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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】画像読取装置及び原稿搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20240430BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240430BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240430BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B65H3/06 350A
B65H7/02
H04N1/12 Z
H04N1/00 567M
H04N1/00 567J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020087658
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181363
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 祥平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正靖
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-116362(JP,A)
【文献】特開平01-145947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/06
B65H 7/02
H04N 1/04
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の原稿が載置されるトレイと、
前記複数枚の原稿の各々の画像を読み取るイメージセンサと、
第一方向に回転することにより、前記トレイに載置された前記複数枚の原稿の各々を前記トレイから前記イメージセンサに向かって搬送する一方で、前記第一方向と逆の第二方向に回転することにより、前記複数枚の原稿のうち前記トレイから前記イメージセンサに向かって搬送中の原稿を前記トレイへ戻すローラと、
前記複数枚の原稿の移動の有無を監視する監視部と、
前記複数枚の原稿のうち前記監視部側の最も外側の原稿である最外原稿に移動が有ると判定するときに前記ローラの前記第一方向への回転を継続させる一方で、前記最外原稿に移動が無いと判定するときに、前記ローラの回転方向を前記第一方向から前記第二方向へ切り替えた後、再び前記第一方向へ切り替えるプロセッサと、
前記トレイから前記イメージセンサに向かって搬送中の原稿を検出するセンサと、
を具備し、
前記プロセッサは、前記最外原稿に移動が無いと判定し、かつ、前記センサにより前記原稿が検出されているときに、前記ローラの回転方向を前記第一方向から前記第二方向へ切り替える、
画像読取装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第一方向の回転速度よりも遅い回転速度で前記ローラを前記第二方向に回転させる、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記監視部は、前記最外原稿の画像を撮影することにより前記移動の有無を監視する、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記監視部は、前記最外原稿の移動に伴って回転することにより前記移動の有無を監視する、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
複数枚の原稿が載置されるトレイと、
前記複数枚の原稿の各々の画像を読み取るイメージセンサと、
第一方向に回転することにより、前記トレイに載置された前記複数枚の原稿の各々を前記トレイから前記イメージセンサに向かって搬送する一方で、前記第一方向と逆の第二方向に回転することにより、前記複数枚の原稿のうち前記トレイから前記イメージセンサに向かって搬送中の原稿を前記トレイへ戻すローラと、
前記複数枚の原稿の移動の有無を監視する監視部と、
を具備する画像読取装置における原稿搬送方法であって、
前記複数枚の原稿のうち前記監視部側の最も外側の原稿である最外原稿に移動が有ると判定するときに前記ローラの前記第一方向への回転を継続させ、
前記最外原稿に移動が無いと判定するときに、前記ローラの回転方向を前記第一方向から前記第二方向へ切り替えた後、再び前記第一方向へ切り替え、
前記最外原稿に移動が無いと判定し、かつ、前記トレイから前記イメージセンサに向かって搬送中の原稿を検出するセンサにより前記原稿が検出されているときに、前記ローラの回転方向を前記第一方向から前記第二方向へ切り替える、
原稿搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像読取装置及び原稿搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の中には、給紙トレイに載置されている複数枚の原稿の画像を順に読み取るものがある。画像読取装置の一例として、スキャナ、コピー機等が挙げられる。給紙トレイに載置されている複数枚の原稿は、給紙トレイに載置されている複数枚の原稿のうちの最上の原稿(以下では「最上原稿」と呼ぶことがある)、または、給紙トレイに載置されている複数枚の原稿のうちの最下の原稿(以下では「最下原稿」と呼ぶことがある)から順に画像読取装置の中に取り込まれる。以下では、給紙トレイに載置されている複数枚の原稿を最上原稿から順に取り込むタイプの画像読取装置を「上取りタイプ装置」と呼び、給紙トレイに載置されている複数枚の原稿を最下原稿から順に取り込むタイプの画像読取装置を「下取りタイプ装置」と呼ぶことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-001872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給紙トレイに載置される原稿の枚数が多くなると、上取りタイプ装置において最上原稿以外の原稿が画像読取装置の中に取り込まれたり、下取りタイプ装置において最下原稿以外の原稿が画像読取装置の中に取り込まれたりする「誤給紙」が発生することがある。
