41J 29/04 20060101ALI20240430BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240430BHJP
   G12B 9/02 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G03G15/00 550
B41J29/06
B41J29/04
H05K5/02 N
G12B9/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020086349
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021179583
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 林
(72)【発明者】
【氏名】松村 拓也
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-016384(JP,A)
【文献】特開2005-062577(JP,A)
【文献】特開2013-003459(JP,A)
【文献】特開2006-231656(JP,A)
【文献】特開2010-210834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/16-21/18
G03G 21/20
B41J 29/00-29/70
H05K 5/00- 5/06
G12B 1/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成ユニットを支持する支持部材と、
前記支持部材の鉛直方向の下方に配置され、前記支持部材が固定される底板と、
を備え、
前記底板は、
前記支持部材を支持する第1板金であって、水平方向に延びる第1基部と、前記第1基部の縁部の全周が下方に曲げられて形成された第1曲げ部を有する第1板金と、
前記第1板金の鉛直方向の下方に配置され、前記第1板金に連結され、前記第1板金と共に前記支持部材を支持する第2板金であって、水平方向に延び、前記第1基部と対向する第2基部と、前記第2基部の縁部の全周が上方に曲げられて形成され、前記第1曲げ部と接触する第2曲げ部を有し、前記第1基部と前記第2基部との間に空間が形成されるように前記第1板金に対して鉛直方向から重ね合わせられる第2板金と、
水平方向において前記第1板金及び前記第2板金と隣接して配置され、前記第1板金又は前記第2板金の少なくも一方に連結され、画像形成装置の外装カバーを支持する第3板金と、
を備えることを特徴とする画像形成装置の枠体。
【請求項2】
前記第1板金の前記第1曲げ部と、前記第2板金の前記第2曲げ部は連結されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の枠体。
【請求項3】
前記第1基部と前記第2基部の少なくとも一方には、絞り加工によって形成された絞り部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置の枠体
【請求項4】
前記絞り部は、前記空間に向かって鉛直方向に突出するように錐台形に変形された複数の突出部であり、該複数の突出部のそれぞれの頂点において前記第1基部と前記第2基部とが連結されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成の枠体。
【請求項5】
前記第3板金は、水平方向に延びる第3基部と、前記第3基部の縁部が曲げられた第3曲げ部を有し、前記第3基部には、鉛直方向に突出するように錐台形に変形された絞り部が設けられていない特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置の枠体。
【請求項6】
前記第3板金は、水平方向に延びる第3基部と、前記第3基部の縁部が曲げられた第3曲げ部を有し、
前記第3板金の前記第3曲げ部と、前記第1板金の前記第1曲げ部又は前記第2板金の前記第2曲げ部の少なくとも一方とに連結される連結部材を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置の枠体。
【請求項7】
前記第2板金には、キャスターが取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置の枠体。
【請求項8】
前記第3板金、前記画像形成ユニットの周囲の空気を前記画像形成装置の外部に排出するためのダクトを支持することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置の枠体。
【請求項9】