【0005】
そこで、本開示では、給紙トレイに載置された複数枚の原稿を正しい順序で画像読取装置内に取り込むことが可能になる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像読取装置は、トレイと、イメージセンサと、ローラと、監視部と、プロセッサとを有する。前記トレイには複数枚の原稿が載置される。前記イメージセンサは、前記複数枚の原稿の各々の画像を読み取る。前記ローラは、第一方向に回転することにより、前記トレイに載置された前記複数枚の原稿の各々を前記トレイから前記イメージセンサに向かって搬送する一方で、前記第一方向と逆の第二方向に回転することにより、前記複数枚の原稿のうち前記トレイから前記イメージセンサに向かって搬送中の原稿を前記トレイへ戻す。前記監視部は、前記複数枚の原稿の移動の有無を監視する。前記プロセッサは、前記複数枚の原稿のうち前記監視部側の最も外側の原稿である最外原稿に移動が有ると判定するときに前記ローラの前記第一方向への回転を継続させる。また、前記プロセッサは、前記最外原稿に移動が無いと判定するときに、前記ローラの回転方向を前記第一方向から前記第二方向へ切り替えた後、再び前記第一方向へ切り替える。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、給紙トレイに載置された複数枚の原稿を正しい順序で画像読取装置内に取り込むことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施例1のスキャナの構成例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施例1のスキャナの処理例の説明に供するフローチャートである。
図3図3は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図4図4は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図5図5は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図6図6は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図7図7は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図8図8は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図9図9は、本開示の実施例2のスキャナの構成例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施例2のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図11図11は、本開示の実施例2のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図12図12は、本開示の実施例2のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図13図13は、本開示の実施例2のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図14図14は、本開示の実施例2のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図15図15は、本開示の実施例2のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図16図16は、本開示の実施例3のスキャナの構成例を示す図である。
図17図17は、本開示の実施例3のスキャナの処理例の説明に供するフローチャートである。
図18図18は、本開示の実施例3のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図19図19は、本開示の実施例3のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図20図20は、本開示の実施例3のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図21図21は、本開示の実施例3のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図22図22は、本開示の実施例3のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図23図23は、本開示の実施例3のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図24図24は、本開示の実施例4のスキャナの構成例を示す図である。
図25図25は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図26図26は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図27図27は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図28図28は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図29図29は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図30図30は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例において同一の構成、及び、同一の処理を行うステップには同一の符号を付す。