前記第3板金は、前記画像形成ユニットに電力を供給する電源基板を支持することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置の枠体。
【請求項10】
前記画像形成ユニットは、感光体を有し、
前記支持部材には、前記感光体を回転可能に支持する側板が含まれることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置の枠体
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置の枠体と、
前記枠体に支持され、シートに画像を形成する画像形成ユニットと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)などの画像形成装置の枠体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置の枠体として、画像を形成する画像形成ユニットを支持する側板や支柱などの支持部材と、この支持部材が固定される底板を備える構成が広く知られている。底板は、支持部材を介して、画像形成ユニットや画像が形成されるシートなどの全ての重量を受けることになるため、高い剛性が要求される。
【0003】
これに対して特許文献1では、底板として二枚の板金を重ね合わせる構成することで底板の剛性を高める構成が記載されている。なお、特許文献1の構成では、二枚の板金のうちの一方の板金に絞り加工によって形成された錐台形状の複数の絞り部を設け、この絞り部の頂点で他方の板金と連結させることで底板の剛性をさらに高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-16384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置の底板において、画像形成ユニットを支持する部分に撓みや捻じれが生じる場合、画像形成ユニットを構成する各部材間の相対位置精度が低下して、画像品質に悪影響を与えるおそれがある。これに対して底板において、例えば外装カバーなどの画像形成ユニット以外の部材を支持する部分に撓みや捻じれが生じて位置精度が低下する場合でも、画像形成に直接的な影響を与えないため、画像品質への影響も少ない。
【0006】
特許文献1の構成のように、底板の全体を二枚の板金を重ね合わせて構成する場合、底板の重量が大きくなり、枠体全体の重量も大きくなる。ここで画像形成装置の輸送性や設置場所の自由度を考慮すると、画像形成ユニットを支持する部分の剛性を確保して画像品質を維持しつつ、枠体全体を軽量化できる構成が望ましい。
【0007】
そこで本発明はこのような現状に鑑み、底板における画像形成ユニットを支持する部分の剛性を確保しつつ、枠体全体の軽量化を図ることができる画像形成装置の枠体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の枠体の代表的な構成は、シートに画像を形成する画像形成ユニットを支持する支持部材と、前記支持部材の鉛直方向の下方に配置され、前記支持部材が固定される底板と、を備え、前記底板は、前記支持部材を支持する第1板金であって、水平方向に延びる第1基部と、前記第1基部の縁部の全周が下方に曲げられて形成された第1曲げ部を有する第1板金と、前記第1板金の鉛直方向の下方に配置され、前記第1板金に連結され、前記第1板金と共に前記支持部材を支持する第2板金であって、水平方向に延び、前記第1基部と対向する第2基部と、前記第2基部の縁部の全周が上方に曲げられて形成され、前記第1曲げ部と接触する第2曲げ部を有し、前記第1基部と前記第2基部との間に空間が形成されるように前記第1板金に対して鉛直方向から重ね合わせられる第2板金と、水平方向において前記第1板金及び前記第2板金と隣接して配置され、前記第1板金又は前記第2板金の少なくも一方に連結され、画像形成装置の外装カバーを支持する第3板金と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置の枠体において、底板における画像形成ユニットを支持する部分の剛性を確保しつつ、枠体全体の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の断面概略図である。
図2】画像形成装置の枠体の斜視図である。
図3】画像形成装置の枠体の斜視図である。
図4】画像形成装置の枠体の分解斜視図である
図5】画像形成装置の枠体の斜視図である。
図6】画像形成装置の枠体の斜視図である。
図7】底板の平面図である。
図8】底板の断面概略図である。
図9】底板の上側部材と下側部材の分解斜視図である。
図10】画像形成装置の枠体の平面図である。
図11】画像形成装置の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<画像形成装置>
以下、まず本発明に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
本実施形態に係る画像形成装置Aは、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの4色のトナーを中間転写ベルトに転写した後、シートに画像を転写して画像を形成する中間タンデム方式の画像形成装置である。なお、以下の説明において、上記各色のトナーを使用する部材には添え字としてY、M、C、Kを付するものの、各部材の構成や動作は使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じであるため、区別を要する場合以外は添え字を適宜省略する。
【0013】
図1は、画像形成装置Aの断面概略図である。図1に示す様に、画像形成装置Aは、シートSに画像を形成する画像形成ユニット10と、画像形成ユニット10に向けてシートSを給送する給送ユニット20を備える。
【0014】
画像形成ユニット10は、感光体としての感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)、帯電ローラ2(2Y、2M、2C、2K)、現像装置4(4Y、4M、4C、4K)を備える。また画像形成ユニット10は、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)、レーザスキャナユニット3、中間転写ベルト6、二次転写ローラ7、二次転写対向ローラ8などを備える。
【0015】
給送ユニット20は、シートSが収納されるシートカセット11a~11cと、シートカセット11a~11cに収納されているシートSをピックアップするピックローラ12a~12cを備える。またピックローラ12a~12cによりピックアップされたシートSを搬送パスに給送する給送ローラ13a~13cと、搬送パスにおいてシートSを搬送する搬送ローラ14a~14dと、レジストローラ15を備える。
【0016】
画像形成装置Aにより画像を形成する際は、まず不図示の制御部に画像形成ジョブ信号が入力される。これによりシートカセット11a~11cのいずれかに収納されたシートSがピックローラ12a~12cによってピックアップされる。次に、シートSは、給送ローラ13a~13c、搬送ローラ14a~14dによってレジストローラ15に送られる。その後、シートSは、レジストローラ15によって斜行の補正がなされた後、所定のタイミングで二次転写ローラ7と二次転写対向ローラ8から形成される二次転写部に送り込まれる。
【0017】
一方、画像形成ユニット10においては、まず帯電ローラ2Yにより感光ドラム1Y表面が帯電させられる。その後、不図示の外部機器から送信された画像データに応じてレーザスキャナユニット3が感光ドラム1Y表面にレーザ光を照射し、感光ドラム1Y表面に静電潜像を形成する。その後、現像装置4Yにより感光ドラム1Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、感光ドラム1Y表面にイエローのトナー像を形成する。感光ドラム1Y表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ5Yに一次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト6に一次転写される。
【0018】
同様のプロセスにより、感光ドラム1M、1C、1Kにも、マゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして一次転写ローラ5M、5C、5Kに一次転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像が中間転写ベルト6上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これにより中間転写ベルト6の表面に画像信号に応じたフルカラーのトナー像が形成される。なお、一次転写後に感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに付着したトナーは、不図示のクリーニング部材によって除去されて、回収トナー容器18に回収される。
【0019】