【0010】
以下では、画像読取装置の一例として、スキャナについて説明する。しかし、開示の技術が適用可能な画像読取装置はスキャナに限定されない。例えば、コピー機等のスキャナ以外の画像読取装置にも開示の技術を適用可能である。
【0011】
[実施例1]
<スキャナの構成>
図1は、本開示の実施例1のスキャナの構成例を示す図である。図1に示すスキャナ1は、上取りタイプ装置である。
【0012】
図1において、スキャナ1は、給紙トレイ11と、下部筐体12と、上部筐体としての開閉カバー13と、原稿挿入口14と、原稿排出口15と、回転軸16と、イメージセンサ17-1,17-2と、ディスプレイ28と、エリアセンサ31と、搬送路Pとを有する。以下では、イメージセンサ17-1,17-2を「イメージセンサ17」と総称することがある。イメージセンサ17の一例として、CIS(Contact Image Sensor)が挙げられる。ディスプレイ28の一例として、LCD(Liquid Crystal Display)が挙げられる。
【0013】
給紙トレイ11には、複数枚の原稿を載置可能である。実施例1では、原稿の印刷面が片面だけで片面スキャンが行われる場合、給紙トレイ11には、印刷面がエリアセンサ31と対向するフェイスアップの状態で原稿が載置される。
【0014】
エリアセンサ31は、縦方向及び横方向の二次元に並んだ複数の撮像素子を有し、給紙トレイ11に載置された原稿の印刷面の画像を二次元的に撮影する。エリアセンサ31は、給紙トレイ11に載置された原稿の移動の有無を監視する「監視部」の一例である。
【0015】
また、スキャナ1は、プロセッサ21と、ピックローラ22と、超音波センサ24と、搬送ローラ26-1,26-2と、排出ローラ27-1,27-2とを有する。超音波センサ24は、送波器24Tと受波器24Rとを有する。送波器24Tと受波器24Rとは、互いに対向して配置される。
【0016】
プロセッサ21の一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。
【0017】
下部筐体12には、プロセッサ21と、ピックローラ22と、受波器24Rと、搬送ローラ26-2と、イメージセンサ17-2と、排出ローラ27-2とが格納される。
【0018】
開閉カバー13には、送波器24Tと、搬送ローラ26-1と、イメージセンサ17-1と、排出ローラ27-1と、ディスプレイ28と、エリアセンサ31とが格納される。
【0019】
開閉カバー13は、回転軸16を中心にして開閉自在である。開閉カバー13と下部筐体12との間に、原稿が搬送される搬送路Pが形成され、開閉カバー13が閉鎖されている状態(図1)において、開閉カバー13は搬送路Pを覆っている。
【0020】
以下では、搬送路Pにおいて、原稿挿入口14から原稿排出口15へ向かう方向を「順方向」と呼び、原稿排出口15から原稿挿入口14へ向かう方向を「逆方向」と呼ぶことがある。
【0021】
搬送ローラ26-2及び排出ローラ27-2は左回り方向(反時計回り方向)に回転する一方で、搬送ローラ26-1及び排出ローラ27-1は右回り方向(時計回り方向)に回転する。これにより、原稿は搬送路Pを順方向に搬送される。
【0022】
ピックローラ22は、左回り方向(反時計回り方向)及び右回り方向(時計回り方向)の双方に回転可能である。ピックローラ22の回転方向はプロセッサ21によって切り替えられる。ピックローラ22は、左回り方向に回転することにより、給紙トレイ11に載置された原稿を給紙トレイ11からイメージセンサ17に向かって搬送する。また、ピックローラ22は、右回り方向に回転することにより、給紙トレイ11からイメージセンサ17に向かって搬送中の原稿を給紙トレイ11に戻す。
【0023】
超音波センサ24では、送波器24Tから送信された超音波が受波器24Rにより受信される。受波器24Rによって受信される超音波の受信レベル(以下では「超音波受信レベル」と呼ぶことがある)が閾値TH1以上であるときは超音波センサ24がオンになる一方で、超音波受信レベルが閾値TH1未満であるときは超音波センサ24がオフになる。
【0024】
開閉カバー13が閉鎖された状態で送波器24Tと受波器24Rとの間に原稿が存在しないときは、超音波受信レベルが閾値TH1以上となって超音波センサ24がオンになる。また、開閉カバー13が閉鎖された状態で送波器24Tと受波器24Rとの間に原稿が存在するときは、超音波受信レベルが閾値TH1未満となって超音波センサ24がオフになる。よって、搬送路Pを給紙トレイ11からイメージセンサ17に向かって搬送中の原稿が超音波センサ24の配置位置に到達したときに、超音波センサ24がオンからオフに切り替わる。つまり、超音波センサ24は、搬送路Pを給紙トレイ11からイメージセンサ17に向かって搬送中の原稿を検出するセンサ(以下では「原稿検出センサ」と呼ぶことがある)の一例である。
【0025】
なお、原稿検出センサとして、超音波センサ24に代えて、投光器と受光器とを有する透過型光センサを用いても良い。透過型光センサでは、投光器から送信(投射)された光が受光器により受信(受光)される。受光器によって受信される光の受信レベル(以下では「光受信レベル」と呼ぶことがある)が閾値TH2以上であるときは透過型光センサがオンになる一方で、光受信レベルが閾値TH2未満であるときは透過型光センサがオフになる。開閉カバー13が閉鎖された状態で投光器と受光器との間に原稿が存在しないときは、光受信レベルが閾値TH2以上となって透過型光センサがオンになる。また、開閉カバー13が閉鎖された状態で投光器と受光器との間に原稿が存在するときは、光受信レベルが閾値TH2未満となって透過型光センサ25がオフになる。
【0026】
図1に示すスキャナ1は上取りタイプ装置であるため、給紙トレイ11に複数枚の原稿が載置された場合、誤給紙が発生していない状態では、ピックローラ22の左回り方向への回転に伴って、複数枚の原稿において最上原稿から最下原稿に向かって順に各々の原稿が搬送路Pを超音波センサ24に向かって一枚ずつ搬送される。
【0027】