その後、中間転写ベルト6が周回移動することで、フルカラーのトナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ7に二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像がシートSに転写される。トナー像が転写されたシートSは、搬送ローラ14eによって定着装置9に搬送され、定着装置9において加熱、加圧処理が施され、これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ17によって排出トレイ19に排出される。
【0020】
<画像形成装置の枠体>
次に、画像形成装置Aの枠体100の構成について説明する。
【0021】
図2は、画像形成装置Aの枠体100を正面側から見た斜視図である。図3は、画像形成装置Aの枠体100を背面側から見た斜視図である。図4は、画像形成装置Aの枠体100の分解斜視図である。図2図3図4に示す様に、画像形成装置Aの枠体100は、上部フレーム50と下部フレーム70が連結されて構成されている。上部フレーム50と下部フレーム70はそれぞれ板金で形成されており、上部フレーム50は下部フレーム70の鉛直方向の上部に配置される。なお、下部フレーム70は、枠体100として画像形成装置Aに標準的に搭載されるものであり、収容可能なシートSの枚数を増やす等の機能拡張のためにオプションとして任意に取り付けられるカセットペディスタルユニットとは異なる。また図1に示す一点鎖線Vは、上部フレーム50と下部フレーム70との境目を示している。
【0022】
上部フレーム50は、前側板53、後側板52、前側板53と後側板52とを連結するステー58、59、60、61から構成されている。前側板53は、右上支柱54、左上支柱55、右上支柱54と左上支柱55を連結するステー56、57から構成されている。ステー56、57は、右上支柱54と左上支柱55に溶接されている。ステー58は、右上支柱54と後側板52に溶接されている。ステー59は、左上支柱55と後側板52に溶接されている。ステー60、61は、ステー56と後側板52に溶接されている。
【0023】
下部フレーム70は、底板71、前側板73、後側板72、前側板73と後側板72と底板71に連結された補強板79a、79bから構成されている。前側板73は、右下支柱74、左下支柱75、右下支柱74と左下支柱75を連結するステー76から構成されている。右下支柱74は、上部フレーム50の右上支柱54に対して不図示のビスによって固定されている。左下支柱75は、上部フレーム50の左上支柱55に対して不図示のビスによって固定されている。ステー76は、右下支柱74と左下支柱75に溶接されている。後側板72、右下支柱74、左下支柱75は、底板71に対して不図示のビスによって固定されている。
【0024】
後側板52は、後述の通り、感光ドラム1を支持する支持部52aと、支持部52aの矢印X方向の端部が矢印-Y方向に垂直に曲げられた曲げ部52bと、支持部52aの矢印-X方向の端部が矢印-Y方向に垂直に曲げられた曲げ部52cを有する。また後側板72は、シートカセット11a~11cを支持する支持部72aと、支持部72aの矢印X方向の端部が矢印-Y方向に垂直に曲げられた曲げ部72bと、支持部72aの矢印-X方向の端部が矢印-Y方向に垂直に曲げられた曲げ部72cを有する。後側板52の支持部52aと後側板72の支持部72a、後側板52の曲げ部52bと後側板72の曲げ部72b、後側板52の曲げ部52cと後側板72の曲げ部72cは、それぞれ溶接されて連結されている。
【0025】
図5は、画像形成装置Aの枠体100に対して感光ドラム1やシートカセット11を支持する部材を取り付けた状態を示す図である。図5に示す様に、上部フレーム50の右上支柱54と左上支柱55には、感光ドラム1や現像装置4を支持するドラム支持部材81が位置決めされて取り付けられている。ドラム支持部材81は、感光ドラム1や現像装置4が備える不図示の現像スリーブの回転軸線方向の一端部を回転可能に支持する。感光ドラム1や現像スリーブの回転軸線方向の他端部は、後側板52の支持部52aによって回転可能に支持される。
【0026】
また上部フレーム50の右上支柱54と左上支柱55には、中間転写ベルト6を支持するベルト支持部材82が位置決めされて取り付けられている。ベルト支持部材82は、中間転写ベルト6が張架される二次転写対向ローラ8やその他のローラの回転軸線方向の一端部を回転可能に支持する。二次転写対向ローラ8の回転軸線方向の他端部は、後側板52の支持部52aによって回転可能に支持される。
【0027】
また上部フレーム50の右上支柱54と左上支柱55には、定着装置9と搬送ローラ14eがユニット化された定着搬送ユニット84の正面側の枠体である前側板が取り付けられている。右上支柱54と左上支柱55に対する定着搬送ユニット84の位置は、右上支柱54に形成された嵌合孔54a2cと左上支柱55に形成された嵌合孔55aに対して定着搬送ユニット84の前側板の不図示のそれぞれピンが嵌合することで決められる。