各々の原稿は超音波センサ24を通過後、搬送ローラ26-1,26-2の回転に伴って、搬送路Pをイメージセンサ17に向かって搬送される。搬送ローラ26-1,26-2による搬送に伴って、複数枚の原稿の各々の画像がイメージセンサ17によって読み取られる。イメージセンサ17-1によって原稿の上面が読み取られ、イメージセンサ17-2によって原稿の下面が読み取られる。
【0028】
読取が為された後の各々の原稿は、排出ローラ27-1及び排出ローラ27-2によって原稿排出口15から排出される。
【0029】
<スキャナの処理>
図2は、本開示の実施例1のスキャナの処理例の説明に供するフローチャートである。図2のフローチャートは、給紙トレイ11に複数枚の原稿が載置された状態で、スキャナ1が有する「スキャン開始ボタン」(図示せず)が押下されたときに開始される。
【0030】
図2において、ステップS100では、プロセッサ21は、カウンタnの値を「1」に初期化する。
【0031】
次いで、ステップ105では、プロセッサ21は、ピックローラ22を左回り方向へ回転させる。これにより、給紙トレイ11に載置された複数枚の原稿の各々が一枚ずつ、搬送路Pを給紙トレイ11からイメージセンサ17に向かって搬送される。
【0032】
次いで、ステップS110では、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置された複数枚の原稿のうち最上原稿に移動が有るか否かを判定する。エリアセンサ31は、最上原稿の印刷面の画像を一定間隔で二次元的に撮影することにより最上原稿の移動の有無を監視する。プロセッサ21は、エリアセンサ31で撮影された複数の画像を比較することにより、最上原稿に移動が有るか否かを判定する。例えば、プロセッサ21は、エリアセンサ31で撮影された第一画像と、第一画像の次にエリアセンサ31で撮影された第二画像とを比較し、第一画像と第二画像との間の変化の度合い(以下では「画像変化度」と呼ぶことがある)が閾値THA以上であるときは、最上原稿が移動している(移動有り)と判定し、画像変化度が閾値THA未満であるときは、最上原稿が移動していない(移動無し)と判定する。画像変化度を示すパラーメータとして、例えば、第一画像及び第二画像の双方に存在する特定の文字または特定の図形の、第一画像と第二画像との間における移動量が挙げられ、この移動量が大きいほど画像変化度が大きいものとする。最上原稿に移動が有ると判定されるときは(ステップS110:Yes)、処理はステップS115へ進み、最上原稿に移動が無いと判定されるときは(ステップS110:No)、処理はステップS120へ進む。
【0033】
ステップS115では、プロセッサ21は、ピックローラ22の左回り方向への回転を継続させることにより、順方向への原稿の搬送を継続する。ステップS115の処理後、処理は終了する。
【0034】
一方で、ステップS120では、プロセッサ21は、ステップS110の処理から所定時間経過後に、超音波センサ24がオフになっているか否かを判定する。搬送路Pを順方向へ搬送される原稿が超音波センサ24の配置位置に到達していれば、超音波センサ24はオフになって、超音波センサ24により原稿が検出されている。つまり、原稿挿入口14から超音波センサ24の配置位置までの間の搬送路Pにおいて原稿ジャム等が発生することなく原稿が超音波センサ24の配置位置まで正常に搬送されていれば、超音波センサ24はオフになる。超音波センサ24がオフになっているときは(ステップS120:Yes)、処理はステップS125へ進み、超音波センサ24がオンになっているときは(ステップS120:No)、処理はステップS145へ進む。
【0035】
ステップS125では、プロセッサ21は、カウンタnの値が「2」未満であるか否かを判定する。カウンタnの値が「2」未満であるときは(ステップS125:Yes)、処理はステップS130へ進み、カウンタnの値が「2」以上であるときは(ステップS125:No)、処理はステップS145へ進む。
【0036】
ステップS130では、プロセッサ21は、ピックローラ22の回転方向を左回り方向から右回り方向へ切り替えて、ピックローラ22を右回り方向へ回転させる。ピックローラ22が右回り方向へ回転することにより、給紙トレイ11からイメージセンサ17に向かって搬送中の原稿が給紙トレイ11に戻される。また、プロセッサ21は、左回り方向の回転速度よりも遅い回転速度でピックローラ22を右回り方向に回転させる。例えば、プロセッサ21は、左回り方向の回転速度の2分の1の回転速度でピックローラ22を右回り方向に回転させる。
【0037】
次いで、ステップS135では、プロセッサ21は、カウンタnの値をインクリメントする。
【0038】
次いで、ステップS140では、プロセッサ21は、ステップS130でピックローラ22の回転方向を左回り方向から右回り方向へ切り替えてから所定時間経過後に、超音波センサ24がオフになっているか否かを判定する。ステップS130でピックローラ22の回転方向が右回り方向へ切り替えられることにより、超音波センサ24の配置位置から原稿挿入口14までの間の搬送路Pにおいて原稿ジャム等が発生することなく原稿が正常に給紙トレイ11に戻されていれば、超音波センサ24はオンになる。超音波センサ24がオフになっているときは(ステップS140:Yes)、処理はステップS145へ進み、超音波センサ24がオンになっているときは(ステップS140:No)、処理はステップS105へ戻る。
【0039】
処理がステップS140からステップS105へ戻ったとき、ステップS105において、プロセッサ21は、再び、ピックローラ22の回転方向を右回り方向から左回り方向へ切り替えて、ピックローラ22を左回り方向へ回転させる。
【0040】
一方で、ステップS145では、プロセッサ21は、給紙トレイ11への原稿の載置をやり直すことをユーザに促す旨のエラーメッセージをディスプレイ28に表示させる。例えば、プロセッサ21は、「給紙トレイに用紙をセットし直してください。」というエラーメッセージをディスプレイ28に表示させる。ステップS145の処理後、処理は終了する。
【0041】
<スキャナの動作>
図3図8は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。図3図8に示す動作例では、原稿D1,D2,D3,D4,D5,D6の6枚の原稿が給紙トレイ11に載置された場合について説明する。図3図8において、原稿D1~D6の複数枚の原稿のうち、原稿D1が最上原稿に相当し、原稿D6が最下原稿に相当する。また、エリアセンサ31は、給紙トレイ11に載置された原稿の移動の有無を監視する「監視部」に相当するため、図3図8において、原稿D1は、原稿D1~D6の複数枚の原稿のうち監視部側の最も外側の原稿(以下では「最外原稿」と呼ぶことがある)に相当する。
【0042】
まず、図3に示すように、給紙トレイ11に原稿D1~D6の6枚の原稿が載置された状態でスキャナ1が有する「スキャン開始ボタン」(図示せず)が押下されると、プロセッサ21は、ピックローラ22を左回り方向へ回転させる(ステップS105)。
【0043】
ここで、スキャナ1は上取りタイプ装置であるにもかかわらず、図4に示すように、原稿D1~D6のうち最下原稿である原稿D6がスキャナ1の中に取り込まれるという誤給紙が発生したものとする。この場合、原稿D1~D6のうちピックローラ22によって順方向へ搬送される原稿は原稿D6であるため、最上原稿である原稿D1は移動しない(ステップS110:No)。
【0044】
次いで、図5に示すように、原稿D6がピックローラ22によって順方向へ搬送されて原稿D6が超音波センサ24の配置位置に到達すると、超音波センサ24はオフになる(ステップS120:Yes)。そこで、プロセッサ21は、ピックローラ22の回転方向を左回り方向から右回り方向へ切り替えて、ピックローラ22を右回り方向へ回転させる(ステップS130)。
【0045】
プロセッサ21がピックローラ22を右回り方向へ回転させることにより、図6に示すように、原稿D6は、搬送路Pを逆方向へ搬送され、プロセッサ21がピックローラ22の回転方向を左回り方向から右回り方向へ切り替えてから所定時間経過後に、図7に示すように、原稿D6は給紙トレイ11に戻る。また、原稿D6に原稿ジャムが発生することなく原稿D6が正常に給紙トレイ11に戻ったときは、超音波センサ24はオンになっている(ステップS140:No)。
【0046】
そこで、プロセッサ21は、図8に示すように、再び、ピックローラ22の回転方向を右回り方向から左回り方向へ切り替えて、ピックローラ22を左回り方向へ回転させる(ステップS105)。ここで、図8に示すように、誤給紙が発生せず、原稿D1~D6のうち最上原稿である原稿D1がスキャナ1の中に取り込まれたものとする。この場合、原稿D1~D6のうちピックローラ22によって順方向へ搬送される原稿は原稿D1であるため、給紙トレイ11上で最上原稿である原稿D1が順方向へ移動する(ステップS110:Yes)。よって、プロセッサ21は、ピックローラ22の左回り方向への回転を継続させることにより、順方向への原稿D1の搬送を継続し、原稿D1の画像がイメージセンサ17によって読み取られる(ステップS115)。
【0047】
以上、実施例1について説明した。
【0048】
[実施例2]
<スキャナの構成>
図9は、本開示の実施例2のスキャナの構成例を示す図である。図9に示すスキャナ2は、上取りタイプ装置である。以下、実施例2のスキャナ2について、実施例1のスキャナ1と異なる点について説明する。
【0049】
図9において、スキャナ2は、給紙トレイ11に載置された原稿の移動の有無を監視する「監視部」として、実施例1のエリアセンサ31に代えて、監視ローラ41を有する。実施例2では、原稿の印刷面が片面だけで片面スキャンが行われる場合、給紙トレイ11には、印刷面が監視ローラ41と対向するフェイスアップの状態で原稿が載置される。監視ローラ41は、右回り方向(時計回り方向)及び左回り方向(反時計回り方向)の双方に回転可能であり、開閉カバー13に格納され、最上原稿の印刷面に接するように配置される。
【0050】
<スキャナの処理>
実施例2のスキャナ2の処理は、実施例1と同様にして、図2に示すフローチャートに従って行われる。但し、実施例2では、ステップS110において、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置された複数枚の原稿のうち最上原稿に移動が有るか否かを監視ローラ41を用いて判定する。監視ローラ41は、最上原稿の印刷面に接するように配置されることにより最上原稿の移動の有無を監視する。監視ローラ41は、ピックローラ22による最上原稿の順方向への搬送に伴って右回り方向へ回転するため、プロセッサ21は、監視ローラ41の回転の有無に基づいて、最上原稿に移動が有るか否かを判定する。例えば、プロセッサ21は、監視ローラ41の右回り方向への所定時間あたりの回転量(以下では「監視ローラ右回り回転量」と呼ぶことがある)が閾値THB以上であるときは、最上原稿が移動している(移動有り)と判定し、監視ローラ右回り回転量が閾値THB未満であるときは、最上原稿が移動していない(移動無し)と判定する。
【0051】
<スキャナの動作>
図10図15は、本開示の実施例2のスキャナの動作例の説明に供する図である。図10図15に示す動作例では、実施例1と同様に、原稿D1,D2,D3,D4,D5,D6の6枚の原稿が給紙トレイ11に載置された場合について説明する。図10図15において、原稿D1~D6の複数枚の原稿のうち、原稿D1が最上原稿に相当し、原稿D6が最下原稿に相当する。また、監視ローラ41は、給紙トレイ11に載置された原稿の移動の有無を監視する「監視部」に相当するため、図10図15において、原稿D1が最外原稿に相当する。
【0052】
まず、図10に示すように、給紙トレイ11に原稿D1~D6の6枚の原稿が載置された状態でスキャナ2が有する「スキャン開始ボタン」(図示せず)が押下されると、プロセッサ21は、ピックローラ22を左回り方向へ回転させる(ステップS105)。
【0053】