【0028】
つまり画像形成ユニット10の一部を構成する感光ドラム1、現像装置4、中間転写ベルト6などは、ドラム支持部材81やベルト支持部材82を介して、後側板52、右上支柱54、左上支柱55によって支持されている。また後側板52、右上支柱54、左上支柱55に対して鉛直方向の下方で連結される後側板72、右下支柱74、左下支柱75は、感光ドラム1、現像装置4、中間転写ベルト6の荷重を受け、これらの部材を間接的に支持している。つまりドラム支持部材81、ベルト支持部材82、上部フレーム50の後側板52、右上支柱54、左上支柱55と、下部フレーム70の後側板72、右下支柱74、左下支柱75は、それぞれが画像形成ユニット10を支持する支持部材である。また底板71は、画像形成ユニット10を支持する支持部材の鉛直方向の下方に配置され、画像形成ユニット10を支持する支持部材の一部である後側板72、右下支柱74、左下支柱75が固定される。
【0029】
また定着搬送ユニット84の枠体には、搬送ローラ14dが支持される。つまり右上支柱54と左上支柱55に対する定着搬送ユニット84の位置が決まることで搬送ローラ14dの位置も決まる。また右下支柱74には、搬送ローラ14dにシートSを受け渡す搬送ローラ14aの回転軸線方向の一端部が位置決めされた上で回転可能に支持されている。搬送ローラ14aの回転軸線方向の他端部は、後側板52の支持部52aに回転可能に支持されている。
【0030】
また下部フレーム70の右下支柱74と左下支柱75には、シートカセット11aを支持する支持レール83a、シートカセット11bを支持する支持レール83bと、シートカセット11cを支持する支持レール83cが位置決めされて取り付けられている。支持レール83a、83b、83cは、右下支柱74及び左下支柱75と後側板72とを連結するステーである。シートカセット11a~11cは、支持レール83a~83cにガイドされながらスライド移動し、矢印-Y方向に挿入され、矢印Y方向に引き出される。挿入されたシートカセット11a~11cは、支持レール83a~83cや後側板72の支持部72aに支持される。
【0031】
ここで本実施形態では、シートカセット11a~11cが引き出される方向である矢印Y方向に画像形成装置Aの正面が位置し、シートカセット11a~11cが挿入される方向である矢印-Y方向に画像形成装置Aの背面が位置する。また矢印Y、-Y方向と鉛直方向である矢印Z、-Z方向と直交する方向である矢印X方向に画像形成装置Aの右側面が位置し、その反対方向である矢印-X方向に画像形成装置Aの左側面が位置する。つまりシートカセット11a~11cの移動方向において、下部フレーム70の右下支柱74及び左下支柱75と後側板72は互いに対向して配置されている。また右下支柱74と左下支柱75は、シートカセット11a~11cの移動方向と鉛直方向に直交する方向において互いに対向して配置されている。
【0032】
図6は、画像形成装置Aの枠体100に対してダクト41や電源ユニット42を取り付けた図である。図6に示す様に、枠体100の底板71の一部を構成する延長底板部71cには、ダクト41、電源ユニット42、画像形成装置Aの背面側の外装カバー43が取り付けられる。ダクト41は、その内部に不図示のファンを備え、ファンによって生成される気流によって画像形成ユニット10の周囲の空気を画像形成装置Aの外部に排出し、画像形成ユニット10の昇温を抑制する。なお、ダクト41を、定着装置9の周囲の空気を画像形成装置Aの外部に排出し、定着装置9の昇温を抑制する構成としてもよい。電源ユニット42は、商用電源から電源の供給を受け、画像形成ユニット10で使用される電力を生成して画像形成ユニット10に電力を供給する不図示の電源基板を有する。外装カバー43の下端部は、延長底板部71cにおける矢印-Y方向の端面に対してビス99により固定される。外装カバー43の下端部以外の部分は、後側板52などにビス固定される。なお、画像形成装置Aの背面側の外装カバー43は、本実施形態の構成のように一枚で形成されていても、鉛直方向において分割されていてもよい。
【0033】
<底板>
次に、底板71の構成について詳しく説明する。
【0034】
図7は、底板71を矢印-Z方向から見た図である。図8は、底板71を図7に示すK-K断面で切断した断面概略図である。図9は、底板71の上側部材71aと下側部材71bの分解斜視図である。図7図8図9に示す様に、底板71は、上側部材71a(第1板金)と下側部材71b(第2板金)と延長底板部71c(第3板金)の三枚の板金から構成されている。本実施形態において、上側部材71aの板厚は1.2mm、下側部材71bの板厚は1.6mm、延長底板部71cの板厚は0.8mmである。
【0035】