ここで、スキャナ2は上取りタイプ装置であるにもかかわらず、図11に示すように、原稿D1~D6のうち最下原稿である原稿D6がスキャナ2の中に取り込まれるという誤給紙が発生したものとする。この場合、原稿D1~D6のうちピックローラ22によって順方向へ搬送される原稿は原稿D6であるため、最上原稿である原稿D1は移動しないため、監視ローラ41は静止したまま回転しない(ステップS110:No)。
【0054】
次いで、図12に示すように、原稿D6がピックローラ22によって順方向へ搬送されて原稿D6が超音波センサ24の配置位置に到達すると、超音波センサ24はオフになる(ステップS120:Yes)。そこで、プロセッサ21は、ピックローラ22の回転方向を左回り方向から右回り方向へ切り替えて、ピックローラ22を右回り方向へ回転させる(ステップS130)。
【0055】
プロセッサ21がピックローラ22を右回り方向へ回転させることにより、図13に示すように、原稿D6は、搬送路Pを逆方向へ搬送され、プロセッサ21がピックローラ22の回転方向を左回り方向から右回り方向へ切り替えてから所定時間経過後に、図14に示すように、原稿D6は給紙トレイ11に戻る。また、原稿D6に原稿ジャムが発生することなく原稿D6が正常に給紙トレイ11に戻ったときは、超音波センサ24はオンになっている(ステップS140:No)。
【0056】
そこで、プロセッサ21は、図15に示すように、再び、ピックローラ22の回転方向を右回り方向から左回り方向へ切り替えて、ピックローラ22を左回り方向へ回転させる(ステップS105)。ここで、図15に示すように、誤給紙が発生せず、原稿D1~D6のうち最上原稿である原稿D1がスキャナ2の中に取り込まれたものとする。この場合、原稿D1~D6のうちピックローラ22によって順方向へ搬送される原稿は原稿D1であるため、給紙トレイ11上で最上原稿である原稿D1が順方向へ移動する。最上原稿である原稿D1が順方向へ移動すると、原稿D1の移動に伴って、監視ローラ41が右回り方向へ回転する(ステップS200:Yes)。よって、プロセッサ21は、ピックローラ22の左回り方向への回転を継続させることにより、順方向への原稿D1の搬送を継続し、原稿D1の画像がイメージセンサ17によって読み取られる(ステップS115)。
【0057】
以上、実施例2について説明した。
【0058】
[実施例3]
<スキャナの構成>
図16は、本開示の実施例3のスキャナの構成例を示す図である。図16に示すスキャナ3は、下取りタイプ装置である。図16に示すスキャナ3は下取りタイプ装置であるため、給紙トレイ11に複数枚の原稿が載置された場合、誤給紙が発生していない状態では、ピックローラ22の左回り方向への回転に伴って、複数枚の原稿において最下原稿から最上原稿に向かって順に各々の原稿が搬送路Pを超音波センサ24に向かって一枚ずつ搬送される。以下、実施例3のスキャナ3について、実施例1のスキャナ1と異なる点について説明する。
【0059】
図16において、スキャナ3は、給紙トレイ11に載置された原稿の移動の有無を監視する「監視部」として、実施例1のエリアセンサ31に代えて、エリアセンサ32を有する。実施例3では、原稿の印刷面が片面だけで片面スキャンが行われる場合、給紙トレイ11には、印刷面がエリアセンサ32と対向するフェイスダウンの状態で原稿が載置される。エリアセンサ32は、縦方向及び横方向の二次元に並んだ複数の撮像素子を有し、給紙トレイ11に載置された原稿の印刷面の画像を二次元的に撮影する。エリアセンサ32は、下部筐体12に格納される。
【0060】
<スキャナの処理>
図17は、本開示の実施例3のスキャナの処理例の説明に供するフローチャートである。図17のフローチャートは、給紙トレイ11に複数枚の原稿が載置された状態で、スキャナ3が有する「スキャン開始ボタン」(図示せず)が押下されたときに開始される。
【0061】
図17において、ステップS200以外の処理については、実施例1(図2)と同一あるため、説明を省略する。
【0062】
ステップS200では、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置された複数枚の原稿のうち最下原稿に移動が有るか否かを判定する。エリアセンサ32は、最下原稿の印刷面の画像を一定間隔で二次元的に撮影することにより最下原稿の移動の有無を監視する。プロセッサ21は、エリアセンサ32で撮影された複数の画像を比較することにより、最下原稿に移動が有るか否かを判定する。例えば、プロセッサ21は、エリアセンサ32で撮影された第一画像と、第一画像の次にエリアセンサ32で撮影された第二画像とを比較し、画像変化度が閾値THA以上であるときは、最下原稿が移動している(移動有り)と判定し、画像変化度が閾値THA未満であるときは、最下原稿が移動していない(移動無し)と判定する。最下原稿に移動が有ると判定されるときは(ステップS200:Yes)、処理はステップS115へ進み、最下原稿に移動が無いと判定されるときは(ステップS200:No)、処理はステップS120へ進む。
【0063】
<スキャナの動作>
図18図23は、本開示の実施例3のスキャナの動作例の説明に供する図である。図18図23に示す動作例では、原稿D1,D2,D3,D4,D5,D6の6枚の原稿が給紙トレイ11に載置された場合について説明する。図18図23において、原稿D1~D6の複数枚の原稿のうち、原稿D1が最上原稿に相当し、原稿D6が最下原稿に相当する。また、エリアセンサ32は、給紙トレイ11に載置された原稿の移動の有無を監視する「監視部」に相当するため、図18図23において、原稿D6が最外原稿に相当する。
【0064】
まず、図18に示すように、給紙トレイ11に原稿D1~D6の6枚の原稿が載置された状態でスキャナ3が有する「スキャン開始ボタン」(図示せず)が押下されると、プロセッサ21は、ピックローラ22を左回り方向へ回転させる(ステップS105)。
【0065】
ここで、スキャナ3は下取りタイプ装置であるにもかかわらず、図19に示すように、原稿D1~D6のうち最上原稿である原稿D1がスキャナ3の中に取り込まれるという誤給紙が発生したものとする。この場合、原稿D1~D6のうちピックローラ22によって順方向へ搬送される原稿は原稿D1であるため、最下原稿である原稿D6は移動しない(ステップS200:No)。
【0066】
次いで、図20に示すように、原稿D1がピックローラ22によって順方向へ搬送されて原稿D1が超音波センサ24の配置位置に到達すると、超音波センサ24はオフになる(ステップS120:Yes)。そこで、プロセッサ21は、ピックローラ22の回転方向を左回り方向から右回り方向へ切り替えて、ピックローラ22を右回り方向へ回転させる(ステップS130)。
【0067】
プロセッサ21がピックローラ22を右回り方向へ回転させることにより、図21に示すように、原稿D1は、搬送路Pを逆方向へ搬送され、プロセッサ21がピックローラ22の回転方向を左回り方向から右回り方向へ切り替えてから所定時間経過後に、図22に示すように、原稿D1は給紙トレイ11に戻る。また、原稿D1に原稿ジャムが発生することなく原稿D1が正常に給紙トレイ11に戻ったときは、超音波センサ24はオンになっている(ステップS140:No)。
【0068】
そこで、プロセッサ21は、図23に示すように、再び、ピックローラ22の回転方向を右回り方向から左回り方向へ切り替えて、ピックローラ22を左回り方向へ回転させる(ステップS105)。ここで、図23に示すように、誤給紙が発生せず、原稿D1~D6のうち最下原稿である原稿D6がスキャナ3の中に取り込まれたものとする。この場合、原稿D1~D6のうちピックローラ22によって順方向へ搬送される原稿は原稿D6であるため、給紙トレイ11上で最下原稿である原稿D6が順方向へ移動する(ステップS200:Yes)。よって、プロセッサ21は、ピックローラ22の左回り方向への回転を継続させることにより、順方向への原稿D6の搬送を継続し、原稿D6の画像がイメージセンサ17によって読み取られる(ステップS115)。
【0069】
以上、実施例3について説明した。
【0070】
[実施例4]
<スキャナの構成>
図24は、本開示の実施例4のスキャナの構成例を示す図である。図24に示すスキャナ4は、下取りタイプ装置である。以下、実施例4のスキャナ4について、実施例1のスキャナ1と異なる点について説明する。
【0071】
図24において、スキャナ4は、給紙トレイ11に載置された原稿の移動の有無を監視する「監視部」として、実施例1のエリアセンサ31に代えて、監視ローラ42を有する。実施例4では、原稿の印刷面が片面だけで片面スキャンが行われる場合、給紙トレイ11には、印刷面が監視ローラ42と対向するフェイスダウンの状態で原稿が載置される。監視ローラ42は、右回り方向(時計回り方向)及び左回り方向(反時計回り方向)の双方に回転可能であり、下部筐体12に格納され、最下原稿の印刷面に接するように配置される。
【0072】
<スキャナの処理>
実施例4のスキャナ4の処理は、実施例3と同様にして、図17に示すフローチャートに従って行われる。但し、実施例4では、ステップS200において、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置された複数枚の原稿のうち最下原稿に移動が有るか否かを監視ローラ42を用いて判定する。監視ローラ42は、最下原稿の印刷面に接するように配置されることにより最下原稿の移動の有無を監視する。監視ローラ42は、ピックローラ22による最下原稿の順方向への搬送に伴って左回り方向へ回転するため、プロセッサ21は、監視ローラ42の回転の有無に基づいて、最下原稿に移動が有るか否かを判定する。例えば、プロセッサ21は、監視ローラ42の左回り方向への所定時間あたりの回転量(以下では「監視ローラ左回り回転量」と呼ぶことがある)が閾値THB以上であるときは、最下原稿が移動している(移動有り)と判定し、監視ローラ左回り回転量が閾値THB未満であるときは、最下原稿が移動していない(移動無し)と判定する。
【0073】
<スキャナの動作>
図25図30は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。図25図30に示す動作例では、実施例1と同様に、原稿D1,D2,D3,D4,D5,D6の6枚の原稿が給紙トレイ11に載置された場合について説明する。図25図30において、原稿D1~D6の複数枚の原稿のうち、原稿D1が最上原稿に相当し、原稿D6が最下原稿に相当する。また、監視ローラ42は、給紙トレイ11に載置された原稿の移動の有無を監視する「監視部」に相当するため、図25図30において、原稿D6が最外原稿に相当する。
【0074】
まず、図25に示すように、給紙トレイ11に原稿D1~D6の6枚の原稿が載置された状態でスキャナ4が有する「スキャン開始ボタン」(図示せず)が押下されると、プロセッサ21は、ピックローラ22を左回り方向へ回転させる(ステップS105)。
【0075】
ここで、スキャナ4は下取りタイプ装置であるにもかかわらず、図26に示すように、原稿D1~D6のうち最上原稿である原稿D1がスキャナ4の中に取り込まれるという誤給紙が発生したものとする。この場合、原稿D1~D6のうちピックローラ22によって順方向へ搬送される原稿は原稿D1であるため、最下原稿である原稿D6は移動しないため、監視ローラ42は静止したまま回転しない(ステップS200:No)。
【0076】
次いで、図27に示すように、原稿D1がピックローラ22によって順方向へ搬送されて原稿D1が超音波センサ24の配置位置に到達すると、超音波センサ24はオフになる(ステップS120:Yes)。そこで、プロセッサ21は、ピックローラ22の回転方向を左回り方向から右回り方向へ切り替えて、ピックローラ22を右回り方向へ回転させる(ステップS130)。
【0077】
プロセッサ21がピックローラ22を右回り方向へ回転させることにより、図28に示すように、原稿D1は、搬送路Pを逆方向へ搬送され、プロセッサ21がピックローラ22の回転方向を左回り方向から右回り方向へ切り替えてから所定時間経過後に、図29に示すように、原稿D1は給紙トレイ11に戻る。また、原稿D1に原稿ジャムが発生することなく原稿D1が正常に給紙トレイ11に戻ったときは、超音波センサ24はオンになっている(ステップS140:No)。