上側部材71aには、後側板72、右下支柱74、左下支柱75がビス固定され、これらの部材を介して画像形成ユニット10を支持する。下側部材71bは、上側部材71aの鉛直方向の下方に配置され、上側部材71aに連結され、上側部材71aと共に画像形成ユニット10を支持する。なお、上側部材71aへの後側板72、右下支柱74、左下支柱75の連結方法は、ビス固定に限られず、溶接などの他の方法で行ってもよい。また後側板72、右下支柱74、左下支柱75を下側部材71bに連結させる構成としてもよい。
【0036】
上側部材71aは、水平方向に延びる基部71a1(第1基部)と、基部71a1の縁部の全周が縁絞り加工によって下方に曲げられて形成された曲げ部71a2(第1曲げ部)を有する。基部71b1は、四角形状を成している。曲げ部71a2は、基部71a1に対して略垂直に延びる面である。
【0037】
下側部材71bは、水平方向に延びる基部71b1(第2基部)と、基部71b1の縁部の全周が縁絞り加工によって下方に曲げられて形成された曲げ部71b2(第2曲げ部)を有する。基部71b1は、四角形状を成しており、その四隅には画像形成装置Aを移動させる際に用いられるキャスター90a~90dがそれぞれ取り付けられている。曲げ部71b2は、基部71b1に対して略垂直に延びる面である。
【0038】
上側部材71aと下側部材71bは、鉛直方向から重ね合わせられて箱型形状を成している。具体的には、上側部材71aの曲げ部71a2と下側部材71bの曲げ部71b2は矢印X方向又は矢印Y方向において対向し、且つ、接触し、溶接部30(図8)において溶接されている。即ち、上側部材71aの基部71a1の略四角形を形成する四辺の各辺と、下側部材71bの基部71b1の略四角形を形成する四辺の各辺とは、上側部材71aの曲げ部71a2と下側部材71bの曲げ部71b2において連結されている。また溶接部30は、曲げ部71a2、71b2の全域において一定の間隔で設けられている。また上側部材71aの基部71a1と下側部材71bの基部71b1は矢印Z方向において対向し、両者の間には空間が形成されている。
【0039】
このように画像形成ユニット10を支持する上側部材71aと下側部材71bを鉛直方向から重ね合わせて箱型形状とすることで、底板71における画像形成ユニット10を支持する部分の剛性を高めることができる。従って、上側部材71aや下側部材71bが画像形成ユニット10やシートSの重量を受けた場合でも、上側部材71aや下側部材71bに撓みや捻じれが生じることが抑制される。このため、画像形成ユニット10を構成する各部材間の相対位置精度が低下することを抑制が抑制され、画像品質を維持することができる。
【0040】
また下側部材71bの基部71b1には、絞り加工によって円錐台形に変形された複数の絞り部71b1a(突出部)が設けられている。絞り部71b1aは、基部71a1と基部71b1との間の空間に向かって、基部71b1から鉛直方向の上方に突出するように形成されている。絞り部71b1aは、下側部材71bの基部71b1の四角形の四辺とそれぞれ略平行になるように配列されている。絞り部71b1aは、下側部材71bの基部71b1の四角形の対角線状にも配列されている。また絞り部71b1aの頂点71b1a1は、上側部材71aの基部71a1に接触し、溶接部31(図8)において基部71a1に溶接されている。
【0041】
このように下側部材71bに絞り部71b1aを設け、絞り部71b1aにおいて上側部材71aと下側部材71bとを連結する。このような構成により、底板71における画像形成ユニット10を支持する部分の断面係数が高くなり、底板71における画像形成ユニット10を支持する部分の剛性をさらに高めることができる。なお、絞り部71b1aの形状は円錐台形に限られず、他の錐台形であってもよい。また絞り部71b1aは錐台形でなくても絞り加工が施されていれば下側部材71bの剛性を高めることができる。また上側部材71aの基部71a1において、鉛直方向の下方に突出する絞り部であり、絞り部71b1aと同様の形状の絞り部を設け、この絞り部を下側部材71bの基部71b1に溶接などにより連結させる構成としてもよい。
【0042】
なお、本実施形態では、上側部材71aと下側部材71bとの連結を溶接によって行ったものの、例えばカシメ加工やビス止めなどの他の方法で行ってもよい。また本実施形態では、上側部材71aが下側部材71bを覆うように下側部材71bの外側に嵌め込まれて重ね合わせられているものの、両者の関係は逆であってもよい。
【0043】