【0078】
そこで、プロセッサ21は、図30に示すように、再び、ピックローラ22の回転方向を右回り方向から左回り方向へ切り替えて、ピックローラ22を左回り方向へ回転させる(ステップS105)。ここで、図30に示すように、誤給紙が発生せず、原稿D1~D6のうち最下原稿である原稿D6がスキャナ4の中に取り込まれたものとする。この場合、原稿D1~D6のうちピックローラ22によって順方向へ搬送される原稿は原稿D6であるため、給紙トレイ11上で最下原稿である原稿D6が順方向へ移動する。最下原稿である原稿D6が順方向へ移動すると、原稿D6の移動に伴って、監視ローラ42が左回り方向へ回転する(ステップS200:Yes)。よって、プロセッサ21は、ピックローラ22の左回り方向への回転を継続させることにより、順方向への原稿D6の搬送を継続し、原稿D6の画像がイメージセンサ17によって読み取られる(ステップS115)。
【0079】
以上、実施例4について説明した。
【0080】
[実施例5]
スキャナ1,2,3,4は、例えば閾値TH1,TH2,THA,THB等を記憶する記憶部を有しても良い。スキャナ1,2,3,4が有する記憶部は、ハードウェアとして、例えば、メモリにより実現される。メモリの一例として、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0081】
プロセッサ21での上記説明における各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムをプロセッサ21に実行させることによって実現しても良い。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムがメモリに記憶され、プログラムがプロセッサ21によってメモリから読み出されて実行されても良い。また、プログラムは、任意のネットワークを介してスキャナ1,2,3,4に接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバからスキャナ1,2,3,4にダウンロードされて実行されたり、スキャナ1,2,3,4が読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から読み出されて実行されても良い。スキャナ1,2,3,4が読み取り可能な記録媒体には、例えば、メモリカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD、及び、Blu-ray(登録商標)ディスク等の可搬の記憶媒体が含まれる。また、プログラムは、任意の言語や任意の記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。また、プログラムは必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールや複数のライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものも含む。
【0082】
以上、実施例5について説明した。
【0083】
以上のように、本開示の画像読取装置(実施例のスキャナ1,2,3,4)は、トレイ(実施例の給紙トレイ11)と、イメージセンサ(実施例のイメージセンサ17)と、ローラ(実施例のピックローラ22)と、監視部(実施例のエリアセンサ31,32及び監視ローラ41,42)と、プロセッサ(実施例のプロセッサ21)とを有する。トレイには、複数枚の原稿(実施例の原稿D1~D6)が載置される。イメージセンサは、複数枚の原稿の各々の画像を読み取る。ローラは、第一方向(実施例の左回り方向)に回転することにより、トレイに載置された複数枚の原稿の各々をトレイからイメージセンサに向かって搬送する一方で、第一方向と逆の第二方向(実施例の右回り方向)に回転することにより、複数枚の原稿のうちトレイからイメージセンサに向かって搬送中の原稿をトレイへ戻す。監視部は、複数枚の原稿の移動の有無を監視する。プロセッサは、複数枚の原稿のうち監視部側の最も外側の原稿である最外原稿に移動が有ると判定するときにローラの第一方向への回転を継続させる。また、プロセッサは、最外原稿に移動が無いと判定するときに、ローラの回転方向を第一方向から第二方向へ切り替えた後、再び第一方向へ切り替える。
【0084】
例えば、監視部(実施例のエリアセンサ31,32)は、最外原稿の画像を撮影することにより最外原稿の移動の有無を監視する。
【0085】
また例えば、監視部(実施例の監視ローラ41,42)は、最外原稿の移動に伴って回転することにより最外原稿の移動の有無を監視する。
【0086】
こうすることで、トレイに載置された原稿に誤給紙が発生したときに、搬送中の原稿をトレイへ一旦戻した後に再び原稿の搬送を試みることができるため、トレイに載置された複数枚の原稿を正しい順序で画像読取装置内に取り込むことが可能になる。
【0087】
また、本開示の画像読取装置は、トレイからイメージセンサに向かって搬送中の原稿を検出するセンサ(実施例の超音波センサ24)を有する。プロセッサは、最外原稿に移動が無いと判定し、かつ、センサにより原稿が検出されているときに、ローラの回転方向を第一方向から第二方向へ切り替える。
【0088】
こうすることで、誤給紙された原稿(以下では「誤給紙原稿」と呼ぶことがある)のうち原稿ジャムが発生していない誤給紙原稿をトレイに戻すことができる。
【0089】
また、プロセッサは、第一方向の回転速度よりも遅い回転速度でローラを第二方向に回転させる。
【0090】
こうすることで、搬送中の誤給紙原稿がトレイへ戻される際の原稿ジャムの発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0091】
1,2,3,4 スキャナ
11 給紙トレイ
17-1,17-2 イメージセンサ
21 プロセッサ
22 ピックローラ
24 超音波センサ
31,32 エリアセンサ(監視部)
41,42 監視ローラ(監視部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30