図10は、枠体100を矢印X方向から見た図である。なお、図10において、補強板79a、79bは省略されている。図6図10に示す様に、延長底板部71cは、上側部材71a及び下側部材71bよりも画像形成装置Aの背面側の位置に配置されている。つまり延長底板部71cは、水平方向において上側部材71a及び下側部材71bと隣接した位置に配置されている。上述した通り、延長底板部71cは、ダクト41、電源ユニット42、画像形成装置Aの外装カバー43を支持する。
【0044】
延長底板部71cは、水平方向に延びる基部71c1(第3基部)と、基部71c1の縁部の一部が縁絞り加工によって上方に曲げられて形成された曲げ部71c2(第3曲げ部)を有する。また延長底板部71cの曲げ部71c2の一部は、上側部材71aの基部71a1と重なるように矢印Y方向に更に曲げられて固定部71c2aを成している。上側部材71aと延長底板部71cは、延長底板部71cの固定部71c2aと上側部材71aの基部71a1が重なる部分においてビス固定されて連結される。なお、延長底板部71cを下側部材71bに連結させる構成や、上側部材71aと下側部材71bの両方に連結させる構成としてもよい。また延長底板部71cの基部71c1には、鉛直方向に突出するように錐台形に変形された絞り部が設けられていない。
【0045】
また延長底板部71cの固定部71c2aと上側部材71aの基部71a1が重なる部分は、後側板72の支持部72aより画像形成装置Aの背面側に位置する。つまり延長底板部71cにおける上側部材71aとの連結部は、後側板72の支持部72aよりも画像形成装置Aの背面側の位置に配置されている。このような構成により、画像形成ユニット10を支持する後側板72の支持部72aを単層で構成される延長底板部71cではなく、剛性が高い上側部材71aと下側部材71bで支持させることができる。
【0046】
また延長底板部71cの曲げ部71c2における矢印X方向の端面には、補強板79a(連結部材)が連結されている。補強板79aは、延長底板部71c、上側部材71a、下側部材71b、右下支柱74、後側板72にビス固定されている。また延長底板部71cの曲げ部71c2における矢印-X方向の端面には、補強板79b(連結部材)が連結されている。補強板79bは、延長底板部71c、上側部材71a、下側部材71b、左下支柱75、後側板72にビス固定されている。このように補強板79a、79bによって延長底板部71cと上側部材71aや下側部材71bとを連結させることで、延長底板部71cの剛性を高めることができる。なお、補強板79a、79bは、少なくとも延長底板部71cと上側部材71a又は下側部材71bの少なくとも一方とに固定されていればよい。
【0047】
このように本実施形態では、底板71における画像形成ユニット10を支持する部分を上側部材71aと下側部材71bの二枚の板金を箱型に重ね合わせて構成する。また底板71におけるダクト41、電源ユニット42、外装カバー43を支持する部分、即ち画像形成ユニット10以外の部材を支持する部分を一枚の板金である延長底板部71cで構成する。これにより画像形成ユニット10を支持する部分の剛性を確保して画像品質を維持しつつ、底板71の全体を二枚の板金を重ね合わせる構成と比較して、枠体100の全体を軽量化させることができ、また材料費を抑えて製造コストを削減することができる。
【0048】
なお、本実施形態の構成において、上側部材71aと下側部材71bのいずれか一方を延出させて、延長底板部71cの機能を持たせることも物理的には可能である。しかしこの場合、上側部材71aの曲げ部71a2における矢印-Y方向の端面と、下側部材71bの曲げ部71b2における矢印-Y方向の端面との間で溶接ができず、底板71における画像形成ユニット10を支持する部分の剛性が低くなる。従って、上側部材71a、下側部材71b、延長底板部71cをそれぞれ独立した板金とする構成が好ましい。
【0049】
また上部フレーム50や下部フレーム70に支持される部材の配置は適宜変更することができる。例えば図11に示す様に、下部フレーム70に支持されるシートカセット11aを小型化してサイズが小さいシートSを収納する構成とし、これによって形成された空間に回収トナー容器18を配置する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…感光ドラム(感光体)
10…画像形成ユニット
41…ダクト
43…外装カバー
71…底板
71a…上側部材(第1板金)
71b…下側部材(第2板金)
71b1a…絞り部(突出部)
71c…延長底板部(第3板金)
72…後側板(支持部材)
74…右下支柱(支持部材)
75…左下支柱(支持部材)
79a、79b…補強板(連結部材)
90a~90d…キャスター
100…枠体
A…画像形成装置
図1
図2
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図9
図10
図11